近年、美容や健康分野で注目を集めている「グルタチオン」という成分をご存じでしょうか。美白効果を期待して「白玉点滴」という名前を耳にしたことがある方も多いかもしれません。しかし、グルタチオンの働きは美容面だけにとどまりません。肝機能のサポートや抗酸化作用、さらにはパーキンソン病への応用研究まで、幅広い分野で医学的な関心が寄せられています。
この記事では、グルタチオンとは何か、どのような効果が期待できるのか、そして安全性や摂取方法について、医学的なエビデンスをもとにわかりやすく解説いたします。グルタチオンに興味をお持ちの方、美容や健康管理に関心がある方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- グルタチオンとは何か
- グルタチオンの体内での働き
- グルタチオンの主な効果
- グルタチオンと美白効果
- グルタチオンと肝機能改善
- グルタチオンとパーキンソン病
- グルタチオンの摂取方法
- グルタチオンの安全性と副作用
- グルタチオンを増やす生活習慣
- まとめ
1. グルタチオンとは何か
グルタチオンは、私たちの体内に自然に存在する物質で、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)が結合した「トリペプチド」と呼ばれる化合物です。肝臓をはじめ、皮膚、目の水晶体、脳など、体のほぼすべての細胞に存在しており、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。
グルタチオンには「還元型」と「酸化型」の2つの形態がありますが、細胞内に存在するグルタチオンのほとんどは還元型です。一般的に「グルタチオン」と呼ばれる場合は、この還元型グルタチオン(GSH)を指すことが多いです。
日本では、グルタチオンは医薬品として認可されており、1969年から医療現場で使用されてきた長い歴史があります。厚生労働省においても、「還元型グルタチオン」は国内で医療用医薬品として使用された実績のある成分として認められています。一方、海外ではサプリメントとして広く流通しており、特にアメリカでは食品医薬品局(FDA)により「一般に安全が認められるレベル(GRAS)」として認定されています。
グルタチオンの体内濃度は20代をピークに、加齢とともに徐々に減少していきます。また、ストレス、飲酒、喫煙、紫外線、激しい運動などによっても消費されるため、年齢を重ねるほど意識的に補給することが重要になってきます。
2. グルタチオンの体内での働き
グルタチオンは体内で多彩な働きを持っていますが、特に重要な機能として以下の4つが挙げられます。
抗酸化作用
グルタチオンの最も重要な働きの一つが「抗酸化作用」です。私たちは呼吸によって酸素を取り込み、エネルギーを作り出していますが、その過程で「活性酸素」と呼ばれる反応性の高い物質が発生します。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰な産生は細胞を傷害し、がん、心血管疾患、生活習慣病など様々な疾患をもたらす要因となることが知られています。
グルタチオンは、この活性酸素を中和して無害化する「抗酸化物質」として機能します。特に、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素の補酵素として働き、過酸化水素や過酸化脂質といった有害物質を除去します。
さらに、グルタチオンには酸化されて働きが低下したビタミンCやビタミンEを「還元型」に戻し、再び抗酸化力を発揮できる状態にする作用もあります。このように、グルタチオンは他の抗酸化物質と協力して「抗酸化ネットワーク」を形成し、体全体の酸化ストレスから細胞を守っているのです。
解毒作用
グルタチオンは肝臓での解毒作用において中心的な役割を果たしています。私たちの体には、日々さまざまな有害物質が入り込みます。アルコール、薬物、食品添加物、環境汚染物質、重金属など、これらの有害物質は肝臓で処理され、体外に排出されます。
この解毒プロセスにおいて、グルタチオンは有害物質と結合(グルタチオン抱合)することで、水溶性を高め、尿や胆汁として排出しやすい形に変換します。特に、飲酒後に生成される二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドの分解をサポートすることでも知られています。
メラニン生成抑制作用
グルタチオンには、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制する作用があります。紫外線を浴びると、皮膚ではチロシナーゼという酵素が活性化し、メラニンが作られます。グルタチオンはこのチロシナーゼの働きを阻害することで、メラニンの過剰な生成を防ぎます。
また、メラニンには黒褐色の「ユーメラニン」と黄色から赤色の「フェオメラニン」の2種類があります。グルタチオンは、色の濃いユーメラニンの生成を抑え、色の薄いフェオメラニンへの変換を促進することで、肌のトーンを明るくする効果が期待されています。
免疫機能の調節
グルタチオンは免疫機能の維持にも重要な役割を果たしています。リンパ球などの免疫細胞の働きをサポートし、ウイルスや細菌から体を守る防御機能を正常に保つ助けとなります。
3. グルタチオンの主な効果
グルタチオンに期待される効果は多岐にわたります。ここでは、医学的に注目されている主な効果について詳しく解説します。
抗酸化・アンチエイジング効果
老化の主な原因の一つとして「酸化ストレス」が挙げられます。健康長寿ネットによると、活性酸素によって細胞が攻撃されると、細胞膜の脂質が酸化し、細胞の正常な機能が阻害されます。また、DNAが損傷すると細胞が死滅したり、異常な細胞に変化したりする可能性があります。
グルタチオンの強力な抗酸化作用は、このような酸化ストレスから細胞を保護し、老化の進行を遅らせる可能性があります。肌のシワやたるみ、シミなどの肌老化だけでなく、血管や内臓の老化予防にも効果が期待されています。
美白・美肌効果
グルタチオンのメラニン生成抑制作用により、シミやそばかす、くすみの予防・改善効果が期待されています。複数の臨床研究において、グルタチオンの摂取によりメラニン指数(肌の色調を数値化した指標)が有意に減少したという報告があります。
また、グルタチオンは肌のターンオーバー(新陳代謝)をサポートし、肌のキメを整える効果も期待されています。紫外線による色素沈着の軽減効果も研究されており、日焼け対策の補助的な役割としても注目されています。
肝機能改善効果
グルタチオンは肝臓に特に多く存在し、肝臓の機能を多面的にサポートします。アルコール性の肝障害や脂肪肝に対して、グルタチオンの投与により肝機能の数値(ALT、AST)が改善したという研究報告があります。
日本では、グルタチオン製剤(タチオン)が慢性肝疾患における肝機能の改善を目的として保険適用となっており、長年にわたり医療現場で使用されてきた実績があります。
疲労回復効果
グルタチオンの解毒作用により、体内に蓄積した疲労物質や老廃物の排出が促進され、疲労回復効果が期待できます。特に、飲酒後の二日酔い予防や改善に効果があるとされ、飲酒前後にグルタチオンを摂取する方も増えています。
その他の効果
上記以外にも、グルタチオンには以下のような効果が期待されています。
角膜損傷の治癒促進については、日本で医薬品として認可されている適応症の一つです。急性・慢性の皮膚炎や湿疹に対する効果も報告されています。放射線療法による副作用(白血球減少など)の軽減にも使用されています。抗がん剤による末梢神経障害の予防効果についても研究が進められています。
4. グルタチオンと美白効果
グルタチオンの美白効果は、特にアジア諸国を中心に大きな注目を集めています。「白玉点滴」「シンデレラ点滴」などの名称で知られるグルタチオン点滴は、美容目的での需要が高まっています。
美白効果のメカニズム
グルタチオンによる美白効果は、主に2つのメカニズムによって発揮されます。
第一に、「メラニンを作らせない作用」があります。グルタチオンはチロシナーゼという酵素の働きを阻害し、メラニンの合成そのものを抑制します。これにより、新たなシミの発生を予防することができます。
第二に、「メラニンを黒くしない作用」があります。グルタチオンは、色の濃いユーメラニンの生成を抑え、色の薄いフェオメラニンへの変換を促進します。これにより、既存のメラニンも徐々に薄くなり、肌全体のトーンアップが期待できます。
臨床研究の結果
タイで行われた二重盲検ランダム化プラセボ対照試験では、健康なボランティアに対してグルタチオン500mgを1日1回、4週間経口投与した結果、メラニン指数が有意に減少し、美白効果が認められました。この研究では、紫外線後の色素沈着もグルタチオン投与群で軽減されたという副次的な所見も報告されています。
フィリピンでの研究では、グルタチオントローチ錠を8週間投与した結果、メラニン指数の有意な減少が確認されています。また、還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンの両方について12週間の比較試験が行われ、いずれもプラセボよりも高い美白効果を示したと報告されています。
美白効果を得るための注意点
グルタチオンによる美白効果を得るためには、継続的な摂取が重要です。効果が現れるまでには個人差がありますが、一般的に数週間から数ヶ月の継続が必要とされています。
また、グルタチオンだけに頼るのではなく、紫外線対策(日焼け止め、帽子、日傘など)を併用することが大切です。グルタチオンはあくまで「紫外線ダメージを緩和する補助的な役割」であり、基本的な紫外線対策を怠らないことが美白の大前提となります。
過度な美白ケアには注意も必要です。メラニンには紫外線から肌を守る働きがあるため、美白を追求しすぎると肌の防御機能が低下する可能性があります。適度なバランスを心がけることが大切です。
5. グルタチオンと肝機能改善
グルタチオンは肝臓で最も多く存在する抗酸化物質の一つであり、肝機能の維持と改善に重要な役割を果たしています。
肝臓におけるグルタチオンの役割
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、ダメージを受けてもわかりやすい症状が現れにくい特徴があります。しかし、肝臓は体内の化学工場として、解毒、代謝、胆汁の生成など、生命維持に欠かせない多くの機能を担っています。
グルタチオンは肝臓において以下のような働きをしています。
解毒作用としては、アルコール、薬物、食品添加物、環境汚染物質などの有害物質を無害化し、体外への排出を促進します。抗酸化作用としては、肝臓は体内で酸化ストレスが高くなりやすい臓器の一つであり、グルタチオンの抗酸化作用によって肝細胞を保護します。脂質代謝においては、肝臓での脂質の合成や分解を正常に調節するのに役立ちます。
脂肪肝への効果
近年、肥満や生活習慣病の増加に伴い、脂肪肝の患者数が急増しています。特に、アルコールを摂取しない人でも発症する非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が問題となっており、国内では推定2000万人から3000万人が脂肪肝を有していると言われています。
グルタチオンには、アルコール性・非アルコール性を問わず、脂肪肝の改善効果があることが研究で示されています。三菱商事ライフサイエンス株式会社は、京都大学、佐賀大学、横浜市立大学との共同研究に基づき、「グルタチオンを有効成分として含有する非アルコール性脂肪肝改善又は予防組成物」に関する特許を日本、米国、オーストラリア、ロシアで取得しています。
慢性肝疾患への効果
メタアナリシス(複数の研究を統合して分析する手法)による報告では、慢性肝疾患に対するグルタチオンの点滴投与により、肝機能の指標であるALT・ASTが有意に低下したことが示されています。
日本では、グルタチオン製剤(タチオン錠、タチオン注射用など)が慢性肝疾患における肝機能の改善を目的として保険適用となっており、50年以上にわたり安全に使用されてきた実績があります。
二日酔い予防効果
グルタチオンは、アルコール代謝において重要な役割を果たしています。アルコールを摂取すると、肝臓でアセトアルデヒドという毒性物質に分解されます。このアセトアルデヒドが二日酔いの主な原因となります。
グルタチオンはアセトアルデヒドの分解をサポートし、無害な物質への変換を促進します。そのため、飲酒前後にグルタチオンを摂取することで、二日酔いの予防・軽減効果が期待できます。
6. グルタチオンとパーキンソン病
パーキンソン病に対するグルタチオン点滴療法は、近年特に注目されている研究分野の一つです。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の黒質という部位にあるドーパミン神経細胞が減少することで発症する神経変性疾患です。日本では人口10万人あたり約100人の有病率であり、65歳以上では約200人と推定されています。
主な症状として、手足の震え(振戦)、筋肉のこわばり(筋固縮)、動作の緩慢さ、姿勢保持障害などが挙げられます。現在の標準治療はL-dopaというドーパミンを補う薬物療法が中心ですが、効果は一時的であり、完治が期待できる根本的な治療法は確立されていません。
グルタチオンとパーキンソン病の関係
研究により、パーキンソン病患者の脳内(特に黒質)ではグルタチオン濃度が健常者より著しく低下していることがわかっています。グルタチオンは脳にとって最も重要な抗酸化物質の一つであり、脳を活性酸素や有害物質から守る役割を担っています。
グルタチオンの減少により活性酸素が増加し、それが黒質のドーパミン神経細胞を障害して変性させることが、パーキンソン病の原因の一つではないかと考えられています。
グルタチオン点滴療法の研究
1996年、イタリアのサッサリ大学の研究チームが、パーキンソン病患者9人にグルタチオン600mgを1日2回、30日間点滴投与したところ、全例で効果が認められ、運動機能が42%改善したと報告しました。この効果は3ヶ月持続したとされています。
米国では、Dr. David Perlmutterがこの治療法を積極的に行い、パーキンソン病に対する効果は80から90%と報告しています。グルタチオンがフリーラジカルを除去し、ドーパミン受容体の感受性を高めることで効果を発揮すると考えられています。
現在、南フロリダ大学においてさらなる臨床研究が進められています。日本でも補完代替医療の一つとして、数百を超える医療機関でグルタチオン点滴療法が行われています。
治療の実際
パーキンソン病に対するグルタチオン点滴療法は、通常800mgから開始し、徐々に投与量を増やして1400から2000mg程度を維持量とします。頻度は週に2から3回、約3ヶ月間継続し、効果が認められれば維持プログラムとして週1から2回のペースで継続します。
効果の現れ方には個人差がありますが、早い人では初回や2回目の点滴直後から効果を実感する場合もあります。手の震えが軽減して字が書けるようになったり、車椅子で来院した患者が歩いて帰宅できるようになったりといった報告もあります。
ただし、この治療法はパーキンソン病の標準治療としては認められておらず、日本では自由診療として行われています。現在服用中のパーキンソン病治療薬を自己判断で減量・中止することは危険ですので、必ず主治医と相談の上で治療を検討してください。
7. グルタチオンの摂取方法
グルタチオンを体内に取り入れる方法には、大きく分けて「経口摂取」「点滴・注射」「外用」の3つがあります。
経口摂取(内服薬・サプリメント)
グルタチオンは食品にも含まれており、肉類(特にレバー)、魚介類(赤貝、マダラなど)、野菜(アボカド、ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、トマトなど)、果物(キウイフルーツなど)に比較的多く含まれています。
ただし、グルタチオンは水溶性が高く、加熱調理などによって失われやすい性質があります。また、経口摂取したグルタチオンは消化管で分解されやすく、そのままの形で吸収される割合は限られています。
近年では、吸収率を高めた製品も開発されています。アセチル化グルタチオン(S-アセチル-L-グルタチオン)は消化管での分解を防ぐ設計がされています。リポソーム化グルタチオンは脂質の膜で包むことで細胞への送達効率を高めています。還元型グルタチオンは最も生理活性の高い形態です。
日本では、グルタチオン製剤(タチオン錠など)が医薬品として処方されています。通常、1回50から100mgを1日1から3回経口投与します。
点滴・注射
グルタチオンを最も効率的に体内に取り込む方法が点滴療法です。経口摂取では消化管での分解を受けますが、点滴では直接血中に投与されるため、より多くのグルタチオンを全身に届けることができます。
美容目的の「白玉点滴」では、一般的に600から1200mgのグルタチオンが使用されます。パーキンソン病に対する治療では1400から2000mg程度の高用量が用いられることもあります。ビタミンCやその他のビタミン・ミネラルと組み合わせることで相乗効果も期待できます。
1回の点滴時間は15から30分程度で、美容目的であれば週1から2回のペースで継続することが推奨されています。
外用(化粧品)
グルタチオンを配合した美容液やクリームも販売されています。酸化型グルタチオン(GSSG)を2%配合したローションを10週間使用した試験では、メラニン指数が有意に低下したという報告があります。
ただし、グルタチオンは皮膚からの吸収が限られているため、外用による効果は内服や点滴ほど顕著ではない可能性があります。
グルタチオンの前駆体を摂取する方法
グルタチオンそのものを摂取する代わりに、体内でグルタチオンを合成するための材料(前駆体)を摂取する方法もあります。
N-アセチルシステイン(NAC)は、グルタチオンの構成アミノ酸であるシステインの前駆体で、グルタチオン合成を促進します。α-リポ酸には、体内のグルタチオンレベルを上昇させる効果があります。セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素の活性に必要なミネラルです。
8. グルタチオンの安全性と副作用
グルタチオンは体内に自然に存在する物質であり、基本的に安全性が高いとされています。日本では50年以上にわたり医薬品として使用されてきた実績があります。
副作用について
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書によると、グルタチオン製剤(タチオン)の副作用発生率は約0.4%と報告されています。主な副作用としては、食欲不振、悪心(吐き気)、嘔吐、発疹などが挙げられます。
静脈内注射時にアナフィラキシー様症状(重篤なアレルギー反応)が現れたとの報告もありますが、極めてまれなケースです。点滴療法を受ける際は、医療機関で適切な管理のもとで行うことが重要です。
注意が必要な方
以下のような方は、グルタチオンの使用前に必ず医師に相談してください。
妊娠中・授乳中の方については、安全性に関する十分なデータが限られているため、使用を避けるか医師の判断を仰ぐことが推奨されます。腎機能障害がある方は、排泄に影響する可能性があるため事前に医師の判断が必要です。アレルギー体質の方は、過去にグルタチオン製剤でアレルギー反応を起こしたことがある場合は使用を避けてください。
長期使用に関する注意
グルタチオンの長期にわたる過剰摂取については、体の自然な抗酸化システムに影響を与える可能性が指摘されています。また、高用量のグルタチオンを長期摂取すると肝臓に負担がかかる可能性もあります。
適切な用量と頻度で使用し、定期的に医師の診察を受けることが大切です。健康診断などで肝機能に異常を指摘されている方は、事前に医師に伝えるようにしましょう。
個人輸入の危険性
海外から個人輸入したグルタチオン製品については、品質管理が不十分な場合があり、不純物の混入や含有量の表示との乖離などのリスクがあります。グルタチオン製品は、信頼できる医療機関で処方を受けるか、国内で正規に流通している品質管理された製品を選ぶことが重要です。
9. グルタチオンを増やす生活習慣
グルタチオンは体内で合成される物質ですので、生活習慣を整えることで体内のグルタチオンレベルを維持・向上させることができます。
グルタチオンを含む食品を摂取する
グルタチオンを多く含む食品を積極的に摂取しましょう。
肉類では牛肉、豚肉、鶏肉、特にレバーに多く含まれています。魚介類では赤貝、マダラなどに含まれています。野菜ではアボカド、ブロッコリー、ほうれん草、キャベツ、トマト、きゅうり、かぼちゃなどに含まれています。果物ではキウイフルーツに比較的多く含まれています。その他、パン酵母、小麦胚芽、お米などにも含まれています。
ただし、グルタチオンは熱に弱いため、生で食べられる野菜や果物は加熱せずに摂取するのが効果的です。
グルタチオンの合成を助ける栄養素を摂取する
グルタチオンの構成成分であるアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)を含む食品を摂取することで、体内でのグルタチオン合成を促進できます。
特にシステインを多く含む食品(卵、ニンニク、玉ねぎ、肉類など)は重要です。また、ビタミンB群やセレン、マグネシウムなどのミネラルもグルタチオン合成に必要な栄養素です。
グルタチオンを減少させる要因を避ける
以下の要因はグルタチオンを消費・減少させるため、できるだけ避けることが大切です。
過度のアルコール摂取は肝臓でのグルタチオン消費を増加させます。喫煙は活性酸素の発生を増加させ、グルタチオンを消費します。過度なストレスも酸化ストレスを高めます。過激な運動は活性酸素の発生を増加させます。紫外線の過度な曝露もグルタチオンを減少させます。睡眠不足は体の回復機能を低下させます。
適度な運動を行う
適度な運動は体の抗酸化能力を高め、グルタチオンレベルの維持に役立ちます。ただし、過激な運動は逆に活性酸素を増加させるため、自分に合った適度な強度の運動を心がけましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠中は体の修復・回復が行われる重要な時間です。十分な睡眠をとることで、グルタチオンの合成や抗酸化システムの維持が促進されます。

10. まとめ
グルタチオンは、3つのアミノ酸から成るトリペプチドで、体内のほぼすべての細胞に存在する重要な物質です。強力な抗酸化作用、解毒作用、メラニン生成抑制作用、免疫調節作用など、多彩な働きを持っています。
主な効果としては、美白・美肌効果、アンチエイジング効果、肝機能改善効果、疲労回復効果などが期待されています。また、パーキンソン病に対する治療効果についても研究が進められており、一部の医療機関では補完代替医療として活用されています。
グルタチオンは日本では医薬品として認可されており、50年以上にわたり安全に使用されてきた実績があります。副作用の発生率は約0.4%と低く、基本的に安全性の高い物質ですが、使用にあたっては医師の指導のもとで適切に行うことが大切です。
グルタチオンは20代をピークに加齢とともに減少するため、年齢を重ねるほど意識的な補給が重要になります。食事からの摂取に加え、サプリメントや点滴療法など、自分に合った方法で上手に取り入れることで、美容と健康の両面からサポートを受けることができます。
グルタチオンに興味をお持ちの方は、ぜひ一度専門の医療機関にご相談ください。アイシークリニック東京院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
参考文献
- 活性酸素と酸化ストレス|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 活性酸素|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 抗酸化物質|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 酸化ストレス|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
- グルタチオン製剤(タチオン)添付文書情報|医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示の一部改正について|厚生労働省
- 「グルタチオンを有効成分として含有する非アルコール性脂肪肝改善又は予防組成物」の米国特許を新たに取得|三菱商事ライフサイエンス株式会社(PRTIMES)
- グルタチオン|オーソモレキュラー栄養医学研究所
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務