
アウトドアや山歩き、草むらでの作業後に「何かに噛まれたかも」と感じたとき、真っ先に疑うべきのがマダニです。マダニは皮膚にしっかりと食い込んで長時間吸血するため、気づかないまま数日が経過することも珍しくありません。噛まれた跡は一見すると虫刺されと区別がつきにくく、「これはマダニ?」「それとも別の虫?」と判断に迷う方も多いでしょう。本記事では、マダニに噛まれた跡の特徴を詳しく解説するとともに、正しい対処法や病院を受診すべきタイミングについてわかりやすくお伝えします。
目次
- マダニとはどんな生き物?基本的な特徴を知っておこう
- マダニに噛まれた跡の特徴・見た目の変化
- ほかの虫刺されとの見分け方
- マダニに噛まれたときの症状の経過
- マダニが媒介する感染症と危険性
- マダニに噛まれたときの正しい対処法
- 絶対にやってはいけないNG行為
- 病院を受診すべきタイミングと診療科
- マダニに噛まれないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
マダニ噛まれ跡は暗褐色の突起物で痛み・かゆみが少なく気づきにくい。SFTS・日本紅斑熱等の重篤感染症を媒介するため、発見時は熱や無理な引き抜きを避け、速やかに皮膚科等の医療機関を受診することが重要。
🎯 マダニとはどんな生き物?基本的な特徴を知っておこう
マダニは昆虫ではなく、クモやサソリと同じ節足動物の「ダニ目」に属する生き物です。日本では主にフタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、オオトゲチマダニなど複数の種類が生息しており、山林や草むら、農耕地などに広く分布しています。
成虫の大きさは吸血前で3〜4ミリ程度ですが、吸血が進むにつれてふくらみ、最大で1センチほどの大きさになります。体の色は茶褐色から赤褐色が多く、足が8本あります。春から秋にかけて活動が活発になりますが、特に4月〜9月が最も活動する時期です。冬でも暖かい日には活動することがあるため、一年中注意が必要です。
マダニは動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)の血液を栄養源にしており、人間も例外ではありません。草の葉先や低木の枝先などで待ち伏せし、近くを通った動物や人間に接触すると素早く体に取り付きます。その後、皮膚の薄い部分を選んで口器(口吻)を差し込み、数日から1〜2週間もの間、同じ場所で吸血し続けます。
マダニの口器には細かいとげのようなものがあり、一度食い込むと自然に抜けにくい構造になっています。また、吸血時に麻酔作用のある唾液を注入するため、噛まれても痛みをほとんど感じず、気づかないことが多いのです。
Q. マダニに噛まれた跡はどのような見た目ですか?
マダニに噛まれた跡は、吸血中は直径3〜4ミリの暗褐色の突起物として皮膚に付着して見え、「ほくろ」や「イボ」と間違われることがあります。脱落後は中心に針で刺したような小さな穿刺点があり、周囲に直径1〜3センチの円形の赤みが生じます。かゆみや痛みが少ないため気づきにくいのが最大の特徴です。
📋 マダニに噛まれた跡の特徴・見た目の変化
マダニに噛まれた跡は、噛まれた直後と時間が経過した後で見た目が変化します。各段階の特徴を理解しておくことで、早期に気づくことができます。
🦠 噛まれている最中(吸血中)の見た目
吸血中のマダニは皮膚にしっかりとくっついているため、皮膚の表面からマダニ本体が見えます。吸血が始まったばかりの時期は、直径3〜4ミリ程度の暗褐色または赤茶色の小さな突起物のように見えます。これを「イボができた」「ほくろが増えた」と勘違いする方も多くいます。
吸血が2〜3日経過すると、マダニの体が血液でふくらんで半球状になり、直径5〜8ミリほどになります。色はやや灰色〜青みがかった茶色になることもあります。マダニの周囲の皮膚は軽く赤くなっていることがありますが、この時点ではかゆみや痛みをほとんど感じないのが特徴です。
さらに吸血が続くと、マダニは1センチ近くまでふくらみ、まるで皮膚に「豆粒」がついているかのような外観になります。ここまでくると、さすがに気づく方がほとんどですが、発見が遅れるほど感染リスクが高まります。
👴 マダニが取れた後(脱落後)の跡
マダニが自然に脱落した後や、適切な方法で除去した後に残る跡には次のような特徴があります。
噛まれた部位の中心には、針で刺したような小さな穿刺点(せんしてん)が見られます。その周囲は直径1〜3センチほどの赤い円形の腫れ(紅斑)ができることが多く、触れると少し硬さを感じることもあります。この段階でかゆみや軽い痛みが出始める方もいます。
数日から1週間が経過すると、赤みが徐々に広がってくる場合があります。特に注意が必要なのが、赤みが同心円状に広がる「遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)」と呼ばれるパターンです。これはライム病感染の可能性を示す重要なサインです。
一方、感染症を伴わない単純な噛まれ跡は、1〜2週間程度で赤みが引いていきます。ただし、かゆみや硬結(こうけつ)が長期間残ることもあります。
🔸 よく噛まれる体の部位
マダニは皮膚が薄くて柔らかく、見つけにくい部位を好んで噛みます。特に多いのは以下の場所です。
頭部(髪の生え際・耳の周囲)、わきの下、肘の内側、股間・鼠径部(そけいぶ)、膝の裏、足首周辺などが代表的な部位です。これらの場所は自分では確認しにくいため、アウトドア後は入浴時に全身をくまなくチェックする習慣をつけることが重要です。特に小さなお子さんは自分で確認できないため、保護者が入念に確認してあげてください。
💊 ほかの虫刺されとの見分け方
マダニに噛まれた跡は、他の虫刺されと混同されやすいため、いくつかのポイントで見分ける必要があります。
💧 蚊に刺された跡との違い
蚊に刺された跡は、刺された直後から強いかゆみが生じ、膨隆疹(ぼうりゅうしん)と呼ばれる白っぽい盛り上がりができます。数時間で赤みに変わり、1〜3日以内に症状が軽快するのが一般的です。また、蚊は血を吸い終わると飛び去るため、刺された後に虫体が残ることはありません。これに対してマダニは虫体が皮膚に残り、かゆみが少ないという点で大きく異なります。
✨ アブ・ブユに刺された跡との違い
アブやブユ(ブヨ)に刺された跡は、大きく腫れて強いかゆみや痛みを伴うことが多く、場合によっては水ぶくれができることもあります。刺された直後から症状が出始め、かゆみが非常に強いのが特徴です。マダニとは異なり、刺されたその場で「何かにやられた」と気づくことが多い虫です。
📌 ツツガムシとの違い
ツツガムシはマダニと同じダニの仲間ですが、幼虫が人を刺します。刺された跡には「刈り口(かりくち)」と呼ばれる特徴的な黒いかさぶたが形成されるのが特徴で、周囲に赤い発疹が広がることもあります。ツツガムシ病という感染症を引き起こす可能性があり、マダニとは媒介する病気が異なります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、アウトドアや農作業の後に「ほくろのようなものが突然できた」と気づいてご来院される患者様が一定数いらっしゃいますが、実際にはマダニが吸血中であったというケースも少なくありません。マダニによる感染症は潜伏期間があるため、噛まれた直後は症状がなくても安心せず、早めにご相談いただくことが重要です。噛まれた際には熱を当てたり無理に引き抜いたりせず、まず医療機関にお越しいただくことで、安全に除去し適切なフォローアップをご案内できますので、少しでも気になる症状があればお気軽にご相談ください。」
Q. マダニが媒介する主な感染症と危険性は?
マダニが媒介する主な感染症には、致死率6〜30%で特効薬のないSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、抗菌薬で治療可能な日本紅斑熱・ライム病、重症化すると後遺症が残るダニ媒介脳炎などがあります。いずれも噛まれてから1〜3週間の潜伏期間があるため、症状がなくても早期に医療機関へ相談することが重要です。
🏥 よくある質問
マダニ噛まれの特徴は、皮膚に暗褐色の小さな突起物(虫体)が付着していること、かゆみや痛みがほとんどないこと、噛まれた跡が数日以上同じ場所に残ることです。アウトドアや草むらへの立ち入り歴がある場合は特に疑い、頭部・わきの下・股間・膝の裏など皮膚が薄い部位を重点的に確認してください。
原則として、皮膚科や外科などの医療機関での除去が最も安全です。やむを得ず自己処理する場合は、先の細いピンセットでマダニの口部分をつかみ、ゆっくり均等に引き上げてください。ねじったり急に引っ張ったりすると口器が皮膚内に残る恐れがあります。自己処理後も翌日以降に医療機関を受診することをおすすめします。
主に4つのNG行為があります。①素手で無理やり引き抜く(体液が皮膚に入り感染リスクが上がる)、②タバコの火や熱を近づける(口器がさらに深く刺さる危険がある)、③アルコールやワセリンを塗る(マダニが嘔吐して病原体が体内に入る恐れがある)、④取り除いたマダニをすぐに捨てる(種類の同定に必要なため保管が必要)です。
噛まれてから1〜3週間後に、38度以上の発熱・強い頭痛・全身の倦怠感・筋肉痛・発疹・食欲不振・吐き気などの症状が現れた場合は速やかに受診してください。また、噛まれた跡の周囲に赤みが同心円状に広がる場合もライム病のサインのため要注意です。受診の際は必ずマダニに噛まれた事実を医師に伝えてください。
主な予防策は3つです。①服装で守る:長袖・長ズボンを着用し、裾を靴下に入れて肌の露出を最小限にする。②虫よけ剤を使う:ディートやイカリジン含有の忌避剤を皮膚や服に塗布する。③帰宅後にチェックする:アウトドア後は全身をくまなく確認し、できるだけ早くシャワーを浴びて着用した服はすぐに洗濯することが重要です。
▶️ マダニと判断するポイントまとめ
マダニによるものと考えられるケースでは、次のような状況が複数当てはまることが多いです。アウトドアや草むらへの立ち入り歴がある、噛まれた部位に虫体が付着している(または最近まで付着していた)、痛みやかゆみがほとんどない、噛まれた跡が数日以上同じ場所に残っている、といった点が参考になります。これらに当てはまる場合は、マダニを疑って早めに医療機関に相談することをおすすめします。
⚠️ マダニに噛まれたときの症状の経過
マダニに噛まれた後の症状は、個人差がありますが一般的に以下のような経過をたどります。
🔹 噛まれてから数日間
吸血中は多くの場合、ほぼ無症状です。マダニの唾液に含まれる麻酔様物質の働きにより、痛みやかゆみをほとんど感じません。この時期に発見するには、全身をくまなくチェックするか、偶然に皮膚の異変を感じることが必要です。
📍 マダニが取れた後から1〜2週間
マダニが脱落または除去された後、噛まれた部位に軽い赤みと腫れが現れます。かゆみや軽い痛みを感じる人もいます。感染症が起きていない場合は、この時期から症状が徐々に回復に向かいます。一方、感染症を発症した場合は、2〜3週間後から全身症状が現れることがあります。
💫 感染症が疑われる症状
マダニに噛まれてから1〜3週間後に以下のような症状が現れた場合は、感染症の可能性を考えて速やかに医療機関を受診してください。38度以上の発熱が続く、強い頭痛や全身のだるさがある、筋肉痛や関節痛がある、発疹(体幹から四肢にかけて広がる)が出現する、食欲不振・吐き気・下痢などの消化器症状がある、といった症状が代表的です。
Q. マダニを発見したときの絶対にやってはいけない行為は?
マダニを発見した際にやってはいけない行為は主に4つあります。①素手で無理やり引き抜く(体液から感染リスクが上がる)、②タバコの火や熱を近づける(口器がさらに深く刺さる)、③アルコールやワセリンを塗る(マダニが嘔吐し病原体が体内に入る恐れがある)、④取り除いたマダニをすぐに捨てる(種類の同定に必要なため保管が必要)です。
🔍 マダニが媒介する感染症と危険性
マダニは単に吸血するだけでなく、いくつかの深刻な感染症を媒介することが知られています。日本で特に注意が必要な感染症を解説します。
🦠 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSはフレボウイルス属のウイルスによって引き起こされる感染症で、日本では2013年に初めて確認されました。主にフタトゲチマダニが媒介するとされています。潜伏期間は6〜14日で、発熱・消化器症状(嘔気・嘔吐・下痢・腹痛)・出血傾向・リンパ節腫脹などが主な症状です。血小板や白血球の減少が見られるのが特徴的で、致死率は6〜30%と高く、特に高齢者や免疫が低下している方では重症化しやすい危険な感染症です。現時点では特効薬やワクチンがなく、対症療法が中心となります。
👴 日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)
日本紅斑熱はリケッチアという細菌の一種が原因で、マダニに噛まれることで感染します。潜伏期間は2〜8日で、急な発熱・頭痛・全身の倦怠感に加え、体幹から四肢に広がる発疹(紅斑)が現れます。噛まれた跡に黒いかさぶたができることもあります。適切な抗菌薬治療で回復しますが、治療が遅れると重症化することがあります。
🔸 ライム病
ライム病はボレリアという細菌が原因で、海外(特に欧米)では一般的な感染症ですが、日本でも北海道を中心に報告例があります。初期症状として、噛まれた跡から同心円状に広がる「遊走性紅斑」と呼ばれる皮膚症状が特徴的です。治療せずに放置すると関節炎・神経症状・心臓の異常などが現れることがあります。早期であれば抗菌薬で治療可能です。
💧 ダニ媒介脳炎
ダニ媒介脳炎ウイルスによる感染症で、日本では北海道で患者が確認されています。発熱・頭痛・筋肉痛などインフルエンザ様症状から始まり、一旦回復したように見えた後に再び発熱して脳炎・髄膜炎を発症するのが特徴です。重症化した場合、後遺症が残ることや命に関わることもあります。
✨ 感染リスクを左右する要因
感染症への感染リスクは、マダニが皮膚に付着していた時間と密接に関係しています。一般的に、マダニが吸血を始めてから病原体が体内に入るまでには数時間以上かかるとされており、早期に発見して取り除くことがリスク低減につながります。ただし、SFTSのウイルスは短時間の吸血でも感染する可能性があるという報告もあるため、過信は禁物です。
📝 マダニに噛まれたときの正しい対処法
マダニを発見した場合、適切に対処することが重要です。自己処理をするか、医療機関を受診するかの判断も含めて解説します。
📌 まず確認すること
マダニが皮膚に付着していることを確認したら、まずパニックにならず落ち着いて行動することが大切です。噛まれた部位の写真を撮影しておくと、後から医師に説明する際に役立ちます。また、いつ頃から付いていたか(最後にアウトドア活動をした日時)を記録しておきましょう。
▶️ 医療機関での処置が最善
マダニの除去は、できれば皮膚科や外科などの医療機関で行ってもらうのが最も安全です。医療機関では専用の器具を使って、マダニの口器を皮膚に残さないよう適切に除去してくれます。除去後には傷の処置も行われ、必要に応じて感染症の検査や予防的な抗菌薬の処方がなされることもあります。
🔹 やむを得ず自己処理する場合
休日や夜間などで医療機関への受診が難しい場合に限り、自己処理を検討する場合があります。その際は、先の細いピンセット(医療用の眼科ピンセットなどが理想的)を使います。マダニの口部分(皮膚の際の部分)をしっかりとつかみ、引き抜く方向に向けてゆっくりと均等に引き上げます。ねじったり急に引っ張ったりすると、口器が皮膚内に残ってしまう恐れがあるため注意が必要です。
除去後は流水でよく洗い、アルコール消毒を行います。取り除いたマダニは捨てずに密封できる袋に保管しておくと、後から種類を確認したり医師に見せたりすることができます。自己処理後も、症状の有無にかかわらず翌日以降に医療機関を受診することをおすすめします。
📍 除去後の経過観察
マダニを除去した後は、少なくとも1か月間は体調の変化に注意してください。発熱・発疹・倦怠感などの症状が現れた場合は、マダニに噛まれたことを医師に伝えた上で速やかに受診してください。これらの情報は、適切な診断と治療に欠かせません。
Q. マダニ対策に効果的な予防策を教えてください。
マダニへの効果的な予防策は3つです。①服装で守る:長袖・長ズボンを着用し、ズボンの裾を靴下に入れて肌の露出を最小限にする。②虫よけ剤を使う:ディートやイカリジン含有の忌避剤を皮膚や服に塗布する。③帰宅後にチェックする:頭部・わきの下・股間・膝の裏など皮膚が薄い部位を重点的に確認し、早めにシャワーを浴びて着衣はすぐ洗濯する。
💡 絶対にやってはいけないNG行為
マダニへの対処において、善意で行う行為が逆効果になることがあります。以下のNG行為は必ず避けてください。
💫 マダニを無理やりつまんで引っ張る
素手でつまんで強引に引き抜こうとすると、マダニの体が破裂してマダニの体液が皮膚内に入り込み、感染リスクが高まります。また、口器が皮膚の中に残ってしまうと、異物反応を起こして化膿する原因になります。
🦠 タバコの火や熱を近づける
「熱を加えるとマダニが自然に抜ける」という俗説がありますが、これは誤りです。熱刺激によってマダニが驚いて口器を皮膚の中でさらに深く食い込ませる場合があり、危険です。また、体液が逆流して感染リスクが高まる可能性もあります。
👴 アルコールやワセリンなどを塗る

アルコールやワセリン、油などをマダニに塗って窒息させようとする方法も推奨されていません。刺激を受けたマダニが嘔吐することで、病原体を含む消化物が体内に注入される危険性があります。
🔸 マダニをすぐに捨てる・踏みつぶす
取り除いたマダニをすぐに捨てたり、踏みつぶしたりするのは避けてください。後から医師にマダニの種類を同定してもらうことで、感染しやすい病気の絞り込みに役立ちます。ジッパー付きの袋などに入れて保管しておきましょう。
💧 症状がないからと経過観察だけで放置する
マダニによる感染症は、噛まれてから症状が出るまでに1〜3週間の潜伏期間があります。「今は症状がないから大丈夫」と自己判断して放置すると、発症したときに原因をマダニと結びつけられず、診断が遅れることがあります。噛まれたことがわかった時点で医療機関に相談し、記録を残しておくことが重要です。
✨ 病院を受診すべきタイミングと診療科
マダニに噛まれた際、どのタイミングで、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。受診の目安を整理します。
✨ すぐに受診すべき状況
マダニが現在皮膚に付着している場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。また、マダニを自分で除去しようとしてうまくいかなかった場合(口器が残った可能性がある場合)も、早急な受診が必要です。
📌 数日以内に受診すべき状況
マダニを自分で除去できたとしても、噛まれた事実を医師に伝えるために受診することを強くおすすめします。噛まれた部位に強い赤みや腫れが出てきた場合、または周囲に赤みが広がってきた場合は早めに受診してください。
▶️ 1〜3週間後に症状が出た場合
マダニに噛まれてから1〜3週間後に発熱・発疹・頭痛・倦怠感・消化器症状などが現れた場合は、マダニに噛まれたことを医師に伝えて受診してください。感染症の可能性を考慮した検査・治療が必要になります。
🔹 受診する診療科
マダニの除去が目的であれば皮膚科や外科が対応しやすいでしょう。感染症の症状が出ている場合は、感染症内科(感染症科)や内科を受診するのが適切です。どこに行けばよいかわからない場合は、かかりつけ医に相談するか、救急外来に電話で問い合わせてから受診することをおすすめします。
受診の際には、いつ・どこで(どのような場所での活動後か)噛まれたか、マダニが付着していた時間はどのくらいか、現在の症状はどうかを医師に伝えることが診断の助けになります。取り外したマダニを持参できれば、さらに詳しい情報提供ができます。
📌 マダニに噛まれないための予防策
マダニによる被害を防ぐためには、活動前の対策と活動後のチェックが重要です。予防策を徹底することで、マダニに噛まれるリスクを大幅に減らすことができます。
📍 服装で身を守る
山林や草むらに入る際は、肌の露出を最小限にする服装が基本です。長袖・長ズボンを着用し、靴下と長靴(またはハイキングシューズ)を合わせることで、マダニが皮膚に到達しにくくなります。シャツはズボンの中に入れ、ズボンの裾は靴下の中に入れるとさらに効果的です。白や明るい色の服を選ぶと、付着したマダニを発見しやすくなります。
💫 虫よけ剤を使用する
ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を含む虫よけ剤は、マダニに対しても忌避効果があります。露出している皮膚や服の表面に塗布・噴霧しておくことで、マダニの接触を防ぐ効果が期待できます。使用する際は製品の用法・用量を守り、小さなお子さんへの使用には濃度に注意してください。
🦠 活動後のチェックを徹底する
アウトドア活動から帰宅したら、できるだけ早く全身をチェックすることが大切です。特にマダニが好む部位(頭部・髪の生え際・耳の後ろ・わきの下・股間・膝の裏・足首周辺など)を重点的に確認してください。一人で確認できない場所は、家族にチェックしてもらいましょう。
帰宅後はできるだけ早くシャワーを浴びることもおすすめです。皮膚にしっかり食い込んでいない段階のマダニは、シャワーで流れることもあります。また、着ていた服はすぐに洗濯するか、袋に入れて密封してからビニール袋に分けておくことで、室内へのマダニの持ち込みを防げます。
👴 活動場所への注意
マダニは草の葉先や低木の枝先に集まっていることが多いため、草むらや藪の中に入ることは避けましょう。ハイキングコースを外れて草むらに立ち入る際は特に注意が必要です。地面に直接座る際はレジャーシートなどを使い、肌が地面や草に直接触れないようにしましょう。
🔸 ペットへの注意
犬や猫などのペットがいる家庭では、ペットを経由してマダニが室内に持ち込まれることがあります。草むらで遊んだ後のペットは全身をよくチェックし、定期的にダニ予防の薬(動物病院で処方される予防薬)を使用することを検討してください。
🎯 まとめ
マダニに噛まれた跡は、吸血中は暗褐色の小さな突起物として見え、脱落後は中心に穿刺点がある円形の赤みとして現れます。かゆみや痛みが少ないため気づきにくいのが最大の特徴です。蚊やアブなどほかの虫刺されとの違いを理解し、アウトドア後は全身を丁寧にチェックする習慣をつけることが早期発見につながります。
マダニはSFTS・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎など、重篤になりえる感染症を媒介する可能性があります。特にSFTSは致死率が高く、早期発見・早期治療が予後を左右します。噛まれた場合は適切な方法でマダニを除去し、医療機関に相談することが重要です。熱を加えたり、無理やり引き抜いたりするNG行為は逆効果になるため避けてください。
「マダニかもしれない」と感じたら、一人で判断せず専門の医療機関に相談することをおすすめします。アイシークリニック東京院では皮膚に関するお悩みについてご相談を承っております。症状でお困りの際はお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – マダニ対策・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)に関する注意喚起、噛まれた際の対処法、予防策についての公式情報
- 国立感染症研究所 – SFTSをはじめとするマダニ媒介感染症(日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎)の病原体・症状・疫学・治療に関する詳細な感染症情報
- CDC(米国疾病予防管理センター) – マダニの種類・生態・噛まれた際の除去方法・媒介感染症に関する国際的な科学的根拠に基づく情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務