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ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」は、多くの方が悩む肌トラブルの一つです。赤みや色素沈着、クレーター状の凹みなど、ニキビ跡には複数の種類があり、それぞれに適した治療法が存在します。セルフケアで改善できる軽度なものから、医療機関での治療が必要な重度のものまで、症状に応じた適切なアプローチが大切です。本記事では、ニキビ跡の種類や原因、そして最新の治療法について詳しく解説します。ニキビ跡でお悩みの方が、ご自身の症状に合った治療法を見つける手がかりとしていただければ幸いです。


目次

  1. ニキビ跡とは
  2. ニキビ跡ができる原因とメカニズム
  3. ニキビ跡の種類と特徴
  4. ニキビ跡の治療法(種類別)
  5. レーザー治療の種類と効果
  6. ダーマペンによる治療
  7. ケミカルピーリングによる治療
  8. 外用薬による治療
  9. 保険診療と自由診療の違い
  10. 治療法の選び方とポイント
  11. ニキビ跡を予防するための日常ケア
  12. よくある質問
  13. まとめ

ニキビ跡とは

ニキビ跡とは、ニキビの炎症によって肌がダメージを受けた結果、肌になんらかの跡が残ってしまった状態を指します。ニキビは医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれ、日本人の約90%以上が一度は経験するとされる非常に一般的な皮膚疾患です。思春期にピークを迎えることが多いですが、成人以降も発症することがあり、その炎症が長期間続いたり、深い部分にまで及んだりした場合にニキビ跡として残ることがあります。

ニキビ跡は一般的にクレーター状の凹みをイメージされることが多いですが、実際には赤み、色素沈着、しこり、ケロイドなど複数の種類があります。それぞれの症状によって適切な治療法が異なるため、まずは自分のニキビ跡がどのタイプなのかを理解することが重要です。

近年では、ニキビ跡の治療技術が飛躍的に進歩しており、以前は改善が難しいとされていた深いクレーター状のニキビ跡に対しても、複数の治療法を組み合わせることで効果が期待できるようになってきました。ただし、ニキビ跡の治療は一般的に時間がかかることが多く、複数回の施術を重ねることで徐々に改善していく場合がほとんどです。

ニキビ跡ができる原因とメカニズム

ニキビ跡ができる主な原因は、ニキビによる炎症が皮膚の深い層にまでダメージを与えることです。皮膚は表面から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっています。通常のニキビは表皮で発生しますが、炎症が悪化すると真皮にまで達し、組織が損傷されることで跡として残りやすくなります。

炎症による毛細血管の拡張

ニキビの炎症が起こると、その部分を修復するために毛細血管が集中し、血流が増加します。炎症が治まった後も、拡張した毛細血管がすぐには元に戻らず、皮膚に赤みが残ることがあります。これが「赤みのあるニキビ跡」として認識されます。比較的軽度な場合は数ヶ月から1年程度で自然に改善することもありますが、長期間続く場合は医療機関での治療が必要になることがあります。

メラニン色素の過剰生成

ニキビの炎症によって皮膚がダメージを受けると、メラノサイト(メラニン色素を生成する細胞)が活性化され、メラニン色素が過剰に生成されます。通常であれば、生成されたメラニンは肌のターンオーバー(新陳代謝)によって徐々に排出されていきますが、炎症によってターンオーバーが乱れていると、メラニンが肌に蓄積し、茶色いシミのような「色素沈着」として残ることがあります。

真皮層のコラーゲン破壊

ニキビの炎症が真皮層にまで及ぶと、炎症を抑えるために活動する白血球が周囲の健康な組織まで攻撃し、真皮層のコラーゲン線維が破壊されることがあります。真皮層での細胞再生は表皮に比べて非常に遅く、3〜5年かかるとされています。そのため、修復された部分とされなかった部分に差が生じ、肌に凹凸ができてクレーター状のニキビ跡になってしまうのです。

瘢痕組織の過剰形成

体質や部位によっては、炎症の修復過程でコラーゲンが過剰に作られることがあります。この場合、皮膚が盛り上がった「肥厚性瘢痕」や、それがさらに拡大した「ケロイド」となることがあります。特に顎や胸、肩などにできやすく、治療が難しいタイプのニキビ跡とされています。

ニキビ跡の種類と特徴

ニキビ跡は、その見た目や原因によって大きく4つの種類に分類されます。それぞれの特徴を理解することで、適切な治療法を選択することができます。

赤みのあるニキビ跡(炎症後紅斑)

ニキビの炎症が治まった後に残る赤みは、医学的には「炎症後紅斑」と呼ばれます。ニキビの炎症によってダメージを受けた部分に毛細血管が集中し、血流が増加したことで赤く見えている状態です。軽度の場合は肌のターンオーバーによって数ヶ月から半年程度で自然に改善することもありますが、赤みが半年以上続く場合は自然治癒が難しくなることがあります。

赤みのあるニキビ跡は比較的治療がしやすいタイプであり、適切なケアや治療を行うことで改善が期待できます。しかし、放置して紫外線を浴び続けると、色素沈着に移行してしまう可能性もあるため、早めの対処が推奨されます。

色素沈着(茶色いシミ状のニキビ跡)

ニキビの炎症が原因でメラニン色素が過剰に生成され、肌に沈着した状態が「炎症後色素沈着」です。茶褐色や黒褐色のシミのように見え、顔全体のくすみの原因にもなります。色素沈着には、表皮に留まっている比較的浅いものと、真皮にまで達している深いものがあります。

表皮の色素沈着であれば、肌のターンオーバーによって半年から1年程度で自然に改善することもあります。しかし、真皮にまで達している場合は自然治癒が難しく、医療機関での治療が必要になることが多いです。また、紫外線を浴びると色素沈着が悪化することがあるため、日常的な紫外線対策が重要です。

クレーター状のニキビ跡(萎縮性瘢痕)

クレーター状のニキビ跡は、ニキビの炎症が真皮にまで達し、コラーゲン線維が破壊されたことで肌が陥没してしまった状態です。医学的には「萎縮性瘢痕」と呼ばれ、自然治癒が最も難しいタイプのニキビ跡です。

クレーター状のニキビ跡はさらに3つのタイプに細分化されます。開口部が狭く深い「アイスピック型」、開口部が広く底が平らな「ボックスカー型」、そして境界がなだらかで広い範囲が緩やかに凹んでいる「ローリング型」です。それぞれのタイプによって最適な治療法が異なるため、専門医による診断が重要です。

しこり・ケロイド状のニキビ跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)

ニキビが治った後も皮膚が盛り上がって治らない場合、「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」になっている可能性があります。肥厚性瘢痕は、傷の修復過程で瘢痕組織が過剰に作られたために生じるもので、通常の傷跡よりも盛り上がり、赤紫色や暗褐色になることがあります。

ケロイドは肥厚性瘢痕よりも赤みや炎症が強く、ニキビの炎症があった範囲を超えて拡大する特徴があります。体質的にケロイドができやすい方もおり、顎の下やフェイスライン、胸、肩などにできやすいとされています。ケロイドは治療しても再発することがあるため、長期的な管理が必要になることが多いです。

ニキビ跡の治療法(種類別)

ニキビ跡の治療は、その種類や重症度によって最適な方法が異なります。ここでは、各タイプのニキビ跡に対して推奨される治療法について詳しく解説します。

赤みのあるニキビ跡の治療

赤みのあるニキビ跡は、拡張した毛細血管が原因となっているため、血管をターゲットにした治療が効果的です。代表的な治療法としては、VビームレーザーやIPL(光治療)が挙げられます。これらの治療は、赤みの原因である毛細血管に選択的に作用し、赤みを軽減させる効果があります。

また、ビタミンC誘導体やトラネキサム酸を含む外用薬やイオン導入も、赤みの改善に効果が期待できます。ビタミンCには抗酸化作用があり、肌の炎症を抑える働きがあります。軽度の赤みであれば、適切なスキンケアと紫外線対策を続けることで、数ヶ月で自然に改善することもあります。

色素沈着の治療

色素沈着の治療では、メラニン色素の生成を抑制しながら、既存のメラニンを排出させることが重要です。代表的な治療法としては、ハイドロキノンやトレチノインの外用薬、ケミカルピーリング、レーザートーニング(Qスイッチレーザーの低出力照射)などがあります。

ハイドロキノンはメラニンの生成を抑制する作用があり、「肌の漂白剤」とも呼ばれる強力な美白剤です。トレチノインは肌のターンオーバーを促進し、メラニン色素を含む古い角質を排出させる効果があります。この2つを併用する「トレチノイン・ハイドロキノン療法」は、色素沈着の治療として広く行われています。

ケミカルピーリングも色素沈着の治療に効果的です。サリチル酸マクロゴールやグリコール酸などの薬剤を使用して古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進することで、メラニンの排出を促します。

クレーター状のニキビ跡の治療

クレーター状のニキビ跡は、真皮層のコラーゲンが破壊されているため、コラーゲンの再生を促す治療が必要です。代表的な治療法としては、フラクショナルレーザー、ダーマペン、サブシジョン、TCAクロス法などがあります。

浅いクレーターには、ダーマペンや炭酸ガスフラクショナルレーザーが効果的です。これらの治療は、皮膚に微細な傷をつけることで創傷治癒反応を促し、コラーゲンの生成を活性化させます。深いクレーターには、サブシジョン(皮下剥離術)や炭酸ガスレーザーによるアブレーション治療、重症の場合は皮膚移植や切除縫合などの外科的治療が検討されることもあります。

クレーター状のニキビ跡の治療は、1回で完治することは難しく、複数回の施術を重ねて徐々に改善させていくことが一般的です。治療効果を最大限に引き出すためには、自分のニキビ跡のタイプに合った治療法を選択し、医師の指示に従って継続的に治療を受けることが重要です。

しこり・ケロイド状のニキビ跡の治療

しこりやケロイド状のニキビ跡の治療は、他のタイプに比べて難しく、長期間にわたることが多いです。保険適用となる治療法としては、ステロイドの局所注射、ステロイドの塗布や貼付、トラニラスト(リザベン)の内服などがあります。

ステロイドの局所注射は、ケロイドや肥厚性瘢痕に直接薬剤を注入することで、炎症を抑え、瘢痕組織を縮小させる効果があります。難治性の場合は、手術による切除が検討されることもありますが、ケロイド体質の方は手術後に再発する可能性があるため、慎重な判断が必要です。

レーザー治療の種類と効果

ニキビ跡の治療に使用されるレーザーには複数の種類があり、それぞれ異なる特徴と効果を持っています。ここでは、代表的なレーザー治療について詳しく解説します。

炭酸ガスフラクショナルレーザー(CO2フラクショナルレーザー)

炭酸ガスフラクショナルレーザーは、レーザーを点状に照射することで皮膚に無数の微細な穴を開け、創傷治癒反応を利用してコラーゲンの再生を促す治療法です。「フラクショナル」とは「分割された」という意味で、皮膚の一部だけを治療することで、従来のレーザー治療に比べてダウンタイムを短縮しながら効果を得ることができます。

炭酸ガスフラクショナルレーザーは、クレーター状のニキビ跡、特にローリング型やボックスカー型のニキビ跡に対して高い効果が報告されています。1回の照射で皮膚の10〜15%程度が入れ替わるとされており、5〜10回程度の施術を繰り返すことで徐々に改善が期待できます。ただし、ダウンタイムが比較的長く(数日から1週間程度)、施術後の赤みや腫れ、かさぶたの形成があるため、社会生活への影響を考慮する必要があります。

ピコフラクショナルレーザー

ピコフラクショナルレーザーは、ピコ秒(1兆分の1秒)という極めて短い照射時間でレーザーを照射する治療法です。従来のナノ秒レーザーに比べて照射時間が1000分の1と短いため、熱ダメージが少なく、痛みやダウンタイムが軽減されています。

ピコフラクショナルレーザーは、皮膚の深部にまでエネルギーを届けることができ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。毛穴の改善やニキビ跡の凹凸の改善、肌のハリ・弾力アップなどの効果が期待できます。また、色素沈着の治療にも使用されることがあり、シミの原因となるメラニンを細かく破壊する効果があります。

Vビームレーザー

Vビームレーザーは、595nmの波長を持つパルスダイレーザーで、血管内の赤い色素(ヘモグロビン)に選択的に吸収される特性があります。そのため、赤みのあるニキビ跡や赤ら顔、毛細血管拡張症などの治療に効果的です。

赤みのあるニキビ跡は、拡張した毛細血管が原因となっているため、Vビームレーザーによって毛細血管を選択的に破壊することで、赤みを効果的に軽減することができます。施術後は一時的に赤みや腫れが出ることがありますが、ダウンタイムは比較的短く、数日程度で落ち着くことが多いです。

Qスイッチレーザー(レーザートーニング)

Qスイッチレーザーは、短いパルス幅で高出力のレーザーを照射することで、メラニン色素を選択的に破壊する治療法です。レーザートーニングは、Qスイッチレーザーを低出力で照射する方法で、肝斑や炎症後色素沈着などの治療に使用されます。

ニキビ跡による色素沈着には、まずはトレチノインやハイドロキノンなどの外用薬やビタミンCの内服から治療を開始し、改善が乏しい場合にレーザートーニングなどのレーザー治療を検討することが一般的です。

ダーマペンによる治療

ダーマペンは、16本の極細針を使用して皮膚に微細な穴を開けることで、肌の自然治癒力を活性化させる「マイクロニードリング」治療の一種です。針が皮膚に入ると、体はその部分を修復しようとしてコラーゲンやエラスチンを生成するため、肌が内側から再生され、ニキビ跡の凹凸や毛穴の開きが改善されます。

ダーマペンの特徴とメリット

ダーマペンの最大の特徴は、針の深さを0.2〜3.0mmの範囲で調整できることです。これにより、患者さまの肌の状態やニキビ跡の深さに合わせた治療が可能になります。また、フラクショナルレーザーと比較して熱ダメージがないため、皮膚への負担が少なく、ダウンタイムも比較的短いというメリットがあります。

さらに、ダーマペンは薬剤と併用することで相乗効果が期待できます。施術中に成長因子やビタミンC、ヒアルロン酸などの美容成分を塗布すると、針で開けた穴から薬剤が皮膚の深部まで浸透し、より高い効果が得られます。

ダーマペンの注意点

ダーマペンによるニキビ跡治療は、1回の施術で劇的な効果を期待することは難しく、5〜10回程度の施術を3〜4週間間隔で繰り返すことが推奨されます。また、針の深さが最大でも3.0mm程度であるため、非常に深いニキビ跡(2mm以上の深さ)には効果が限定的になる場合があります。

施術後は、赤みや腫れ、出血、皮剥けなどが生じることがありますが、通常は数日から1週間程度で落ち着きます。施術後は肌がデリケートな状態になっているため、紫外線対策と保湿ケアを十分に行うことが重要です。

ポテンツァ(マイクロニードルRF)

ポテンツァは、マイクロニードル(微細な針)とRF(ラジオ波)を組み合わせた治療法です。針で皮膚に穴を開けると同時にRFエネルギーを照射することで、コラーゲンの生成をより強力に促進します。ダーマペンにRFを加えた治療と考えることができ、より短期間で高い効果が期待できます。

ポテンツァは、ニキビ跡の凹凸改善だけでなく、肌の引き締め効果やアンチエイジング効果も同時に得ることができるため、複数の肌悩みを同時に改善したい方に適しています。ただし、ダーマペンに比べて施術費用が高くなる傾向があります。

ケミカルピーリングによる治療

ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を皮膚に塗布することで古い角質を剥がし、肌のターンオーバーを促進する治療法です。ニキビやニキビ跡、毛穴の開き、くすみなどの改善に効果があり、比較的手軽に受けられる美肌治療として人気があります。

サリチル酸マクロゴールピーリング

サリチル酸マクロゴールピーリングは、サリチル酸(BHA)をマクロゴールという基材に溶かした薬剤を使用するピーリングです。サリチル酸には角質軟化・融解作用があり、従来のグリコール酸ピーリングよりも深く浸透してムラなく角質を除去することができます。

サリチル酸マクロゴールの最大の特徴は、酸が皮膚深部へ浸透するのを防ぎ、角質層のみに反応させることができる点です。そのため、副作用が少なく、敏感肌や乾燥肌の方でも比較的安心して受けられます。ニキビやニキビ跡の改善、毛穴の引き締め、肌のくすみ改善などに効果があります。

グリコール酸ピーリング

グリコール酸ピーリングは、フルーツ酸(AHA)の一種であるグリコール酸を使用したピーリングです。グリコール酸は分子が小さいため肌内部に浸透しやすく、コラーゲン生成を促す効果があります。また、メラニンの生成を抑え、色素沈着やくすみの改善にも効果が期待できます。

グリコール酸ピーリングは、濃度を10〜30%の範囲で調整することができ、患者さまの肌状態に合わせた治療が可能です。ただし、サリチル酸マクロゴールピーリングに比べると刺激が強いため、肌が敏感な方は注意が必要です。

ケミカルピーリングの効果と回数

ケミカルピーリングは、1回の施術でも効果を実感できる方もいますが、一般的には2〜4週間に1回の施術を4〜6回程度繰り返すことで効果を最大化できます。肌のターンオーバーに合わせて継続的に行うことで、ニキビ跡の赤みや色素沈着の改善、肌質の向上が期待できます。

ただし、ケミカルピーリングはクレーター状のニキビ跡に対しては効果が限定的です。これは、ケミカルピーリングが主に表皮に作用する治療であり、真皮のコラーゲン再生を促す効果が限られているためです。クレーター状のニキビ跡には、フラクショナルレーザーやダーマペンなど、真皮に作用する治療法を組み合わせることが推奨されます。

外用薬による治療

ニキビ跡の治療には、医療機関で処方される外用薬も効果的です。特に色素沈着タイプのニキビ跡には、ハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬が広く使用されています。

ハイドロキノン

ハイドロキノンは、メラニン色素を生成するチロシナーゼ酵素の活性を阻害し、新たなメラニンの生成を抑制する美白剤です。その美白効果は、一般的な美白成分であるアルブチンやビタミンCの60〜100倍とも言われています。ニキビ跡による色素沈着、肝斑、日光性黒子、そばかすなどの治療に使用されます。

医療機関で処方されるハイドロキノンの濃度は4%程度が一般的で、市販の化粧品に含まれるものより高濃度です。使用にあたっては、塗布部位のみに効果が限定されるため、気になる部分に薄く塗布することが推奨されます。また、紫外線により効果が減弱するため、日中の紫外線対策が必須です。

トレチノイン

トレチノインは、ビタミンA誘導体の一種で、皮膚のターンオーバーを促進する効果があります。通常4週間かかるターンオーバーを約2週間に早めることで、メラニン色素を含む古い角質を排出させ、シミやニキビ跡の色素沈着を改善します。また、皮脂分泌を抑制する効果もあるため、ニキビの予防にも有効です。

トレチノインを使用すると、治療開始後数日から2週間程度で赤みや皮剥け、ピリピリとした刺激を感じることがあります。これは薬が効いている証拠であり、通常は使用を続けることで徐々に落ち着いていきます。ただし、妊娠中や妊娠の可能性がある方は使用禁忌となっています。

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法

トレチノインとハイドロキノンを併用することで、より高い美白効果が期待できます。トレチノインがメラニン色素を含む古い角質を排出させる一方で、ハイドロキノンが新たなメラニンの生成を抑制するため、相乗効果が得られます。

一般的な使用方法は、洗顔後にトレチノインをニキビ跡や色素沈着の部分にピンポイントで塗布し、その上からハイドロキノンを広めに塗布するというものです。1クールの治療期間は2〜3ヶ月程度で、その後1〜2ヶ月の休薬期間を設けて、必要に応じて繰り返します。

保険診療と自由診療の違い

ニキビ跡の治療には、保険が適用される治療と、自由診療(自費診療)となる治療があります。どちらを選択するかは、症状の種類や重症度、治療の目的によって異なります。

保険適用となる治療

基本的に、「ニキビ」の治療は保険診療の対象となりますが、「ニキビ跡」の治療は美容目的とみなされることが多く、保険適用外となることがほとんどです。ただし、ケロイドや肥厚性瘢痕の治療については、一部保険が適用される場合があります。

保険適用となる治療としては、ケロイドに対するステロイドの局所注射や、トラニラスト(リザベン)の内服、ステロイドの塗布・貼付などがあります。これらの治療は、皮膚科で保険診療として受けることができます。

自由診療(自費診療)となる治療

フラクショナルレーザー、ダーマペン、ケミカルピーリング、イオン導入、ハイドロキノンやトレチノインの外用薬など、多くのニキビ跡治療は自由診療となります。費用はクリニックによって異なりますが、一般的に1回あたり数千円から数万円程度かかることが多く、複数回の施術が必要な場合はトータルで高額になることがあります。

自由診療を選択する際は、事前にカウンセリングを受けて、治療内容や期待できる効果、必要な回数、費用などについて十分に説明を受けることが重要です。また、医師の技術や経験も治療効果に大きく影響するため、信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。

治療法の選び方とポイント

ニキビ跡の治療法は多岐にわたるため、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。以下のポイントを参考に、最適な治療法を見つけてください。

ニキビ跡の種類に合わせた治療法を選ぶ

まずは、自分のニキビ跡がどのタイプなのかを正確に把握することが大切です。赤みのあるニキビ跡にはVビームレーザーやビタミンCのイオン導入、色素沈着にはハイドロキノン・トレチノイン外用やケミカルピーリング、クレーター状のニキビ跡にはフラクショナルレーザーやダーマペンなど、タイプによって最適な治療法が異なります。

また、複数のタイプが混在している場合も多いため、専門医による診断を受けて、総合的な治療計画を立てることが推奨されます。

ダウンタイムを考慮する

治療法によってダウンタイム(施術後の回復期間)が異なります。フラクショナルレーザーは効果が高い反面、数日から1週間程度のダウンタイムが必要になることがあります。一方、ダーマペンやケミカルピーリングは比較的ダウンタイムが短く、翌日からメイクが可能な場合も多いです。

仕事や生活スタイルに合わせて、無理なく継続できる治療法を選ぶことが大切です。

費用と回数を確認する

ニキビ跡の治療は、多くの場合1回では完結せず、複数回の施術が必要です。事前に必要な回数の目安と、トータルの費用を確認しておきましょう。また、クリニックによっては複数回のセットプランを用意しているところもあるため、比較検討することをおすすめします。

専門医のいるクリニックを選ぶ

ニキビ跡の治療効果は、使用する機器や薬剤だけでなく、医師の技術や経験にも大きく左右されます。皮膚科専門医や美容皮膚科の専門医がいるクリニックを選び、丁寧なカウンセリングを受けることが大切です。また、症例写真やレビューなども参考にすると良いでしょう。

ニキビ跡を予防するための日常ケア

ニキビ跡を作らないためには、ニキビができた時点で適切なケアを行い、炎症を早く抑えることが最も重要です。また、日常的なスキンケアや生活習慣の改善も、ニキビ跡の予防に効果的です。

ニキビを触らない・潰さない

ニキビを手で触ったり、無理に潰したりすることは、炎症を悪化させ、ニキビ跡が残るリスクを高めます。特に膿を持った黄色ニキビを自己流で潰すと、真皮にまでダメージが及び、クレーター状のニキビ跡になる可能性があります。ニキビができたら、なるべく触らずに早めに皮膚科を受診しましょう。

紫外線対策を徹底する

紫外線は、メラニン色素の生成を促進し、ニキビ跡の色素沈着を悪化させる主な原因となります。また、ニキビ自体の炎症を悪化させ、新たなニキビ跡を作るリスクも高めます。季節を問わず日焼け止めを使用し、夏場は日傘や帽子も活用して紫外線対策を徹底しましょう。

保湿ケアを行う

肌の乾燥はバリア機能を低下させ、外部刺激に対する抵抗力を弱めます。ニキビ炎症によってダメージを受けている肌には、適切な保湿ケアが欠かせません。化粧水で水分を与えた後、乳液やクリームで油分を適度に補うことで、肌のバリア機能を維持しましょう。

バランスの良い食事と十分な睡眠

肌の健康を保つためには、内側からのケアも重要です。ビタミンB群は皮膚の新陳代謝を促し、ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用によって肌のダメージを防ぎます。野菜や果物、たんぱく質をバランスよく摂取し、十分な睡眠をとることで、肌のターンオーバーを正常に保ちましょう。

ノンコメドジェニック化粧品を選ぶ

ニキビができやすい肌には、「ノンコメドジェニックテスト済み」と記載された化粧品の使用がおすすめです。ノンコメドジェニック化粧品は、毛穴を詰まらせにくい成分で作られているため、ニキビの発生を予防する効果が期待できます。

よくある質問

ニキビ跡は自然に治りますか?

ニキビ跡が自然に治るかどうかは、その種類と程度によります。赤みや軽度の色素沈着であれば、肌のターンオーバーによって数ヶ月から1年程度で自然に改善することがあります。ただし、クレーター状のニキビ跡や深い色素沈着、ケロイドなどは自然治癒が難しく、医療機関での治療が必要になることがほとんどです。また、赤みや色素沈着も半年以上改善が見られない場合は、専門医への相談をおすすめします。

ニキビ跡の治療は何回くらいかかりますか?

治療の回数は、ニキビ跡の種類や重症度、選択する治療法によって大きく異なります。ケミカルピーリングは4〜6回程度、ダーマペンやフラクショナルレーザーは5〜10回程度が目安とされています。クレーター状の深いニキビ跡や広範囲のニキビ跡の場合は、さらに多くの回数が必要になることもあります。効果を実感するまでに最短でも3ヶ月程度はかかることが多いため、根気よく継続することが大切です。

ニキビ跡の治療に痛みはありますか?

治療法によって痛みの程度は異なります。ケミカルピーリングでは、ピリピリとした刺激や火照るような感覚がある程度で、耐えられないほどの痛みではないことがほとんどです。ダーマペンやフラクショナルレーザーは、施術前に麻酔クリームを塗布することで痛みを軽減できます。麻酔が効いていれば、チクチクとした刺激程度に感じる方が多いです。痛みに敏感な方は、事前にカウンセリングで相談することをおすすめします。

ニキビ跡の治療後、メイクはできますか?

治療法やその程度によって異なります。ケミカルピーリング(グリコール酸や乳酸を使用した場合)は施術当日からメイクが可能なことが多いです。サリチル酸マクロゴールピーリングの場合は、施術後12時間程度はメイクを控えることが推奨されます。ダーマペンやフラクショナルレーザーは、施術後数時間〜翌日からメイクが可能になることが多いですが、赤みや腫れが落ち着くまでは薄めのメイクにとどめることをおすすめします。

時間が経ったニキビ跡でも治療できますか?

はい、時間が経ったニキビ跡でも治療は可能です。ニキビ跡の深さや個人の回復力によって効果には差がありますが、数年〜数十年前のニキビ跡でも改善した例は多数報告されています。ただし、古いニキビ跡ほど改善に時間がかかる傾向があり、完全に元の状態に戻すことは難しい場合もあります。諦める前に、まずは専門医に相談して、ご自身のニキビ跡に適した治療法を探ってみることをおすすめします。

まとめ

ニキビ跡は、赤み、色素沈着、クレーター、しこりなど複数の種類があり、それぞれに適した治療法が存在します。赤みのあるニキビ跡にはVビームレーザーやビタミンCイオン導入、色素沈着にはハイドロキノン・トレチノイン外用やケミカルピーリング、クレーター状のニキビ跡にはフラクショナルレーザーやダーマペンなど、タイプに合わせた治療を選択することが重要です。

ニキビ跡の治療は一般的に時間がかかることが多く、1回の施術で劇的な効果を期待することは難しいですが、適切な治療を継続することで着実に改善していくことができます。また、ニキビ跡を作らないためには、ニキビができた時点で早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが最も重要です。

当院では、患者さま一人ひとりの肌状態やニキビ跡のタイプに合わせた最適な治療法をご提案しております。ニキビ跡でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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