
アウトドアやキャンプを楽しんでいたら、いつの間にか足や腕が赤く腫れ上がってしまった、という経験はありませんか。その原因の一つとして疑われるのがブヨ(ブユ)による虫刺されです。ブヨは蚊とは異なり、皮膚をかじって傷つける「刺し方」をするため、刺された後の症状が強く出やすく、対処を誤ると長引いてしまうことがあります。本記事では、ブヨに刺された際の症状の特徴から応急処置の方法、医療機関での治療法まで、正確な情報をわかりやすくお伝えします。
目次
- ブヨとはどんな虫?蚊との違い
- ブヨに刺されやすい場所・季節・時間帯
- ブヨに刺された時の症状と経過
- 蚊刺されとの見分け方
- ブヨに刺された時の応急処置
- 病院での治療法
- 市販薬で対処できる?セルフケアの注意点
- こんな症状は要注意!病院を受診すべきサイン
- ブヨに刺されないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
ブヨ刺されは皮膚をかじる行為により強い腫れ・痒みが数週間続く。応急処置は洗浄・冷却・ポイズンリムーバーが基本で、症状が強い場合はアイシークリニックなど皮膚科でステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬による治療が有効。予防には防虫スプレーと肌の露出を減らすことが重要。
🎯 1. ブヨとはどんな虫?蚊との違い
ブヨ(英語では「blackfly」や「buffalo gnat」)は、双翅目(ハエ目)ブユ科に属する小型の昆虫です。体長はおよそ1〜5ミリメートルほどで、蚊に比べてかなり小さく、黒っぽい体色をしています。羽は短く幅広で、背中が少し丸みを帯びているのが特徴です。日本全国に分布しており、山間部や渓流沿いを中心に生息しています。地域によっては「ブユ」「ブト」「ブツ」などと呼ばれることもあります。
蚊との最大の違いは、「血を吸う方法」にあります。蚊は細い口吻(こうふん)を皮膚に刺し込んで血を吸いますが、ブヨは上あごと下あごを使って皮膚を直接かじり、傷口から滲み出る血を吸います。この「咬む」という行為が皮膚に大きなダメージを与え、強い炎症反応を引き起こす原因となります。
また、ブヨが血を吸う際には唾液を傷口に注入します。この唾液の中には抗凝固物質や血管拡張物質、さらにアレルゲンとなるタンパク質が含まれており、これらに対する免疫反応が炎症や腫れを引き起こします。蚊の唾液とは成分が異なるため、アレルギー反応のパターンも蚊刺されとは異なり、ブヨに刺された後の方が症状が重篤になりやすい傾向があります。
ブヨは成虫になると雌のみが血を吸います(雄は花の蜜などを吸って生活します)。産卵のためのタンパク源として血液を必要とするのは蚊と同様です。幼虫は清潔な河川の中で育つため、水質のよい山岳地帯の渓流周辺に多く生息しています。
Q. ブヨと蚊の刺し方はどう違うのか?
蚊は細い口吻を皮膚に刺して血を吸いますが、ブヨは上あごと下あごで皮膚を直接かじり、滲み出た血を吸います。このかじる行為が皮膚に大きなダメージを与え、唾液中のアレルゲン物質による強い免疫反応が起こるため、蚊刺されより症状が重篤になりやすい特徴があります。
📋 2. ブヨに刺されやすい場所・季節・時間帯
ブヨが多く生息するのは、山間部や渓流沿い、滝の近く、森林内などの自然環境です。清流が流れる場所を好むため、キャンプ場や登山道、川釣りのポイントなどでの被害が多く報告されています。都市部でも公園の池や水路周辺で見かけることがありますが、特に山岳地帯での被害が目立ちます。
活動が活発になる季節は春から夏にかけて、特に4〜6月ごろが最も被害が多い時期です。梅雨の時期は湿度が高く気温も上昇するため、ブヨが大量発生しやすい環境が整います。秋口にも活動が見られますが、真夏の高温期は活動がやや低下することもあります。
一日の中では、朝方から午前中にかけてと、夕方の時間帯が活動のピークとなります。特に早朝の渓流沿いや夕暮れどきの森林内などでは注意が必要です。日中の明るい時間帯にも活動しますが、直射日光を避ける傾向があるため、木陰や草むらの周辺での被害が多くなっています。
ブヨは皮膚の露出した部分を好んで刺します。足首や足のすねは特に被害を受けやすく、ソックスを履いていても薄い素材では防ぐことができないケースもあります。また、手首や腕の内側、首回りなど皮膚が薄く柔らかい部分も刺されやすい場所です。アウトドア活動中に知らない間に刺されることが多く、刺された直後は痛みを感じないことも多いため、気づいた時にはすでに数か所刺されていたというケースも少なくありません。
💊 3. ブヨに刺された時の症状と経過
ブヨに刺された直後は、ほとんど痛みや違和感を感じないことが多いです。これはブヨの唾液に含まれる麻酔成分のような物質が、刺された部位の感覚を一時的に鈍らせるためと考えられています。この特性があるため、知らないうちに複数箇所刺されてしまうことがあります。
刺されてから数時間後(1〜2時間程度)になると、刺された部位に赤みと腫れが現れ始めます。蚊に刺された時のような軽い痒みではなく、じんじんとした灼熱感や強い痒み、ズキズキするような痛みを伴うことが多いのが特徴です。
翌日以降になると症状はさらに強まり、患部が大きく腫れ上がることがあります。足のすねや足首の場合、くるぶしが見えなくなるほど腫れてしまうこともあります。水疱(みずぶくれ)が形成されることもあり、破れてしまうと二次感染のリスクが高まります。強い痒みが続くため、無意識に掻き壊してしまうことも多く、そこから細菌感染が起こると治癒が遅れる原因になります。
症状の持続期間は個人差がありますが、適切な処置を行わない場合、2週間から1か月以上にわたって腫れや痒みが続くことがあります。特にブヨの唾液成分に対してアレルギー反応が強い方や、過去にブヨに刺された経験があって感作(免疫反応が強化された状態)が進んでいる方では、より重篤な症状が現れやすいとされています。
重症化した場合の症状としては、患部周辺の広範囲にわたる腫れ(浮腫)、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感などが挙げられます。また、非常にまれではありますが、ブヨの唾液成分に対して強いアレルギー反応が起き、アナフィラキシーショックが生じる可能性もゼロではありません。全身に症状が広がる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
Q. ブヨに刺された後の症状はどう経過するか?
ブヨの唾液には麻酔様成分が含まれるため、刺された直後はほぼ無症状です。1〜2時間後に赤みと腫れが現れ、翌日以降に灼熱感・強い痒み・痛みがピークに達します。水疱が形成されることもあり、適切な処置をしない場合は腫れや痒みが2週間〜1か月以上続くことがあります。
🏥 4. 蚊刺されとの見分け方
ブヨによる虫刺されは、外見上は蚊刺されと似ている部分があるため、見分けにくいことがあります。しかし、いくつかの特徴を把握しておくことで、ある程度判断することが可能です。
まず、刺された場所に注目してみましょう。蚊は衣服の上からでも刺すことがありますが、比較的皮膚が柔らかく毛細血管が豊富な部位を好みます。一方、ブヨは露出した皮膚の中でも、特に足首やすね、手首など特定の部位に集中して刺す傾向があります。アウトドアから帰宅後に足首周辺に複数の刺し跡がある場合はブヨを疑うのが妥当です。
次に、刺し跡の形状です。ブヨは皮膚をかじるため、刺し跡の中央に小さな出血点や傷が見られることがあります。蚊の刺し跡は中央に針の穴のような痕がある場合もありますが、ブヨのそれは少し大きく赤黒い点として確認されることがあります。
症状の経過も重要な手がかりです。蚊刺されは刺された直後から痒みが始まり、数時間でピークを迎えて1〜2日程度で治まることが多いです。これに対し、ブヨ刺されは刺された直後には症状がほとんどなく、数時間後から症状が出始め、翌日以降に症状が最も強くなる傾向があります。腫れが数日から数週間続く点も大きな違いです。
さらに、腫れの大きさと程度も異なります。蚊刺されでも腫れることはありますが、ブヨ刺されの腫れは蚊と比較にならないほど大きく、足が靴に入らなくなるほど腫れることもあります。症状が強い場合、誰の目にも明らかなほどの腫れが見られます。
アウトドア活動後に刺し跡を発見した際、上記のような特徴が当てはまるようであれば、ブヨによる虫刺されとして対処するのが適切です。
⚠️ 5. ブヨに刺された時の応急処置
ブヨに刺された直後に行う応急処置は、その後の症状の程度に大きく影響します。以下の手順を参考に、できるだけ早い段階で適切な処置を行いましょう。
まず最初に行うべきことは、患部を清潔な水で丁寧に洗い流すことです。傷口をきれいにすることで、ブヨの唾液成分や異物をある程度除去し、二次感染のリスクを下げることができます。石鹸を使って優しく洗うと効果的です。強くこすると皮膚へのダメージが増すため注意しましょう。
次に、可能であれば患部を冷やすことも有効です。冷たいタオルや保冷剤をタオルで包んで患部に当てると、炎症や腫れを和らげる効果が期待できます。ただし、冷やしすぎは皮膚のダメージにつながるため、1回15〜20分程度を目安にしましょう。
山中でブヨに刺された場合、ポイズンリムーバー(毒吸引器)を使って傷口から毒素を吸い出す方法も一般的に行われています。完全に毒素を除去できるわけではありませんが、可能な限り早い段階(刺されてから数分以内)に使用することで、症状を軽減できる場合があります。アウトドア活動の際には携帯しておくと安心です。
応急処置の際に注意すべきことがいくつかあります。まず、患部を口で吸い出す行為はやめましょう。口腔内の細菌が傷口に入り込み、感染を引き起こすリスクがあります。また、患部を強く掻いたり引っ掻いたりすることも避けてください。掻き壊しによる傷が感染の入り口になります。アルコール消毒は一般的な傷の消毒に使用されますが、皮膚の炎症が強い場合は刺激が強すぎることがあるため、使い方には注意が必要です。
野外での応急処置が済んだら、なるべく早めに帰宅し、市販薬や医療機関での適切な治療につなげることが重要です。特に症状が強い場合や、刺された数が多い場合は早めの受診をお勧めします。
Q. ブヨに刺されたときの応急処置の手順は?
まず患部を石鹸水で優しく洗い流してブヨの唾液成分を除去します。次にタオルで包んだ保冷剤で1回15〜20分を目安に冷やし、炎症を和らげます。刺されて数分以内であればポイズンリムーバーの使用も有効です。口での吸い出しや強い掻き壊しは細菌感染リスクを高めるため避けてください。
🔍 6. 病院での治療法
ブヨに刺された後、症状が強い場合や自己処置では改善が見られない場合は、医療機関を受診することが重要です。受診先としては皮膚科が最も適していますが、内科やアレルギー科でも対応してもらえることがあります。
医療機関では主に以下のような治療が行われます。
ステロイド外用薬(塗り薬)は、ブヨ刺されの治療の中心となる薬剤です。ステロイドには強力な抗炎症作用があり、腫れや赤み、痒みを効果的に抑えることができます。症状の程度や患部の場所に応じて、弱いものから強いものまで複数の強度のステロイド外用薬があり、医師が適切な強度のものを処方します。市販のステロイド外用薬に比べて処方薬の方が効果が高いものが多く、症状が強い場合には病院での処方が有効です。
抗ヒスタミン薬(飲み薬)は、痒みを引き起こすヒスタミンという物質の働きを抑える薬です。内服することで全身の痒みを抑える効果があり、就寝中の無意識な掻き壊しを防ぐためにも有用です。眠気が出る場合があるため、車の運転などには注意が必要です。
症状が非常に強い場合や、広範囲に渡って腫れている場合には、ステロイドの内服薬(飲み薬)が処方されることもあります。内服ステロイドは自己判断での使用や長期使用は避け、必ず医師の指示に従って服用することが大切です。
二次感染(細菌感染)が起きている場合は、抗菌薬(抗生物質)が処方されます。掻き壊した傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入することで、患部がより赤く腫れ、膿が出る状態(蜂窩織炎など)になることがあります。このような場合は抗菌薬の外用薬や内服薬を使用して感染をコントロールする必要があります。
水疱が形成されている場合は、医師が適切に処置します。自己判断でつぶしてしまうと感染のリスクが高まるため、医療機関での処置が安全です。
アナフィラキシーなど全身症状が現れた場合は救急処置が必要となり、アドレナリンの投与や点滴による補液など、緊急の対応が行われます。このような重篤な反応はまれですが、過去に虫刺されで強いアレルギー反応を起こしたことがある方は、アドレナリン自己注射薬(エピペン)の処方について医師に相談しておくとよいでしょう。
📝 7. 市販薬で対処できる?セルフケアの注意点
ブヨに刺された後の症状が比較的軽い場合、市販薬を使ったセルフケアで対応することも可能です。ただし、いくつかの点に注意する必要があります。
市販の虫刺され薬には、かゆみ止め成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩などの抗ヒスタミン薬)や局所麻酔成分(リドカインなど)、弱いステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステルなど)が含まれているものがあります。これらは軽度の痒みや腫れには効果が期待できます。しかし、市販薬のステロイド成分は比較的弱いものが多く、ブヨ刺されのような強い炎症反応には効果が不十分なことがあります。
市販薬を使用する場合の注意点として、まずステロイド含有の外用薬は、顔や皮膚の薄い部位への使用、長期使用を避けることが基本です。使用方法や期間については、必ず添付文書をよく読み、用法・用量を守って使用しましょう。
掻き壊しによる傷がある場合は、傷口への市販の虫刺され薬の直接塗布は避け、傷の保護と感染予防を優先させましょう。市販の抗菌外用薬を使って傷口をカバーし、清潔に保つことが重要です。
市販の抗ヒスタミン薬の内服(アレグラFX、クラリチンEXなど)も、痒みの軽減に役立つ場合があります。ただし、他の薬との飲み合わせや、持病のある方は使用前に薬剤師に相談することをお勧めします。
セルフケアを行っても症状が改善しない場合、あるいは症状が悪化する場合には、自己判断で様子を見続けることなく医療機関を受診してください。ブヨ刺されは適切な処置を行わないと症状が長期化することがあり、早めの対応が回復を早める重要な要素となります。
Q. ブヨ刺されで病院を受診すべき症状は何か?
腫れが2〜3日経過しても改善しない・悪化している場合、患部の赤みが広がり熱を持つ場合(蜂窩織炎の疑い)、発熱や倦怠感などの全身症状がある場合は速やかに皮膚科を受診してください。全身の蕁麻疹・呼吸困難・めまいはアナフィラキシーの可能性があり、直ちに119番へ連絡する必要があります。
💡 8. こんな症状は要注意!病院を受診すべきサイン
ブヨに刺された後、以下のような症状が見られる場合は速やかに医療機関を受診することが必要です。自己判断で市販薬で対応するのではなく、適切な医療を受けることが重要です。
患部の腫れが非常に大きく、2〜3日経っても改善しないもしくは悪化している場合は受診が必要です。特に足が靴に入らなくなるほど腫れている、腫れが徐々に広がっているといった場合は、早急に皮膚科を受診してください。
患部が熱を持ち、赤みが広がっていく場合は蜂窩織炎(皮膚の深い部分への細菌感染)が疑われます。蜂窩織炎は適切に治療しないと全身に感染が広がるリスクがあるため、早期の受診と抗菌薬による治療が必要です。
発熱、悪寒、倦怠感、リンパ節の腫れなど、全身症状を伴う場合も受診が必要なサインです。局所の炎症が全身に波及している可能性があります。
水疱(みずぶくれ)が大きく形成された場合や、水疱が破れて分泌物が多い状態になっている場合も医療機関での適切な処置が必要です。自己判断でつぶしたり触ったりすることは感染のリスクを高めます。
全身に蕁麻疹が出る、喉がつまる感じがする、呼吸が苦しい、めまいや意識の低下があるといった症状は、アナフィラキシーの可能性があり、直ちに救急医療を受ける必要があります。これらの症状が現れた場合は、すぐに119番に連絡してください。
虫刺されによる症状は「少し腫れた程度だから大丈夫」と放置されがちですが、ブヨの場合は症状が強くなりやすく、感染が合併すると治療が長期化することもあります。気になる症状がある時には、躊躇せず受診することをお勧めします。
✨ 9. ブヨに刺されないための予防策

ブヨによる被害を防ぐためには、事前の予防対策が最も効果的です。アウトドア活動を楽しむ際には以下の予防策を実践しましょう。
肌の露出を最小限にすることが基本的かつ効果的な予防策です。長袖・長ズボンを着用し、できるだけ肌を出さないようにしましょう。特に足首は狙われやすい部位ですので、ソックスを履く際には、ズボンの裾をソックスの中に入れて隙間をなくすと効果的です。薄手の素材は布越しに刺される場合があるため、ある程度厚みのある生地を選ぶことが望ましいです。
防虫スプレーや防虫クリームを使用することも予防に有効です。ディート(DEET)成分が含まれた虫除け剤は、ブヨに対しても効果があるとされています。ただし、ディートは子どもへの使用に制限があるため、年齢に応じた使用方法を守ってください。近年ではイカリジン(ピカリジン)を有効成分とした虫除け製品も市場に出ており、こちらはより幅広い年齢層に使用しやすい成分です。露出した皮膚だけでなく、衣服の上からスプレーすることも効果的です。
ブヨが活発に活動する時間帯(早朝や夕方)の活動を控えることも被害を減らす方法の一つです。どうしても活動が必要な場合は、より丁寧な予防策を講じましょう。
ブヨが多く生息する渓流沿いや草むらを歩く際は特に注意が必要です。長靴を着用する、防虫ネット付きの帽子を被るなど、より徹底した対策が有効です。
キャンプ場ではテント内への侵入を防ぐため、入口のジッパーを適切に閉めることが大切です。テントの周囲に防虫剤を配置することも効果が期待できます。
虫よけ効果があるとされる香りの強いもの(ハーブ系のアロマなど)を活用する方法もありますが、医学的な効果は限定的であり、主要な予防策として頼ることは推奨されません。あくまでも補助的な手段として活用する程度にとどめましょう。
アウトドア活動後は、体の各部位をチェックして刺し跡がないか確認する習慣をつけることも大切です。特に足首や足のすねを中心に確認し、異常を早期発見することで迅速な対処につなげることができます。
また、野外活動の際には万が一に備えてポイズンリムーバーや市販の虫刺され薬をファーストエイドキットに入れておくと安心です。症状が出た際にすぐ対処できる準備をしておくことも、被害を最小限に食い止めるために重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、春から夏にかけてのアウトドアシーズンになると、ブヨによる虫刺されと思われる強い腫れや痒みを訴えて来院される患者様が増える傾向にあります。蚊刺されと思って市販薬で様子を見ていたが改善しないというケースも多く、ブヨの場合は症状が強く長引きやすいため、早めに皮膚科を受診していただくことで、適切なステロイド外用薬などにより回復を早めることができます。自然の中でのアクティビティを安心して楽しんでいただくためにも、気になる症状があればお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
いくつかの特徴で見分けられます。ブヨは刺された直後に症状がほとんどなく、数時間後から強い腫れや痒みが現れ、翌日以降に症状が最も強くなります。また、足首やすねなど露出部位に集中して刺し跡がある場合や、刺し跡の中央に赤黒い小さな傷が見られる場合はブヨが疑われます。アウトドア後に足首周辺に複数の刺し跡がある場合は特に注意してください。
まず患部を清潔な石鹸水で優しく洗い流し、ブヨの唾液成分を除去しましょう。次にタオルで包んだ保冷剤などで1回15〜20分を目安に患部を冷やすと、腫れや炎症を和らげる効果が期待できます。携帯しているようであればポイズンリムーバーを刺されてから数分以内に使用することも有効です。患部を口で吸い出したり強く掻いたりすることは感染リスクが高まるため避けてください。
症状が比較的軽い場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド成分を含む市販の虫刺され薬である程度対処できます。ただし、市販薬のステロイド成分は弱めのものが多く、ブヨ刺されの強い炎症には効果が不十分なケースがあります。市販薬を数日使用しても改善しない場合や症状が悪化する場合は、自己判断で様子を見ず、早めに皮膚科への受診をお勧めします。
以下の場合は速やかに医療機関を受診してください。腫れが2〜3日経っても改善しない・悪化している、患部の赤みが広がり熱を持っている(蜂窩織炎の疑い)、発熱や倦怠感など全身症状がある、大きな水疱が形成されているケースです。また、全身に蕁麻疹が出る・喉が詰まる・呼吸困難・めまいといった症状はアナフィラキシーの可能性があり、直ちに119番へ連絡してください。
最も基本的な予防策は肌の露出を減らすことです。長袖・長ズボンを着用し、ズボンの裾をソックスに入れて足首の隙間をなくしましょう。またディートやイカリジンを含む防虫スプレーを肌だけでなく衣服にも使用することが有効です。ブヨが活発な早朝・夕方の渓流沿いや草むらでは特に対策を徹底し、アウトドア後は足首・すね周辺に刺し跡がないか確認する習慣もお勧めです。
🎯 まとめ
ブヨによる虫刺されは、蚊の刺し跡と比べて症状が強く、長引きやすいという特徴があります。刺された直後は症状がほとんど現れませんが、時間の経過とともに強い腫れや痒み、痛みが生じてきます。適切な処置を行わないと症状が数週間以上続くことがあり、二次感染を合併すると治療がさらに複雑になります。
刺された直後の応急処置として、患部を清潔な水で洗い流し、患部を冷やすことが基本となります。可能であればポイズンリムーバーで毒素を除去することも有効です。その後は患部を掻かないように注意しながら、市販薬を使用するか、症状が強い場合は医療機関で適切な治療を受けることが大切です。
腫れが広がる、発熱がある、二次感染の疑いがある、全身症状が現れるといった場合は、自己判断で対処せず速やかに皮膚科などを受診してください。医療機関ではステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などで効果的な治療を受けることができます。
最も大切なのは予防です。アウトドア活動の際には長袖・長ズボンの着用、防虫スプレーの使用など、事前の対策をしっかりと行いましょう。自然を楽しみながらも、適切な知識と準備を持って活動することで、ブヨによる被害を大きく減らすことができます。アイシークリニック東京院では皮膚トラブルに関する相談も承っておりますので、ブヨ刺されの症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ブヨ(ブユ)刺されを含む虫刺されの症状・診断・治療法(ステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬の使用方針など)に関する皮膚科学的な根拠情報
- 厚生労働省 – アウトドア活動における虫刺され予防・ディート(DEET)やイカリジン含有防虫剤の使用上の注意・年齢制限に関する公式ガイダンス
- 国立感染症研究所 – ブユ(ブヨ)の生態・分布・吸血行動・唾液成分によるアレルギー反応機序および感染症リスクに関する疫学・衛生学的情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務