「顔のほくろの位置で運勢がわかる」という話を聞いたことはありませんか。古くから東洋の人相学では、顔に現れるほくろは単なる皮膚の特徴ではなく、その人の性格や運命を示すサインとして重視されてきました。特に「幸運ほくろ」と呼ばれる特定の位置にあるほくろは、金運や恋愛運、仕事運などを高めるとされ、現代でも多くの方が関心を寄せています。一方で、ほくろは医学的にはメラノサイト(色素細胞)が集まってできた皮膚の良性腫瘍であり、なかには悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が必要なケースもあります。本記事では、人相学における顔の幸運ほくろの位置とその意味を詳しく解説するとともに、ほくろに関する医学的な基礎知識、注意すべきほくろの特徴、そして美容医療によるほくろ除去の選択肢についてもご紹介します。ご自身のほくろについて理解を深め、運勢を知るきっかけとしていただければ幸いです。

目次
- ほくろ占い(人相学)とは
- 生きぼくろと死にぼくろの違い
- 顔の幸運ほくろの位置と意味
- 額(おでこ)のほくろが示す運勢
- 眉周辺のほくろが示す運勢
- 目元・目尻のほくろが示す運勢
- 鼻のほくろが示す運勢
- 頬のほくろが示す運勢
- 口元・唇周辺のほくろが示す運勢
- あご・フェイスラインのほくろが示す運勢
- 耳のほくろが示す運勢
- ほくろの医学的な基礎知識
- 良性のほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方
- 注意が必要なほくろの特徴
- ほくろ除去の方法と選択肢
- ほくろ除去と運勢の関係
- まとめ
ほくろ占い(人相学)とは
ほくろ占いは、古代中国で発展した人相学(観相学)の一分野です。人相学とは、顔の造りや表情、肌の状態などから、その人の性格や運命、将来の傾向を読み解く技法で、約2000年以上の歴史があるとされています。そのなかでも、ほくろは「運命のサイン」として特別な意味を持つと考えられてきました。
人相学の考え方によれば、ほくろは内面のエネルギーが皮膚表面に現れた証であり、その位置によって金運、恋愛運、仕事運、健康運など、さまざまな運勢を示すとされています。顔は特に対人関係や社会的な運勢との関連が深いとされ、顔のどの部位にほくろがあるかで、人生における傾向や注意すべき点がわかるといわれています。
現代においても、ほくろ占いは多くの方に親しまれており、自分自身を理解するツールとして、また日常のちょっとした楽しみとして活用されています。ただし、ほくろ占いはあくまで統計学的な傾向や古来の知恵に基づくものであり、科学的に証明されたものではありません。参考程度に楽しみながら、自己理解のきっかけとしてご活用いただければと思います。
生きぼくろと死にぼくろの違い
人相学では、ほくろを「生きぼくろ」と「死にぼくろ」の2種類に分類します。同じ位置にあるほくろでも、この分類によって意味や運勢が大きく異なるとされています。ほくろ占いを行う際には、まずご自身のほくろがどちらに該当するかを確認することが重要です。
生きぼくろの特徴
生きぼくろとは、色が濃く黒々としており、艶があって形が整った丸いほくろを指します。表面がなめらかで、輪郭がはっきりしているのが特徴です。生きぼくろは吉相とされ、その位置が示す運勢をプラスの方向に強化すると考えられています。幸運を引き寄せたり、努力が実を結んだりする兆しを表すとされ、持っている人にとって良い影響をもたらすといわれています。
死にぼくろの特徴
死にぼくろとは、色が薄く茶色がかっていたり、艶がなくくすんで見えたりするほくろを指します。形がいびつで輪郭がぼやけていることも特徴です。死にぼくろは凶相とされ、その位置が示す運勢に注意が必要なサインと解釈されます。ただし、死にぼくろがあるからといって必ず悪いことが起こるわけではなく、注意すべきポイントを意識して行動することで、マイナスの影響を軽減できるとも考えられています。
なお、ほくろの大きさについても意味があるとされ、直径2〜3mm以上の大きく目立つほくろは影響力が強い「主座相」と呼ばれ、人生の重要な運気の変化に関与するといわれています。
顔の幸運ほくろの位置と意味
顔には多くの部位があり、それぞれの部位にあるほくろが異なる運勢を示すとされています。ここからは、顔の各部位における幸運ほくろの位置とその意味について詳しく解説していきます。ご自身の顔を鏡で見ながら、該当するほくろがないか確認してみてください。
額(おでこ)のほくろが示す運勢
人相学において、額(おでこ)は「天庭」と呼ばれ、その人の知性、先見性、社会的な成功運を示す重要な部位とされています。額は「第三の目」とも呼ばれ、未来を見通す力や聡明さを表すと考えられています。
額の中央(眉間より上)のほくろ
額の中央、特に眉間の少し上にあるほくろは「仏の相」と呼ばれ、非常に吉相とされています。頭の良さや理解力の高さを示し、勉強した分だけ成果が得られる人に多いとされます。また、目先のことだけでなく遠い未来のことも考慮した選択ができる先見性を持ち、周囲からの信頼も厚くなる傾向があるといわれています。仕事運や社会的成功に恵まれるほくろです。
右の額にあるほくろ
右側の額にあるほくろは、強運、特に金運に関して強い運気を持つとされています。財運に恵まれ、経済的に安定した人生を送ることができるといわれています。ビジネスや投資においても良い判断ができる傾向があるとされます。
左の額・生え際にあるほくろ
左側の額や髪の生え際にあるほくろは、人間関係に関する運勢を示すとされています。特に生え際のほくろは、愛情運との関連が深く、遠距離恋愛になりやすい傾向や、愛情があっても離別しやすい恋愛をもたらすことがあるとされています。ただし、これは注意点として捉え、相手との絆を大切にすることで乗り越えられるともいわれています。
眉周辺のほくろが示す運勢
眉は人相学において「保寿官」と呼ばれ、その人の寿命や健康運、兄弟運を示す部位とされています。眉周辺のほくろは、特に対人運や家族運との関連が深いといわれています。
眉の中・眉毛内にあるほくろ
眉毛の中に隠れるようにあるほくろは「眉中の珠」と呼ばれ、非常に幸運なほくろとされています。才能に恵まれ、芸術的なセンスや創造性を持つ人に多いとされます。また、周囲の人からの援助を受けやすく、困ったときに助けてもらえる運を持っているといわれています。金運、仕事運、恋愛運、健康運などすべての面で幸運をもたらすとされる、代表的な幸運ほくろの一つです。
眉頭(眉の内側)にあるほくろ
眉頭、つまり眉の内側(鼻に近い側)にあるほくろは、兄弟や家族との関係を示すとされています。生きぼくろであれば家族運に恵まれ、親族との良好な関係を築けるといわれています。一方、死にぼくろの場合は家族間でのトラブルに注意が必要とされます。
眉尻・こめかみ付近のほくろ
眉尻からこめかみにかけての部位は「福堂」と呼ばれ、財運や異性運を示すとされています。右の眉尻付近にあるほくろは「大吉大利の相」とされ、さまざまな運気が強い人に現れるといわれています。左の眉尻付近のほくろは長寿の相とされ、健康に恵まれ豊かな人生を送る力を持っているとされます。また、こめかみから耳までの部分にほくろがある人は、異性からモテやすく、良縁に恵まれるタイプだといわれています。
目元・目尻のほくろが示す運勢
目の周辺は人相学において「男女宮」と呼ばれ、恋愛運や異性運を示す重要な部位とされています。目元のほくろは特に恋愛に関する運勢との関連が深いといわれています。
目尻のほくろ(モテぼくろ)
目尻にある生きぼくろは「モテぼくろ」として非常に有名で、異性からの好意を引き寄せやすく、自然な愛嬌や色気をまとわせる効果があるとされています。恋愛運が高く、多くの出会いに恵まれる傾向があります。ただし、モテるがゆえに恋愛トラブルに巻き込まれやすい一面もあるため、相手選びは慎重に行うことが大切だといわれています。
涙袋・目の下のほくろ(泣きぼくろ)
涙袋や目の下にあるほくろは「泣きぼくろ」として知られています。感受性が豊かで、情緒的な深みを持つ人に多いとされます。恋愛体質であり、人の気持ちに寄り添える優しさを持っている一方で、感情的になりやすい面もあるといわれています。人相学では、泣きぼくろは子供運とも関連があるとされ、子宝に恵まれる相ともいわれています。
目頭のほくろ
目頭付近にあるほくろは、夫婦円満や信頼できるパートナーとの出会いを示すとされています。生きぼくろであれば、良い結婚運に恵まれるといわれています。一方、死にぼくろの場合は、パートナーとの間でトラブルが生じやすい傾向があるため、相手を思いやる気持ちを大切にすることが重要とされます。
鼻のほくろが示す運勢
人相学において、鼻は「財帛宮」と呼ばれ、金運や財運を示す非常に重要な部位とされています。鼻は顔の中心にあることから、人生で最も活躍する中年期の運気を表すともいわれています。
鼻の中央(鼻筋)のほくろ
鼻の中央、いわゆる鼻筋にあるほくろは、金運を引き寄せる力が強いとされ、経済的な成功につながる可能性を秘めているといわれています。地道な努力を厭わない堅実な性格の持ち主に多く、着実に財を築いていける人だとされます。
鼻の頭(鼻頭)のほくろ
鼻の先端(鼻頭)にあるほくろは、金運との関連が特に深いとされています。一生を通じてお金に不自由しない運を持っている人に現れるといわれています。ただし、死にぼくろの場合は散財しやすい傾向があるため、計画的なお金の管理が重要とされます。また、鼻頭のほくろは負けず嫌いな性格を表すともいわれ、その強さが長所となる一方で、周囲との摩擦を生むこともあるため、柔軟な対応を意識すると良いでしょう。
小鼻のほくろ
小鼻(鼻の両側のふくらみ部分)にあるほくろは、ギャンブル運や投資運との関連があるとされています。生きぼくろであれば、投資やビジネスで良い結果を得られる可能性があります。一方で、浪費癖がある人にも多いとされるため、収支のバランスを意識することが大切です。
頬のほくろが示す運勢
頬は人相学において対人運や社会運を示す部位とされています。頬のほくろは、人間関係や社会生活における傾向を表すといわれています。
頬骨の上のほくろ
頬骨の上にあるほくろは、社会的な成功運を示すとされています。リーダーシップを発揮しやすく、組織の中で重要なポジションに就く人に多いといわれています。人望が厚く、周囲からの信頼を得やすい傾向があります。
頬の中央のほくろ
頬の中央にあるほくろは、人気運や対人運を示すとされています。人づきあいが上手で、多くの人から好かれる傾向があります。広い交友関係を持ち、友人や知人、同業者に助けてもらえる運勢を持っているといわれています。誘われごとが多く、参加することで運が開けるとされるため、積極的に人との交流を持つことが開運につながるでしょう。
頬の下・エラ付近のほくろ
頬の下やエラ付近にあるほくろは、晩年運や住居運を示すとされています。生きぼくろであれば、安定した晩年を過ごせる傾向があります。また、不動産運にも恵まれ、良い住まいに縁があるといわれています。
口元・唇周辺のほくろが示す運勢
口元は人相学において「食禄」と呼ばれ、食べることに関する運勢、つまり生活の豊かさや愛情運を示す部位とされています。口元のほくろは、コミュニケーション能力や愛情表現とも関連が深いといわれています。
上唇の上のほくろ
上唇の上にあるほくろは、人相学では「金覆」と呼ばれる位置にあり、人のために尽くす機会が多いとされます。話し上手で人を楽しませることが得意であり、巧みな言葉遣いで周囲を魅了する力を持っているといわれています。仕事や社会活動の場で成功を収めることが期待できます。また、異性からの注目を集めやすく、恋愛に積極的な傾向があります。
下唇の下のほくろ
下唇の下にあるほくろは、グルメ運や食に関する幸運を示すとされています。美味しいものに縁があり、食に困ることがないといわれています。また、愛情深く、周囲の人を大切にする性格の持ち主が多いとされます。
口角のほくろ
口角(唇の端)にあるほくろは「有言実行ぼくろ」とも呼ばれ、言葉に力を持つ人に現れるとされています。言霊が強く、自分が発した言葉が現実になりやすい傾向があるといわれています。ポジティブな言葉を使うことで、より良い運勢を引き寄せることができるでしょう。
あご・フェイスラインのほくろが示す運勢
あごは人相学において晩年運や住居運、愛情運を示す部位とされています。あごのほくろは、人生の後半における傾向を表すといわれています。
あごの中央のほくろ
あごの中央にあるほくろは、統率力やリーダーシップを示すとされています。ビッグチャンスをものにする力があり、プレッシャーをはねのける強さと運勢を持っているといわれています。仕事において大きな成功を収める可能性があります。
あごの左右のほくろ
あごの左右にあるほくろは、それぞれ異なる意味を持つとされています。右あご側のほくろは社会的な願望や野心を表し、左あご側のほくろは所有欲や物質的な豊かさへの関心を示すといわれています。
フェイスライン・もみあげ付近のほくろ
もみあげ付近にあるほくろは、情報収集能力に長けた人に現れるとされています。好奇心旺盛で、さまざまな知識を武器に物事に対応できる力を持っているといわれています。準備を怠らない堅実さがあり、臨機応変な対応ができるタイプです。
耳のほくろが示す運勢
耳は人相学において、先天的な運勢や家庭環境、金運を示す部位とされています。耳のほくろは、生まれ持った運勢や才能との関連が深いといわれています。
耳たぶのほくろ
耳たぶにあるほくろは、金運の象徴とされています。特に生きぼくろであれば、財運に恵まれ、お金に困ることが少ないといわれています。また、良縁を招く効果もあり、家庭運を高めるとされています。
耳の外側(耳輪)のほくろ
耳の外側にあるほくろは、音楽や芸術的な才能を示すとされています。音感やリズム感に優れ、クリエイティブな分野で活躍できる可能性があります。感性が豊かで創造力が高いタイプだといわれています。
耳の内側のほくろ
耳の内側にあるほくろは、健康運や長寿を示すとされています。生命への執着心が強く、生きることに対して努力できる人に現れるといわれています。健康に注意を払いながら、長く充実した人生を送ることができるでしょう。
ほくろの医学的な基礎知識
ここからは、ほくろに関する医学的な観点からの解説をしていきます。ほくろは人相学では運勢を示すサインとされていますが、医学的には皮膚に現れる良性の腫瘍であり、その性質を正しく理解しておくことが大切です。
ほくろとは何か
ほくろとは、医学的には「色素性母斑」または「母斑細胞母斑」と呼ばれ、皮膚の中にあるメラノサイト(色素細胞)が増殖してできた良性腫瘍です。メラノサイトは本来、紫外線から身体を守るためにメラニンという黒い色素を作る細胞ですが、この細胞が増えたり塊になったりすることで、皮膚の一部が黒や茶色に見えるようになります。
ほくろは顔、首、腕、背中など体のあらゆる場所にでき、まれに目の中、口の中、陰部、足の裏などにもできることがあります。生まれつきあるもの(先天性)と、成長するにつれてできるもの(後天性)があり、一般的に成人では平均して10個から45個程度のほくろがあるとされています。
ほくろができる原因
ほくろができる詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関わっていると考えられています。主な原因として、遺伝的な体質、紫外線による刺激、ホルモンバランスの変化(思春期、妊娠中、加齢など)、慢性的な皮膚への刺激などが挙げられます。特に幼少期から青年期にかけての紫外線への曝露は、新しいほくろの形成を促進したり、既存のほくろを濃くしたりする可能性があります。
ほくろの種類
ほくろには医学的にいくつかの種類があります。母斑細胞が皮膚のどの位置に集まっているかによって、境界母斑(表皮と真皮の境界部分にある平らなタイプ)、複合母斑(表皮と真皮の両方にあるやや盛り上がったタイプ)、真皮内母斑(真皮の中にとどまるドーム状に盛り上がったタイプ)の3種類に分類されます。また、皮膚の深い部分に存在するために青みがかった黒色に見える「青色母斑」というタイプもあります。
良性のほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方
多くのほくろは良性ですが、なかには悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がんと見た目が似ているものがあります。悪性黒色腫はメラノサイトががん化して生じる悪性度の高い皮膚がんで、「ほくろのがん」とも呼ばれています。早期発見・早期治療が非常に重要であるため、良性のほくろとの違いを知っておくことが大切です。
ABCDEルールによるセルフチェック
良性のほくろと悪性黒色腫を見分けるための指標として、「ABCDEルール」が広く知られています。このルールに該当する特徴が見られる場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。
Aは「Asymmetry(非対称性)」を指し、ほくろの形が左右対称でなく、いびつな形をしている場合は注意が必要です。Bは「Border(境界不整)」を指し、ほくろの輪郭がギザギザしていたり、境界がぼやけていたりする場合を意味します。Cは「Color(色の不均一)」を指し、一つのほくろの中に黒、茶、青、赤、白など複数の色が混在している場合は要注意です。Dは「Diameter(直径)」を指し、直径が6mm以上ある場合は精査が必要とされています。Eは「Evolution(変化)」を指し、大きさ、色、形、かたさなどが時間とともに変化している場合は医師に相談すべきです。
専門医による診断
皮膚科では、ダーモスコープという専用の拡大鏡(ライト付きで約10倍程度に拡大できる機器)を使った検査(ダーモスコピー)を行います。この検査では、肉眼では見えない皮膚の構造を詳しく観察でき、ほくろと悪性黒色腫の違いを見極めるために非常に有用です。最終的な確定診断には、組織を一部または全部切除して顕微鏡で調べる病理検査が必要となります。
注意が必要なほくろの特徴
以下のような特徴が見られるほくろは、念のため皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
急に大きくなったほくろ、色が変化してきたほくろ(濃くなる、色むらが出るなど)、形がいびつになってきたほくろ、出血しやすいほくろ、かゆみや痛みがあるほくろ、表面に潰瘍ができているほくろ、周囲に衛星病変(小さなほくろ)ができているもの、これらの変化は悪性の可能性を示唆することがあります。特に足の裏や爪にできたほくろは、日本人の悪性黒色腫の好発部位であるため、注意が必要です。
なお、これらの特徴があるからといって必ず悪性というわけではありません。多くの場合は良性ですが、自己判断せずに専門医に相談することが大切です。
ほくろ除去の方法と選択肢
ほくろは基本的に良性腫瘍であり、医学的に必ず除去しなければならないものではありません。しかし、美容上の理由や、衣服や髭剃りなどで引っかかって気になる場合、悪性の疑いがある場合などには、除去を検討することがあります。ほくろ除去には主にレーザー治療と切除手術の2つの方法があります。
レーザー治療
レーザー治療は、主に炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を使用してほくろの組織を蒸散させて除去する方法です。メスを使わないため傷が小さく、縫合が不要で、処置が短時間で済むというメリットがあります。小さく浅いほくろや、美容目的での除去に適しています。ただし、深いほくろの場合は取り残しによる再発の可能性があり、組織が残らないため病理検査ができないというデメリットもあります。基本的に自由診療(保険適用外)となります。
切除手術
切除手術は、メスでほくろを皮膚ごと切除し、縫合して治す方法です。根元までしっかり取り除くため再発リスクが低く、切除した組織で病理検査が可能であるため、悪性の有無を確認できます。盛り上がったほくろや大きなほくろ、悪性の疑いがあるものに適しています。縫合するため直線状の傷跡が残りますが、形成外科では傷の方向や縫い方を工夫することで目立ちにくく仕上げることが可能です。悪性の疑いがある場合や医学的に必要と判断された場合は保険適用となります。
治療を受ける際の注意点
ほくろ除去を検討する際は、まず皮膚科専門医の診察を受け、ほくろの性質や最適な治療法についてアドバイスを受けることが重要です。自己判断での対処(市販の除去クリームなど)は、皮膚への深刻なダメージや、悪性腫瘍を見逃すリスクがあるため絶対に避けてください。信頼できる医療機関で適切な診断と治療を受けることが、安全で満足のいく結果につながります。
ほくろ除去と運勢の関係
人相学の観点から、「ほくろを除去すると運勢が変わるのでは」と心配される方もいらっしゃいます。人相学では、ほくろはその人の運命の記録であり、特に生きぼくろは運気を高める相とされているため、安易に除去することで運を手放してしまう可能性があるという考え方もあります。
一方で、人相学には「後から足しても良い」という考え方もあり、近年ではほくろメイク(アートメイク)で幸運ほくろを描き足すことで運気アップを図る方法も人気があります。幸運のほくろがなくても、願いを込めながら描くことで「なりたい自分」を叶えられるとも考えられています。
医学的には、ほくろを除去しても健康上の問題はなく、除去すること自体ががんを引き起こすという根拠もありません。運勢との関係については科学的な証明はありませんので、気になるほくろがある場合は、人相学的な意味も参考にしつつ、最終的にはご自身の判断と医師のアドバイスに基づいて決定されることをお勧めします。
まとめ
本記事では、人相学における顔の幸運ほくろの位置と意味、そしてほくろに関する医学的な基礎知識について詳しく解説してきました。
人相学では、顔のほくろはその人の性格や運勢を示すサインとして重視され、額、眉、目元、鼻、頬、口元、あご、耳など、それぞれの部位で異なる意味を持つとされています。特に生きぼくろは吉相とされ、金運、恋愛運、仕事運などさまざまな幸運をもたらすと考えられています。一方で、死にぼくろは注意が必要なサインとして捉えられています。
医学的には、ほくろはメラノサイトが集まってできた良性腫瘍であり、多くの場合は治療の必要はありません。ただし、ABCDEルールに該当するような特徴がある場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別のために皮膚科専門医の診察を受けることが重要です。
ほくろは、運勢を示すサインとして楽しむこともできますし、医学的な視点から健康管理の一環としてチェックすることも大切です。ご自身のほくろについて理解を深め、気になる点があれば専門医にご相談ください。アイシークリニック東京院では、ほくろに関するご相談や除去治療を承っております。お気軽にお問い合わせください。

よくある質問
人相学において、眉毛の中に隠れるようにある「眉中の珠」と呼ばれるほくろは、最も幸運なほくろの一つとされています。金運、仕事運、恋愛運、健康運などすべての面で幸運をもたらすといわれています。また、目尻の生きぼくろは恋愛運を高めるモテぼくろとして、鼻の中央や耳たぶのほくろは金運を高めるほくろとして知られています。
生きぼくろは、色が濃く黒々としており、艶があって形が整った丸いほくろです。表面がなめらかで輪郭がはっきりしているのが特徴です。一方、死にぼくろは色が薄く茶色がかっていたり、艶がなくくすんで見えたりします。形がいびつで輪郭がぼやけていることも特徴です。生きぼくろは吉相、死にぼくろは注意が必要なサインとされています。
人相学の観点では、生きぼくろは運気を高める相とされているため、除去することで運を手放す可能性があるという考え方もあります。しかし、科学的な証明はなく、医学的にはほくろを除去しても健康上の問題はありません。最終的にはご自身の判断と医師のアドバイスに基づいて決定されることをお勧めします。なお、ほくろメイクで幸運ほくろを描き足すことで運気アップを図る方法もあります。
ABCDEルールが判断の目安となります。A(非対称性):形が左右対称でない、B(境界不整):輪郭がギザギザしている、C(色の不均一):複数の色が混在している、D(直径):6mm以上ある、E(変化):大きさや色が変化している。これらの特徴がある場合は皮膚科を受診してください。ダーモスコピー検査や病理検査で正確な診断が可能です。
主にレーザー治療と切除手術の2種類があります。レーザー治療は炭酸ガスレーザーなどでほくろを蒸散させる方法で、傷が小さく短時間で済みますが、深いほくろは再発の可能性があります。切除手術はメスで切除し縫合する方法で、再発リスクが低く病理検査も可能ですが、直線状の傷跡が残ります。ほくろの大きさや深さ、目的に応じて最適な方法を医師と相談して決めることが重要です。
ほくろ占い(人相学)は、古代中国で発展した統計学的な傾向や古来の知恵に基づくものであり、現代科学では証明されていません。ほくろの位置と運勢の関係は、長い歴史の中で経験則として蓄積されてきた考え方です。科学的な根拠はありませんが、自己理解のきっかけや日常のちょっとした楽しみとして、多くの方に親しまれています。参考程度に楽しむ姿勢がお勧めです。
参考文献
- メラノーマ(悪性黒色腫)|国立がん研究センター がん情報サービス
- メラノーマ(ほくろのがん)|皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 悪性黒色腫|慶應義塾大学病院 KOMPAS
- 皮膚科:ほくろの説明|東京女子医科大学附属足立医療センター
- 診療について|国立がん研究センター 中央病院 皮膚腫瘍科
- 悪性黒色腫(メラノーマ)|国立がん研究センター 希少がんセンター
- がん診療ガイドライン|皮膚悪性腫瘍|日本癌治療学会
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務