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顔に小さな白いプツプツができている、触るとザラザラする、そんな経験はありませんか。それはニキビの初期段階である「白ニキビ」かもしれません。白ニキビは医学的には「閉鎖面皰(へいさめんぽう)」と呼ばれ、毛穴に皮脂や古い角質が詰まった状態を指します。痛みやかゆみがないため放置してしまいがちですが、適切なケアを怠ると炎症を起こして赤ニキビや黄ニキビへと悪化し、ニキビ跡として残ってしまう可能性があります。本記事では、白ニキビの原因から治療法、日常のセルフケアまで、皮膚科医監修のもと詳しく解説します。早めの対処で健やかな肌を取り戻しましょう。


目次

  1. 白ニキビとは?医学的な定義と特徴
  2. 白ニキビができる原因
  3. 白ニキビの症状とできやすい部位
  4. 白ニキビと他のニキビの違い
  5. 白ニキビの治療法
  6. 白ニキビのセルフケアと予防法
  7. 白ニキビを悪化させないための注意点
  8. 皮膚科を受診すべきタイミング
  9. よくある質問
  10. まとめ

白ニキビとは?医学的な定義と特徴

白ニキビは、ニキビの最も初期の段階に現れる皮疹です。医学的には「閉鎖面皰(コメド)」と呼ばれ、毛穴の出口が閉じた状態で皮脂や古い角質が内部に溜まっている状態を指します。ニキビは正式名称を「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」といい、日本では約90%以上の人が一生のうちに経験するとされる非常に身近な皮膚疾患です。

白ニキビの見た目は、皮膚の表面がわずかに白く盛り上がった状態です。大きさは1〜2mm程度と小さく、鏡で見てもあまり目立ちませんが、手で触るとプツプツとした感触があります。表面は薄い皮膜で覆われており、毛穴の中に溜まった皮脂が白っぽく透けて見えることから「白ニキビ」と呼ばれています。

この段階ではまだ炎症は起きていないため、痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどありません。しかし、この状態を放置すると毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤ニキビや黄ニキビへと進行していきます。白ニキビの段階で適切な対処を行えば、跡を残さずに治すことが可能ですので、早期発見と早期治療が重要です。

白ニキビの医学的メカニズム

白ニキビが形成されるメカニズムを理解することは、効果的な予防と治療につながります。私たちの皮膚には無数の毛穴があり、その奥には皮脂を分泌する皮脂腺が存在しています。皮脂は本来、肌を乾燥や外部刺激から守る重要な役割を担っていますが、何らかの原因で毛穴の出口が塞がると、皮脂が正常に排出されなくなります。

毛穴の出口が塞がる主な原因は、毛穴周囲の角質細胞の異常な角化(角化異常)です。通常、角質細胞は定期的に剥がれ落ちて新しい細胞に置き換わりますが、ホルモンバランスの乱れやターンオーバーの異常によって角質が厚くなると、毛穴の出口が狭くなったり完全に塞がったりします。その結果、毛穴内部に皮脂や古い角質が蓄積し、白ニキビが形成されるのです。

この毛穴が閉じた状態で皮脂が溜まったものを医学的には「閉鎖面皰」と呼びます。一方、毛穴が開いた状態で皮脂が空気に触れて酸化し、黒く見えるものを「開放面皰(黒ニキビ)」と呼びます。いずれもニキビの非炎症性の段階であり、適切なケアによって改善が期待できます。

白ニキビができる原因

白ニキビが発生する原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。主な原因を理解することで、効果的な予防策を講じることができます。

皮脂の過剰分泌

白ニキビの最も大きな原因の一つが皮脂の過剰分泌です。皮脂腺から分泌される皮脂の量が多すぎると、毛穴から排出しきれなくなり、毛穴内部に溜まってしまいます。皮脂の分泌量は、ホルモンバランス、食生活、ストレス、遺伝的要因などによって左右されます。

特に思春期は男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が活発になるため、皮脂腺が刺激されて皮脂分泌が増加します。これが思春期にニキビができやすい主な理由です。また、女性の場合は生理前に黄体ホルモンの分泌が増加することで皮脂分泌が活発になり、生理周期に合わせてニキビができやすくなることがあります。

食生活も皮脂分泌に影響を与えます。脂質や糖質の多い食事を続けると皮脂の分泌量が増加するとされています。また、不規則な食事や栄養バランスの偏りも肌の状態を悪化させる要因となります。

毛穴の角化異常

毛穴の出口周辺の角質が厚くなる「角化異常」も白ニキビの重要な原因です。本来、皮膚の角質細胞は約28日周期で生まれ変わり(ターンオーバー)、古い角質は自然に剥がれ落ちます。しかし、このターンオーバーが乱れると古い角質が肌表面に残り、毛穴の出口を塞いでしまいます。

角化異常が起こる原因としては、ホルモンバランスの乱れ、肌の乾燥、紫外線ダメージ、摩擦や刺激、不適切なスキンケアなどが挙げられます。特に肌が乾燥すると、肌は防御反応として角質を厚くしようとするため、毛穴が詰まりやすくなります。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは、皮脂分泌と角化異常の両方に影響を与える重要な要因です。特に男性ホルモン(アンドロゲン)は皮脂腺を刺激して皮脂分泌を促進し、同時に毛穴周囲の角化を促進する作用があります。

女性の場合、生理周期、妊娠、更年期などでホルモンバランスが変動するため、それに伴って白ニキビができやすくなることがあります。また、ストレスや睡眠不足もホルモンバランスを乱す要因となります。ストレスを感じると副腎皮質から男性ホルモンが分泌されるため、皮脂分泌が活発になります。

肌の乾燥

意外に思われるかもしれませんが、肌の乾燥も白ニキビの原因になります。肌が乾燥すると、体は肌を守ろうとして皮脂を過剰に分泌します。また、乾燥によって肌のバリア機能が低下し、ターンオーバーが乱れることで角質が厚くなり、毛穴が詰まりやすくなります。

特に冬場や空調の効いた環境では肌が乾燥しやすく、オイリー肌だと思っていても実は乾燥が原因で皮脂分泌が増えている「インナードライ」の状態になっていることがあります。適切な保湿ケアは白ニキビの予防において非常に重要です。

不適切なスキンケア

洗顔のしすぎや、肌に合わない化粧品の使用も白ニキビの原因となります。過度な洗顔は肌に必要な皮脂まで奪い、乾燥を招いて皮脂の過剰分泌を引き起こします。また、油分の多い化粧品やクレンジングのすすぎ残しは毛穴を詰まらせる直接的な原因となります。

スキンケア製品を選ぶ際は、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されている製品を選ぶことをおすすめします。これは毛穴を詰まらせにくいことが確認された製品であることを示しています。

生活習慣の乱れ

睡眠不足、運動不足、過度なストレス、喫煙、過度な飲酒なども白ニキビの原因となります。睡眠中は肌の修復や再生が行われるため、睡眠不足はターンオーバーの乱れにつながります。また、ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させます。

喫煙は血行を悪化させ、肌への栄養供給を妨げるため、肌の新陳代謝が低下します。これらの生活習慣を改善することは、白ニキビの予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。

白ニキビの症状とできやすい部位

白ニキビの症状と特徴を正しく理解することで、早期発見と適切な対処が可能になります。

白ニキビの見た目と感触

白ニキビは、皮膚表面に小さな白い突起として現れます。大きさは通常1〜2mm程度で、表面は滑らかな薄い皮膜で覆われています。毛穴の中に溜まった皮脂が白っぽく透けて見えるのが特徴です。

鏡で見ても目立ちにくいことが多いですが、光の当たり具合によっては小さなプツプツとして認識できます。手で触ると皮膚表面がザラザラした感触があり、軽く盛り上がっているのがわかります。硬さは比較的硬めで、指で押しても簡単には潰れません。

白ニキビにおける自覚症状

白ニキビは炎症を起こしていない状態であるため、基本的に痛みやかゆみはありません。赤みや腫れもなく、触らない限りその存在に気づかないこともあります。これが白ニキビの放置につながりやすい理由の一つです。

ただし、白ニキビが多数できている場合は、肌全体のざらつきや化粧のノリの悪さとして感じることがあります。また、時間の経過とともに炎症が起こり始めると、軽い痛みやかゆみを感じることもあります。

白ニキビができやすい部位

白ニキビは皮脂分泌が盛んな部位に発生しやすい傾向があります。顔では特にTゾーン(額、鼻、鼻周り)に多く見られます。これらの部位は皮脂腺が多く集まっているため、皮脂が毛穴に詰まりやすいのです。

また、顎(あご)や口周りにも白ニキビができやすいです。この部位は外的刺激を受けやすく、手で触れる機会も多いため、汚れや雑菌が付着しやすい場所です。特に大人の女性では、ホルモンバランスの影響で顎周りにニキビができやすい傾向があります。

頬やこめかみも白ニキビができやすい部位です。頬は髪の毛が触れやすく、枕や寝具との接触も多いため、汚れや摩擦による刺激を受けやすい場所です。こめかみは皮脂分泌が多い部位であり、髪の生え際で蒸れやすいことも原因となります。

顔以外では、背中や胸元にも白ニキビができることがあります。これらの部位も皮脂腺が多く、衣類による蒸れや摩擦が起きやすいため、ニキビができやすい環境が整っています。

白ニキビと他のニキビの違い

ニキビは進行度によって白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビの4種類に分類されます。それぞれの特徴と違いを理解することで、適切な対処法を選択できます。

白ニキビ(閉鎖面皰)

白ニキビはニキビの最も初期の段階です。毛穴の出口が閉じた状態で皮脂や古い角質が溜まっており、皮膚表面に小さな白い盛り上がりとして現れます。炎症は起きておらず、痛みやかゆみはありません。この段階で適切なケアを行えば、跡を残さずに治すことが可能です。

黒ニキビ(開放面皰)

白ニキビがさらに進行すると、毛穴の中に溜まった皮脂が増えて毛穴が押し広げられ、毛穴の出口が開いた状態になります。毛穴の開口部で皮脂が空気に触れて酸化すると、黒く変色して見えるようになります。これが黒ニキビです。黒ニキビも炎症は起きていないため、痛みやかゆみはありません。

赤ニキビ(炎症性皮疹)

白ニキビや黒ニキビを放置すると、毛穴の中でアクネ菌が増殖して炎症を起こします。この状態が赤ニキビです。毛穴周囲が赤く腫れ上がり、痛みを伴うことがあります。赤ニキビは適切な治療をしないとニキビ跡として残りやすいため、早めの対処が必要です。

黄ニキビ(膿疱)

赤ニキビがさらに悪化して膿(うみ)が溜まった状態が黄ニキビです。白血球がアクネ菌と戦った結果、膿が形成されます。ニキビの中心部が黄色または白っぽく見え、痛みを伴います。この段階では皮膚の深部にまでダメージが及んでいることが多く、クレーター状のニキビ跡が残りやすくなります。

白ニキビと黄ニキビの見分け方

白ニキビと黄ニキビは見た目が似ているため、混同されることがあります。しかし、両者は全く異なる状態であり、対処法も異なります。白ニキビは毛穴が閉じた状態で皮脂が溜まっているだけの非炎症性の状態であり、痛みはありません。一方、黄ニキビは炎症が進行して膿が溜まった状態であり、周囲が赤く腫れて痛みを伴います。

白ニキビは小さくて触っても硬い感触がありますが、黄ニキビはやや大きく、触ると柔らかく膿が溜まっているのがわかります。また、黄ニキビは赤い炎症を伴っているのに対し、白ニキビは周囲に赤みがありません。この違いを理解して、適切な対処を行うことが大切です。

白ニキビの治療法

白ニキビは適切な治療によって改善が期待できます。治療法は大きく分けて、皮膚科での保険診療による治療と、自由診療による美容医療があります。

皮膚科での保険診療

ニキビは「尋常性痤瘡」という皮膚疾患であり、皮膚科での保険診療の対象となります。日本皮膚科学会が発行する「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」に基づいた標準的な治療を受けることができます。

アダパレン(ディフェリンゲル)

アダパレンはビタミンA誘導体(レチノイド)の一種で、毛穴の角化異常を改善する外用薬です。2008年に日本で承認されて以来、ニキビ治療の中心的な薬剤として使用されています。皮膚の角化を調節し、毛穴の詰まりを改善することで、白ニキビや黒ニキビなどの面皰に高い効果を示します。

使用方法は1日1回、就寝前に洗顔後の清潔な肌に塗布します。ニキビができている部位だけでなく、その周囲にも広めに塗ることで、新たなニキビの発生を予防する効果も期待できます。使用開始から2週間程度は、乾燥、ヒリヒリ感、皮むけ、赤みなどの刺激症状が現れることがありますが、多くの場合は1か月程度で軽減していきます。

なお、アダパレンは妊娠中や妊娠の可能性がある方には使用できません。また、使用中は紫外線に対する感受性が高まるため、日焼け対策を行うことが推奨されています。

過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)

過酸化ベンゾイル(BPO)は、2015年から日本で使用可能になった外用薬です。角質を剥離させて毛穴の詰まりを改善する作用と、アクネ菌に対する抗菌作用を併せ持っています。抗生物質とは異なり、耐性菌を生じにくいという大きな利点があります。

1日1回、洗顔後に患部に塗布します。使用開始時に刺激感や赤みが出ることがありますが、アダパレンと異なり、使い続けても刺激が軽減しにくい場合があります。また、まれにアレルギー性の接触皮膚炎を起こすことがあるため、使用開始時は少量から試すことが推奨されています。過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、髪の毛や衣服、タオルなどに付着しないよう注意が必要です。

配合剤(エピデュオゲル、デュアック配合ゲル)

アダパレンと過酸化ベンゾイルを配合した「エピデュオゲル」、クリンダマイシン(抗菌薬)と過酸化ベンゾイルを配合した「デュアック配合ゲル」も使用されています。これらの配合剤は、1日1回の塗布で複数の効果が得られるため、治療の利便性が高いです。

ただし、配合剤は単剤よりも刺激が強い傾向があるため、通常は最初にアダパレンや過酸化ベンゾイルの単剤で肌を慣らしてから使用することが推奨されています。

面皰圧出

面皰圧出は、専用の器具を使ってニキビの中に詰まっている皮脂や角栓を押し出す処置です。保険診療で受けることができ、即効性があります。皮膚科では清潔な環境で専用の器具を使って行うため、自分で潰すよりも皮膚へのダメージが少なく、ニキビ跡が残りにくいとされています。

ただし、面皰圧出だけでは根本的な治療にはなりません。毛穴が詰まりやすい肌質を改善しなければ、再び白ニキビができてしまいます。そのため、面皰圧出と併せてアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬による治療を継続することが重要です。

美容皮膚科での自由診療

保険診療では対応しきれない場合や、より積極的な治療を希望する場合は、美容皮膚科での自由診療も選択肢となります。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を肌に塗布して古い角質を除去する施術です。グリコール酸、サリチル酸、乳酸などの薬剤が使用されます。角質を除去することで毛穴の詰まりを改善し、白ニキビの治療と予防に効果が期待できます。また、肌のターンオーバーを促進し、ニキビ跡の改善にも役立ちます。

施術後は一時的に肌が敏感になるため、保湿ケアと紫外線対策が重要です。複数回の施術が必要な場合が多く、通常は2〜4週間おきに数回繰り返します。

イオン導入・エレクトロポレーション

イオン導入やエレクトロポレーションは、電気の力を利用して美容成分を肌の深部に浸透させる施術です。ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの有効成分を効率よく肌に届けることで、皮脂分泌の抑制、抗炎症作用、メラニン生成の抑制などの効果が期待できます。

ケミカルピーリングと組み合わせることで、より高い効果が得られることがあります。

治療の継続と維持療法

ニキビ治療において重要なのは、症状が改善した後も治療を継続することです。日本皮膚科学会のガイドラインでは、急性炎症期の治療後も、アダパレンや過酸化ベンゾイルを用いた「維持療法」を1年以上継続することが推奨されています。これにより、ニキビの再発を予防し、新たなニキビができにくい肌質を維持することができます。

治療の効果が現れるまでには時間がかかることがあります。一般的に、外用薬の効果を実感できるまでには2週間〜2か月程度かかるとされています。すぐに効果が出ないからといって治療を中断せず、根気よく続けることが大切です。

白ニキビのセルフケアと予防法

白ニキビの予防と改善には、日常的なスキンケアと生活習慣の見直しが欠かせません。正しいセルフケアを継続することで、ニキビができにくい健やかな肌を目指しましょう。

正しい洗顔方法

洗顔は白ニキビケアの基本です。ただし、洗いすぎは逆効果になるため、適切な方法と頻度で行うことが重要です。

洗顔の基本的な手順は次のとおりです。まず、手を石鹸でしっかり洗って清潔にします。次に、ぬるま湯(32〜34度程度)で顔を軽く濡らします。熱いお湯は肌の乾燥を招くため避けましょう。洗顔料を手のひらでしっかり泡立て、きめ細かい泡を作ります。泡立てネットを使うと効果的です。

泡を顔に乗せ、指の腹で優しく円を描くように洗います。ゴシゴシこすらないことが重要です。その後、ぬるま湯で洗顔料が残らないよう丁寧にすすぎます。すすぎ残しは毛穴詰まりの原因になります。最後に、清潔なタオルで水分を押さえるように拭き取ります。

洗顔の回数は1日2回(朝と夜)が基本です。皮脂が気になるからといって何度も洗顔すると、必要な皮脂まで奪われて乾燥を招き、かえって皮脂分泌が増加してしまいます。朝はぬるま湯だけで軽くすすぐか、少量の洗顔料で優しく洗う程度で十分な場合もあります。

適切な保湿ケア

保湿ケアは白ニキビの予防において非常に重要です。肌が乾燥すると皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れを招き、毛穴が詰まりやすくなります。

洗顔後はなるべく早く保湿ケアを行いましょう。化粧水で水分を補給した後、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。オイリー肌の方はベタつきを気にして保湿を避けがちですが、水分と油分のバランスを整えることで皮脂分泌が正常化されることがあります。

スキンケア製品を選ぶ際は、「ノンコメドジェニックテスト済み」「油分少なめ」「ニキビ肌用」などと表示されているものを選ぶと良いでしょう。アルコールや刺激の強い成分が多く含まれている製品は避けることをおすすめします。

食生活の改善

バランスの取れた食生活は健やかな肌づくりの基本です。特定の食品がニキビを直接改善または悪化させるという明確な科学的根拠はありませんが、栄養バランスの偏りは肌の健康に影響を与えます。

皮脂分泌を抑え、肌の健康を保つために、ビタミンB群(B2、B6)やビタミンCを積極的に摂取することが推奨されます。ビタミンB群は皮脂の分泌を調整する働きがあり、レバー、卵、納豆、魚介類などに多く含まれています。ビタミンCは抗酸化作用があり、柑橘類、緑黄色野菜、イチゴなどに豊富です。

また、脂質や糖質の多い食事、加工食品、ファストフードなどは控えめにすることが望ましいです。1日3食の規則正しい食生活を心がけ、間食は避けましょう。水分補給も忘れずに行い、肌の潤いを内側から保つことも大切です。

十分な睡眠

睡眠は肌の修復と再生に不可欠です。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーが促進されます。睡眠不足が続くと肌の新陳代謝が滞り、古い角質が溜まりやすくなって毛穴が詰まる原因となります。

理想的な睡眠時間は個人差がありますが、一般的には7〜8時間程度とされています。また、睡眠の質も重要です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は控え、リラックスした状態で眠りにつくことを心がけましょう。

ストレス管理

ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させる要因となります。ストレスを感じると副腎皮質から男性ホルモンが分泌され、皮脂腺が刺激されます。また、ストレスによって無意識に顔を触る癖がつくこともあり、これがニキビを悪化させることがあります。

ストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりのリラックス法を見つけることが大切です。適度な運動、趣味の時間、入浴、音楽鑑賞など、気分転換になる活動を日常に取り入れましょう。

紫外線対策

紫外線は肌にダメージを与え、角質を厚くする原因となります。また、紫外線によって肌の乾燥が進み、皮脂分泌の増加やターンオーバーの乱れを招くことがあります。外出時は日焼け止めを塗り、帽子や日傘などで紫外線を防ぎましょう。

日焼け止めを選ぶ際も、ノンコメドジェニックテスト済みのものを選ぶことをおすすめします。ニキビ肌の方は、紫外線吸収剤よりも紫外線散乱剤を使用した製品の方が肌への刺激が少ない場合があります。

白ニキビを悪化させないための注意点

白ニキビを悪化させないためには、やってはいけないことを知っておくことも重要です。誤った対処をすると、炎症を起こして赤ニキビや黄ニキビに進行したり、ニキビ跡が残ったりする原因となります。

自分で潰さない

白ニキビを見つけると、つい指で潰したくなるかもしれません。しかし、自分で潰すことは絶対に避けてください。清潔でない手で触ると雑菌が入り込み、炎症を起こして赤ニキビに悪化する可能性があります。また、潰す際に皮膚を傷つけると、ニキビ跡として残ることがあります。

毛穴の中身を取り除きたい場合は、皮膚科で面皰圧出の処置を受けることをおすすめします。専門家が清潔な環境で適切な器具を使って行うため、皮膚へのダメージを最小限に抑えることができます。

触らない

白ニキビが気になって何度も触ってしまうことがありますが、これも避けるべき行動です。手には多くの雑菌が付着しており、触ることでニキビに雑菌が移り、炎症の原因となります。また、頬杖をつく、髪の毛が顔にかかるなどの習慣もニキビを悪化させる要因となります。

無意識に顔を触る癖がある方は、意識して触らないように心がけましょう。家族や友人に注意してもらうことも効果的です。

過度な洗顔をしない

皮脂が気になるからといって何度も洗顔したり、スクラブ入りの洗顔料でゴシゴシこすったりすることは逆効果です。過度な洗顔は肌に必要な皮脂まで奪い、乾燥を招いて皮脂の過剰分泌を促します。また、肌への摩擦は刺激となり、炎症を悪化させることがあります。

洗顔は1日2回を目安に、優しく丁寧に行いましょう。スクラブ入りの洗顔料やピーリング剤の使用は控えめにし、敏感肌用の低刺激な洗顔料を選ぶことをおすすめします。

保湿を怠らない

オイリー肌の方は保湿を避けがちですが、保湿ケアを怠ると肌が乾燥し、かえって皮脂分泌が増加することがあります。洗顔後は必ず保湿を行い、肌の水分と油分のバランスを整えましょう。

ただし、油分の多すぎる化粧品は毛穴を詰まらせる原因となるため、さっぱりしたタイプの保湿剤を選ぶと良いでしょう。

厚化粧を避ける

白ニキビを隠そうとして厚くメイクを重ねると、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビを悪化させる原因となります。メイクをする場合は、ノンコメドジェニックテスト済みの製品を使用し、できるだけ薄づきを心がけましょう。

また、メイクをした日は必ずクレンジングと洗顔でしっかり落とすことが大切です。メイクの落とし残しは毛穴詰まりの大きな原因となります。

皮膚科を受診すべきタイミング

白ニキビはセルフケアで改善できることもありますが、以下のような場合は皮膚科の受診をおすすめします。

まず、セルフケアを続けても2〜3か月以上改善が見られない場合は、専門家による診察と治療が必要です。また、白ニキビが大量に発生している場合や、炎症を起こして赤ニキビや黄ニキビに進行している場合も、早めの受診をおすすめします。

繰り返しニキビができる場合も、皮膚科での治療を検討してください。根本的な原因を特定し、適切な治療と維持療法を行うことで、ニキビができにくい肌質を目指すことができます。

さらに、ニキビ跡が気になる場合や、精神的なストレスを感じている場合も受診の対象となります。ニキビは見た目の問題だけでなく、QOL(生活の質)にも大きく影響します。一人で悩まず、専門家に相談することが大切です。

皮膚科では、肌の状態を診察した上で、症状に合った外用薬や内服薬を処方してもらえます。保険診療で治療を受けることができるため、経済的な負担も比較的少なく済みます。ニキビは医学的に治療可能な皮膚疾患ですので、症状が気になる場合は遠慮なく受診してください。

よくある質問

白ニキビは自然に治りますか?

白ニキビは自然に治ることもありますが、放置すると悪化して赤ニキビや黄ニキビに進行する可能性があります。白ニキビの段階で適切なケアを行えば、跡を残さずに改善できることが多いため、早めの対処をおすすめします。正しい洗顔と保湿を心がけ、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。それでも改善しない場合は、皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。

白ニキビを潰しても大丈夫ですか?

自分で白ニキビを潰すことはおすすめしません。清潔でない手や器具で潰すと、雑菌が入り込んで炎症を起こし、赤ニキビに悪化する可能性があります。また、皮膚を傷つけることでニキビ跡が残ることもあります。毛穴の中身を取り除きたい場合は、皮膚科で「面皰圧出」という処置を受けることをおすすめします。専門家が清潔な環境で適切な器具を使って行うため、皮膚へのダメージを最小限に抑えることができます。

白ニキビと黄ニキビの違いは何ですか?

白ニキビと黄ニキビは見た目が似ていますが、全く異なる状態です。白ニキビは毛穴が閉じた状態で皮脂が溜まっているだけの非炎症性の段階であり、痛みはありません。一方、黄ニキビは炎症が進行して膿が溜まった状態で、周囲が赤く腫れて痛みを伴います。白ニキビは小さくて硬い感触がありますが、黄ニキビはやや大きく柔らかい感触があります。対処法も異なりますので、正しく見分けることが大切です。

白ニキビの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

白ニキビの治療期間は個人差がありますが、外用薬による治療の場合、効果を実感できるまでに2週間〜2か月程度かかるとされています。また、症状が改善した後も、ニキビの再発を予防するために維持療法を1年以上継続することが推奨されています。すぐに効果が出ないからといって治療を中断せず、根気よく続けることが大切です。気になることがあれば、担当の医師に相談しましょう。

白ニキビに効く市販薬はありますか?

市販のニキビ用化粧品やOTC医薬品の中には、白ニキビの予防や軽度の症状改善に役立つものがあります。イオウやサリチル酸を含む製品は角質を柔らかくして毛穴の詰まりを改善する効果が期待できます。ただし、皮膚科で処方されるアダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)などの治療薬は市販されていません。これらは医師の診察のもとで処方される医療用医薬品です。白ニキビが気になる場合は、まずは皮膚科を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。

白ニキビは保険診療で治療できますか?

はい、白ニキビを含むニキビ(尋常性痤瘡)の治療は保険診療の対象となります。皮膚科を受診すれば、症状に応じてアダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)などの外用薬を処方してもらえます。また、面皰圧出という処置も保険適用で受けることができます。ニキビは医学的に治療可能な皮膚疾患ですので、症状が気になる場合は遠慮なく皮膚科を受診してください。

まとめ

白ニキビは、ニキビの最も初期の段階であり、毛穴に皮脂や古い角質が詰まった状態を指します。痛みやかゆみがないため見過ごされがちですが、放置すると炎症を起こして赤ニキビや黄ニキビへと悪化し、ニキビ跡として残る可能性があります。

白ニキビの主な原因は、皮脂の過剰分泌、毛穴の角化異常、ホルモンバランスの乱れ、肌の乾燥、不適切なスキンケア、生活習慣の乱れなどです。これらの原因を理解し、正しい洗顔と保湿、バランスの取れた食生活、十分な睡眠、ストレス管理などのセルフケアを実践することで、白ニキビの予防と改善が期待できます。

セルフケアで改善しない場合や、症状が悪化している場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。ニキビは「尋常性痤瘡」という皮膚疾患であり、保険診療で適切な治療を受けることができます。アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬による治療は、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている標準的な治療法です。

白ニキビは早期に対処すれば、跡を残さずに治すことが可能です。一人で悩まず、気になる症状があれば専門医に相談し、健やかな肌を目指しましょう。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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