ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」にお悩みの方は多いのではないでしょうか。赤みや茶色いシミのような色素沈着、凹凸のあるクレーター状の跡など、ニキビ跡の種類はさまざまですが、これらのケアに近年注目されている成分が「レチノール」です。2017年には厚生労働省から医薬部外品成分として「シワ改善効果」が認められ、一気に知名度が高まりました。しかし、ニキビ跡への効果や正しい使い方について十分に理解している方は意外と少ないのが現状です。本記事では、レチノールがニキビ跡にどのように作用するのか、どのタイプのニキビ跡に効果が期待できるのか、そして安全に使用するためのポイントまで、医学的な観点から詳しく解説します。

目次
- レチノールとは?基本を理解する
- ニキビ跡の種類と特徴
- レチノールがニキビ跡に効果を発揮するメカニズム
- ニキビ跡のタイプ別レチノールの効果
- レチノールとトレチノインの違い
- レチノール使用時に起こる「A反応」について
- レチノールの正しい使い方と注意点
- レチノールと相性の良い成分・避けるべき成分
- より効果を高めるためのスキンケアのポイント
- 美容医療との併用について
- よくある質問
- まとめ
🧬 1. レチノールとは?基本を理解する
ビタミンAの一種であるレチノール
レチノールは、脂溶性ビタミンであるビタミンAの一種です。ビタミンAは本来、私たちの体内に存在している成分であり、以下のような重要な働きを担っています:
- 皮膚や粘膜の健康維持
- 成長の促進
- 視覚機能の維持
ビタミンAは体内では以下の3つの活性型として存在しています:
- レチノール
- レチナール
- トレチノイン(レチノイン酸)
緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンを摂取すると、体内でビタミンAの前駆体として貯蓄され、必要に応じてビタミンAが生成される仕組みになっています。
レチノールを含むビタミンA誘導体の総称を「レチノイド」と呼び、その種類は約2,000を超えるとされています。美容分野では、肌のターンオーバー促進やコラーゲン生成のサポートなど、多彩な効果が注目されています。
厚生労働省が認めたシワ改善効果
レチノールは欧米では40年以上前からニキビ治療薬として認可され、スキンケア成分としても長い歴史があります。日本では2017年に資生堂の申請により、厚生労働省が医薬部外品成分としてレチノールの「シワ改善効果」を承認しました。これは日本で初めてのことであり、この承認をきっかけに一般の方にも広く知られるようになりました。
資生堂は約30年にわたってレチノール研究を行っており、純粋レチノールを安定的に配合する技術を開発しました。レチノールは光や空気、熱に対して非常に不安定な性質を持つため、化粧品への配合には高度な技術が必要とされています。
レチノールの種類
化粧品に配合されるレチノールにはいくつかの種類があります:
純粋レチノール(ピュアレチノール)
- 効果が高い反面、安定性が低く適切な保存が必要
- 2017年に厚生労働省からシワ改善薬用有効成分として認可
- すぐに効果を発揮するのが特徴
レチノール誘導体(レチニルエステル)
- パルミチン酸レチノール
- 酢酸レチノール
- プロピオン酸レチノール
- 作用が穏やかで肌への刺激が弱い
- A反応が起こることもほとんどない
- パルミチン酸レチノールは成分としての安定性も高い
トレチノイン(レチノイン酸)
- レチノールの50〜100倍の生理活性を持つ
- 日本では医師の処方が必要な医薬品として扱われている
- より高い効果が期待できる一方で、副作用も強く現れる傾向
🎯 2. ニキビ跡の種類と特徴
ニキビ跡を適切にケアするためには、まず自分のニキビ跡がどのタイプなのかを知ることが重要です。ニキビ跡は大きく分けて以下の4つの種類に分類されます:
赤みのあるニキビ跡(炎症後紅斑)
ニキビの炎症が治まった後、肌に赤みが残っている状態を「炎症後紅斑」と呼びます。これはニキビへの刺激によって毛細血管が増殖したり拡張したりしたことが原因で、血液の色が肌の赤みとして透けて見えている状態です。
特徴:
- 炎症が軽くて短期間でニキビが治った場合は、肌のターンオーバーによって徐々に赤みが薄くなる
- 数ヶ月程度で目立たなくなることが多い
- 炎症が長引いたり深部まで及んだりした場合は、6ヶ月から1年以上残ることもある
茶色い色素沈着のニキビ跡(炎症後色素沈着)
ニキビの炎症によって肌がダメージを受けると、メラノサイトという細胞が刺激されてメラニン色素が大量に生成されます。このメラニンが皮膚に沈着すると、茶色いシミのような跡として残ってしまいます。これを「炎症後色素沈着」と呼びます。
特徴:
- 通常、メラニンは肌のターンオーバーによって排出される
- ターンオーバーが乱れていたり、メラニンの生成量が排出を上回ったりすると色素沈着として定着
- 紫外線を浴びると色素沈着が悪化する恐れがある
- 適切なケアを続ければ半年から1年程度で改善することが多い
- 放置すると何年も残ってしまう場合もある
クレーター状のニキビ跡(萎縮性瘢痕)
ニキビの炎症が肌の深部にある真皮層まで達すると、皮膚組織が破壊されてしまいます。真皮は表皮と異なりターンオーバーによって生まれ変わることがないため、傷ついた組織は元通りには修復されず、肌が陥没したクレーター状の跡として残ってしまいます。
クレーター状のニキビ跡は以下の3つのタイプに分類されます:
アイスピック型
- 小さな穴が深く刺さったような形状の跡
- 毛穴が広がったように見える
- 底が狭くV字型に深く凹んでいるのが特徴
ボックスカー型
- 辺縁がはっきりしていて垂直に凹んだ円形や楕円形の跡
- 水疱瘡の跡に似た形状
- クレーター状のニキビ跡として最もよく見られるタイプ
ローリング型
- 辺縁がなだらかで皿状に広く浅く凹んだ跡
- 光が当たる角度によって影ができ、肌表面が波打っているように見える
クレーター状のニキビ跡はセルフケアでの改善が非常に難しく、美容医療による治療が必要となることがほとんどです。
膨らんだニキビ跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)
ニキビの傷跡を修復する過程で、皮膚組織が過剰に増殖してしまうと、肌が盛り上がった状態になることがあります。これを肥厚性瘢痕やケロイドと呼びます。
特徴:
- 主に顎下のフェイスライン、胸、背中、上腕、肩などにできやすい
- 体質が要因となることが多い
- つまむと痛みを感じることがある
- 同じ場所で化膿したニキビが何度も繰り返されることで発生しやすくなる
⚙️ 3. レチノールがニキビ跡に効果を発揮するメカニズム
ターンオーバーの促進
レチノールの最も重要な働きの一つが、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進する作用です。
肌のターンオーバーとは、皮膚の基底層で新しい細胞が生まれ、徐々に表面に押し上げられて最終的には角質となって剥がれ落ちる一連のサイクルのことです:
- 20代の健康な肌:約28日周期
- 30〜40代:約45日
- 60代以降:100日前後
レチノールは細胞レセプターに認識されて細胞成長を促進し、細胞分裂を活性化させることで、このターンオーバーを促進します。ターンオーバーが促進されると、古い角質やメラニンを含んだ細胞が排出されやすくなり、ニキビ跡の色素沈着や赤みの改善につながります。
コラーゲン・エラスチンの生成促進
レチノールは真皮層においてコラーゲンやエラスチンの生成を促す作用があります。コラーゲンとエラスチンは肌のハリや弾力を支える重要なタンパク質であり、これらの生成が促進されることで、シワの改善だけでなく、浅いクレーター跡の見た目を目立ちにくくする効果も期待できます。
また、レチノールはヒアルロン酸の産生も促進することが研究で明らかになっています。ヒアルロン酸は水分保持や皮膚の弾力性の維持に関与する成分であり、肌に柔軟性を与えてふっくらとした若々しい印象に導きます。
皮脂分泌の抑制
ニキビは以下の要因で発生します:
- 皮脂の過剰分泌
- 毛穴の詰まり
- アクネ菌の増殖
レチノールには皮脂腺の働きを整えて過剰な皮脂分泌を抑える作用があり、これによって毛穴詰まりを予防し、新たなニキビの発生を抑制する効果が期待できます。
ビタミンAが不足している状態では皮脂の過剰分泌が起こりやすいとされているため、レチノールを補給することでこのバランスを整え、ニキビのできにくい肌環境を作ることができます。
メラニン色素の排出促進
レチノールによってターンオーバーが促進されると、皮膚の新陳代謝が活発になり、メラニン色素が排出されやすくなります。これにより、ニキビ跡の色素沈着やシミ、くすみの改善効果が期待できます。
また、レチノールには毛細血管を新たに生み出す働きもあり、肌に血色感が生まれることで黄ぐすみの解消や肌のトーンアップにも効果があるとされています。
📊 4. ニキビ跡のタイプ別レチノールの効果
レチノールがすべてのニキビ跡に同じように効果を発揮するわけではありません。ニキビ跡のタイプによって期待できる効果は異なります。
赤みのあるニキビ跡への効果
レチノールは炎症を鎮めながら肌の再生を促す作用があるため、赤みのあるニキビ跡に対して一定の効果が期待できます。ターンオーバーの促進によって新しい細胞への入れ替わりが進み、拡張した毛細血管の回復を助けます。
注意点:
- 炎症が残っている状態の赤みに対しては、レチノールの刺激が炎症を悪化させる可能性もある
- 炎症が完全に治まってから使用を開始することが推奨される
色素沈着のあるニキビ跡への効果
レチノールは色素沈着タイプのニキビ跡に対して特に効果的です。以下の作用により改善が期待できます:
- ターンオーバー促進によるメラニンを含んだ古い角質の排出促進
- メラニンの生成抑制
効果の期間と特徴:
- 効果を実感するまでには数ヶ月から半年程度の継続使用が必要
- 紫外線によってできたシミよりも比較的改善しやすい
- 紫外線を浴びると色素沈着が悪化する恐れがあるため、日焼け対策が必須
クレーター状のニキビ跡への効果
クレーター状のニキビ跡は表皮よりも深い真皮層までダメージが及んでいるため、レチノールのみでの改善は非常に難しいのが現実です。
期待できる効果:
- 非常に浅い凹凸であれば多少の改善が期待できる可能性
- 肌にハリや弾力を与えることで、クレーターの見た目が目立ちにくくなる効果
推奨治療:
深いクレーター状のニキビ跡の改善を目指す場合は、以下の美容医療による治療を検討することをお勧めします:
- ダーマペン
- フラクショナルレーザー
ケロイド状のニキビ跡への効果
ケロイドや肥厚性瘢痕といった盛り上がったタイプのニキビ跡に対して、レチノールは効果的ではありません。このタイプのニキビ跡は医療機関での専門的な治療が必要となります。
🔬 5. レチノールとトレチノインの違い
ニキビ跡のケアにはレチノールだけでなく「トレチノイン」という成分も使用されます。両者の違いを理解しておくことが大切です。
効果の強さの違い
トレチノインはレチノールの誘導体であり、その生理活性の強さはレチノールの50〜100倍とされています。
作用機序:
- レチノールは最終的に体内でトレチノインに変換されて効果を発揮
- トレチノインは「すでに活性化された状態」の成分
効果の特徴:
- トレチノイン:より強力で即効性のある効果が期待できる
- レチノール:肌への刺激や副作用が比較的穏やか
入手方法の違い
レチノール:
- 化粧品や医薬部外品に配合されている
- 市販の製品を購入してセルフケアに取り入れることが可能
- 濃度は製品によってさまざま
- 市販品は安全性を考慮して比較的低濃度のものが多い
トレチノイン:
- 日本では医師の処方が必要な医薬品として扱われている
- 医療機関でのみ入手可能
- 医師の指導のもとで使用する必要がある
どちらを選ぶべきか
レチノールがおすすめの方:
- レチノール初心者
- 穏やかな効果を求める方
- セルフケアで始めたい方
トレチノインがおすすめの方:
- 肌がレチノールに慣れている方
- より高い効果を求める方
- 医師の指導下で治療を受けたい方
また、市販のレチノール化粧品は濃度が低く抑えられているため効果を実感するまでに時間がかかりますが、医療機関で処方されるレチノールやトレチノインはより高濃度のため、早く効果を実感したい方に適しています。
⚠️ 6. レチノール使用時に起こる「A反応」について
A反応とは
レチノールを使い始めると、一時的に肌に変化が現れることがあります。これは「A反応」「レチノイド反応」「レチノール反応」などと呼ばれ、レチノールの効果が現れている証拠ともいえる現象です。
A反応は、レチノールによって急激に肌のターンオーバーが促進されることで起こります。通常4週間かけて行われる肌細胞の生まれ変わりが、レチノールの作用によって加速されるため、一時的にさまざまな症状が現れます。
A反応の主な症状
A反応として現れる症状には以下のようなものがあります:
肌の赤みやヒリヒリ感
- 最も一般的な症状
- ターンオーバーの過程で未熟な細胞が表面に押し出されることで炎症が起こりやすくなる
皮むけやカサつき
- 古い角質が剥がれ落ちる過程で生じる
- レチノールのピーリング作用によって角質層が薄くなることが原因
乾燥
- 一時的にバリア機能が低下することで水分が蒸発しやすくなる
ニキビの一時的な増加
- 隠れていた毛穴の詰まりやコメド(ニキビの初期段階)が表面に押し出される
- 「好転反応」の一種と考えられている
A反応の期間と対処法
期間:
A反応は通常、使用開始から1〜2週間程度で現れ、4〜6週間程度で落ち着くことが多いとされています。肌がレチノールに慣れるにつれて症状は軽減していきます。
対処法:
- 使用頻度を減らす
- 毎日使用していた場合は2〜3日に1回にする
- 肌の状態を見ながら調整する
- 使用量を減らす
- 少量から始めて、肌が慣れてきたら徐々に増やす
- 保湿を十分に行う
- レチノール使用後は特に乾燥しやすくなる
- 保湿剤をしっかり塗布して肌を保護する
注意が必要な場合:
以下の場合は使用を中止し、医療機関で相談することをお勧めします:
- 赤みや痒みが強く日常生活に支障をきたす場合
- 症状が1ヶ月以上続く場合
📋 7. レチノールの正しい使い方と注意点
使用するタイミング
レチノールは紫外線に当たると劣化しやすい性質を持つため、夜のスキンケアに取り入れることが推奨されます。朝に使用する場合は、その後必ず日焼け止めを塗って紫外線対策を徹底する必要があります。
使用量と塗り方
使用量:
- レチノール製品は適量を守ることが重要
- 多く塗ればそれだけ効果が高まるわけではない
- むしろA反応のリスクが高まる
- 製品の説明書に記載された使用量(多くの場合パール粒大や小豆大程度)を守る
塗り方の手順:
- 洗顔
- 化粧水で肌を整える
- レチノールを塗布
- 乳液やクリームで保湿
注意点:
- 目元や口元など皮膚の薄い部分は特に刺激を受けやすい
- 最初は避けるか少量から始める
濃度の選び方
レチノール初心者の方は、まず低濃度の製品から始めて、肌が慣れてきたら徐々に濃度を上げていくのが安全です。最初から高濃度の製品を使うと、A反応が強く出て肌トラブルにつながる可能性があります。
濃度の目安:
- 市販のレチノール化粧品:比較的低濃度に抑えられている
- 医療機関で処方されるレチノール:市販品の100倍から場合によっては1万倍もの濃度
高濃度の製品を使用する場合は、必ず医師の指導のもとで行いましょう。
使用を避けるべき状況
妊娠中・授乳中:
- レチノールの使用を控えることが一般的に推奨されている
- ビタミンAの過剰摂取は胎児に影響を与える可能性がある
- 使用を検討する場合は必ず医師に相談
その他の注意すべき状況:
- 肌に傷やただれがある場合
- 日焼け直後で肌が敏感になっている場合
- アトピー性皮膚炎などで肌のバリア機能が低下している場合
これらの場合は使用を避けるか、医師に相談してから使用することをお勧めします。
紫外線対策の重要性
レチノールを使用すると、ターンオーバーが促進されて角質層が薄くなり、肌が紫外線の影響を受けやすくなります。そのため、レチノール使用中は以下の対策が非常に重要です:
- 日焼け止めを必ず使用
- 帽子や日傘の活用
- 徹底した紫外線対策
紫外線対策を怠ると、せっかくレチノールで色素沈着を改善しようとしているのに、逆にシミが濃くなってしまう可能性があります。
🧪 8. レチノールと相性の良い成分・避けるべき成分
相性の良い成分
ナイアシンアミド
- レチノールと非常に相性の良い成分
- 水溶性のビタミンB3
- シワ改善効果と美白効果の両方が厚生労働省に認められている
- レチノールと組み合わせることで、コラーゲンやエラスチンの産生がさらに促進
- シワやたるみの改善効果が高まる
ヒアルロン酸
- 優れた保湿効果を持つ
- レチノールの刺激を緩和するクッションのような役割
- レチノール使用時に起こりやすい乾燥対策に有効
- 肌にうるおいを与えながらレチノールの刺激を軽減
トラネキサム酸
- メラニンの生成を抑える働き
- ニキビ跡の色素沈着やシミ対策としてレチノールと併用で相乗効果が期待できる
避けるべき・注意が必要な成分
ピーリング効果のある成分(AHA、BHAなど)
- レチノールと同時に使用すると、肌への刺激が過剰になりA反応が悪化する可能性
- 併用する場合は別々の日に使用するか、朝と夜で使い分ける
高濃度のビタミンC(アスコルビン酸)
- レチノールと同時に使用すると刺激が強くなることがある
- 推奨使い分け:ビタミンCは朝のケア、レチノールは夜のケア
ハイドロキノン
- 美白成分として知られている
- レチノールとの同時使用は肌への負担が増える可能性
- 特に敏感肌の方は同時使用を避け、医師に相談してから併用を検討
✨ 9. より効果を高めるためのスキンケアのポイント
正しい洗顔を心がける
レチノールの効果を最大限に引き出すためには、日々のスキンケアの基本である洗顔が重要です。
正しい洗顔方法:
- ゴシゴシと強くこすると肌に摩擦刺激を与える
- ターンオーバーの乱れを招く可能性がある
- たっぷりの泡で優しく洗う
- ぬるま湯でしっかり洗い流す
十分な保湿を行う
レチノール使用中は特に肌が乾燥しやすくなります。以下の保湿ケアが重要です:
- 化粧水でしっかり水分を補給
- 乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぐ
保湿が不十分だとバリア機能が低下し、A反応が強く出やすくなります。
生活習慣を整える
質の良い睡眠:
- 肌のターンオーバーは睡眠中に分泌される成長ホルモンによって促進される
- 質の良い睡眠を十分にとることで、レチノールの効果をサポート
バランスの良い食事:
レチノール効果をサポートする栄養素:
- タンパク質:肌の材料となる
- ビタミンC:コラーゲン生成を助ける
- ビタミンE:抗酸化作用で肌を守る
これらの栄養素をバランスよく摂取することで、内側からも美肌をサポートできます。
避けるべき習慣:
- 喫煙
- 過度な飲酒
これらは血液循環や代謝機能に悪影響を与え、ターンオーバーの乱れにつながります。
継続することが大切
レチノールによる美肌効果は即効性があるわけではありません。効果を実感するまでには最低でも数週間、場合によっては数ヶ月の継続使用が必要です。途中でやめずに、根気よく続けることが美肌への近道です。
効果実感の目安:
- 個人差はありますが、一般的に2〜3ヶ月継続して使用すると変化を感じる方が多い
- 「肌にハリが出た」
- 「ニキビができにくくなった」
- などの変化を実感
🏥 10. 美容医療との併用について
レチノールだけでは難しいケース
色素沈着タイプのニキビ跡であれば、レチノールを含むスキンケアで改善が期待できますが、以下のような場合はセルフケアだけでは限界があります:
- 深いクレーター
- ケロイド
このような場合は、美容医療による治療を検討することをお勧めします。
代表的な美容医療
ダーマペン
- 先端に複数の微細な針がついた機器で肌に小さな穴をあける
- 肌の自己修復力を利用してコラーゲン生成を促進
- クレーター状のニキビ跡の改善に効果があるとされる
フラクショナルレーザー
- レーザーで皮膚に微細な穴を開ける
- 肌の再生を促進し、ニキビ跡やシワの改善を目指す治療
ケミカルピーリング
- 薬剤を用いて古い角質を剥がす
- ターンオーバーを促進する治療法
- 色素沈着タイプのニキビ跡や軽度の凹凸に効果が期待できる
イオン導入
- イオン化したビタミンCなどの有効成分を肌の奥まで届ける治療
- ニキビ跡の赤みや色素沈着の改善をサポート
施術前後のレチノール使用について
美容医療を受ける際は、施術の2週間前からレチノールの使用を控えることが一般的に推奨されています。レチノールによってターンオーバーが促進された状態で施術を受けると、肌への刺激が過剰になる可能性があるためです。
施術後の再開時期についても、担当医師の指示に従いましょう。

よくある質問
効果の実感には個人差がありますが、一般的には2〜3ヶ月の継続使用で変化を感じ始める方が多いです。まず肌のハリや質感の改善を感じ、その後徐々に色素沈着やニキビ跡の改善が見られるようになります。市販品は濃度が低いため、効果を実感するまでに半年程度かかることもあります。
レチノール使用開始後に一時的にニキビが増えることがあります。これはA反応の一種で、ターンオーバーが促進されることで毛穴に隠れていたコメドが表面に押し出されるために起こります。通常は数週間で落ち着きますが、ニキビが増え続ける場合は使用を中止して医師に相談してください。
両者は異なるアプローチでニキビ跡にアプローチします。レチノールはターンオーバー促進とコラーゲン生成促進が主な作用で、色素沈着や浅いクレーターに効果的です。ビタミンCは抗酸化作用とメラニン生成抑制が主な作用で、色素沈着や赤みのあるニキビ跡に効果的です。どちらか一方ではなく、時間帯を分けて併用することでより高い効果が期待できます。
敏感肌の方は特にA反応が出やすい傾向があります。低濃度の製品から始める、最初は週に1〜2回の使用にとどめる、肌の様子を見ながら徐々に頻度を上げる、肌荒れが続く場合は使用を中止し皮膚科医に相談するなどの注意点を守って使用を開始してください。
レチノールの使用に明確な年齢制限はありませんが、使用目的によって推奨年齢が異なります。ニキビ跡のケア目的では10代後半から20代以降が一般的で、エイジングケア目的では肌の老化サインが気になり始める20代後半から30代以降が適しています。成長期の若い肌には刺激が強すぎる場合もあるため、未成年の方は保護者や皮膚科医に相談してから使用することをお勧めします。
📝 12. まとめ
レチノールは、肌のターンオーバー促進、コラーゲン・エラスチンの生成促進、皮脂分泌の抑制など、多彩な作用によってニキビ跡の改善をサポートしてくれる優れた美容成分です。2017年に厚生労働省からシワ改善効果が認められたことで信頼性も高まり、多くのスキンケア製品に配合されるようになりました。
特に色素沈着タイプのニキビ跡には高い効果が期待できますが、深いクレーターやケロイドといったタイプには効果が限定的です。自分のニキビ跡がどのタイプなのかを正しく把握し、適切なケア方法を選択することが重要です。
レチノールを使用する際は、A反応という一時的な肌の変化が起こることを理解し、低濃度から始めて徐々に肌を慣らしていくことが大切です。また、紫外線対策を徹底し、十分な保湿を行うことで、より安全に効果を引き出すことができます。
セルフケアで改善が難しいニキビ跡については、美容医療との併用も効果的な選択肢です。一人で悩まず、専門家に相談することで最適な治療法を見つけることができるでしょう。
ニキビ跡のケアは即効性を期待するのではなく、継続的なケアによって徐々に改善していくものです。正しい知識を身につけ、根気強くケアを続けることで、健やかで美しい肌を目指しましょう。
当院では、赤ニキビの治療から顎ニキビの改善まで、患者様一人ひとりの肌状態に合わせた最適な治療プランをご提案しています。レチノールを含む適切なスキンケア指導から、美容医療による本格的な治療まで、幅広い選択肢をご用意しております。
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 化粧品・医薬部外品等ホームページ
- 日本皮膚科学会 – 一般公開ガイドライン
- 資生堂 – 有効成分純粋レチノールによるしわを改善する効能効果の承認を日本で初めて取得
- Mindsガイドラインライブラリ – 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
- 化粧品成分オンライン – レチノールの基本情報・配合目的・安全性
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
レチノールは肌の細胞レベルで働きかける成分です。特にニキビ跡の改善において、ターンオーバー促進によるメラニン排出とコラーゲン生成促進は大きなメリットです。ただし、効果を実感するまでには時間がかかることを理解し、継続的なケアを心がけることが重要です。