
夏の季節に蚊やブヨに刺されて、かゆみや腫れが出るのはよくあることです。しかし、虫刺されから数週間が経過してもしこりが消えない、触ると硬い感触がある、かゆみや痛みが続くといった症状に悩まされている方は少なくありません。「ただの虫刺されだから放っておけば治るだろう」と思っていたのに、なかなか治らないと不安になりますよね。虫刺されによるしこりが長引く場合には、いくつかの原因が考えられます。また、まれに見過ごしてはいけない皮膚の病気が隠れていることもあります。この記事では、虫刺されのしこりが治らない理由や、自宅でできる対処法、病院を受診すべきタイミングについてわかりやすく解説します。
目次
- 虫刺されでしこりができるのはなぜ?
- しこりが治らない主な原因
- 治らないしこりに隠れる可能性のある皮膚疾患
- 虫の種類によるしこりの特徴の違い
- 自宅でできるケアと注意すべきこと
- 市販薬はどこまで効果があるのか
- 病院を受診すべきタイミングと診療科
- 受診時に行われる検査・治療
- しこりを残さないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
虫刺されのしこりが2〜4週間以上治らない場合、肉芽腫・二次感染・結節性痒疹などが原因の可能性があり、まれに皮膚リンパ腫が隠れることもある。自宅では搔き壊しを避け清潔を保つことが基本で、改善しない場合は皮膚科受診を推奨する。
🎯 虫刺されでしこりができるのはなぜ?
虫に刺されると、虫の唾液成分や毒素が皮膚の内部に注入されます。この異物に対して体の免疫システムが反応することで、炎症が引き起こされます。この炎症反応こそが、かゆみや腫れ、赤みといった虫刺されの典型的な症状の正体です。
免疫反応が起きると、ヒスタミンやさまざまな炎症性物質が放出され、皮膚の血管が拡張して血漿成分が周囲の組織ににじみ出てきます。これが皮膚が膨らんで腫れる原因となります。多くの場合、この腫れは数日以内に引いていきますが、体の反応が強い場合や、炎症が長引く場合には、皮膚の内部に硬いしこりが形成されることがあります。
しこりが形成される理由として主に挙げられるのは、免疫細胞が集まって慢性的な炎症を引き起こす「肉芽腫(にくげしゅ)」の形成や、皮膚の線維組織が増殖することによる硬結(こうけつ)です。また、刺された部位を搔き壊すことで皮膚にダメージが加わり、治癒の過程で線維化が進んで硬くなることもあります。
虫刺されに対するアレルギー反応は個人差が大きく、同じ虫に刺されても症状がすぐに消える人と、長引いてしこりになってしまう人がいます。特に同じ種類の虫に繰り返し刺されることで感作(かんさ)が進み、アレルギー反応が強くなる傾向があることも知られています。
Q. 虫刺されでしこりができる仕組みは?
虫刺されでしこりができるのは、虫の唾液成分や毒素に対して免疫系が反応し、慢性的な炎症が起きるためです。免疫細胞が集まって「肉芽腫」を形成したり、搔き壊しによって皮膚の線維化が進んだりすることで、硬いしこりとして残ることがあります。
📋 しこりが治らない主な原因
虫刺されのしこりがなかなか治らない場合、いくつかの原因が考えられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
🦠 慢性的な炎症反応
虫の唾液成分や毒素が皮膚内部に残存していたり、免疫系がその部位への反応を継続させていたりする場合、慢性的な炎症が持続します。この状態が続くと、組織の修復が追いつかず、炎症細胞や線維成分が蓄積してしこりの状態が固定化されてしまいます。
👴 搔き壊しによる二次刺激
かゆみのあまり、患部を強く搔いてしまうと皮膚のバリア機能が壊れて細菌感染が起こりやすくなります。また、搔き壊しによって皮膚が傷つき、傷の修復過程で過剰な線維化が起こることがあります。これが皮膚の硬化につながり、しこりとして残ってしまうことがあります。
🔸 肉芽腫の形成
虫の口器の一部や、注入された物質に対して免疫系が過剰反応を示すと、マクロファージなどの免疫細胞が集まって「肉芽腫」と呼ばれる塊を形成することがあります。肉芽腫は非常に消えにくく、数ヶ月から数年にわたって残存することもあります。特にダニやマダニに咬まれた場合に起こりやすく、「ダニ肉芽腫」とも呼ばれます。
💧 二次感染(細菌感染)
搔き壊した傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、感染を起こすことがあります。感染が起きると、炎症がさらに強くなり、膿が溜まって腫れが硬化します。適切な抗菌薬による治療が行われない場合は、しこりとして長期間残ることがあります。
✨ ケロイド・肥厚性瘢痕の形成
体質的にケロイドができやすい方の場合、虫刺されや搔き傷がきっかけとなってケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)が形成されることがあります。ケロイドは、傷の修復に必要な量を超えてコラーゲンが作られ続けることで生じる盛り上がった瘢痕組織です。特に胸部や背中、肩などに多く見られますが、虫刺されが多い手足にも形成されることがあります。
📌 嚢腫(のうしゅ)の形成
虫刺されや搔き傷をきっかけとして、皮膚の内部に嚢腫(内部に液体や角質が溜まった袋状の構造)が形成されることがあります。表皮嚢腫(粉瘤)と呼ばれるものが代表的で、触ると丸くて柔らかいしこりとして感触が得られます。感染を起こすと赤く腫れて痛みが出ることがあります。
💊 治らないしこりに隠れる可能性のある皮膚疾患
虫刺されと思っていたしこりが、実際には別の皮膚疾患であった、あるいは虫刺されをきっかけとして別の疾患が発症したというケースも存在します。以下に代表的なものを挙げます。
▶️ 皮膚リンパ腫
非常にまれなケースですが、虫刺されが治らないしこりとして皮膚リンパ腫(特に皮膚T細胞性リンパ腫)が発見されることがあります。皮膚リンパ腫は、リンパ球が皮膚に悪性化した状態で増殖するもので、初期には虫刺されや湿疹に似た皮膚病変として現れることがあるため注意が必要です。数ヶ月にわたって改善しないしこりや発疹は、皮膚科での詳しい検査を受けることが大切です。
🔹 EBウイルス関連疾患(種痘様水疱症)
EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)に感染していると、虫刺されへの反応が異常に強く現れることがあります。これは「蚊アレルギー」とも呼ばれ、蚊に刺された部位が強く腫れ上がり、水疱や潰瘍を形成して治癒後もしこりが残ることがあります。また、発熱やリンパ節腫脹を伴うこともあります。子どもや若い方に多く見られる傾向があります。
📍 皮膚感染症(皮膚結核、非結核性抗酸菌症など)
虫刺されや搔き傷から皮膚結核や非結核性抗酸菌症などの特殊な感染症が引き起こされることはまれですが、免疫力が低下している方や特定の環境に長くいた方では考慮する必要があります。皮膚に硬いしこりが生じて慢性的に経過することがあります。
💫 疥癬(かいせん)
疥癬はヒゼンダニという極小のダニが皮膚に寄生することで起こる疾患で、虫刺されと間違われることがあります。指の間や手首、体幹部などに激しいかゆみを伴う発疹が現れ、しこり状の「結節性疥癬」が生じることもあります。疥癬は感染力が強く、家族や施設内での集団感染を引き起こすため、早期の診断と治療が必要です。
🦠 結節性痒疹(けっせつせいようしん)
繰り返す搔き壊しや強い慢性的なかゆみの刺激によって、皮膚が硬くなった「結節性痒疹」が形成されることがあります。虫刺されが引き金になることも多く、非常に難治性で、治療に長期間を要することがあります。強いかゆみを伴う硬い丘疹(きゅうしん)が複数できるのが特徴です。
Q. ダニに刺されたしこりが長引く理由は?
マダニは皮膚に口器を差し込んで長時間吸血するため、除去後も口器の一部が皮膚内に残留することがあります。これが免疫細胞の集積を招き「ダニ肉芽腫」を形成します。数ヶ月から数年単位でしこりが残ることがあり、外科的切除が必要になるケースもあります。
🏥 虫の種類によるしこりの特徴の違い
刺した(咬んだ)虫の種類によって、生じるしこりの性質や症状が異なります。それぞれの特徴を知っておくことで、状況の判断に役立てることができます。
👴 蚊
蚊に刺された場合は、刺された直後に膨疹(ぼうしん:皮膚が盛り上がった状態)が現れ、その後赤みとかゆみが続くのが一般的です。多くは1週間以内に消退しますが、アレルギー反応が強い方では長期間しこりが残ることがあります。特にEBウイルスに感染している方では、強い腫れや壊死を伴う反応が起きることがあります。
🔸 ブヨ(ブユ)
ブヨは山間部の渓流近くなどに生息する小さな昆虫で、皮膚を噛み切って吸血するため、蚊と比べて症状が強く出る傾向があります。刺された直後は症状が軽いことが多いですが、数時間後から強い腫れとかゆみが現れ、数週間にわたってしこりが残ることがよくあります。皮膚が硬くなり、長期間かゆみを伴う場合は、皮膚科での治療を受けることをお勧めします。
💧 ダニ・マダニ
ダニやマダニに咬まれた場合は、特にしこりが長く残る傾向があります。マダニは皮膚に口器を差し込んで長時間吸血するため、口器の一部が皮膚内に残留することがあり、これが肉芽腫形成の原因となります。「ダニ肉芽腫」は非常に硬いしこりとして数ヶ月〜数年残ることがあり、外科的に切除が必要なケースもあります。また、マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介することもあるため注意が必要です。
✨ ハチ
ハチに刺された場合は、毒素による強い局所反応が起き、腫れや痛みが数日続くことがあります。スズメバチやアシナガバチに複数回刺されたことがある方では、アレルギー反応が強くなっていることがあり、局所反応が強く出てしこりが残ることもあります。また、アナフィラキシーショックのリスクがあるため、全身症状(じんましん、呼吸困難、血圧低下など)が現れた場合は直ちに救急受診が必要です。
📌 ノミ
ノミに刺された場合は、複数の刺し跡が並んで現れることが多く、非常に強いかゆみを伴います。搔き壊しによって二次感染を起こしやすく、しこりが残ることもあります。ペットを飼っている方では、猫ノミや犬ノミに刺されるケースが多く見られます。

⚠️ 自宅でできるケアと注意すべきこと
虫刺されのしこりが残っている場合、自宅でできるケアにはいくつかの方法があります。ただし、自己対処には限界があることも理解しておく必要があります。
▶️ 冷やして炎症を抑える
虫に刺された直後や、腫れが強い急性期には、患部を冷やすことが有効です。氷や保冷剤をタオルなどで包み、患部に当てることで血管収縮が起き、腫れやかゆみを軽減することができます。直接皮膚に氷を当て続けると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどを介してください。また、しこりが形成されて時間が経過した慢性期には、冷やすよりも温めることが組織の代謝を促して回復を助けることがあります。
🔹 搔かないようにする
かゆみがあっても、できるだけ搔かないようにすることが大切です。搔き壊すと皮膚のバリアが壊れて細菌感染を起こしやすくなり、しこりが悪化したり新たな傷跡が残ったりする原因になります。かゆみが強い場合は、患部を軽く冷やす、市販のかゆみ止めを使用するといった方法でかゆみを抑える工夫をしましょう。就寝時に無意識に搔いてしまう場合は、薄手の手袋をはめたり、患部に包帯を巻いたりすることも一つの方法です。
📍 清潔に保つ
患部を石鹸で優しく洗い、清潔に保つことで二次感染を防ぐことができます。ただし、強くこすったり、刺激の強い消毒薬(イソジンなど)を頻繁に使用したりすることは、正常な皮膚細胞にもダメージを与えるため避けてください。
💫 保湿ケアを行う
皮膚のバリア機能を回復させるために、患部周囲を保湿することも重要です。乾燥するとかゆみが増すことがあるため、刺激の少ない保湿クリームやローションを使用しましょう。ただし、感染が疑われる場合や、傷口が開いている場合には、自己判断で保湿剤を塗布することは避け、医師に相談してください。
🦠 やってはいけないこと
しこりを自分で針などで刺して潰そうとする行為は、感染のリスクを高めるため絶対に避けてください。また、効果が確認されていない民間療法(唾をつける、アロエを塗るなど)は、場合によって悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
Q. 虫刺されのしこりに皮膚リンパ腫が隠れることはある?
非常にまれですが、虫刺されと思っていたしこりが皮膚T細胞性リンパ腫である場合があります。初期は虫刺されや湿疹に似た見た目のため見逃されやすく、数ヶ月改善しないしこりや発疹は皮膚科での精密検査が必要です。アイシークリニックでも皮膚生検による確定診断が可能です。
🔍 市販薬はどこまで効果があるのか
薬局やドラッグストアで購入できる虫刺され用の市販薬には、いくつかの有効成分が含まれています。それぞれの成分の効果と限界について解説します。
👴 抗ヒスタミン薬(外用)
ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン成分を含む外用薬は、かゆみを抑える効果があります。虫刺されの急性期のかゆみには効果的ですが、すでに慢性化してしこりになってしまった段階では、かゆみへの効果は限定的です。
🔸 ステロイド外用薬
ヒドロコルチゾンなどの弱いステロイド成分を含む市販外用薬は、炎症を抑える効果があります。虫刺されの初期から中期にかけての炎症やかゆみには効果が期待できますが、市販薬に含まれるステロイドは比較的弱いものです。長期間使用し続けると皮膚が薄くなるなどの副作用が生じることがあるため、1〜2週間使用しても改善がない場合は使用を中止して医師に相談することをお勧めします。
💧 局所麻酔薬
リドカインなどの局所麻酔成分が含まれる製品は、一時的に痛みやかゆみを軽減する効果があります。根本的な治療にはなりませんが、症状の緩和として使用することができます。
✨ 市販薬の限界
市販薬は、虫刺されの軽症から中等症の症状緩和には有効ですが、すでにしこりが形成されて慢性化している場合には十分な効果が得られないことがほとんどです。また、肉芽腫や嚢腫、結節性痒疹などの病態に対しては、市販薬での対処は困難です。2週間以上市販薬を使用しても改善が見られない場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。
📝 病院を受診すべきタイミングと診療科
虫刺されのしこりについて、どのような状況になったら病院を受診すべきか、受診の目安を解説します。
📌 受診すべき状況
まず、しこりが2〜4週間経過しても小さくならない場合は受診を検討してください。また、しこりが徐々に大きくなっている、痛みがある、赤みや熱感が続く、膿が出ているといった場合は、細菌感染など何らかの問題が起きている可能性があるため、早めの受診が必要です。
さらに、以下のような症状がある場合は早期の受診が推奨されます。発熱が続く場合、リンパ節が腫れている場合、皮膚のしこりが複数あってそれぞれが似たような経過をたどっている場合、全身に症状(倦怠感、体重減少など)がある場合などです。これらは、虫刺されの反応を超えた何らかの全身疾患が疑われるサインとなります。
ハチに刺された場合にじんましんや呼吸困難、意識の変容などのアナフィラキシー症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。これは生命の危険に関わる緊急事態です。
▶️ 受診する診療科

虫刺されのしこりで受診する場合は、皮膚科が適しています。皮膚科の専門医は、皮膚の状態を詳しく診察し、必要に応じて組織を採取して検査を行うことで、適切な診断と治療を提供することができます。
アレルギー症状が強い方は、アレルギー科や皮膚科アレルギー専門医への受診も選択肢の一つです。また、感染症を疑う場合は感染症内科への紹介が行われることもあります。
Q. 虫刺されのしこりに皮膚科で受けられる治療は?
皮膚科では原因に応じた治療が受けられます。慢性的な炎症にはステロイド外用薬の処方やしこりへの局所注射、ダニ肉芽腫や粉瘤には外科的切除、細菌感染には抗菌薬が用いられます。また皮膚生検で組織を採取し、腫瘍や特殊感染症の有無を確認することも可能です。
💡 受診時に行われる検査・治療
皮膚科を受診した場合、どのような検査や治療が行われるのかについて解説します。
🔹 問診と視診・触診
医師はまず、いつ・どこで刺されたか、どのような虫に刺されたと思うか、しこりはいつから続いているか、他の症状はあるかといった問診を行います。その上で、しこりの外見、大きさ、硬さ、周囲の皮膚の状態などを視診・触診で確認します。ダーモスコープという拡大鏡を使って皮膚表面を詳しく観察することもあります。
📍 皮膚生検(ひふせいけん)
しこりの原因を確定するために、局所麻酔下で皮膚の一部を採取して病理検査(顕微鏡で組織を調べる検査)を行うことがあります。肉芽腫、腫瘍性疾患、特殊な感染症などの確定診断には欠かせない検査です。採取した組織はその後縫合され、1〜2週間程度で抜糸が行われます。
💫 血液検査・アレルギー検査
炎症の程度を確認するための血液検査(CRP、白血球数など)や、EBウイルス抗体検査、アレルギー検査(特異的IgE抗体検査)が行われることがあります。全身症状がある場合や、リンパ腫が疑われる場合はより詳細な血液検査が実施されます。
🦠 ステロイド外用・注射療法
慢性的な炎症やしこりに対しては、強力なステロイド外用薬の処方や、しこりへのステロイド局所注射が行われることがあります。局所注射によって、しこりの炎症を直接抑え、縮小させることを期待します。ステロイド注射は複数回行われることもあります。
👴 外科的切除
ダニ肉芽腫や粉瘤(ふんりゅう)などの場合は、外科的にしこりを切除することが根本的な治療となります。局所麻酔を用いて外来手術として行われることが多く、術後は縫合を行います。病理検査に出して確定診断を得ることもできます。
🔸 液体窒素療法・レーザー治療
結節性痒疹などに対しては、液体窒素を用いた冷凍凝固療法やレーザー治療が効果を示すことがあります。これらは複数回の治療が必要な場合があります。
💧 抗菌薬の使用
二次感染(細菌感染)が確認された場合は、抗菌薬の外用薬または内服薬が処方されます。感染症が解消されれば、しこりも徐々に縮小していくことが期待できます。
✨ 疥癬の治療
疥癬と診断された場合は、イベルメクチンという内服薬やペルメトリンクリームなどの外用薬が処方されます。感染者だけでなく、同居する家族も同時に治療を行うことが重要です。
✨ しこりを残さないための予防策
虫刺されによるしこりをできるだけ予防するためには、虫に刺されないようにすることが最善策です。また、刺された場合でも適切な初期対応を行うことで、しこりが残るリスクを軽減することができます。
📌 虫刺されを予防する
屋外に出る際には、肌の露出を少なくする服装を心がけましょう。長袖・長ズボンを着用し、靴下を履くことで、蚊やブヨ、マダニなどに刺されるリスクを下げることができます。特に草むらや林の中に入る際には、足元まで覆う服装と、ダニ忌避効果のある虫よけスプレーの使用が効果的です。
虫よけ成分としては、ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)が高い有効性を示しています。これらの成分を含む製品を、製品の使用法に従って使用してください。特にマダニに対しては、ディートよりもイカリジンの方が有効性が高いとされています。
屋内では、網戸や蚊帳を活用し、蚊が侵入しないようにすることが大切です。また、蚊は水が溜まった場所で繁殖するため、庭や家の周囲に水が溜まらないようにすることも予防につながります。
▶️ 刺された直後の適切な初期対処
虫に刺された直後には、まず流水で患部をよく洗い流しましょう。その後、清潔なタオルや氷で患部を冷やし、腫れやかゆみを抑えます。かゆみが強い場合は、早めに市販の抗ヒスタミン薬や弱いステロイド外用薬を使用することで、炎症が慢性化するのを防ぐことができます。
マダニに咬まれていることに気づいた場合は、自分で無理に取り除こうとせず、医療機関を受診してください。無理に取り除こうとすると、口器が皮膚内に残留して肉芽腫の原因になることがあります。医療機関では専用の器具を使って安全にマダニを除去することができます。
🔹 搔き壊しを防ぐ
しこりを残さないためには、かゆくても搔かないことが非常に重要です。かゆみを感じたら、搔く代わりに冷やす、軽くたたく、かゆみ止めを使用するなど、搔き壊し以外の方法でかゆみを対処するようにしましょう。爪を短く清潔に保つことも、万が一搔いてしまった場合の傷や感染を防ぐのに役立ちます。
📍 アレルギー体質の方への注意
過去に虫刺されで強いアレルギー反応を起こしたことがある方は、かかりつけの医師に相談し、アレルギー治療(抗ヒスタミン薬の事前内服など)や緊急時の対応(エピペンの処方など)について準備しておくことをお勧めします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「虫に刺されてからしばらく経つのに、しこりが消えない」というご相談を多くいただきます。特にダニやブヨによるしこりは慢性化しやすく、放置することで肉芽腫や結節性痒疹へと進行してしまうケースも少なくありません。「たかが虫刺され」と思わず、2〜4週間を目安に改善が見られない場合はお早めにご受診ください。まれに皮膚リンパ腫など見過ごせない疾患が隠れていることもありますので、気になる症状がある場合は遠慮なくご相談いただければと思います。」
📌 よくある質問
目安として、虫刺されから2〜4週間経過してもしこりが改善しない場合は皮膚科への受診をお勧めします。また、しこりが大きくなっている、痛みや発熱がある、膿が出るといった症状がある場合は、それより早めに受診してください。
マダニは皮膚に口器を差し込んで長時間吸血するため、口器の一部が皮膚内に残留することがあります。これが免疫細胞の集積を招き「ダニ肉芽腫」を形成し、数ヶ月〜数年にわたってしこりが残ることがあります。外科的切除が必要になるケースもあります。
虫刺されの初期から中期であれば、抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む市販外用薬でかゆみや炎症を抑える効果が期待できます。ただし、すでにしこりが慢性化している場合は市販薬での改善は難しく、2週間使用しても効果がなければ皮膚科への受診をお勧めします。
患部を清潔に保つこと、かゆくても搔き壊さないこと、この2点が最も重要です。かゆみが強い場合は冷やす・市販のかゆみ止めを使うなどで対処しましょう。就寝時に無意識に搔いてしまう場合は、包帯や薄手の手袋の使用も効果的です。針で自己処置するのは感染リスクがあるため厳禁です。
皮膚科では、診察や皮膚生検(組織検査)で原因を特定したうえで、適切な治療を行います。慢性的な炎症にはステロイド外用薬の処方やしこりへの局所注射、ダニ肉芽腫や粉瘤には外科的切除、細菌感染には抗菌薬の処方など、原因に応じた治療が受けられます。当院でもお気軽にご相談ください。
🎯 まとめ
虫刺されによるしこりが長期間治らない場合には、肉芽腫や二次感染、ケロイド、嚢腫などさまざまな原因が考えられます。虫の種類によって生じるしこりの性質も異なり、特にダニやマダニに咬まれた場合は長期にわたってしこりが残りやすいことが知られています。まれではありますが、虫刺されのように見える皮膚病変の背後に、皮膚リンパ腫や結節性痒疹などの別の疾患が隠れていることもあります。
自宅でのケアとしては、患部を清潔に保つこと、搔き壊しを防ぐこと、市販薬を適切に使用することが基本となります。ただし、2〜4週間経過してもしこりが改善しない場合や、痛み・発熱・しこりの増大などの症状がある場合は、皮膚科への受診を強くお勧めします。
皮膚科では、詳細な診察と必要な検査を行い、ステロイド注射や外科的切除など適切な治療を提供することができます。虫刺されのしこりは、「そのうち治るだろう」と放置せず、長引く場合は専門医に相談することが大切です。早期に適切な診断と治療を受けることで、症状の改善が早まり、皮膚のダメージを最小限に抑えることができます。気になる症状がある場合は、ぜひお気軽にアイシークリニック東京院へご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されの診断・治療ガイドライン、結節性痒疹・肉芽腫・ケロイドなどの皮膚疾患の診療基準、およびステロイド外用・局所注射療法に関する専門的情報の参照
- 国立感染症研究所 – マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・疥癬・EBウイルス関連疾患など虫刺されに関連する感染症の疫学情報および予防対策の参照
- 厚生労働省 – マダニ・蚊・ブヨなど有害昆虫による健康被害の予防策、虫よけ成分(ディート・イカリジン)の使用基準、およびアナフィラキシー対応に関する公式情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務