
赤ちゃんの皮膚に突然現れる、イチゴのような鮮やかな赤色の膨らみ。はじめて見た親御さんは
💬 「これ、大丈夫?病院に行くべき?」
💬 「放っておいたら消えるの?それとも悪化する?」
そのあざの正体が 「苺状血管腫(いちご状血管腫)」 です。適切な知識なしに放置すると、顔や目・鼻への影響が出てから後悔するケースも。この記事を読めば、原因・リスク・受診すべきタイミングまで 全部わかります。
⚡ この記事でわかること
✅ なぜ苺状血管腫ができるのか(医学的メカニズム)
✅ どんな子が特になりやすいのか(リスク因子)
✅ 自然に消えるのか・消えないのか
✅ 受診が必要なサインを見逃さない方法
📌 読まないとどうなる?
「様子を見ていたら目の近くに広がってしまった」「適切な時期に治療を始められなかった」など、知識不足による後悔は意外と多いのが現実。まずは正しい情報を手に入れることが大切です。
目次
- 苺状血管腫とはどのようなものか
- 苺状血管腫が起こるメカニズム
- 苺状血管腫の主な原因・リスク因子
- 苺状血管腫が現れやすい時期と場所
- 苺状血管腫が自然消退する仕組み
- 苺状血管腫の種類による原因の違い
- 苺状血管腫と似た疾患との違い
- 苺状血管腫を見つけたときにすべきこと
- まとめ
この記事のポイント
苺状血管腫はVEGF過剰産生による血管内皮細胞の異常増殖が原因で、早産・女児・多胎妊娠がリスク因子。多くは自然退縮するが、機能部位では早期治療が必要なため専門医への受診が推奨される。
💡 苺状血管腫とはどのようなものか
苺状血管腫(いちご状血管腫)は、乳児血管腫(infant hemangioma)とも呼ばれる、赤ちゃんに最も多く見られる良性の腫瘍性病変のひとつです。医学的には「血管腫」という名前がついていますが、これは正確には腫瘍というよりも「血管内皮細胞(血管の壁を構成する細胞)の異常増殖」によって起こる病変です。
見た目はイチゴの表面のようなでこぼことした質感を持つ、鮮やかな赤色の膨らみとして現れます。表面が平坦なものから盛り上がりのあるものまで形状はさまざまで、大きさも数ミリから数センチにわたるものまで幅があります。触れると弾力があり、皮膚の上からでも血管の豊富な組織であることが感じ取れます。
この病変の特徴的な点は、生まれた直後ではなく生後数週間以内に突然現れ始め、その後急速に大きくなり、ある時期を過ぎると自然に小さくなっていくという独特の経過をたどることです。多くの場合は特別な治療をしなくても時間とともに改善しますが、場所や大きさによっては医療的な対応が必要になることもあります。
苺状血管腫は新生児の約4〜5パーセントに見られるとされており、女の子は男の子の約3〜4倍の頻度で発症します。また、皮膚が白い(色白の)赤ちゃんや、低出生体重児、早産児に多く見られる傾向があります。
Q. 苺状血管腫が発症するメカニズムは?
苺状血管腫は、血管内皮細胞が異常に増殖することで発症します。主な原因はVEGF(血管内皮増殖因子)の過剰産生で、このタンパク質が毛細血管の増殖を促し、皮膚表面近くにイチゴ状の赤い膨らみを形成します。細胞の増殖と自然死のバランスが崩れることが根本的なメカニズムです。
📌 苺状血管腫が起こるメカニズム
苺状血管腫がどのようにして生じるのか、そのメカニズムを理解するためには、まず血管がつくられる「血管新生」という過程について知る必要があります。
私たちの体の中では、酸素や栄養を届けるために常に新しい血管がつくられています。これを「血管新生(angiogenesis)」といいます。胎児の成長過程では、この血管新生が非常に活発に行われており、体全体に血管のネットワークが形成されていきます。苺状血管腫は、この血管新生のコントロールが何らかの理由で乱れることによって起こると考えられています。
具体的には、血管内皮細胞(血管の内側を覆う細胞)が異常に増殖することが発症の中心的なメカニズムです。通常であれば、細胞の増殖と死滅(アポトーシス)のバランスが保たれているはずですが、苺状血管腫ではこのバランスが崩れ、血管内皮細胞が過剰に増え続ける状態になります。
この増殖を促進するものとして注目されているのが「VEGF(血管内皮増殖因子)」というタンパク質です。VEGFは血管の形成を促す役割を持つ物質ですが、苺状血管腫の組織ではこのVEGFが過剰に産生されていることが明らかになっています。VEGFが増えると血管内皮細胞の増殖が促進され、毛細血管が異常に増加して皮膚の表面に近いところに集まり、あの特徴的な赤い膨らみとして現れるのです。
また、増殖の時期が終わると、今度はアポトーシス(細胞の自然死)が進行し、血管腫が徐々に縮小していきます。この自然消退の過程には、VEGF以外にも複数の分子が関与していると考えられています。
さらに近年の研究では、苺状血管腫の起源細胞が胎盤の細胞に由来する可能性があることも示唆されています。苺状血管腫の細胞が胎盤の細胞と共通のマーカー(GLUT1というタンパク質)を持つことが分かっており、何らかの形で胎盤由来の細胞が胎児の皮膚に移行して苺状血管腫を形成するという「胎盤起源説」が提唱されています。ただし、この説はまだ仮説の段階であり、詳細については現在も研究が続いています。
✨ 苺状血管腫の主な原因・リスク因子
苺状血管腫の正確な原因については、現時点では完全には解明されていません。しかし、さまざまな研究から、特定の条件や状況がリスクを高めることが明らかになっています。以下に代表的なリスク因子を挙げていきます。
✅ 早産・低出生体重
早産(妊娠37週未満での出産)や低出生体重(2500グラム未満での出生)の赤ちゃんは、苺状血管腫を発症するリスクが高いとされています。妊娠期間が短いほど、血管の発達が完了していない状態で生まれることになるため、血管内皮細胞の制御が不安定になりやすいと考えられています。出生体重が1000グラム未満の極低出生体重児では、発症率がとくに高いことが報告されています。
📝 性別(女の子)
苺状血管腫は女の子に多く、男の子の3〜4倍の頻度で発症します。この性差の理由については、女性ホルモン(エストロゲン)が血管内皮細胞の増殖に影響を与える可能性が指摘されています。エストロゲンにはVEGFの産生を促進する作用があることから、女の子の方が血管腫を形成しやすい体質であるという考え方があります。ただし、このホルモン的な関連についても、まだ研究途上の部分があります。
🔸 皮膚の色(色白)
肌が白い赤ちゃん(コーカサス系などの白人の子ども)に苺状血管腫は多い傾向があります。一方、アフリカ系やアジア系の子どもに比べると、肌の白い子どもの方が発症率が高いという報告があります。これは、メラニン色素の量や皮膚の性質、あるいは遺伝的な背景が関係していると考えられていますが、詳細なメカニズムはまだ明らかではありません。
⚡ 多胎妊娠(双子・三つ子など)
双子や三つ子などの多胎妊娠の場合、苺状血管腫の発症リスクが上昇することが知られています。多胎妊娠では早産になりやすいことや、胎内での環境が単胎妊娠と異なることが影響している可能性があります。また、胎盤の共有や胎盤機能の変化も関与していると考えられています。
🌟 妊娠中の胎盤異常
前述の「胎盤起源説」とも関連しますが、妊娠中に胎盤の異常(前置胎盤や胎盤早期剥離など)があった場合、苺状血管腫のリスクが高まるという報告があります。胎盤に異常があると、血管形成に関係するシグナルが乱れる可能性や、胎盤細胞が胎児の体内に移行しやすくなる可能性が考えられます。
💬 妊娠中の絨毛採取(CVS)
出生前診断の一環として行われる絨毛採取(CVS:chorionic villus sampling)を受けた妊娠において、苺状血管腫の発症率が高いという研究もあります。絨毛採取は胎盤の一部から組織を採取する検査であり、これによって胎盤由来の細胞が胎児の血液中に入りやすくなる可能性が指摘されています。ただし、この関連はまだ議論中であり、すべての研究で同様の結果が得られているわけではありません。
✅ 遺伝的要因
苺状血管腫は通常は散発的(特定の遺伝パターンなしに)発生しますが、家族内での発症が見られることもあり、遺伝的な素因が関与する可能性があります。とくに、家族の中に苺状血管腫や血管腫の既往歴がある場合、子どもにも発症するリスクがやや高まるとされています。遺伝子レベルでの研究も進められており、血管形成に関わる遺伝子の変異が一部の症例で関与していることが示唆されています。
📝 胎内での低酸素状態
胎児が胎内で一時的な低酸素状態(酸素不足)にさらされた場合、血管形成を促進するシグナルが活性化される可能性があります。低酸素状態ではVEGFの産生が促進されることが知られており、これが血管内皮細胞の過剰増殖につながる可能性があります。早産児や胎盤機能不全のある場合は、胎内での酸素供給が不十分になりやすいことから、苺状血管腫のリスクが高まることと一致しています。
Q. 苺状血管腫になりやすい赤ちゃんの特徴は?
苺状血管腫のリスクが高いのは、早産児・低出生体重児(特に1000g未満)、女の子(男の子の3〜4倍)、色白の赤ちゃん、双子などの多胎妊娠で生まれた赤ちゃんです。また、妊娠中に胎盤異常があった場合や、胎内で低酸素状態にさらされた場合もリスクが上昇するとされています。

🔍 苺状血管腫が現れやすい時期と場所
苺状血管腫が発症する時期と現れやすい場所についても知っておくと、早期発見・早期対応に役立ちます。
時期については、多くの場合、生後1〜4週間以内に最初の兆候が現れます。最初は皮膚に小さな赤みや毛細血管の拡張として気づかれることが多く、その後急速に成長して典型的なイチゴ状の外観になります。増殖期(どんどん大きくなる時期)は生後3〜6か月頃がピークで、その後は成長が緩やかになり、生後6〜12か月頃から徐々に退縮(小さくなること)が始まります。
体の場所については、頭部や顔面に最も多く見られます。全体の約60パーセントが頭頸部に発生するとされており、とくに額、頬、唇、瞼(まぶた)、耳の周囲などに多い傾向があります。次いで胴体(体幹)や四肢にも見られます。
複数の部位に同時に発生するケースもあり、5個以上の苺状血管腫が見られる場合は、内臓(とくに肝臓)にも血管腫が存在する可能性があるとされ、注意が必要です。
皮膚のどの深さに発生するかによっても見た目が変わります。皮膚の表面近くに発生したものは鮮やかな赤色で典型的なイチゴ状の外観を持ちますが、皮膚の深いところ(真皮や皮下組織)に発生したものは青みがかった色や肌色に近い膨らみとして現れることがあり、苺状血管腫と気づかれにくいこともあります。

💪 苺状血管腫が自然消退する仕組み
苺状血管腫の大きな特徴のひとつは、多くの場合、時間とともに自然に小さくなっていくことです。この自然消退の仕組みについても、原因と同様に研究が続けられています。
自然消退のプロセスは、細胞の増殖から死滅(アポトーシス)へのシフトによって起こります。増殖期には盛んに分裂していた血管内皮細胞が、ある時期を境に自然死のプログラムが活性化され、徐々に数が減っていきます。この過程には、増殖を抑制するシグナル分子や、組織の再構築を促す酵素などが関与しています。
具体的には、増殖を促進していたVEGFなどの因子のレベルが低下し、一方で「VEGF阻害因子」や「アポトーシス促進因子」が増加することで、血管内皮細胞が死滅しやすい環境になっていきます。また、血管腫内部の血管が閉塞(ふさがる)したり、脂肪組織や線維組織に置き換わったりすることで、腫瘤が退縮していきます。
自然消退の速度には個人差がありますが、一般的には以下のような経過をたどります。
生後約1年で増殖がピークに達した後、年間10パーセント程度の割合で退縮していくとされており、3〜4歳頃には約50パーセントの子どもで退縮がほぼ完了するとされています。5〜7歳頃には約70〜80パーセント、10歳頃には90パーセント以上の子どもで退縮が見られるという報告があります。ただし、完全に消失せず、色素沈着や皮膚の萎縮、毛細血管拡張などの跡が残ることもあります。
なお、苺状血管腫の退縮が始まるサインとして、腫瘤の表面の色が鮮やかな赤色からくすんだ赤やピンク、灰白色に変化してくることや、中央部分が白っぽくなってくることなどが挙げられます。親御さんが経過を見守るうえで、こうした変化を観察することは参考になります。
Q. 苺状血管腫は自然に消えていくのですか?
多くの苺状血管腫は自然に退縮します。生後約1年で増殖がピークを迎えた後、3〜4歳で約50%、10歳頃には90%以上の子どもで退縮が見られます。退縮のサインは腫瘤の色が灰白色に変化することです。ただし、色素沈着などの跡が残るケースもあります。
🎯 苺状血管腫の種類による原因の違い
苺状血管腫にはいくつかの種類があり、その深さや場所によって病変の見え方が異なりますが、根本的な原因やメカニズムは共通しています。
🔸 表在型(浅在型)血管腫
皮膚の表面に近い真皮浅層に存在するタイプで、いわゆる「イチゴ状」の典型的な見た目を持ちます。鮮やかな赤色で表面がでこぼこしており、触ると柔らかく弾力があります。このタイプは最も一般的な苺状血管腫であり、血管内皮細胞の増殖が皮膚の浅い部分に集中しています。
⚡ 深在型血管腫
皮膚の深い部分(真皮深層〜皮下組織)に存在するタイプです。表面から見ると肌色や青みがかった色の膨らみとして見えることが多く、典型的なイチゴ状の外観を持たないため、気づかれにくいことがあります。触ると表在型に比べてより大きな塊として感じられることが多いです。
🌟 混合型血管腫
表在型と深在型の両方の要素を持つタイプです。表面はイチゴ状の赤い外観を示し、皮下にも深い成分を持つため、全体的に大きく厚みのある病変になることがあります。複合的なタイプであるため、経過観察や治療においてより注意が必要なことがあります。
💬 PHACE症候群・LUMBAR症候群
ごくまれに、苺状血管腫が全身性の症候群の一部として現れることがあります。PHACE症候群は、顔面の大きな苺状血管腫に加えて、脳の血管異常や心臓の異常などを伴う症候群です。LUMBAR症候群は、腰部・下肢の血管腫に尿路・生殖器の異常などを伴います。これらの症候群では、血管形成に関わる遺伝子異常や胎内での発育異常がより広範囲に影響している可能性が考えられますが、詳細なメカニズムはまだ研究中です。
💡 苺状血管腫と似た疾患との違い
苺状血管腫と似た外観を持つ疾患がいくつかあります。これらは原因や経過が異なることが多いため、正確な診断が重要です。
✅ 先天性血管腫(congenital hemangioma)
苺状血管腫は生後数週間から現れて大きくなるのに対し、先天性血管腫は生まれた時点ですでに完全に形成されている血管腫です。胎内での血管形成の時点から異常が起きており、出生後に増殖することはありません。退縮の経過や速度も苺状血管腫とは異なります。また、苺状血管腫と違い、先天性血管腫はGLUT1陽性を示さないことが診断の一助になります。
📝 毛細血管奇形(ポートワイン染み)
生まれたときから存在する平坦な赤〜紫色のあざで、俗に「ポートワイン染み」とも呼ばれます。これは血管の構造異常(奇形)であり、血管腫のように細胞が増殖するわけではありません。自然消退はせず、むしろ加齢とともに色が濃くなったり厚みが増したりすることがあります。原因として、皮膚の血管を支配する神経の異常が関与していることが示されており、GNAQ遺伝子の変異が多くの症例で見つかっています。
🔸 サーモンパッチ(正中部母斑)
新生児の額の中央やうなじ、まぶたなどに見られる淡い赤みで、皮膚の毛細血管が透けて見える状態です。ほとんどの場合、生後1〜2年以内に自然に薄くなって消失します。苺状血管腫のような盛り上がりはなく、平坦であることが特徴です。「コウノトリのくちばし」「エンジェルキス」などとも呼ばれ、非常に一般的なものです。
⚡ カポジ型血管内皮腫・房状血管腫
これらは苺状血管腫よりもはるかにまれな血管腫瘍であり、「カサバッハ・メリット症候群」という重篤な血液凝固異常を引き起こすことがあります。苺状血管腫との鑑別が重要であり、専門医による診断が必要です。これらの病変では血小板が消費され、出血傾向が生じるため、見た目が似ていても経過や治療が大きく異なります。
Q. 苺状血管腫を見つけたらどう対応すればよい?
赤ちゃんに苺状血管腫が疑われる場合は、まず小児科または皮膚科を受診し専門医の診断を受けることが大切です。多くは経過観察が基本ですが、まぶた・鼻・口周囲など機能に影響する部位では、プロプラノロール内服などによる早期治療が必要な場合もあるため、自己判断は避けてください。
📌 苺状血管腫を見つけたときにすべきこと
赤ちゃんの体に苺状血管腫と思われるものを見つけたとき、親御さんはどのように対応すればよいのでしょうか。
🌟 まずは小児科または皮膚科を受診する
見た目だけでは苺状血管腫なのか別の病変なのかを区別することが難しい場合があります。まずは小児科または皮膚科を受診し、専門医による診断を受けることが大切です。必要に応じて皮膚科の専門医や小児外科医、血管外科医など、より専門的な医師への紹介を受けることもあります。

💬 経過観察が基本だが、場所や大きさによっては早期治療を
多くの苺状血管腫は自然に退縮するため、経過観察が基本的な方針となります。しかし、以下のような場合は早期の治療介入が推奨されます。
瞼(まぶた)にある場合は視力への影響が懸念されます。鼻や口周囲にある場合は呼吸や哺乳への影響が出ることがあります。耳周囲にある場合は聴力への影響が心配されます。急速に大きくなっている場合や潰瘍化(表面が破れてただれる)している場合も注意が必要です。また、顔面に大きなものがある場合は心理・社会的な影響も考慮されます。
✅ 治療の選択肢
苺状血管腫の治療としては、現在最も広く用いられているのがプロプラノロール(プロプラノロール塩酸塩)という薬を内服する方法です。もともと心臓病の治療薬として使われていたこの薬が苺状血管腫に効果を示すことが偶然発見され、現在では世界的に標準的な治療法となっています。プロプラノロールは血管腫の増殖を抑え、退縮を促進する効果があります。
その他にも、レーザー治療(色素レーザーなど)、ステロイドの局所注射や内服、外科的切除などの方法があり、病変の状態や部位に応じて最適な治療法が選択されます。
📝 写真で記録を残す
苺状血管腫は時間とともに変化するため、定期的に写真を撮って記録しておくと、変化の速度や状態を把握するのに役立ちます。受診時に医師に見せることで、変化の経過を的確に伝えることができます。
🔸 心配なことは遠慮なく医師に相談を
親御さんにとって、我が子の体にあざや腫れが現れることは非常に心配なことです。「大丈夫と言われたけれど、やっぱり気になる」「段々大きくなっているような気がする」「痛そうに見える」など、気になることがあれば遠慮せず医師に相談してください。また、日本では苺状血管腫の診療を専門的に行うクリニックや医療機関も増えており、専門的な相談窓口を活用することも有効です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「赤ちゃんの皮膚に赤い膨らみが突然現れた」と心配されて受診される親御さんが多く、まず正確な診断をお伝えすることで表情がほっとされる場面を日々経験しています。苺状血管腫は多くの場合、自然退縮という経過をたどりますが、まぶたや鼻・口周囲など機能に影響しうる部位にある場合は、プロプラノロールによる早期治療介入が有効なケースもありますので、「様子を見ていればいい」と自己判断せず、一度専門医にご相談いただくことをお勧めします。お子さんの状態に合わせた丁寧な説明と経過管理を心がけておりますので、少しでも気になることがあればお気軽にご来院ください。」
✨ よくある質問
多くの場合、生後1〜4週間以内に最初の赤みとして現れ、生後3〜6か月頃に増殖がピークを迎えます。その後は徐々に退縮が始まり、3〜4歳で約50%、10歳頃には90%以上の子どもで退縮が見られます。ただし、完全に消えず色素沈着などの跡が残るケースもあります。
苺状血管腫は男の子の3〜4倍の頻度で女の子に発症します。女性ホルモン(エストロゲン)が血管内皮細胞の増殖を促すVEGFの産生を高める可能性が指摘されています。ただし、このホルモンとの関連についてはまだ研究途上であり、詳細なメカニズムは完全には解明されていません。
まずは小児科または皮膚科を受診し、専門医による正確な診断を受けることをお勧めします。多くの場合は経過観察が基本ですが、まぶたや鼻・口周囲など機能に影響しうる部位にある場合や、急速に大きくなっている場合は早期治療が必要なこともあるため、自己判断せず専門医にご相談ください。
現在最も広く用いられているのが、プロプラノロール(もともと心臓病の治療薬)を内服する方法で、血管腫の増殖を抑え退縮を促す効果があります。その他にも、色素レーザー治療、ステロイドの局所注射・内服、外科的切除などがあり、病変の部位や状態に応じて最適な治療法が選択されます。
異なる病変です。苺状血管腫は生後数週間で現れ自然退縮しますが、ポートワイン染み(毛細血管奇形)は生まれた時から存在する平坦な赤〜紫色のあざで、自然消退はせず加齢とともに濃くなることがあります。見た目が似ていても原因や経過が大きく異なるため、専門医による正確な診断が重要です。
🔍 まとめ
苺状血管腫は、血管内皮細胞の異常増殖によって起こる良性の病変であり、VEGFをはじめとする血管形成に関わる因子のバランスが崩れることがその根本的なメカニズムと考えられています。原因については完全には解明されていないものの、早産・低出生体重、女の子、多胎妊娠、胎盤異常、低酸素状態、遺伝的素因などがリスク因子として挙げられています。
苺状血管腫の多くは自然退縮する経過をたどりますが、場所や大きさ、増殖の速度によっては早期の治療が必要なこともあります。赤ちゃんの体にイチゴ状の赤い膨らみや変化を見つけた場合は、自己判断せず、まずは小児科や皮膚科などの専門医を受診することをお勧めします。適切な診断と経過観察によって、お子さんの状態を安心して見守ることができるでしょう。
アイシークリニック東京院では、苺状血管腫をはじめとする皮膚の血管性病変についての相談・診療を行っております。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 苺状血管腫(乳児血管腫)の診断基準・治療ガイドライン、自然退縮の経過、プロプラノロールによる治療方針などの医学的根拠
- 日本形成外科学会 – 苺状血管腫の種類(表在型・深在型・混合型)、PHACE症候群・LUMBAR症候群との関連、外科的治療やレーザー治療などの治療選択肢に関する情報
- PubMed – 苺状血管腫の発症メカニズム(VEGF過剰産生・GLUT1陽性・胎盤起源説)、リスク因子(早産・低出生体重・多胎妊娠・絨毛採取)、自然消退の分子メカニズムに関する国際的な研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務