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はじめに

手足の指や足の裏に、いつの間にかできていた硬い「できもの」。それはもしかすると、ウイルス感染によって生じる「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」かもしれません。一般的には「イボ」と呼ばれるこの皮膚疾患は、放置すると徐々に大きくなったり、数が増えたりすることがあります。また、ご自身だけでなく、ご家族など周囲の方への感染リスクもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。

本記事では、尋常性疣贅の原因、症状、診断方法、そして治療法について、日本皮膚科学会が策定した「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」をはじめとする信頼性の高い医学的エビデンスに基づいて詳しく解説いたします。アイシークリニック東京院は、東京駅八重洲口および日本橋駅からアクセスしやすい立地にあり、専門的なイボ治療を提供しております。


尋常性疣贅とは

定義と概要

尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus: HPV)が皮膚に感染することによって生じる良性の腫瘍です。「尋常性」とは「一般的な」「ありふれた」という意味であり、ウイルス性疣贅の中で最も多くみられるタイプを指します。手足の指、手のひら、足の裏、膝、肘など、外傷を受けやすい部位に好発し、表面がザラザラとした角化性の結節として現れます。

日本皮膚科学会の調査によると、皮膚科外来を受診する患者のうち約4.5%がウイルス性疣贅を主訴としており、特に6〜10歳では約23%、11〜15歳では約17%と、小児において非常に高い割合を示しています。成人においても発症することがあり、幅広い年齢層に認められる疾患です。

原因となるウイルスについて

尋常性疣贅の原因となるHPVは、直径約50〜55nmの小さなDNAウイルスです。現在までに200種類以上の遺伝子型が確認されており、それぞれの型によって感染部位や臨床像が異なります。尋常性疣贅は主にHPV2a型、27型、57型の感染によって生じます。

HPVは皮膚の微小な傷から侵入し、表皮最下層の基底細胞に感染します。感染した細胞内でウイルスは増殖し、細胞分裂の速度が速まることで、その部分の表皮が肥厚してイボを形成します。潜伏期間は1〜6カ月程度とされており、感染してから症状が現れるまでに時間がかかることがあります。

なお、子宮頸がんの原因として知られるHPV16型や18型は「高リスク型」と呼ばれ、尋常性疣贅を引き起こすHPVとは異なる型です。尋常性疣贅の原因ウイルスは一般的に発がん性を持たない「低リスク型」に分類されます。

HPVの感染と生活環

HPVは扁平上皮細胞との親和性が高く、微小な傷から侵入して基底細胞に感染し、核内で一過性の複製を経て潜伏持続感染を来します。これらの潜伏感染細胞は長期間にわたり存在していると考えられています。やがてHPV感染細胞は表皮の分化と同様に潜伏感染状態から、HPV産生を来す溶解感染状態に入り、HPVゲノムは数百倍から数千倍に増幅複製されます。HPV粒子は表皮上層で豊富であり、角質の脱落とともに放出され、また他の表皮の傷に侵入して増殖します。


症状と病型分類

主な症状

尋常性疣贅の典型的な症状は、直径数mmから1cm程度の、表面が粗造で乳頭状を呈する角化性の丘疹や結節です。色調は淡灰色、黄色、褐色、または灰黒色を呈し、境界は比較的明瞭です。通常、痛みやかゆみなどの自覚症状はありませんが、足の裏にできた場合は歩行時に圧迫されて痛みを感じることがあります。

イボの表面をよく観察すると、小さな黒い点々が見えることがあります。これは凝固した血管(点状出血)であり、イボに栄養を供給する毛細血管が血栓化したものです。この点状出血は、後述するタコや魚の目との鑑別に役立つ重要な所見です。

病型による分類

尋常性疣贅は発症部位や形態によって、いくつかの病型に分類されます。

典型的な尋常性疣贅

手足の指や手の甲、膝、肘などに生じる、最も一般的なタイプです。表面が粗造な類円形の結節として現れ、単発または多発します。徐々に増大し、複数の病変が融合することもあります。原因ウイルスはHPV2a/27/57型です。

足底疣贅

足の裏に生じるイボで、歩行時の圧迫により外方への隆起が乏しく、皮膚の中に埋もれるように内方へ増殖します。表面は粗造な角化性局面を呈し、周囲を角化上皮で囲まれています。圧迫すると痛みを感じることが多く、歩行に支障をきたすこともあります。複数の足底疣贅が融合して敷石状になったものは「モザイク疣贅」と呼ばれ、難治性となることがあります。原因ウイルスはHPV2a/27/57型です。

爪囲疣贅・爪甲下疣贅

爪の周囲や爪の下に生じるイボです。爪を変形させたり、爪周囲に感染症(爪周囲炎)を引き起こしたりすることがあります。爪を噛む癖のある方や、水仕事が多い方に発症しやすいとされています。治療が難しく、液体窒素凍結療法では十分な効果が得られないことがあります。

指状疣贅・糸状疣贅

顔面や頸部に生じることが多く、外方向に向かって指状または糸状に突出した形態を呈します。すぼめた指や糸のように細長い形状が特徴的です。

ドーナツ疣贅(リング疣贅)

液体窒素凍結療法などの治療が不十分であった場合に、環状に再発することがあります。中心部が治癒しても周辺部にウイルスが残存していると、このような形態をとることがあります。

特殊型疣贅

尋常性疣贅の特殊型として、以下のようなものがあります。

ミルメシア

蟻塚状の結節として現れ、小児の足底に単発例として多くみられます。原因ウイルスはHPV1a型です。特徴的な細胞質内封入体がみられ、液体窒素凍結療法が良い適応となります。

扁平疣贅

青壮年の顔面や手背に多発する扁平な小結節です。原因ウイルスはHPV3/10/28/29型などです。色素沈着を残しやすいため、液体窒素凍結療法の際には注意が必要です。


感染経路と予防法

感染経路

HPVの感染は主に接触感染によって起こります。感染経路には直接的接触と間接的接触があります。

直接的接触

イボのある方との皮膚接触によりウイルスが伝播することを指します。また、自分自身のイボを触ることで、体の他の部位にウイルスが広がる「自家接種」も起こりえます。例えば、手足にできたイボを引っ掻いたり、削ったりすると、その部分から他の部位にウイルスが広がり、新たなイボができることがあります。

間接的接触

銭湯、温泉施設、プール、ジムなどの公共施設において、床やタオル、靴などを介してHPVに感染するケースが報告されています。特に、湿気の多い環境や共有スペースはウイルスの伝播を助長する要因となります。また、鮮魚や精肉の処理に従事する方では手指の浸軟がHPVの侵入を助長させ、手の疣贅の発症率が高いことが知られています。

正常な皮膚にはHPVは感染しにくいとされていますが、皮膚に微小な傷や亀裂があると、そこからウイルスが侵入しやすくなります。手荒れ、ささくれ、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している場合は、感染リスクが高まります。

予防法

尋常性疣贅の予防には、以下のような対策が有効です。

皮膚の清潔と保湿

皮膚を清潔に保ち、保湿を心がけることが重要です。乾燥や手荒れにより皮膚にひび割れが生じると、ウイルスの侵入経路となります。保湿クリームやローションを使用して皮膚の健康を維持しましょう。

公共施設での注意

公共の場所(プール、ジム、銭湯など)では、裸足で歩くことを避け、専用のサンダルやシューズを着用することをお勧めします。施設利用後は足をよく洗い、清潔を保ちましょう。

イボへの接触を避ける

すでにイボがある方は、できるだけイボを触らないようにしましょう。イボを引っ掻いたり、削ったりすると、その部分からウイルスが周囲に広がり、新たなイボが増えてしまうことがあります。また、タオルやカミソリなどの共有を避け、感染の拡大を防ぎましょう。

傷の適切なケア

小さな傷や切り傷ができた場合は、速やかに洗浄し、清潔な絆創膏で保護することでウイルスの侵入を防ぎます。


診断方法

視診による診断

尋常性疣贅の診断は、多くの場合、視診のみで可能です。典型的な症例では、表面が粗造で乳頭状を呈する角化性丘疹・結節の特徴的な外観から診断がつきます。しかし、時に脂漏性角化症や鶏眼(魚の目)、胼胝(タコ)などとの鑑別が問題となることがあります。

ダーモスコピー検査

ダーモスコピーは、ライトが付いた特殊な拡大鏡を用いて皮膚の状態を観察する非侵襲的な検査法です。尋常性疣贅のダーモスコピー所見としては、以下の特徴がみられます。

  • 皮丘の開大や敷石状外観
  • 点状出血(赤・茶・黒色の小点)
  • 角層内の点状またはヘアピン様血管
  • 白色角化性の環状構造

この検査は、タコや魚の目との鑑別や、治療経過中の病変の残存確認にも有用です。保険診療で実施可能です。

病理組織学的検査

他の疾患との鑑別が必要な場合には、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察する病理組織検査を行うことがあります。尋常性疣贅の病理所見としては、角質肥厚、乳頭腫症を伴う表皮肥厚、中心収束性の表皮突起の延長、顆粒層を中心とした空胞細胞や粗大ケラトヒアリン顆粒などがみられます。

鑑別する疾患としては、部位によって異なりますが、脂漏性角化症、軟性線維腫、日光角化症、ボーエン病、鶏眼、胼胝などが挙げられます。

HPV遺伝子型同定検査

ダーモスコピーや病理組織学的検査でも診断がつかない時など、最終的な疣贅の診断としてHPV DNA検査を行うことがあります。PCR法やLAMP法を用いて、微量の検体からHPV DNAを検出し、型同定を行います。

タコ・魚の目との鑑別

足の裏にできた尋常性疣贅は、タコ(胼胝)や魚の目(鶏眼)としばしば混同されます。これらの鑑別点を理解しておくことは重要です。

特徴尋常性疣贅(イボ)タコ(胼胝)魚の目(鶏眼)
原因HPVウイルス感染繰り返しの圧迫・摩擦繰り返しの圧迫・摩擦
感染性ありなしなし
点状出血あり(削ると出血)なしなし
芯の有無なしなしあり(中心に白く硬い芯)
圧痛軽度または無し通常なしあり
好発年齢小児〜成人成人成人

尋常性疣贅はHPV感染によるウイルス性疾患であり、他者に感染する可能性があります。表面を削ると点状出血がみられることが特徴的です。一方、タコや魚の目は、特定部位への繰り返しの圧迫や摩擦による角質の肥厚であり、ウイルス感染ではないため感染性はありません。削っても出血しないのが特徴です。


治療法

尋常性疣贅の治療には、HPV特異的な抗ウイルス薬が存在しないため、物理的・化学的・薬理学的・免疫学的な様々なアプローチが用いられます。日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」では、各治療法のエビデンスレベルと推奨度が示されています。

液体窒素凍結療法(推奨度A)

液体窒素凍結療法は、現在、尋常性疣贅治療の第一選択として最も広く行われている治療法です。-196℃の液体窒素を綿棒やスプレーを用いてイボに当て、凍結させます。凍結によってイボの組織が破壊され、徐々に縮小していきます。

治療の機序

治療の機序としては、以下の2つが考えられています。

  1. HPVに感染した表皮細胞が凍結によりダメージを受けて脱落する
  2. 凍結による刺激が局所の免疫を活性化させ、ウイルスを排除する方向に働く

治療方法と頻度

ガイドラインでは、イボの周囲を含めて凍結を3回繰り返すことを1〜2週間ごとに行うことが推奨されています。凍結の強度は、部位や病型によって適宜調節していく必要があります。治療間隔については、2週毎、3週毎では消失率に有意差はありませんが、3週間を超えると治療効果が落ちるため、間隔を開けすぎないようにします。

治療期間

治療期間は、イボの大きさや部位によって異なりますが、数カ月から1年以上かかることもあります。特に足の裏の大きなイボは治療に時間がかかる傾向があります。2020年の論文によると、2週間おきに治療したグループの9〜12カ月後の治癒率は77.8%、1カ月おきに治療したグループでは54.3%であったと報告されています。

副作用

治療中は痛みを伴い、治療後数時間〜数日間は軽い痛みが続くことがあります。また、水疱や血豆、色素沈着・色素脱失が生じることがありますが、これらは通常、時間とともに改善します。水疱や血豆ができるのは、皮膚がしっかりダメージを受けて反応を起こしている証拠であり、十分な治療効果が期待できます。

部位別の注意点

  • 指/糸状疣贅:良い適応
  • 四肢の疣贅、足底の孤立性疣贅:有効
  • 足底のモザイク疣贅:効果が少なく、むしろ周囲にリング状に拡大することがある
  • 顔面の扁平疣贅:色素沈着を残しやすいため、通常行わない
  • 爪囲疣贅:過度の治療により永続的な爪変形につながることがあるため注意

サリチル酸外用療法(推奨度A)

サリチル酸は角質を柔らかくして剥離させる作用があり、イボ治療に広く用いられています。50%サリチル酸絆創膏(いわゆるスピール膏)を3〜5日貼付し、軟化した角質を除去する方法が一般的です。

エビデンス

2011年のメタアナリシスでは、333人の患者による5つの臨床試験において、サリチル酸治療群はプラセボに比較して1.6倍の治癒率を示しました。また、813人の患者による16の臨床試験のプール解析では、サリチル酸治療群は49%の治癒率であり、プラセボ群の23%を大きく上回りました。

併用療法

液体窒素凍結療法との併用でさらに効果が高まるとされており、両者を組み合わせて治療することも多いです。サリチル酸外用と液体窒素凍結療法の併用は、サリチル酸単独より効果的であるというシステマティックレビューの報告があります。

注意点

周囲の正常な皮膚に対する刺激が生じることがあるため、使用には注意を要します。化学熱傷などの報告もあります。

ヨクイニン内服療法(推奨度B)

ヨクイニンは、ハトムギの種皮を除いた成熟種子から得られる生薬です。中国古代の薬物書である『神農本草経』にも収載されており、漢方医学では非常に長い使用経験があります。イボの治療に薏苡仁を使うのは日本独自の使用法で、江戸時代に始められたといわれています。

作用機序

免疫賦活作用によってイボの消退を促すと考えられています。ハトムギに含まれる「コイクセノライド」という成分が新陳代謝をアップさせる働きがあるとされています。

有効性

ガイドラインによると、ヨクイニンを服用してからのイボ改善率は以下の通り報告されています。

  • 4週間後:21.4%
  • 8週間後:50.0%
  • 12週間後:66.7%

年齢別の有効率では、乳幼児71%、学童74%、青年57%、成人20%と、若年層で高い有効性が示されています。

用法・用量

通常、成人では1日18錠(ヨクイニンエキスとして1.0〜2.0g)を3回に分けて服用し、3カ月程度を目安に効果を判定します。小児は成人の半量を内服します。

特徴と適応

痛みを伴わない治療法であるため、特に痛みに敏感な小児や、液体窒素凍結療法を避けたい方に適しています。副作用は比較的軽度で、発疹、発赤、そう痒、蕁麻疹、胃部不快感、下痢などが報告されています。小麦アレルギーがある方は、ヨクイニン(ハトムギ)もイネ科の植物であるため、アレルギーを起こす可能性があり注意が必要です。

電気凝固(推奨度B)

標準治療で効果がない場合の治療選択肢の1つとして電気凝固が推奨されています。局所麻酔下にてイボを焼灼する方法です。

エビデンス

ランダム化比較試験(RCT)において、40%サリチル酸外用と電気凝固を比較した結果、完全消失率は40%サリチル酸(16.6%)に対して電気凝固(90%)であり、電気凝固の方が有意に優れていることが示されています。

注意点

施術前の局所麻酔には十分注意し、施術後に瘢痕を残しやすい点にも配慮が必要です。また、施術時に発生する煙の吸引を防ぐために十分な換気下で行うか、吸煙器を使用します。保険適用あり(イボ焼灼法)。

レーザー治療(推奨度B)

レーザー照射による疣贅治療は、各種レーザー治療器の特性を理解した上で有効な治療選択肢の1つとして推奨されています。

各レーザーの有効率

2016年のシステマティックレビューによると、各レーザーの疣贅に対する有効率は以下の通りです。

  • 炭酸ガスレーザー(CO2):50〜100%
  • Er:YAGレーザー:72〜100%
  • パルス色素レーザー(PDL):47〜100%
  • Nd:YAGレーザー:46〜100%

特徴

局所麻酔下でイボを物理的に破壊・蒸散させる方法で、1回の治療で完了することもあります。特に標準治療が無効な難治性疣贅に対して有用です。ただし、瘢痕が残る可能性があること、一部のレーザー治療は保険適用外であることに留意が必要です。

モノクロル酢酸外用(推奨度C1)

モノクロル酢酸は強酸であり、イボ組織を腐食させて破壊する作用があります。液体窒素凍結療法に比べて痛みが少ないため、痛みに弱い方や小児に用いられることがあります。

有効性

本邦での報告では、足底疣贅221例で80.5%、手背の疣贅152例で76.3%の有効例が報告されています。オランダのRCTでは、手の疣贅に対してモノクロロ酢酸群43%、液体窒素群54%の完全寛解率であり、有意差は認められませんでした。

注意点

保険適用外であり、一部に重篤な副作用(深い潰瘍など)もみられることから使用には注意を要します。使用に際しては十分な説明と同意書を得ることが必要です。

活性型ビタミンD3外用(推奨度C1)

表皮細胞の増殖を抑制する作用があり、いくつかのケースシリーズスタディーで有効性が報告されています。密封療法(フィルムやスピール膏で覆う)と組み合わせることで効果が高まるとされています。

接触免疫療法(推奨度B)

DPCP(ジフェニルシクロプロペノン)やSADBE(スクアリン酸ジブチルエステル)などの化学物質で感作を行い、その後定期的に外用することで局所の免疫反応を誘導し、イボを消退させる方法です。多発性・難治性のイボに対して用いられることがあります。痒みや蕁麻疹の発現に対処が必要です。

その他の治療法

ブレオマイシン局所注入療法(推奨度C1)

抗腫瘍性抗生物質の一種であるブレオマイシンをイボに直接注射する方法です。難治性の足底疣贅や爪囲疣贅に有効な場合があります。注射後の疼痛管理に注意を要します。

外科的切除・イボ剝ぎ法(推奨度C1)

イボの数が1〜2個の場合には局所麻酔下にて単純に切除縫合することがあります。イボ剝ぎ法は眼科用剪刀などを用いて疣贅組織を完全に剝離除去する方法です。即効的治療が要求される際の選択肢となりますが、瘢痕形成のリスクがあります。


治療上の注意点

根気強い治療の継続

尋常性疣贅の治療は、1回で完治することは稀で、多くの場合、継続的な通院が必要です。液体窒素凍結療法では週1〜2回のペースで治療を続け、数カ月から1年以上かかることもあります。治療期間中は自己判断で中断せず、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが重要です。

イボが小さく、数が少ないうちは比較的短期間で治癒させることができますが、大型のものや多発したものは難治性となり、治療期間が長くなります。できるだけ早期に治療を開始することが重要です。

再発への対応

約35%の患者では1年以内に再発または新たなイボの出現がみられるという報告があります。治療後も定期的にセルフチェックを行い、再発の兆候があれば早めに受診することをお勧めします。再発を防ぐためには、ウイルスの感染を避けるための日常的なケアが重要です。

自己処置の危険性

イボを自分で削ったり、切ったり、引っ張ったりすることは避けてください。出血によりウイルスが周囲に広がり、イボが増えてしまう可能性があります。また、二次感染のリスクもあります。

市販の「イボコロリ」などを使用する場合も、使用前に医師に相談することをお勧めします。足の裏のイボを魚の目と誤認して市販薬を使用し、症状が悪化するケースもあります。自己判断は禁物ですので、まずは皮膚科を受診しましょう。

治療中の生活上の注意

治療中であっても完治するまでは感染性があるため、以下の点に注意してください。

  • イボをできるだけ触らない
  • タオルやカミソリなどを共有しない
  • プールや公共浴場の利用は控えるか、イボを防水性の絆創膏で覆う
  • 手荒れを防ぎ、皮膚を清潔に保つ

アイシークリニック東京院での治療について

アクセス

アイシークリニック東京院は、東京駅八重洲口から徒歩圏内、日本橋駅からも好アクセスの立地にあります。東京駅八重洲口を出て八重洲地下街を通れば、雨の日でも濡れずにお越しいただけます。オフィス街の中心に位置しており、お仕事帰りや休憩時間にも通院しやすい環境を整えております。

東京駅周辺や八重洲・日本橋エリアでイボの治療をお考えの方は、ぜひ当院にご相談ください。

診療の流れ

当院では、まず丁寧な問診と視診を行い、正確な診断を行います。イボの種類、大きさ、数、発症部位、患者様のご年齢やご希望などを総合的に考慮し、一人ひとりに最適な治療計画をご提案いたします。

液体窒素凍結療法を中心に、サリチル酸外用やヨクイニン内服療法などを組み合わせた複合的な治療を行っています。治療の経過を確認しながら、必要に応じて治療方法を調整していきます。

保険診療について

尋常性疣贅の治療は、液体窒素凍結療法、電気凝固(イボ焼灼法)など、多くの治療が保険適用となっています。初診時には保険証をお持ちください。治療費用や通院頻度などについては、診察時に詳しくご説明いたします。


よくあるご質問

Q1. イボは放置しても大丈夫ですか?

免疫がつけば自然に消退することもありますが、通常2〜4年かかるとされています。その間にイボが大きくなったり、数が増えたり、他の部位や他者に感染したりするリスクがあります。早期に治療を開始することで、治療期間の短縮と感染拡大の防止につながりますので、できるだけ早めの受診をお勧めします。

Q2. 液体窒素凍結療法は痛いですか?

凍結中はドライアイスを押し付けるような冷たさと痛みを感じます。治療後も数時間〜数日間は軽い痛みが続くことがありますが、通常は我慢できる程度です。痛みの感じ方には個人差がありますので、ご不安な方は事前にご相談ください。痛みを軽減するための工夫として、治療の強度や回数を調整することも可能です。

Q3. 治療後に水疱や血豆ができましたが大丈夫ですか?

液体窒素凍結療法後に水疱や血豆ができることは、皮膚がしっかりダメージを受けて反応を起こしている証拠であり、十分な治療効果が期待できます。通常1〜3週間で自然に吸収され、かさぶたになって剥がれ落ちます。大きな水疱ができた場合や痛みが強い場合は、クリニックにご相談ください。

Q4. プールや温泉に入っても大丈夫ですか?

イボが完全に治癒するまでは感染性がありますので、他者への感染を防ぐ観点から、プールや公共浴場の利用は控えることが望ましいです。やむを得ず利用する場合は、イボを防水性の絆創膏で覆うなどの対策を講じてください。

Q5. 子どものイボは特別な治療が必要ですか?

小児はイボの発症率が高いですが、免疫がつきやすく自然治癒することも多いとされています。また、ヨクイニン内服療法は小児で特に有効率が高い(70%以上)と報告されています。液体窒素凍結療法の痛みに耐えられない場合は、モノクロル酢酸外用など痛みの少ない治療法を選択することも可能です。お子様の年齢や性格に合わせた治療をご提案いたします。

Q6. 治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

イボの場所、深さ、大きさによって治療期間は大きく異なります。一般的には3〜6カ月程度が目安となりますが、足の裏の大きなイボや爪囲のイボは1年以上かかることもあります。1〜2週間に1回のペースで定期的に通院していただくことで、効果的な治療が可能です。

Q7. 治療費用はどのくらいですか?

尋常性疣贅の治療は保険診療で行うことができます。液体窒素凍結療法は、イボの数や大きさによって異なりますが、3割負担の場合、初診料を含めて数千円程度が目安となります。詳細は診察時にご説明いたします。

Q8. 市販薬で治療できますか?

市販の「イボコロリ」などのサリチル酸製剤は、軽度のイボに対しては効果がある場合もあります。しかし、足の裏のイボをタコや魚の目と誤認して使用したり、使い方を誤ったりすると症状が悪化することがあります。また、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合もあるため、自己判断での治療は避け、まずは皮膚科を受診することをお勧めします。


まとめ

尋常性疣贅(イボ)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じる良性の皮膚疾患です。放置すると増大・増加し、他者への感染リスクもあるため、早期診断・早期治療が重要です。

治療の第一選択は液体窒素凍結療法であり、サリチル酸外用やヨクイニン内服療法との併用も効果的です。治療には時間がかかることも多いですが、根気強く継続することで多くの場合治癒が期待できます。

尋常性疣贅の治療のポイントは以下の通りです。

  • 早期発見・早期治療が重要
  • 液体窒素凍結療法が第一選択(推奨度A)
  • サリチル酸外用療法も有効(推奨度A)
  • ヨクイニン内服は特に小児で有効(推奨度B)
  • 1〜2週間ごとの定期的な通院が必要
  • 治療期間は数カ月〜1年以上かかることもある
  • 自己処置は避け、専門医に相談する

アイシークリニック東京院では、八重洲・日本橋エリアで専門的なイボ治療を提供しております。手足にできたイボでお悩みの方、タコや魚の目との区別がつかずお困りの方は、お気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 日本皮膚科学会尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会「尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)」日皮会誌 129(6):1265-1292, 2019
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/129/6/129_1265/_article/-char/ja/
  2. 国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス「ヒトパピローマウイルス」
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/HPV.html
  3. 厚生労働省検疫所FORTH「ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんワクチン(ファクトシート)」
    https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/11281518.html
  4. MSDマニュアル プロフェッショナル版「疣贅」
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/14-皮膚疾患/ウイルス性皮膚疾患/疣贅
  5. Mindsガイドラインライブラリ「尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)」
    https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00525/
  6. 第一三共ヘルスケア「ひふ研|いぼ(尋常性疣贅)」
    https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/symptom/ibo/
  7. 田辺三菱製薬 ヒフノコトサイト「尋常性疣贅(ウイルス性イボ)の症状、原因、治療法」
    https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/2016

本記事は医療情報の提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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