
夏のアウトドアや日常生活の中で、気づかぬうちに虫に刺されて患部がひどく腫れてしまった経験は、多くの方に身に覚えがあるのではないでしょうか。「かゆいだけだろう」と軽く考えていたら翌朝には大きく腫れ上がっていた、患部が熱を持っていてなかなか引かない、といった状況は珍しくありません。虫刺されによる腫れは、刺した虫の種類や個人の体質によって大きく異なり、適切な対処をしないと症状が長引いたり、悪化したりすることもあります。本記事では、虫刺されで腫れが生じるメカニズムから、症状別の正しい対処法、市販薬の選び方、そして医療機関を受診すべきサインまで、幅広く解説します。
目次
- 虫刺されで腫れが起こる仕組み
- 腫れを引き起こしやすい虫の種類と特徴
- 虫刺されの腫れ方・症状のパターン
- 腫れが出たときの基本的な応急処置
- 症状別の対処法と注意点
- 市販薬の種類と正しい使い方
- 絶対に放置してはいけない危険なサイン
- 子ども・高齢者・アレルギー体質の人への注意
- 腫れを悪化させないために避けるべき行為
- 予防策と刺されにくい環境づくり
- まとめ
この記事のポイント
虫刺されの腫れは虫の種類や体質で異なり、冷却・清潔保持・市販薬が基本対処だが、アナフィラキシー症状や急速な腫れの拡大時は即救急受診が必要。
🎯 1. 虫刺されで腫れが起こる仕組み
虫に刺されると、なぜ腫れが起きるのでしょうか。これを理解するためには、まず体の免疫反応について知ることが大切です。
蚊やハチなどの虫が皮膚を刺すとき、毒液や唾液に含まれる異物タンパク質が体内に注入されます。体はこの異物を「外敵」として認識し、免疫細胞を活性化させて撃退しようとします。このとき、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、毛細血管が拡張し、血管の透過性が高まることで局所に血液成分が滲み出します。この反応こそが、赤み・腫れ・熱感・かゆみといった典型的な炎症症状として現れるのです。
虫刺されによる腫れは大きく2つのタイプに分けられます。一つは「即時型反応」で、刺された直後から数十分以内に生じる腫れやかゆみです。もう一つは「遅延型反応」で、刺されてから数時間〜数日後に現れる腫れや硬結(しこり)です。多くの場合、両方の反応が重なって起こりますが、どちらのタイプが強く出るかは個人差があります。
また、同じ種類の虫に繰り返し刺されることで、免疫系が過剰に反応するようになることがあります。これをアレルギー反応といい、特にハチ毒などに対してアナフィラキシーショックが起きるリスクが高まります。子どものころは蚊に刺されても軽く済んでいたのに、大人になって急に腫れがひどくなった、あるいはその逆のケースも珍しくありません。これは免疫状態の変化によるものです。
Q. 虫刺されで腫れが起きるメカニズムは?
虫の唾液や毒液に含まれる異物タンパク質が体内に入ると、免疫細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出します。これにより毛細血管が拡張して血液成分が滲み出し、赤み・腫れ・熱感・かゆみが生じます。刺直後の即時型と数時間〜数日後の遅延型の2種類があります。
📋 2. 腫れを引き起こしやすい虫の種類と特徴
虫刺されによる腫れの程度や性質は、刺した虫の種類によって大きく異なります。それぞれの虫の特徴を把握しておくことで、適切な対処がしやすくなります。
蚊は最もよく見られる虫刺されの原因です。刺した瞬間に痛みをほとんど感じないため、刺されたことに気づかないことも多くあります。かゆみと小さな腫れが特徴で、通常は数日以内に治まりますが、体質によっては大きく腫れて長引く場合もあります。特に幼児では「蚊アレルギー(虫刺されアレルギー)」と呼ばれる強い反応が出ることがあり注意が必要です。
ハチは毒性が強く、刺された直後から激しい痛みと腫れが生じます。特にスズメバチやアシナガバチに刺された場合は、局所の腫れだけでなく全身反応(アナフィラキシー)が起きることがあり、生命に危険を及ぼす可能性があります。2回目以降の刺傷でアレルギー反応が増強されるため、過去に刺された経験がある人は特に注意が必要です。
アブは蚊よりも攻撃的で、皮膚を噛み切るように刺すため、刺されると強い痛みと大きな腫れを生じます。出血を伴うこともあり、細菌感染のリスクが高まります。山間部や水辺に多く生息しているため、アウトドア活動の際に注意が必要です。
ブユ(ブヨ)もアウトドアで被害が多い虫で、皮膚を噛み切って吸血します。刺された直後はほとんど気づかないことが多いのですが、数時間後から翌日にかけて強いかゆみと大きな腫れが現れることが特徴です。患部が熱を持ち、しこりのように硬くなることもあります。搔きむしることで二次感染を起こしやすいため注意が必要です。
ムカデは虫の中でも毒性が強く、かまれると激しい痛みと腫れが生じます。アレルギー体質の人では全身症状が出ることもあります。毒針を使って毒液を注入するため、毒素による反応が強く、腫れが長引く傾向があります。
マダニは草むらや山林に生息し、皮膚に噛みつくと長時間にわたって吸血し続けます。感染症(日本紅斑熱、ライム病、重症熱性血小板減少症候群など)の媒介虫としても知られており、咬まれた場合は無理に取ろうとせず医療機関を受診することが重要です。
ダニやノミは目に見えないほど小さいことが多く、複数個所に刺されることが多いです。集合した赤い発疹が特徴で、強いかゆみを伴います。
💊 3. 虫刺されの腫れ方・症状のパターン
虫刺されの腫れにはさまざまなパターンがあります。自分の症状がどのタイプに当たるかを把握することで、適切な対処につながります。
軽度の腫れは、患部が少し赤くなり、蚊に刺されたような小さなふくらみができる状態です。かゆみが主な症状で、1〜3日程度で自然に治まることがほとんどです。
中程度の腫れは、患部が赤みを帯び、周囲を含めて5センチ以上に腫れ上がった状態です。熱感やじんじんとした痛みを伴うことがあり、数日から1週間程度続くことがあります。ブユや体質によっては蚊でもこのタイプの腫れが生じます。
強度の腫れは、腫れが広範囲に及び、患部が著しく硬くなったり水疱ができたりする状態です。ハチやムカデに刺された場合や、アレルギー体質の人に多く見られます。日常生活に支障をきたすほどの痛みや腫れが生じることもあります。
炎症が長引くタイプは、刺されてから1週間以上経過しても腫れや硬結が続く状態です。患部を搔きむしることによる二次感染や、アレルギー反応の遷延化が原因となることがあります。
全身症状を伴うタイプは、局所の腫れに加えて、じんましん・顔や喉の腫れ・呼吸困難・血圧低下・意識障害などが現れる状態です。アナフィラキシーの可能性があり、緊急の医療対応が必要です。
Q. 虫刺されの腫れに対する基本的な応急処置は?
まず患部を石けんと流水で優しく洗い、毒液や唾液を洗い流します。次にタオルで包んだ保冷剤で10〜15分冷やし、腫れとかゆみを抑えます。直接氷を当てると凍傷になるため注意が必要です。かゆくても搔きむしると二次感染を招くため、搔かないことが重要です。
🏥 4. 腫れが出たときの基本的な応急処置
虫刺されによる腫れが起きた際には、適切な応急処置を素早く行うことが症状の悪化を防ぐうえで非常に重要です。
まず最初に行うべきことは、患部を流水でよく洗い流すことです。虫の唾液や毒液を洗い流すことで、炎症反応を軽減させる効果があります。石けんを使って優しく洗うとさらに効果的です。
次に、患部を冷やします。清潔なタオルに包んだ氷嚢や冷えた保冷剤などで患部を冷やすことで、血管が収縮し腫れやかゆみを抑えることができます。ただし、直接皮膚に氷や保冷剤を当てると凍傷になるリスクがあるため、必ずタオルなどで包んで使用してください。冷やす時間は10〜15分を目安にし、インターバルを設けて繰り返すと良いでしょう。
ハチに刺された場合は、まず針が皮膚に残っていないか確認します。針が残っている場合は、ピンセットや爪などを使ってつまみ取るのではなく、クレジットカードのような薄い板状のものを使って横にそぎ落とすように取り除くのが望ましいです。つまんで引き抜こうとすると毒液をさらに押し込んでしまう恐れがあります。
マダニに咬まれた場合は、自分で無理に取り除こうとしないことが重要です。無理に引っ張るとマダニの口器が皮膚内に残ったり、マダニの体液が逆流してウイルスや細菌が体内に侵入するリスクが高まります。そのまま医療機関を受診してください。
患部を搔きむしらないことも大切です。強いかゆみを感じると反射的に搔いてしまいがちですが、搔くことで皮膚のバリア機能が破壊され、細菌が入り込んで二次感染(とびひや蜂窩織炎など)を引き起こすリスクが高まります。
⚠️ 5. 症状別の対処法と注意点
症状のタイプによって、取るべき対処法は異なります。自分の状態に合わせて適切に対応することが早期回復への近道です。
かゆみを伴う軽度の腫れの場合は、患部を冷やした後に市販の抗ヒスタミン成分を含む外用薬(かゆみ止めクリームやローション)を塗布します。かゆみが強い場合は、内服の抗ヒスタミン薬を使用することも効果的です。患部を清潔に保ち、搔かないように注意することが基本です。
熱感と腫れが強い場合は、冷やすことを優先します。腫れが広がっている場合や、患部が硬くなっている場合は、皮膚科での診察を受けることが望ましいです。医療機関ではステロイド外用薬や内服薬が処方され、効果的に炎症を抑えることができます。
水疱(水ぶくれ)が形成された場合は、自己判断でつぶさないことが重要です。水疱の内部は無菌状態に保たれており、自然につぶれるまで待つか、医療機関で適切に処置してもらうことが感染予防につながります。
患部が化膿(赤く腫れて膿が出る)している場合は、二次感染が起きている可能性があります。このような状態では市販薬での対処は限界があり、医療機関での抗菌薬治療が必要になることが多いです。早めに受診することをおすすめします。
ハチに刺されて局所の腫れが大きい場合は、患部を心臓より低い位置に保ち安静にします。ただし、全身症状(じんましん・息苦しさ・顔の腫れ・動悸・めまいなど)が出た場合は、直ちに救急車を呼ぶか、最寄りの救急医療機関を受診してください。
🔍 6. 市販薬の種類と正しい使い方
虫刺されによる腫れやかゆみに対して使用できる市販薬にはさまざまな種類があります。成分を理解した上で、症状に合ったものを選ぶことが大切です。
抗ヒスタミン薬(外用)は、かゆみや腫れを引き起こすヒスタミンの働きを抑える成分が含まれています。ジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンなどが代表的な成分です。かゆみが主な症状の軽度〜中等度の虫刺されに適しています。
ステロイド外用薬は、炎症を強力に抑える作用があります。デキサメタゾンやヒドロコルチゾンなどの成分が含まれており、腫れが強い場合や炎症が長引く場合に効果を発揮します。ただし、長期連用や広い範囲への使用は避け、使用する際は添付文書をよく確認してください。
かゆみ止めクリームやジェルは、清涼感を与えるメントールやカンフルを含むものが多く、患部を冷却しながらかゆみをやわらげる効果があります。軽度の症状に使いやすい剤型です。
抗ヒスタミン薬(内服)は、全身のかゆみや腫れを抑えるために用います。外用薬だけでは対応しきれない場合に補助的に使うことができます。眠気が出る製品と出にくい製品があるため、服用するタイミング(日中か就寝前か)に合わせて選ぶと良いでしょう。
市販薬を使用する際は、記載されている使用回数・使用量を守ることが基本です。また、市販薬を使用しても2〜3日経過しても改善が見られない場合や、症状が悪化する場合は、市販薬での対応をやめて医療機関を受診することが大切です。
なお、小さなお子さんや妊婦・授乳中の方が市販薬を使用する際は、使用可能かどうかを薬剤師に確認してから使うようにしましょう。
Q. 虫刺されで救急受診が必要な症状は何ですか?
虫刺され後に全身のじんましん・顔や喉の腫れ・呼吸困難・動悸・めまい・意識低下など複数の症状が現れた場合はアナフィラキシーショックが疑われ、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。エピペンを携帯している方はすぐに使用してください。命に関わる緊急状態です。
📝 7. 絶対に放置してはいけない危険なサイン
虫刺されによる腫れのほとんどは自然に回復しますが、中には速やかに医療機関を受診しなければならない危険な状態もあります。以下のサインが現れた場合は、放置せずにすぐに医療機関(必要に応じて救急)を受診してください。
アナフィラキシーの症状は最も緊急性が高い状態です。刺されてから数分〜30分以内に、じんましんが全身に広がる・顔や喉が腫れる・呼吸がしにくい・声がかすれる・心臓がドキドキする・強い吐き気・嘔吐・下痢・意識が遠くなる・血圧が下がるといった症状が複数現れた場合は、アナフィラキシーショックを疑いすぐに救急車を呼んでください。アドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されている方は直ちに使用します。
腫れが急速に広がっている場合も注意が必要です。蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深部まで細菌が感染した状態になると、赤みと腫れが急速に広がり、高熱・悪寒・ひどい痛みを伴うことがあります。この状態では入院が必要になることもあるため、早急な受診が必要です。
マダニに咬まれた後に発熱・頭痛・発疹・倦怠感が出た場合は、感染症を起こしている可能性があります。日本紅斑熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症は重症化することがあるため、医療機関で早急に検査・治療を受けることが重要です。
目の周りや喉の周辺が大きく腫れた場合も危険です。喉が腫れると気道が閉塞して窒息のリスクが生じます。目の周りの腫れは視力に影響することもあるため、これらの部位が腫れた場合は迷わず救急を受診してください。
腫れが1週間以上改善しない場合や、腫れが徐々に悪化している場合も医療機関への相談が必要です。慢性的な炎症やアレルギー反応が続いている可能性があり、医師の診断と治療が必要な状態です。
💡 8. 子ども・高齢者・アレルギー体質の人への注意
虫刺されによる腫れは、すべての人に一様に起きるわけではなく、年齢や体質によって注意すべき点が異なります。
子どもの場合、免疫系が発達途上にあるため、大人に比べて腫れが強く出やすい傾向があります。特に幼いお子さんは「虫刺されアレルギー」と呼ばれる状態になりやすく、蚊に刺されただけで大きく腫れ上がり、高熱を伴うこともあります。また、かゆみに耐えられず激しく搔きむしることで傷ができ、二次感染を起こしやすいため注意が必要です。市販薬の使用は年齢制限が設けられていることが多いため、使用前に確認が必要です。症状が重い場合や長引く場合は、小児科や皮膚科を受診することをおすすめします。
高齢者の場合、皮膚が薄く乾燥しやすいため、搔き傷から感染を起こしやすい状態にあります。また、免疫機能の低下により治癒が遅れることがあります。複数の薬を服用していることも多く、市販薬との相互作用にも注意が必要なため、薬剤師や医師への相談が望ましいです。
アレルギー体質の人は、虫刺されに対して強い反応が出やすいため、特に注意が必要です。アトピー性皮膚炎がある方は、虫刺されの刺激が皮膚炎を悪化させることがあります。過去にハチに刺されて全身症状が出た方は、アレルギー専門医に相談し、エピペンの携帯や脱感作療法(アレルゲン免疫療法)についての検討も視野に入れてください。
妊娠中の女性も注意が必要です。妊娠中は市販薬の選択肢が限られることがあるため、必ず産婦人科医や薬剤師に相談の上で使用するようにしてください。
Q. 虫刺されの腫れで悪化させる行為にはどんなものがある?
虫刺されの腫れを悪化させる行為として、患部を搔きむしること・温めること・口で吸うことが挙げられます。搔くと二次感染リスクが高まり、温めると腫れが増します。ハチ刺され時に患部を強く絞ることも毒液拡散につながり禁物です。
✨ 9. 腫れを悪化させないために避けるべき行為
虫刺されによる腫れへの対処において、「してはいけないこと」を知っておくことも同様に重要です。間違った対処をすることで症状が悪化するケースは少なくありません。
患部を搔きむしることは最も避けるべき行為の一つです。かゆみを感じると無意識に手が向かいますが、搔くことで皮膚に傷ができ、そこから雑菌が侵入して二次感染を起こすリスクが高まります。また、搔くことで刺激ホルモンがさらに放出され、かゆみが増す悪循環に陥ることもあります。
患部を温めることも逆効果です。熱いお風呂や湯たんぽ、カイロなどで患部を温めると、血管がさらに拡張して腫れが増す可能性があります。虫刺されの腫れには「冷やす」対処が基本です。ただし、冷やしすぎも皮膚にダメージを与えるため注意が必要です。
民間療法として広く知られている「刺された部分を口で吸う」行為は避けてください。口腔内には多くの細菌が存在しているため、傷口から感染するリスクが生じます。また、毒を吸い出す効果はほとんど期待できません。
ムカデに刺された場合に「火で炙る」という民間療法も危険です。皮膚に熱傷(やけど)を負う可能性があり、炎症をさらに悪化させます。
ハチに刺されて患部を強く絞る行為も避けるべきです。毒液が広がってしまう可能性があります。過去に行われていた「毒を絞り出す」対処法は、現在では推奨されていません。
アルコールを患部に塗ることも注意が必要です。アルコールには消毒効果がありますが、皮膚への刺激が強く、すでに炎症が起きている患部に塗ると症状が悪化することがあります。また、市販の虫刺されの薬を複数同時に使用することも、成分が重複して過剰摂取や副作用を引き起こす可能性があるため避けてください。
📌 10. 予防策と刺されにくい環境づくり

虫刺されによる腫れを防ぐためには、そもそも刺されないように対策を取ることが最も効果的です。
虫よけスプレーの活用は基本的な予防策です。ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を有効成分とする虫よけ製品は、蚊やアブ、ブユなどへの忌避効果が高いとされています。肌に塗布する製品と衣服に使用する製品があり、用途に合わせて使い分けることが大切です。特に子どもへの使用は、成分の濃度や使用可能年齢に注意してください。
服装も重要な予防手段です。肌の露出を少なくすることで、虫が直接皮膚にアクセスしにくくなります。アウトドア活動の際は、長袖・長ズボンに加えて、靴下と手袋を着用することが効果的です。明るい色の服は虫を引き寄せにくく、黒や紺などの暗い色よりも好ましいとされています。
蚊が発生しやすい環境を作らないことも予防につながります。庭やベランダに放置された容器・植木鉢の受け皿・バケツなどに水が溜まっていると、蚊の繁殖地になります。定期的に水を捨てる習慣をつけましょう。
ハチへの対策として、甘い香りの強い香水や整髪料の使用は控えることが大切です。また、ハチは黒い色に反応する習性があるため、山での活動時は白や淡い色の服装が推奨されます。ハチの巣を発見した場合は、絶対に近づかず、専門業者に駆除を依頼してください。
マダニ対策では、草むらや林の中を歩く際に肌を露出しないことが最重要です。帰宅後は全身をよくチェックし、特に耳の後ろや脇の下、膝の裏側など体の折れ目部分を念入りに確認してください。
室内ではダニやノミ対策として、定期的な掃除機がけと寝具の洗濯・乾燥が効果的です。特にペットを飼っている家庭では、ペットへのノミ・マダニ予防薬の使用も検討してください。
アレルギー体質でハチに刺された経験がある方は、アレルギー科を受診してアレルギー検査を受け、必要に応じてアドレナリン自己注射薬の携帯について医師と相談してください。過去に強い反応が出た方は特に重要な備えです。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場を中心に虫刺されによる腫れやかゆみのご相談が増える傾向にあり、「市販薬を使っても症状が長引いている」「翌日になって急に大きく腫れてきた」といったケースで受診される患者様が多くいらっしゃいます。虫刺されは一見軽微に思えても、刺した虫の種類や体質によっては蜂窩織炎などの二次感染やアレルギー反応に発展することがあるため、腫れが広がる・熱を持って改善しないといった場合は自己判断で様子を見続けず、早めにご相談いただくことをお勧めします。特にアナフィラキシーが疑われる全身症状が出た際はためらわず救急を受診していただき、その後の体質管理についても専門医とともに対策を考えていきましょう。」
🎯 よくある質問
虫の唾液や毒液に含まれる異物タンパク質が体内に入ると、免疫細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出します。これにより毛細血管が拡張して血液成分が滲み出し、赤み・腫れ・熱感・かゆみといった炎症症状が現れます。刺された直後の「即時型反応」と、数時間〜数日後に現れる「遅延型反応」の2種類があります。
軽度〜中等度の腫れには、抗ヒスタミン成分を含む外用薬やステロイド外用薬が効果的です。ただし市販のステロイドは比較的弱いため、症状が強い場合は医師の処方薬が必要です。市販薬を使用しても2〜3日で改善しない場合や悪化する場合は、医療機関への受診をおすすめします。
刺された後に、全身のじんましん・顔や喉の腫れ・呼吸困難・動悸・めまい・意識の低下など複数の症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの疑いがあり、直ちに救急車を呼んでください。これらは命に関わる緊急状態であり、一刻を争います。エピペンを持っている方はすぐに使用してください。
子どもは免疫系が発達途上のため、蚊に刺されただけでも大きく腫れることがあります。まず患部を冷やし、搔きむしらないよう注意してください。市販薬は年齢制限があるため使用前に確認が必要です。腫れが広範囲に及ぶ・高熱を伴う・症状が長引く場合は、小児科や皮膚科への受診をおすすめします。
患部を搔きむしる・温める・口で吸うといった行為は症状を悪化させるため避けてください。搔くと二次感染のリスクが高まり、温めると腫れが増す可能性があります。また、ハチ刺されで患部を強く絞ったり、アルコールを塗ったりすることも逆効果です。市販薬の複数同時使用も成分の重複につながるため注意が必要です。
📋 まとめ
虫刺されによる腫れは、刺した虫の種類や個人の体質によって症状の程度が大きく異なります。軽度の腫れであれば、患部を冷やし清潔に保ちながら市販薬を適切に使うことで多くの場合は自然に回復します。しかし、腫れが広範囲にわたる場合・長期間改善しない場合・化膿している場合・全身症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
特にアナフィラキシーの兆候(全身のじんましん・喉の腫れ・呼吸困難など)が現れた際は一刻を争う状況であり、躊躇なく救急車を呼んでください。
虫刺されによるトラブルを最小限に抑えるには、日頃からの予防意識と正しい応急処置の知識を持つことが大切です。それでも症状が気になる場合や、適切な対処がわからない場合は、自己判断で対処し続けるのではなく、皮膚科やアレルギー科など専門の医療機関に早めに相談することをおすすめします。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されによる皮膚炎の症状・分類・治療方針(ステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬の使用指針、蜂窩織炎などの二次感染への対処法を含む)
- 国立感染症研究所 – マダニ媒介感染症(SFTS・日本紅斑熱・ライム病など)の病態・症状・予防策に関する公式情報
- 厚生労働省 – ハチ刺されによるアナフィラキシーを含む虫刺され全般の注意喚起・応急処置・受診の目安に関する公式情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務