
夏になると皮膚にかゆみや赤み、小さな水ぶくれが現れることがあります。「あせもかな」と軽く考えていたら、実は帯状疱疹だったというケースは意外と多くあります。帯状疱疹とあせもは、どちらも皮膚に赤みや水疱が生じるため、見た目だけで判断するのは難しいことがあります。しかし、両者はまったく異なる疾患であり、治療法も大きく異なります。特に帯状疱疹は早期治療が重要で、放置すると長期にわたる神経痛が残るリスクもあります。この記事では、帯状疱疹とあせもの違いを症状・原因・発症部位・治療法などの観点から詳しく解説します。自己判断は禁物ですが、まずは基本的な知識を身につけておくことが大切です。
目次
- 帯状疱疹とあせもの基本的な違い
- 帯状疱疹とは?原因と仕組みを理解する
- あせもとは?原因と種類を理解する
- 帯状疱疹の症状と経過
- あせもの症状と経過
- 発症部位で見分けるポイント
- かゆみ・痛みの違いで見分ける
- 水ぶくれ(水疱)の形状で見分ける
- 帯状疱疹が疑われる危険なサイン
- それぞれの治療法と対処法
- 帯状疱疹を予防するために
- あせもを予防するために
- 何科を受診すれば良いか
- まとめ
この記事のポイント
帯状疱疹は体の片側に帯状の発疹と神経痛が現れるウイルス疾患、あせもは汗腺閉塞による両側性のかゆみが主体の炎症で、治療法が全く異なる。帯状疱疹は72時間以内の抗ウイルス薬投与が後遺症予防に重要であり、疑いがあれば速やかに皮膚科を受診することが推奨される。
🎯 帯状疱疹とあせもの基本的な違い
帯状疱疹とあせもは、どちらも皮膚にかゆみや発疹が現れるという点で共通していますが、その原因も性質もまったく異なる疾患です。
帯状疱疹は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患です。子どもの頃に水ぼうそう(水痘)にかかった際に体内に潜伏したウイルスが、免疫力の低下によって再活性化することで発症します。一方、あせもは汗腺が詰まることによって起こる皮膚のトラブルであり、感染症とは無関係です。
見た目の面では、どちらも赤みや水疱が生じることがあるため、一般の方が目視だけで区別するのは難しい場合があります。しかし、発症パターン・痛みの有無・発疹の広がり方などに明確な違いがあります。以下のセクションで順を追って詳しく解説していきます。
Q. 帯状疱疹とあせもの最大の違いは何ですか?
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によるウイルス感染症で、体の片側に帯状の発疹と神経痛が現れます。あせもは汗腺の詰まりによる皮膚炎で、両側に均一なかゆみが主症状です。原因・症状・治療法がまったく異なるため、自己判断は禁物です。
📋 帯状疱疹とは?原因と仕組みを理解する
帯状疱疹は、「水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:VZV)」が原因となる感染症です。このウイルスは、過去に水ぼうそうにかかった経験のある人の体内に潜伏し続けます。水ぼうそうが治癒した後も、ウイルスは脊髄の近くにある神経節(感覚神経の集合部位)に静かに潜んでいます。
通常は免疫システムによってウイルスの活動が抑えられているため、何も症状は起きません。しかし、加齢・疲労・ストレス・病気・免疫抑制剤の使用などによって免疫力が落ちると、長年潜伏していたウイルスが再び活性化し、神経を伝わって皮膚に炎症を引き起こします。これが帯状疱疹です。
日本では、50歳代から発症リスクが高まり、80歳までに約3人に1人が発症するとされています。かつては「高齢者の病気」というイメージが強かったですが、近年は過労やストレスを抱える30〜40代の働き世代にも多く見られるようになっています。
また、帯状疱疹は水ぼうそうにかかったことがある人にしか発症しないという特徴があります。水ぼうそうにかかったことがなく、ワクチン接種もしていない人がVZVに初感染すると、帯状疱疹ではなく水ぼうそうを発症します。
💊 あせもとは?原因と種類を理解する
あせも(汗疹:かんしん)は、汗をかいた際に汗腺や汗管(汗の通り道)が詰まり、汗がうまく皮膚の外に排出されなくなることで起こる皮膚の炎症です。医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。
あせもは発症する深さによって以下のように分類されます。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)は、皮膚の表面に近い部分で汗が詰まって生じる水疱です。透明でかゆみはほとんどなく、軽度なものです。高熱時や日焼け後にも見られることがあります。
紅色汗疹(こうしょくかんしん)は、一般的に「あせも」と呼ばれるものです。皮膚の少し深い部分で汗が詰まり、周囲に炎症が起きます。赤みとかゆみが強く、小さな赤い丘疹(きゅうしん)が多数集まって現れます。
深在性汗疹(しんざいせいかんしん)は、皮膚の深い部分で汗腺が詰まって起こるものです。かゆみは少ないですが、肌色の小さなブツブツが現れます。熱帯地域に長期滞在した際に見られることが多いです。
あせもは子どもに多いというイメージがありますが、大人でも夏の暑い時期や運動後など、大量に汗をかく状況であれば誰でも発症しうる皮膚トラブルです。
🏥 帯状疱疹の症状と経過
帯状疱疹の症状は段階的に変化していきます。病気の進行を知っておくことで、早期発見・早期治療につながります。
発症前(前駆期)として、皮膚に発疹が現れる前から、ピリピリとした刺すような痛みや、皮膚の灼熱感・かゆみ・しびれ感が現れることがあります。この時期はまだ見た目の変化がないため、「筋肉痛かな」「虫刺されかな」と見過ごされてしまうことがあります。また、発熱・頭痛・倦怠感といった全身症状を伴う場合もあります。この前駆期は数日から1週間程度続くことが多いです。
発疹期として、皮膚の一定の領域に赤みを帯びた発疹が出現します。発疹は帯状に広がる傾向があり、これが「帯状疱疹」という名前の由来です。発疹が出現してから2〜3日後には、内部に液体を含んだ水疱(みずぶくれ)が多数集まって現れます。この時期が最も痛みが強く、触れるだけで強い痛みを感じることもあります。
その後の経過として、水疱は数日後に膿疱(のうほう:内容物が濁った状態)になり、やがてかさぶたへと変化します。発症から3〜4週間程度でかさぶたが取れて治癒へ向かうことが多いですが、皮膚症状が治まった後も痛みが残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」が続くことがあります。
Q. 帯状疱疹の治療はいつまでに始めるべきですか?
帯状疱疹の治療は、発症から72時間以内に抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビルなど)の投与を開始することが最も重要です。早期治療により皮膚症状の悪化を防ぎ、皮膚症状が治まった後も痛みが3か月以上続く帯状疱疹後神経痛(PHN)のリスクを大幅に低減できます。
⚠️ あせもの症状と経過
あせもの症状は、発症のタイプによって多少異なりますが、一般的な経過は以下の通りです。
あせもは多くの場合、暑い環境や運動などで大量の汗をかいた後に症状が現れます。赤みのある小さなブツブツが、汗をかきやすい部位に集中して現れるのが典型的です。かゆみが強く、かいてしまうと症状が悪化することがあります。
あせもの特徴として、全体的にまとまった範囲に多数の発疹が現れます。発疹は比較的均一な大きさで、密集して存在します。帯状疱疹のように片側だけに帯状に広がるということはなく、汗をかきやすい部位全体に広がる傾向があります。
あせもは多くの場合、環境を涼しく保ち、皮膚を清潔に保つことで自然に改善します。かゆみが強い場合は市販の薬でも対処できますが、かいて細菌が入ると「あせも悪化」や「とびひ(伝染性膿痂疹)」になることがあるため注意が必要です。
あせもが繰り返し発症したり、なかなか改善しなかったりする場合は、皮膚科での診察を受けることをおすすめします。
🔍 発症部位で見分けるポイント
帯状疱疹とあせもを見分けるための重要な手がかりの一つが、発症する部位です。
帯状疱疹の発症部位として、帯状疱疹は神経の走行に沿って発症するため、体の左右どちらか一方の側にしか現れないのが大きな特徴です。通常、体の正中線(体の中心を縦に通るライン)を越えて反対側まで広がることはありません。発症しやすい部位としては、胸部・腹部・背中が全体の約50〜60%を占めます。次いで、顔・頭部(三叉神経領域)、腰部・殿部、手足などにも発症します。顔面に発症した場合は、目や耳に合併症が起こる可能性があるため特に注意が必要です。
あせもの発症部位として、あせもは汗をかきやすい部位に発症します。具体的には、首の周り、わきの下、肘の内側、膝の裏側、背中、おなか周りなどです。体の両側に対称性に現れることが多く、帯状疱疹のように片側だけに集中するということはありません。また、子どもの場合は頭や額にも多く見られます。
このように、「発疹が体の片側だけに、帯状に集中している」場合は帯状疱疹を強く疑う必要があります。一方、「汗をかきやすい部位の両側に、均一な赤いブツブツが広がっている」場合はあせもの可能性が高いといえます。
📝 かゆみ・痛みの違いで見分ける
感覚的な症状(かゆみや痛み)も、帯状疱疹とあせもを見分けるための重要な手がかりです。
帯状疱疹の痛みについて、帯状疱疹の最大の特徴は「神経痛」です。ピリピリ・ズキズキとした焼けるような痛み、刺すような痛み、電気が走るような痛みが特徴的です。この痛みは神経そのものがウイルスによって傷つけられることで生じます。発疹が出る前から痛みを感じることが多く、発疹が出現してから痛みがさらに強くなることが一般的です。また、衣服が触れるだけで強い痛みを感じる「アロディニア(異痛症)」が起こることもあります。かゆみは発疹が出た初期に感じることもありますが、主症状は「痛み」です。
あせものかゆみについて、あせもの主症状は「かゆみ」です。ヒリヒリとした刺激感を伴うかゆみが特徴的で、汗をかいた後や温まった際に強くなりやすい傾向があります。痛みは基本的にはありませんが、強くかきすぎた場合や皮膚が傷ついた場合には痛みを感じることがあります。かゆみの強さはあせものタイプや個人差によって異なりますが、全体的にかゆみが強く、つい掻いてしまうという声が多いです。
まとめると、「焼けるような強い痛み・神経痛のような痛みが主体」であれば帯状疱疹を疑い、「かゆみが主体で痛みはない」であればあせもの可能性が高いと考えられます。ただし、症状の感じ方には個人差があるため、自己判断だけでなく必ず医療機関に相談することが重要です。
Q. 帯状疱疹が特に危険な発症部位はどこですか?
目の周りに発疹が出る「眼部帯状疱疹」は、角膜炎や視力低下につながる可能性があります。また耳介に発疹が現れ、顔面神経麻痺・難聴・めまいを伴う場合は「ラムゼイ・ハント症候群」が疑われます。いずれも重篤な合併症リスクがあるため、速やかに皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科を受診してください。
💡 水ぶくれ(水疱)の形状で見分ける
発疹や水ぶくれの見た目・形状も、両者を見分けるための重要なポイントです。
帯状疱疹の水疱の特徴として、帯状疱疹では最初に赤みのある皮膚の上に小さな赤い発疹(紅斑:こうはん)が現れ、数日後には内部に透明な液体を含んだ水疱が集まって現れます。水疱は小さなものが密集した「群れを成すような」形で現れるのが特徴です。水疱の大きさは2〜5mm程度で、一定の帯状の領域に集中して存在します。やがて水疱の内容物は濁り、膿疱(のうほう)になり、最終的にはかさぶた(痂皮:かひ)へと変化します。一箇所に塊のように集まった水疱が帯状に分布している場合は帯状疱疹を強く疑うべきです。
あせもの水疱の特徴として、あせも(特に水晶様汗疹)では、透明で小さな水疱が多数現れますが、その水疱は非常に小さく(1〜2mm程度)、表面が薄く、容易に破れてしまいます。発疹は赤みを伴う小さな丘疹が中心で、汗をかきやすい部位に広範囲に分布します。帯状疱疹のような「帯状の分布」ではなく、汗をかく部位全体に均一に散在するイメージです。また、あせもの発疹は表面が均一で、帯状疱疹のような段階的な変化(紅斑→水疱→膿疱→かさぶた)はみられません。
簡潔にまとめると、「帯状(帯のように連なった)配列で、密集した水疱が体の片側だけに見られる」場合は帯状疱疹、「汗をかく部位に広がる、均一な小さな赤いブツブツ・水疱」の場合はあせもの可能性が高いといえます。
✨ 帯状疱疹が疑われる危険なサイン
帯状疱疹は早期治療が重要です。以下のようなサインが現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
目の周りに発疹が現れた場合は特に注意が必要です。帯状疱疹が三叉神経の第一枝(眼神経)の領域に発症した場合(眼部帯状疱疹)、角膜炎や結膜炎、最悪の場合は視力低下につながる可能性があります。額から鼻の先にかけて発疹が出た場合は眼科的な合併症リスクが高まります。
耳の周りに発疹が現れ、顔面神経麻痺が起きた場合も要注意です。耳介(じかい:耳の外側の部分)に発疹が現れ、顔面神経麻痺・難聴・めまいを伴う場合は「ラムゼイ・ハント症候群」と呼ばれる重篤な合併症の可能性があります。早期治療が回復のカギとなります。
皮膚症状が治まっても痛みが続く場合、帯状疱疹後神経痛(PHN:Post-herpetic Neuralgia)は帯状疱疹の最も一般的な合併症で、皮膚症状が治癒した後も3ヶ月以上にわたって痛みが続く状態です。高齢者や糖尿病患者などで発症リスクが高く、慢性的な痛みが日常生活の質を著しく低下させます。
免疫力が著しく低下している人(HIV感染者、悪性腫瘍の治療中の方、免疫抑制剤使用中の方など)では、帯状疱疹が全身に広がる「播種性帯状疱疹(はしゅせいたいじょうほうしん)」が起こることがあります。これは重篤な状態で、緊急の対応が必要です。
発疹が出る前からの強い皮膚の痛みやしびれ、片側の体の一定領域に限局した赤みや水疱なども要注意サインです。「もしかして帯状疱疹かも」と感じたら、早めに皮膚科を受診することを強くおすすめします。
📌 それぞれの治療法と対処法
帯状疱疹とあせもでは、治療のアプローチがまったく異なります。
帯状疱疹の治療として、帯状疱疹の治療の中心は抗ウイルス薬の投与です。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬を、発症早期(72時間以内が理想)に内服することで、ウイルスの増殖を抑え、皮膚症状の悪化を防ぎ、回復を早め、帯状疱疹後神経痛(PHN)のリスクを低減することができます。症状が重い場合や免疫不全の患者さんでは、点滴による抗ウイルス薬の投与が行われることもあります。
痛みに対しては、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンが使用されます。神経痛が強い場合は、プレガバリン(リリカ)などの神経障害性疼痛治療薬が処方されることもあります。皮膚に対しては、水疱が細菌に感染しないよう清潔を保ち、必要に応じて抗菌薬の外用薬が使用されることもあります。
重要なのは、帯状疱疹は自己判断・自己治療ではなく、必ず医療機関を受診して適切な治療を受けることです。早期治療が後遺症(帯状疱疹後神経痛)の予防に直結します。
あせもの治療と対処法として、軽度のあせもは生活環境の改善で自然に治ることが多いです。基本的なケアとしては、涼しい環境を保つ、汗をかいたらシャワーや清潔なタオルで拭き取る、通気性の良い衣類を着る、皮膚を清潔に保つ、かかないようにするといったことが重要です。
かゆみが強い場合は、市販の抗ヒスタミン薬配合の外用薬やカーマインローションなどが有効なことがあります。ただし、症状が改善しない場合や化膿している場合は皮膚科での治療が必要です。皮膚科では、かゆみや炎症を抑えるためのステロイド外用薬が処方されることがあります。ただし、ステロイドは誤った使い方をすると皮膚が薄くなったり感染が広がったりするリスクがあるため、医師の指示に従って使用することが大切です。
あせもが悪化してとびひ(伝染性膿痂疹)になった場合は、抗菌薬の内服や外用が必要となります。
Q. 帯状疱疹ワクチンは誰が接種できますか?
日本では50歳以上を対象に、生ワクチンと組換えサブユニットワクチン(シングリックス)の2種類が使用可能です。帯状疱疹にかかったことがある方や免疫が低下している方でも接種できるワクチンがあります。2024年4月からは一部自治体で定期接種化が進んでいるため、詳細は医療機関や自治体窓口へご相談ください。
🎯 帯状疱疹を予防するために
帯状疱疹は一度発症すると長期にわたる苦痛を伴うことがあるため、予防が非常に重要です。
帯状疱疹ワクチンについて、現在日本では2種類の帯状疱疹ワクチンが使用されています。一つは「生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ウイルスワクチン)」で、50歳以上の方を対象とした任意接種が可能です。もう一つは「組換えサブユニットワクチン(シングリックス)」で、より高い予防効果が期待できる2回接種のワクチンです。50歳以上の方で帯状疱疹になったことがない方、なったことがある方、免疫が低下している方でも接種可能なものがあります。2024年4月からは一部の自治体で定期接種化が進んでいます。ワクチンの詳細については医療機関や自治体の窓口にお問い合わせください。
日常生活での予防として、免疫力を維持・向上させることが帯状疱疹の予防につながります。十分な睡眠をとる、バランスの良い食事を心がける、適度な運動を行う、過度なストレスを避けるといったことが基本的な予防策です。
特に50歳を過ぎた方や、過労・ストレスが続いている方、糖尿病などの基礎疾患がある方は、帯状疱疹のリスクが高いため、ワクチン接種を含めた予防について主治医に相談することをおすすめします。
📋 あせもを予防するために

あせもは適切な生活習慣の改善によって予防・再発防止が可能です。
環境面での対策として、室内では適切な温度・湿度管理を行い、エアコンや扇風機を活用して快適な環境を保ちましょう。直射日光を避け、日陰や涼しい場所での活動を心がけることも大切です。
スキンケアの観点から、汗をかいたら速やかに拭き取るか、シャワーで洗い流すようにしましょう。ただし、石けんで皮膚をゴシゴシ洗いすぎると皮膚のバリア機能が低下するため、優しく洗うことが大切です。入浴後は皮膚をしっかり乾かしてから衣服を着用しましょう。
衣服の選び方として、通気性・吸湿性の高い素材(綿など)の衣服を選ぶことで、汗が皮膚に留まりにくくなります。きつい衣服や摩擦が起きやすい衣服は避け、ゆったりとした衣服を選ぶことも予防につながります。
子どもへの対応として、子どもは体温調節機能が未発達なため、大人よりもあせもができやすいです。過度に厚着をさせず、適切な温度管理に気を配りましょう。おむつやオムツカバーが密着している部位は特にあせもができやすいため、こまめなおむつ交換と清潔管理が重要です。
💊 何科を受診すれば良いか
帯状疱疹とあせものどちらの可能性があっても、まずは皮膚科を受診することをおすすめします。
皮膚科医は皮膚の病気の専門家であり、帯状疱疹とあせもの鑑別診断(区別をつけること)が得意です。問診(症状の経過、痛みの有無、発症した部位など)と視診(発疹の様子を目で見て確認すること)によって、多くの場合は診断をつけることができます。必要に応じてウイルスの確認検査などが行われることもあります。
帯状疱疹の場合、特に以下のような状況では緊急性が高く、早急な受診が必要です。目の周りや耳の周りに発疹が出ている場合(眼部帯状疱疹・ラムゼイ・ハント症候群の疑い)、顔面神経麻痺や聴力低下・めまいを伴う場合、免疫力が低下している状態(悪性腫瘍治療中・HIV感染など)で発症した場合です。これらの場合は、皮膚科受診と並行して眼科や耳鼻咽喉科での診察も必要になることがあります。
「帯状疱疹かあせもか分からない」と感じた場合も、自己判断せずに医療機関を受診してください。帯状疱疹は発症から72時間以内の抗ウイルス薬投与が最も効果的とされているため、早期受診が後遺症の予防に直結します。アイシークリニック東京院でも皮膚トラブルに関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場を中心に「あせもだと思っていたら帯状疱疹だった」というご相談を多くいただきます。特に、発疹が体の片側に集中していたり、かゆみよりも痛みやしびれが強かったりする場合は、帯状疱疹の可能性を念頭に置いていただくことが大切です。帯状疱疹は発症から72時間以内の早期治療が後遺症予防に直結しますので、「少し様子を見ようかな」と思う前に、どうぞお気軽にご受診ください。」
🏥 よくある質問
最も重要な見分け方は「痛みの有無」と「発疹の広がり方」です。帯状疱疹はピリピリ・ズキズキとした神経痛様の痛みが主症状で、体の片側だけに帯状に発疹が現れます。一方、あせもはかゆみが主症状で痛みはなく、汗をかきやすい部位の両側に均一な赤いブツブツが広がります。
できる限り早く、理想は発症から72時間以内の受診をおすすめします。帯状疱疹の治療薬である抗ウイルス薬は、早期に投与するほど効果が高く、皮膚症状の悪化を防ぎ、帯状疱疹後神経痛などの後遺症リスクを低減できます。「様子を見ようか」と迷う前に、まず皮膚科へご相談ください。
軽度のあせもは、涼しい環境を保ち、汗をこまめに拭き取るなど生活環境を改善することで自然に治ることが多いです。ただし、症状がなかなか改善しない場合、かゆみが強くかきむしってしまう場合、患部が化膿している場合などは皮膚科を受診することをおすすめします。
はい、発症します。帯状疱疹はかつて高齢者の病気とされていましたが、近年は過労やストレスを抱える30〜40代の働き世代にも多く見られるようになっています。免疫力が低下すれば年齢を問わず発症するリスクがあるため、若い世代でも油断は禁物です。
現在日本では、50歳以上の方を対象とした帯状疱疹ワクチンが使用可能です。生ワクチンと組換えサブユニットワクチン(シングリックス)の2種類があり、帯状疱疹にかかったことがある方や免疫が低下している方でも接種できるものがあります。接種の詳細については、医療機関や自治体の窓口にご相談ください。
⚠️ まとめ
帯状疱疹とあせもは、どちらも皮膚に赤みや水疱が生じる疾患ですが、その原因・症状・治療法はまったく異なります。主な見分けのポイントを改めて整理すると以下の通りです。
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって起こり、体の片側だけに帯状に発疹が現れます。ピリピリ・ズキズキとした神経痛様の痛みが主症状で、発疹が出る前から痛みが先行することが多いです。発疹は群れを成した水疱として現れ、紅斑→水疱→膿疱→かさぶたと段階的に変化します。早期の抗ウイルス薬治療が重要で、放置すると帯状疱疹後神経痛などの合併症リスクが高まります。
あせもは汗腺・汗管が詰まることで起こり、汗をかきやすい部位の両側に均一な赤いブツブツが現れます。かゆみが主症状で、痛みは基本的にありません。発疹は小さく密集した均一な丘疹・水疱で、帯状の分布はしません。生活環境の改善とスキンケアで多くの場合は自然に改善します。
帯状疱疹は早期治療が極めて重要な疾患です。「あせもかな」と思って様子を見ているうちに帯状疱疹が悪化し、後遺症が残ってしまうケースもあります。皮膚症状とともに強い痛みがある場合、体の片側だけに発疹が限局している場合、目や耳の周りに症状がある場合などは、迷わず速やかに皮膚科を受診することをおすすめします。自己判断せず、専門医に相談することが最も重要です。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 帯状疱疹の診断基準・治療ガイドライン(抗ウイルス薬の使用方針、帯状疱疹後神経痛の定義・リスク因子、発症部位・症状の臨床的特徴など)
- 厚生労働省 – 帯状疱疹ワクチンの定期接種化に関する情報(2024年4月以降の接種制度、生ワクチン・組換えサブユニットワクチン(シングリックス)の対象者・接種方法など)
- 国立感染症研究所 – 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の疫学情報(国内発症率・年齢別リスク、ウイルスの潜伏メカニズム、免疫低下との関連性など)
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務