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季節の変わり目や乾燥する冬場など、喉の痛みに悩まされた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。喉が痛いと、食事はもちろん、水分を摂ることさえつらくなってしまいます。しかし、喉が痛い時こそ適切な水分補給が回復への近道となります。

この記事では、喉の痛みが生じる原因から、痛みを和らげる効果が期待できる飲み物、逆に避けたほうがよい飲み物まで、医学的な観点から詳しく解説します。ご自宅でできるセルフケアの参考として、ぜひお役立てください。


目次

  1. 喉が痛くなる原因とは
  2. 喉が痛い時に水分補給が大切な理由
  3. 喉の痛みを和らげるおすすめの飲み物
  4. 喉が痛い時に避けたい飲み物
  5. 効果的な水分補給のポイント
  6. 喉にやさしい飲み物の簡単レシピ
  7. 喉の痛みを予防するための日常的なケア
  8. こんな時は医療機関を受診しましょう
  9. まとめ

1. 喉が痛くなる原因とは

喉の痛みは日常的に経験する症状ですが、その原因はさまざまです。適切な対処法を選ぶためにも、まずは喉が痛くなる原因について理解しておきましょう。

1-1. ウイルスや細菌による感染

喉の痛みの原因として最も多いのが、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染です。ウイルスが鼻や喉の粘膜に付着して増殖すると、体の免疫反応によって炎症が起こり、痛みが生じます。

咽頭炎や扁桃炎といった疾患もウイルスや細菌の感染によって引き起こされます。咽頭は鼻の奥から食道に至るまでの飲食物や空気が通る部位であり、外気と直接触れる機会が多いため、ウイルスや細菌に感染しやすい場所です。

ウイルス感染の場合は、喉の痛み以外にも咳や鼻水といった複数の症状が同時に現れることが多いのが特徴です。一方、細菌感染の場合は症状が喉に限局して現れることが多く、痛みもより強くなる傾向があります。

代表的な感染症としては、以下のようなものがあります。

  • 風邪(急性上気道炎)
  • インフルエンザ
  • 新型コロナウイルス感染症
  • 咽頭炎、扁桃炎
  • 溶連菌感染症(A群β溶血性連鎖球菌感染症)
  • アデノウイルス感染症

1-2. 乾燥による喉へのダメージ

空気が乾燥すると、喉の粘膜の水分が失われ、違和感や痛みを感じやすくなります。喉の粘膜には「繊毛」と呼ばれる細かい毛のような構造があり、この繊毛が波打つように動くことで、喉に付着した異物やウイルスを体外へ排出しています。

しかし、乾燥によって繊毛周辺の水分が不足すると、繊毛の動きが鈍くなり、この防御機能が低下してしまいます。その結果、吸い込んだ空気中のウイルスや細菌、ほこりなどを外に排出できなくなり、炎症が起こりやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりするのです。

特に冬場は外気の湿度が低下するだけでなく、暖房の使用によって室内も乾燥しがちです。また、夏場でもエアコンの使用により室内の空気が乾燥することがあるため、季節を問わず注意が必要です。

1-3. 声の使いすぎによる負担

カラオケで長時間歌ったり、仕事で大きな声を出し続けたりすると、声帯や喉の粘膜に負担がかかり、炎症を起こして痛みが生じることがあります。これは声帯に過度の摩擦が加わることで炎症が起こるためです。

特に、乾燥した環境で声を出し続けると、喉への負担はさらに大きくなります。声を使う仕事をしている方や、趣味でカラオケを楽しむ方は、こまめな水分補給と適度な休息を心がけることが大切です。

1-4. たばこや飲酒による刺激

たばこの煙に含まれる有害物質は、喉の粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こします。喫煙を続けると、喉の粘膜が常にダメージを受け続けることになり、慢性的な喉の痛みや違和感につながることがあります。

また、過度の飲酒も喉に負担をかけます。アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすくなり、結果として喉が乾燥しやすくなります。さらに、アルコール度数の高いお酒は喉の粘膜を直接刺激するため、痛みや炎症を悪化させる可能性があります。

1-5. アレルギーによる炎症

花粉症やハウスダストアレルギーなどのアレルギー反応も、喉の痛みの原因となることがあります。アレルゲン(アレルギーの原因物質)が喉の粘膜に付着すると、免疫反応によって炎症が起こり、かゆみや痛み、違和感を感じるようになります。

花粉の飛散シーズンには、鼻水や目のかゆみだけでなく、喉にもアレルギー症状が現れることがあるため、注意が必要です。

1-6. その他の原因

喉の痛みは、逆流性食道炎や甲状腺の疾患など、喉以外の病気が原因で生じることもあります。逆流性食道炎では、胃酸が食道を逆流して喉まで達することで、喉の痛みや違和感、声がれなどの症状が現れることがあります。

また、ストレスや過労によって免疫力が低下すると、喉の粘膜が感染症に対して弱くなり、痛みや炎症を起こしやすくなることもあります。


2. 喉が痛い時に水分補給が大切な理由

喉が痛い時こそ、十分な水分補給を心がけることが大切です。水分補給には、喉の痛みを和らげ、回復を促進する重要な役割があります。

2-1. 喉の粘膜を潤して保護する

喉の粘膜は常に湿った状態を保つことで、その機能を正常に発揮することができます。水分を補給することで、乾燥した粘膜を潤し、ウイルスや細菌、ほこりなどの異物を排出する繊毛運動を活発にすることができます。

喉が潤っている状態では、粘液がスムーズに分泌され、異物を絡めとって排出しやすくなります。逆に、喉が乾燥していると、この防御機能が低下し、症状が長引きやすくなってしまいます。

2-2. 炎症部位の熱を冷ます

喉に炎症が起こると、その部位は熱を持ちやすくなります。適度な温度の飲み物を摂取することで、炎症部位の熱を和らげ、不快感を軽減する効果が期待できます。

ただし、極端に冷たい飲み物は喉を刺激してしまうことがあるため、常温から少し温かい程度の飲み物を選ぶのがおすすめです。

2-3. 体全体の回復力を高める

風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、発熱や発汗によって体内の水分が失われやすくなります。脱水状態になると免疫機能が低下し、回復が遅れてしまう可能性があります。

十分な水分を補給することで、血液循環を良好に保ち、免疫細胞が効率よく働ける環境を整えることができます。また、水分とともに栄養素を摂取することで、体力の回復を後押しすることができます。

2-4. 痰を出しやすくする

喉の炎症に伴って痰が絡むことがあります。十分な水分を摂取することで、痰がやわらかくなり、排出しやすくなります。痰がスムーズに排出されることで、咳による喉への負担も軽減することができます。


3. 喉の痛みを和らげるおすすめの飲み物

ここからは、喉が痛い時におすすめの飲み物を具体的にご紹介します。それぞれの飲み物がなぜ喉によいのか、その理由とともに解説していきます。

3-1. はちみつ入りの飲み物

はちみつは、喉の痛みを和らげる効果が最も期待できる食品のひとつです。民間療法として古くから親しまれてきたはちみつですが、近年では科学的な研究によってその効果が裏付けられています。

はちみつには、以下のような作用があります。

粘膜を保護するコーティング効果として、はちみつのとろりとした粘性は、喉の粘膜をやさしく覆い、乾燥や外部からの刺激から保護する働きがあります。このコーティング効果により、炎症を起こした部位が保護され、咳を引き起こす刺激が軽減されます。

抗菌・抗ウイルス作用として、はちみつに含まれる過酸化水素やグルコン酸には、細菌やウイルスの増殖を抑える作用があります。また、はちみつの高い糖度によって水分活性が低くなり、細菌が繁殖しにくい環境を作り出します。

咳を抑える効果についても研究が進んでいます。複数の臨床研究において、はちみつが子どもの夜間の咳を軽減する効果があることが報告されています。就寝前にはちみつを摂取したグループでは、咳の頻度や重症度が改善し、睡眠の質が向上したという結果が得られています。世界保健機関(WHO)も、1歳以上の子どもの風邪による咳の治療法として、はちみつを安全で有効な選択肢として推奨しています。

はちみつ湯の作り方は簡単です。マグカップに大さじ1杯のはちみつを入れ、40~60度程度のぬるま湯を注いでよく混ぜるだけです。熱すぎるお湯ははちみつに含まれる酵素などの有効成分を損なう可能性があるため、ぬるま湯程度の温度がおすすめです。

注意点として、1歳未満の乳児にはちみつを与えることは絶対に避けてください。はちみつにはボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があり、腸内環境が未熟な乳児が摂取すると、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、通常の加熱調理では死滅しないため、はちみつ入りの加工食品も含めて、1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう。厚生労働省からも注意喚起がなされています。

3-2. 生姜入りの飲み物

生姜には、喉の痛みを緩和するさまざまな成分が含まれています。生姜の辛味成分であるジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオールには、殺菌作用、抗炎症作用、体を温める作用などがあり、喉のケアに効果的です。

ジンゲロールは生の生姜に多く含まれる成分で、殺菌効果や解熱作用、咳を抑える効果があるとされています。また、免疫細胞である白血球を増やして免疫力を高める働きもあります。

生姜を加熱すると、ジンゲロールの一部がショウガオールに変化します。ショウガオールには血行を促進して体を内側から温める作用があり、寒気を感じる時や冷え性の改善に効果的です。体温が上がると免疫力も高まるため、風邪の予防や回復に役立ちます。

生姜紅茶や生姜湯は、喉が痛い時におすすめの飲み物です。すりおろした生姜をティースプーン1杯程度、温かい紅茶やお湯に加えて飲みます。はちみつを加えると、さらに効果が期待できるうえ、飲みやすくなります。

ただし、生姜は刺激が強いため、胃腸が弱い方は少量から試すようにしましょう。また、生の生姜に含まれるジンゲロールは空気に触れると酸化しやすいため、すりおろしてからすぐに使用するのがポイントです。

3-3. 緑茶・紅茶

緑茶や紅茶に含まれるカテキンには、抗菌・抗ウイルス作用があることが知られています。特に緑茶に多く含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、インフルエンザウイルスなどの増殖を抑制する効果があるという研究結果が報告されています。

カテキンの作用メカニズムとして、ウイルスが細胞に感染する際に使用するスパイク状のタンパク質に直接作用し、感染を阻害すると考えられています。また、カテキンには抗炎症作用や抗酸化作用もあり、体の免疫機能をサポートする働きがあります。

緑茶でうがいをすることも、喉の健康維持に効果的です。うがいによって喉の粘膜に付着したウイルスや細菌を物理的に洗い流すとともに、カテキンの殺菌作用でウイルスの増殖を抑えることができます。

カテキンの含有量は煎茶が最も多く、番茶、抹茶と続きます。カテキンを効率よく抽出するには、80度程度の熱いお湯で淹れるのがおすすめです。ただし、熱いまま飲むと喉を刺激してしまうため、少し冷ましてから飲むようにしましょう。

なお、カテキンを含む緑茶や紅茶にはカフェインも含まれています。カフェインには利尿作用があるため、喉が痛い時の水分補給としては飲み過ぎに注意が必要です。1日2~3杯程度を目安に、他の飲み物と併用するとよいでしょう。

3-4. ハーブティー

カモミール、ペパーミント、タイムなどのハーブティーも、喉が痛い時におすすめの飲み物です。

カモミールティーには、リラックス効果と抗炎症作用があり、喉の腫れや痛みを和らげる効果が期待できます。就寝前に飲むと、喉をケアしながら心身をリラックスさせることができます。

ペパーミントティーに含まれるメントールには、消炎作用や冷感作用があります。喉がイガイガする時や、痛みがある時に飲むと、清涼感とともに症状が和らぐことがあります。

タイムティーに含まれるチモールには、殺菌・抗ウイルス作用があり、喉の痛みや痰の除去に効果的とされています。

ハーブティーを淹れる際は、95~100度の熱湯を使い、3~4分ほど蒸らして成分をしっかり抽出しましょう。飲む量の目安は、予防として飲む場合は1日1~2杯、症状がある時は4~5杯程度です。

ただし、妊娠中の方やアレルギー体質の方は、一部のハーブに注意が必要な場合があります。不安な場合は、医師や薬剤師に相談してから摂取するようにしましょう。

3-5. 温かいスープ

喉が痛くて固形物を食べるのがつらい時は、温かいスープで水分と栄養を同時に補給するのがおすすめです。

鶏がらスープや野菜スープには、体を温める効果があり、免疫力を高めるのに役立ちます。また、野菜に含まれるビタミンやミネラルは、体の回復を助けます。

特にネギには、粘膜に含まれるIgA抗体を高める効果があることがわかっています。IgA抗体は病原体などの異物侵入を防ぐ働きがあり、風邪やインフルエンザの感染予防に役立つとして注目されています。スープにネギを加えると、喉のケアに効果的です。

スープは熱すぎない温度(50~60度程度)で飲むと、喉への刺激を抑えながら、体を内側から温めることができます。

3-6. 大根のしぼり汁・はちみつ大根

大根には抗菌作用を持つ成分が含まれており、昔から喉の痛みに効く民間療法として親しまれてきました。

はちみつ大根は、サイコロ状に切った大根をはちみつに3時間ほど漬け込み、浸み出したシロップを水やお湯で割って飲むものです。大根の抗菌作用とはちみつのコーティング効果・抗菌作用が相まって、喉の痛みを和らげる効果が期待できます。

大根おろしとりんごをブレンドしたジュースも喉にやさしい飲み物です。りんごに含まれる成分には保湿効果があり、喉の乾燥による空咳が気になる時にもおすすめです。

3-7. 野菜ジュース

野菜ジュースは、粘膜の健康を維持する働きがあるビタミンAや、免疫力を高めるビタミンCなどを手軽に摂取できる飲み物です。喉が痛くて食事が思うようにできない時の栄養補給に役立ちます。

ただし、野菜ジュースの中には果汁がブレンドされて糖分が多いものもあります。糖分の摂り過ぎはカロリー過多につながるため、成分表示を確認して選ぶようにしましょう。また、柑橘系の果汁が多く含まれるものは、喉への刺激になることがあるため注意が必要です。

3-8. 白湯(さゆ)

シンプルな白湯も、喉が痛い時の水分補給として優れています。刺激がなく、喉にやさしい温度(40~60度程度)の白湯は、喉の粘膜を潤し、体を内側から温める効果があります。

白湯には余分な成分が含まれていないため、どなたでも安心して飲むことができます。他の飲み物に飽きた時や、胃腸の調子が悪い時にもおすすめです。

3-9. 経口補水液

発熱や下痢を伴う場合は、水分だけでなく電解質(ナトリウムやカリウムなど)も失われやすくなります。このような場合は、経口補水液で効率よく水分と電解質を補給するのがおすすめです。

経口補水液は、水分の吸収を助けるようにナトリウムとブドウ糖のバランスが調整されており、脱水状態の改善に効果的です。ただし、塩分を含むため、腎臓病や高血圧の方は摂取量に注意が必要です。


4. 喉が痛い時に避けたい飲み物

喉が痛い時には、症状を悪化させる可能性のある飲み物を避けることも大切です。ここでは、喉が痛い時に控えたほうがよい飲み物とその理由を解説します。

4-1. アルコール飲料

お酒に含まれるアルコールは、喉の粘膜を直接刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。特にアルコール度数の高いお酒は、粘膜へのダメージが大きくなります。

また、アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすくなります。脱水状態になると喉が乾燥し、痛みや炎症がさらに悪化してしまいます。

さらに、熱燗など温かいお酒は温度が高すぎると喉の粘膜を刺激してしまいます。喉の痛みが緩和し、体調が回復するまでは飲酒を控えることをおすすめします。

4-2. 炭酸飲料

炭酸飲料の発泡は、炎症を起こした喉の粘膜を刺激し、さらにイガイガ感を強めてしまうことがあります。また、炭酸飲料は冷えた状態で飲むことが多いため、冷たさによる刺激も加わります。

どうしても炭酸飲料を飲みたい場合は、炭酸を少し抜き、常温に近い温度で飲むことで刺激を軽減できます。ただし、喉の痛みがある間はできるだけ控えたほうがよいでしょう。

4-3. 柑橘系のジュース

オレンジジュースやグレープフルーツジュースなどの柑橘系ジュースは、ビタミンCの補給には効果的ですが、喉が痛い時には避けたほうがよい飲み物です。

柑橘類に含まれる酸は喉への刺激が強く、炎症を起こしている粘膜をさらに傷つけてしまう可能性があります。また、ジュースに多く含まれる糖分は痰を作り出しやすくするため、咳が出ている時や喉が痛い時には控えたほうがよいでしょう。

ビタミンCを補給したい場合は、柑橘類以外の果物(りんご、バナナなど)をそのまま食べるか、刺激の少ないサプリメントで摂取することをおすすめします。

4-4. カフェインを多く含む飲み物

コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインを多く含む飲み物も、喉が痛い時には注意が必要です。

カフェインにはアルコールと同様に利尿作用があり、体の水分が失われやすくなります。体内の水分量が減ると喉が乾燥し、痛みや炎症が悪化する可能性があります。

喉が痛い時の水分補給としては、カフェインを含まない飲み物を選ぶのがおすすめです。麦茶、ルイボスティー、たんぽぽコーヒーなどはカフェインを含まないため、喉が痛い時でも安心して飲むことができます。

4-5. 極端に熱い・冷たい飲み物

極端に熱い飲み物や冷たい飲み物は、喉の粘膜を刺激してしまいます。特に65度以上の熱い飲み物は、粘膜を傷つけるリスクがあるため注意が必要です。

淹れたての熱い飲み物は、人肌程度の温度まで冷ましてから飲むようにしましょう。また、氷を入れたキンキンに冷えた飲み物も避け、常温から少し温かい程度(40~60度程度)の温度の飲み物を選ぶことで、喉への負担を軽減できます。

4-6. 烏龍茶

烏龍茶は脂っこい食事との相性がよく、日常的に飲まれることが多いお茶ですが、喉に腫れがある時には注意が必要です。

烏龍茶には油分を分解する作用があり、喉の回復に必要な油分まで奪ってしまう可能性があります。その結果、喉の痛みや荒れが悪化してしまうことがあります。喉に炎症がある間は、烏龍茶を控えて他のお茶を選ぶことをおすすめします。

4-7. 牛乳(咳がある場合)

牛乳自体は喉をコーティングして保護する効果がありますが、咳が出ている時には注意が必要です。牛乳は痰を絡みやすくする性質があり、咳がひどい時に飲むと余計に息苦しくなってしまうことがあります。

咳が出ておらず、喉の痛みだけの場合は、温めた牛乳が喉の保護に役立つことがあります。ただし、咳や痰が気になる場合は控えたほうがよいでしょう。


5. 効果的な水分補給のポイント

喉が痛い時に水分補給をする際には、いくつかのポイントを押さえることで、より効果的に喉をケアすることができます。

5-1. こまめに少量ずつ飲む

人間の体が一度に吸収できる水分量には限界があり、約200~250mlが目安とされています。大量の水分を一度に摂取しても吸収しきれないため、少量をこまめに補給するほうが効果的です。

1回にコップ1杯(200ml程度)の水分を、1日6回以上摂取することを目安にしましょう。デスクワークの方は手元に飲み物を用意しておき、こまめに口に含む習慣をつけると良いでしょう。

5-2. 飲み物の温度に気をつける

喉が痛い時は、常温から少し温かい程度(40~60度程度)の飲み物がおすすめです。冷たすぎる飲み物や熱すぎる飲み物は、喉の粘膜を刺激してしまう可能性があります。

特に温かい飲み物は、体を内側から温め、血行を促進する効果があります。血行がよくなると免疫細胞の働きが活発になり、回復を促進することができます。

5-3. 飲む前にうがいをする

飲み物を飲む前に、うがいをして口腔内を清潔にしておくことも大切です。口の中には多くの細菌が存在しており、うがいをせずにいきなり喉をうがいすると、これらの細菌を喉に運んでしまう可能性があります。

正しいうがいの手順としては、まず口の中をブクブクとゆすいで食べカスや細菌を洗い流し、次に上を向いて喉をガラガラとうがいします。緑茶でうがいをすると、カテキンの殺菌作用でウイルスの増殖を抑える効果も期待できます。

5-4. 寝る前の水分補給を忘れずに

就寝中は長時間水分を摂取できないため、寝る前の水分補給が重要です。また、就寝中は口呼吸になりやすく、喉が乾燥しやすい環境にあります。

寝る前にコップ1杯の白湯やはちみつ湯を飲むことで、就寝中の喉の乾燥を防ぎ、翌朝の症状悪化を予防することができます。


6. 喉にやさしい飲み物の簡単レシピ

ここでは、ご家庭で簡単に作れる、喉にやさしい飲み物のレシピをいくつかご紹介します。

6-1. はちみつレモンジンジャー

材料(1杯分):

  • はちみつ:大さじ1
  • レモン汁:小さじ1
  • すりおろし生姜:小さじ1/2
  • お湯(40~60度程度):150ml

作り方:

  1. マグカップにはちみつ、レモン汁、すりおろし生姜を入れる
  2. お湯を注ぎ、よくかき混ぜる
  3. 好みの温度になったら完成

はちみつのコーティング効果、レモンのビタミンC、生姜の殺菌・温め効果が期待できる、喉にやさしい飲み物です。ただし、喉の炎症がひどい場合はレモンの酸が刺激になることがあるため、レモン汁の量を控えめにするか省略してください。

6-2. はちみつ大根シロップ

材料:

  • 大根:5cm程度
  • はちみつ:大根が浸る程度

作り方:

  1. 大根を1cm角のサイコロ状に切る
  2. 清潔な瓶に大根を入れ、はちみつを大根が浸る程度まで注ぐ
  3. 蓋をして冷蔵庫で3時間以上置く
  4. 大根から水分が出てシロップができたら、スプーン1~2杯を温かいお湯で割って飲む

冷蔵庫で2~3日保存可能です。大根の抗菌作用とはちみつの効果で、喉の痛みを和らげます。

6-3. ジンジャーティー

材料(1杯分):

  • 生姜(薄切り):3~4枚
  • 紅茶のティーバッグ:1個
  • はちみつ:大さじ1/2
  • お湯:200ml

作り方:

  1. カップにティーバッグと生姜を入れ、熱湯を注ぐ
  2. 3分ほど蒸らす
  3. ティーバッグを取り出し、はちみつを加えてよく混ぜる
  4. 飲みやすい温度になったら完成

紅茶のカテキンと生姜の殺菌・温め効果、はちみつのコーティング効果が期待できます。

6-4. 葛湯(くずゆ)

材料(1杯分):

  • 葛粉:大さじ1
  • 砂糖:大さじ1/2~1(好みで調整)
  • お湯:150ml

作り方:

  1. 葛粉と砂糖を鍋に入れ、少量の水でよく溶かす
  2. お湯を少しずつ加えながら、弱火で加熱する
  3. 透明になりとろみがつくまでかき混ぜながら加熱する
  4. 飲みやすい温度になったら完成

葛湯のとろみは喉の粘膜を保護し、体を温める効果があります。風邪の時の定番飲み物として古くから親しまれています。はちみつや生姜を加えてアレンジするのもおすすめです。


7. 喉の痛みを予防するための日常的なケア

喉の痛みは、日常的なケアによってある程度予防することができます。ここでは、喉の健康を守るために日頃から心がけたいポイントをご紹介します。

7-1. こまめな水分補給を習慣にする

喉の粘膜を常に潤った状態に保つことで、ウイルスや細菌の侵入を防ぎ、感染症を予防することができます。喉が渇いたと感じる前に、こまめに水分を摂取する習慣をつけましょう。

1日に必要な水分摂取量の目安は約2.5リットルとされており、このうち食事から約1リットル、体内で作られる水分が約0.3リットルです。残りの約1.2リットルは飲み物から補給する必要があります。

7-2. 室内の湿度を適切に保つ

乾燥は喉の大敵です。特に冬場は外気も室内も乾燥しやすいため、加湿器などを使って室内の湿度を40~60%程度に保つようにしましょう。

湿度が高すぎるとカビや細菌が繁殖しやすくなるため、加湿器は定期的に清掃することが大切です。また、観葉植物を置くことでも、植物の蒸散作用によって室内の湿度をある程度上げることができます。

7-3. 手洗い・うがいを徹底する

風邪やインフルエンザなどの感染症を予防するためには、手洗いとうがいの習慣が大切です。外出から帰った時、食事の前、トイレの後などに、石けんを使って丁寧に手を洗いましょう。

うがいは、まず口の中をブクブクとゆすいでから、次に喉をガラガラとうがいするのが正しい順序です。緑茶でうがいをすると、カテキンの殺菌効果でウイルスの増殖を抑える効果も期待できます。

7-4. 口呼吸を改善する

口呼吸は喉の乾燥を招き、ウイルスや細菌が喉に直接付着しやすくなります。鼻呼吸を心がけることで、鼻のフィルター機能によって異物の侵入を防ぎ、吸い込む空気を適度に加湿・加温することができます。

就寝中に口呼吸になってしまう方は、就寝前に十分な水分補給をする、加湿器を使用する、口呼吸防止テープを使用するなどの対策が効果的です。

7-5. 十分な睡眠と休養をとる

睡眠不足や過労は免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなります。1日7~8時間程度の十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないようにすることが、喉の健康維持につながります。

また、疲れを感じたら無理をせず、早めに休息をとることも大切です。体調が優れない時は、できるだけ体を休めて回復に専念しましょう。

7-6. たばこ・お酒を控える

喫煙は喉の粘膜を傷つけ、慢性的な炎症を引き起こします。受動喫煙も同様に喉に悪影響を与えるため、喫煙環境を避けることも重要です。

また、過度の飲酒も喉の乾燥や炎症の原因となります。お酒は適量を守り、喉の調子が悪い時は控えるようにしましょう。


8. こんな時は医療機関を受診しましょう

喉の痛みは多くの場合、セルフケアで数日から1週間程度で改善しますが、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

8-1. 受診の目安となる症状

喉の痛みが非常に強く、唾液を飲み込むのも困難な場合は、重症化している可能性があります。このような場合は、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、命に関わる重篤な疾患の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

また、以下のような症状がある場合も、医師の診察を受けることをおすすめします。

  • 38度以上の高熱が続く
  • 喉の痛みが1週間以上改善しない
  • 呼吸がしづらい、息苦しい
  • 声が出ない、声がれがひどい
  • 首のリンパ節が大きく腫れている
  • 食事や水分が全く摂れない
  • 皮膚に発疹が出ている

8-2. 何科を受診すればよいか

喉の痛みで受診する場合、まずは内科や耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

内科では、風邪やインフルエンザなどの感染症全般を診てもらうことができます。発熱や全身倦怠感など、喉以外の症状も伴う場合は内科を受診するとよいでしょう。

耳鼻咽喉科は、喉を専門的に診察できる診療科です。喉の痛みが主な症状で、声がれや飲み込みにくさがある場合は、耳鼻咽喉科を受診すると詳しい検査を受けることができます。

8-3. 細菌感染とウイルス感染の違い

喉の痛みの原因が細菌感染なのかウイルス感染なのかによって、治療法が異なります。

ウイルス感染の場合は、基本的に対症療法(痛みや発熱を抑える治療)が中心となり、体の免疫力でウイルスを排除するのを待ちます。抗菌薬(抗生物質)はウイルスには効果がありません。

一方、細菌感染(特に溶連菌感染症など)の場合は、適切な抗菌薬による治療が必要です。溶連菌感染症は、治療が不十分だとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って抗菌薬を飲み切ることが重要です。

医療機関では、症状の観察や喉の診察に加え、必要に応じて溶連菌やインフルエンザなどの迅速検査を行い、原因に応じた適切な治療を行います。


9. まとめ

喉の痛みは、ウイルスや細菌の感染、乾燥、声の使いすぎなど、さまざまな原因で起こります。喉が痛い時こそ適切な水分補給が大切であり、飲み物の選び方によって症状の緩和や回復の促進が期待できます。

喉の痛みを和らげる効果が期待できる飲み物としては、はちみつ入りの飲み物、生姜入りの飲み物、緑茶・紅茶、ハーブティー、温かいスープ、はちみつ大根、白湯などがおすすめです。これらの飲み物には、喉の粘膜を保護したり、殺菌・抗炎症作用を発揮したり、体を温めて免疫力を高めたりする効果があります。

一方、アルコール飲料、炭酸飲料、柑橘系のジュース、カフェインを多く含む飲み物、極端に熱い・冷たい飲み物などは、喉の粘膜を刺激したり脱水を招いたりする可能性があるため、控えたほうがよいでしょう。

水分補給のポイントとしては、こまめに少量ずつ飲む、飲み物の温度は常温から少し温かい程度(40~60度程度)にする、寝る前の水分補給を忘れずにすることなどが挙げられます。

また、日頃からこまめな水分補給や室内の加湿、手洗い・うがいの習慣化、十分な睡眠と休養などを心がけることで、喉の痛みを予防することができます。

ただし、喉の痛みが非常に強い場合や、1週間以上改善しない場合、高熱や呼吸困難を伴う場合などは、重篤な疾患が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診することが大切です。

なお、1歳未満の乳児にはちみつを与えると乳児ボツリヌス症を発症する危険があるため、絶対に与えないでください。はちみつ入りの加工食品も含めて、1歳未満の赤ちゃんには与えないよう注意が必要です。

喉の痛みを感じたら、この記事を参考に適切な飲み物を選んでセルフケアを行い、症状の改善が見られない場合は無理をせず医療機関を受診するようにしましょう。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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