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「朝しっかり洗顔したのに、お昼にはもう顔がテカってしまう」「メイクがすぐに崩れてしまう」「毛穴の開きやニキビが気になる」——このような肌悩みを抱えている方は、脂性肌(オイリー肌)かもしれません。

脂性肌は皮脂の分泌量が多い肌質のことで、テカリやベタつきだけでなく、毛穴トラブルやニキビの原因にもなりやすい特徴があります。しかし、適切なスキンケアと生活習慣の見直しによって、脂性肌は改善が期待できます。

本記事では、脂性肌のメカニズムや原因から、正しいスキンケア方法、食事や睡眠などの生活習慣の改善ポイント、さらに紫外線対策や医療機関での治療法まで、脂性肌ケアに必要な情報を網羅的に解説します。自分の肌質を正しく理解し、適切なケアを実践することで、健やかな肌を手に入れましょう。

目次

  • 脂性肌(オイリー肌)とは
  • 脂性肌になる7つの原因
  • 脂性肌と間違えやすい肌質との違い
  • 脂性肌の正しいスキンケア方法
  • 脂性肌改善のための食事と栄養
  • 脂性肌改善のための生活習慣
  • 脂性肌の紫外線対策
  • 脂性肌で起こりやすい肌トラブルと対処法
  • 医療機関での脂性肌治療
  • まとめ
  • 参考文献

脂性肌(オイリー肌)とは

脂性肌(オイリー肌)とは、皮脂腺から分泌される皮脂の量が多い肌質のことを指します。皮脂は本来、肌を外部の刺激から保護し、水分の蒸発を防ぐ重要な役割を担っています。しかし、皮脂が過剰に分泌される脂性肌では、さまざまな肌トラブルが起こりやすくなります。

脂性肌の特徴

脂性肌には以下のような特徴があります。

顔全体にテカリやベタつきが生じやすく、特にTゾーン(額から鼻筋にかけての部分)は皮脂腺が集中しているため、皮脂の分泌量が多くなります。また、毛穴が開きやすく目立ちやすいのも特徴です。これは過剰な皮脂が毛穴に詰まることで、毛穴が押し広げられるためです。

メイクをしても崩れやすく、特に午後になると化粧が浮いてきたり、ファンデーションがよれたりすることがあります。さらに、皮脂が毛穴に詰まりやすいことから、ニキビや吹き出物ができやすい傾向にあります。

皮脂の役割と重要性

ここで重要なのは、皮脂そのものは決して悪いものではないということです。皮脂には以下のような大切な役割があります。

皮脂は肌表面で汗と混ざり合い、天然の保湿クリームともいえる「皮脂膜」を形成します。この皮脂膜は、肌の水分が蒸発するのを防ぎ、潤いを保つ働きをしています。また、皮脂膜は弱酸性を保つことで、雑菌の繁殖を抑え、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐバリア機能も果たしています。

問題となるのは、皮脂が「過剰に」分泌される状態です。皮脂の分泌量が適正であれば健やかな肌が保たれますが、過剰になると肌トラブルの原因となってしまいます。そのため、脂性肌のケアでは皮脂を完全に取り除くのではなく、適切なバランスを保つことが重要になります。

脂性肌になる7つの原因

脂性肌になる原因はさまざまですが、主に以下の7つの要因が挙げられます。それぞれの原因を理解することで、効果的な対策を立てることができます。

1. ホルモンバランスの影響

皮脂の分泌量は、主に男性ホルモン(アンドロゲン)の一種であるテストステロンや、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響を受けています。

テストステロンは男性の精巣で多く作られますが、女性の卵巣からも少量分泌されています。このホルモンは皮脂腺を活性化させ、皮脂の分泌を促進する働きがあります。そのため、男性は女性に比べて皮脂の分泌量が多い傾向にあります。

女性の場合、生理前にプロゲステロンの分泌が増加します。プロゲステロンには男性ホルモンに似た作用があり、皮脂分泌を促進するため、生理前にニキビができやすくなったり、肌がオイリーになったりすることがあります。

また、思春期は成長に伴うホルモンバランスの変動により皮脂分泌が活発になるため、ニキビができやすい時期とされています。

2. 遺伝的要因

体質が遺伝するように、皮脂の分泌量が多いという肌質も遺伝の影響を受けることがあります。ご両親や兄弟に脂性肌の方がいる場合、自分自身も脂性肌になりやすい可能性があります。

特に、皮脂の分泌に関わる酵素「5αリダクターゼ」の量は遺伝的な要因が大きいとされています。この酵素は皮脂腺の中に存在し、テストステロンをより強力な男性ホルモンに変換する働きがあるため、5αリダクターゼが多い人は皮脂分泌が多くなる傾向にあります。

3. 誤ったスキンケア

脂性肌を改善しようとするあまり、かえって悪化させてしまうケースがあります。

皮脂が気になるからといって1日に何度も洗顔したり、洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシと擦ったりすると、肌に必要な皮脂まで取り除いてしまいます。すると、肌は「乾燥している」と判断し、防御反応として皮脂をさらに多く分泌するようになります。これでは逆効果になってしまいます。

また、「脂性肌だから保湿は必要ない」と考えて保湿ケアを怠ると、肌の水分量が低下してバリア機能が弱まり、皮脂の過剰分泌を招く原因となります。

4. 食生活の乱れ

食事の内容は皮脂の分泌量に影響を与えます。

脂っこい食事や甘いものを多く摂取すると、皮脂の分泌が促進されます。特に、揚げ物やスナック菓子、チョコレートなど脂質や糖質を多く含む食品は皮脂腺を刺激しやすいとされています。

また、過度な糖質摂取は血糖値を急上昇させ、インスリンの分泌を促進します。インスリンには皮脂腺を刺激する働きがあるため、皮脂の分泌量が増加する原因となります。

一方で、ビタミンB群が不足すると脂質の代謝が滞り、皮脂の過剰分泌につながることがあります。

5. 睡眠不足とストレス

睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。

十分な睡眠が取れないと、交感神経が優位になり、男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌が増加します。その結果、皮脂の分泌量が増えてしまいます。

また、ストレスを感じると副腎からアンドロゲンが分泌されるため、こちらも皮脂の過剰分泌を招く原因となります。さらに、睡眠中に分泌される成長ホルモンは肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進する働きがありますが、睡眠不足になるとこの機能が低下し、肌のコンディションが悪化します。

6. 季節や環境の影響

気温や湿度も皮脂の分泌量に影響を与えます。

夏場は気温が高くなるため、皮脂の分泌が活発になります。また、湿度が高いと汗と皮脂が混ざり合い、よりベタつきやテカリを感じやすくなります。

一方、冬場は暖房による乾燥で肌の水分が奪われやすく、それを補おうとして皮脂が過剰に分泌されることがあります。季節に合わせたスキンケアが必要です。

7. 紫外線の影響

紫外線を浴びると肌がダメージを受け、バリア機能が低下します。バリア機能が弱まった肌は乾燥しやすくなり、それを補おうとして皮脂の分泌が増加することがあります。

また、紫外線は皮脂を酸化させて「過酸化脂質」に変化させます。過酸化脂質は肌への刺激となり、毛穴の詰まりやニキビ、肌のくすみなどのトラブルを引き起こす原因となります。

脂性肌と間違えやすい肌質との違い

自分の肌質を正しく理解することは、適切なスキンケアを行う上で非常に重要です。脂性肌と間違えやすい肌質について解説します。

インナードライ肌(乾燥性脂性肌)

インナードライ肌は、肌の表面は皮脂でベタついているにもかかわらず、肌内部は乾燥している状態を指します。「乾燥性脂性肌」とも呼ばれます。

この状態は、肌の水分量が不足することで起こります。肌が乾燥すると、バリア機能を維持しようとして皮脂が過剰に分泌されます。そのため、見た目は脂性肌と同じようにテカリやベタつきがありますが、実際には保湿ケアが必要な状態です。

インナードライ肌の場合、脂性肌と同じケアをしてしまうと、さらに乾燥が進行し、皮脂分泌がますます増えるという悪循環に陥る可能性があります。洗顔後にツッパリ感があるにもかかわらず時間が経つとテカってくる場合は、インナードライ肌の可能性があります。

混合肌

混合肌は、顔の部位によって肌質が異なる状態を指します。典型的には、Tゾーン(額・鼻)は皮脂が多くテカりやすい一方で、Uゾーン(頬・あご)は乾燥しやすいというパターンが多く見られます。

混合肌の場合は、部位ごとに異なるケアが必要になることがあります。皮脂の多い部分にはさっぱりとしたケアを、乾燥しやすい部分にはしっかりとした保湿ケアを行うなど、きめ細かな対応が求められます。

自分の肌質をチェックする方法

自分が本当に脂性肌なのかを確認するために、以下のチェックを行ってみましょう。

洗顔後、何もつけずに10分程度放置してみてください。その後の肌状態で肌質を判断することができます。

顔全体がベタつきテカりが出てくる場合は脂性肌の可能性が高いです。顔全体がつっぱってカサつく場合は乾燥肌、Tゾーンはテカるが頬やあごはつっぱる場合は混合肌、最初はつっぱるが時間が経つとテカってくる場合はインナードライ肌の可能性があります。

脂性肌の正しいスキンケア方法

脂性肌のスキンケアでは、「余分な皮脂を適切に落とすこと」と「必要な潤いを補うこと」のバランスが重要です。ここでは、各ステップごとの正しいケア方法を解説します。

クレンジング

メイクをした日は、必ずクレンジングでメイクを落としましょう。脂性肌の方は皮脂の分泌量が多いため、メイクを落とさずに寝てしまうと毛穴詰まりやニキビの原因になります。

ただし、クレンジングに時間をかけすぎることは避けましょう。長時間クレンジング料を肌にのせていると、必要な皮脂まで取り除いてしまう可能性があります。目安として40秒から1分程度でメイクを落とすようにしましょう。

脂性肌の方には、余分な皮脂をしっかり落としながらも潤いを残せるジェルタイプやリキッドタイプのクレンジングがおすすめです。オイルタイプは洗浄力が高いですが、油分が多いため毛穴に残りやすく、脂性肌の方には合わない場合があります。

洗顔

洗顔は脂性肌ケアにおいて非常に重要なステップですが、やり方を間違えると逆効果になってしまいます。

まず、洗顔の回数は1日2回、朝と夜で十分です。皮脂が気になるからといって頻繁に洗顔すると、肌に必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂の過剰分泌を招きます。

洗顔の手順は以下の通りです。

まず、きれいな手で洗顔料をしっかりと泡立てます。泡立てが苦手な方は泡立てネットを使用すると良いでしょう。きめ細かい弾力のある泡を作ることが大切です。

次に、泡を顔にのせ、泡で包み込むようにして優しく洗います。手でゴシゴシと擦るのではなく、泡を転がすようなイメージで洗いましょう。強い摩擦は皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進してしまいます。

すすぎは30度から36度程度のぬるま湯で丁寧に行います。熱いお湯は必要な皮脂まで落としてしまい、冷たい水は汚れが落ちにくいためです。すすぎ残しがあると肌トラブルの原因になるので、生え際やあごのラインまでしっかりとすすぎましょう。

最後に、清潔なタオルで押さえるようにして水分を拭き取ります。ゴシゴシと擦るのは禁物です。

保湿ケア

脂性肌の方でも保湿ケアは必須です。洗顔後に保湿をせずに放置すると、肌は乾燥状態に陥り、バリア機能を保つために皮脂をさらに分泌するようになります。

洗顔後はできるだけ早く化粧水をつけましょう。洗顔によって皮脂が落とされた状態では、時間が経つにつれて肌の水分がどんどん蒸発してしまいます。

化粧水は手のひらで温めてから、優しく押し込むようにしてなじませます。コットンを使う場合は、パッティングしすぎると肌への刺激になるので注意が必要です。

化粧水の後は乳液で蓋をします。乳液には油分が含まれており、化粧水で補給した水分や美容成分が蒸発しないように保護する役割があります。脂性肌の方は「乳液を使うとベタつく」と敬遠しがちですが、適量を使えば肌のバランスを整えるのに効果的です。

脂性肌の方には、さっぱりとした使用感の化粧水や乳液がおすすめです。ただし、「さっぱりタイプ」と表記されていても、保湿成分がしっかり配合されているかどうかを確認することが大切です。ヒアルロン酸やセラミド、コラーゲンなどの保湿成分が含まれているものを選びましょう。

また、脂性肌の方はオイルフリーやアルコールフリーの製品を選ぶのも一つの方法です。油分が多いスキンケア製品は毛穴詰まりの原因になることがありますし、アルコールは一時的に皮脂を抑える効果がありますが、長期的には肌の乾燥を招く可能性があります。

皮脂を抑える成分

スキンケア製品を選ぶ際は、皮脂分泌を抑制する効果が期待できる成分に注目すると良いでしょう。

ビタミンC誘導体は、皮脂の分泌を抑える働きがあるとされています。また、抗酸化作用もあるため、皮脂の酸化を防ぐ効果も期待できます。

ライスパワーNo.6は、皮脂分泌を抑える効果が認められている有効成分です。過剰な皮脂分泌を抑えつつ、肌に必要な潤いは保つことができます。

収れん化粧水には、毛穴を引き締める効果があります。化粧水の前に使用することで、過剰な皮脂分泌を抑え、毛穴を目立ちにくくする効果が期待できます。

脂性肌改善のための食事と栄養

脂性肌の改善には、外側からのスキンケアだけでなく、内側からのケアも重要です。食生活を見直し、肌に良い栄養素を積極的に摂取することで、皮脂の分泌バランスを整えることができます。

積極的に摂りたい栄養素

脂性肌の方が特に意識して摂取したい栄養素は、ビタミンB群とビタミンCです。

ビタミンB2(リボフラビン)は、脂質の代謝を促進し、皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。また、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素でもあります。ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝バランスが崩れ、皮脂分泌がうまくいかなくなり、肌表面のpHバランスが乱れて抵抗力が低下します。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、成人のビタミンB2の1日の推奨量は、男性で1.4mgから1.7mg、女性で1.1mgから1.2mgとされています。

ビタミンB2を多く含む食品としては、豚レバー、牛レバー、鶏レバーなどのレバー類、うなぎ、納豆、卵、牛乳、アーモンド、干ししいたけなどがあります。

ビタミンB6(ピリドキシン)は、タンパク質の代謝に関わる栄養素で、肌のターンオーバーを正常に保つ働きがあります。また、皮脂の分泌を調整する効果も期待できます。ビタミンB6が不足すると、タンパク質の合成に支障が出て肌の新陳代謝がうまくいかなくなり、皮脂の過剰分泌や毛穴詰まり、肌荒れの原因となります。

ビタミンB6を多く含む食品には、カツオ、マグロ、サンマなどの青魚、鶏肉、バナナ、赤ピーマン、にんにくなどがあります。

ビタミンCは、皮脂分泌を抑制する作用があるほか、抗酸化作用によって肌の炎症を抑え、コラーゲンの合成を促進して肌の弾力性を保つ働きがあります。また、皮脂が酸化するのを防ぐ効果も期待できます。

ビタミンCを多く含む食品には、パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、いちご、レモンなどの柑橘類があります。

ビタミンAは、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促進し、毛穴の詰まりを防ぐ働きがあります。レバー、にんじん、ほうれん草などに多く含まれています。

これらのビタミンは水溶性(ビタミンB群、ビタミンC)または脂溶性(ビタミンA)であり、水溶性ビタミンは体内に蓄積されにくいため、毎日継続して摂取することが大切です。

控えたい食品

脂性肌の方は、以下のような食品の摂取を控えめにすることをおすすめします。

脂質の多い食品として、揚げ物、バター、ラード、脂身の多い肉類、スナック菓子などは、皮脂の原料となるため摂りすぎると皮脂分泌を促進します。

糖質の多い食品も注意が必要です。ケーキ、チョコレート、菓子パン、白米の大量摂取などは、血糖値を急上昇させてインスリン分泌を促し、結果的に皮脂分泌を増加させます。

刺激物であるカフェインや香辛料の過剰摂取も、皮脂分泌を促進する可能性があります。

アルコールは肝臓に負担をかけ、ホルモンバランスの乱れや肌のターンオーバーの乱れを引き起こすことがあります。

ただし、これらの食品を完全に断つ必要はありません。バランスの良い食事を心がけ、過剰摂取を避けることが大切です。

おすすめの食事パターン

脂性肌改善のためには、以下のような食事パターンがおすすめです。

朝食には、納豆と卵を取り入れるとビタミンB群を効率よく摂取できます。納豆はビタミンB2とB6を含み、発酵食品として腸内環境の改善にも役立ちます。

昼食には、青魚(サバ、アジなど)を主菜にした定食がおすすめです。青魚にはビタミンB6が豊富に含まれています。

夕食には、豚肉を使った料理にたっぷりの野菜を添えると良いでしょう。豚肉はビタミンB1を豊富に含み、野菜からはビタミンCや食物繊維を摂取できます。

間食には、ナッツ類やフルーツがおすすめです。アーモンドにはビタミンB2が、キウイやいちごにはビタミンCが多く含まれています。

脂性肌改善のための生活習慣

スキンケアや食事に加えて、日常の生活習慣を見直すことも脂性肌改善には欠かせません。

質の高い睡眠をとる

睡眠不足はホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌を増加させる原因となります。また、睡眠中に分泌される成長ホルモンは肌のターンオーバーを促進する働きがあり、睡眠不足になるとこの機能が低下します。

質の高い睡眠をとるためには、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる規則正しい生活を心がけることが大切です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、ブルーライトが睡眠の質を低下させるため控えましょう。

寝室の環境も重要です。室温は18度から22度程度、湿度は50から60%程度が理想的とされています。暑すぎると寝汗をかき、肌への刺激になることがあります。

ストレスを溜めない

ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にします。すると、男性ホルモンの分泌が促進され、皮脂の分泌量が増加します。

ストレスを溜めないためには、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。軽い運動やストレッチ、入浴、趣味の時間、友人との会話など、自分に合った方法でストレスを発散しましょう。

また、適度な運動は血行を促進し、肌のターンオーバーを活性化させる効果があります。ただし、激しい運動は逆にストレスになることもあるので、ウォーキングやヨガなど無理のない範囲で行いましょう。

清潔な環境を保つ

肌に触れるものは常に清潔に保つことが大切です。

枕カバーは週に1から2回は洗濯しましょう。枕には皮脂や汗、雑菌が付着しやすく、汚れた枕で寝ることは肌トラブルの原因になります。

フェイスタオルも毎日清潔なものを使用することをおすすめします。また、顔に触れる機会が多いスマートフォンの画面も定期的に拭き取って清潔にしましょう。

顔を触る癖をやめる

無意識のうちに顔を触る癖がある方は注意が必要です。手には雑菌が付着しており、顔を触ることで雑菌が毛穴に入り込み、ニキビなどの原因になることがあります。

頬杖をつく癖も、肌への刺激になるだけでなく、手の雑菌が顔に移る原因となります。意識して顔を触らないように心がけましょう。

脂性肌の紫外線対策

紫外線は脂性肌にとっても大きな敵です。紫外線を浴びると肌のバリア機能が低下し、乾燥を補おうとして皮脂の分泌が増加することがあります。また、紫外線は皮脂を酸化させ、毛穴の詰まりやニキビ、肌のくすみの原因となります。

日焼け止めの選び方

脂性肌の方が日焼け止めを選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。

軽い使用感のものを選ぶことが重要です。脂性肌の方には、水のようにサラッと伸びるジェルタイプや、軽やかなローションタイプ、ミルクタイプの日焼け止めがおすすめです。クリームタイプは油分が多く、毛穴詰まりの原因になることがあります。

ノンコメドジェニック処方の製品を選ぶのも一つの方法です。ノンコメドジェニック処方とは、毛穴を詰まらせにくく、ニキビの原因になりにくい成分で作られた製品のことです。

皮脂吸着成分やテカリ防止成分が配合されている日焼け止めを選ぶと、皮脂によるテカリやメイク崩れを防ぐ効果が期待できます。

また、脂性肌の方は日焼け止めの成分よりも、テクスチャー(使用感)を重視して選ぶと良いでしょう。ベタつきが気になる方はさっぱりとしたジェルタイプを、どうしてもテカリが気になる場合はメイクの最後にUV効果のあるパウダーを重ねる方法もあります。

日焼け止めの塗り方

日焼け止めは正しい量を塗らないと十分な効果が得られません。顔全体に塗る場合は、パール粒2個分程度を目安にしましょう。

塗り方は、額、両頬、鼻、あごの5か所に点置きしてから、全体にムラなく伸ばします。塗り残しが起こりやすい耳や耳の後ろ、首筋も忘れずに塗りましょう。

日焼け止めは汗や皮脂で落ちやすいため、2から3時間ごとに塗り直すことが大切です。特に脂性肌の方は皮脂で日焼け止めが流れやすいので、こまめな塗り直しを心がけましょう。

その他の紫外線対策

日焼け止めだけでなく、物理的な紫外線対策も併用するとより効果的です。

日傘や帽子、サングラスを活用することで、紫外線から肌を守ることができます。UVカット加工が施された衣類を着用するのも有効です。

また、紫外線が強い時間帯(午前10時から午後2時頃)の外出をなるべく避けたり、日陰を歩いたりすることも大切です。

室内にいても窓から紫外線は入ってきます。UVカット加工のカーテンを使用したり、室内でも日焼け止めを塗ったりする習慣をつけると良いでしょう。

脂性肌で起こりやすい肌トラブルと対処法

脂性肌は、過剰な皮脂分泌によってさまざまな肌トラブルが起こりやすい特徴があります。それぞれのトラブルと対処法について解説します。

ニキビ

脂性肌の方が最も悩まされやすいのがニキビです。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、そこにアクネ菌が繁殖して炎症を起こすことでニキビが発生します。

ニキビの対処法としては、まず洗顔で余分な皮脂をしっかりと落とすことが基本です。ただし、前述の通り洗いすぎは逆効果なので、朝晩2回の丁寧な洗顔を心がけましょう。

また、油分の少ないスキンケア製品を選び、毛穴を詰まらせないようにすることも大切です。ニキビができている部分には、アクネ菌の繁殖を抑える成分(サリチル酸など)を含む製品を使用するのも効果的です。

ニキビを潰すのは絶対に避けましょう。潰すと細菌感染を起こしたり、ニキビ跡として残ったりする可能性があります。

毛穴の開きと黒ずみ

脂性肌の方は毛穴が開きやすく、目立ちやすい傾向にあります。これは、過剰な皮脂が毛穴に詰まって毛穴を押し広げるためです。また、毛穴に詰まった皮脂が酸化すると黒ずんで見えるようになります。これがいわゆる「イチゴ鼻」の原因です。

毛穴トラブルの対処法としては、毎日の丁寧な洗顔で毛穴の汚れを落とすことが基本です。週に1から2回程度、酵素洗顔料やクレイパックを使用すると、毛穴の汚れをより効果的に除去できます。

収れん化粧水で毛穴を引き締めるのも効果的です。また、ビタミンC誘導体を含む製品は皮脂分泌を抑え、毛穴を目立ちにくくする効果が期待できます。

テカリとメイク崩れ

脂性肌の方はメイクが崩れやすく、特に午後になるとテカリが気になることが多いです。

テカリを防ぐためには、メイク前のスキンケアでしっかりと保湿し、肌の水分と油分のバランスを整えることが大切です。皮脂崩れ防止効果のある化粧下地を使用するのも効果的です。

日中にテカリが気になったときは、あぶらとり紙で皮脂を押さえてからメイク直しをしましょう。ただし、あぶらとり紙の使いすぎは皮脂を取りすぎて逆効果になることがあるので注意が必要です。ティッシュで軽く押さえるだけでも十分な場合もあります。

脂漏性皮膚炎

皮脂の分泌が過剰な状態が続くと、脂漏性皮膚炎を発症することがあります。これは、皮脂を餌にするマラセチア菌というカビの一種が過剰に増殖することで起こる皮膚炎です。

眉毛や眉間、鼻の脇、耳の周りなど、皮脂分泌の多い部位に赤みやかゆみ、フケのような皮むけが生じます。

脂漏性皮膚炎が疑われる場合は、自己判断でケアを行うのではなく、皮膚科を受診することをおすすめします。抗真菌薬の外用薬やステロイド外用薬などによる治療が行われます。

医療機関での脂性肌治療

セルフケアだけでは改善が難しい場合や、ニキビなどの肌トラブルが重症化している場合は、医療機関での治療を検討することをおすすめします。

皮膚科での相談

まずは皮膚科を受診し、肌の状態を診てもらいましょう。脂性肌だと思っていても、実際には脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患である可能性もあります。適切な診断を受けることで、効果的な治療につなげることができます。

皮膚科では、肌の状態に合わせた外用薬の処方や、スキンケアの指導を受けることができます。

保険診療での治療

ニキビの治療は保険診療で受けることができます。主な治療法としては、以下のようなものがあります。

外用抗菌薬は、アクネ菌の増殖を抑える塗り薬です。炎症を起こしているニキビに効果があります。

外用レチノイドは、毛穴の詰まりを改善し、ニキビの発生を予防する効果があります。アダパレンゲルなどが保険適用で処方されます。

内服抗菌薬は、炎症が強い場合や広範囲にニキビがある場合に処方されることがあります。

ビタミン剤として、ビタミンB2やビタミンB6の内服薬が処方されることもあります。皮脂の分泌を調整し、肌の新陳代謝を正常化する効果が期待できます。

自費診療での治療

保険診療で効果が不十分な場合や、より積極的な治療を希望する場合は、自費診療の治療法もあります。

ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を塗布して古い角質を除去する治療法です。毛穴の詰まりを改善し、肌のターンオーバーを促進する効果があります。

イオン導入やエレクトロポレーションは、ビタミンCなどの有効成分を肌の深部に浸透させる治療法です。皮脂分泌を抑え、毛穴を引き締める効果が期待できます。

フォトフェイシャルやレーザー治療は、光や熱エネルギーを利用して皮脂腺の活動を抑制したり、肌の再生を促したりする治療法です。

イソトレチノイン内服は、海外では重症ニキビの第一選択薬として知られています。皮脂分泌を強力に抑制する効果がありますが、副作用もあるため、医師の管理のもとで慎重に使用されます。日本では保険適用外となります。

まとめ

脂性肌(オイリー肌)は、皮脂の分泌量が多い肌質であり、テカリやベタつき、毛穴トラブル、ニキビなどの悩みを抱えやすい特徴があります。しかし、適切なスキンケアと生活習慣の改善によって、脂性肌は改善が期待できます。

脂性肌ケアの基本は、「皮脂を取りすぎない」ことと「しっかり保湿する」ことです。皮脂は肌を守る大切な役割を担っており、過剰に取り除くとかえって皮脂分泌を促進してしまいます。朝晩2回の丁寧な洗顔と、洗顔後の速やかな保湿を習慣にしましょう。

また、食生活の見直しも重要です。ビタミンB群やビタミンCを積極的に摂取し、脂質や糖質の過剰摂取を控えることで、体の内側から皮脂バランスを整えることができます。

十分な睡眠とストレスケアも忘れずに行いましょう。睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌を招きます。

紫外線対策も脂性肌ケアには欠かせません。軽い使用感の日焼け止めを選び、こまめに塗り直すことで、紫外線による肌ダメージと皮脂の酸化を防ぎましょう。

セルフケアで改善が見られない場合や、ニキビなどの肌トラブルが重症化している場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。適切な診断と治療を受けることで、より効果的に脂性肌を改善することができます。

肌質の改善には時間がかかりますが、正しい知識を持って継続的にケアを行うことで、健やかで美しい肌を手に入れることができます。今日から、自分の肌に合ったスキンケアを始めてみませんか。

参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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