食事中や水分を摂取している際に、食べ物や飲み物が気管に入ってむせてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。通常、むせることで異物を排出できれば問題ありませんが、むせた後に適切な対応をしないと、誤嚥性肺炎などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。特に高齢者や嚥下機能が低下している方は、むせた後の経過観察が非常に重要です。この記事では、誤嚥でむせた後に注意すべきポイント、見逃してはいけない危険なサイン、正しい対処法について詳しく解説します。誤嚥のリスクを理解し、適切な対応方法を知ることで、ご自身やご家族の健康を守りましょう。

目次
- 誤嚥とむせのメカニズムを理解しよう
- むせた後に注意すべき危険なサイン
- むせた直後の正しい対処法
- むせた後の経過観察のポイント
- 誤嚥性肺炎とは?症状と発症リスク
- 医療機関を受診すべきタイミング
- 誤嚥を予防するための日常的な対策
- 高齢者の誤嚥リスクと家族ができるサポート
- よくある質問
この記事のポイント
誤嚥でむせた後は呼吸異常・発熱・咳の持続などの危険なサインに注意し、むせ中に水を飲ませたり背中を叩くのは誤り。高齢者は24〜72時間の経過観察と早期受診が誤嚥性肺炎予防に重要。
🧠 誤嚥とむせのメカニズムを理解しよう
誤嚥やむせの症状に適切に対応するためには、まずそのメカニズムを正しく理解することが大切です。ここでは、誤嚥が起こる仕組みと、むせが生じる理由について解説します。
💡 誤嚥とは何か
誤嚥とは、本来食道を通って胃に運ばれるべき食べ物や飲み物、唾液などが、誤って気管に入ってしまう状態を指します。通常、私たちが食べ物を飲み込む際には、喉頭蓋という蓋のような組織が気管の入り口を塞ぎ、食べ物が気管に入らないように保護しています。しかし、この嚥下反射がうまく機能しない場合に誤嚥が起こります。
誤嚥は大きく分けて2種類あります。
- 顕性誤嚥:食事中に起こり、食べ物や飲み物を飲み込む際に気管に入ってしまうケース
- 不顕性誤嚥:睡眠中などに唾液や胃の内容物が気づかないうちに気管に入ってしまうケース
不顕性誤嚥はむせの症状が出ないため、気づきにくいという特徴があります。
🛡️ むせは体を守る防御反応
むせは、気管に異物が入った際に起こる体の防御反応です。気管の内側には異物を感知するセンサーがあり、異物が侵入すると反射的に強い咳を起こして異物を排出しようとします。この咳反射は非常に重要な機能であり、むせることで肺への異物の侵入を防いでいます。
むせた際の咳は通常の咳とは異なり、以下のような特徴があります。
- 非常に激しく連続して起こる
- 顔が赤くなる
- 涙が出る
- 呼吸が苦しくなる
これらはすべて異物を排出するための正常な反応です。むせることができるということは、咳反射が正常に機能している証拠でもあります。
⚠️ 誤嚥が起こりやすい状況
誤嚥は特定の状況で起こりやすくなります。主なリスク要因は以下の通りです。
- 食事中に会話をしながら食べている場合
- 急いで食べている場合
- 横になりながら飲食している場合
- 食事中にテレビなどに気を取られている場合
食べ物の種類によってもリスクが変わります。
- 誤嚥しやすい食品:水やお茶などのサラサラした液体、パサパサした食べ物、粘り気のある餅
- 特に注意が必要:複数の食感が混在する食品(スープに入った具材など)
水やお茶などのサラサラした液体は、口の中での制御が難しく誤嚥しやすい傾向があります。
Q. 誤嚥でむせた後に注意すべき危険なサインは?
むせた後は呼吸の異常に最も注意が必要です。息苦しさの持続、ゼーゼー・ヒューヒューという異常な呼吸音、唇や爪が青紫色になるチアノーゼは緊急サインです。また38度以上の発熱、数時間以上続く咳、黄色や緑色の痰も誤嚥性肺炎を示す可能性があり、速やかな受診が必要です。
🚨 むせた後に注意すべき危険なサイン
むせた後は、異物が完全に排出されたかどうか、また肺にダメージがないかを確認することが重要です。以下に挙げる症状が見られる場合は、医療機関への受診を検討してください。
🫁 呼吸に関する異常
むせた後に最も注意すべきなのは呼吸の状態です。以下の症状が見られる場合は要注意です。
- むせが治まった後も息苦しさが続く
- 呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという異常な音がする
- 呼吸が浅く速くなっている
- 肩で息をするような努力呼吸が見られる
- 唇や爪が青紫色になるチアノーゼ
これらの症状は、気管内に異物が残っている可能性や、気道に炎症が起きている可能性を示しています。特にチアノーゼが見られる場合は、酸素が十分に体に行き渡っていない証拠であり、緊急の対応が必要です。
🌡️ 発熱や咳の持続
むせた後、数時間から数日経ってから見られる症状にも注意が必要です。
- 発熱:特に38度以上の発熱や悪寒を伴う発熱
- 咳の持続:数時間経っても咳が止まらない、翌日になっても咳が続く
- 痰の変化:痰を伴う咳や、痰に色(黄色や緑色など)がついている
むせた後の発熱は、誤嚥性肺炎を発症している可能性があります。誤嚥性肺炎は、気管に入った細菌が肺で増殖することで起こる感染症で、高齢者では重症化しやすい傾向があります。
通常、むせによる咳は数分から長くても30分程度で治まります。それ以上続く場合は気道に刺激や炎症が残っている可能性があります。
💔 胸の痛みや違和感
むせた後に以下のような症状を感じる場合も注意が必要です。
- 深呼吸をしたときに胸が痛む
- 横になると苦しくなる
- 胸の奥に何か詰まったような感覚が続く
これらの症状は、肺に何らかの問題が生じている可能性や、異物が気道内に残っている可能性を示しています。
🧠 意識や全身状態の変化
特に高齢者では、誤嚥後に意識レベルの低下や全身状態の悪化が見られることがあります。
- ぼんやりしている、反応が鈍い
- 元気がない
- 食欲の低下
- 倦怠感の持続
高齢者は発熱などの典型的な症状が出にくいことがあるため、普段と様子が違うと感じた場合は早めに医療機関に相談することが大切です。
Q. むせている最中に背中を叩いたり水を飲ませてよいか?
むせている最中に背中を強く叩くと、異物をさらに気道の奥に押し込む危険があります。また水を飲ませることも、気道が刺激された状態でさらなる誤嚥を引き起こすため絶対に避けてください。正しい対応は、前かがみの姿勢で落ち着いて咳を続けさせ、自然に異物を排出させることです。
🆘 むせた直後の正しい対処法
むせている最中やむせた直後は、適切な対応が重要です。間違った対処法は状況を悪化させる可能性があるため、正しい方法を知っておきましょう。
⏰ むせている最中の対応
むせている最中の対応で最も重要なポイントは以下の通りです。
- 落ち着いて咳を続けることが最も重要
- 可能であれば前かがみの姿勢をとる
- 重力を利用して異物が排出されやすい状態にする
- 無理に咳を止めようとしない
⚠️ よくある間違い
- 背中を強く叩く:むしろ異物をさらに奥に押し込んでしまう可能性がある
- 水を飲ませる:気道が異物で塞がれている状態で水分を摂取すると、さらに誤嚥を引き起こす危険
背部叩打法は、咳ができない場合や意識がもうろうとしている場合など、特定の状況で行う方法です。むせている最中に水を飲ませることは絶対に避けてください。
✅ むせが治まった後の対応
むせが治まったら、以下の手順で対応しましょう。
- 呼吸の確認:呼吸が正常に戻っているかを確認
- 深呼吸:ゆっくりと深呼吸をして、息苦しさや違和感がないかをチェック
- 休息:少し休んでから次の行動に移る
- 水分摂取:異常がなければ、少量ずつ水分を摂取
水分を摂取する際の注意点:
- 一口ずつゆっくりと飲む
- 再びむせないように注意
- 冷たい水よりも常温の水の方が飲みやすい
- むせやすい方はとろみ剤の使用を検討
むせた後は喉や気道に刺激を受けているため、しばらくは以下のような食べ物や飲み物は避けることをお勧めします。
- 辛いもの
- 酸っぱいもの
- 熱すぎるもの
🚨 窒息の場合の緊急対応
誤嚥が重度で、咳もできず声も出せない状態は窒息の危険があり、緊急対応が必要です。
窒息のサイン
- 両手で喉をつかむしぐさ(チョークサイン)
- 顔面蒼白やチアノーゼ
- 意識消失
緊急時の対応手順
- すぐに119番通報
- 救急車を待つ間、意識がある場合は以下を実施:
- 背部叩打法:前かがみの姿勢にさせて肩甲骨の間を手の付け根で強く5回叩く
- ハイムリック法(腹部突き上げ法):背後から両腕を回し、おへその上あたりに拳を置き、上方に向かって強く突き上げる
⚠️ 注意事項
妊婦や乳児、極端に肥満の方にはハイムリック法は行わないでください。
👀 むせた後の経過観察のポイント
むせた後は、数時間から数日にわたって経過を観察することが大切です。特に高齢者や嚥下機能に問題がある方は、注意深く見守る必要があります。
📊 むせた後24時間以内の観察
むせた後の最初の24時間は特に注意深い観察が必要です。この間に注意すべきポイントは以下の通りです。
呼吸の状態を定期的に確認
- 息苦しそうにしていないか
- 呼吸音に異常がないか
- 安静時の呼吸数が1分間に20回を超える場合は注意が必要
- 呼吸が浅く速い場合
体温の測定
- 4〜6時間おきに体温を測定
- 37.5度以上の発熱がないか確認
- むせた直後は体温が正常でも、数時間後に発熱することがある
咳の状態の観察
- むせた後しばらくは多少の咳が続くことがある
- 時間とともに治まるのが通常
- 咳が徐々に悪化している場合や、痰の量が増えている場合は要注意
📈 むせた後24時間〜72時間の観察
誤嚥性肺炎は、誤嚥から24〜72時間後に症状が現れることが多いため、この期間の観察も重要です。
症状の確認項目
- 発熱
- 咳
- 痰
- 呼吸困難感
高齢者の場合の特別な注意点
高齢者の場合、典型的な肺炎の症状が出にくいことがあるため、以下の非典型的な症状も見逃さないようにしましょう。
- 食欲低下
- 元気がない
- ぼんやりしている
- 普段と比べて活動量が減っている
- 会話が少なくなった
📝 経過観察の記録
むせた後の状態を記録しておくことは、後で医療機関を受診する際に役立ちます。
記録しておくとよい項目
- むせた日時
- 何を食べていたか
- むせの程度
- むせた後の症状(咳、息苦しさ、発熱など)の経過
- 体温の変化
これらの情報は、医師が誤嚥の重症度や合併症の可能性を判断する上で非常に参考になります。スマートフォンのメモアプリなどを活用して、簡単に記録しておくとよいでしょう。
Q. 誤嚥性肺炎はなぜ高齢者に多く重症化しやすいのか?
加齢により嚥下反射・咳反射・喉頭挙上の機能が低下するため、高齢者は誤嚥しやすく気道から異物を排出する力も弱まります。また免疫機能の低下により口腔内細菌が肺で増殖しやすくなります。さらに高齢者は発熱などの典型症状が出にくく、食欲低下や元気のなさといった非典型的な症状のみで発見が遅れるリスクがあります。
🫁 誤嚥性肺炎とは?症状と発症リスク
誤嚥後に最も注意すべき合併症が誤嚥性肺炎です。この病気について正しく理解し、早期発見・早期治療につなげましょう。
🔬 誤嚥性肺炎のメカニズム
誤嚥性肺炎は、口腔内や咽頭の細菌が、食べ物や唾液とともに気管から肺に入り込み、肺の中で増殖して炎症を起こす病気です。
通常、少量の細菌が肺に入っても、肺の防御機能により排除されますが、以下の場合に肺炎を発症します。
- 大量の細菌が入った場合
- 免疫力が低下している場合
誤嚥性肺炎を引き起こす細菌は、口腔内に常在している細菌であることが多いです。そのため、口腔ケアが不十分な方は、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
特にリスクが高い方
- 歯周病や虫歯がある方
- 義歯の清掃が不十分な方
🌡️ 誤嚥性肺炎の症状
典型的な症状
- 発熱
- 咳
- 痰(黄色や緑色など色がついていることが多い)
- 呼吸困難
- 胸痛
- 時に血液が混じることもある
これらの症状は通常の肺炎と似ていますが、誤嚥のエピソードがあった後に発症することが特徴です。
高齢者の非典型的な症状
高齢者では典型的な症状が出にくいことがあります。発熱がなくても肺炎を発症していることがあり、以下のような症状で気づかれることも少なくありません。
- 食欲低下
- 意識レベルの低下
- 活動性の低下
- 頻呼吸
このため、高齢者が誤嚥した後は、たとえ目立った症状がなくても注意深い観察が必要です。
⚠️ 誤嚥性肺炎のリスク因子
誤嚥性肺炎を発症しやすい方には、いくつかの共通したリスク因子があります。
最も重要なリスク因子:加齢
高齢になると嚥下機能が低下し、咳反射も弱くなるため、誤嚥しやすく、また誤嚥した際に異物を排出する力も弱くなります。
その他のリスク因子
- 脳卒中や神経疾患による嚥下障害
- 認知症
- 寝たきりの状態
- 口腔内の衛生状態が悪いこと
- 胃食道逆流症
- 糖尿病などの免疫機能を低下させる疾患
- 鎮静剤や睡眠薬など意識レベルに影響を与える薬の服用
💊 誤嚥性肺炎の治療
誤嚥性肺炎の治療は主に抗菌薬(抗生物質)による薬物療法が中心となります。
治療方法
- 原因となっている細菌を特定
- それに効果のある抗菌薬を投与
- 軽症:外来での治療が可能
- 中等症以上:入院治療が必要
併用される治療
- 酸素療法
- 輸液療法
- 重症例:人工呼吸器による呼吸管理
また、治療と並行して、再発予防のための嚥下リハビリテーションや口腔ケアの指導も行われます。
🏥 医療機関を受診すべきタイミング
むせた後にどのようなタイミングで医療機関を受診すべきか、判断に迷うことがあるかもしれません。ここでは、受診の目安について解説します。
🚨 すぐに救急外来を受診すべき症状
以下の症状がある場合は、すぐに救急外来を受診するか、119番通報してください。これらは緊急性の高い症状であり、迅速な対応が必要です。
- 呼吸困難が強く改善しない場合
- 唇や爪が青紫色になっている場合
- 意識がもうろうとしているまたは意識を失った場合
- 咳もできず声も出せない状態が続く場合
- 呼吸が止まっている場合
また、むせた後に急激に状態が悪化した場合や、明らかに普段と様子が異なる場合も、すぐに医療機関を受診することをお勧めします。
⏰ 当日中に受診した方がよい症状
緊急性は高くないものの、当日中に医療機関を受診した方がよい症状もあります。
- むせた後、1時間以上経っても咳が続いている場合
- 息苦しさや胸の違和感がある場合
- 声がかすれている・出にくい場合
- 飲み込みにくさが続いている場合
- 38度以上の発熱がある場合
これらの症状は、気道に異物が残っている可能性や、気道に炎症が起きている可能性を示しています。早めに医療機関を受診して、必要な検査や治療を受けることが大切です。
📅 翌日以降に受診を検討すべき症状
むせた直後は症状がなくても、翌日以降に以下のような症状が出現した場合は、医療機関の受診を検討してください。
- むせた翌日以降に発熱が出現した場合
- 咳や痰が徐々に増えてきた場合
- 食欲が低下してきた場合
- だるさや倦怠感が続く場合
- 呼吸が浅く速くなってきた場合
これらの症状は誤嚥性肺炎を発症している可能性があります。特に高齢者や基礎疾患のある方は、早めに受診することをお勧めします。
📋 受診時に伝えるべき情報
医療機関を受診する際は、以下の情報を医師に伝えると診断の参考になります。
- むせた日時
- 何を食べていたか・飲んでいたか
- むせた時の状況(食事中、会話中など)
- むせの程度(軽いものか激しいものか)
- むせた後からの症状の経過
- 現在の症状
- 普段の嚥下の状態(よくむせるかどうか)
- 既往歴や服用中の薬
これらの情報をメモにまとめておくと、受診時にスムーズに伝えることができます。
Q. 誤嚥を日常的に予防するための具体的な対策は?
誤嚥予防には複数の対策が有効です。食事中は背筋を伸ばし顎を軽く引いた姿勢を保ち、テレビを消して食事に集中します。サラサラした液体にはとろみ剤を使用し、一口ずつゆっくり噛んで飲み込みましょう。また毎食後の歯磨きと就寝前の口腔ケアで口腔内細菌を減らすことが、誤嚥性肺炎リスクの低減に非常に効果的です。
🛡️ 誤嚥を予防するための日常的な対策
誤嚥を完全に防ぐことは難しいですが、日常生活の中でいくつかの対策を講じることで、リスクを減らすことができます。
🪑 食事時の姿勢と環境
食事時の姿勢は誤嚥予防において非常に重要です。
正しい食事姿勢
- 背筋をまっすぐ伸ばす
- 顎を軽く引いた姿勢で食事をとる
- 横になりながらの飲食は避ける
- 食事中は上半身を起こした状態を保つ
ベッド上で食事をとる場合
- 少なくとも30度以上、可能であれば60〜90度程度上半身を起こす
- 食後すぐに横にならず、30分〜1時間程度は上半身を起こした状態を維持
食事環境の整備
食事に集中できる環境を整えることも大切です。
- テレビを消す
- 静かな場所で食事をする
- 食事中の会話は控えめにする
- 食べ物が口の中にある状態では話さない
🍽️ 食事の内容と食べ方の工夫
誤嚥しにくい食事内容を心がけることも予防につながります。
液体の工夫
- サラサラした液体は誤嚥しやすいため、必要に応じてとろみ剤を使用
- 市販のとろみ剤は様々な種類があるので、使いやすいものを選ぶ
食べ方のポイント
- 食べ物は一口サイズに切る
- よく噛んでから飲み込む
- 食事のペースはゆっくりと
- 一口ずつ確実に飲み込んでから次の一口を口に入れる
食品別の注意点
- パサパサした食べ物(パン、クッキー、焼き魚など):水分と一緒に摂取するか、あんかけにする
- 複数の食感が混在する食品(汁物の具材など):嚥下のタイミングがずれやすいため注意が必要
🦷 口腔ケアの重要性
口腔内を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防に非常に効果的です。口腔内の細菌が少なければ、たとえ誤嚥が起きても肺炎を発症するリスクは低くなります。
日常的な口腔ケア
- 毎食後の歯磨き
- 舌の清掃
- 義歯の清掃
- 特に寝る前の口腔ケアは重要
なぜ寝る前の口腔ケアが重要なのか
- 睡眠中は唾液の分泌が減少し、口腔内の細菌が増殖しやすくなる
- 睡眠中は不顕性誤嚥(気づかないうちに起こる誤嚥)が起こりやすい
定期的な歯科受診
- 虫歯や歯周病があると口腔内の細菌が増加
- 少なくとも半年に1回は歯科を受診
- 口腔内のチェックとクリーニングを受ける
💪 嚥下機能を維持するためのトレーニング
嚥下機能を維持・向上させるためのトレーニングも効果的です。
簡単な口の体操
- 食前に「パ・タ・カ・ラ」と発音する
- 口唇、舌、軟口蓋などの動きを活発にする
- 嚥下に関わる筋肉をウォーミングアップする効果
その他のトレーニング
- 首や肩のストレッチ
- 深呼吸
- 咳払いの練習
これらの運動を毎日の習慣として取り入れることで、嚥下に関わる筋肉の機能低下を防ぐことができます。
専門家による指導
嚥下機能の低下が気になる場合は、言語聴覚士による嚥下リハビリテーションを受けることも選択肢の一つです。専門家の指導のもと、個々の状態に合わせたトレーニングを行うことができます。
👴 高齢者の誤嚥リスクと家族ができるサポート
高齢者は誤嚥のリスクが高く、また誤嚥性肺炎を発症した際に重症化しやすい傾向があります。家族として知っておくべきことと、できるサポートについて解説します。
🔄 なぜ高齢者は誤嚥しやすいのか
加齢に伴い、嚥下に関わる様々な機能が低下します。
機能低下の詳細
- 嚥下反射の遅延:食べ物が咽頭に到達してから飲み込みの動作が始まるまでの時間が長くなる
- 咳反射の低下:気管に異物が入っても十分な力で咳をすることができない
- 喉頭挙上の低下:飲み込む時に喉仏が上がる動きの幅が小さくなり、気管の入り口を十分に塞げなくなる
その他の要因
- 唾液分泌量の減少
- 歯の喪失による咀嚼力の低下
- 口腔内の感覚低下
⚠️ 高齢者の誤嚥の特徴
高齢者の誤嚥には、いくつかの特徴があります。
不顕性誤嚥の増加
- むせの症状が出にくい
- 咳反射が弱くなっているため、誤嚥してもむせない
- 本人も周囲も誤嚥に気づかないまま肺炎を発症することがある
夜間の誤嚥リスク
- 睡眠中は嚥下反射がさらに低下
- 唾液や胃からの逆流物が気管に入りやすくなる
- 朝起きたときに咳や痰が出る場合は、夜間の誤嚥を疑う必要
症状の非典型化
高齢者は誤嚥性肺炎を発症しても、典型的な症状が出にくいことがあります。発熱がなくても肺炎を起こしていることがあるため、以下のような変化を見逃さないようにすることが大切です。
- 食欲低下
- 元気がない
- いつもと様子が違う
🤝 家族ができるサポート
高齢のご家族の誤嚥を予防し、早期発見するために、家族ができるサポートは多くあります。
食事時の見守り
- 一人で食事をするよりも、誰かと一緒に食事をする方が安全
- 食事中に異変があればすぐに対応できる
- 食事のペースをコントロールできる
食事の準備における工夫
- 食べやすい大きさに切る
- とろみをつける
- 柔らかく調理する
- 市販の介護食やとろみ剤を活用
口腔ケアのサポート
- 高齢者は自分で十分な口腔ケアができていないことがある
- 歯磨きや義歯の清掃を手伝う
- 定期的な歯科受診に付き添う
日常的な健康観察
家族の重要な役割として、以下の項目を把握しておきましょう。
- 普段の食事量
- 咳の頻度
- 体温
- 活気
変化があればすぐに気づけるようにし、定期的なかかりつけ医への相談も大切です。
👨⚕️ 専門家への相談
誤嚥のリスクが高い場合や、頻繁にむせる場合は、専門家への相談を検討しましょう。
医療機関での検査
- かかりつけ医や耳鼻咽喉科医に相談
- 必要に応じて嚥下機能の検査(嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査など)を受ける
リハビリテーション
- 言語聴覚士による嚥下リハビリテーション
- 専門家の指導のもと、嚥下機能を維持・改善するためのトレーニング
栄養指導
- 管理栄養士に相談
- 誤嚥しにくい食事の調理法や栄養バランスについてアドバイス
介護保険サービスの活用
介護保険サービスを利用できる場合は、以下のサービスを活用することも検討しましょう。
- 訪問歯科診療
- 訪問リハビリテーション

❓ よくある質問
むせた直後から最低24時間は注意深く観察することをお勧めします。特に誤嚥性肺炎は誤嚥から24〜72時間後に発症することが多いため、できれば2〜3日間は体温測定や咳の有無、食欲、元気の有無などを確認してください。高齢者や基礎疾患のある方は特に慎重な経過観察が必要です。
むせが完全に治まり、呼吸が落ち着いてからであれば、少量の水を一口ずつゆっくり飲んでも構いません。ただし、むせている最中に水を飲ませることは絶対に避けてください。さらなる誤嚥を引き起こす危険があります。水を飲む際は常温の水を少量ずつ、様子を見ながら摂取しましょう。
むせた後に38度以上の発熱がある場合は、誤嚥性肺炎の可能性があるため、その日のうちに医療機関を受診することをお勧めします。37.5度程度の微熱であっても、咳や痰、息苦しさなど他の症状を伴う場合は受診を検討してください。特に高齢者は発熱がなくても肺炎を発症していることがあるため、普段と様子が違う場合は早めに受診しましょう。
食事時の
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
むせた後の観察で最も重要なのは呼吸の状態です。単純なむせであれば数分で症状は改善しますが、息苦しさや異常な呼吸音が続く場合は、気道に異物が残っているか炎症が生じている可能性があります。特に高齢の方は症状が出にくいことがあるため、いつもと様子が違うと感じたら早めにご相談ください。