蕎麦は日本の食文化を代表する食材ですが、食物アレルギーの中でも重篤な症状を引き起こしやすいアレルゲンの一つとして知られています。蕎麦アレルギーは少量の摂取でもアナフィラキシーショックなど命に関わる症状を起こす可能性があるため、正確な診断と適切な対策が欠かせません。
しかし、蕎麦アレルギーの検査は他の食物アレルギーと比較して診断が難しいという特徴があります。血液検査で陰性であってもアナフィラキシーを起こすケースが報告されており、検査方法の選択と結果の解釈には専門的な知識が必要です。
本記事では、蕎麦アレルギーの検査方法について、血液検査や皮膚テスト、食物経口負荷試験など各検査の特徴や精度、検査を受ける際の注意点、費用や保険適用の情報まで、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。蕎麦アレルギーが疑われる方や、お子様の検査を検討している保護者の方、また蕎麦アレルギーと診断されている方の参考になれば幸いです。

目次
- 蕎麦アレルギーとは
- 蕎麦アレルギーの症状と検査が必要なケース
- 蕎麦アレルギーの検査方法を徹底解説|血液検査と皮膚テスト
- 食物経口負荷試験について
- 検査の限界と医療機関の選び方
- 診断後の対応とアナフィラキシーへの備え
- よくある質問
- まとめ
この記事のポイント
蕎麦アレルギーの検査には血液検査・皮膚プリックテスト・食物経口負荷試験があるが、血液検査のみでは診断が困難で陰性でもアナフィラキシーを起こす例があるため、複数の検査を組み合わせアレルギー専門医による総合的な診断が不可欠である。
🧬 蕎麦アレルギーとは
蕎麦アレルギーは、蕎麦に含まれるタンパク質に対して免疫システムが過剰に反応することで引き起こされるアレルギー疾患です。食物アレルギーの中でも特に重篤な症状を引き起こしやすく、少量の摂取でもアナフィラキシーショックを起こす可能性があることから、日本では食品表示法により特定原材料として表示が義務付けられている8品目の一つに指定されています。
📊 発症頻度と特徴
蕎麦アレルギーの発症頻度については、以下のような統計があります:
- 横浜市の小学生を対象とした調査では0.22%程度と報告
- 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査では、全体の約1.8%を占め、原因食物として9番目に多い
- 7歳から19歳の年代で増加する傾向
⚡ 耐性獲得の困難さ
蕎麦アレルギーの最も重要な特徴として、卵や牛乳、小麦などのアレルギーと異なり、年齢とともに自然に治癒することが少ないという点があります。乳幼児期に発症した卵や牛乳のアレルギーは、成長に伴って3歳までに約50%、小学校入学までには80〜90%が耐性を獲得するといわれていますが、蕎麦アレルギーは甲殻類アレルギーと同様に耐性を獲得しにくく、多くの場合、生涯にわたって除去が必要となります。そのため、正確な診断を受けることが非常に重要です。
Q. 蕎麦アレルギーの血液検査が陰性でも安心できないのはなぜですか?
蕎麦アレルギーでは血液検査(特異的IgE抗体検査)が陰性であっても、アナフィラキシーを起こすケースが報告されています。血液検査は感作の有無を調べるものであり、症状を予測する精度が低いという限界があります。そのため、過去に蕎麦で症状が出た経験がある方は、血液検査の結果のみで自己判断せず、アレルギー専門医による総合的な診断を受けることが不可欠です。
⚠️ 蕎麦アレルギーの症状と検査が必要なケース
蕎麦アレルギーの症状は、蕎麦を摂取してから通常2時間以内、多くは数分から30分程度で現れる即時型反応が中心です。症状の種類や重症度は個人差が大きく、軽度の皮膚症状のみで済む場合もあれば、複数の臓器に症状が現れるアナフィラキシーを起こす場合もあります。
📋 主な症状の種類
- 皮膚症状(約90%の患者に認められる)
- 蕁麻疹
- 皮膚の発赤
- かゆみ
- 呼吸器症状(約30%の患者に認められる)
- くしゃみ、鼻水
- 咳、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)
- 呼吸困難
- 消化器症状
- 腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 下痢
- 粘膜症状
- 唇や口の中の腫れ
- 目のかゆみ
- まぶたの腫れ
💥 アナフィラキシーのリスク
最も注意が必要なのはアナフィラキシーです。アナフィラキシーとは、アレルゲンの侵入により複数の臓器に全身性のアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応のことを指します。血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックと呼ばれ、適切な治療がなされなければ命に関わる危険な状態です。
蕎麦アレルギーでは、実際に症状が出現した患者さんの約半数がアナフィラキシーを起こしたという研究報告もあり、他の食物アレルギーと比較して重症化しやすい傾向があります。
🧪 検査が推奨されるケース
以下のような場合には、蕎麦アレルギーの検査を受けることが推奨されます:
- 蕎麦を食べた後に何らかの症状が出た経験がある
- 蕎麦を食べてから2時間以内に蕁麻疹、かゆみ、咳、くしゃみ、腹痛、嘔吐などが出現
- 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある
- 小児期に蕎麦アレルギーを指摘され、その後長期間にわたって蕎麦を避けている
- 湿疹やアトピー性皮膚炎がある乳児で、他の食物アレルギーがすでに判明している場合
💨 特殊な曝露ケース
蕎麦アレルギーの特筆すべき点として、蕎麦そのものを食べなくても症状が出る場合があることが挙げられます:
- 蕎麦を茹でた後の同じ鍋で茹でたうどんを食べることで症状が出現
- 蕎麦を茹でる蒸気を吸い込んだだけで反応が発生
- 蕎麦粉を調理中に吸い込んで発症
- 蕎麦殻を使用した枕でアレルギー反応が誘発
このような特殊な曝露による症状は、ストレスによる蕁麻疹とは明確に異なる機序で発生するため、適切な診断と対策が必要です。
Q. 蕎麦アレルギーの皮膚プリックテストはどのように判定しますか?
皮膚プリックテストでは、前腕内側にアレルゲンエキスを垂らして専用針で軽く刺し、15〜20分後に膨疹の大きさを測定します。陰性コントロールより直径3mm以上大きい場合に陽性と判定されます。蕎麦アレルギーでは膨疹が直径14.7mmで約50%、24.1mmで約90%の人が症状を起こす可能性があると報告されており、血液検査より症状予測に有用な場合があります。
🩸 蕎麦アレルギーの検査方法を徹底解説|血液検査と皮膚テスト
蕎麦アレルギーの診断には、複数の検査方法があります。主な検査方法は以下の通りです:
- 問診(詳細な病歴聴取)
- 血液検査(特異的IgE抗体検査)
- 皮膚プリックテスト
- 食物経口負荷試験
🗣️ 問診の重要性
診断の第一歩となるのは詳細な問診です。以下の情報を詳しく聴取します:
- いつ、どのような形態の蕎麦を摂取したか
- どのくらいの量を食べたか
- 食べてからどのくらいの時間で症状が現れたか
- どのような症状が現れたか
- 蕎麦と一緒に摂取した他の食品
- その時の体調や運動の有無
💉 血液検査(特異的IgE抗体検査)の詳細
血液検査による蕎麦アレルギーの検査では、血液中の蕎麦に対する特異的IgE抗体の量を測定します。IgE抗体は即時型アレルギー反応に関与する免疫グロブリンで、特定のアレルゲンに対して感作されると体内で産生されます。
🔍 検査方法の種類
- イムノキャップ法(ImmunoCAP):国内外で200種類以上のアレルゲンに対応
- View39:39種類のアレルゲンを一度の採血で測定(蕎麦も含む)
- MAST48mix:48種類のアレルゲンを測定
- イムノキャップラピッド:指先からの少量採血で20分程度で結果判明(現時点では蕎麦は検査項目に含まれていない)
📊 検査結果の見方
血液検査の結果は以下の2つの方法で表示されます:
- 測定値:0から100以上の数値で表示、数値が高いほど、アレルゲンに対する抗体が多く産生されている
- クラス分類:クラス0(陰性)、クラス1(疑陽性)、クラス2以上(陽性)
⚠️ 血液検査の限界
蕎麦アレルギーにおける血液検査の最大の限界は、症状を予測するための精度が低いことです:
- 蕎麦アレルギーが疑われた419人に対する研究では、実際に症状を起こした人は44人(10.5%)のみ
- 血液検査が陽性であっても必ずしも症状が出るとは限らない
- 血液検査が陰性であってもアナフィラキシーを起こす可能性がある
🧪 皮膚プリックテストの詳細
皮膚プリックテストは、アレルゲンを希釈した液を皮膚に塗布し、その部分を専用の針で軽く刺して、皮膚の反応を観察する検査です。アレルゲンに対するIgE抗体が皮膚の肥満細胞に結合している場合、アレルゲンが侵入すると肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、蚊に刺されたような膨疹(ふくらみ)と発赤が生じます。
🔬 検査の実施方法
- 通常、前腕の内側の皮膚で実施
- 検査するアレルゲンのエキスを皮膚に1滴垂らす
- 専用のプリック針で皮膚を軽く刺す
- 陽性コントロール(ヒスタミン液)と陰性コントロール(生理食塩水)も同様に実施
- 15〜20分後に膨疹の大きさを測定
- 膨疹の直径が陰性コントロールより3mm以上大きい場合に陽性と判定
📏 蕎麦アレルギーにおける判定基準
蕎麦アレルギーの場合、プリックテストの膨疹の大きさと症状誘発の可能性の関係が研究されており、以下の関係が報告されています:
- 膨疹の直径2mm:5%の人が症状を起こす可能性
- 膨疹の直径5.2mm:10%の人が症状を起こす可能性
- 膨疹の直径14.7mm:50%の人が症状を起こす可能性
- 膨疹の直径24.1mm:90%の人が症状を起こす可能性
✅ メリットと注意点
メリット
- 検査時間が短く(約15〜20分)、結果がその場で判明
- 血液検査と比較して特定のアレルゲンに対する感度が高い場合がある
- 蕎麦アレルギーにおいては、血液検査よりも症状予測に有用である場合がある
注意点
- 抗ヒスタミン薬などを服用していると正確な結果が得られない
- 検査前に一定期間の休薬が必要
- アトピー性皮膚炎の症状が強い場合は検査が難しい
- まれに検査自体でアレルギー反応が誘発される可能性
- 「そばスクラッチエキス」が今後販売中止になる予定
🍜 食物経口負荷試験について
食物経口負荷試験(Oral Food Challenge: OFC)は、アレルギーが確定しているか疑われている食品を実際に摂取し、症状の有無を確認する検査です。食物アレルギーの最も確実な診断方法とされています。
🎯 検査の目的
- 原因食物の確定診断
- 血液検査や皮膚テストで感作が疑われる場合
- 本当にその食品でアレルギー症状が出るかどうかを確認
- 安全摂取量の決定・耐性獲得の診断
- どのくらいの量なら食べられるか
- アレルギーが治ったかどうかの確認
🏥 実施条件
負荷試験の実施にあたっては、得られる患者さんの利益が症状誘発のリスクより大きいと判断できる場合に行うことが原則です。蕎麦アレルギーは重篤な症状を誘発するリスクが高いため、負荷試験の適応や実施時期については専門医の慎重な判断が必要です。
📋 検査の実施方法
🏥 実施環境
- 入院または日帰りで、緊急対応が可能な医療機関で実施
- アレルギー症状を誘発する可能性のある薬を一定期間中止
- アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの合併症がコントロールされた状態で実施
⏱️ 負荷方法
- 少量から段階的に増量して摂取
- 摂取間隔は通常20分以上
- 症状の有無を観察しながら進行
- 総負荷量は少量、中等量、日常摂取量の3段階から選択
🚨 症状出現時の対応
- 明らかなアレルギー症状が現れた場合は検査を中止
- 必要に応じて抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、気管支拡張薬、アドレナリンで治療
🏨 負荷試験を受けられる医療機関
食物経口負荷試験は、重篤なアレルギー症状が誘発される可能性があるため、食物アレルギー診療の経験が豊富で、緊急対応が可能な医療機関で実施することが重要です。
- 食物アレルギー研究会のウェブサイトで実施施設を検索可能
- 蕎麦アレルギーは重篤な症状のリスクが高いため、専門医療機関への紹介が推奨される
- 負荷試験を希望する場合は、まずかかりつけ医に相談
Q. 食物経口負荷試験はどのような施設で受けられますか?
食物経口負荷試験は、重篤なアレルギー症状が誘発される可能性があるため、緊急対応が可能な医療機関で実施することが原則です。蕎麦アレルギーは特に重症化リスクが高いため、食物アレルギー診療の経験が豊富な専門医療機関への紹介が推奨されます。実施施設は食物アレルギー研究会のウェブサイトで検索でき、まずはかかりつけ医に相談することが勧められています。
⚖️ 検査の限界と医療機関の選び方
蕎麦アレルギーの検査において最も重要なのは、各検査の精度と限界を正しく理解することです。
📈 各検査の特徴
🩸 血液検査・皮膚プリックテスト
- アレルゲンに対する感作の有無を調べる検査
- 「陽性」は感作があることを示すが、必ずしも症状が出ることを意味しない
- 「陰性」であっても、アレルギー症状が起こらないとは言い切れない
- 蕎麦アレルギーでは、血液検査が陰性であってもアナフィラキシーを起こすケースが報告
🍜 食物経口負荷試験
- 最も確実な診断方法
- 重篤な症状が誘発されるリスクがあるため、すべての患者さんに実施できるわけではない
- 過去にアナフィラキシーを起こした場合や重症のアレルギーが予測される場合は慎重な判断が必要
🔄 総合的な診断アプローチ
蕎麦アレルギーの診断は、以下を組み合わせて総合的に判断されます:
- 問診による詳細な病歴聴取
- 血液検査
- 皮膚テスト
- 必要に応じて食物経口負荷試験
一つの検査結果だけで判断するのではなく、複数の情報を統合して診断を行うことが重要です。検査結果の解釈や今後の対応については、アレルギー専門医とよく相談することをお勧めします。
🏥 推奨される医療機関
蕎麦アレルギーの検査は、以下の医療機関で受けることができます:
- 内科・皮膚科・耳鼻科・小児科・アレルギー科
👨⚕️ アレルギー専門医のいる医療機関
蕎麦アレルギーは重篤な症状を起こしやすく、診断も難しいアレルギーであるため、アレルギー専門医のいる医療機関を受診することが望ましいです。
- 日本アレルギー学会の運営サイトで全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索可能
- お住まいの地域でアレルギー専門医を探す際に活用できる
👶 小児の場合
- 小児アレルギーを専門とする医師がいる医療機関を選択
- 小児食物アレルギーの診断および治療の経験を十分に有する医師のもとで検査を受けることを推奨
💰 検査費用と保険適用について
蕎麦アレルギーの検査は、アレルギー症状があり医師が検査の必要性を認めた場合は保険適用となります。症状がない状態で検査を希望する場合は自費診療となることがありますので、事前に医療機関に確認することをお勧めします。
💉 血液検査の費用
- View39(39種類のアレルゲンセット検査):保険適用で3割負担:約4,500〜5,000円程度
- その他の費用:初診料(3割負担で約900円程度)、再診料(約400円程度)
🍜 食物経口負荷試験の費用
- 保険適用(9歳未満の患者さんに対して年2回まで実施可能)
- 日帰りの場合:3割負担で約2万円前後
- 1泊2日の入院:約4万円前後
- 乳幼児医療費助成制度の対象となる場合は自己負担額が軽減
Q. 蕎麦アレルギーと診断されたら日常生活でどんな点に注意すべきですか?
蕎麦アレルギーと診断された場合、蕎麦本体の除去に加え、同じ鍋で茹でたうどんや蕎麦粉が混入しうる加工食品にも注意が必要です。外食時は店舗への事前確認が重要で、重症の方は蕎麦店自体を避けることが推奨されます。また、万一の誤食に備えてエピペン(アドレナリン自己注射薬)を携帯し、学校・職場など周囲の関係者にもアレルギー情報を共有しておくことが大切です。
🛡️ 診断後の対応とアナフィラキシーへの備え
蕎麦アレルギーと診断された場合、基本的な対応は原因食物である蕎麦の除去です。しかし、食物アレルギー管理の原則は「必要最小限の除去」であり、完全除去が必要かどうかは個々の状態によって異なります。
🚫 除去の範囲の決定
- 蕎麦アレルギーの重症度は個人差が大きい
- 微量でも重篤な症状を起こす方もいれば、少量であれば症状が出ないか軽度で済む方もいる
- 食物経口負荷試験によって安全に摂取できる量が分かっている場合は、その範囲内での摂取が可能な場合もある
- 医師の指導のもとで慎重に判断することが重要
⚠️ 注意が必要な範囲
蕎麦アレルギーの場合、以下にも注意が必要な場合があります:
- 蕎麦そのものだけでなく、蕎麦と同じ環境で調理された食品(同じ鍋で茹でたうどんなど)
- 蕎麦粉が混入する可能性のある環境(蕎麦店など)
- どこまでの除去が必要かは、過去の症状の重症度や負荷試験の結果を踏まえて主治医と相談
🏷️ 蕎麦を含む食品と表示について
蕎麦アレルギーの方が安全に食生活を送るためには、蕎麦を含む食品を正しく識別できることが重要です。
📋 特定原材料としての蕎麦
蕎麦は、発症数や重篤度から表示の必要性が特に高い食品として、「特定原材料」に指定されており、容器包装された加工食品に使用されている場合は表示が義務付けられています。
🍝 蕎麦が含まれる可能性のある食品
蕎麦麺以外にも、蕎麦粉が使用されている食品は多くあります:
- 蕎麦まんじゅう・かりんとう・そば茶・そばがき・そばボーロ
- クレープ・ガレット(そばパンケーキ)・一部の調味料
- 海外ではパスタやピザ、餃子の皮などにも使用されることがある
🍽️ 外食時の注意点
- 外食やテイクアウト、店頭での対面販売については表示の義務がない
- 蕎麦店でうどんを注文した場合、同じ鍋で茹でられている可能性
- 事前に店舗に蕎麦の使用状況や調理環境について確認が重要
- 重症の方は蕎麦店自体を避けることが推奨
🚨 エピペン(アドレナリン自己注射薬)について
蕎麦アレルギーは重篤なアナフィラキシーを起こしやすいアレルギーの一つです。どんなに注意していても、誤食や意図しない曝露によってアレルギー症状が出てしまう可能性はゼロではありません。そのため、緊急時に適切に対応できるよう、日頃から備えておくことが重要です。
💉 エピペンとは
- アナフィラキシーの治療において最も重要な薬剤はアドレナリン
- アナフィラキシーの既往がある患者さんやリスクの高い患者さんに処方
- 緊急時に患者さん自身やその家族が注射
- 医療機関に搬送されるまでの間、症状の進行を一時的に緩和
🚑 緊急時の対応
アナフィラキシーが疑われる症状が現れた場合の対応手順:
- エピペンを持っている場合は使用
- すぐに救急車を呼んで医療機関を受診
- 30分以内にアドレナリンを投与することが患者さんの生死を分ける
- 症状が治まっても数時間後に再び症状が出現する二相性反応があるため医療機関での経過観察が必要
🤝 周囲への情報共有
- 原因となるアレルギー物質を明記したカードを常に携帯
- 学校や職場、習い事など、日常的に過ごす場所の関係者にもアレルギーについて情報を共有
- 緊急時の対応について事前に確認
- 保育所や学校では「生活管理指導表」を用いた管理が実施
❓ よくある質問
蕎麦アレルギーの検査に年齢制限はなく、乳児期から検査を受けることが可能です。血液検査は乳児でも実施可能で、皮膚プリックテストも年齢を問わず行えます。ただし、症状がない状態での検査は偽陽性のリスクもあるため、検査の必要性は主治医と相談して判断することをお勧めします。
血液検査が陰性であっても、蕎麦を食べてアナフィラキシーを起こすケースが報告されています。蕎麦アレルギーは血液検査の診断精度が他の食物アレルギーと比較して低いため、血液検査の結果だけで判断することは危険です。過去に蕎麦で症状が出たことがある方は、自己判断で蕎麦を摂取せず、必ずアレルギー専門医に相談してください。
蕎麦アレルギーは、卵や牛乳、小麦などのアレルギーと比較して、年齢とともに自然に治癒することが少ないとされています。学童期以降に発症した蕎麦アレルギーは耐性を獲得しにくく、多くの場合、生涯にわたって除去が必要となります。ただし、まれに改善するケースもありますので、定期的にアレルギー専門医を受診して経過を観察することが推奨されます。
蕎麦と同じ鍋で茹でたうどんには、蕎麦のアレルゲン成分が溶け出したり付着したりしている可能性があります。実際に、蕎麦店でうどんを食べてアレルギー症状が出たという事例が報告されています。蕎麦アレルギーの重症度によって対応は異なりますが、重症の方は同じ鍋で調理された食品を避けることが推奨されます。具体的な対応については主治医にご相談ください。
アレルギー症状があり医師が検査の必要性を認めた場合は保険適用となります。血液検査(View39など39項目のセット検査)の場合、3割負担で約4,500〜5,000円程度が目安です。このほかに診察料(初診料約900円、再診料約400円)がかかります。食物経口負荷試験は日帰りで約2万円前後、1泊2日の入院で約4万円前後が目安ですが、医療機関によって異なります。
蕎麦殻を使用した枕でアレルギー反応が誘発されることがあります。蕎麦殻に含まれるアレルゲン成分を吸い込むことで、呼吸器症状や皮膚症状などが現れる可能性があります。蕎麦アレルギーの方は蕎麦殻の枕の使用を避けることが推奨されます。代わりに化学繊維やポリエステル綿など、他の素材の枕を選ぶことをお勧めします。
📝 まとめ
蕎麦アレルギーは、少量でもアナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こす可能性がある食物アレルギーです。正確な診断を受けることが、適切な対策の第一歩となります。
🔍 検査方法の特徴
蕎麦アレルギーの検査方法には以下があります:
- 血液検査(特異的IgE抗体検査)
- 皮膚プリックテスト
- 食物経口負荷試験
それぞれにメリットと限界があり、蕎麦アレルギーは特に血液検査だけでは診断が難しいという特徴があります。複数の検査を組み合わせ、問診による病歴も含めて総合的に診断を行うことが重要です。
🎯 検査を受ける際のポイント
- アレルギー専門医のいる医療機関を受診することを推奨
- 食物経口負荷試験を希望される場合は、緊急対応が可能な施設で実施することが原則
- 検査費用は保険適用となる場合が多いが、詳細は医療機関に確認
🛡️ 診断後の対応
蕎麦アレルギーと診断された場合は以下が必要です:
- 原因食物の除去と緊急時に備えた対策
- 加工食品の原材料表示を確認
- 外食時には蕎麦の使用状況を確認
- 必要に応じてエピペンを携帯
- 周囲の方への情報共有
蕎麦アレルギーについて不安がある方や、検査を検討されている方は、まずはかかりつけ医やアレルギー専門医にご相談ください。適切な検査と診断を受けることで、安心して日常生活を送ることができるようになります。
また、蕎麦アレルギーのような重篤なアレルギー反応は、花粉症の薬とは全く異なる対応が必要であり、専門的な管理が不可欠です。

📚 参考文献
- アレルギーポータル アナフィラキシー(厚生労働省・日本アレルギー学会)
- 食物経口負荷試験とは|食物アレルギー研究会
- 各種検査の特徴と適応|食物アレルギー研究会
- 食物アレルギー診療ガイドライン2021 第9章 食物経口負荷試験(日本小児アレルギー学会)
- 食物アレルギー表示について(消費者庁)
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
蕎麦アレルギーの診断においては、血液検査だけでは判断が困難なことが多く、患者さんの症状経過や検査結果を総合的に評価する必要があります。特に、血液検査が陰性でもアナフィラキシーを起こすケースが報告されているため、過去に蕎麦で症状が出た経験がある方は、必ずアレルギー専門医にご相談ください。安全第一で対応することが重要です。