
「気づいたら体に赤い発疹ができていた」「寝室でかゆみが続いてなかなか治らない」――このような経験をしたことがある方は少なくありません。ダニに刺されたあとは、数時間から数日後にかゆみや赤みが現れることが多く、症状が長引きやすいのが特徴です。ダニの種類によっては、発熱や全身症状を引き起こす感染症につながるケースもあるため、正しい知識を持って対処することが大切です。本記事では、ダニに刺されたあとに現れる症状の特徴から、自宅でできるケアの方法、病院を受診すべき状況まで、幅広く解説します。
目次
- ダニの種類と刺す原因
- ダニに刺されたあとの症状の特徴
- ダニに刺されたあとと他の虫刺されの違い
- ダニに刺されたあとにやってはいけないこと
- 自宅でできるケアと応急処置
- 市販薬の選び方と使い方
- ダニが媒介する感染症に注意が必要なケース
- 病院を受診すべきタイミングと診療科
- ダニに刺されないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
ダニに刺されたあとはかゆみや発疹が1〜2週間以上続きやすく、マダニによるSFTSや日本紅斑熱など重篤な感染症リスクもある。掻き壊しを避け、改善しない場合は早めに皮膚科を受診することが重要。
🎯 1. ダニの種類と刺す原因
ダニといっても、実際には非常に多くの種類が存在します。人を刺すダニとして代表的なものを知っておくことで、症状が現れたときに適切な対処がしやすくなります。
🦠 ツメダニ
日本の家庭で最もよく見られる吸血性のダニのひとつです。畳やカーペット、布団の中に潜み、エサとなるチリダニやコナダニを食べています。しかし、ダニの数が増えすぎると食べ物が減り、人を刺すようになります。梅雨から夏にかけてダニが増殖しやすく、刺されるケースが増加します。刺されやすい箇所は衣服に隠れた部位(腕・腹部・太もも・足首など)で、布団やソファに長時間触れている部位に症状が出やすいのが特徴です。
👴 マダニ
山・草むら・ペットの体毛などに潜む、比較的大型のダニです。吸血することで体を膨らませ、一度皮膚に噛みつくと数日間離れないこともあります。マダニは感染症(SFTSや日本紅斑熱など)を媒介することで知られており、アウトドア活動をする人や農業従事者が被害を受けることが多いです。
🔸 イエダニ
ネズミを宿主とするダニで、ネズミが家屋に侵入した場合にイエダニが人を刺すことがあります。夜間に吸血することが多く、腹部・太もも・腕などが刺されやすい部位です。
💧 チリダニ・コナダニ
これらのダニは直接人を刺すことは少ないですが、死骸や糞がアレルゲンとなり、アレルギー性皮膚炎や気管支喘息の原因となります。住居内に大量繁殖しやすく、アトピー性皮膚炎の悪化とも関連しています。
ダニが活動的になるのは、気温20〜30℃・湿度60〜80%程度の環境です。日本では6月〜9月の高温多湿な時期に特に増殖しやすく、この時期に刺されたあとの症状を訴える患者が増加します。
Q. ダニに刺されたあとの症状はどのくらい続く?
ダニに刺されたあとのかゆみや発疹は、蚊と異なり1〜2週間以上続くことが珍しくありません。これはダニの唾液成分に対する遅延型アレルギー反応によるもので、症状の出現も刺されてから数時間〜2日後と遅れる傾向があります。
📋 2. ダニに刺されたあとの症状の特徴
ダニに刺されたあとに現れる症状には、いくつかの共通した特徴があります。蚊に刺されたときとは異なり、症状の出方や持続期間に違いがあるため、「刺されたばかりなのにこんなに長引くの?」と驚く方も多いです。
✨ かゆみ
ダニに刺されたあとの最も代表的な症状です。刺されてすぐではなく、数時間〜1〜2日後にかゆみが強くなることが多いです。これはダニの唾液に含まれる成分(タンパク質・酵素など)に対するアレルギー反応が遅延型で起こるためです。かゆみは非常に強く、特に夜間に増すことがあります。
📌 赤みと膨疹(ぼうしん)
刺された部位に赤い丘疹(小さな盛り上がり)や膨疹(じんましんのような膨らみ)が現れます。中央に小さな刺し口が見えることもあります。複数箇所を刺されていることも多く、集中している場合や点々と広がっている場合があります。
▶️ 症状の持続期間
蚊に刺された場合は1〜2日で症状が治まることがほとんどですが、ダニに刺されたあとは1週間〜2週間以上かゆみや発疹が続くことが珍しくありません。繰り返し同じ環境で刺されていると症状が継続するため、「治ったと思ったらまた出てきた」という悪循環になりやすいです。
🔹 刺された部位の傾向
ツメダニやイエダニの場合、衣服で覆われている部位(腹部・背中・腕の内側・太もも・足首)に症状が出ることが多く、露出している顔や手には出にくい傾向があります。マダニの場合は、草むらに触れた部位(足・腕・首周辺)に噛みつくことが多く、毛髪の生え際なども要注意です。
📍 小児と高齢者での症状の違い
子どもや高齢者は皮膚が敏感なため、同じダニに刺されても症状が強く出やすい傾向があります。また、子どもはかゆみを我慢できずに掻きこわしてしまい、二次感染(とびひ)を起こすケースも見られます。
💊 3. ダニに刺されたあとと他の虫刺されの違い
ダニに刺されたあとの症状は、他の虫刺されと混同されることがあります。適切に対処するためにも、それぞれの特徴の違いを知っておきましょう。
💫 蚊との違い
蚊に刺された場合は刺された直後から強いかゆみと膨疹が現れ、1〜2日で治まるのが一般的です。一方ダニに刺されたあとは、症状の出現が遅れ(遅延型アレルギー)、かゆみや発疹が1〜2週間以上続くことがあります。露出部位に集中するのが蚊、衣服の内側に多いのがダニという点も判断の参考になります。
🦠 ノミとの違い
ノミも足首・すね・腕などを刺しますが、刺し口が点状でやや硬い丘疹となることが多いです。ペットを飼っている環境で発症しやすく、「足元を中心に刺された」「ペットに触った後から症状が出た」という場合はノミを疑うことがあります。
👴 南京虫(トコジラミ)との違い
近年増加が問題となっているトコジラミは、夜間に就寝中の人を刺します。一列または集中した形で複数箇所を刺すことが多く、「朝起きたら一直線に赤い発疹ができている」という特徴があります。宿泊施設や中古家具から持ち込まれることが多いです。
🔸 疥癬(かいせん)との違い
疥癬はヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる感染症で、ダニに「刺される」のとは異なります。強いかゆみ(特に夜間)と指の間・手首・陰部などへの線状の皮疹(疥癬トンネル)が特徴です。高齢者施設などで集団感染することもあり、皮膚科での診断・治療が必須です。
Q. マダニに刺されたあと病院へ行くべき症状は?
マダニに刺されたあと、38℃以上の発熱・全身倦怠感・筋肉痛・頭痛・嘔吐・下痢・刺し口周辺の黒いかさぶたや輪状の発疹が現れた場合は、SFTSや日本紅斑熱などの感染症が疑われます。重症化する危険があるため、速やかに医療機関を受診してください。
🏥 4. ダニに刺されたあとにやってはいけないこと
ダニに刺されたあとに「これをやってしまいがちだけれど、実は逆効果」という行動があります。症状を悪化させないためにも、以下の点に注意してください。
💧 強くかいてしまう
かゆみが強いため、無意識にかいてしまう方が非常に多いです。しかし、掻き壊してしまうと皮膚のバリア機能が壊れ、細菌が侵入して二次感染(とびひや蜂窩織炎)を起こすリスクが高まります。特に子どもは爪で皮膚を深く傷つけやすいため、爪を短く切っておくことも大切です。
✨ マダニを無理に引き抜こうとする
マダニが皮膚に噛みついている場合、無理にピンセットや指で引き抜こうとすると、マダニの口器が皮膚内に残ってしまったり、マダニの体液が逆流して感染症のリスクが高まったりすることがあります。マダニを発見した場合は、自己処置せずに医療機関を受診して取り除いてもらうことが推奨されています。
📌 熱いお湯をかける・熱を当てる
「熱でかゆみが取れる」という民間療法を試みる方がいますが、皮膚を傷める可能性があるためおすすめできません。炎症が強まって悪化するケースもあります。
▶️ 市販の消毒液を過剰に使用する
刺された部位に消毒液(アルコールや過酸化水素水)を多用しすぎると、皮膚が乾燥・刺激を受け、かえって炎症が続きやすくなります。傷口に軽く消毒する程度にとどめ、その後は適切なケアに移行することが大切です。
🔹 症状が続いているのに放置する
「ダニに刺されただけだから」と症状を放置していると、二次感染や感染症の発見が遅れるリスクがあります。かゆみや発疹が2週間以上改善しない場合や、発熱・リンパ節の腫れなど全身症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
⚠️ 5. 自宅でできるケアと応急処置
ダニに刺されたあとにまず行うべき応急処置と、日常的にできるセルフケアについて解説します。適切なケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。
📍 洗い流す
刺された部位を流水と石けんで優しく洗い流しましょう。ダニの唾液成分や付着した異物を洗い流すことで、アレルギー反応を軽減できる場合があります。ゴシゴシこすると皮膚を傷めるため、優しく洗うことがポイントです。
💫 冷やす
かゆみや炎症を和らげるために、保冷剤や冷水で濡らしたタオルを患部に当てることが効果的です。冷やすことで血管が収縮し、炎症物質の広がりを抑え、かゆみを緩和できます。ただし、直接氷を当て続けると凍傷のリスクがあるため、タオルなどで包んで使用しましょう。
🦠 掻かないための工夫
眠っている間に無意識に掻いてしまう場合は、薄手の手袋を着用したり、患部をガーゼや包帯で保護したりすることも一つの方法です。爪は短く切り、清潔に保つことも二次感染予防に役立ちます。
👴 保湿ケア
皮膚のバリア機能を維持するために、かゆみが落ち着いたら保湿剤を使用することも大切です。乾燥しているとかゆみを感じやすくなるため、適切な保湿は症状の緩和に貢献します。
🔸 環境の改善
同じ環境にいる限りダニに繰り返し刺されてしまうため、ダニの原因となる環境を改善することも並行して行いましょう。布団や枕の天日干し・洗濯、掃除機での丁寧な清掃、カーペットの除去などが効果的です(詳しくは第9章で解説します)。
Q. ダニに刺されたあと、やってはいけないことは?
ダニに刺されたあとは、患部を強く掻くことで皮膚のバリアが壊れ、とびひや蜂窩織炎などの二次感染を招く恐れがあります。またマダニが噛みついている場合、無理に引き抜くと口器が残ったり体液が逆流し感染リスクが高まるため、自己処置せず医療機関を受診することが重要です。
🔍 6. 市販薬の選び方と使い方
ダニに刺されたあとの症状を和らげるために、市販薬を活用することができます。ただし、症状の程度や部位によって適切な薬剤が異なるため、選び方を正しく理解することが大切です。
💧 外用ステロイド薬(塗り薬)
ダニに刺されたあとのかゆみや炎症には、ステロイド成分を含む外用薬が効果的です。市販薬には成分の強さ(ランクI〜V)があり、市販薬で入手できるのは主にランクIV・V(弱め〜中程度)のものです。顔や子どもへの使用、長期使用は皮膚に副作用が出る可能性があるため、用法・用量を守って使用することが重要です。
✨ 非ステロイド系の外用薬
クロタミトン(かゆみ止め成分)やジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分)を含む外用薬も市販されています。ステロイドを避けたい場合や、顔・粘膜近くへの使用に適している場合があります。ただし、ステロイド薬と比べると炎症を抑える効果は弱めです。
📌 内服の抗ヒスタミン薬
かゆみが強い場合や広範囲に及ぶ場合は、内服の抗ヒスタミン薬(アレルギー用内服薬)が有効なこともあります。眠気が出るタイプとそうでないタイプがあるため、日中と夜間で使い分けると良いでしょう。市販薬として購入できるものも多くありますが、長期間の使用は医師への相談が望ましいです。
▶️ 市販薬使用時の注意点
市販薬はあくまでも一時的な症状緩和を目的としたものです。1〜2週間使用しても改善が見られない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断での継続使用を避け、医療機関を受診することをおすすめします。また、妊娠中・授乳中の方、小さなお子さんへの使用は医師または薬剤師に相談してから行いましょう。
📝 7. ダニが媒介する感染症に注意が必要なケース

ダニに刺されたあと、皮膚症状だけでなく発熱や全身倦怠感などの症状が現れる場合は、ダニが媒介する感染症の可能性を考える必要があります。特にマダニによる感染症は重症化することもあるため、注意が必要です。
🔹 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSは、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることで感染するウイルス性感染症です。刺されてから6〜14日後に発症し、発熱・嘔吐・下痢・腹痛・筋肉痛などの症状が現れます。重症例では血小板数・白血球数が著しく減少し、死亡例も報告されている危険な感染症です。日本では西日本を中心に報告が増加しています。
📍 日本紅斑熱
リケッチア菌を持つマダニに刺されることで発症する感染症です。刺されてから2〜8日後に発熱・頭痛・発疹(紅斑)が現れます。早期に適切な抗菌薬治療を受けることで回復しますが、治療が遅れると重症化することがあるため、刺されたあとに発熱や発疹が現れた場合は速やかに医療機関を受診してください。
💫 ライム病
北米・ヨーロッパで多く見られるマダニ媒介性の感染症ですが、日本でも報告例があります。感染初期にマダニの刺し口を中心とした輪状の発疹(遊走性紅斑)が現れ、放置すると関節炎・神経症状・心疾患などを引き起こすことがあります。
🦠 つつが虫病
厳密にはダニではなく「ツツガムシ(Trombiculidae)」という別の分類のダニの仲間によって媒介される感染症ですが、関連して知っておくべき疾患です。草むらや川辺での活動後に発症することがあり、刺し口(黒い痂皮)・発熱・発疹が特徴的な症状です。リケッチア属菌が原因で、早期治療が重要です。
👴 感染症を疑うサインとは
マダニに刺されたあと、以下の症状が現れた場合は感染症の可能性を念頭に置いて、早急に医療機関を受診してください。
- 38℃以上の発熱が続く
- 全身の倦怠感・筋肉痛・頭痛
- 刺し口周辺に黒い痂皮(かさぶた)や輪状の発疹がある
- 嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状
- リンパ節の腫れ
- 意識障害・けいれん
Q. 室内でダニに繰り返し刺されないための対策は?
室内ダニ対策には、湿度を60%以下に保つ換気・除湿の徹底、布団や枕の定期的な天日干しと掃除機による死骸の除去、カーペットの週2回以上の丁寧な掃除機がけが効果的です。防ダニ加工のカバー類の活用も有効で、これらを継続することで繰り返し刺される状況を予防できます。
💡 8. 病院を受診すべきタイミングと診療科
「どのタイミングで病院に行けばいいの?」と迷う方も多いでしょう。ダニに刺されたあとの症状は自然に治まることもありますが、以下のような場合は医療機関への受診を検討してください。
🔸 受診を検討すべき症状・状況
- 市販薬を1〜2週間使用しても改善しない、または悪化している
- 掻き壊して二次感染(膿・黄色いかさぶた・熱感・腫れ)を起こしている
- マダニが皮膚に噛みついていて取れない
- マダニに刺されたあと発熱・全身症状がある
- 広範囲に発疹が広がっている
- 子どもや高齢者、免疫が低下している方が刺された場合
- アレルギー体質の方でかゆみや腫れが強い場合
💧 受診する診療科
皮膚症状が主な場合は皮膚科を受診するのが基本です。皮膚科ではダニ刺されの診断と、適切な強さのステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬の処方を受けることができます。二次感染が疑われる場合は抗菌薬の処方も行われます。
発熱や全身症状がある場合は内科・感染症科への受診が適切です。マダニに刺されたあとの場合は、特に感染症の検査・治療が必要になることがあります。子どもの場合は小児科への受診も選択肢に入ります。
✨ 受診時に伝えるべきこと
医師への問診をスムーズに行うために、以下の情報を整理しておくと良いでしょう。
- いつ頃から症状が出たか(刺された可能性のある時期)
- 最近の行動歴(アウトドア活動・山・草むらへの外出など)
- 症状が出ている部位と症状の程度
- ペットを飼っているか
- すでに使用した薬の種類
- アレルギーの既往歴
✨ 9. ダニに刺されないための予防策
ダニに刺されたあとの症状を繰り返さないためには、ダニそのものを減らす・刺されにくくする環境作りが大切です。室内環境の改善とアウトドア時の対策に分けて解説します。
📌 室内でのダニ対策
室内のダニ(ツメダニ・チリダニ・コナダニなど)を減らすためには、ダニが好む環境を作らないことが基本です。具体的には以下の対策が効果的です。
まず、定期的な換気と除湿が重要です。ダニは高温多湿を好むため、室内の湿度を60%以下に保つことでダニの繁殖を抑えられます。エアコンの除湿機能や除湿器の活用、こまめな換気を習慣にしましょう。
布団・枕・ぬいぐるみは定期的に天日干しまたは高温の乾燥機にかけましょう。ダニは60℃以上の熱で死滅するとされています。その後、掃除機でダニの死骸や糞を吸い取ることが重要です。死骸はアレルギーの原因にもなるため、天日干しと掃除機の両方を行うことが大切です。
カーペットや畳はダニが潜みやすい環境です。フローリングへの変更が難しい場合は、週に2回以上、ゆっくりと丁寧に掃除機がけを行いましょう。特に布団を敷いている場所や、ソファの下・際は念入りに掃除してください。
防ダニ加工の布団カバーやシーツを使用することも効果的です。ダニの侵入を物理的に防ぐカバー類が市販されており、ダニアレルギーや刺されやすい方に特に有効です。
ダニ駆除剤(くん煙タイプ・スプレータイプ)の活用も選択肢のひとつです。ただし、駆除後に死んだダニをしっかり除去しないとアレルゲンが残るため、駆除後の掃除機がけも忘れずに行いましょう。
▶️ アウトドア時のマダニ対策
山・草むら・農地などに出かける際は、マダニに刺されないための予防が重要です。
まず、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を最小限にしましょう。足首・手首・首回りはマダニが入り込みやすいため、ズボンを靴下の中に入れ、袖口をしっかり閉じることが有効です。明るい色の服装を選ぶと、ダニが付着したときに視認しやすくなります。
ディートまたはイカリジンを含む虫除け剤を、皮膚や衣服に塗布・噴霧することも効果的です。ディートは12歳未満の子どもへの使用に制限があるため、子どもにはイカリジン含有製品が推奨されています。
アウトドアから帰宅したら、速やかに着替えて入浴・シャワーを浴びることが大切です。頭皮・耳周り・首・脇・ひじの内側・足首・膝の裏など、マダニが潜みやすい部位を重点的に確認しましょう。衣服は60℃以上の熱湯で洗濯するか、乾燥機にかけるとよいでしょう。
🔹 ペット由来のダニ対策
犬や猫を飼っている場合、ペットがマダニやイエダニを持ち込む可能性があります。アウトドア活動後はペットの体も確認し、マダニが付いていた場合は動物病院で取り除いてもらいましょう。ペット用のダニ・ノミ予防薬を定期的に使用することも有効です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏から秋にかけてダニに刺されたあとの皮膚症状でご来院される患者様が増加する傾向にあり、「なかなかかゆみが治まらない」「市販薬を使っても改善しない」とお悩みの方を多くお見受けします。ダニ刺されは症状が長引きやすく、掻き壊しによる二次感染に発展するケースもあるため、セルフケアで改善が見られない場合は早めにご相談いただくことをお勧めします。また、マダニに刺された際はSFTSや日本紅斑熱などの感染症リスクもあるため、刺されたあとに発熱や全身症状が現れた場合は、躊躇せずすぐに医療機関を受診してください。」
📌 よくある質問
ダニに刺されたあとのかゆみは、刺された直後ではなく、数時間〜1〜2日後に現れることが多いです。これはダニの唾液成分に対する遅延型アレルギー反応によるものです。また、かゆみや発疹は1〜2週間以上続くことも珍しくなく、蚊刺されと比べて症状が長引きやすいのが特徴です。
自分でマダニを無理に引き抜こうとするのは危険です。口器が皮膚内に残ったり、マダニの体液が逆流して感染症リスクが高まる可能性があります。マダニを発見した場合は自己処置せず、速やかに皮膚科や内科などの医療機関を受診して、適切な方法で取り除いてもらうことを強くおすすめします。
かゆみや炎症には、ステロイド成分を含む外用薬が効果的です。かゆみが広範囲に及ぶ場合は内服の抗ヒスタミン薬も有効です。ただし、顔・子ども・妊娠中の方への使用は注意が必要なため、薬剤師に相談の上ご使用ください。市販薬を1〜2週間使用しても改善しない場合は、医療機関への受診をおすすめします。
マダニに刺されたあと、38℃以上の発熱・全身倦怠感・筋肉痛・頭痛・嘔吐・下痢・刺し口周辺の黒いかさぶたや輪状の発疹などが現れた場合は、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)や日本紅斑熱などの感染症の可能性があります。これらは重症化することもあるため、症状が出たら躊躇せず速やかに医療機関を受診してください。
室内ダニ対策として、以下が効果的です。①室内の湿度を60%以下に保つよう換気・除湿を徹底する、②布団や枕を定期的に天日干しまたは高温乾燥機にかけた後、掃除機でダニの死骸を除去する、③カーペットや畳を週2回以上丁寧に掃除機がけする、④防ダニ加工のカバー類を活用する。環境改善を継続することが繰り返し刺されることの予防につながります。
🎯 まとめ
ダニに刺されたあとの症状は、かゆみ・赤み・発疹が長期間続くのが特徴であり、蚊など他の虫刺されとは異なる点があります。刺されたあとにやってはいけないこと(掻きこわす・マダニを無理に取ろうとするなど)を避け、適切な応急処置とセルフケアを行うことが大切です。市販薬で症状を緩和しながら経過を見ることができますが、症状が長引く場合や、マダニに刺されたあと発熱などの全身症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
また、ダニに繰り返し刺されないためには、室内環境の改善(除湿・掃除・布団ケア)とアウトドア時の予防策(長袖着用・虫除け剤・帰宅後の確認)を組み合わせることが効果的です。ダニによる感染症(SFTS・日本紅斑熱など)は重症化する可能性があるため、マダニに刺されたあとは特に注意して体調の変化を観察してください。
皮膚のかゆみや発疹が気になる方、症状が改善しない方は、アイシークリニック東京院にお気軽にご相談ください。適切な診断と治療で、早期の症状改善をサポートいたします。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – マダニ対策や刺されたあとの注意事項、SFTSを含むダニ媒介感染症の予防策・症状に関する公式情報
- 国立感染症研究所 – 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・日本紅斑熱・ライム病・つつが虫病などダニが媒介する感染症の疫学情報・症状・診断基準に関する詳細情報
- 日本皮膚科学会 – ダニ刺されによる皮膚症状(かゆみ・発疹・膨疹)の特徴、外用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬の適切な使用方法、疥癬との鑑別など皮膚科学的な診療指針に関する情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務