はじめに
朝起きたときや、大切なプレゼンの前に突然襲ってくる喉の痛み。誰もが一度は経験したことがあるこの不快な症状は、日常生活に大きな支障をきたします。飲み込むたびに痛みが走り、会話をするのも億劫になってしまうことがあります。
「すぐにでもこの痛みを何とかしたい」「一瞬で治す方法はないのか」と思う気持ちは、誰にでもあるでしょう。しかし、医学的に見て喉の痛みを文字通り「一瞬」で完治させることは困難です。それでも、適切な対処法を知ることで、症状を速やかに和らげ、回復を早めることは十分に可能です。
本記事では、喉の痛みの原因から、即効性が期待できる対処法、医療機関での治療、そして予防法まで、総合的に解説していきます。アイシークリニック東京院の医療コラムとして、科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。

喉の痛みが起こるメカニズム
喉の痛みを効果的に和らげるためには、まずその発生メカニズムを理解することが重要です。
喉の構造と役割
喉は医学的には「咽頭」と「喉頭」に分けられます。咽頭は鼻腔から食道までの通り道で、上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つの部分に分かれています。喉頭は気管の入り口にあたり、声帯が存在する部分です。
これらの部位は、空気や食べ物の通り道としての機能に加え、免疫機能も担っています。喉の粘膜には免疫細胞が多く存在し、外部から侵入してくる細菌やウイルスと戦う最前線となっているのです。
痛みが生じる仕組み
喉の痛みは、主に以下のメカニズムで発生します。
炎症反応によって粘膜が腫れ、知覚神経が刺激されると、痛みとして感じられます。ウイルスや細菌が喉の粘膜に感染すると、体の免疫システムが作動し、炎症性物質(サイトカインやプロスタグランジンなど)が放出されます。これらの物質が神経終末を刺激することで、痛みが生じるのです。
また、乾燥や刺激物によって粘膜が傷つくと、同様に痛みを感じます。喉の粘膜は非常にデリケートで、わずかな刺激でも炎症を起こしやすい特性があります。
喉の痛みの主な原因
喉の痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。適切な対処をするためには、原因を正しく理解することが不可欠です。
ウイルス感染による咽頭炎
喉の痛みの最も一般的な原因は、ウイルス感染による咽頭炎です。風邪の原因となるライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど、200種類以上のウイルスが咽頭炎を引き起こす可能性があります。
ウイルス性咽頭炎の特徴として、喉の痛みに加えて、発熱、鼻水、咳などの症状を伴うことが多いです。通常、3日から1週間程度で自然に治癒しますが、適切な対症療法により症状を和らげることができます。
インフルエンザウイルスによる咽頭炎は、特に症状が強く出る傾向があります。高熱や全身の倦怠感を伴い、喉の痛みも激しくなることがあります。
細菌感染による咽頭炎
細菌感染、特にA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)による咽頭炎は、ウイルス性に比べて症状が重くなる傾向があります。溶連菌感染症は、喉の激しい痛み、高熱、扁桃の腫れや白い膿の付着が特徴的です。
溶連菌感染症は抗生物質による治療が必要で、放置すると急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性があります。そのため、症状が強い場合や改善しない場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
扁桃炎
扁桃は喉の両側にあるリンパ組織で、免疫機能を担っています。この扁桃に炎症が起こると扁桃炎となり、激しい喉の痛みを引き起こします。
急性扁桃炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こります。扁桃が赤く腫れ、白い膿栓が付着することもあります。飲み込む際の強い痛み、発熱、頭痛、全身倦怠感などの症状を伴います。
慢性扁桃炎や習慣性扁桃炎の場合、年に何度も扁桃炎を繰り返すことがあり、生活の質を大きく低下させます。このような場合には、扁桃摘出手術が検討されることもあります。
喉の乾燥
空気の乾燥は、喉の痛みの重要な原因の一つです。特に冬季や、エアコンを長時間使用する環境では、喉の粘膜が乾燥しやすくなります。
喉の粘膜は適度な湿度を保つことで、バリア機能を維持しています。乾燥すると粘膜のバリア機能が低下し、ウイルスや細菌が侵入しやすくなるだけでなく、粘膜そのものが傷つきやすくなります。
口呼吸の習慣がある人は、特に喉が乾燥しやすい傾向があります。鼻呼吸と異なり、口呼吸では空気が直接喉に当たるため、粘膜の水分が奪われやすいのです。
アレルギー性咽頭炎
花粉症やハウスダストアレルギーなどのアレルギー反応によって、喉に炎症が起こることがあります。アレルギー性咽頭炎は、喉のイガイガ感や軽い痛み、咳などの症状が特徴です。
アレルギー性の喉の痛みは、感染症によるものとは異なり、抗アレルギー薬が効果的です。また、アレルゲンを避けることで症状を予防できます。
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
胃酸が食道や喉まで逆流することで、喉の粘膜が刺激され、痛みや違和感を感じることがあります。特に朝起きたときに喉の痛みを感じる場合、胃食道逆流症の可能性も考えられます。
逆流性食道炎による喉の症状は、胸やけや酸っぱいものが込み上げてくる感覚を伴うことが多いです。この場合、胃酸の分泌を抑える薬が有効です。
声の使いすぎ
長時間の会話、大声を出す、歌うなど、声を酷使することで喉に負担がかかり、痛みが生じることがあります。教師、営業職、歌手など、職業的に声を多く使う人に多く見られます。
声の使いすぎによる喉の痛みは、声帯やその周辺の筋肉の疲労や炎症が原因です。休息と適切なケアで改善しますが、慢性化すると声帯ポリープや声帯結節などを引き起こす可能性もあります。
その他の原因
喫煙や受動喫煙、大気汚染、化学物質の吸入なども喉の痛みの原因となります。タバコの煙には多くの刺激物質が含まれており、喉の粘膜を直接傷つけます。
また、まれではありますが、喉頭がんや咽頭がんなどの悪性腫瘍が喉の痛みの原因となることもあります。2週間以上続く喉の痛みや、他の治療で改善しない場合は、専門医による精密検査が必要です。
喉の痛みを速やかに和らげる対処法
ここでは、喉の痛みを感じたときに自宅でできる、即効性が期待できる対処法を紹介します。ただし、これらは症状を一時的に和らげるための方法であり、原因を根本的に治療するものではありません。症状が重い場合や長引く場合は、必ず医療機関を受診してください。
うがいの効果的な方法
うがいは、喉の痛みを和らげる最も基本的で効果的な対処法の一つです。
水やぬるま湯でのうがいでも効果がありますが、塩水うがいはより高い効果が期待できます。塩水うがいは、喉の粘膜の腫れを軽減し、殺菌作用も持ちます。コップ1杯の温かい水に小さじ半分程度の食塩を溶かし、1日3回から4回うがいをすると良いでしょう。
うがい薬を使用する場合は、ヨード系のうがい薬が一般的です。ただし、ヨードアレルギーのある人や、甲状腺疾患のある人は使用を避ける必要があります。
うがいの正しい方法は、まず口の中をゆすいでから、上を向いて喉の奥までうがい液が届くようにガラガラとうがいをします。1回のうがいは15秒程度を目安に、数回繰り返します。
水分補給の重要性
喉の痛みがあるときは、こまめな水分補給が非常に重要です。水分を摂ることで、喉の粘膜を潤し、乾燥から守ることができます。また、適度な水分摂取は、痰を柔らかくして排出しやすくする効果もあります。
常温から温かい水や白湯がおすすめです。冷たすぎる飲み物や熱すぎる飲み物は、喉の粘膜に刺激を与える可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
ハーブティーの中でも、カモミールティーやジンジャーティー、ハチミツレモンは、喉の痛みを和らげる効果が期待できます。特にハチミツには抗菌作用と抗炎症作用があり、喉の痛みに効果的です。ただし、1歳未満の乳児には絶対にハチミツを与えてはいけません。
室内の加湿
空気の乾燥は喉の痛みを悪化させる大きな要因です。室内の湿度を適切に保つことで、喉の粘膜を保護し、痛みを和らげることができます。
理想的な室内湿度は40%から60%程度です。加湿器を使用するのが最も効果的ですが、加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干したり、洗面器に水を入れて置いたりするだけでも、ある程度の加湿効果が得られます。
特に就寝時の加湿は重要です。寝ている間は口呼吸になりやすく、喉が乾燥しやすいため、寝室の加湿を心がけましょう。ただし、加湿のしすぎはカビやダニの発生原因となるため、適度な湿度管理が必要です。
マスクの着用
マスクを着用することで、吐いた息の湿気が保たれ、喉の乾燥を防ぐことができます。特に就寝時に濡れマスクや加湿マスクを使用すると、より高い効果が期待できます。
外出時のマスク着用は、ウイルスや細菌、花粉、大気汚染物質などから喉を守る効果もあります。特に冬季や花粉症の季節には、マスクの着用が喉の痛み予防に役立ちます。
トローチや喉飴の活用
市販されている喉のトローチや喉飴には、消炎作用や殺菌作用のある成分が含まれているものがあります。これらを使用することで、喉の痛みを一時的に和らげることができます。
医薬品として販売されているトローチには、より強い効果が期待できる成分が含まれています。薬局で薬剤師に相談して選ぶと良いでしょう。
喉飴やトローチをなめることで、唾液の分泌が促され、喉が潤う効果もあります。ただし、糖分の多いものを頻繁になめると、虫歯のリスクが高まるため注意が必要です。
適切な休息と睡眠
体の免疫機能を正常に保つためには、十分な休息と睡眠が不可欠です。喉の痛みは、多くの場合、感染症による炎症が原因です。体の免疫力を高めることで、より早い回復が期待できます。
睡眠中は、体の修復機能が活発に働きます。特に深い睡眠時には、成長ホルモンが分泌され、組織の修復が促進されます。喉の痛みがあるときは、無理をせずに十分な睡眠時間を確保することが大切です。
刺激物を避ける
喉の痛みがあるときは、喉に刺激を与える食べ物や飲み物を避けることが重要です。
辛いもの、酸味の強いもの、硬いもの、熱すぎるもの、冷たすぎるものは、喉の粘膜に刺激を与えるため、控えた方が良いでしょう。また、アルコールやカフェインも、喉の乾燥を招くため、避けるべきです。
喉に優しい食事としては、お粥、うどん、スープ、プリン、ヨーグルトなど、柔らかくて飲み込みやすいものがおすすめです。
喉を温める
喉を外側から温めることで、血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。温かいタオルやネックウォーマーで首を温めるのが効果的です。
ただし、扁桃炎などで喉が激しく腫れているときは、冷やした方が良い場合もあります。症状に応じて、温めるか冷やすかを選択しましょう。
市販薬の適切な使用
症状に応じて、市販の痛み止めや喉の炎症を抑える薬を使用することも効果的です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェンやロキソプロフェンは、痛みを和らげるとともに、炎症を抑える効果があります。アセトアミノフェンも痛みと発熱に効果的です。
喉に直接作用するスプレー式の薬や、トラネキサム酸を含む内服薬も、喉の炎症を抑えるのに有効です。
ただし、市販薬を使用する際は、必ず用法用量を守り、他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。不明な点があれば、薬剤師に相談しましょう。
声を休める
声の使いすぎが原因で喉が痛い場合は、できるだけ声を出さずに休めることが重要です。ささやき声も、実は通常の会話よりも声帯に負担がかかるため、避けた方が良いでしょう。
会話が必要な場合は、できるだけ小さな声ではなく、適度な大きさで楽に話すようにしましょう。無理に声を出さないことが、喉の回復には最も効果的です。
医療機関での治療
自宅での対処法で症状が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
受診の目安
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
高熱(38度以上)が続く、喉の痛みが非常に強く、水分も摂れない、呼吸困難や息苦しさを感じる、扁桃が大きく腫れて白い膿が付着している、症状が1週間以上続いても改善しない、首のリンパ節が腫れて痛い、などの症状がある場合です。
また、糖尿病や心疾患、免疫不全などの基礎疾患がある人は、感染症が重症化しやすいため、早めの受診が推奨されます。
何科を受診すべきか
喉の痛みで受診する場合、耳鼻咽喉科が最も適切です。耳鼻咽喉科では、喉の詳細な検査や専門的な治療を受けることができます。
内科でも対応可能ですが、扁桃炎や喉頭炎などの専門的な診断や治療が必要な場合は、耳鼻咽喉科への紹介となることがあります。
夜間や休日に急に症状が悪化した場合は、救急外来や夜間診療所を受診することもできます。
医療機関での検査
医療機関では、問診と視診が基本となります。医師は、喉の腫れや発赤、膿の有無などを確認します。
必要に応じて、以下のような検査が行われることがあります。
迅速抗原検査は、溶連菌やインフルエンザなどの感染症を短時間で診断できる検査です。喉の粘膜を綿棒で擦り取り、15分程度で結果が分かります。
血液検査では、炎症の程度や感染症の種類を詳しく調べることができます。白血球数やCRP(C反応性タンパク)の値などを測定します。
喉の培養検査では、喉の粘膜から採取した検体を培養し、原因菌を特定します。結果が出るまでに数日かかりますが、適切な抗生物質を選択するために重要な検査です。
処方される薬
医療機関では、症状や原因に応じて、以下のような薬が処方されます。
細菌感染が原因の場合は、抗生物質が処方されます。溶連菌感染症の場合は、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質が一般的です。抗生物質は、医師の指示通りに最後まで飲み切ることが重要です。途中で服用を中止すると、細菌が耐性を獲得する可能性があります。
消炎鎮痛薬は、痛みを和らげるとともに、炎症を抑える効果があります。NSAIDsやアセトアミノフェンが処方されることが多いです。
トラネキサム酸は、炎症を抑える効果があり、喉の痛みや腫れを軽減します。
去痰薬は、痰を柔らかくして排出しやすくする薬です。喉の痛みに咳や痰が伴う場合に処方されます。
抗アレルギー薬は、アレルギー性の喉の痛みに対して処方されます。抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などがあります。
胃酸分泌抑制薬は、逆流性食道炎が原因の喉の痛みに対して処方されます。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどがあります。
点滴治療
症状が重く、経口摂取が困難な場合や、脱水症状がある場合は、点滴治療が行われることがあります。点滴により、水分や電解質を補給し、必要に応じて抗生物質や消炎鎮痛薬を投与します。
吸入療法
喉や気道の炎症を抑えるために、薬剤を吸入する治療が行われることもあります。ネブライザーと呼ばれる機器を使用し、薬剤を霧状にして吸入します。
扁桃摘出術
慢性扁桃炎や習慣性扁桃炎で、年に何度も扁桃炎を繰り返す場合や、扁桃が大きく肥大して呼吸障害や嚥下障害を引き起こしている場合は、扁桃摘出手術が検討されることがあります。
手術は全身麻酔下で行われ、通常1週間程度の入院が必要です。術後は喉の痛みが続きますが、適切な管理により徐々に改善します。
喉の痛みの予防法
喉の痛みを予防することは、発症してから対処するよりも重要です。日常生活での工夫により、喉の痛みの多くは予防することができます。
手洗いとうがいの習慣化
感染症予防の基本は、手洗いとうがいです。外出から帰ったとき、食事の前、トイレの後などに、石鹸を使ってしっかりと手を洗いましょう。手洗いは、指の間や爪の周り、手首まで丁寧に洗うことが重要です。
うがいも、1日3回から4回程度行うと効果的です。水やぬるま湯でも十分ですが、塩水やうがい薬を使用するとより効果的です。
適切な湿度管理
室内の湿度を適切に保つことで、喉の粘膜を乾燥から守ることができます。特に冬季やエアコン使用時は、加湿器を使用して湿度を40%から60%程度に保ちましょう。
寝室の加湿も重要です。就寝時にマスクを着用することで、喉の乾燥をさらに防ぐことができます。
バランスの取れた食事
免疫力を維持するためには、バランスの取れた食事が不可欠です。特に、ビタミンCやビタミンA、亜鉛などの栄養素は、免疫機能の維持に重要です。
野菜、果物、たんぱく質をバランスよく摂取しましょう。特に、ビタミンCを多く含む柑橘類やいちご、ブロッコリー、ビタミンAを多く含むニンジンやほうれん草、亜鉛を多く含む牡蠣や赤身肉などがおすすめです。
十分な睡眠
免疫力を維持するためには、十分な睡眠が欠かせません。成人は1日7時間から8時間の睡眠が推奨されています。規則正しい生活リズムを保ち、質の良い睡眠を確保しましょう。
寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、睡眠の質を低下させるため、控えることが望ましいです。
適度な運動
適度な運動は、免疫力を高める効果があります。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を継続的に行いましょう。
ただし、過度な運動は逆に免疫力を低下させることがあるため、無理のない範囲で行うことが重要です。
ストレス管理
過度なストレスは、免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなります。自分なりのストレス解消法を見つけ、適切にストレスを管理することが大切です。
趣味を楽しむ、友人と過ごす、リラックスできる時間を持つなど、心の健康を保つことも、喉の痛み予防につながります。
禁煙と受動喫煙の回避
タバコの煙は、喉の粘膜を直接傷つけ、免疫力も低下させます。喫煙者は禁煙を、非喫煙者は受動喫煙を避けることが重要です。
禁煙は、喉の痛み予防だけでなく、様々な健康リスクを低減させる効果があります。
声の適切な使用
職業的に声を多く使う人は、声の健康管理が重要です。長時間の会話や大声を出す前後には、十分な水分補給を行い、声を休める時間を確保しましょう。
正しい発声法を身につけることで、声帯への負担を軽減できます。ボイストレーニングや言語聴覚士による指導を受けることも有効です。
インフルエンザや新型コロナウイルスの予防接種
インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチン接種は、これらの感染症による喉の痛みを予防する効果があります。特に高齢者や基礎疾患のある人は、積極的にワクチン接種を受けることが推奨されます。
ワクチンは、感染そのものを完全に防ぐものではありませんが、重症化を防ぐ効果が確認されています。
人混みを避ける
感染症が流行している時期は、できるだけ人混みを避けることで、感染リスクを減らすことができます。外出時はマスクを着用し、手洗いとうがいを徹底しましょう。
子供や高齢者の喉の痛みについて
子供や高齢者は、成人と比べて喉の痛みに対する注意が必要です。
子供の喉の痛み
子供は、成人よりも感染症にかかりやすく、症状も急速に悪化することがあります。特に、溶連菌感染症は子供に多く見られ、適切な治療が必要です。
子供が喉の痛みを訴える場合、以下の症状に注意が必要です。
高熱、食事や水分が摂れない、呼吸が苦しそう、よだれが多い、元気がなくぐったりしている、などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
また、子供は症状を正確に伝えることが難しい場合があるため、保護者が注意深く観察することが重要です。
高齢者の喉の痛み
高齢者は、免疫力が低下しているため、感染症が重症化しやすい傾向があります。また、複数の基礎疾患を持っていることが多く、薬の飲み合わせにも注意が必要です。
高齢者が喉の痛みを訴える場合、早めに医療機関を受診することが推奨されます。特に、誤嚥性肺炎のリスクもあるため、嚥下機能の評価も重要です。

よくある質問
炎症が強く腫れている場合は、冷やすことで腫れと痛みを軽減できることがあります。一方、慢性的な痛みや筋肉のこわばりがある場合は、温めることで血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。症状に応じて使い分けましょう。
高熱がなく、全身状態が良好であれば、お風呂に入っても問題ありません。むしろ、お風呂の蒸気により喉が潤い、症状が和らぐことがあります。ただし、長湯は体力を消耗するため、短時間で済ませましょう。
高熱がある場合や、全身状態が悪い場合は、シャワーで済ませるか、入浴を控えた方が良いでしょう。
喉スプレーは効果的?
喉スプレーには、消炎作用や殺菌作用のある成分が含まれており、喉の痛みを一時的に和らげる効果があります。ただし、根本的な治療ではないため、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
はちみつは喉に良い?
はちみつには抗菌作用と抗炎症作用があり、喉の痛みを和らげる効果が期待できます。温かい飲み物に混ぜて飲むと効果的です。ただし、1歳未満の乳児には絶対に与えてはいけません。乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があります。
風邪の初期に喉が痛くなるのはなぜ?
ウイルスは、喉の粘膜から侵入することが多いため、風邪の初期症状として喉の痛みが現れることが多いです。この段階で適切な対処をすることで、症状の悪化を防ぐことができます。
片方だけ喉が痛いのは何が原因?
片側だけの喉の痛みは、扁桃周囲膿瘍やリンパ節の腫れ、唾液腺の炎症などが原因の可能性があります。また、まれではありますが、腫瘍が原因のこともあります。片側のみの強い痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
アイシークリニック東京院での診療
アイシークリニック東京院では、喉の痛みをはじめとする様々な症状に対応しております。経験豊富な医師が、丁寧な診察と適切な治療を提供いたします。
喉の痛みが長引く場合や、市販薬で改善しない場合は、お気軽にご相談ください。一人一人の症状に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
また、予防接種や健康相談なども行っておりますので、喉の健康維持についてもサポートいたします。
まとめ
喉の痛みは、日常生活でよく経験する症状ですが、その原因は様々です。ウイルスや細菌の感染、乾燥、アレルギー、声の使いすぎなど、原因に応じた適切な対処が必要です。
「一瞬」で完治させることは医学的に困難ですが、うがい、水分補給、加湿、休息などの適切な対処により、症状を速やかに和らげることは可能です。市販薬の使用も効果的ですが、用法用量を守り、適切に使用することが重要です。
症状が重い場合や長引く場合、高熱を伴う場合などは、早めに医療機関を受診することが大切です。特に、子供や高齢者、基礎疾患のある人は、重症化のリスクが高いため、注意が必要です。
また、喉の痛みを予防することも重要です。手洗いとうがい、適切な湿度管理、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理など、日常生活での工夫により、喉の痛みの多くは予防できます。
喉の健康を守り、快適な日常生活を送るために、本記事で紹介した対処法と予防法を実践してみてください。
参考文献
- 厚生労働省「感染症情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「代表的な疾患」 http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/index.html
- 日本感染症学会「感染症について」 http://www.kansensho.or.jp/
- 国立感染症研究所「感染症発生動向調査」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/
- 日本小児科学会「こどもの病気」 https://www.jpeds.or.jp/
- 日本呼吸器学会「呼吸器の病気について」 https://www.jrs.or.jp/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務