
お風呂から上がった後、全身や特定の部位がかゆくなる経験をされたことはありませんか?せっかくリラックスできるはずのバスタイムの後に強いかゆみが出ると、睡眠の妨げになったり、日常生活に支障をきたしたりすることもあります。風呂上がりのかゆみは、単純な乾燥肌から皮膚疾患、アレルギー反応まで、さまざまな原因が考えられます。原因を正しく把握することが、適切なケアへの第一歩です。この記事では、風呂上がりのかゆみが起こるメカニズムや考えられる原因、症状別の対処法、そして皮膚科や専門クリニックを受診すべきタイミングについて詳しく解説します。
目次
- 風呂上がりにかゆくなるメカニズム
- 風呂上がりのかゆみの主な原因
- 症状別の特徴と考えられる疾患
- 風呂上がりのかゆみを悪化させるNG習慣
- 自宅でできるかゆみの対処法・予防法
- 部位別のかゆみケアのポイント
- 病院・クリニックを受診すべきサイン
- まとめ
この記事のポイント
風呂上がりのかゆみは乾燥肌・アトピー・じんましん・内科疾患など多様な原因があり、ぬるめの入浴と入浴後5〜10分以内の保湿ケアが基本対策。2週間改善しない場合は皮膚科受診を推奨。
🎯 風呂上がりにかゆくなるメカニズム
入浴後にかゆみが起こる背景には、皮膚の構造と温度・水分の関係が深く絡んでいます。まずは基本的なメカニズムを理解しておきましょう。
🦠 皮膚のバリア機能とかゆみの関係
皮膚の最も外側にある角質層は、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐバリアとして機能しています。このバリアを構成しているのが、天然保湿因子(NMF)や皮脂、セラミドなどの成分です。入浴によってこれらの成分が洗い流されると、バリア機能が低下し、外部の刺激に対して皮膚が敏感になります。その結果、かゆみを引き起こす神経が活性化されやすくなるのです。
👴 温度変化とかゆみ
入浴中は体温が上昇し、血行が促進されます。お風呂から出ると、今度は急激に体温が下がるため、皮膚の温度変化が大きくなります。この温度変化が皮膚の神経を刺激し、かゆみを引き起こすことがあります。特に冬場や乾燥した環境では、この温度差がより大きくなるため、かゆみが出やすくなります。また、入浴によって体が温まると血管が拡張し、皮膚への血流が増えることで、アレルギー反応や炎症が起きやすい状態になることも知られています。
🔸 ヒスタミンの放出
体温の上昇は、皮膚内のマスト細胞(肥満細胞)からヒスタミンと呼ばれる化学物質が放出されるきっかけとなることがあります。ヒスタミンはかゆみを引き起こす代表的な物質で、アレルギー反応においても中心的な役割を果たします。入浴による温熱刺激でヒスタミンが分泌されると、皮膚の神経が刺激されてかゆみが生じます。これは特にアトピー性皮膚炎の方や、アレルギー体質の方に起こりやすい現象です。
Q. 風呂上がりにかゆみが起きるメカニズムは?
風呂上がりのかゆみは主に3つの要因で起こります。入浴により皮脂や天然保湿因子が洗い流されて皮膚バリアが低下すること、入浴後の急激な温度変化が皮膚神経を刺激すること、体温上昇によりかゆみ物質ヒスタミンがマスト細胞から放出されることです。
📋 風呂上がりのかゆみの主な原因
風呂上がりにかゆみが起こる原因は一つではありません。複数の要因が組み合わさっていることも多く、それぞれの原因を理解することが重要です。
💧 1. 乾燥肌(皮膚乾燥)
最も多い原因の一つが皮膚の乾燥です。入浴によって皮脂や天然保湿因子が洗い流されると、皮膚の水分が蒸発しやすくなります。特に入浴後は皮膚表面の温度が高く、水分の蒸発が加速するため、保湿ケアをしないままでいると短時間で皮膚が乾燥します。乾燥肌はバリア機能の低下を招き、かゆみを感じやすくなるだけでなく、外部の刺激に対しても敏感になります。秋冬の乾燥した季節や、エアコンを多用する環境では特に注意が必要です。
✨ 2. アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因と環境的な要因が重なって起こる慢性的な皮膚疾患です。皮膚バリア機能の低下とアレルギー体質を背景に持ち、強いかゆみと湿疹を繰り返します。入浴後は体温が上がり、ヒスタミンの分泌が促進されるため、アトピー性皮膚炎の方にとって風呂上がりのかゆみは特に強くなりやすいです。また、乾燥も症状を悪化させる大きな要因となります。
📌 3. じんましん(蕁麻疹)
入浴後の温熱刺激によって引き起こされるじんましんがあります。これは「温熱性じんましん」と呼ばれ、熱に反応して皮膚に赤い膨疹(ぼうしん)が現れ、強いかゆみを伴います。また、汗によって引き起こされる「コリン性じんましん」も風呂上がりに起こりやすいタイプです。コリン性じんましんは、体温上昇や発汗に伴ってヒスタミンが放出されることで起こり、小さな赤い発疹が体幹を中心に現れます。
▶️ 4. 接触性皮膚炎(かぶれ)
シャンプーや洗顔料、ボディソープ、入浴剤などに含まれる成分に対してアレルギー反応や刺激反応が起こる場合があります。これを接触性皮膚炎と言います。香料、防腐剤、界面活性剤など、特定の成分に過敏な方は、それらが皮膚に触れることで炎症が引き起こされます。製品を変えた後や、新しい入浴剤を使い始めた後にかゆみが出た場合は、接触性皮膚炎を疑う必要があります。
🔹 5. 水かぶれ(水アレルギー)
非常にまれなケースですが、水そのものに対してアレルギー反応が起こる「水性じんましん」という疾患があります。水が皮膚に触れることで、接触部位に強いかゆみや赤みが生じます。シャワーや入浴のたびに症状が出るため、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。水道水に含まれる塩素や不純物が引き金になるケースもあります。
📍 6. 疥癬(かいせん)
ヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生することで起こる皮膚疾患です。夜間や入浴後など体が温まった時に激しいかゆみが起こるのが特徴です。指の間や手首、わき、下腹部などに小さな発疹や線状の跡(疥癬トンネル)が現れます。感染力が強く、接触によって人から人へ感染するため、早期発見・治療が重要です。
💫 7. 多血症(真性多血症)
赤血球が異常に増加する血液疾患で、入浴後の全身のかゆみが特徴的な症状の一つとして知られています。温熱刺激によってヒスタミンなどの化学物質が放出され、入浴後に強いかゆみが全身に起こります。皮膚の変化(発赤、じんましんなど)を伴わない場合も多いため、原因が分からずに悩む方も少なくありません。血液検査で診断されます。
🦠 8. 皮膚掻痒症
皮疹(皮膚の見た目の変化)がないにもかかわらず、かゆみだけが続く状態を皮膚掻痒症と言います。高齢者に多く見られますが、糖尿病や肝臓疾患、腎臓疾患などの内科的な疾患が原因となることもあります。また、精神的なストレスや薬の副作用として起こることもあります。風呂上がりのかゆみが長期間続いており、皮膚に明らかな異常が見られない場合は、内科的な検査も検討する必要があります。
Q. 皮膚に異常がないのに風呂上がりにかゆい原因は?
皮膚の見た目に変化がないまま風呂上がりのかゆみが続く場合、赤血球が異常増加する「真性多血症」や、糖尿病・肝臓疾患・腎臓疾患などの内科的疾患が関与する「皮膚掻痒症」の可能性があります。自己判断せず、血液検査を含む医療機関への受診を検討してください。
💊 症状別の特徴と考えられる疾患
かゆみの出方や部位、皮膚の見た目によって、原因疾患がある程度推測できます。自分の症状と照らし合わせてみてください。
👴 全身がかゆい場合
全身のかゆみが風呂上がりに起こる場合、乾燥肌、コリン性じんましん、多血症、皮膚掻痒症などが考えられます。特に皮膚が乾燥している季節や、長風呂の習慣がある方は乾燥肌が原因である可能性が高いです。皮膚に見た目の変化がない場合は、内科的疾患の関与も念頭に置く必要があります。
🔸 赤みや膨疹を伴うかゆみ
皮膚が赤くなったり、盛り上がった発疹(膨疹)が現れたりする場合は、じんましんや接触性皮膚炎が疑われます。じんましんは数時間以内に消えることが多いですが、接触性皮膚炎は原因物質との接触を断たない限り症状が続きます。どちらも医療機関での診断と治療が重要です。
💧 特定の部位だけがかゆい場合
背中や腕、足のすね、頭皮など特定の部位だけかゆい場合は、その部位の乾燥が特に強いか、特定のケア製品が触れている部位での接触性皮膚炎が考えられます。また、指の間や手首、わき腹など特定の場所にかゆみと発疹が集中している場合は疥癬も疑われます。
✨ 夜間(就寝時)に特にかゆみが強い場合
風呂上がりから就寝にかけてかゆみが特に強くなる場合は、アトピー性皮膚炎や疥癬、皮膚掻痒症の可能性があります。かゆみで眠れない状態が続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
📌 湿疹や皮膚の荒れを伴う場合
かゆみと同時に湿疹、皮膚の赤み、ガサガサした質感、皮むけなどが見られる場合は、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎、乾癬(かんせん)などが考えられます。これらは適切な治療が必要な疾患ですので、自己判断だけで対処しようとせず、皮膚科を受診することが大切です。
🏥 風呂上がりのかゆみを悪化させるNG習慣
日常のバスルームでのケア習慣が、知らず知らずのうちにかゆみを悪化させていることがあります。以下のNG習慣をチェックしてみてください。
▶️ 熱いお湯での入浴
42度以上の熱いお湯は、皮脂を必要以上に洗い流してしまいます。また、高温は皮膚のタンパク質を変性させ、バリア機能を低下させます。さらに、体温を急激に上げることでヒスタミンの放出が促進されるため、かゆみを引き起こしやすい状態になります。入浴時のお湯の温度は38〜40度程度のぬるめに設定することが推奨されます。
🔹 長時間の入浴
長風呂は体の芯まで温まってリラックスできる一方で、皮膚から多くの水分と油分が失われます。特に乾燥肌や敏感肌の方は、長時間の入浴によってバリア機能がさらに低下し、風呂上がりのかゆみが起こりやすくなります。入浴時間は10〜15分程度を目安にすることが望ましいです。
📍 ゴシゴシとした洗い方
ナイロンタオルや硬いスポンジで皮膚を強くこすって洗うと、角質層が傷つき、バリア機能が損なわれます。また、摩擦による刺激自体がかゆみを引き起こすこともあります。洗体は泡を立てて手で優しく洗うか、柔らかいタオルやスポンジを使うようにしましょう。
💫 タオルでの激しい拭き取り
お風呂から上がった後、タオルで激しく皮膚をこすって水分を拭き取る習慣は、皮膚に摩擦刺激を与えてかゆみを誘発します。タオルは押さえるように優しく水分を吸収させることが大切です。特に顔や首、デリケートゾーンは丁寧に扱いましょう。
🦠 保湿ケアを怠ること
風呂上がりは皮膚が柔らかくなり、保湿剤が浸透しやすい状態です。この機会を逃して保湿ケアをしないでいると、皮膚の水分が急速に蒸発して乾燥が進みます。入浴後5〜10分以内に保湿剤を塗布することが理想的とされています。
👴 アルコールを含む化粧水や制汗剤の使用
アルコール(エタノール)が多く含まれるスキンケア製品は、皮膚の水分を奪い、乾燥を促進することがあります。すでに乾燥しやすい状態の風呂上がりの肌に使用すると、かゆみを悪化させる可能性があります。敏感肌や乾燥肌の方は、アルコールフリーの製品を選ぶことをおすすめします。
Q. 風呂上がりの保湿ケアで効果的な方法は?
風呂上がりの保湿は入浴後5〜10分以内に行うのが最も効果的です。この時間帯は皮膚が柔らかく保湿成分が浸透しやすい状態にあります。タオルで優しく水気を押さえ取った後、セラミド配合クリーム・ワセリン・ヘパリン類似物質含有クリームなどを全身、特にすね・腕・背中へ念入りに塗布しましょう。
⚠️ 自宅でできるかゆみの対処法・予防法
かゆみを予防・軽減するために、日常生活の中で実践できるケア方法をご紹介します。
🔸 入浴方法を見直す
まず、入浴のお湯の温度を38〜40度程度のぬるめに設定しましょう。入浴時間も15分以内を目安にすることが大切です。また、シャワーの場合は長時間当て続けないように注意し、頭や身体の洗い方は泡をたっぷり使って優しく洗うことを心がけてください。
💧 適切なボディソープ・シャンプーを選ぶ
洗浄力が強すぎる製品は皮脂を過剰に洗い流してしまいます。敏感肌用や低刺激タイプのボディソープ・シャンプーを選び、香料や着色料、防腐剤が少ないものを選ぶと刺激が減ります。また、特定の製品で症状が出ている場合は、その製品を使用中止にして様子を見てみましょう。
✨ 入浴後の保湿ケアをしっかり行う
入浴後は水分が蒸発する前に保湿剤を塗布することが最も重要なケアの一つです。タオルで優しく水気を吸い取ったら、5〜10分以内に全身に保湿剤を塗りましょう。セラミド配合のクリームやローション、ワセリン、ヘパリン類似物質含有クリームなどが保湿効果が高いとされています。特に乾燥しやすいすね、腕、背中、手足などは念入りに塗布してください。
📌 室内の湿度管理
乾燥した環境は皮膚の乾燥を促進します。特に秋冬の暖房使用時は室内が乾燥しやすいため、加湿器を使用して室内の湿度を50〜60%程度に保つことが理想的です。湿度計を活用して適切な湿度管理を行いましょう。
▶️ かゆい部位を冷やす
すでにかゆみが出ている場合は、患部を冷たいタオルや保冷剤で冷やすと一時的にかゆみが和らぎます。冷やすことで皮膚の温度が下がり、かゆみを伝える神経の働きが抑制されます。ただし、直接氷を当てることは凍傷の恐れがあるため避け、タオルで包んだ保冷剤を使用してください。
🔹 かゆい部位をかかない

かゆいからといって患部をかいてしまうと、皮膚が傷つき、炎症が悪化してさらにかゆみが増す「かゆみのスパイラル」に陥ります。かいた刺激がさらにヒスタミンの放出を促すため、かゆみは悪循環するばかりです。かきたい衝動を抑えるために、患部を冷やす、保冷剤を当てる、長い爪を短く切るなどの工夫をしましょう。
📍 市販薬の活用
かゆみが強い場合は、市販の抗ヒスタミン薬(内服)や、ステロイド外用薬(塗り薬)が一時的な対処として有効な場合があります。ただし、長期間・広範囲にわたるステロイドの使用は医師の指示のもとで行う必要があります。市販薬の使用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
💫 生活習慣の改善
睡眠不足やストレスは免疫機能に影響を与え、皮膚の状態を悪化させることがあります。十分な睡眠を取り、ストレスをうまく管理することが、皮膚の健康維持にもつながります。また、バランスの取れた食事は皮膚のターンオーバーを正常に保つために重要です。ビタミンA、C、E、亜鉛などは皮膚の健康に関わる栄養素です。
🔍 部位別のかゆみケアのポイント
かゆみが出やすい部位によって、ケアのポイントが異なります。よく見られる部位別のアドバイスをまとめました。
🦠 背中のかゆみ
背中は自分でケアがしにくい部位であるため、保湿が不十分になりがちです。背中専用の保湿ローラーやスプレータイプの保湿剤を活用すると塗布しやすくなります。また、背中は汗をかきやすい部位でもあるため、通気性の良い衣類を着用することも大切です。シャワーで背中を洗う際は、泡をつけたタオルで優しく洗うようにしましょう。
👴 足のかゆみ(特にすね・ふくらはぎ)
すねやふくらはぎは皮脂腺が少なく、特に乾燥しやすい部位です。高齢者では「老人性乾皮症」と呼ばれる乾燥肌による強いかゆみが足を中心に起こりやすく、鱗屑(りんせつ:皮膚の白い粉)が見られることもあります。入浴後は念入りに保湿クリームを塗布し、暖房の効いた部屋では特に乾燥に注意が必要です。靴下の素材も、ウール(羊毛)は刺激になることがあるため、コットン素材がおすすめです。
🔸 頭皮のかゆみ
頭皮のかゆみは、シャンプーの洗い残し、乾燥、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎などが原因として考えられます。シャンプーはしっかりと洗い流し、すすぎ残しがないようにしましょう。シャンプーやトリートメントを頭皮に残さないことが基本です。頭皮専用の保湿ローションを使用することも乾燥対策として有効です。また、ドライヤーを近距離で長時間当てることは頭皮の乾燥を招くため、適切な距離・時間で乾かすようにしてください。
💧 デリケートゾーン・外陰部のかゆみ
デリケートゾーンのかゆみは、乾燥、カンジダ症(真菌感染)、接触性皮膚炎、性器ヘルペスなど、さまざまな原因が考えられます。デリケートゾーン専用のソープを使用し、洗いすぎないことが大切です。また、通気性の良い下着を選ぶことも重要です。かゆみが強い場合や分泌物の変化、痛みを伴う場合は、婦人科や皮膚科を受診してください。
✨ 顔のかゆみ
顔のかゆみは乾燥、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎などが原因となることがあります。洗顔は優しく、泡で包むように行い、すすぎはぬるめのお湯で完全に行いましょう。洗顔後はすぐに化粧水・保湿クリームでケアをすることが大切です。洗顔料や化粧品を変えた後にかゆみが出た場合は、その製品の使用を中止して様子を見てください。
📌 陰部・肛門周囲のかゆみ
肛門周囲のかゆみは、痔、接触性皮膚炎、白癬(水虫菌による感染)、カンジダ症などが原因として挙げられます。肛門周囲は皮膚が薄く傷つきやすいため、トイレットペーパーでの拭き取りは優しく行い、ウォシュレットを使用している場合は過度な使用を避けましょう。清潔に保ちつつ、過度な洗浄は避けることがポイントです。
Q. 風呂上がりのかゆみで病院を受診すべき目安は?
自己ケアを2週間以上続けても改善しない場合は医療機関の受診を推奨します。また、かゆみで睡眠が妨げられている、かき傷が化膿している、発熱・体重減少など全身症状を伴う、家族にも同様のかゆみがある(疥癬の疑い)場合は早急な受診が必要です。アイシークリニックでも相談を受け付けています。
📝 病院・クリニックを受診すべきサイン
自己ケアで改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
▶️ 受診が必要なサイン
まず、自己ケアを2週間以上続けても症状が改善しない場合は、医師に相談することが大切です。また、かゆみが非常に強く、睡眠が妨げられている場合や、かき傷から感染が起きて皮膚が化膿している場合も早急に受診が必要です。
皮膚に見た目の変化(赤み、湿疹、膨疹、鱗屑など)が広範囲に及んでいる場合や、かゆみ以外にも発熱、体重減少、倦怠感などの全身症状がある場合は、内科的な疾患が隠れている可能性がありますので、早めに受診してください。
また、家族や同居人にも同様のかゆみが出ている場合は疥癬などの感染症の可能性があります。疥癬は感染力が強いため、早期に皮膚科を受診して適切な治療を行うことが重要です。
🔹 受診科の選び方
皮膚にかゆみや発疹などの症状がある場合は、まず皮膚科を受診することが基本です。皮膚科では、視診や皮膚テスト、必要に応じてアレルギー検査や皮膚生検(皮膚の一部を採取して調べる検査)などを行い、正確な診断をつけてもらえます。
デリケートゾーンのかゆみは婦人科(女性の場合)や泌尿器科、頭皮の問題は皮膚科や毛髪専門クリニックへの相談が適しています。全身性のかゆみで皮膚に変化がない場合は、内科での血液検査なども視野に入れましょう。
📍 クリニックで受けられる治療
医療機関では、原因に応じたさまざまな治療が行われます。アレルギーによるかゆみには抗ヒスタミン薬の内服や外用薬、アトピー性皮膚炎にはステロイド外用薬やタクロリムス軟膏(プロトピック)、生物学的製剤(デュピルマブなど)が使用されます。乾燥肌には保湿療法が中心となり、処方の保湿剤が有効です。疥癬にはイベルメクチン(内服)やフェノトリン(外用)が処方されます。また、必要に応じてアレルギー検査や血液検査を行い、原因を特定した上でより根本的な治療が検討されます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、風呂上がりのかゆみを訴えて受診される患者様の多くが、乾燥肌への対処が不十分なまま長期間悩まれているケースが目立ちます。入浴後5〜10分以内の保湿ケアを徹底するだけで症状が大きく改善される方も多く、まずは入浴方法と保湿習慣の見直しを丁寧にお伝えするよう心がけています。一方で、かゆみの背景に多血症や内臓疾患が隠れている場合もあるため、皮膚に目立った変化がないのにかゆみが続く場合は、自己判断せず早めにご相談いただくことをお勧めします。」
💡 よくある質問
主な原因は3つあります。①入浴で皮脂や保湿成分が洗い流され、皮膚のバリア機能が低下すること、②入浴後の急激な温度変化が皮膚の神経を刺激すること、③体温上昇によりかゆみ物質であるヒスタミンが放出されることです。これらが単独または複合的に作用してかゆみが生じます。
代表的なNG習慣として、42度以上の熱いお湯での入浴、15分を超える長風呂、タオルやスポンジで皮膚を強くこすること、入浴後の保湿ケアを怠ること、アルコール含有スキンケア製品の使用などが挙げられます。これらを見直すだけでかゆみが改善するケースも多くあります。
入浴後5〜10分以内に保湿剤を塗布することが最も効果的です。この時間帯は皮膚が柔らかく、保湿成分が浸透しやすい状態にあります。タオルで優しく水気を押さえ取った後、セラミド配合クリームやワセリン、ヘパリン類似物質含有クリームなどを全身に塗布しましょう。
皮膚に異常が見られないのにかゆみが続く場合、赤血球が異常増加する「多血症(真性多血症)」や、糖尿病・肝臓疾患・腎臓疾患などの内科的疾患が原因となる「皮膚掻痒症」の可能性があります。自己判断せず早めにご相談ください。
以下の場合は早めに医療機関を受診してください。①自己ケアを2週間以上続けても改善しない、②かゆみが強く睡眠が妨げられている、③かき傷から皮膚が化膿している、④発熱・体重減少など全身症状を伴う、⑤家族にも同様のかゆみがある(疥癬の疑い)。皮膚の症状には皮膚科への受診が基本です。
✨ まとめ
風呂上がりのかゆみは、乾燥肌からアレルギー反応、皮膚疾患、内科的疾患まで、さまざまな原因が考えられる症状です。原因を正しく把握することが、適切なケアや治療への第一歩となります。
日常的なケアとして最も重要なのは、入浴方法の見直しと入浴後の保湿ケアです。ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけ、優しく洗い、お風呂から上がったらすぐに全身をしっかり保湿することで、乾燥によるかゆみの多くは改善が期待できます。また、使用するシャンプーやボディソープの成分に気を配ることも大切です。
一方で、自己ケアを続けても症状が改善しない場合、かゆみが非常に強い場合、または皮膚以外にも症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。皮膚科での適切な診断と治療によって、多くのかゆみの問題は解決できます。自分の症状に合ったケアで、快適なバスタイムの後を過ごしましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – アトピー性皮膚炎・じんましん・接触性皮膚炎・疥癬など、風呂上がりのかゆみに関連する皮膚疾患の診断基準・治療ガイドラインの参照
- 厚生労働省 – 皮膚の乾燥・バリア機能低下・保湿ケアに関する公式情報、および疥癬などの感染性皮膚疾患に関する予防・対策情報の参照
- 国立感染症研究所 – 疥癬(ヒゼンダニ感染症)の感染経路・症状・治療・予防に関する公式情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務