
⚡ 湯たんぽ・カイロ・電気毛布で「低温やけど」になっていませんか?
低温やけどは、気づいたときにはすでに深刻な状態になっていることが多い、怖い怪我です。「ちょっと赤いだけかな?」と放置していたら、皮膚の深部まで壊死していた…というケースも珍しくありません。
正しい処置をしないと悪化します。この記事でチェックしましょう!
📌 この記事を読むとわかること
- ✅ 低温やけどがなぜ深刻になるのかのメカニズム
- ✅ 今すぐできる正しい応急処置の手順
- ✅ 絶対にやってはいけないNG行動
- ✅ 病院へ行くべきタイミングの見極め方
🚨 放置するとこうなる…
- 🔸 見た目は軽症でも皮膚の深部が壊死していることがある
- 🔸 誤った処置で症状がさらに悪化するリスク
- 🔸 最悪の場合、植皮手術(皮膚移植)が必要になることも
目次
- 低温やけどとは何か
- 低温やけどが起きやすい原因と状況
- 低温やけどの症状と重症度の分類
- 低温やけどに気づくポイント
- 低温やけどの応急処置(自宅でできること)
- やってはいけない処置
- 受診すべきタイミングと診療科
- 病院での治療方法
- 低温やけどの治癒期間と経過
- 低温やけどの予防法
- 特に注意が必要な人
- まとめ
💡 この記事のポイント
低温やけどは44〜60℃の熱源への長時間接触で生じ、見た目より深部損傷が重篤な場合がある。応急処置は流水で15〜30分冷却し、水ぶくれや皮膚変色・感覚消失があれば皮膚科・形成外科を速やかに受診することが重要。
💡 低温やけどとは何か
低温やけどとは、44℃〜60℃程度の比較的低い温度の熱源に、長時間皮膚が接触し続けることで生じるやけどのことです。通常のやけどは、熱湯や火炎など高温の熱源が短時間で接触することで起こります。一方、低温やけどは「低い温度でも長時間当たり続けると組織が傷つく」という原理に基づいています。
人体の皮膚は、44℃程度の温度であれば数時間、50℃では3〜5分程度で組織にダメージが蓄積し始めると言われています。60℃を超えると1分以内に傷害が始まります。このように、温度が低くても接触時間が長ければ長いほど、皮膚の深い層にまでダメージが及ぶのが低温やけどの大きな特徴です。
特に注意が必要なのは、低温やけどは表面上の見た目が軽度であっても、皮膚の深いところ(皮下組織や筋肉層)まで損傷が及んでいることがあるという点です。見た目には少し赤くなっている程度に見えても、内部では深刻なダメージが蓄積されているケースがあり、これが通常のやけどと大きく異なる点です。
Q. 低温やけどはなぜ見た目より重症になりやすいのか?
低温やけどは44〜60℃程度の熱源に長時間接触することで生じ、表面は軽い赤みに見えても皮下組織や筋肉層まで損傷が及ぶことがあります。温度が低くても接触時間が長いほど深部へダメージが蓄積するため、外見だけでは重症度の判断が困難です。
📌 低温やけどが起きやすい原因と状況
低温やけどを引き起こす熱源は、日常生活の中に多く存在します。特によく見られるのは以下のような状況です。
湯たんぽは低温やけどの原因として最も多いもののひとつです。特に就寝中に湯たんぽを布団の中に入れ、同じ部位に長時間当たり続けることで起こります。就寝中は痛みに気づきにくく、体の動きも少ないため、やけどが進行しやすい状況になります。
電気毛布や電気あんかも同様に、就寝中に長時間使用することで低温やけどのリスクが高まります。特に温度設定を高くしたまま眠ってしまうと、気づかないうちに深刻なダメージを受けてしまうことがあります。
使い捨てカイロや貼るタイプのカイロは、表面温度が約50〜60℃に達するものもあります。直接皮膚に貼ったり、就寝中に体の下に敷いてしまったりすると、低温やけどが起こりやすくなります。製品の説明書には「直接肌に当てないこと」と記載されていますが、守られていないケースが見られます。
ノートパソコンを膝の上に長時間置いて使用することも、低温やけどの原因になることがあります。パソコンの底面は長時間使用すると40℃以上になることがあり、これを太ももや膝に当たり続けることでやけどが生じることがあります。
また、ホットカーペットや床暖房の上に長時間座ったり横になったりすることも、同様のリスクがあります。さらに、入浴後に熱めのお湯が入ったペットボトルを腰や背中に当てる行為も低温やけどを引き起こす可能性があります。
✨ 低温やけどの症状と重症度の分類
やけどの重症度は一般的に「度」で分類されます。低温やけども同様の分類が用いられます。
I度(表皮熱傷)は、皮膚の最も表面の層(表皮)のみがダメージを受けた状態です。症状としては、皮膚が赤くなる(発赤)、ひりひりとした痛み、熱感などが見られます。水ぶくれ(水疱)はできず、適切に処置すれば数日以内に治癒することがほとんどです。
II度(真皮熱傷)は、表皮より深い真皮層まで損傷が及んだ状態です。II度はさらに浅達性と深達性に分けられます。浅達性II度では、強い痛みと水ぶくれが見られ、傷跡が残りにくいとされています。深達性II度では、痛みが比較的少ない(神経も傷ついているため)、水ぶくれの中の液体が濁っている、傷跡が残る可能性があるといった特徴があります。
III度(皮下組織熱傷)は、真皮より深い皮下組織にまで損傷が及んだ状態です。皮膚が黒または白っぽく変色し、神経が傷ついているために痛みがほとんど感じられません。これが「痛みが少ないのに重症」という低温やけどの特徴的な状態です。III度のやけどでは植皮術などの外科的治療が必要になることがあります。
低温やけどで特に問題になるのは、見た目はI度やII度に見えても、実際には深達性II度やIII度であるケースです。表面的な見た目だけで重症度を判断するのは難しく、専門家による診断が重要になります。
Q. 低温やけどの応急処置で正しい冷やし方は?
低温やけどの応急処置は、患部に水道水の流水を15〜30分程度やさしく当てて冷やすことが基本です。氷や保冷剤を直接皮膚に当てると凍傷を招く恐れがあるため避けてください。冷却後は清潔なタオルやラップフィルムで覆い、速やかに医療機関を受診することが推奨されます。

🔍 低温やけどに気づくポイント
低温やけどは、通常のやけどとは異なり「じわじわと」ダメージが蓄積するため、気づくのが遅れることが多いです。以下のような変化に気づいたら、低温やけどの可能性を疑いましょう。
まず、暖房器具や熱源に接触していた部位の皮膚が赤くなっている、あるいは赤みがなかなか引かない場合です。通常、軽いほてりであれば時間が経てば消えますが、数時間経っても赤みが続く場合は注意が必要です。
次に、接触部位にひりひり感、かゆみ、違和感がある場合です。最初は軽度の不快感でも、時間とともに強くなることがあります。
皮膚の変色(赤紫色、黒っぽい色など)が見られる場合も要注意です。特に黒や白に変色している部分があれば、III度のやけどの可能性があります。
また、患部を触っても痛みを感じない、あるいは感覚が鈍い場合は、神経まで損傷が及んでいる可能性があります。「痛みがないから大丈夫」と思いがちですが、むしろ深刻な状態を示している可能性があるため注意が必要です。
水ぶくれができている場合は、少なくともII度以上のやけどと考えられます。水ぶくれを自己判断でつぶすことは感染のリスクを高めるため、絶対に避けてください。
💪 低温やけどの応急処置(自宅でできること)
低温やけどが疑われる場合、まず最初に行うべき応急処置は「冷やすこと」です。ただし、冷やし方には注意点があります。
流水での冷却は、やけどの応急処置として最も基本的で重要な処置です。患部に流水(水道水で構いません)を当て、15〜30分程度冷やしましょう。流水を当てることで熱を取り除き、組織へのダメージを最小限に抑えることができます。冷水でも構いませんが、氷水は皮膚へのダメージを与える可能性があるため避けてください。
冷却する際は、水圧が強すぎると傷ついた皮膚をさらに傷める可能性があるため、やさしく流水を当てるようにしましょう。シャワーヘッドを使う場合は、水圧を弱めに設定することをおすすめします。
冷却が終わったら、患部を清潔なタオルや布でそっと覆いましょう。ラップフィルム(食品用ラップ)で覆うことも、外部からの汚染を防ぎ、乾燥を防ぐために有効です。ラップを使用する場合は、患部を強く圧迫しないように注意してください。
広い範囲のやけどや、衣服が患部に張り付いている場合は、無理に衣服を取り除こうとせず、衣服の上から流水をかけながら冷却しましょう。無理に衣服を取り除こうとすると、皮膚が一緒に剥がれてしまう危険性があります。
応急処置が済んだら、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。低温やけどは見た目では重症度の判断が難しいため、自己判断は禁物です。
🎯 やってはいけない処置
低温やけどの処置で、誤ってしまいがちな行動があります。以下のことは絶対に行わないようにしましょう。
氷や保冷剤を直接当てることは避けてください。患部を冷やしたいという気持ちから、氷や冷凍した保冷剤を直接皮膚に当ててしまう人がいますが、これは凍傷を引き起こす可能性があります。冷却は流水で行い、氷や保冷剤を使用する場合はタオルなどに包んで間接的に当てるようにしましょう。
水ぶくれをつぶすことは絶対に避けてください。水ぶくれは、傷ついた組織を外部からの細菌などの侵入から守る役割を果たしています。これをつぶしてしまうと感染のリスクが大幅に高まります。水ぶくれが破れた場合は、清潔なガーゼや布で覆い、できるだけ早く医療機関を受診してください。
民間療法として知られているバター、油、みそ、歯磨き粉などを患部に塗ることもやめましょう。これらは感染のリスクを高めるだけでなく、医師が傷の状態を確認しにくくなります。患部には何も塗らず、清潔な状態で受診することが大切です。
市販の軟膏やクリームを自己判断で使用することも、場合によっては適切でないことがあります。特にステロイド軟膏は、傷の治癒を妨げる可能性があります。市販薬を使用する場合は、薬剤師に相談するか、受診後に医師の指示に従ってください。
患部をこすったり、強く圧迫したりすることも避けてください。やけどをした皮膚は非常に繊細な状態になっており、摩擦や圧迫によってさらに傷つく可能性があります。触れる場合は、できるだけそっと扱うようにしましょう。
アルコール(消毒液)を直接患部に使用することも適切ではありません。アルコールは傷ついた組織を刺激し、ダメージを悪化させる可能性があります。
Q. 低温やけどで絶対にやってはいけない処置は何か?
低温やけどで避けるべき処置は主に4つあります。①水ぶくれをつぶす(感染リスクが高まる)②氷・保冷剤を直接当てる(凍傷の恐れ)③バター・みそ・歯磨き粉を塗る(感染悪化・診察の妨げになる)④患部をこすったり強く圧迫したりする(皮膚がさらに損傷する)ことです。

💡 受診すべきタイミングと診療科
低温やけどは、軽度に見えても内部で深刻なダメージが起きている可能性があるため、基本的には医療機関への受診をおすすめします。特に以下の場合は、速やかに受診することが重要です。
水ぶくれができている場合は、少なくともII度のやけどと判断されます。感染リスクがあるため、適切な処置が必要です。できるだけ早めに受診しましょう。
皮膚が黒や白に変色している、または患部の感覚がない(痛みを感じない)場合は、III度のやけどの可能性があります。これは重篤な状態であり、緊急性の高い治療が必要なため、できるだけ早く受診してください。
顔、手、足、関節部、陰部などに発生したやけどは、機能的・整容的に重要な部位であるため、専門的な治療が必要です。
広い範囲にやけどが及んでいる場合も要注意です。一般的に、成人では体表面積の10%以上のやけどは入院が必要とされることがあります。
やけど後に発熱、患部の腫れ・痛みの増強、膿(うみ)の発生などが見られる場合は、感染が起きている可能性があります。抗生物質による治療が必要になることがあるため、速やかに受診してください。
低温やけどの治療に適した診療科は、皮膚科または形成外科です。皮膚科はやけどを含む皮膚疾患全般を扱い、形成外科は皮膚の再建や傷跡の治療に専門性があります。緊急の場合や、広範囲・重症のやけどの場合は、救急科を受診することもあります。
また、小児の低温やけどの場合は、小児科や小児外科・形成外科などを受診するとよいでしょう。子どもは大人と比べて皮膚が薄く、より深刻なダメージを受けやすいため注意が必要です。
📌 病院での治療方法
病院では、やけどの重症度に応じてさまざまな治療が行われます。
まず、医師による問診と視診が行われます。どのような熱源で、どのくらいの時間接触していたか、いつ発生したかなどの情報が治療方針を決める上で重要です。必要に応じて、超音波検査やMRIなどの画像検査で深部の損傷状態を確認することもあります。
I度のやけどでは、炎症を抑える軟膏(ステロイド軟膏など)が処方されることがあります。通常は外来治療で対応でき、数日で回復します。
浅達性II度のやけどでは、水ぶくれの処置(破らずに消毒し、適切に保護する)と、創傷被覆材や抗菌軟膏による創傷管理が行われます。定期的な外来通院が必要で、通常2〜3週間程度で治癒します。
深達性II度のやけどでは、壊死組織の除去(デブリードマン)が必要になることがあります。また、感染予防のための抗生物質の投与、創傷被覆材の使用などが行われます。治癒に数週間かかることが多く、傷跡が残る可能性があります。
III度のやけどでは、傷ついた組織が自然に治癒することは難しいため、外科的治療が必要です。壊死した組織を取り除き、自分自身の皮膚を移植する「植皮術」が行われることがあります。植皮術は全身麻酔または局所麻酔下で行われ、入院が必要になる場合がほとんどです。
感染を合併している場合は、抗生物質(内服または点滴)による治療が行われます。重篤な感染症(蜂窩織炎、壊死性筋膜炎など)では、入院管理が必要になることがあります。
傷が治癒した後も、傷跡(瘢痕)が残ることがあります。肥厚性瘢痕やケロイドが形成された場合は、シリコンシートの使用、ステロイドの局所注射、レーザー治療など、傷跡を目立たなくするための治療が行われることもあります。

✨ 低温やけどの治癒期間と経過
低温やけどの治癒期間は、損傷の深さや範囲、個人の体質、治療の適切さなどによって大きく異なります。
I度のやけどは、皮膚の表面のみの損傷であるため、適切に処置すれば通常1週間以内に治癒します。赤みや痛みは数日で改善することがほとんどです。
浅達性II度のやけどは、通常2〜3週間で治癒します。水ぶくれが治まり、新しい皮膚が形成されます。傷跡が残りにくいとされていますが、ケアが不十分な場合は色素沈着が残ることがあります。
深達性II度のやけどは、1ヶ月以上かかることが多く、傷跡が残る可能性が高くなります。植皮術が行われる場合もあります。
III度のやけどは、植皮術などの外科的治療が必要で、治癒までに数ヶ月かかることもあります。傷跡が残り、機能障害が生じることもあります。リハビリテーションが必要になることもあります。
低温やけどの特徴として、最初は軽度に見えても、数日後に症状が悪化することがあります。これは、当初は表面のダメージしか見えなかったものの、時間の経過とともに深部のダメージが明らかになってくるためです。そのため、最初に受診して「軽度」と判断された場合でも、症状が悪化した場合は再受診することが大切です。
治癒後も、紫外線による色素沈着(患部が黒ずむ)が起こることがあるため、日焼け止めなどでの紫外線対策が推奨されます。特に、傷跡がある部位は紫外線に対して敏感になっていることがあるため注意が必要です。
Q. 低温やけどのリスクが特に高い人はどんな人か?
低温やけどのリスクが特に高いのは、皮膚が薄く体温調節が未熟な乳幼児・高齢者、糖尿病性神経障害で感覚が鈍い糖尿病患者、脊髄損傷や末梢神経障害のある方、末梢循環障害で血行不良の方、睡眠薬服用者や飲酒者などです。これらの方は気づかないうちに深刻な状態になりやすいため注意が必要です。
🔍 低温やけどの予防法
低温やけどは、正しい知識と注意によって予防することができます。日常生活の中で意識したい予防法をご紹介します。
湯たんぽを使用する際は、就寝前に布団を温める目的で使い、就寝時には布団から取り出すか、専用カバーに包んで直接皮膚に当たらないようにしましょう。特に足元付近に置く場合は、足が直接触れる位置に来ないように注意してください。
電気毛布や電気あんかは、就寝前に電源を切るか、タイマーを設定して就寝中は電源が切れるようにしましょう。就寝中に使用する場合は、温度を最低設定にするとよいでしょう。
カイロを使用する際は、製品の説明書をよく読み、直接肌に当てないようにしましょう。特に就寝中は使用を避けることが望ましいです。また、カイロを一箇所に長時間当て続けることも避けてください。
ノートパソコンを使用する際は、膝の上などには直接置かず、テーブルやパソコン台の上で使用しましょう。長時間の使用でパソコンが熱を持ってきた場合は、より注意が必要です。
ホットカーペットの上に長時間座ったり横になったりすることは避けましょう。特に、テレビを見ながらうとうとしてしまうような状況では、気づかないうちに長時間同じ部位に熱が当たり続けることになります。
温泉や銭湯などの入浴施設で、岩盤浴や温かい石の上に長時間同じ体勢で横になることも低温やけどのリスクがあります。定期的に体勢を変え、同じ部位に熱が集中しないようにしましょう。
いずれの場合も、定期的に皮膚の状態を確認することが大切です。赤みや違和感を感じたら、すぐに熱源から離れることを心がけましょう。
💪 特に注意が必要な人
低温やけどは誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要なグループがあります。
乳幼児・小児は、皮膚が薄く体温調節機能も未熟なため、大人よりも低い温度・短い時間で低温やけどが起こりやすいです。また、自分で「熱い」「痛い」という感覚を言葉で伝えられない場合があるため、保護者が注意深く見守る必要があります。
高齢者は、皮膚が薄くなっており、また温度感覚が低下していることがあります。「熱い」と感じる前に低温やけどが起こっていることがあるため注意が必要です。特に、関節痛や腰痛に対して湯たんぽやカイロを使用することが多い高齢者は、リスクが高いと言えます。
糖尿病患者さんは、糖尿病性神経障害によって感覚が鈍くなっていることがあります。そのため、熱さや痛みを感じにくく、低温やけどに気づくのが遅れることがあります。足部は特に神経障害が起こりやすい部位であり、湯たんぽやカイロの使用には細心の注意が必要です。
脊髄損傷や末梢神経障害などの神経疾患がある方も、感覚障害により低温やけどに気づきにくいことがあります。これらの疾患を持つ方は、暖房器具の使用に際して特に注意が必要です。
血行不良の方(閉塞性動脈硬化症など末梢循環障害がある方)も、低温やけどのリスクが高まります。血流が悪い部位は熱の放散がうまくいかず、局所的に温度が上がりやすくなるためです。
睡眠薬や鎮静剤を服用している方も注意が必要です。これらの薬によって深く眠ってしまうと、暖房器具が長時間同じ部位に当たり続けても気づかないことがあります。
飲酒後も感覚が鈍くなるため、カイロや湯たんぽを使ったまま眠ってしまった場合に低温やけどのリスクが高まります。飲酒後は暖房器具の使用に注意しましょう。
これらのリスクの高い方々は、暖房器具の使用について特に慎重になる必要があります。可能であれば、家族や周囲の人が定期的に状態を確認するとよいでしょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、低温やけどは「痛みが少ないから大丈夫」と自己判断されて受診が遅れ、実際には深達性II度やIII度にまで損傷が及んでいたというケースを少なからず経験しております。特に高齢者や糖尿病をお持ちの方は感覚が鈍くなっていることがあり、気づかないうちに深刻な状態になっていることがあるため、暖房器具を使用した部位に少しでも赤みや違和感を感じたら、どうか早めにご相談ください。最近の傾向として、就寝中の湯たんぽやカイロによるご相談が増えており、正しい予防法をお伝えすることにも力を入れておりますので、やけどへの不安がございましたら、どうぞお気軽に受診していただければと思います。」
🎯 よくある質問
通常のやけどは高温の熱源に短時間触れることで起こりますが、低温やけどは44〜60℃程度の比較的低い温度に長時間接触することで起こります。最大の違いは、見た目は軽度でも皮膚の深部(皮下組織や筋肉層)まで損傷が及んでいるケースがある点です。外見だけでは重症度の判断が難しいため注意が必要です。
患部を水道水などの流水で15〜30分程度やさしく冷やすことが基本です。氷や保冷剤を直接当てると凍傷を引き起こす可能性があるため避けてください。冷却後は清潔なタオルやラップフィルムで覆い、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。
水ぶくれができている、皮膚が黒・白に変色している、患部の感覚がない場合は速やかに受診してください。また、顔・手・足・関節部などへのやけどや、広い範囲に及ぶ場合も専門的な治療が必要です。アイシークリニックでは皮膚科・形成外科での対応が可能ですので、お気軽にご相談ください。
以下の行為は症状を悪化させる危険があるため絶対に避けてください。①水ぶくれをつぶす(感染リスクが高まります)②氷や保冷剤を直接当てる(凍傷の恐れがあります)③バター・みそ・歯磨き粉などを塗る(感染リスクが上がり、医師の診察も困難になります)④患部をこすったり強く圧迫したりする。
乳幼児・高齢者・糖尿病患者・脊髄損傷や末梢神経障害のある方・血行不良の方は特に注意が必要です。これらの方は感覚が鈍くなっていたり皮膚が薄かったりするため、気づかないうちに深刻な状態になることがあります。アイシークリニックでは、少しでも赤みや違和感があれば早めの受診をお勧めしています。
💡 まとめ
低温やけどは、比較的低い温度の熱源に長時間接触することで起こるやけどで、見た目よりも深部の損傷が大きい場合があることが特徴です。湯たんぽ、電気毛布、カイロ、ホットカーペットなど、日常で使われる暖房器具が原因となることが多く、就寝中や感覚が鈍っているときに起こりやすいです。
応急処置としては、まず患部を流水で15〜30分程度冷やすことが最も重要です。氷を直接当てたり、水ぶくれをつぶしたり、民間療法的なものを塗ったりすることは避けてください。
低温やけどは外見では重症度を判断しにくいため、水ぶくれができている、皮膚の変色や感覚の消失がある、広い範囲に及んでいるなどの場合は、速やかに皮膚科または形成外科を受診することが大切です。症状が軽く見えても、数日後に悪化することがあるため、経過を注意深く観察することも重要です。
特に乳幼児、高齢者、糖尿病患者さん、神経疾患のある方などは低温やけどのリスクが高いため、暖房器具の使用には十分注意しましょう。正しい知識と適切な使用方法を守ることで、低温やけどは予防できます。この冬、ご自身やご家族の安全のために、今一度暖房器具の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。
低温やけどについてお悩みの方は、アイシークリニック東京院にお気軽にご相談ください。専門のスタッフが丁寧に対応いたします。
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📚 参考文献
- 日本形成外科学会 – やけどの重症度分類(I度・II度・III度)、植皮術などの外科的治療法、創傷管理に関する専門的情報
- 日本皮膚科学会 – やけどの皮膚科的処置・治療法(軟膏療法、創傷被覆材の使用)、傷跡(瘢痕・ケロイド)への対応に関する情報
- 厚生労働省 – やけどの応急処置方法(流水冷却)、受診の目安、日常生活における予防法に関する公的情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務