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「ほくろ除去に興味があるけれど、失敗したらどうしよう」「施術後に傷跡が残ったり、再発したりするのが心配」このような不安を抱えている方は少なくありません。ほくろ除去は医療行為である以上、一定のリスクが伴います。しかし、事前にリスクを正しく理解し、適切なクリニック選びとアフターケアを行うことで、多くの失敗は防ぐことができます。本記事では、ほくろ除去でよくある失敗例とその原因、そして失敗を防ぐための対策について、形成外科・皮膚科の観点から詳しく解説いたします。ほくろ除去を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。


目次

  1. ほくろとは?医学的な基礎知識
  2. ほくろ除去の主な治療法
  3. ほくろ除去でよくある失敗例と原因
  4. 失敗例1:ほくろの再発
  5. 失敗例2:傷跡が目立つ(凹み・盛り上がり)
  6. 失敗例3:色素沈着・赤みが残る
  7. 失敗例4:ケロイド・肥厚性瘢痕の発生
  8. 失敗例5:悪性腫瘍の見落とし
  9. ほくろ除去の失敗を防ぐためのポイント
  10. 施術後のアフターケアの重要性
  11. 万が一失敗した場合の対処法
  12. クリニック選びのチェックポイント
  13. よくある質問
  14. まとめ

ほくろとは?医学的な基礎知識

ほくろは医学的には「色素性母斑」または「母斑細胞母斑」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。皮膚の表皮と真皮の境界部分や真皮内に存在する母斑細胞が、メラニン色素を産生することで褐色や黒色の色調を呈します。ほくろの大きさや形状はさまざまで、平らなものから隆起したもの、毛が生えているものまで多様な外観を示します。

ほくろの多くは後天的に発生し、幼少期から出現し始めて20代から30代にピークを迎えます。その後は加齢とともに退色していく傾向があります。ほとんどのほくろは5mm以下の大きさで、直径1.5cmを超える大きな色素性母斑は「黒あざ」と呼ばれ、悪性化のリスクがやや高いとされています。

母斑細胞の存在する深さによって、ほくろは境界母斑、複合母斑、真皮内母斑に分類されます。境界母斑は表皮と真皮の境界部分に母斑細胞が存在し、黒く平らな外観を呈します。複合母斑は境界部分から真皮の浅い部分にかけて母斑細胞が存在し、やや盛り上がった外観となります。真皮内母斑は真皮内にのみ母斑細胞が存在し、肌色や薄茶色で盛り上がった形状を示すことが多いです。

また、顔に多く見られるMiescher母斑は、母斑細胞が逆三角形(逆円錐状)に皮膚の深い部分まで存在する特徴があります。このような構造的特徴がほくろ除去の難易度や再発リスクに影響を与えるため、治療法を選択する際には専門医による適切な診断が重要となります。

ほくろ除去の主な治療法

ほくろ除去には複数の治療法があり、ほくろの大きさ、深さ、部位、患者様の希望などを考慮して最適な方法が選択されます。主な治療法について詳しく解説いたします。

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

炭酸ガスレーザーは波長10,600nmの赤外線領域のレーザーで、皮膚に含まれる水分に反応して熱エネルギーを発生させ、ほくろの組織を蒸散させて除去する方法です。周囲の正常な皮膚へのダメージが少なく、出血もほとんどありません。小さく浅いほくろや、隆起したほくろ、縫合が困難な部位(頭部、鼻、眉毛部、瞼の縁など)にあるほくろに適しています。

炭酸ガスレーザーのメリットは、施術時間が短く、傷跡が比較的目立ちにくい点です。一方で、ほくろの根が深い場合は一度の施術で完全に除去できないことがあり、再発のリスクがあります。また、レーザーで組織を蒸散させるため、病理検査で良性・悪性の確認ができないというデメリットもあります。

切除縫合法

切除縫合法は、メスを使ってほくろを周囲の皮膚ごと紡錘形に切除し、真皮縫合と皮膚縫合によって創部を閉じる外科的な方法です。ほくろを根元から確実に取り除くことができるため、再発のリスクが最も低い治療法です。大きなほくろ、皮膚の深い部分まで根を張っているほくろ、悪性の可能性がある場合に適しています。

切除縫合法のメリットは、ほくろを完全に除去でき、切除した組織を病理検査に提出して良性・悪性の確定診断が可能な点です。保険適用となる場合もあります。デメリットとしては、傷跡がほくろの直径の2〜3倍の長さの線状の瘢痕として残ること、抜糸のための通院が必要なことが挙げられます。

くり抜き法

くり抜き法は、トレパンと呼ばれる円形のメスや18G針を使用して、ほくろを円形にくり抜く方法です。径の小さなほくろや、鼻など縫合が難しい部位に適しています。通常は皮膚を縫合せず、軟膏処置を行いながら自然治癒を待ちます。創が塞がるまでには1〜2週間程度かかります。

くり抜き法のメリットは、傷跡が比較的小さく、病理検査も可能な点です。デメリットとしては、大きなほくろには適さないこと、クレーターができやすい体質の方では凹凸が残るリスクがあること、二次治癒で傷を治すため肥厚性瘢痕のリスクがあることが挙げられます。

電気メス法

電気メス法は、電気メスの熱を利用してほくろを焼灼・除去する方法です。径が小さいほくろや浅いほくろに適しています。レーザー治療と同様に、周囲の皮膚へのダメージが少なく、出血も少ないというメリットがあります。ただし、深いほくろの場合は再発リスクがあり、瘢痕形成のリスクもあります。

ほくろ除去でよくある失敗例と原因

ほくろ除去は比較的安全な施術ですが、医療行為である以上、一定のリスクが伴います。ここでは、ほくろ除去で起こりうる代表的な失敗例とその原因について詳しく解説いたします。

失敗例1:ほくろの再発

ほくろ除去後に最もよく見られる失敗例の一つが、ほくろの再発です。施術を受けたにもかかわらず、数か月後に同じ場所にほくろが再び出現することがあります。

再発の原因

再発の主な原因は、ほくろの母斑細胞が完全に除去されなかったことにあります。特に炭酸ガスレーザーによる治療では、視覚的に色素を確認しながら照射を行うため、皮膚の深部に残った母斑細胞を完全に除去することが難しい場合があります。顔のほくろに多いMiescher母斑は、逆円錐状に深く根を張っているため、表面の色素を除去しても深部に母斑細胞が残存していると再発につながります。

また、傷跡を目立たせないために意図的に浅く削る治療方針を取る場合もあります。深く削れば削るほど再発リスクは低くなりますが、傷跡が残りやすくなるというジレンマがあるため、経験豊富な医師による適切な深さの判断が重要となります。

再発を防ぐためのポイント

再発を防ぐためには、ほくろの根までしっかり除去できる施術法を選ぶことが重要です。大きなほくろや深いほくろの場合は、レーザーよりも切除縫合法の方が確実に除去できます。また、レーザー治療の場合でも、2回目以降の追加照射が可能なクリニックを選ぶことで、再発時にも対応してもらえます。再発した場合は、ルビーレーザーなど色素に反応するレーザーで追加治療を行うこともあります。

失敗例2:傷跡が目立つ(凹み・盛り上がり)

ほくろ除去後に傷跡が凹んだり、逆に盛り上がったりして目立ってしまうケースがあります。特に顔など目立つ部位では、大きな悩みとなることがあります。

凹みが生じる原因

レーザーや電気メスでほくろを除去した後に凹みが生じる原因としては、ほくろを深く削りすぎたこと、皮膚の再生が追いつかなかったこと、アフターケアが不適切だったことなどが挙げられます。炭酸ガスレーザーで削った創部は、乾燥させるとかさぶたができてその下に表皮が形成され、凹みが残りやすくなります。そのため、軟膏を塗布して湿潤環境を保つことが重要です。

盛り上がりが生じる原因

傷跡が盛り上がる原因としては、残存した母斑細胞の再増殖、傷の修復過程でのコラーゲンの過剰産生、体質的な要因などがあります。特にケロイド体質の方や、胸、肩、背中など皮膚の緊張が強い部位では、傷跡が盛り上がりやすい傾向があります。

傷跡を目立たせないためのポイント

傷跡を目立たせないためには、ほくろの状態に合った適切な治療法を選択すること、経験豊富な医師による施術を受けること、術後のアフターケアを徹底することが重要です。顔のほくろは血流が良いため、炭酸ガスレーザーでも比較的きれいに治りやすいとされています。一方、体幹や四肢のほくろは、レーザーよりも切除縫合法の方が傷跡がきれいになりやすいとされています。

失敗例3:色素沈着・赤みが残る

ほくろ除去後に、施術部位が茶色く色素沈着を起こしたり、赤みがなかなか引かなかったりするケースがあります。これらは必ずしも失敗とは言えませんが、患者様にとっては気になる症状です。

色素沈着の原因

色素沈着は、皮膚の炎症反応によってメラニンが過剰に産生されることで起こります。炎症後色素沈着と呼ばれるこの現象は、施術後に紫外線を浴びたり、傷口を触ったり擦ったりすることで悪化します。特に施術後数か月間は紫外線対策を徹底することが重要です。

赤みが長引く原因

ほくろ除去後の赤みは、傷の修復過程で新しい血管が形成されることによって生じます。通常、赤みは術後3〜6か月程度で徐々に落ち着いていきますが、個人差があり、1年以上続く場合もあります。切除法で除去した場合は治癒に時間がかかるため、長期的に経過を見ていくことが大切です。

色素沈着・赤みへの対処法

色素沈着や赤みを軽減するためには、まず紫外線対策を徹底することが重要です。日焼け止めの使用や、施術部位を紫外線から保護するテープの貼付が推奨されます。また、美白外用薬(ハイドロキノン)やビタミンC、トラネキサム酸などの内服・外用も効果的です。赤みに対しては、時間の経過とともに改善することが多いですが、気になる場合は医師に相談してください。

失敗例4:ケロイド・肥厚性瘢痕の発生

ほくろ除去後に、傷跡が赤く盛り上がって痒みや痛みを伴う「ケロイド」や「肥厚性瘢痕」が発生することがあります。これはほくろ除去における深刻な合併症の一つです。

ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

肥厚性瘢痕は、傷を修復する過程で線維芽細胞からコラーゲン(膠原線維)が過剰に産生されることで生じる、赤く隆起した瘢痕です。傷の範囲内に限局しており、時間の経過とともに自然に軽快することが多いです。一方、ケロイドは傷の範囲を超えて周囲に広がっていき、自然に退縮することはほとんどありません。ケロイドは遺伝的要因や体質が大きく関与しており、アレルギー体質の方に多いとされています。

ケロイドが発生しやすい部位と体質

ケロイドは特定の部位に好発する傾向があります。前胸部、肩、二の腕、背中上部、耳、顎のエラ付近などは、ケロイドができやすい部位として知られています。逆に、頭頂部や上まぶた、すねなどにはほぼ発生しないとされています。また、ケロイド体質の方は、過去に傷跡が盛り上がった経験がある場合が多いため、事前に医師に伝えることが重要です。

ケロイドの予防と治療

ケロイドの予防には、傷口の保湿、紫外線対策、清潔保持が重要です。テーピングやシリコンジェルシートによる圧迫固定も予防効果が期待できます。ケロイド体質の方は、術前から抗アレルギー剤(トラニラスト)の内服を行うこともあります。

ケロイドや肥厚性瘢痕が発生した場合の治療法としては、ステロイドの外用・注射、抗アレルギー剤の内服、シリコンジェルシートによる圧迫療法、レーザー治療などがあります。重症例では手術による切除と術後の放射線治療(電子線照射)を組み合わせることもあります。ケロイドは治療に対する反応が乏しく、手術を行っても再発しやすいため、専門医による長期的な治療が必要です。

失敗例5:悪性腫瘍の見落とし

ほくろに似た外観を持つ悪性腫瘍、特に悪性黒色腫(メラノーマ)を見落としてしまうケースは、最も深刻な失敗例です。メラノーマは皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、早期発見・早期治療が極めて重要です。

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

悪性黒色腫は、メラニン色素を産生するメラノサイト(色素細胞)ががん化したもので、皮膚がんの一種です。発症率は10万人に1〜2人と高くはありませんが、この30年間で増加傾向にあります。日本人に多いのは足の裏や手のひら、爪に発生する「末端黒子型」で、全体の約4〜5割を占めます。初期には黒っぽい斑点として発生することが多く、ほくろとの見分けがつきにくいですが、進行するとしこりやびらん、潰瘍を形成します。

ほくろとメラノーマの見分け方(ABCDEルール)

メラノーマを早期に発見するための目安として「ABCDEルール」があります。ただし、これはあくまで参考であり、最終的な診断は専門医による診察が必要です。

A(Asymmetry:非対称性):ほくろは通常、左右対称な円形や楕円形ですが、メラノーマはいびつで左右非対称な形をしていることが多いです。

B(Border:境界不整):ほくろは周囲との境界がはっきりしていますが、メラノーマは境界がギザギザしていたり、ぼんやりしていたりすることがあります。

C(Color:色調不均一):ほくろは色が均一ですが、メラノーマは濃淡があったり、複数の色が混在したりすることがあります。

D(Diameter:直径):ほくろは通常6mm以下ですが、メラノーマは6mm以上の大きさになることが多いです。

E(Evolving:変化):メラノーマは大きさ、形、色などが短期間で変化することがあります。

悪性腫瘍を見落とさないために

悪性腫瘍を見落とさないためには、ほくろ除去の前に必ず専門医による診察を受けることが重要です。皮膚科や形成外科では、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を使って、肉眼では見えないほくろの微細構造を観察し、良性・悪性の鑑別を行います。悪性が疑われる場合は、レーザーではなく切除縫合法を選択し、切除した組織を病理検査に提出して確定診断を行います。

以下のような特徴がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。急に大きくなった、形がいびつになった、色が変わった、出血した、潰瘍ができたなどの変化が見られた場合は要注意です。また、足の裏や爪に新しくほくろができた場合も、一度専門医に診てもらうことをお勧めします。

ほくろ除去の失敗を防ぐためのポイント

ほくろ除去で失敗しないためには、事前の準備と適切な判断が重要です。以下のポイントを押さえることで、リスクを最小限に抑えることができます。

セルフケアやエステでの除去は厳禁

最も重要な注意点として、ほくろの自己処理やエステサロンでの除去は絶対に避けてください。ほくろ除去は医師法で定められた医療行為であり、医師以外がほくろを切除することは法律で禁止されています。市販のほくろ除去クリームやお灸、カミソリなどを使った自己処理は、火傷や化膿、大きな傷跡が残るリスクがあり、非常に危険です。

また、ほくろに見えても実際には悪性腫瘍である可能性があるため、医師による正確な診断が不可欠です。自己処理によって悪性腫瘍の発見が遅れたり、がん細胞を刺激して転移を促進させたりする危険性もあります。

ほくろの状態に合った治療法を選ぶ

ほくろには大きさ、深さ、部位、形状などさまざまな特徴があり、それぞれに適した治療法があります。小さく浅いほくろであればレーザー治療で十分な場合もありますが、大きなほくろや深いほくろ、悪性の可能性があるほくろは切除縫合法が適しています。また、顔と体幹では傷の治り方が異なるため、部位によっても最適な治療法が変わります。

医師とのカウンセリングで、自分のほくろの状態を正確に把握し、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で、最適な方法を選択することが大切です。

経験豊富な医師を選ぶ

ほくろ除去の仕上がりは、術者の技術や経験によって大きく左右されます。レーザー治療では、傷跡が残らない深さを狙いながら、ほくろの根までしっかり除去できるようなパワー調節が必要であり、医師の手腕が問われます。切除縫合法では、傷跡が最小限になるような切開ラインの設計や、丁寧な縫合技術が重要です。

症例数が多く、ほくろ除去の経験が豊富な医師を選ぶことで、失敗のリスクを減らすことができます。形成外科専門医や皮膚科専門医の資格を持つ医師であれば、傷跡を最小限に抑えながら安全に除去する技術を持っています。

事前にリスクを理解する

どのような治療法にも一定のリスクがあることを事前に理解しておくことが重要です。再発、傷跡、色素沈着、赤み、ケロイドなど、起こりうる合併症について医師から十分な説明を受け、納得した上で施術を受けましょう。特にケロイド体質の方や、過去に傷跡の治りが悪かった経験がある方は、事前に医師に伝えて適切な予防措置を講じてもらうことが大切です。

施術後のアフターケアの重要性

ほくろ除去の成功には、施術後のアフターケアが非常に重要です。適切なケアを行うことで、傷跡を目立たせず、合併症のリスクを減らすことができます。

湿潤環境を保つ

レーザーや電気メスで除去した後の創部は、乾燥させずに湿潤環境を保つことが重要です。軟膏を塗布し、専用のテープや創傷被覆材で保護することで、表皮細胞の再生が促進され、凹みの少ないきれいな傷跡になります。医師の指示に従って、10〜14日程度は湿潤環境を維持してください。

紫外線対策を徹底する

施術後の皮膚は非常にデリケートな状態にあり、紫外線を浴びると色素沈着を起こしやすくなります。術後数か月間は、日焼け止めの使用や遮光テープの貼付、帽子や日傘の使用など、紫外線対策を徹底してください。特に赤みが残っている間は、紫外線の影響を受けやすいため注意が必要です。

かさぶたを無理に剥がさない

施術後にできたかさぶたは、皮膚の再生を助ける重要な役割を果たしています。かさぶたを無理に剥がすと、傷が深くなり、色素沈着や凹みが残るリスクが高まります。かさぶたは自然に剥がれるまで触らないようにしましょう。

摩擦や刺激を避ける

施術部位を擦ったり、強く触ったりすることは避けてください。摩擦や刺激は炎症を悪化させ、ケロイド形成のリスクを高めます。洗顔時も優しく洗い、清潔な状態を保つよう心がけましょう。

定期的な経過観察

施術後は医師の指示に従って定期的に経過観察を受けることが大切です。傷の治り具合を確認し、問題があれば早期に対処することができます。特に赤みやかゆみが強い場合、盛り上がりが見られる場合は、早めに医師に相談してください。

万が一失敗した場合の対処法

ほくろ除去後に何らかの問題が生じた場合は、早めに対処することが重要です。自己判断で対処しようとしたり、放置したりすると、症状が悪化することがあります。

まずは施術を受けたクリニックに相談

施術後に気になる症状が出た場合は、まず施術を受けたクリニックに相談してください。再発、傷跡の異常、色素沈着、赤み、ケロイドなど、どのような症状であっても早めに受診することが大切です。施術を行った医師であれば、施術内容を把握しているため、適切な対処が可能です。

再発した場合

ほくろが再発した場合は、追加のレーザー照射や再切除などの治療が可能です。再発を繰り返す場合は、レーザーから切除縫合法への変更を検討することもあります。再発の原因を医師と相談し、適切な治療計画を立てましょう。

傷跡が目立つ場合

傷跡が凹んだり盛り上がったりして目立つ場合は、傷跡修正の治療が可能です。凹みに対してはコラーゲン注入やヒアルロン酸注入、フラクショナルレーザーなどが有効です。盛り上がった傷跡に対しては、ステロイド注射やレーザー治療、場合によっては再切除術が行われます。傷跡修正は形成外科の専門分野ですので、対応していないクリニックの場合は形成外科を紹介してもらいましょう。

ケロイドが発生した場合

ケロイドは自然に治る可能性がほとんどないため、早めに医療機関での治療が必要です。放置すると大きくなったり、硬くなったりする場合があります。ステロイド注射、圧迫療法、レーザー治療などを組み合わせた長期的な治療が必要となります。ケロイドの治療には専門的な知識と経験が必要なため、ケロイド外来のある専門施設への受診も検討してください。

クリニック選びのチェックポイント

ほくろ除去で失敗しないためには、信頼できるクリニックを選ぶことが非常に重要です。以下のチェックポイントを参考に、クリニックを選んでください。

専門医の資格を確認する

形成外科専門医や皮膚科専門医の資格を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。これらの専門医は、皮膚腫瘍の診断や傷跡を最小限に抑える手術技術について十分な訓練を受けています。

症例数と経験を確認する

ほくろ除去の症例数が多く、経験豊富な医師を選ぶことが重要です。クリニックのホームページで症例写真を公開している場合は、仕上がりの参考になります。カウンセリング時に医師の経験について質問してみるのも良いでしょう。

カウンセリングが丁寧かを確認する

施術前のカウンセリングで、ほくろの状態を詳しく診察し、適切な治療法を提案してくれるかを確認しましょう。ダーモスコピーによる診察を行い、悪性の可能性を評価してくれるクリニックは信頼性が高いといえます。また、治療のメリット・デメリット、リスク、術後のケアについて十分な説明があるかも重要なポイントです。

アフターケアや保証制度を確認する

術後の経過観察やアフターケアが充実しているかを確認しましょう。再発した場合の追加治療や、傷跡修正の対応について事前に確認しておくと安心です。保証制度がある場合は、その内容も確認しておきましょう。

複数の治療法を提供しているかを確認する

レーザー治療、切除縫合法、くり抜き法など、複数の治療法を提供しているクリニックであれば、ほくろの状態に合わせて最適な方法を選択してもらえます。一つの治療法しか行っていないクリニックでは、必ずしも自分のほくろに適した治療を受けられない可能性があります。

ほくろ除去で失敗する確率はどのくらいですか?

ほくろ除去における「失敗」の定義によって異なりますが、再発率はレーザー治療で約10%程度といわれています。切除縫合法であれば再発はほとんどありません。傷跡の仕上がりについては個人差が大きく、医師の技術やアフターケアによっても変わります。失敗のリスクを最小限に抑えるためには、経験豊富な医師による施術と、適切なアフターケアが重要です。

ほくろ除去後に再発した場合、再度治療は可能ですか?

はい、再発した場合は再度治療が可能です。レーザーによる追加照射や、場合によっては切除縫合法への変更など、状態に応じた治療法が選択されます。再発を繰り返す場合は、ほくろの根が深い可能性があるため、切除縫合法による確実な除去をお勧めすることがあります。再発した際は、施術を受けたクリニックに相談してください。

ほくろ除去後の傷跡はどのくらいで目立たなくなりますか?

傷跡の回復には個人差がありますが、一般的に赤みは術後3〜6か月程度で徐々に落ち着いていきます。完全に目立たなくなるまでには、6か月〜1年程度かかることが多いです。切除縫合法の場合は、傷が安定するまでに半年以上かかることもあります。術後の紫外線対策や保湿などのアフターケアを徹底することで、傷跡をより目立たなくすることができます。

ケロイド体質でもほくろ除去は受けられますか?

ケロイド体質の方でもほくろ除去を受けることは可能ですが、通常よりも慎重な対応が必要です。事前に医師にケロイド体質であることを伝え、術前からの内服治療や術後の圧迫療法など、ケロイド予防のための対策を講じた上で施術を行います。ケロイドができやすい部位(前胸部、肩、耳など)のほくろ除去は特に注意が必要で、場合によっては除去をお勧めしないこともあります。

足の裏のほくろは除去した方がいいですか?

足の裏のほくろが必ずしも悪性というわけではありませんが、日本人に多いメラノーマ(悪性黒色腫)の一種である末端黒子型は足の裏に発生しやすいため、注意が必要です。足の裏に新しくほくろができた場合や、既存のほくろが急に大きくなった、形や色が変わった、境界がぼやけてきたなどの変化がある場合は、早めに皮膚科を受診してダーモスコピー検査を受けることをお勧めします。良性と診断されれば、経過観察で問題ないことが多いです。

ほくろ除去は保険適用になりますか?

ほくろ除去が保険適用になるかどうかは、除去の目的や治療法によって異なります。悪性の疑いがある場合や、日常生活に支障をきたす場合(衣服で擦れて炎症を起こすなど)は、保険適用となる場合があります。この場合、切除縫合法による手術が一般的で、病理検査も保険で行えます。一方、美容目的でのほくろ除去は自由診療となり、保険適用外です。詳しくはクリニックでご相談ください。

まとめ

ほくろ除去は適切に行えば安全性の高い施術ですが、医療行為である以上、一定のリスクが伴います。再発、傷跡、色素沈着、ケロイド、悪性腫瘍の見落としなど、さまざまな失敗例がありますが、これらの多くは事前の準備と適切な対策によって防ぐことができます。

失敗を防ぐためには、まずセルフケアやエステでの除去を避け、必ず医療機関を受診することが大切です。そして、ほくろの状態に合った治療法を選び、経験豊富な医師による施術を受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。また、術後のアフターケアを徹底し、湿潤環境の保持、紫外線対策、摩擦の回避などを心がけることで、傷跡をきれいに治すことができます。

万が一、施術後に問題が生じた場合は、早めに医師に相談することが重要です。再発、傷跡の異常、ケロイドなど、どのような症状であっても適切な治療法がありますので、一人で悩まずに専門家に相談してください。

アイシークリニック東京院では、形成外科専門医・皮膚科専門医による丁寧な診察と、患者様一人ひとりのほくろの状態に合わせた最適な治療をご提案しております。ほくろ除去をご検討の方は、まずは無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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