
「とびひ」と聞くと、多くの方が子どもの病気というイメージを持つのではないでしょうか。確かにとびひは乳幼児や小学生に多い皮膚感染症ですが、大人にも発症することがあります。特に免疫力が低下しているときや、皮膚に傷やかぶれがあるときは注意が必要です。大人のとびひは子どもと比べて症状が重くなりやすく、また仕事や家庭での感染リスクも気になるところです。この記事では、大人がとびひを発症したときの初期症状から治療法、感染予防まで詳しく解説します。「もしかしてとびひかもしれない」と感じている方や、周囲に感染者がいる方にとっても参考になる情報をお届けします。
目次
- とびひとはどんな病気?基本的な知識を整理する
- 大人がとびひになる原因と感染経路
- 大人のとびひ初期症状の特徴
- とびひの2つのタイプと症状の違い
- 大人のとびひが重症化しやすい理由
- とびひと似た他の皮膚疾患との見分け方
- とびひの診断方法と受診のタイミング
- とびひの治療法:外用薬と内服薬
- 日常生活での注意点と感染拡大を防ぐ方法
- とびひを予防するためのスキンケア
- まとめ
この記事のポイント
とびひは大人にも発症し、免疫低下や基礎疾患がある場合は重症化しやすい。初期症状は急速に広がる赤みや水ぶくれで、早期の皮膚科受診と抗菌薬治療、タオル共有禁止などの感染対策が重要。
🎯 とびひとはどんな病気?基本的な知識を整理する
とびひは、正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれる皮膚の細菌感染症です。名前の通り、火の粉が飛び散るように皮膚の症状があちこちに広がっていくことから「とびひ」という通称がついています。
原因となる細菌は主に黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌(溶連菌)の2種類です。これらの細菌が皮膚の傷やかぶれ、虫刺されなどの部位から侵入して繁殖し、水ぶくれや膿をもつ状態を引き起こします。患部を搔いてしまった手で他の部位に触れることで、症状が体の別の場所へと次々に広がっていくのが特徴です。
とびひは夏に多く発症する傾向があります。これは高温多湿の環境で細菌が繁殖しやすくなるためです。汗をかくことで皮膚のバリア機能が低下し、蚊などの虫に刺されやすい季節でもあることが重なり、夏は感染リスクが高まる時期といえます。
とびひは接触感染する病気であるため、同じタオルや衣類を共有したり、皮膚同士が直接触れたりすることで他の人にも感染する可能性があります。感染力が比較的強いため、家族内や集団生活の場での拡大に注意が必要です。
Q. とびひの原因菌と2つのタイプの違いは何ですか?
とびひには「水疱性膿痂疹」と「痂皮性膿痂疹」の2タイプがあります。水疱性は主に黄色ブドウ球菌が原因で日本の約70〜80%を占め、大きな水ぶくれが特徴です。痂皮性は溶連菌が原因で厚いかさぶたを形成し、発熱やリンパ節の腫れなど全身症状を伴いやすく、急性糸球体腎炎を合併するリスクもあります。
📋 大人がとびひになる原因と感染経路
とびひは子どもに多い病気ですが、大人が発症しないわけではありません。大人の場合、次のような状況でとびひを発症しやすくなります。
まず、免疫力の低下が大きなリスク要因となります。過労や睡眠不足、ストレス、風邪など体の免疫機能が落ちているときは、細菌への抵抗力も弱まります。糖尿病の患者さんや、ステロイドなどの免疫抑制剤を服用している方も注意が必要です。
次に、皮膚のバリア機能の低下が挙げられます。アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎、乾燥肌など、皮膚に炎症や傷がある場合は細菌が侵入しやすい状態になっています。虫刺されをかき壊した傷口や、カミソリ負けによる小さな傷も感染の入り口となります。
感染経路という点では、感染した子どもやペットとの接触、あるいは感染者が使ったタオル・寝具・衣類などを介した間接的な感染が考えられます。特に小さな子どもを持つ親御さんは、子どもがとびひになったときに自分も感染してしまうケースが少なくありません。
また、スポーツや格闘技など皮膚同士が密着する機会が多い活動も感染リスクを高めます。柔道や相撲、レスリングなどのコンタクトスポーツを行う方は特に注意が必要です。さらに、医療や介護の現場で働く方も感染リスクにさらされやすい環境にあります。
日頃の衛生管理が不十分な場合も感染リスクは高まります。こまめな手洗いや爪を短く切っておくこと、皮膚を清潔に保つことが予防の基本となります。
💊 大人のとびひ初期症状の特徴
大人がとびひを発症した場合、初期症状は子どもと共通している部分もありますが、いくつかの点で異なる特徴があります。大人の初期症状を正しく理解することで、早期発見・早期治療につながります。
とびひの初期症状として最初に現れることが多いのは、皮膚の小さな赤みやかゆみです。虫刺されやかぶれのような見た目から始まることが多く、この段階では一般的な皮膚トラブルとの区別が難しいことがあります。しかし、通常の虫刺されと違うのは、症状が急速に変化・拡大していく点です。
赤みが出た部位に水ぶくれ(水疱)が形成されることが多く、これが破れると表面が湿ったびらん状態になります。このびらん部位から染み出てくる液体(浸出液)に大量の細菌が含まれており、これが手や衣類を介して他の部位に付着することで感染が広がっていきます。
大人の場合、子どもよりも痛みやかゆみを強く感じる傾向があると言われています。かゆみが強いため無意識に搔いてしまいやすく、それによって症状が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
発症しやすい部位は顔・首回り・手・腕など露出している部位が多いですが、全身どこにでも発症する可能性があります。特に皮膚が薄く傷つきやすい顔周りや、汗をかきやすいわきの下、膝の裏などのような部位は要注意です。
初期の段階では発熱などの全身症状は現れないことが多いですが、感染が広範囲に及んだり、溶連菌が原因の場合には発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。このような全身症状が現れた場合は早急に医療機関を受診することが重要です。
Q. 大人のとびひ初期症状はどのように現れますか?
大人のとびひは、最初に皮膚の小さな赤みやかゆみが現れ、虫刺されやかぶれと区別しにくい状態から始まります。その後、水ぶくれが形成されて破れ、湿ったびらん状態になります。症状が急速に広がる点が虫刺されとの大きな違いです。大人は子どもより痛みやかゆみを強く感じる傾向があり、かき壊しによる悪化に注意が必要です。
🏥 とびひの2つのタイプと症状の違い
とびひには大きく分けて2つのタイプがあります。「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」です。この2つは原因となる細菌が異なり、症状の現れ方にも違いがあります。
水疱性膿痂疹は主に黄色ブドウ球菌が原因で起こります。日本でのとびひの約70〜80%がこのタイプとされています。比較的大きな水ぶくれが特徴で、水疱の中の液体は最初は透明または薄い黄色ですが、やがて濁ってきます。水疱は破れやすく、破れた後にはびらんが残ります。かゆみは強いものの、痛みはさほど強くないことが多いです。乳幼児に多いタイプですが、大人にも発症します。
痂皮性膿痂疹は主に溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因で起こります。黄色ブドウ球菌が混合感染しているケースも多く見られます。こちらのタイプは水疱ではなく、膿をもつ小さな丘疹(小さな盛り上がり)から始まることが多く、やがて厚いかさぶた(痂皮)を形成するのが特徴です。かさぶたは黄色〜茶色っぽい色調をしており、見た目としては少し異なる印象を与えます。
痂皮性膿痂疹は水疱性に比べて、発熱やリンパ節の腫れなどの全身症状を伴いやすい傾向があります。また、まれに急性糸球体腎炎(腎臓の炎症)の合併症を引き起こすことがあるため、適切な治療が特に重要です。大人のとびひでは痂皮性タイプがやや多い傾向があるとも言われており、症状が重くなりやすいことが懸念されます。
どちらのタイプも初期症状での見分けは難しく、自己判断は禁物です。正確なタイプを診断するためにも、皮膚科への早期受診をおすすめします。
⚠️ 大人のとびひが重症化しやすい理由
大人のとびひは、子どもと比べて重症化するリスクが高いと言われています。その理由をいくつか解説します。
まず、受診が遅れやすいという問題があります。「とびひは子どもの病気」というイメージが強いため、大人が発症してもとびひだと気づかず、虫刺されや湿疹として放置してしまうことがあります。その結果、治療の開始が遅れ、感染が広範囲に拡大してしまうケースが少なくありません。
次に、基礎疾患の影響があります。大人の場合、糖尿病・肝臓病・腎臓病・アトピー性皮膚炎など、皮膚のバリア機能を低下させたり免疫力を落としたりする基礎疾患を抱えているケースがあります。これらの疾患がある場合、細菌への抵抗力が弱く感染症が重篤化しやすい状態です。
また、抗菌薬への耐性菌の問題も無視できません。近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌によるとびひが増加しており、通常の抗菌薬が効きにくいケースがあります。耐性菌による感染では治療に時間がかかり、症状が遷延することがあります。
さらに、皮膚の老化という要因もあります。年齢とともに皮膚のバリア機能は低下し、乾燥や小さな傷ができやすくなります。特に50代以降の方は皮膚の防御機能が落ちているため、感染が広がりやすい傾向があります。
重症化した場合の合併症としては、蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮膚の深部への細菌感染)、急性糸球体腎炎、敗血症などが挙げられます。これらの合併症は重篤であり、入院治療が必要となることもあるため、早期受診と適切な治療が極めて重要です。
🔍 とびひと似た他の皮膚疾患との見分け方
大人がとびひを疑った場合、他の皮膚疾患と症状が似ていることがあり、自己判断が難しいことがあります。ここでは、とびひと混同されやすい代表的な皮膚疾患との違いを説明します。
まず、帯状疱疹との違いです。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症で、体の一側面にのみ帯状に水ぶくれが現れます。帯状疱疹は神経に沿って発疹が出るため、体の片側にしか症状が広がらないのが特徴です。また、発疹が出る前から強い神経痛を伴うことが多く、ピリピリとした痛みを感じることが特徴的です。とびひのように全身に広がることはありません。
次に、湿疹・アトピー性皮膚炎との違いです。湿疹やアトピー性皮膚炎もかゆみを伴う皮膚の炎症ですが、細菌感染による膿を伴う症状は通常みられません。ただし、アトピー性皮膚炎の方がとびひを合併することがあるため、アトピーの症状が急に悪化したり、膿のような液体が出てきたりした場合はとびひの合併を疑う必要があります。
また、疥癬(かいせん)との違いもあります。疥癬はヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生することで起こる感染症で、強いかゆみが特徴です。手の指の間や手首、わきの下などに小さな赤い丘疹が現れます。とびひと違い、水ぶくれや膿は形成されませんが、見た目が似ていることがあります。
さらに、単純ヘルペスウイルス感染症との違いも知っておくと役立ちます。口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、ウイルスによる感染症で小さな水ぶくれが集まって現れます。特定の部位に繰り返し発症することが多く、ヒリヒリとした痛みを伴います。ウイルス感染であるため、細菌感染によるとびひとは治療法が異なります。
いずれにせよ、自己判断はリスクがあります。正確な診断と適切な治療のためにも、皮膚科を受診して専門医に診てもらうことが最も確実な方法です。
Q. とびひが大人で重症化しやすい理由は何ですか?
大人のとびひが重症化しやすい主な理由は4つあります。①「子どもの病気」というイメージから受診が遅れやすい、②糖尿病やアトピー性皮膚炎などの基礎疾患で免疫力が低下している、③通常の抗菌薬が効かないMRSAなどの耐性菌の増加、④加齢による皮膚バリア機能の低下です。重症化すると蜂窩織炎や敗血症を合併する恐れもあります。
📝 とびひの診断方法と受診のタイミング
とびひの診断は主に皮膚の視診によって行われます。経験のある皮膚科医であれば、症状の見た目から比較的容易に診断できることが多いですが、他の疾患との鑑別が必要な場合や耐性菌の確認が必要な場合には、細菌培養検査を行うこともあります。
細菌培養検査では、患部の分泌物を綿棒で採取して培養し、原因菌の種類と抗菌薬への感受性(どの薬が効くか)を調べます。この検査結果が出るまでには数日かかりますが、耐性菌が疑われる場合や治療効果が不十分な場合には有用な情報を得ることができます。
受診のタイミングとしては、以下のような症状が現れたときは早めに受診することをおすすめします。皮膚に急に水ぶくれや赤みが現れて広がっていく場合、症状がどんどん拡大している場合、発熱やリンパ節の腫れを伴う場合、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの基礎疾患がある場合などが該当します。
また、とびひは感染力が強いため、家族や職場の同僚など周囲への感染リスクを考えると、できるだけ早期に受診して治療を開始することが大切です。「様子を見よう」と放置しているうちに症状が拡大し、また周囲への感染が広がってしまうことがあります。
受診する診療科は皮膚科が適切ですが、かかりつけの内科や家庭医でも初期対応をしてもらえる場合があります。症状が重い場合や全身症状を伴う場合は、皮膚科への紹介を求めると良いでしょう。
なお、とびひと診断されたからといって、必ずしも仕事や外出を完全に制限する必要はありませんが、患部を覆って他人への接触を避けること、共用のものを使用しないことなど、感染対策をしっかり行うことが求められます。医師の指示に従って行動することが重要です。
💡 とびひの治療法:外用薬と内服薬
とびひの治療は原因となる細菌を除去することが基本です。症状の範囲や重症度によって、外用薬(塗り薬)のみで治療する場合と、内服薬(飲み薬)を併用する場合があります。
外用薬としては、抗菌成分を含む軟膏が使用されます。代表的なものとしてフシジン酸ナトリウム軟膏やムピロシン軟膏などがあります。これらは患部に直接塗布することで、局所的な細菌の繁殖を抑制します。軽症のとびひであれば外用薬だけで改善することもありますが、大人のとびひは症状が強いことが多く、内服薬を併用するケースが一般的です。
内服薬としては、セフェム系やペニシリン系などの抗菌薬が処方されます。代表的なものとしてセファレキシン(ケフレックスなど)やアモキシシリン(サワシリンなど)があります。通常、1日2〜3回の内服を5〜7日程度続けることが多いですが、症状の改善具合によって期間が延長されることもあります。
前述のMRSAなどの耐性菌が原因の場合は、通常の抗菌薬が効かないため、感受性検査の結果に基づいた別の抗菌薬が選択されます。症状が改善しない場合は耐性菌の可能性も念頭に置き、医師に相談することが大切です。
かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)が併用されることがあります。かゆみを抑えることで搔き壊しを防ぎ、感染の拡大を予防する効果があります。
治療を開始してから通常は数日以内に症状が改善してきますが、自己判断で薬をやめてしまうと再発や耐性菌の出現につながることがあります。処方された薬は症状が改善しても、指示された期間しっかり飲み続けることが重要です。
また、患部のケアとして、患部を清潔に保つことが治癒を早めるために重要です。入浴やシャワーで患部を優しく洗い、清潔な状態を維持しましょう。ただし、ゴシゴシと強く洗うことは皮膚を傷つけ逆効果になることがあるため、優しく丁寧に洗うことがポイントです。
Q. とびひの家族への感染拡大を防ぐ方法は?
とびひの家族への感染拡大を防ぐには、タオル・寝具・衣類の共有を避けることが最重要です。入浴はシャワーのみとし、湯船への入浴は控えましょう。患部に触れた後は必ず石けんで手洗いを行い、患部はガーゼや絆創膏で覆います。衣類や寝具は高温で洗濯乾燥することで細菌を除去できます。小さな子どもや高齢者がいる家庭では特に注意が必要です。
✨ 日常生活での注意点と感染拡大を防ぐ方法
とびひと診断されたら、治療を進めながら日常生活の中で感染の拡大を防ぐことが非常に重要です。自分の体の中での感染拡大(自家接種)を防ぐとともに、家族や周囲の人への感染を防ぐための対策をしっかりと行いましょう。
まず、患部を触ったり搔いたりしないことが大切です。かゆみが強くても、搔くことで皮膚が傷つき細菌が広がってしまいます。どうしても気になる場合は、患部をガーゼや絆創膏で覆うことで不必要な接触を防ぐことができます。搔いてしまいそうなときは、かゆみ止めを早めに使用する、患部を覆うなどの工夫をしましょう。
患部に触れた後は必ず手を洗うことが重要です。特に食事の前後やトイレの後、患部のケアをした後には石けんを使ってしっかりと手を洗いましょう。爪を短く切っておくことも感染拡大防止に効果的です。長い爪の間に細菌が入り込みやすく、搔いたときに皮膚を傷つけやすくなります。
タオルや衣類の共有を避けることも重要な対策です。患部に触れたタオルや下着、寝具などは他の家族のものとは別に洗濯し、できれば高温での洗濯乾燥を行うことで細菌を死滅させることができます。入浴時にも患部に使ったタオルは他の人と共用しないようにしましょう。
入浴については、できる限りシャワーを使用することが推奨されます。湯船に浸かると患部の細菌が浴槽水に広がり、他の家族への感染リスクが高まります。どうしても入浴する場合は最後に入るなどの配慮が必要です。
仕事や学校については、医師の指示に従うことが基本です。職種や職場環境によっては、一定期間の休養や業務の制限が必要になることがあります。特に食品を扱う職業の方や医療・介護関係の方は、感染が収まるまで業務を控えることが求められる場合があります。
家庭内で感染者が出た場合、他の家族も早期に皮膚の状態を確認し、怪しいと思ったらすぐに受診することが大切です。特に小さな子どもや高齢者、免疫力が低下している家族がいる場合は、感染が広がることへの注意が必要です。
📌 とびひを予防するためのスキンケア

とびひの予防には、日頃のスキンケアと生活習慣の見直しが効果的です。特に大人は皮膚のバリア機能が年齢とともに低下していくため、意識的なスキンケアが重要です。
基本となるのは皮膚を清潔に保つことです。毎日の入浴・シャワーで汗や汚れをしっかり落としましょう。ただし、洗いすぎも皮膚のバリア機能を低下させる原因になります。刺激の少ない石けんやボディソープを使って優しく洗うことがポイントです。
保湿ケアも非常に重要です。入浴後は皮膚が乾燥しないうちに保湿剤を塗布することで、皮膚のバリア機能を維持することができます。乾燥した皮膚は小さな亀裂が生じやすく、そこから細菌が侵入する可能性があります。特に乾燥しやすい冬場や、乾燥肌・アトピー性皮膚炎の方は念入りな保湿ケアが必要です。
虫刺されの予防と適切な対処も大切な予防策です。虫刺されをかき壊すことでとびひの入り口になることがあります。防虫スプレーや長袖の着用で虫刺されを予防し、刺されてしまった場合は冷やして早めに炎症を鎮め、かゆみ止めを使用してかき壊さないようにすることが重要です。
カミソリ負けや小さな傷の管理も注意が必要です。ひげそりや脱毛によってできた小さな傷から細菌が侵入することがあります。カミソリは清潔なものを使用し、剃った後は保湿ケアをしっかり行いましょう。
免疫力を維持するための生活習慣も予防に役立ちます。バランスの良い食事、適切な睡眠時間の確保、適度な運動、ストレス管理などが免疫機能の維持に重要です。特に夏場は熱中症対策とともに疲労が蓄積しやすいため、体調管理に努めることがとびひの予防にもつながります。
アトピー性皮膚炎や糖尿病などの基礎疾患がある方は、それぞれの疾患の適切なコントロールがとびひの予防につながります。定期的に医師の診察を受け、基礎疾患の管理を継続することが重要です。
また、周囲にとびひの感染者がいる場合には、接触を避けることや手洗いをこまめに行うことが感染予防として有効です。感染者と共用するアイテムは使用しないよう心がけましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「虫刺されだと思っていたら広がってしまった」というご相談で受診される大人の患者様が少なくなく、とびひへの気づきの遅れが症状悪化につながるケースを日々実感しています。特にアトピー性皮膚炎や糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方は重症化しやすい傾向があるため、水ぶくれや赤みが急速に広がるようであれば、躊躇せず早めにご受診いただくことを強くお勧めします。早期に適切な治療を開始することが、ご自身の回復を早めるだけでなく、大切なご家族への感染拡大を防ぐことにもつながりますので、気になる症状がございましたらどうぞお気軽にご相談ください。」
🎯 よくある質問
はい、大人にも発症します。特に免疫力が低下しているとき(過労・ストレス・睡眠不足など)や、アトピー性皮膚炎・糖尿病などの基礎疾患がある方は注意が必要です。また、感染した子どもやペットとの接触、タオルや寝具の共有でも感染することがあります。
最初は皮膚の小さな赤みやかゆみから始まり、虫刺されやかぶれと区別がつきにくい場合があります。その後、水ぶくれが形成されて破れ、びらん状態になります。通常の虫刺されと異なり、症状が急速に広がっていく点が特徴的です。かゆみや痛みが強い場合もあります。
皮膚に水ぶくれや赤みが急に現れて広がっている場合、膿を伴う症状がある場合、発熱やリンパ節の腫れがある場合は早めの受診をおすすめします。アイシークリニックを含む皮膚科への受診が適切ですが、症状が重い場合は特に早急な対応が必要です。
原因菌を除去する抗菌薬を使用します。軽症の場合は外用薬(塗り薬)のみで対応できますが、大人は症状が強いことが多く、セフェム系・ペニシリン系などの内服薬を併用するのが一般的です。症状が改善しても自己判断で薬をやめず、処方された期間しっかり服用することが重要です。
タオル・寝具・衣類の共有を避け、入浴はシャワーを使用することが推奨されます。患部に触れた後は必ず石けんで手を洗い、患部はガーゼや絆創膏で覆いましょう。家族に小さな子どもや高齢者・免疫力が低下している方がいる場合は、特に注意が必要です。
📋 まとめ
とびひは子どもに多い皮膚疾患ですが、大人にも発症することがあり、特に免疫力が低下しているときや皮膚にトラブルがあるときは注意が必要です。初期症状は赤みや小さな水ぶくれから始まり、急速に広がっていくのが特徴です。大人のとびひは子どもと比べて重症化しやすい面があり、適切な治療を行わないと合併症のリスクもあります。
「虫刺されかな」「湿疹かな」と思っていた症状がどんどん広がっていくような場合や、膿を伴う水ぶくれが出てきた場合には、とびひの可能性を考えて早めに皮膚科を受診することをおすすめします。早期の診断と治療が、症状の悪化や周囲への感染拡大を防ぐ最も効果的な方法です。
治療中は処方された薬をきちんと使い続けること、患部を触らないこと、タオルや衣類の共有を避けることなど、日常生活での感染対策を徹底しましょう。また、日頃のスキンケアと体調管理によって、とびひを発症しにくい状態を維持することも大切です。
とびひに関して気になる症状や不安なことがあれば、ためらわずに医療機関に相談してください。アイシークリニック東京院でも、皮膚に関するお悩みを丁寧に診察し、適切な治療とケアのご提案をしています。お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 伝染性膿痂疹(とびひ)の診断基準・治療ガイドライン。水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹の分類、抗菌薬の選択(外用薬・内服薬)、耐性菌(MRSA)への対応方針などの根拠として参照
- 国立感染症研究所 – 伝染性膿痂疹の感染症情報。原因菌(黄色ブドウ球菌・溶血性連鎖球菌)の疫学、感染経路、季節性(夏季の発症増加)、集団生活での感染拡大リスクに関する記述の根拠として参照
- 厚生労働省 – 感染症対策・学校や集団生活における感染拡大防止策に関する情報。とびひの感染者が職場・学校等で留意すべき事項や、タオル・寝具などを介した接触感染予防の根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務