「ほくろ除去に興味があるけれど、失敗したらどうしよう」「施術後に傷跡が残ったり、再発したりするのが心配」このような不安を抱えている方は少なくありません。ほくろ除去は医療行為である以上、一定のリスクが伴います。しかし、事前にリスクを正しく理解し、適切なクリニック選びとアフターケアを行うことで、多くの失敗は防ぐことができます。本記事では、ほくろ除去でよくある失敗例とその原因、そして失敗を防ぐための対策について、形成外科・皮膚科の観点から詳しく解説いたします。ほくろ除去を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- ほくろ除去の失敗例と対策|再発・傷跡・ケロイドを知る
- ほくろ除去の治療法と特徴
- 代表的なほくろ除去失敗パターン
- 失敗を防ぐ方法と適切なケア
- 失敗した場合の修正治療
- 信頼できるクリニック選びのポイント
- よくある質問
- まとめ
🔍ほくろ除去の失敗例と対策|再発・傷跡・ケロイドを知る
⚕️ほくろの医学的基礎知識
ほくろは医学的には「色素性母斑」または「母斑細胞母斑」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。皮膚の表皮と真皮の境界部分や真皮内に存在する母斑細胞が、メラニン色素を産生することで褐色や黒色の色調を呈します。ほくろの大きさや形状はさまざまで、平らなものから隆起したもの、毛が生えているものまで多様な外観を示します。
ほくろの多くは後天的に発生し、幼少期から出現し始めて20代から30代にピークを迎えます。その後は加齢とともに退色していく傾向があります。ほとんどのほくろは5mm以下の大きさで、直径1.5cmを超える大きな色素性母斑は「黒あざ」と呼ばれ、悪性化のリスクがやや高いとされています。
📋ほくろの分類と特徴
母斑細胞の存在する深さによって、ほくろは以下のように分類されます:
- 境界母斑:表皮と真皮の境界部分に母斑細胞が存在し、黒く平らな外観を呈する
- 複合母斑:境界部分から真皮の浅い部分にかけて母斑細胞が存在し、やや盛り上がった外観となる
- 真皮内母斑:真皮内にのみ母斑細胞が存在し、肌色や薄茶色で盛り上がった形状を示すことが多い
⚠️悪性化のリスクと早期発見
また、顔に多く見られるMiescher母斑は、母斑細胞が逆三角形(逆円錐状)に皮膚の深い部分まで存在する特徴があります。このような構造的特徴がほくろ除去の難易度や再発リスクに影響を与えるため、治療法を選択する際には専門医による適切な診断が重要となります。
💊ほくろ除去の治療法と特徴
ほくろ除去には複数の治療法があり、ほくろの大きさ、深さ、部位、患者様の希望などを考慮して最適な方法が選択されます。主な治療法について詳しく解説いたします。
🔬炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
炭酸ガスレーザーは波長10,600nmの赤外線領域のレーザーで、皮膚に含まれる水分に反応して熱エネルギーを発生させ、ほくろの組織を蒸散させて除去する方法です。周囲の正常な皮膚へのダメージが少なく、出血もほとんどありません。
適応症例:
- 小さく浅いほくろ
- 隆起したほくろ
- 縫合が困難な部位(頭部、鼻、眉毛部、瞼の縁など)にあるほくろ
✂️切除縫合法
切除縫合法は、メスを使ってほくろを周囲の皮膚ごと紡錘形に切除し、真皮縫合と皮膚縫合によって創部を閉じる外科的な方法です。ほくろを根元から確実に取り除くことができるため、再発のリスクが最も低い治療法です。
🎯くり抜き法
くり抜き法は、トレパンと呼ばれる円形のメスや18G針を使用して、ほくろを円形にくり抜く方法です。径の小さなほくろや、鼻など縫合が難しい部位に適しています。通常は皮膚を縫合せず、軟膏処置を行いながら自然治癒を待ちます。
⚡電気メス法
電気メス法は、電気メスの熱を利用してほくろを焼灼・除去する方法です。径が小さいほくろや浅いほくろに適しています。レーザー治療と同様に、周囲の皮膚へのダメージが少なく、出血も少ないというメリットがあります。ただし、深いほくろの場合は再発リスクがあり、瘢痕形成のリスクもあります。
⚠️代表的なほくろ除去失敗パターン
ほくろ除去は比較的安全な施術ですが、医療行為である以上、一定のリスクが伴います。ここでは、ほくろ除去で起こりうる代表的な失敗例とその原因について詳しく解説いたします。
🔄ほくろの再発
ほくろ除去後に最もよく見られる失敗例の一つが、ほくろの再発です。施術を受けたにもかかわらず、数か月後に同じ場所にほくろが再び出現することがあります。
再発の主な原因は以下の通りです:
- 不完全な除去:ほくろの母斑細胞が完全に除去されなかった
- 深い根の存在:特にMiescher母斑など、逆円錐状に深く根を張っているほくろ
- 浅い削り:傷跡を目立たせないために意図的に浅く削る治療方針
🤕傷跡と色素沈着
ほくろ除去後に傷跡が凹んだり、逆に盛り上がったりして目立ってしまうケースがあります。特に顔など目立つ部位では、大きな悩みとなることがあります。また、施術部位が茶色く色素沈着を起こしたり、赤みがなかなか引かなかったりするケースもあります。
📈ケロイド・肥厚性瘢痕
ほくろ除去後に、傷跡が赤く盛り上がって痒みや痛みを伴う「ケロイド」や「肥厚性瘢痕」が発生することがあります。これはほくろ除去における深刻な合併症の一つです。
🔍悪性腫瘍の見落とし
ほくろに似た外観を持つ悪性腫瘍、特に悪性黒色腫(メラノーマ)を見落としてしまうケースは、最も深刻な失敗例です。メラノーマは皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、早期発見・早期治療が極めて重要です。
🛡️失敗を防ぐ方法と適切なケア
ほくろ除去で失敗しないためには、事前の準備と適切な判断が重要です。以下のポイントを押さえることで、リスクを最小限に抑えることができます。
❌セルフケアやエステでの除去は厳禁
最も重要な注意点として、ほくろの自己処理やエステサロンでの除去は絶対に避けてください。ほくろ除去は医師法で定められた医療行為であり、医師以外がほくろを切除することは法律で禁止されています。
💧湿潤環境を保つアフターケア
ほくろ除去の成功には、施術後のアフターケアが非常に重要です。適切なケアを行うことで、傷跡を目立たせず、合併症のリスクを減らすことができます。
レーザーや電気メスで除去した後の創部は、乾燥させずに湿潤環境を保つことが重要です:
- 軟膏の塗布:指示された軟膏を適量塗布
- 専用テープ:創傷被覆材での保護
- 期間:医師の指示に従って10〜14日程度継続
- 効果:表皮細胞の再生促進、凹みの少ない仕上がり
☀️紫外線対策を徹底する
施術後の皮膚は非常にデリケートな状態にあり、紫外線を浴びると色素沈着を起こしやすくなります:
- 日焼け止めの使用:SPF30以上を推奨
- 遮光テープの貼付:施術部位の直接的な保護
- 帽子や日傘の使用:物理的な紫外線対策
- 期間:術後数か月間は特に注意
🆘失敗した場合の修正治療
ほくろ除去後に何らかの問題が生じた場合は、早めに対処することが重要です。自己判断で対処しようとしたり、放置したりすると、症状が悪化することがあります。
🏥まずは施術を受けたクリニックに相談
施術後に気になる症状が出た場合は、まず施術を受けたクリニックに相談してください:
- 対象症状:再発、傷跡の異常、色素沈着、赤み、ケロイドなど
- メリット:施術内容を把握しているため適切な対処が可能
- タイミング:症状に気づいたらできるだけ早く
🔄再発・ケロイドの治療選択肢
ほくろが再発した場合の治療選択肢:
- 追加のレーザー照射:残存した色素に対する治療
- 再切除:より確実な除去のための手術
- 治療法の変更:レーザーから切除縫合法への変更
- ルビーレーザー:色素に反応する特殊なレーザー
🩹傷跡修正の方法
傷跡修正の治療選択肢:
凹みに対して:
- コラーゲン注入
- ヒアルロン酸注入
- フラクショナルレーザー
- マイクロニードル治療
盛り上がった傷跡に対して:
- ステロイド注射
- レーザー治療
- 再切除術
- 圧迫療法
✅信頼できるクリニック選びのポイント
ほくろ除去で失敗しないためには、信頼できるクリニックを選ぶことが非常に重要です。以下のチェックポイントを参考に、クリニックを選んでください。
🏆専門医の資格を確認する
以下の専門医資格を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう:
- 形成外科専門医:傷跡を最小限に抑える手術技術に精通
- 皮膚科専門医:皮膚腫瘍の診断に関する十分な訓練
- 専門的知識:良性・悪性の鑑別診断能力
- 技術力:豊富な臨床経験に基づく治療技術
💬カウンセリングが丁寧かを確認する
施術前のカウンセリングで以下の点をチェックしましょう:
診察の質:
- ダーモスコピーによる詳細な診察
- 悪性の可能性の評価
- ほくろの深さや構造の説明
🔄アフターケアや保証制度を確認する
以下の点について事前に確認しておきましょう:
アフターケア体制:
- 術後の経過観察体制
- 緊急時の対応方法
- 追加治療の可否
🛠️複数の治療法を提供しているかを確認する
以下の治療法を複数提供しているクリニックを選ぶことをお勧めします:
- レーザー治療:炭酸ガスレーザー、ルビーレーザーなど
- 外科的治療:切除縫合法、くり抜き法
- 追加治療:傷跡修正、ケロイド治療
- 選択の自由度:ほくろの状態に合わせた最適な治療法の選択

ほくろ除去における「失敗」の定義によって異なりますが、再発率はレーザー治療で約10%程度といわれています。切除縫合法であれば再発はほとんどありません。傷跡の仕上がりについては個人差が大きく、医師の技術やアフターケアによっても変わります。失敗のリスクを最小限に抑えるためには、経験豊富な医師による施術と、適切なアフターケアが重要です。
はい、再発した場合は再度治療が可能です。レーザーによる追加照射や、場合によっては切除縫合法への変更など、状態に応じた治療法が選択されます。再発を繰り返す場合は、ほくろの根が深い可能性があるため、切除縫合法による確実な除去をお勧めすることがあります。再発した際は、施術を受けたクリニックに相談してください。
傷跡の回復には個人差がありますが、一般的に赤みは術後3〜6か月程度で徐々に落ち着いていきます。完全に目立たなくなるまでには、6か月〜1年程度かかることが多いです。切除縫合法の場合は、傷が安定するまでに半年以上かかることもあります。術後の紫外線対策や保湿などのアフターケアを徹底することで、傷跡をより目立たなくすることができます。
ケロイド体質の方でもほくろ除去を受けることは可能ですが、通常よりも慎重な対応が必要です。事前に医師にケロイド体質であることを伝え、術前からの内服治療や術後の圧迫療法など、ケロイド予防のための対策を講じた上で施術を行います。ケロイドができやすい部位(前胸部、肩、耳など)のほくろ除去は特に注意が必要で、場合によっては除去をお勧めしないこともあります。
足の裏のほくろが必ずしも悪性というわけではありませんが、日本人に多いメラノーマ(悪性黒色腫)の一種である末端黒子型は足の裏に発生しやすいため、注意が必要です。足の裏に新しくほくろができた場合や、既存のほくろが急に大きくなった、形や色が変わった、境界がぼやけてきたなどの変化がある場合は、早めに皮膚科を受診してダーモスコピー検査を受けることをお勧めします。良性と診断されれば、経過観察で問題ないことが多いです。
ほくろ除去が保険適用になるかどうかは、除去の目的や治療法によって異なります。悪性の疑いがある場合や、日常生活に支障をきたす場合(衣服で擦れて炎症を起こすなど)は、保険適用となる場合があります。この場合、切除縫合法による手術が一般的で、病理検査も保険で行えます。一方、美容目的でのほくろ除去は自由診療となり、保険適用外です。詳しくはクリニックでご相談ください。
📝まとめ
ほくろ除去は適切に行えば安全性の高い施術ですが、医療行為である以上、一定のリスクが伴います。再発、傷跡、色素沈着、ケロイド、悪性腫瘍の見落としなど、さまざまな失敗例がありますが、これらの多くは事前の準備と適切な対策によって防ぐことができます。
失敗を防ぐための重要なポイント:
- 医療機関での施術:セルフケアやエステでの除去は絶対に避ける
- 適切な治療法選択:ほくろの状態に合った方法を選ぶ
- 経験豊富な医師:専門医による技術力の高い施術
- 徹底したアフターケア:湿潤環境の保持、紫外線対策、摩擦の回避
また、術後のアフターケアを徹底し、湿潤環境の保持、紫外線対策、摩擦の回避などを心がけることで、傷跡をきれいに治すことができます。
万が一、施術後に問題が生じた場合は、早めに医師に相談することが重要です。再発、傷跡の異常、ケロイドなど、どのような症状であっても適切な治療法がありますので、一人で悩まずに専門家に相談してください。
アイシークリニック東京院では、形成外科専門医・皮膚科専門医による丁寧な診察と、患者様一人ひとりのほくろの状態に合わせた最適な治療をご提案しております。ほくろ除去をご検討の方は、まずは無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。
ほくろ除去に関連する治療として、粉瘤の大きさと手術目安や粉瘤の日帰り手術についても詳しく解説しておりますので、皮膚の腫瘍でお悩みの方はぜひご参考ください。また、粉瘤手術後のケア方法では、術後の適切なケアについて詳しく説明しており、ほくろ除去後のケアにも共通する重要なポイントが含まれています。
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン
- 日本形成外科学会 – ケロイド・肥厚性瘢痕治療ガイドライン
- 東邦大学「皮膚がんの早期発見で覚えておきたいこと〜ほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の5つの見分け方〜」
- 日本医科大学形成外科学教室「ケロイド・傷あと外来」
- 独立行政法人労働者健康安全機構 関東労災病院「母斑細胞母斑(ほくろ)」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
ほくろ除去において最も重要なのは、事前の正確な診断と適切な治療法の選択です。患者様の期待と現実のギャップを避けるため、施術前に起こりうるリスクについて十分にご説明し、納得していただいた上で治療を行うことを心がけています。