はじめに
「最近、なんだか疲れやすい」「階段を上るだけで息切れがする」「顔色が悪いと言われる」。このような症状に心当たりはありませんか?これらは貧血のサインかもしれません。
貧血は、特に女性に多くみられる健康上の問題です。日本人女性のうち、月経のある方の5人に1人が貧血であるといわれており、さらに血液検査では異常が見られないものの、体内の貯蔵鉄が不足している「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)」を含めると、その数はさらに多くなります。
貧血の原因はさまざまですが、最も多いのは鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」です。この記事では、貧血の原因や症状について解説するとともに、貧血を予防・改善するために効果的な食べ物や、鉄分を効率よく摂取するためのポイントを詳しくご紹介します。毎日の食生活を見直すことで、貧血の予防・改善につなげていきましょう。

貧血とは?そのメカニズムと症状を理解する
貧血の定義
貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が正常値より少なくなった状態を指します。WHO(世界保健機関)の定義では、血液中のヘモグロビン値が男性で13.0g/dL以下、女性で12.0g/dL以下の場合を貧血としています。
ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素と結びつき、血液にのって全身の細胞や組織に酸素を届ける重要な役割を担っています。このヘモグロビンが減少すると、全身への酸素供給が不十分になり、さまざまな不調が現れます。
なお、立ち上がった時に頭がふわっとする、目の前が暗くなるといった「立ちくらみ」は、厳密には貧血とは異なります。これは起立性低血圧や血管迷走神経性失神と呼ばれるもので、血圧の急激な変動によって一時的に脳への血流が不足することで起こる症状です。
貧血の主な症状
貧血になると、体が酸素不足の状態になるため、以下のような症状が現れやすくなります。
症状の現れ方には個人差がありますが、軽度の貧血では自覚症状がないこともあります。貧血がゆっくりと進行した場合は、体が酸素不足に適応するため、かなり重度になるまで症状に気づかないこともあります。
一般的な症状としては、疲れやすい・だるい、息切れ・動悸がする、めまいや立ちくらみ、頭痛、顔色が青白い、集中力の低下、爪が割れやすい・スプーン状に反り返る(匙状爪)、氷を異常に食べたくなる(異食症)などが挙げられます。
特に鉄欠乏性貧血が進行すると、爪がスプーンのように反り返る「匙状爪(さじじょうつめ)」や、舌がひりひりする症状、氷を無性に食べたくなる「異食症」といった特徴的な症状が現れることもあります。
貧血の種類と原因
貧血にはいくつかの種類がありますが、原因によって大きく分けることができます。
鉄欠乏性貧血
貧血の中で最も多いタイプで、全体の70~80%を占めるといわれています。ヘモグロビンの主要な構成要素である鉄分が不足することで、十分な量のヘモグロビンを作れなくなり発症します。
鉄欠乏性貧血の原因には、食事からの鉄分摂取不足、月経による定期的な出血、妊娠・出産・授乳による鉄分需要の増加、消化管からの出血(胃潰瘍、大腸ポリープ、がんなど)、過度なダイエットや偏った食生活などがあります。
特に月経のある女性は、毎月約30mgもの鉄分が失われるため、意識的に鉄分を摂取しないと不足しやすい状態にあります。
巨赤芽球性貧血(ビタミンB12・葉酸欠乏性貧血)
ビタミンB12や葉酸が不足することで起こる貧血です。これらのビタミンは赤血球のDNA合成に必要な物質であり、欠乏すると正常な赤血球を作ることができなくなります。
ビタミンB12欠乏の原因としては、胃の全摘出手術後、萎縮性胃炎による吸収障害、極端な菜食主義などがあります。葉酸欠乏は、偏食、アルコールの過剰摂取、妊娠中の需要増加などで起こりやすくなります。
この貧血では、一般的な貧血症状に加えて、手足のしびれや歩行困難などの神経症状が現れることがあるのが特徴です。
その他の貧血
再生不良性貧血、溶血性貧血、慢性疾患に伴う二次性貧血なども存在します。これらは骨髄の機能低下、赤血球の破壊亢進、慢性的な炎症や病気によって引き起こされます。関節リウマチ、慢性腎臓病、がんなどの基礎疾患がある場合は、それに伴う貧血が生じることもあります。
貧血の症状が続く場合は、単なる鉄分不足だけでなく、重篤な疾患が隠れている可能性もあります。自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。
鉄分の基礎知識:ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
体内における鉄分の役割
鉄分は体に不可欠なミネラルの一つで、成人の体内には約3~5gの鉄が存在しています。そのうち約70%は赤血球中のヘモグロビンとして存在し、酸素を全身に運ぶ「機能鉄」として働いています。残りの約30%は「貯蔵鉄」として肝臓や骨髄、脾臓などに蓄えられ、機能鉄が不足した際に使われます。
鉄分は代謝によって毎日少しずつ失われており、成人男性で約1.0mg、女性で約0.8mgが日々損失しています。月経のある女性は、これに加えて毎月の出血により約0.5mgが追加で失われるため、男性よりも多くの鉄分を必要とします。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
食品に含まれる鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。この2つは吸収率や含まれる食品が異なるため、特徴を理解して効率よく摂取することが重要です。
ヘム鉄
ヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄分です。鉄イオンがポルフィリン環という構造に包まれた状態で存在しており、そのままの形で腸管から吸収されます。
ヘム鉄の特徴として、吸収率が15~35%と高いこと、他の食品成分の影響を受けにくいこと、胃腸への負担が少ないことが挙げられます。レバー、牛肉の赤身、かつお、まぐろ、いわしなどの食品に多く含まれています。
非ヘム鉄
非ヘム鉄は、野菜、豆類、穀類などの植物性食品に含まれる鉄分です。三価鉄イオン(Fe³⁺)の状態で存在しており、吸収されるためには二価鉄イオン(Fe²⁺)に還元される必要があります。
非ヘム鉄の特徴として、吸収率が2~5%と低いこと、タンニンやフィチン酸などの成分に吸収を阻害されやすいこと、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が向上することが挙げられます。ほうれん草、小松菜、大豆製品、ひじきなどの食品に多く含まれています。
鉄分の吸収率を高める組み合わせ
非ヘム鉄は吸収率が低いものの、他の栄養素と組み合わせることで吸収率を高めることができます。
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進する効果があります。ビタミンCには還元作用があり、三価鉄を吸収されやすい二価鉄に変換する働きがあります。ほうれん草のおひたしにレモン汁をかけたり、小松菜の炒め物にパプリカを加えたりすると効果的です。
動物性たんぱく質も鉄の吸収を助けます。肉類や魚介類に含まれるたんぱく質は、非ヘム鉄の吸収を高める働きがあります。大豆製品と一緒に肉や魚を食べる組み合わせがおすすめです。
クエン酸やリンゴ酸などの有機酸にはキレート作用があり、鉄を吸収しやすい形に変える効果があります。果物や酢などを料理に取り入れると良いでしょう。
1日に必要な鉄分の摂取量
厚生労働省の食事摂取基準
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、年齢や性別、月経の有無によって鉄分の推奨摂取量が定められています。
成人男性(18~74歳)の推奨量は7.0~7.5mgです。成人女性(月経なし、18~64歳)の推奨量は6.0~6.5mg、成人女性(月経あり、18~49歳)の推奨量は10.5~11.0mgとなっています。
妊娠中・授乳中の女性は、さらに多くの鉄分が必要です。妊娠初期は付加量として+2.5mg、妊娠中期・後期は+9.5mg、授乳期は+2.5mgが推奨されています。
日本人の鉄分摂取の現状
令和4年の国民健康・栄養調査によると、20~29歳の男性の平均摂取量は6.9mg、女性は5.9mgとなっており、特に月経のある女性では推奨量に達していない状況です。
理想的な食事をしている人でも1日約10mg程度の鉄分しか摂取できず、そのうち体内に吸収されるのは約1mg(吸収率約10~15%)に過ぎません。毎月の月経による損失に加え、過度なダイエットや朝食抜きなどの不規則な食生活を続けていると、知らず知らずのうちに深刻な鉄分不足に陥ってしまう可能性があります。
かくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)に注意
血液検査でヘモグロビン値が正常範囲内でも、体内の貯蔵鉄(フェリチン)が不足している状態を「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)」といいます。
ある調査によると、20~49歳の閉経前女性の約7割がフェリチン30ng/mL未満の重度のかくれ貧血状態にあり、そのうち約3割は10ng/mL未満という枯渇状態でした。かくれ貧血は一般的な血液検査では見逃されやすく、倦怠感や集中力の低下といった不調を感じていても原因がわからないまま放置してしまうことが少なくありません。
貧血改善・予防に効果的な食べ物一覧
動物性食品(ヘム鉄を多く含む食品)
吸収率の高いヘム鉄を効率よく摂取するには、動物性食品を積極的に取り入れることが重要です。
レバー類
レバーは鉄分が最も豊富な食品の一つです。豚レバーは可食部100gあたり13.0mg、鶏レバーは9.0mg、牛レバーは4.0mgの鉄分を含んでいます。
レバーはビタミンAも豊富に含むため、妊婦の方は過剰摂取に注意が必要です。また、コレステロールも多いため、食べ過ぎには気をつけましょう。臭みが気になる場合は、牛乳に浸けて下処理をしたり、カレー粉や生姜を使って調理すると食べやすくなります。
赤身の肉類
牛肉の赤身には良質なヘム鉄が含まれています。牛もも肉は可食部100gあたり2.7mg、牛ヒレ肉は2.5mgの鉄分を含みます。脂身の少ない赤身肉を選ぶことで、余分な脂質を抑えながら鉄分を効率よく摂取できます。
魚介類
赤身の魚や貝類も鉄分の優れた供給源です。
かつおは可食部100gあたり1.9mgの鉄分を含み、春と秋の旬の時期には特に栄養価が高くなります。まぐろ(赤身)は1.1mg、いわしは1.8mgの鉄分を含んでいます。
貝類も見逃せません。あさりの水煮缶詰は可食部100gあたり30.0mgと非常に多くの鉄分を含んでいます。しじみの水煮は15.0mg、カキは2.1mgの鉄分を含みます。また、貝類にはビタミンB12も豊富に含まれているため、貧血予防に二重の効果が期待できます。
植物性食品(非ヘム鉄を多く含む食品)
非ヘム鉄は吸収率が低いものの、毎日の食事に取り入れやすく、ビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせることで吸収率を高めることができます。
大豆・大豆製品
大豆製品は良質なたんぱく質と鉄分を同時に摂取できる優れた食品です。納豆は可食部100gあたり3.3mgの鉄分を含み、朝食に手軽に取り入れられます。厚揚げは2.6mg、高野豆腐は6.8mg(乾燥重量)の鉄分を含んでいます。
高野豆腐は保存が効き、煮物や汁物など様々な料理に活用できる便利な食材です。
緑黄色野菜
野菜の中では、小松菜やほうれん草、水菜などの葉物野菜に鉄分が多く含まれています。小松菜は可食部100gあたり2.8mg、ほうれん草は2.0mg、水菜は2.1mgの鉄分を含みます。
これらの野菜にはビタミンCも含まれているため、鉄分の吸収を助ける効果も期待できます。おひたしや炒め物、スムージーなど、様々な調理法で取り入れましょう。
海藻類
ひじきは古くから貧血予防に良い食品として知られています。ただし、ひじきの鉄分含有量は調理に使用する鍋の素材によって大きく異なります。鉄鍋で煮たひじきは可食部100gあたり2.7mgの鉄分を含みますが、ステンレス鍋では0.3mgと約9分の1に減少します。
鉄分補給を目的とする場合は、鉄鍋を活用することをおすすめします。
豆類・ナッツ類
レンズ豆は可食部100gあたり4.3mg(ゆで)、そら豆は2.3mg、枝豆は2.7mgの鉄分を含みます。アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類も鉄分を含んでおり、間食として取り入れると良いでしょう。
鉄分の吸収を助けるビタミンCが豊富な食品
非ヘム鉄の吸収を高めるビタミンCを多く含む食品も積極的に摂取しましょう。
パプリカ(赤)は可食部100gあたり170mgのビタミンCを含み、野菜の中ではトップクラスです。ブロッコリーは120mg、キウイフルーツは69mg、いちごは62mg、オレンジは60mgのビタミンCを含んでいます。
ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、じゃがいもやピーマン、パプリカに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいため、炒め物や煮物にも活用できます。果物は生で食べることで効率よくビタミンCを摂取できます。
造血に必要なその他の栄養素を含む食品
貧血予防には鉄分だけでなく、赤血球の生成に関わる他の栄養素も重要です。
ビタミンB12を多く含む食品
ビタミンB12は赤血球のDNA合成に必要なビタミンで、不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。動物性食品に多く含まれ、牛レバー、豚レバー、かき(牡蠣)、さんま、あさり、しじみなどに豊富です。
葉酸を多く含む食品
葉酸もビタミンB12と同様に赤血球の生成に関わります。特に妊娠を望む女性や妊娠初期の女性は積極的な摂取が推奨されています。レバー類、ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、納豆、いちごなどに多く含まれています。
たんぱく質を多く含む食品
ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合してできているため、良質なたんぱく質の摂取も欠かせません。肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などからバランスよく摂取しましょう。
銅を含む食品
銅はヘモグロビンの合成を助ける働きがあります。レバー、かき(牡蠣)、ナッツ類、ココア、全粒穀物などに含まれています。
鉄分の吸収を阻害する食品・飲み物
鉄分を効率よく摂取するためには、吸収を阻害する成分についても理解しておくことが大切です。
タンニン(お茶・コーヒー・紅茶)
コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるタンニンは、鉄と結合して「タンニン鉄」となり、腸での吸収を阻害します。ある研究では、タンニンを25mg摂取すると鉄の吸収が67%減少し、100mgでは88%減少したと報告されています。
ただし、ヘム鉄はタンニンの影響を受けにくいという特徴があります。また、通常の食事に含まれる程度の量であれば、過度に気にする必要はないともされています。
貧血が気になる方は、食事の前後30分~1時間はコーヒーや紅茶、濃い緑茶を控え、麦茶やほうじ茶など、タンニンの少ない飲み物を選ぶと良いでしょう。
フィチン酸(玄米・全粒穀物)
玄米や全粒穀物、豆類に含まれるフィチン酸も鉄の吸収を阻害する成分です。健康のために玄米食を実践している方は、鉄分の多い食品やビタミンCを意識的に摂取するように心がけましょう。
シュウ酸(ほうれん草など)
ほうれん草に含まれるシュウ酸は、鉄と結合して吸収を妨げることがあります。ただし、ほうれん草を茹でることでシュウ酸の多くは除去されます。また、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することで、鉄の吸収率を高めることができます。
カルシウムの過剰摂取
カルシウムの大量摂取も鉄の吸収を阻害する可能性があります。カルシウムサプリメントを服用している場合は、鉄分を含む食事とは時間をずらして摂取することをおすすめします。
リン酸塩(加工食品)
インスタント食品やスナック菓子、清涼飲料水などの加工食品に含まれるリン酸塩も、鉄の吸収を妨げることがあります。貧血予防のためには、加工食品の摂りすぎを避け、新鮮な食材を使った手作りの料理を心がけましょう。
効率よく鉄分を摂取するための食事のポイント
1日3食をバランスよく食べる
貧血予防の基本は、規則正しくバランスの良い食事を摂ることです。朝食を抜いたり、極端なダイエットをしたりすると、鉄分だけでなく他の栄養素も不足しがちになります。主食・主菜・副菜をそろえ、様々な食品を組み合わせて食べることを心がけましょう。
ヘム鉄と非ヘム鉄をバランスよく摂取する
吸収率の高いヘム鉄を含む動物性食品を積極的に取り入れつつ、非ヘム鉄を含む植物性食品もバランスよく摂取することが大切です。動物性食品と植物性食品を組み合わせることで、非ヘム鉄の吸収率も高まります。
ビタミンCと一緒に摂取する
非ヘム鉄を効率よく吸収するために、ビタミンCを含む食品を一緒に摂りましょう。食後に果物を食べたり、野菜料理にレモン汁をかけたりすることで、鉄分の吸収率を高めることができます。
よく噛んでゆっくり食べる
食べ物をよく噛むことで胃酸の分泌が促進され、鉄分の吸収が高まります。また、梅干しやレモンなどの酸味のある食品も胃酸の分泌を促す効果があります。
鉄製の調理器具を活用する
鉄鍋や鉄製のフライパンで調理すると、調理中に鉄分が食品に溶け出し、摂取量を増やすことができます。南部鉄器の鍋や鉄玉子なども効果的です。特に、酢や醤油などの酸性の調味料を使った料理は、より多くの鉄分が溶け出します。
コーヒー・紅茶は食間に飲む
タンニンによる鉄分吸収阻害を避けるため、コーヒーや紅茶は食事の前後30分~1時間は避け、食間に飲むようにしましょう。深煎りのコーヒーはタンニンが少なめです。
貧血予防・改善のための1日の献立例
朝食
ごはん、納豆、小松菜のおひたし(かつお節をかける)、目玉焼き、オレンジジュース
納豆と卵から良質なたんぱく質と鉄分を摂取し、小松菜で非ヘム鉄を補います。オレンジジュースのビタミンCが鉄分の吸収を助けます。
昼食
牛肉とチンゲン菜のオイスターソース炒め、ひじきの煮物、豆腐の味噌汁、ごはん
牛肉からヘム鉄、チンゲン菜とひじきから非ヘム鉄を摂取します。豆腐でたんぱく質を補い、全体的にバランスの取れた献立です。
夕食
かつおのたたき(大葉とネギを添えて)、レバニラ炒め、ほうれん草と卵のスープ、ごはん、キウイフルーツ
かつおとレバーからヘム鉄をたっぷり摂取できます。ほうれん草と卵の組み合わせで非ヘム鉄の吸収も高まります。食後のキウイフルーツでビタミンCを補給します。
コンビニ・外食で選びたい鉄分が摂れるメニュー
忙しい現代人にとって、コンビニや外食を利用する機会は少なくありません。外出先でも貧血対策を意識した食事選びのポイントをご紹介します。
コンビニで選びたい商品
おにぎりを選ぶ際は、いくらや鮭などの具材がおすすめです。いくらには吸収率の高いヘム鉄が含まれています。
納豆巻きは手軽に鉄分とたんぱく質を摂取できる便利な商品です。
レバーを使った惣菜やお弁当も鉄分補給に効果的です。レバニラ炒めやレバーの甘辛煮などを選びましょう。
あさりご飯やあさりの味噌汁も鉄分とビタミンB12が豊富です。
最近では、鉄分を強化した野菜ジュースやヨーグルトドリンクなども販売されています。朝食を食べる時間がない時は、これらの飲料を活用するのも一つの方法です。
外食で選びたいメニュー
定食屋では、レバニラ定食やカツオのたたき定食、マグロ丼などがおすすめです。
焼肉店では、レバーや牛肉の赤身を選び、サンチュなどの野菜と一緒に食べましょう。
和食店では、あさりの酒蒸しや牡蠣料理、しじみの味噌汁などが鉄分補給に効果的です。
中華料理店では、レバニラ炒めや牛肉と野菜の炒め物などがおすすめです。
サプリメントの活用について
食事での改善が基本
貧血の予防・改善には、まず日常の食事から鉄分を摂取することが基本です。しかし、妊娠中や授乳中など鉄分の必要量が増加する時期や、仕事が忙しくてバランスの良い食事が難しい場合には、サプリメントや鉄分強化食品を活用することも一つの方法です。
サプリメント選びのポイント
鉄分サプリメントには、ヘム鉄サプリメント、非ヘム鉄サプリメント、キレート鉄サプリメントなどの種類があります。
ヘム鉄サプリメントは吸収率が高く、胃腸への負担が少ないのが特徴です。非ヘム鉄サプリメントは比較的安価ですが、人によっては胃部不快感を感じることがあります。
注意点
サプリメントは医薬品ではないため、効果が保証されているわけではありません。また、過剰摂取は体に害を及ぼす可能性があります。特に、長期間の過剰摂取は鉄沈着症のリスクがあるとされています。
貧血の症状が続く場合は、まず医療機関を受診し、原因を特定した上で適切な治療を受けることが大切です。医師の指導のもと、必要に応じて鉄剤の処方を受けることも検討しましょう。
医療機関の受診が必要なケース
食事を見直しても貧血の症状が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
受診を検討すべき症状として、強い疲労感や息切れが続く、めまいや動悸が頻繁に起こる、爪が割れやすい・変形している、氷を異常に食べたくなる、便に血が混じる・黒い便が出る、月経の出血量が多い・長引く、体重減少を伴うなどがあります。
貧血の背景には、胃潰瘍、大腸ポリープ、大腸がん、子宮筋腫、慢性腎臓病などの疾患が隠れていることがあります。特に男性の貧血は、消化管からの出血など重篤な疾患のサインである可能性があるため、早期の受診が重要です。
医療機関では、血液検査によってヘモグロビン値やフェリチン値などを測定し、貧血の程度や原因を診断します。原因に応じて、鉄剤の処方や原因疾患の治療が行われます。

まとめ
貧血は、特に女性に多くみられる健康上の問題ですが、日々の食生活を見直すことで予防・改善することが可能です。
貧血対策のポイントをまとめると、1日3食バランスの良い食事を心がけること、ヘム鉄を含む動物性食品(レバー、赤身肉、魚介類など)を積極的に摂取すること、非ヘム鉄を含む植物性食品はビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせること、コーヒーや紅茶は食事の前後を避けて飲むこと、鉄製の調理器具を活用することが挙げられます。
また、鉄分だけでなく、ビタミンB12、葉酸、たんぱく質など、造血に関わる栄養素もバランスよく摂取することが大切です。
食事の改善だけで症状が改善しない場合や、気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。貧血の背景には重篤な疾患が隠れている可能性もあります。
毎日の食事を少し工夫するだけで、貧血の予防・改善につなげることができます。今日からできることを始めて、健康な毎日を送りましょう。
参考文献・リンク
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/index.htm
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
- 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット 貧血予防に良い食事・食べ物・調理方法とは」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyou-shippei/hint-hinketsu.html
- 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-tetsu.html
- 国立長寿医療研究センター「貧血の原因は?」 https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/11.html
- 社会福祉法人恩賜財団済生会「巨赤芽球性貧血」 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/megaloblastic_anemia/
- 味の素株式会社「鉄分の多い食べ物ランキング!効率的な摂取方法とレシピを紹介」 https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/miraikondate/column/article_049/
- 株式会社ニチレイフーズ「鉄分の多い食べ物を効率良くとるには?管理栄養士がランキングで紹介」 https://wellness.nichirei.co.jp/contents/detail/_41
- 株式会社明治「貧血解消の強い味方!ビタミンCやタンパク質が鉄分の吸収率を上げる」 https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/adult/column002/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務