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「風邪は治ったはずなのに、咳だけがなかなか止まらない」「熱もないのに、コンコンという乾いた咳が何週間も続いている」——このような症状に悩まされている方は少なくありません。発熱を伴わない乾いた咳が長引く場合、その背景にはさまざまな原因が潜んでいる可能性があります。

本記事では、熱がないのに乾いた咳が続く原因として考えられる疾患、受診の目安、日常生活でできるセルフケアについて詳しく解説します。

図19

📑 目次

  1. 乾いた咳(乾性咳嗽)とは
  2. 咳の分類と持続期間による違い
  3. 熱はないのに乾いた咳が続く原因
    • 咳喘息
    • アトピー咳嗽
    • 胃食道逆流症(GERD)
    • 感染後咳嗽
    • 降圧薬(ACE阻害薬)の副作用
    • その他の原因
  4. 見逃してはいけない疾患
  5. 病院を受診する目安と受診科
  6. 自宅でできるセルフケアと対処法
  7. よくある質問
  8. 当院での診療について
  9. まとめ

🫁 乾いた咳(乾性咳嗽)とは

咳は大きく分けて、痰を伴わない「乾いた咳(乾性咳嗽:かんせいがいそう)」と、痰が絡む「湿った咳(湿性咳嗽:しっせいがいそう)」の2種類に分類されます。

乾性咳嗽は「コンコン」「ケンケン」といった音が特徴的で、痰がほとんど出ず、空咳が続く状態を指します。喉や気管支の粘膜が炎症や刺激で敏感になることで発生し、ほこり、温度差、乾燥などわずかな刺激でも咳が誘発されやすくなります。

一方、湿性咳嗽は「ゴホンゴホン」「ゲホゲホ」といった痰の絡んだ音が特徴で、副鼻腔炎、慢性気管支炎、気管支拡張症などでよく見られます。痰が絡む咳が長引く場合は、別の原因や治療法が必要になることがあります。

咳の性質を把握することは、原因疾患を推測するうえで重要な手がかりとなります。


⏰ 咳の分類と持続期間による違い

咳は持続期間によって以下の3つに分類されます。この分類は、原因疾患を絞り込むうえで非常に重要です。

🔹 急性咳嗽(3週間未満)

咳が出始めてから3週間未満の状態を急性咳嗽といいます。この時期の咳は、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症が原因であることが大半です。通常は自然に軽快しますが、症状が強い場合は対症療法が行われます。

🔹 遷延性咳嗽(3週間以上8週間未満)

咳が3週間以上8週間未満続く状態を遷延性咳嗽といいます。この段階になると、単なる風邪の可能性は低くなり、以下の原因を考慮する必要があります:

  • 感染後咳嗽
  • マイコプラズマ感染症
  • 百日咳などの特殊な感染症
  • 咳喘息などの非感染性疾患

🔹 慢性咳嗽(8週間以上)

咳が8週間以上続く場合は慢性咳嗽と呼ばれます。この段階では感染症が原因であることは稀で、以下のような非感染性の疾患が原因となっていることが多くなります:

  • 咳喘息
  • アトピー咳嗽
  • 胃食道逆流症
  • 副鼻腔気管支症候群

日本における慢性咳嗽の有病率は成人の約2.89%、患者数は約300万人と推定されており、決して珍しい状態ではありません。

高桑康太 医師・当院治療責任者

慢性咳嗽の診断は非常に複雑で、症状の詳細な観察と適切な検査が不可欠です。咳が8週間以上続く場合は、感染症以外の原因を積極的に検討し、患者様一人ひとりの症状に合わせた治療法を選択することが重要となります。早期の専門的な診断により、効果的な治療が可能になります。


🔍 乾いた咳が続くのに熱はない…考えられる原因

発熱を伴わない乾いた咳が長引く場合、以下のような疾患が考えられます。

🫁 咳喘息(せきぜんそく)

咳喘息は、日本における慢性咳嗽の原因として最も頻度の高い疾患です。通常の気管支喘息とは異なり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴や呼吸困難を伴わず、咳だけが唯一の症状として現れることが特徴です。

咳喘息の特徴

咳喘息では、アレルギー性の炎症により気道が過敏な状態(気道過敏性亢進)となり、わずかな刺激でも咳が出やすくなります。

主な症状と特徴は以下の通りです:

  • 痰を伴わない乾いた咳が8週間以上続く
  • 夜間から早朝にかけて咳が悪化しやすい
  • 季節の変わり目、寒暖差、運動、喫煙(受動喫煙含む)で症状が悪化する
  • 冷たい空気やほこり、ペットの毛などで咳が誘発される
  • 喉のイガイガ感や締め付け感を伴うことがある

咳喘息の診断と治療

診断においては、気管支拡張薬を使用して咳が改善するかどうかが重要な手がかりとなります。また、呼気中一酸化窒素(FeNO)検査や気道抵抗性試験なども診断に用いられます。

治療の第一選択は吸入ステロイド薬(ICS)です。症状が強い場合には、吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合剤が使用されます。

重要なポイントとして、咳喘息は放置すると約30〜40%の患者が本格的な気管支喘息に移行するとされています。早期に適切な治療を開始することで、喘息への移行を予防できる可能性があります。

🌸 アトピー咳嗽(あとぴーがいそう)

アトピー咳嗽は、咳喘息と並んで慢性咳嗽の主要な原因疾患の一つです。アレルギー体質(アトピー素因)を持つ方に多く見られ、特に中年の女性に発症しやすい傾向があります。

アトピー咳嗽の特徴

アトピー咳嗽では、気管支の中枢部分にアレルギー性の炎症が起こり、気道壁の表層にある咳受容体の感受性が亢進することで咳が出やすくなります。

主な症状と特徴は以下の通りです:

  • 痰を伴わない乾いた咳が長期間続く
  • 喉のイガイガ感、ヒリヒリ感、かゆみなどの違和感を伴う
  • 夕方から夜にかけて咳が悪化しやすい
  • 会話中、運動時、緊張やストレスで咳が誘発される
  • 冷たい空気やタバコの煙、強い香りなどで症状が悪化する

アトピー咳嗽の治療と予後

アトピー咳嗽と咳喘息は症状が非常に似ているため、鑑別が難しいことがあります。最も重要な違いは「気管支拡張薬の効果」です。

咳喘息では気管支拡張薬が有効ですが、アトピー咳嗽では無効です。これは、アトピー咳嗽が気道壁の表層にある咳受容体の過敏性が原因であり、深層にある気道平滑筋は関与していないためです。

治療の第一選択は抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)です。有効率は約60%とされており、効果が不十分な場合は吸入ステロイド薬の追加を検討します。

🔥 胃食道逆流症(GERD)

胃食道逆流症は、胃酸や胃内容物が食道に逆流することで胸やけや不快感を引き起こす疾患です。近年、日本でも増加傾向にあり、慢性咳嗽の原因として重要視されています。

胃食道逆流症と咳の関係

胃食道逆流症が咳を引き起こすメカニズムには、主に2つの経路が考えられています。

1つ目は、逆流した胃酸が食道上部から喉や気管まで到達し、直接的に刺激を与えて咳を誘発する経路です。2つ目は、食道下部への軽度の逆流でも、食道内の迷走神経が刺激されることで反射的に咳が起こる経路です。

胃食道逆流症による咳の治療

  • 胸やけ、呑酸(酸っぱいものが込み上げる感覚)を伴うことが多い
  • 食後や就寝時に咳が出やすい
  • 横になると症状が悪化する
  • 痰を伴わない乾いた咳が主体

治療の中心は、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーの内服です。また、生活習慣の改善も重要で、就寝前の食事を避ける、脂っこいものを控える、上半身を少し高くして寝るなどの対策が推奨されます。

💊 その他の主要な原因

感染後咳嗽

感染後咳嗽は、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症が治った後も、咳だけが長引く状態を指します。「風邪は治ったのに咳だけが残る」という訴えは非常に多く、遷延性咳嗽の原因として頻度の高い病態です。

降圧薬(ACE阻害薬)の副作用

高血圧の治療に広く使用されるACE阻害薬は、副作用として乾いた咳を引き起こすことがあります。現在これらの薬を服用していて咳が続いている場合は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談してください。


⚠️ 見逃してはいけない疾患

咳が長引く場合、以下のような重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。

🔴 重篤な疾患のサイン

肺がんの初期症状として乾いた咳が現れることがあります。咳が長期間続く場合や、血痰が見られる場合は、肺がんの可能性も考慮する必要があります。特に喫煙歴のある方は注意が必要です。

🔴 感染症による咳

結核は過去の病気と思われがちですが、現在でも発生しており、集団感染を引き起こすこともあります。咳が2週間以上続く場合、特に微熱や体重減少、寝汗などを伴う場合は結核の可能性を考慮する必要があります。

これらの疾患を見逃さないためにも、咳が長引く場合は胸部レントゲン検査などによる評価が重要です。


🏥 病院を受診する目安と受診科

📋 病院を受診すべきタイミング

以下のような場合は、医療機関を受診することをお勧めします:

  • 咳が2週間以上続いている
  • 咳がひどくて夜眠れない
  • 咳とともに息苦しさを感じる
  • 痰に血が混じる
  • 体重減少や微熱が続いている
  • 市販の咳止め薬を使用しても改善しない

特に8週間以上咳が続く場合は、咳喘息やアトピー咳嗽などの可能性が高く、専門的な検査と治療が必要です。

🏥 適切な受診科の選び方

咳が長引く場合、最も適した受診科は呼吸器内科です。

呼吸器内科では、以下のような検査を受けることができます:

  • 呼吸機能検査
  • 胸部レントゲン検査
  • CT検査
  • 呼気中一酸化窒素(FeNO)検査
  • アレルギー検査

一般内科でも初期の診察は可能ですが、診断が難しい場合や治療効果が不十分な場合は、呼吸器内科への紹介が検討されます。


🏠 自宅でできるセルフケアと対処法

医療機関を受診するまでの間、あるいは治療と並行して、以下のセルフケアを実践することで症状の緩和が期待できます。

💧 環境の改善

空気が乾燥すると気道の粘膜も乾燥し、刺激に敏感になって咳が出やすくなります。室内の湿度は40〜60%程度に保つことが推奨されます。

加湿器がない場合の対策:

  • 濡れたタオルを室内に干す
  • 洗濯物を部屋干しにする
  • 水を入れた容器を置いておく

🚰 水分補給と生活習慣

こまめな水分補給は、喉の粘膜を潤し、痰の排出を促す効果があります。冷たい飲み物は喉への刺激となるため、常温や温かい飲み物を選びましょう。

温かい飲み物は喉の保湿効果を高め、咳の症状を和らげる働きがあります。乾燥による喉の痛みがある場合も、適切な水分補給が症状改善に役立ちます。

🚫 刺激物の回避

以下のような刺激物は咳を誘発・悪化させる可能性があるため、できるだけ避けましょう:

  • タバコ(受動喫煙を含む)
  • 強い香りの化学物質(香水、芳香剤など)
  • ほこりやハウスダスト
  • 香辛料や辛味の強い食べ物
  • アルコール

🛏️ 睡眠環境の整備

夜間に咳が悪化する方は、寝室の環境を見直しましょう:

  • こまめに掃除を行い、ほこりやダニを減らす
  • エアコンのフィルターを定期的に清掃する
  • 就寝時は上半身を少し高くして寝る(胃酸逆流による咳の場合に有効)
  • 寝具を清潔に保つ

研究により、はちみつには咳を和らげる効果があることが報告されています。就寝前に小さじ1〜2杯程度のはちみつを摂取することで、夜間の咳が軽減する可能性があります。


❓ よくある質問

乾いた咳が2ヶ月続いていますが、風邪薬を飲んでも治りません。何が原因でしょうか?

2ヶ月(8週間)以上続く乾いた咳は慢性咳嗽と呼ばれ、風邪以外の原因が考えられます。最も多いのは咳喘息で、その他にもアトピー咳嗽、胃食道逆流症、降圧薬の副作用などが原因となることがあります。風邪薬では改善しないため、呼吸器内科での専門的な診断と治療が必要です。

夜中に咳が出て眠れません。日中はそれほどでもないのですが、なぜ夜に悪化するのでしょうか?

夜間に咳が悪化する理由はいくつかあります。①横になることで胃酸が逆流しやすくなる、②夜間は気道が狭くなりやすい、③室内の乾燥や温度変化、④ハウスダストやダニなどのアレルゲンへの暴露などが考えられます。寝室の加湿、上半身を少し高くして寝る、寝具の清潔保持などの対策が有効です。

咳喘息とアトピー咳嗽の違いがよくわかりません。どのように見分けるのでしょうか?

両者は症状が似ているため鑑別が困難ですが、最も重要な違いは気管支拡張薬の効果です。咳喘息では気管支拡張薬が有効ですが、アトピー咳嗽では無効です。また、咳喘息は将来的に気管支喘息に移行する可能性がありますが、アトピー咳嗽は移行しません。正確な診断には医療機関での検査が必要です。

高血圧の薬を飲み始めてから咳が出るようになりました。薬の副作用でしょうか?

ACE阻害薬という種類の降圧薬は、副作用として乾いた咳を引き起こすことがあります。服用開始から数週間〜数ヶ月後に出現し、夜間に多い傾向があります。自己判断で薬を中止せず、必ず主治医に相談してください。必要に応じて、咳の副作用がない他の降圧薬への変更が検討されます。

市販の咳止め薬はどのくらいの期間使用しても大丈夫でしょうか?

市販の咳止め薬は一時的な症状緩和を目的としており、長期使用は推奨されません。一般的には1〜2週間程度の使用にとどめ、それでも改善しない場合は医療機関を受診することをお勧めします。特に8週間以上続く慢性咳嗽では、根本的な原因の治療が必要であり、市販薬では対処できません。


🏥 当院での診療について

アイシークリニック東京院では、長引く咳でお悩みの患者様の診療を行っております。

咳の原因は多岐にわたるため、まずは詳細な問診により症状の経過や特徴を把握し、必要に応じて検査を行います。咳喘息やアトピー咳嗽が疑われる場合は、適切な治療薬の選択を行い、症状の改善を目指します。

「風邪は治ったのに咳だけが続く」「市販薬を試しても改善しない」といった症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。


🏥 当院での診療について

📝 まとめ

熱がないのに乾いた咳が長く続く場合、単なる風邪の名残ではなく、咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、感染後咳嗽、降圧薬の副作用など、さまざまな原因が考えられます。

咳の持続期間や性質、随伴症状を把握することは、原因を特定するうえで非常に重要です。特に8週間以上続く慢性咳嗽は、感染症以外の原因が多く、専門的な診断と治療が必要となることがほとんどです。

咳喘息の場合、放置すると約30〜40%が本格的な気管支喘息に移行するリスクがあるため、早期の診断・治療が大切です。また、肺がんや肺結核といった重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、長引く咳を自己判断で放置することは避けましょう。

2週間以上咳が続く場合は、呼吸器内科などの医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることをお勧めします。日常生活では、室内の加湿、水分補給、刺激物の回避などのセルフケアを実践することで、症状の緩和が期待できます。

咳は体を守るための防御反応ですが、長引くと体力を消耗し、睡眠の妨げにもなります。原因を正しく見極め、適切な治療を受けることで、快適な日常生活を取り戻しましょう。


📚 参考文献


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師の診察に代わるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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