健康診断の血液検査で「白血球が多い」「白血球が10000を超えている」と指摘され、不安を感じていませんか?白血球の数値が基準値を超えると、「何か重大な病気が隠れているのでは」と心配になる方も多いでしょう。
白血球は私たちの体を細菌やウイルスから守る免疫細胞です。その数が増加している背景には、風邪や感染症といった一時的な原因から、生活習慣、さらには血液疾患まで、さまざまな要因が考えられます。白血球数が10000/μLを超えた場合、すぐに大きな病気を疑う必要はありませんが、その原因を知り、適切に対処することが大切です。
この記事では、白血球の基準値や役割、10000を超える原因、考えられる病気、そして日常生活で気をつけるべきポイントまで、一般の方にもわかりやすく詳しく解説していきます。

目次
- 白血球とは?体を守る免疫細胞の基礎知識
- 白血球の基準値と「多い」の目安
- 白血球が10000を超える原因
- 白血球の種類別にみる増加の意味
- 白血球増加で疑われる病気
- 白血球が多いときに行われる検査
- 白血球を下げるための生活習慣
- 医療機関を受診すべき目安
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
🩸 白血球とは?体を守る免疫細胞の基礎知識
🛡️ 白血球の役割
白血球は、血液の中に含まれる細胞成分のひとつで、私たちの体を外敵から守る「免疫」の主役です。体内に細菌やウイルス、カビなどの病原体が侵入すると、白血球がこれらを攻撃して排除します。また、がん細胞や体内で役目を終えた古い細胞を処理する役割も担っています。
血液検査では、白血球数は「WBC」(White Blood Cell)という項目で表されます。この数値を見ることで、体のどこかで感染や炎症が起きていないかを推測することができます。
🔄 白血球の産生と寿命
白血球は、骨の中にある「骨髄」という組織で作られます。骨髄の中にある造血幹細胞が分化・成熟して、さまざまな種類の白血球になります。
白血球の寿命は種類によって異なります:
- 好中球:血液中での寿命が約10時間程度と非常に短い
- リンパ球:数年間という長い寿命を持つものもあり、免疫の記憶を担う
1日に約1000億個もの好中球が骨髄で生産されており、老化した白血球は主に肝臓や脾臓で破壊されます。
🔬 白血球の5つの種類
白血球は単一の細胞ではなく、5種類の細胞の総称です。それぞれが異なる役割を持ち、協力して体を守っています。
好中球(白血球全体の約50〜70%)
最も数の多い白血球で、細菌や真菌の感染時に真っ先に現場に駆けつけ、病原体を食べて処理する「食作用」を持っています。傷口から出る膿の主成分は、細菌との戦いで死んだ好中球の残骸です。
リンパ球(約20〜40%)
免疫反応の司令塔として働きます。T細胞、B細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などの種類があり、ウイルス感染やがん細胞の排除、抗体の産生などを担当しています。予防接種の効果もリンパ球の「免疫記憶」によるものです。
単球(約3〜8%)
血管から組織内に移動するとマクロファージ(大食細胞)に変化します。好中球よりも大きく、より強力な食作用を持ち、病原体の情報をリンパ球に伝える「抗原提示」という役割も果たします。
好酸球(約1〜5%)
主にアレルギー反応や寄生虫感染への対応に関わります。喘息やアレルギー疾患では好酸球が増加することがあります。
好塩基球(約0.5〜1%)
最も少なく、ヒスタミンなどの化学物質を含む顆粒を持っています。アレルギー反応に関与し、血管内での血液凝固を防ぐ働きもあります。
📊 白血球が多い・10000超えの基準値と危険性
📈 成人の白血球数の基準値
白血球数の基準値は検査機関によって多少の違いがありますが、一般的に成人では3,300〜8,600/μL(マイクロリットル)程度とされています。
日本人間ドック学会の判定区分では、白血球数は以下のように評価されます:
- 基準範囲(異常なし):3,100〜8,400/μL
- 軽度異常:8,500〜9,000/μL
- 要経過観察:9,000〜9,900/μL
- 要医療:3,000/μL以下または10,000/μL以上
つまり、白血球数が10,000/μLを超えると、医療機関での精密検査が推奨される水準ということになります。ただし、この数値だけで病気が確定するわけではなく、原因を調べることが重要です。
🔄 個人差と変動要因
白血球数には個人差が大きいという特徴があります。たとえば、ある人は普段から3,500〜4,500/μL程度で推移し、別の人は7,000〜8,000/μL程度が通常という場合があります。
生理的な変動:
- 朝は少なく夕方ごろから増加する日内変動
- 夏場よりも冬場の方が増加する傾向
- 食事後、特に高タンパク食品摂取後に増加
- 運動後に一時的に増加
⚠️ 10000超えが危険な理由と注意点
健康診断で白血球数の異常を指摘された場合、まず再検査を受けることが重要です。一時的な増加であれば、再検査時には正常範囲に戻っていることも少なくありません。
ただし、白血球の総数だけでなく、どの種類の白血球が増えているかを調べる「白血球分画」の検査も重要です。この分画を見ることで、より詳しい原因の推定が可能になります。
🔍 白血球10000超えの主な原因
白血球数が10,000/μLを超える場合、さまざまな原因が考えられます。多くは一時的で心配のない原因ですが、中には治療が必要な病気が隠れていることもあります。
🚭 病気に関係しない原因
健康診断で見つかる軽度の白血球増加は、多くの場合、肥満や喫煙が原因です。これらの場合は常に軽度の高値を示す傾向があります。
喫煙の影響:
- タバコに含まれる有害物質が体内で慢性的な炎症を引き起こす
- 1日20本の喫煙で男性約1,580/μL、女性約2,470/μLの増加
- 心筋梗塞や脳梗塞のリスクをさらに上昇させる可能性
🦠 感染症による増加
白血球増加の最も一般的な病的原因は感染症です。体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入すると、それと戦うために白血球が増加します。
細菌感染症:
- 主に好中球が増加
- 肺炎、虫垂炎、膀胱炎、敗血症など
- 白血球数が10,000〜20,000/μL程度に上昇
- 感染症が治まると数日で正常に戻る
🔥 炎症性疾患による増加
感染症以外でも、体内で炎症が起きている場合に白血球は増加します。
自己免疫疾患:
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
- 免疫系が自分自身の組織を攻撃することで慢性的な炎症が生じる
💊 薬剤による増加
一部の薬剤は白血球数に影響を与えることがあります。
- ステロイド薬:投与中に好中球を増加させる(薬理作用によるもので病的ではない)
- G-CSF:白血球を増加させる目的で使用される薬剤(抗がん剤治療後の白血球減少回復用)
🧬 白血球の種類別にみる増加の意味
白血球数が増加している場合、どの種類の白血球が増えているかを調べることで、原因をより正確に推測できます。
⚡ 好中球が増加している場合
好中球増加は白血球増加の中で最も頻度が高いパターンです。
主な原因:
- 細菌感染症(肺炎、虫垂炎、膀胱炎、敗血症など)
- 自己免疫疾患による炎症
- 臓器障害に伴う炎症
- 急性心筋梗塞や肺梗塞
- がんの存在
🛡️ リンパ球が増加している場合
リンパ球が増加している場合、まず疑われるのはウイルス感染症です。
- 風邪、インフルエンザ、伝染性単核球症など
- リンパ球増加が長期間続く場合は、慢性リンパ性白血病の可能性も
🤧 好酸球が増加している場合
好酸球が増加している場合、アレルギー性疾患が最も多い原因です。
- 気管支喘息
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性鼻炎
- 食物アレルギー
- 寄生虫感染
🩺 白血球10000超えで疑われる病気
白血球数の増加度合いによって、疑われる病気は異なります。
📈 軽度の増加(10,000〜15,000/μL程度)
軽度の白血球増加の多くは、心配のない原因によるものです。
最も多い原因:
- 喫煙や肥満による慢性的な軽度増加(常に同程度の軽度高値)
- 風邪や軽い感染症による一時的な増加
- ストレス、運動後、脱水
📊 中等度の増加(15,000〜30,000/μL程度)
この程度の増加では、より重篤な感染症や炎症性疾患の可能性が高くなります。
細菌感染症による増加:
- 肺炎
- 虫垂炎
- 胆嚢炎
- 腎盂腎炎
⚠️ 高度の増加(30,000/μL以上)
白血球数が30,000/μLを超える高度の増加では、血液疾患の可能性が高くなります。
急性白血病:
- 骨髄で白血病細胞(芽球)が異常に増殖
- 白血球数が著しく増加することがある
- 通常、赤血球や血小板も減少し、貧血や出血傾向を伴う
慢性骨髄性白血病:
- 成熟した白血球が徐々に増加
- 白血球数が数万から10万/μL以上になることがある
- 初期には自覚症状がほとんどない
🔬 白血球が多いときに行われる検査
白血球増加の原因を調べるために、以下のような検査が行われます。
🩸 血液検査
最も基本的な検査は血液検査です。採血により血液を採取し、自動血球計数装置で白血球数を測定します。
血液一般検査(血算):
- 白血球数だけでなく、赤血球数、ヘモグロビン値、血小板数も同時測定
- 白血球数のみが増加しているのか、他の血球も異常があるのかを確認
🦴 骨髄検査
白血病などの血液疾患が疑われる場合、骨髄検査が行われます。骨髄検査は白血病の確定診断に必須の検査です。
📸 画像検査
白血病では、脾臓や肝臓の腫れ、リンパ節の腫れが見られることがあります。これらを確認するために、以下の検査が行われることがあります:
- 腹部超音波検査
- CT検査
- 胸部X線検査(肺炎など感染症の有無を確認)
🌱 白血球を下げるための生活習慣
白血球が軽度に増加している場合で、病的な原因がない場合は、生活習慣の改善によって数値を正常化できることがあります。
🚭 禁煙の重要性
喫煙は白血球増加の主要な原因の一つです。タバコに含まれる有害物質は体内で慢性的な炎症を引き起こし、白血球を増加させます。
⚖️ 適正体重の維持
肥満も白血球増加の原因となります。肥満状態では体内で慢性的な炎症が起きやすく、これが白血球数に影響します。
🧘 ストレス管理
慢性的なストレスは白血球数に影響を与えることがあります。ストレスを適切に管理することで、白血球数の安定につながる可能性があります。
🥗 バランスの取れた食事
免疫システムの健康を維持するためには、バランスの取れた食事が重要です。特に、ビタミンやミネラル、良質なタンパク質を含む食品を積極的に摂取しましょう。
🏥 医療機関を受診すべき目安
白血球数が増加している場合、以下のような状況では早めに医療機関を受診することをお勧めします。
🚨 すぐに受診すべき場合
白血球数が非常に高い場合:
- 20,000〜30,000/μL以上はすぐに医療機関を受診
- 特に、他の血球(赤血球、血小板)にも異常がある場合は血液疾患の可能性
⏰ 早めに受診すべき場合
- 白血球数が10,000/μL以上で、再検査でも改善しない場合
- 風邪などの感染症が治った後も白血球数が高いまま
- 喫煙や肥満などの明らかな原因がないにもかかわらず、白血球数が持続的に高い
🏥 受診する診療科
最初の受診:
- 白血球増加の原因を調べるためには、まず内科を受診するのが一般的
- かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談

よくある質問
いいえ、白血球が10,000/μLを超えたからといって、すぐに白血病を疑う必要はありません。白血球増加の原因として最も多いのは、風邪などの感染症や、喫煙・肥満などの生活習慣によるものです。
白血病を疑うのは、白血球数が非常に高い場合(30,000/μL以上)や、赤血球・血小板も減少している場合、原因不明の発熱や疲労感・貧血・出血傾向などの症状がある場合などです。心配な場合は、医療機関で詳しい検査を受けてください。
はい、再検査をお勧めします。白血球数は日内変動や季節変動、食事・運動・ストレスなどの影響を受けやすく、一時的に高くなることがあります。再検査で正常範囲に戻っていれば、一時的な変動であった可能性が高いです。
ただし、再検査でも高値が続く場合は、原因を調べるための詳しい検査が必要になることがあります。
白血球が軽度に増加している状態が続くこと自体は、直接的に健康に悪影響を与えるわけではありません。しかし、持続的な白血球増加の背後には、何らかの原因が隠れている可能性があります。
慢性的な炎症や感染症が続いている場合、その原因を治療する必要があります。白血病などの血液疾患が原因の場合は、早期発見・早期治療が重要です。喫煙や肥満が原因の場合は、それ自体が心血管疾患などのリスク因子となるため、生活習慣の改善が推奨されます。
白血球を直接減らす目的で使用される薬は、一般的にはありません。白血球増加の治療は、その原因に対する治療が基本となります。
感染症が原因の場合は抗菌薬や抗ウイルス薬、アレルギーが原因の場合は抗アレルギー薬、炎症性疾患が原因の場合は抗炎症薬や免疫抑制薬、白血病の場合は化学療法(抗がん剤)や分子標的薬などの専門的な治療が行われます。
妊娠中は生理的に白血球数が増加することがあり、特に妊娠後期に顕著になります。これはホルモンの変化や体内のストレスに対する正常な反応であり、多くの場合は心配ありません。
ただし、発熱や感染症の症状がある場合、白血球数が著しく高い場合、他の血液検査項目にも異常がある場合は産婦人科医に相談してください。
📝 まとめ
白血球数が10,000/μLを超えて「多い」と指摘された場合、まずは冷静に原因を考えることが大切です。
多くの場合は心配のない原因:
- 風邪などの感染症
- 喫煙・肥満・ストレスなどの生活習慣
- 感染症が原因の場合は、回復とともに白血球数も正常に戻る
注意が必要な場合:
- 白血球数が著しく高い場合(30,000/μL以上)
- 他の血球にも異常がある場合
- 発熱・疲労感・貧血・出血傾向などの症状を伴う場合
- 白血病などの血液疾患の可能性があり、専門医による精密検査が必要
対処法:
- 白血球数の異常を指摘されたら、まずは再検査を受け、原因を調べることが重要
- 喫煙や肥満など生活習慣が原因の場合は、禁煙や減量に取り組む
- 自己判断で放置せず、気になることがあれば医師に相談
- 定期的な健康診断を受け、自分の体の状態を把握
健康維持の第一歩は、自分の体の変化に気づき、適切に対処することです。不安を感じたときは、一人で悩まず、医療機関で相談してください。
📚 参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
白血球数が10,000/μLを超えているからといって、必ずしも重篤な疾患があるわけではありません。多くの場合、風邪などの感染症や生活習慣が原因です。まずは落ち着いて、医師と相談しながら原因を調べていくことが大切です。一過性の増加であることも多く、再検査で正常に戻ることもよくあります。