「喉がムズムズして咳が止まらない」という症状に悩まされている方は少なくありません。風邪をひいた覚えもないのに喉に違和感があり、咳が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、何か重大な病気ではないかと不安になることもあるでしょう。
喉のムズムズや止まらない咳の背景には、アレルギー性疾患や感染症の後遺症、消化器系の問題など、さまざまな原因が考えられます。原因によって適切な治療法が異なるため、まずは自分の症状がどのような病気によるものなのかを理解することが大切です。
本記事では、喉がムズムズして咳が止まらないときに考えられる主な原因疾患、それぞれの特徴的な症状、自宅でできる対処法、そして医療機関を受診すべき目安について詳しく解説します。

目次
- 喉がムズムズする・咳が止まらない症状とは
- 喉のムズムズ・咳が止まらないときに考えられる7つの病気
- 2-1. 咳喘息(せきぜんそく)
- 2-2. アトピー咳嗽(がいそう)
- 2-3. 感染後咳嗽
- 2-4. アレルギー性鼻炎・花粉症
- 2-5. 後鼻漏(こうびろう)
- 2-6. 逆流性食道炎(GERD)
- 2-7. 喉頭アレルギー
- 咳が続く期間による分類
- 喉がムズムズして咳が止まらないときの対処法
- 医療機関を受診すべき目安
- 医療機関で行われる検査
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 参考文献
1. 喉がムズムズする・咳が止まらない症状とは
喉がムズムズする、イガイガする、かゆい感じがするといった喉の違和感は、多くの人が経験する一般的な症状です。この違和感は、単独で現れることもあれば、咳を伴うこともあります。
喉の違和感と咳が同時に現れる場合、その原因はアレルギー性疾患である可能性が高いと考えられています。アレルギーの原因物質(アレルゲン)が呼吸によって口から入り込むと、喉の粘膜に付着して炎症を起こし、違和感や咳の原因となります。
日本人の約2人に1人は何らかのアレルギーを持っているとされており、アレルギー疾患は非常に身近な病気です。しかし、喉の違和感や咳の原因はアレルギーだけではありません。感染症の後遺症、消化器系の問題、精神的なストレスなど、多様な要因が関与していることがあります。
咳の種類としては、痰を伴わない「コンコン」という乾いた咳(乾性咳嗽)と、痰が絡む「ゴホゴホ」という湿った咳(湿性咳嗽)の2種類があります。喉のムズムズを伴う咳は、乾いた咳であることが多いのが特徴です。
2. 喉のムズムズ・咳が止まらないときに考えられる7つの病気
2-1. 咳喘息(せきぜんそく)
咳喘息は、長引く咳の原因として最も多い病気の一つです。通常の気管支喘息とは異なり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴わず、咳だけが長期間続くことが特徴です。
咳喘息の主な特徴は以下の通りです。
- 8週間以上続く乾いた咳が唯一の症状
- 夜間から明け方にかけて咳が悪化しやすい
- 季節の変わり目や寒暖差で症状が出やすい
- 市販の風邪薬や咳止め薬では改善しない
- 気管支拡張薬(β2刺激薬)が有効
咳喘息は、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症をきっかけに発症することが多いです。アレルギーの素因を持つ人が、ダニやカビ、ホコリなどのアレルゲンを吸い込んだり、風邪をひいたりしたことがきっかけで、気道に炎症が起こり発症すると考えられています。
咳喘息を放置すると、約30〜40%が本格的な気管支喘息に移行するとされています。早期に適切な治療を開始することで、喘息への移行を防ぐことができます。
治療には吸入ステロイド薬が中心となります。症状が改善しても、気道の炎症が完全に治まるには時間がかかるため、医師の指示のもと数ヶ月間は治療を継続することが重要です。
2-2. アトピー咳嗽(がいそう)
アトピー咳嗽は、アレルギー体質(アトピー素因)を持つ人に多く見られる、長期間続く乾いた咳が特徴の病気です。咳喘息と症状が似ていますが、治療法が異なるため、正確な診断が重要です。
アトピー咳嗽の主な特徴は以下の通りです。
- 喉のイガイガ感、ムズムズ感、かゆみを伴う乾いた咳
- 中年女性に多い傾向がある
- 会話や運動、ストレス(緊張)などで咳が誘発される
- 夕方から夜にかけて症状が悪化しやすい
- 気管支拡張薬は無効(咳喘息との大きな違い)
- 抗ヒスタミン薬が有効
アトピー咳嗽は、気道の中枢部分(太い気管支)にアレルギー性の炎症が起こり、気道壁の表層にある咳受容体の感受性が高まることで発症します。つまり、通常では咳が出ない弱い刺激でも、敏感に反応して咳が出てしまう状態です。
咳喘息とは異なり、アトピー咳嗽は気管支喘息に移行することはほとんどないとされています。治療は抗ヒスタミン薬の内服が第一選択となり、約60%の患者さんに効果があります。効果が不十分な場合は、吸入ステロイド薬を追加することがあります。
アトピー咳嗽の診断には、呼気一酸化窒素(FeNO)検査が参考になります。咳喘息では数値が上昇することが多いのに対し、アトピー咳嗽では正常範囲内であることが多いです。
2-3. 感染後咳嗽
感染後咳嗽は、風邪やインフルエンザなどの感染症が治った後も咳だけが2〜8週間以上続く状態を指します。「感冒後咳嗽」とも呼ばれ、発熱や鼻水、喉の痛みなどの症状が治まった後に、咳だけが独立して残るのが特徴です。
感染後咳嗽の主な特徴は以下の通りです。
- 風邪などの感染症が治った後に咳だけが続く
- 多くは痰を伴わない乾いた咳
- 夜間や早朝に悪化しやすい
- 冷たい空気や乾燥、会話などで咳が誘発される
- 多くは8週間以内に自然に軽快する
- 感染自体はすでに治癒している
感染後咳嗽が起こる主な原因は、感染症によって気道の粘膜が傷つき、炎症が残存していることです。傷ついた粘膜が完全に修復されるまでには時間がかかり、この間は気道が過敏な状態(気道過敏性の亢進)になっています。そのため、通常では反応しないような軽微な刺激でも咳のスイッチが入ってしまいます。
感染後咳嗽は基本的に自然治癒が期待できる病気ですが、症状がひどい場合は対症療法を行います。ただし、8週間以上咳が続く場合は、咳喘息やアトピー咳嗽など他の病気の可能性を考慮し、専門医による診察が必要です。
2-4. アレルギー性鼻炎・花粉症
アレルギー性鼻炎は、ハウスダストやダニ、花粉などのアレルゲンが鼻の粘膜に付着することで起こるアレルギー疾患です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが3大症状ですが、喉のかゆみやイガイガ感、咳を伴うこともあります。
アレルギー性鼻炎には、以下の2種類があります。
- 通年性アレルギー性鼻炎:ダニ、ハウスダスト、ペットの毛などが原因で、1年中症状が続く
- 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症):スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因で、特定の季節に症状が出る
アレルギー性鼻炎が喉のムズムズや咳を引き起こすメカニズムは複数あります。
- アレルゲンが喉の粘膜に直接付着して炎症を起こす
- 鼻水が喉に流れ落ちる(後鼻漏)ことで喉を刺激する
- 鼻づまりによる口呼吸で喉が乾燥し、神経が過敏になる
花粉症による喉の症状は、花粉が飛散している時期に限定されるのが特徴です。また、目のかゆみや充血を伴うことが多いです。
治療には抗ヒスタミン薬の内服やステロイド点鼻薬が用いられます。また、アレルゲンをできるだけ避けることも重要です。スギ花粉症やダニアレルギーには、舌下免疫療法という体質改善の治療法もあります。
2-5. 後鼻漏(こうびろう)
後鼻漏とは、鼻水が鼻の前方(鼻の穴)から出るのではなく、鼻の後方から喉に流れ落ちる状態を指します。健康な人でも1日に2〜6リットルの鼻水が作られ、その約3割は喉に流れ落ちていますが、これが過剰になると不快な症状を引き起こします。
後鼻漏の主な原因疾患は以下の通りです。
- 副鼻腔炎(蓄膿症):鼻の周囲にある空洞に炎症が起こり、膿がたまる
- アレルギー性鼻炎:アレルゲンの刺激で鼻水の量が増加する
- 上咽頭炎:鼻と喉の間の粘膜に炎症が起こる
後鼻漏による咳の特徴は以下の通りです。
- 痰が絡む湿った咳(湿性咳嗽)が多い
- 夜間や起床時に咳が悪化しやすい(横になると鼻水が喉にたまるため)
- 喉の奥に何か張り付いている、流れてくる感じがする
- 咳払いが頻繁になる
- 鼻水や鼻づまりを伴うことが多い
後鼻漏が原因の咳は、咳止め薬よりも原因となる鼻疾患の治療が優先されます。副鼻腔炎であれば抗菌薬、アレルギー性鼻炎であれば抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬などが処方されます。また、鼻うがいによるセルフケアも有効です。
後鼻漏は耳鼻咽喉科の外来を受診する患者さんの約16%に見られるとされ、慢性咳嗽の原因として非常に多い病態です。
2-6. 逆流性食道炎(GERD)
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こる病気です。胸やけや呑酸(酸っぱいものがこみ上げる感覚)が主な症状ですが、咳や喉の違和感を引き起こすこともあります。
逆流性食道炎による咳が起こるメカニズムは主に2つあります。
- 逆流した胃酸が喉や気管まで達し、直接刺激して咳を引き起こす
- 食道下部に逆流した胃酸が迷走神経を刺激し、反射的に咳が起こる
逆流性食道炎による咳の特徴は以下の通りです。
- 食後や横になったときに咳が悪化しやすい
- 痰を伴わない乾いた空咳が多い
- 胸やけや喉の異物感を伴うことがある
- 市販の咳止め薬が効きにくい
- 胃酸分泌抑制薬(PPI)で改善する
欧米では長引く咳の原因として逆流性食道炎が約3分の1を占めるとされており、日本でも近年増加傾向にあります。食生活の欧米化や肥満の増加がその背景にあると考えられています。
咳と逆流性食道炎の関係は「悪循環」を形成することがあります。咳をすることで腹圧が上がり、さらに胃酸の逆流を促進し、それがまた咳を悪化させるという悪循環です。
治療には胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー)が用いられます。また、以下のような生活習慣の改善も重要です。
- 寝る前2〜3時間は食事を避ける
- 食後すぐに横にならない
- 脂っこいもの、刺激物を控える
- 就寝時に頭を少し高くして寝る
- 禁煙、節酒
2-7. 喉頭アレルギー
喉頭アレルギーは、喉頭(のどぼとけの奥にある声帯がある部分)にアレルギー性の炎症が起こる病気です。アレルギー性鼻炎や咳喘息、アトピー咳嗽と合併していることが多く、単独で発症することは比較的まれです。
喉頭アレルギーの主な症状は以下の通りです。
- 喉のかゆみ、イガイガ感
- 咳払いが頻繁になる
- 乾いた咳
- 声のかすれ(嗄声)
喉頭アレルギーはアトピー素因を持つ人に多く、花粉やハウスダストなどのアレルゲンへの曝露がきっかけとなります。診断には耳鼻咽喉科での喉頭内視鏡検査が有用です。
治療には抗ヒスタミン薬やステロイド薬(内服または吸入)が用いられます。原因となるアレルゲンを特定し、それを避けることも重要です。
3. 咳が続く期間による分類
医学的には、咳は持続期間によって以下の3つに分類されます。
| 分類 | 期間 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 急性咳嗽 | 3週間未満 | 風邪、インフルエンザ、急性気管支炎など感染症が多い |
| 遷延性咳嗽 | 3週間〜8週間 | 感染後咳嗽、咳喘息、アトピー咳嗽など |
| 慢性咳嗽 | 8週間以上 | 咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、後鼻漏など感染症以外の原因が多い |
風邪による咳は通常3日以内にピークを迎え、その後徐々に治まります。2週間以上咳が続く場合は「おかしい」と判断して医療機関を受診することをお勧めします。8週間以上続く場合は、専門医による詳しい検査が必要です。
4. 喉がムズムズして咳が止まらないときの対処法
医療機関を受診する前に、自宅でできる対処法をご紹介します。ただし、これらはあくまで症状を和らげるための方法であり、根本的な治療ではありません。症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。
4-1. 部屋の湿度を保つ
乾燥は喉の粘膜を刺激し、咳を悪化させる原因になります。加湿器を使用して室内の湿度を40〜60%に保ちましょう。
加湿器がない場合は、以下の方法でも加湿効果が得られます。
- 濡れたタオルや洗濯物を室内に干す
- 入浴後に浴室の扉を開けておく
- コップに水を入れて部屋に置く
- 霧吹きで水をまく
ただし、加湿器を手入れせずに使用し続けると、カビが発生することがあります。カビを吸い込むと喉や喘息の症状が悪化する恐れがあるため、毎日水を取り替え、フィルターのこまめな掃除を心がけましょう。
4-2. 温かい飲み物を飲む
温かい飲み物は喉を潤し、咳を和らげる効果があります。冷たい飲み物は喉を刺激するため避けましょう。
特におすすめなのがはちみつを入れた温かい飲み物です。はちみつには殺菌作用や抗炎症作用があり、荒れた粘膜を保護する効果が期待できます。複数の研究で、はちみつが咳を軽減する効果があることが報告されています。
はちみつ生姜湯の作り方:
- お湯を200ml用意する
- すりおろした生姜(またはチューブの生姜)を小さじ1杯加える
- はちみつを大さじ1杯加えてよく混ぜる
- お好みでレモン汁を加える
注意:1歳未満の乳児にははちみつを与えないでください。乳児ボツリヌス症を引き起こす危険性があります。
4-3. マスクを着用する
マスクは喉を乾燥から守り、外気の冷たさや刺激物(ホコリ、花粉など)から喉を保護する効果があります。就寝時にマスクを着用すると、寝ている間の喉の乾燥を防ぐことができます。
4-4. 喉に刺激を与えない
咳が出ているときは、喉への刺激を避けることが大切です。
避けるべきこと:
- 大声を出す、カラオケで歌う
- 辛いもの、スパイスを多く使ったもの
- 熱すぎる飲み物や食べ物
- 喫煙、受動喫煙
- アルコール
4-5. 寝る姿勢を工夫する
仰向けで寝ると気道が圧迫されて狭くなり、咳が出やすくなります。横向きで寝たり、枕を高くして頭を少し高くして寝ると、気道が開きやすくなり咳が和らぐことがあります。
また、寝る前に後鼻漏が原因で咳が出る場合は、鼻をかんでから寝ることで症状が軽減することがあります。
4-6. うがいをする
うがいは喉に付着したホコリや花粉、ウイルスを洗い流し、喉を清潔に保つ効果があります。外出から帰ったときや、喉に違和感を感じたときにうがいをする習慣をつけましょう。
5. 医療機関を受診すべき目安
以下のような場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
受診を急ぐべき症状
- 呼吸困難や息苦しさがある
- 38度以上の高熱がある
- 血痰(血が混じった痰)が出る
- 胸の痛みがある
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴がある
早めに受診すべき症状
- 咳が2週間以上続いている
- 市販薬を使用しても改善しない
- 日常生活に支障が出るほど咳がひどい
- 夜間に咳で眠れない
- 体重減少や食欲不振がある
何科を受診すべきか
症状によって適切な診療科が異なります。
- 咳がメインの症状:呼吸器内科、内科
- アレルギー症状がある:アレルギー科、耳鼻咽喉科
- 鼻水・鼻づまりを伴う:耳鼻咽喉科
- 胸やけ・胃もたれを伴う:消化器内科、内科
- 喉の違和感がメイン:耳鼻咽喉科
迷った場合は、まず内科を受診して相談するとよいでしょう。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。
6. 医療機関で行われる検査
長引く咳の原因を特定するために、医療機関では以下のような検査が行われることがあります。
問診
いつから、どのような状況で咳が出るか、他の症状はないか、アレルギーの有無、喫煙歴などを詳しく確認します。咳の診断には問診が非常に重要です。
聴診
聴診器で胸の音を聞き、気管支喘息に特徴的な喘鳴がないかを確認します。
胸部レントゲン検査・CT検査
肺炎、結核、肺がん、間質性肺炎など、咳の原因となる他の疾患がないかを確認します。咳喘息やアトピー咳嗽では、通常これらの画像検査で異常は見られません。
血液検査
アレルギーの有無や気道の炎症の程度を調べます。
- 末梢血好酸球数:アレルギー反応があると増加する白血球の一種
- 総IgE値:アレルギー疾患があると上昇する抗体
- 特異的IgE抗体:特定のアレルゲン(ダニ、花粉など)へのアレルギーの有無を調べる
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
息を吸ったり吐いたりする力を測定し、肺の機能や気道の狭窄の程度を調べます。
呼気一酸化窒素(FeNO)検査
吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定します。気道にアレルギー性の炎症があると数値が上昇するため、咳喘息の診断に有用です。一方、アトピー咳嗽では正常範囲内であることが多いです。
気道抵抗検査(モストグラフ)
普通に呼吸している状態で気道の抵抗を測定し、気道の狭まりを調べます。

7. よくある質問(FAQ)
A. 風邪による咳は通常1〜2週間で治まります。2週間以上咳が続く場合は、風邪ではなく他の原因(咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎など)を考える必要があります。特に発熱や鼻水などの風邪症状がないのに咳だけが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
A. 市販の咳止め薬は、主に風邪による急性の咳に対して効果があります。咳喘息やアトピー咳嗽、逆流性食道炎などが原因の咳には、市販薬では効果が期待できません。これらの疾患には、それぞれに適した処方薬による治療が必要です。
Q3. 夜になると咳がひどくなるのはなぜですか?
A. 夜間に咳が悪化する理由はいくつかあります。
- 横になることで気道が圧迫されやすくなる
- 副交感神経が優位になり、気道が狭くなりやすい
- 後鼻漏が喉にたまりやすくなる
- 逆流性食道炎の場合、胃酸が逆流しやすくなる
夜間の咳がひどい場合は、咳喘息や逆流性食道炎の可能性が高いため、医療機関を受診することをお勧めします。
Q4. 喉のムズムズは食物アレルギーの可能性がありますか?
A. 何かを食べた後30分以内に喉のかゆみが生じた場合は、食物アレルギーを疑う必要があります。特に花粉症を持つ人が特定の野菜や果物を食べたときに喉がかゆくなる「口腔アレルギー症候群」もあります。トマト、りんご、スイカなどで起こりやすいです。息苦しさや意識低下を伴う場合は、アナフィラキシーショックの可能性があるため、すぐに救急車を呼んでください。
Q5. 咳喘息とアトピー咳嗽の違いは何ですか?
A. どちらもアレルギーが関与する乾いた咳が続く病気ですが、最大の違いは気管支拡張薬(β2刺激薬)の効果です。
- 咳喘息:気管支拡張薬が有効、将来的に気管支喘息に移行するリスクあり
- アトピー咳嗽:気管支拡張薬は無効、抗ヒスタミン薬が有効、気管支喘息への移行はまれ
両者は症状だけでは区別が難しいため、専門医による診断が重要です。
Q6. 感染後咳嗽は人にうつりますか?
A. 感染後咳嗽自体は感染症ではありません。原因となったウイルスや細菌はすでに体内からいなくなっており、残っている気道の過敏性が咳の原因です。そのため、咳をしていても他の人にうつすことはありません。ただし、咳エチケットとしてマスクを着用することは周りへの配慮として大切です。
8. まとめ
喉がムズムズして咳が止まらない症状には、さまざまな原因が考えられます。
主な原因疾患:
- 咳喘息(気管支拡張薬と吸入ステロイドで治療)
- アトピー咳嗽(抗ヒスタミン薬で治療)
- 感染後咳嗽(多くは自然軽快)
- アレルギー性鼻炎・花粉症(抗アレルギー薬で治療)
- 後鼻漏(原因となる鼻疾患の治療)
- 逆流性食道炎(胃酸分泌抑制薬と生活習慣改善)
受診の目安:
- 咳が2週間以上続く場合
- 市販薬で改善しない場合
- 日常生活に支障が出る場合
自宅でできる対処法:
- 部屋の湿度を保つ(40〜60%)
- 温かい飲み物を飲む(はちみつ入りがおすすめ)
- マスクを着用する
- 喉への刺激を避ける
- 寝る姿勢を工夫する
長引く咳は適切な診断と治療によって改善できることがほとんどです。「たかが咳」と軽視せず、症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
9. 参考文献
- 日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」 https://www.jrs.or.jp/
- 厚生労働省「アレルギー疾患の現状等」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf
- 日本耳鼻咽喉科学会「口・のどの症状」 http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki2/kuchi_condition.html
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
- National Library of Medicine「Honey for acute cough in children」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25536086/
- 日本呼吸器学会「呼吸器Q&A」 https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/
※本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断や治療の代わりとなるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務