ワキの臭いに長年悩まれている方にとって、ワキガ手術は人生を変える大きな決断です。しかし、手術を検討する際に最も気になるのが「ダウンタイム」ではないでしょうか。
本記事では、ワキガ手術のダウンタイムについて、術前の準備から術後の回復まで詳しく解説します。八重洲・日本橋エリアにお住まいの方やお勤めの方が、安心して治療を受けられるよう、医学的な知見に基づいた情報をお届けします。

📋 目次
- ワキガ(腋臭症)とは何か
- ワキガの原因とメカニズム
- ワキガかどうかを判断するセルフチェック
- ワキガの主な治療方法
- 保険適用となる剪除法について
- ワキガ手術のダウンタイムと回復期間
- 術後の過ごし方と注意点
- 手術に伴うリスクと合併症
- 治療費用の目安
- クリニック選びのポイント
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
🩺 ワキガ(腋臭症)の基本知識
🔍 ワキガとは何か
ワキガは、医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれる状態です。ワキの下から特有の不快な臭いが発生する症状で、硫黄やスパイスに例えられるような鼻にツンとくる独特の刺激臭が特徴です。
日本人のワキガ体質の割合は約10%程度とされており、欧米と比較すると少数派です。そのため、日本では体臭に対する意識が高く、ワキガは強いコンプレックスとなり、日常生活や社会生活に支障をきたす場合があります。
ワキガは放置しても身体的な健康上の問題を引き起こすことはありません。しかし、人と会うのが辛くなったり、精神的な負担が大きくなったりすることから、適切な治療が求められるケースも多くあります。
🔬 ワキガの原因とメカニズム
人間の体には、「アポクリン汗腺」と「エクリン汗腺」という2種類の汗腺が存在します。
エクリン汗腺は全身に分布しており、体温調節のために主に水分を分泌します。この汗は99%が水分で、蒸発しやすく、拭き取ればにおいはあまり気になりません。
一方、アポクリン汗腺はワキの下、耳の中(外耳道)、乳輪、陰部、肛門周辺など特定の部位に集中して分布しています。アポクリン汗腺から分泌される汗には、以下の成分が含まれており、粘り気があります:
- タンパク質
- 脂質
- アンモニア
- 糖質
- 鉄分
- 色素(リポフスチン)
👃 臭いが発生するメカニズム
アポクリン汗腺から分泌される汗自体は、実は無臭です。しかし、この汗が皮膚表面に到達すると、そこに存在する皮膚常在菌(主に表皮ブドウ球菌など)によって分解されます。この分解過程で「3メチル2へキセノイン酸」などの臭い物質が生成され、ワキガ特有の臭いが発生するのです。
🧬 遺伝的要因
ワキガは優性遺伝として知られており、遺伝的要因が大きく関わっています:
- 片親がワキガ体質 → 約50%の確率で遺伝
- 両親がワキガ体質 → 約80%の確率で遺伝
✅ セルフチェックと診断方法
📝 簡単セルフチェック
「自分はワキガかもしれない」と気になる方のために、セルフチェックの方法をご紹介します。ただし、これはあくまで目安であり、正確な診断は専門医による診察が必要です。
以下の項目に該当するものが多いほど、ワキガ体質の可能性が高まります:
- 耳垢が湿っている(特に溶けたキャラメル状に茶色くドロッとしている)
- 耳の中にもアポクリン汗腺が存在しており、その活動が活発であることの目安
- ある調査では、耳垢が湿っている人の約80%がワキガを有するという結果
- 両親またはどちらかがワキガ体質である
- 前述の通り、ワキガは遺伝性が高い体質
- 白い衣服のワキ部分が黄色や黄土色に染まる
- アポクリン汗に含まれるリポフスチンという色素成分が衣類に付着
- ワキ毛が多い、または濃い
- アポクリン汗腺は毛穴の毛根部分に存在するため
🧪 ガーゼテスト
医療機関でも採用されている「ガーゼテスト」を自宅で試すこともできます:
- 清潔なガーゼをワキに挟む
- 数分間軽い運動を行う
- ガーゼを取り外し、ワキの下を清潔なタオルでふき取る
- 別の部屋など臭いのない場所に移動してからチェック
一般的にレベル3以上でワキガと判定されます。
⚠️ 注意点
自分の臭いは自覚しにくいものです。また、臭いが強くない方ほど自覚症状が強くなる傾向があることも報告されています。周囲から臭いと思われていると思い込んでしまう「自己臭恐怖症」という状態もあります。
💊 ワキガ治療の選択肢
ワキガの治療方法は大きく分けて、以下の4つのアプローチがあります:
- 外用薬による保存的治療
- 注射による治療
- 切らない治療(機器を用いた治療)
- 手術(切開を伴う治療)
🧴 外用薬による治療
抗生物質の外用薬を使用して、臭いの原因となる皮膚常在菌を抑制する方法です:
- 毎日塗布する必要はなく、2〜3日使用して臭いが取れれば1〜2週間は休薬可能
- エクロックゲルやラピフォートワイプなど汗の量を抑える薬剤もあるが、あくまで多汗症に対する治療
💉 ボトックス注射
発汗の指令を出す神経伝達物質「アセチルコリン」を遮断することで、ワキの汗を減少させる方法:
メリット:施術時間は10分程度、傷跡が残らない、ダウンタイムがほぼない
デメリット:効果は3〜6カ月で継続的な治療が必要、強いワキガ臭には効果が限定的
⚡ ミラドライ・ビューホット
マイクロ波や高周波を使用してアポクリン汗腺とエクリン汗腺を破壊する治療方法:
- 厚生労働省認可の多汗症治療機器
- 皮膚を切開しないため傷跡が残らない
- 効果は半永久的だが費用は20万円〜50万円程度と高額
✂️ 剪除法(皮弁法)
ワキの皮膚を切開し、医師が直接目で見ながらアポクリン汗腺を除去する手術方法:
- 保険適用が認められている唯一のワキガ治療法
- 最も治療効果が高い方法
🏥 保険適用の剪除法について
🔍 剪除法とは
剪除法(せんじょほう)は、「皮弁法」「反転剪除法」とも呼ばれ、ワキガ治療の中で最も確実性が高い手術方法です:
- ワキの中央部をシワに沿って約3〜5cm程度切開
- 皮膚を反転させて(裏返して)皮膚の裏側を確認
- アポクリン汗腺を目視で一つずつ丁寧に除去
💰 保険適用の条件と費用
剪除法は健康保険の適用が認められている唯一のワキガ手術です。
保険適用の条件:
- 医師が「腋臭症」と診断
- 「悪臭が著しく、日常生活や仕事に支障をきたしている」と判断
自己負担額(3割負担):
- 両ワキ:約4〜5万円程度
- 片ワキ:約2〜2.6万円程度
🏥 手術の流れ
手術当日:
- 局所麻酔で実施(日帰り可能)
- 手術時間:両ワキで約60〜90分程度
✅ 剪除法のメリット・デメリット
メリット:
- 保険適用で費用を抑えられる
- 治療効果が最も高い
- 重度のワキガにも対応可能
- 再発率が低い
デメリット:
- 切開を伴うため傷跡が残る
- 圧迫固定期間中は腕の動きが制限される
- ダウンタイムが他の治療法と比較して長い
- 血腫や皮膚壊死などの合併症リスク
⏰ ワキガ手術のダウンタイム完全ガイド|八重洲での回復期間
ワキガ手術(剪除法)を検討する方が最も気になるのが、ダウンタイムの長さではないでしょうか。メスで皮膚を切開する手術である以上、傷の回復に時間がかかることは避けられません。
📅 ダウンタイムの期間目安
手術当日〜翌日(最も辛い時期)
- 麻酔が切れた後は痛みを感じることがある
- 処方される痛み止めで対処可能
- 痛みのピークは手術当日の夜から翌朝まで
術後3日間(特に安静が必要な期間)
- 両腕を大きく上げることができない
- 日常生活に制限がかかる
- 事務的な仕事であれば可能な場合もあるが、自宅で安静が理想
術後1週間(圧迫固定継続期間)
- ワキを動かしたり急な動きは控える
- 腕を上げたり脇を大きく動かすと出血や血腫のリスク
💼 仕事復帰の目安
職種別復帰時期:
- 事務作業のみ → 術後3〜7日後から復帰可能
- 普通の仕事 → 術後7日後を目安に復帰検討
- 力仕事や腕を多く使う仕事 → 術後10日〜2週間以上の休みが必要
🚿 入浴について
シャワー:
- 術後翌日からシャワーは可能
- ワキを濡らさないように注意が必要
- 髪を洗う際もワキを締めて洗うか、誰かに手伝ってもらう
湯船:
- 湯船に浸かるのは抜糸後の1週間〜2週間後から
- 傷口を濡らすことができるようになるまで2〜4週間
👥 片側ずつの手術について
多くのクリニックでは、両ワキ同時ではなく片側ずつの手術を推奨しています。
片側ずつ手術のメリット:
- 十分な治療時間をかけられ、確実にアポクリン汗腺を除去
- 安静度を保ちやすく、合併症のリスクが低下
- 生活の制限が少なく、仕事への影響が軽減
🏠 術後の過ごし方と注意点
🛌 術後当日の注意点
最重要事項:安静
- ワキを軽く締め、肩を動かさないよう細心の注意
- 麻酔が切れた後の痛みは処方された鎮痛剤で早めに対処
- 処方される薬:抗生剤、鎮痛剤、止血剤、胃薬など
📝 最初の1週間の過ごし方
避けるべき動作:
- 腕を上げる動作
- 重い物(1キロ以上)を持つこと
- 体を支える動作
✂️ 抜糸後の注意点
重要なポイント: 抜糸をしたら大丈夫と気を緩めてしまう方が多いですが、実は「抜糸後の2週間」が最も注意すべき期間です。
🌟 傷跡のケア
傷跡を目立たなくするためのポイント:
- 医師の指示を守り、安静にすることが最重要
- 傷跡部分への紫外線を避ける
- 経過観察と必要な投薬を通常3カ月間程度継続
⚠️ 手術リスクと合併症
どのような手術にもリスクは伴います。ワキガ手術の合併症は、手術手技の問題というよりも、患者さまご自身の体質、術後の安静度、セルフケアなどがより大きな要因となることを理解しておきましょう。
😰 腫れ・痛み
正常な術後反応:
- じわじわとした鈍い痛みをともなうワキの皮膚の腫れが3〜7日続く
- 痛み止めを服用することで対処可能
- 眠れないほどの痛みに苛まれる心配は通常なし
🩸 血腫(内出血)
最も起こりやすい術後トラブルが血腫です。
原因:術後に患部の安静を保てなかった、圧迫固定が十分でなかった、皮膚の下に血が溜まる
💀 皮膚壊死
経過:発生した場合も、適切に処置すれば通常1カ月程度で治癒。皮膚壊死を防ぐには術後の「安静」が最も大切
🎯 傷跡・色素沈着
切開を伴う手術である以上、傷跡は避けられません。経過が順調であれば、切開傷は術後2〜3週間ほどから改善し、1年が経つころには目立ちにくくなります。
👃 臭いの残存・再発
アポクリン汗腺を100%完全に除去することは技術的に不可能です。通常の手術では約80〜95%のアポクリン汗腺を除去可能で、適切な手術が行われていれば、日常生活で気にならないレベルまで軽減されます。

❓ よくある質問
局所麻酔を行うため、手術中の痛みはほとんどありません。最初の麻酔注射が少しチクチクしますが、術中は痛みを感じません。麻酔が切れた後は痛みが出ることがありますが、処方される痛み止めで対処できます。痛みのピークは手術当日の夜から翌朝までで、その後は日に日に楽になります。
ほとんどのクリニックで日帰り手術が可能です。ただし、術後はワキの圧迫固定をするため、車の運転はできません。電車やタクシーでの帰宅となりますが、遠方から来院される場合は術後の安静を考慮し、近隣での1泊を検討されることをお勧めします。
アポクリン汗腺は思春期に発達するため、成長途中で手術をすると後で出てくる部分を取り残すことになります。推奨年齢:
・女性 – 14歳以上
・男性 – 16歳以上
ただし、症状や個人差もありますので、専門医に相談してください。
適切な手術が行われていれば、再発の心配はほとんどありません。一度除去されたアポクリン汗腺は再生しないためです。
ただし、取り残されたアポクリン汗腺が一時的に活動を停止し、後に活動を再開することで「再発した」と感じるケースがあります。これは厳密には再発ではなく、残存した汗腺による症状です。
どのような方法を用いてもアポクリン汗腺を100%完全に取り切ることは不可能であり、臭いが完全にゼロになるとは言い切れません。
しかし、適切な手術であれば日常生活で気にならない程度にまで臭いは大きく軽減されます。制汗スプレーなど一般的なケアで対応できるレベルになることが目標です。
切開を伴う手術のため、傷跡は残ります。しかし、ワキのシワに沿って切開するため、経過が順調であれば徐々にシワとなじんで目立たなくなっていきます。
傷跡の状態は術後のケアや体質によっても異なりますので、医師の指示に従って適切にケアすることが大切です。
術後1〜2週間は腕の動きに制限があるため、完全に隠すことは難しいかもしれません。ただし、周囲に伝える範囲は患者さまご自身で決められます。
事前に考慮すべき点:
・洋服の着替えが困難になる
・髪を洗う際に手伝いが必要になる
・信頼できる方には相談しておくことをお勧め
クリニックによって対応は異なりますが、片側ずつの手術を推奨するクリニックが多いです。
理由:
・両側同時の場合は術後の生活が非常に制限される
・合併症のリスクも高くなる
・手術時間が長くなることで手術の質が低下する可能性
詳しくはカウンセリング時にご相談ください。
📝 まとめ
ワキガ手術(剪除法)は、保険適用で受けられる治療の中で最も効果が高い治療法です。しかし、切開を伴う手術である以上、ダウンタイムがあり、術後の生活にも一定の制限がかかります。
ダウンタイムの目安:
- 術後3日間 – 特に安静が必要
- 術後1週間 – 圧迫固定を継続
- 術後7〜10日 – 抜糸
- 術後2週間 – ほぼ普通の生活に戻る
- 術後1カ月 – 通常の生活が可能
- 術後3カ月〜1年 – 傷跡が目立たなくなる
手術を受ける際の重要ポイント:
- 事前にスケジュールを調整する
- 術後のサポート体制を整える
- 経験豊富な専門医のいるクリニックを選ぶ
- 十分なカウンセリングを受けてから決断する
ワキガの悩みは一人で抱え込まず、専門医に相談することが解決への第一歩です。適切な治療を受けることで、臭いの悩みから解放され、より自信を持った毎日を送れるようになります。
アイシークリニック東京院では、経験豊富な形成外科専門医が、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療法をご提案いたします。ワキガでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
📚 参考文献
- 日本形成外科学会 – 腋臭症(わきが)
- 日本皮膚科学会 – 皮膚疾患ガイドライン
- 厚生労働省 – 医療安全に関する情報
- 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科「ワキガ(腋臭症)の治療〜ニオイの診断と手術〜」
- 済生会「ワキガの悩みとさようなら!今すぐ試せるケア方法」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
ワキガのセルフチェックは参考程度に留めることが大切です。特に「自己臭恐怖症」の方は実際には軽度の症状にも関わらず、過度に心配されるケースがよく見られます。客観的な診断のためにも、気になる症状がある場合は専門医にご相談ください。適切な診断により、最適な治療法をご提案いたします。