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風邪をひいたとき、胃腸の調子が悪いとき、疲れがたまっているとき。そんなときに「消化の良いものを食べよう」と考える方は多いのではないでしょうか。しかし、具体的にどのような食べ物が消化に良いのか、なぜ消化の良い食べ物を選ぶべきなのかを詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。

本コラムでは、消化の仕組みから、消化の良い食べ物・悪い食べ物の一覧、さらには調理法や食べ方のコツまで、胃腸にやさしい食生活について詳しく解説します。体調を崩しやすい季節の変わり目や、日々の健康管理にぜひお役立てください。


目次

  1. 消化の仕組みを知ろう
  2. 消化の良い食べ物とは何か
  3. 消化にかかる時間の目安
  4. 消化の良い食べ物一覧(カテゴリ別)
  5. 消化の悪い食べ物とその理由
  6. 消化を良くする調理法と食べ方
  7. 場面別おすすめの食事
  8. 消化の良い食事を心がける際の注意点
  9. まとめ

1. 消化の仕組みを知ろう

消化の良い食べ物について理解するためには、まず私たちの体がどのように食べ物を消化しているのかを知ることが大切です。

消化とは

消化とは、口から摂取した食べ物を、体内に吸収できる小さな分子に分解するプロセスのことです。食べ物に含まれる栄養素の多くは、そのままの形では体内に取り込むことができません。炭水化物、タンパク質、脂質といった三大栄養素は、それぞれ消化酵素によって分解され、小腸から吸収される形に変わります。

消化には大きく分けて3つの種類があります。

まず、化学的消化です。これは唾液や胃液、膵液などに含まれる消化酵素の働きによって、食べ物を化学的に分解することを指します。例えば、唾液に含まれるアミラーゼは炭水化物を分解し、胃液に含まれるペプシンはタンパク質を分解します。

次に、物理的消化があります。これは口の中で食べ物をかみ砕いたり、胃や腸の蠕動運動によって食べ物を混ぜ合わせたりすることで、食べ物を細かくする働きです。よく噛んで食べることが消化に良いと言われるのは、この物理的消化を助けるためです。

最後に、生物的消化があります。これは主に大腸で行われ、腸内細菌によって難消化性の食物成分が分解されることを指します。

消化管の役割

私たちの消化管は、口から肛門まで続く一本の管で、成人では約9メートルにもなります。それぞれの部位が異なる役割を担っています。

口腔では、歯で食べ物をかみ砕き、唾液と混ぜ合わせます。唾液に含まれるアミラーゼという酵素によって、炭水化物の消化が始まります。しっかり噛むことで食べ物が細かくなり、唾液とよく混ざることで、後の消化がスムーズになります。

食道は、口と胃を結ぶ約25センチメートルの管です。蠕動運動によって食べ物を胃へと送り込みます。細かく砕かれた食べ物は、約1分ほどで食道を通過します。

胃は、食べ物を一時的に貯めて、胃液と混ぜ合わせる場所です。胃液にはpH1から2という強い酸性の胃酸や、タンパク質を分解するペプシンが含まれています。胃は筋肉でできた袋状の臓器で、1.5リットルから2リットルほどの容量があります。食べ物は胃の中で通常4時間ほどかけて消化され、どろどろの粥状になって小腸へと送られます。

小腸は、十二指腸、空腸、回腸からなり、全長は5メートルから6メートルほどあります。十二指腸では膵液や胆汁が分泌され、さらに消化が進みます。小腸の内壁には無数の小さな突起である絨毛があり、この絨毛を通じて栄養素が吸収されます。小腸は消化管の中で最も重要な部位であり、生命維持に欠かせない栄養吸収のほとんどがここで行われます。

大腸は全長約1.5メートルの管で、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の6つの部分に分かれています。大腸の主な役割は、水分とミネラルの吸収、そして便の形成です。小腸で栄養素が吸収された後の残りかすは、大腸を通過する間に水分が吸収され、次第に固形の便になっていきます。

消化に影響を与える要因

消化の速さや効率は、様々な要因によって左右されます。

食べ物の種類によって消化にかかる時間は大きく異なります。炭水化物は比較的早く消化されますが、タンパク質や脂質は消化に時間がかかります。また、食物繊維は人間の消化酵素では分解できないため、そのまま大腸まで到達します。

調理方法も消化に影響を与えます。加熱調理された食べ物は、生の状態よりも消化されやすくなります。また、食材を細かく切ったり、すりつぶしたりすることで、消化の負担を軽減できます。

食べ方も重要な要因です。よく噛んでゆっくり食べることで、食べ物が細かくなり、唾液とよく混ざるため、消化がスムーズになります。反対に、早食いや大食いは消化器官に負担をかけます。

体調やストレスも消化に影響します。自律神経は消化器官の働きをコントロールしているため、ストレスや疲労によって自律神経のバランスが崩れると、消化機能も低下しやすくなります。


2. 消化の良い食べ物とは何か

消化の良い食べ物とは、一般的に「消化に時間がかからず、消化器官に負担をかけにくい食べ物」を指します。では、具体的にどのような特徴を持つ食べ物が消化に良いのでしょうか。

消化の良い食べ物の特徴

消化の良い食べ物には、いくつかの共通した特徴があります。

まず、脂質が少ないことが挙げられます。脂質は三大栄養素の中で最も消化に時間がかかり、胃の蠕動運動を抑制する作用があります。そのため、脂質の多い食べ物は胃に長く留まり、胃もたれの原因になりやすいのです。脂身の少ない肉や白身魚などは、脂質が少なく消化に良い食材の代表です。

次に、食物繊維が少ないことも特徴の一つです。食物繊維は消化酵素で分解されないため、そのまま大腸まで到達します。食物繊維自体は腸内環境を整える働きがあり健康に良いものですが、胃腸が弱っているときには負担になることがあります。特に不溶性食物繊維が多い食材は、胃腸の調子が悪いときには避けた方が良いでしょう。

また、柔らかい食感も消化の良さに関係します。硬い食べ物や噛みにくい食べ物は、消化されにくく胃腸に負担をかけることが多いです。豆腐やバナナなどの柔らかい食べ物は、消化しやすい食材の代表例です。

さらに、加熱調理されていることも重要なポイントです。生の食材よりも加熱調理した食材の方が、一般的に消化されやすくなります。これは、加熱によってタンパク質が変性し、消化酵素の働きが良くなるためです。

なぜ消化の良い食べ物を選ぶべきなのか

体調が悪いときや胃腸が弱っているときに消化の良い食べ物を選ぶべき理由は、主に以下の点にあります。

消化器官への負担を軽減できます。風邪や胃腸炎などで体調を崩しているとき、体はウイルスや細菌と戦うためにエネルギーを使っています。そんなときに消化に多くのエネルギーを使ってしまうと、回復が遅れる可能性があります。消化の良い食べ物を選ぶことで、消化器官の負担を軽減し、体力の回復を促すことができます。

栄養を効率よく吸収できます。消化の良い食べ物は、効率よく消化吸収されるため、弱った体にも栄養が行き渡りやすくなります。特に体調不良時は食欲も落ちがちですので、少量でも効率よく栄養を摂取できることが重要です。

胃もたれや消化不良を防ぐことができます。消化に時間がかかる食べ物を食べると、胃に長時間食べ物が留まることになり、胃もたれや不快感の原因になります。特に夜遅い時間の食事では、消化の良い食べ物を選ぶことが睡眠の質にも影響します。


3. 消化にかかる時間の目安

食べ物が胃で消化されるのにかかる時間は、食材の種類によって大きく異なります。これを知っておくことで、場面に応じた食事選びに役立てることができます。

栄養素別の消化時間

三大栄養素それぞれの消化時間の目安は以下の通りです。

炭水化物(ご飯、パン、麺類など)は、胃での消化時間が約2時間から3時間と、比較的早く消化されます。これは、唾液に含まれるアミラーゼによって口の中から消化が始まり、さらに膵液中の消化酵素によって効率よく分解されるためです。

タンパク質(肉、魚、卵、豆腐など)は、胃での消化時間が約4時間から5時間かかります。タンパク質の消化には胃酸とペプシンが必要であり、炭水化物よりも複雑な分解過程を経るため、時間がかかります。

脂質(油、バター、脂身など)は、胃での消化時間が約7時間から8時間と最も長くなります。脂質は胃の蠕動運動を抑制する作用があるため、胃に長く留まります。また、脂質の消化には胆汁や膵液中のリパーゼが必要であり、主に十二指腸以降で本格的な消化が行われます。

食品別の胃内滞留時間の目安

具体的な食品の胃内滞留時間(100グラムあたり)の目安は以下の通りです。

おかゆは約2時間で消化されます。水分が多く、米がやわらかくなっているため、最も消化の早い主食の一つです。

白ご飯は約2.5時間から3時間で消化されます。おかゆよりは時間がかかりますが、主食の中では比較的早い部類に入ります。

うどんは約3時間で消化されます。麺類の中では消化が良く、体調不良時におすすめの主食です。

半熟卵は約1.5時間で消化されます。卵は調理方法によって消化時間が変わり、半熟卵が最も消化が早いとされています。

卵焼きは約3時間で消化されます。油を使って調理するため、半熟卵より消化に時間がかかります。

ステーキは約4時間で消化されます。タンパク質と脂質が多いため、消化に時間がかかります。

エビの天ぷらは約4時間で消化されます。油で揚げているため、脂質の消化に時間がかかります。

果物や野菜は約0.5時間から2時間で消化されます。果物や野菜には消化を助ける酵素が含まれているものも多く、比較的早く消化されます。

消化時間を左右する要因

同じ食材でも、以下の要因によって消化時間は変動します。

調理方法によって消化時間は変わります。例えば、卵は半熟卵、ゆで卵、生卵、目玉焼きの順で消化時間が長くなるとされています。また、同じ野菜でも、生のままより煮たり蒸したりした方が消化されやすくなります。

食べる量も影響します。当然ながら、食べる量が多ければ消化にかかる時間も長くなります。胃腸の調子が悪いときは、一回の食事量を少なめにすることで負担を軽減できます。

食べ合わせも重要です。消化の早い食べ物と遅い食べ物を一緒に食べると、全体の消化時間は遅い方に引きずられる傾向があります。

体調や精神状態も消化に影響します。ストレスや疲労があると自律神経のバランスが乱れ、消化機能が低下することがあります。また、空腹感や食べ物の美味しさ、食事の雰囲気なども、消化に影響を与えるとされています。


4. 消化の良い食べ物一覧(カテゴリ別)

ここからは、消化の良い食べ物を具体的にカテゴリ別にご紹介します。胃腸の調子が悪いときや、体調回復を目指すときの食事選びにお役立てください。

主食

おかゆは消化の良い主食の代表格です。通常のご飯よりも水分が多く、米が柔らかくなっているため、胃での消化時間が短くなります。風邪や胃腸炎などの際に最も勧められる主食です。全粥、七分粥、五分粥など、体調に応じて硬さを調整できるのも利点です。

やわらかく炊いたご飯も消化に良い主食です。通常より水を多めにして炊くことで、消化の負担を軽減できます。

うどんは麺類の中では消化が良い食品です。小麦粉から作られており、よく煮込むことでさらに消化しやすくなります。温かいかけうどんや煮込みうどんがおすすめです。

食パンは、耳を取ってトーストにすることでさらに消化が良くなります。胃腸の調子が悪いときは、バターやジャムを控えめにしたプレーンなトーストが適しています。

そうめんも消化の良い麺類の一つです。細いため茹で時間が短く、柔らかく仕上がりやすい特徴があります。

避けた方が良い主食としては、玄米、雑穀米、もち米、ラーメン、そば、パスタなどが挙げられます。玄米や雑穀米は食物繊維が多く、もち米は粘りが強いため消化に時間がかかります。そばは食物繊維が多く、ラーメンやパスタは油分が多いことが多いため、胃腸が弱っているときには避けた方が無難です。

タンパク質源(肉・魚・卵・大豆製品)

脂肪の少ない肉は消化に良いタンパク質源です。鶏ささみ、鶏むね肉(皮なし)、豚ヒレ肉、牛もも肉の赤身などが該当します。これらは脂質が少ないため、胃への負担が軽減されます。

白身魚は消化に良い魚の代表です。カレイ、タラ、鯛、ヒラメ、スズキなどは脂質が少なく、消化されやすい食材です。煮魚や蒸し魚など、油を使わない調理法がおすすめです。

卵は消化に良い食品ですが、調理方法によって消化時間が変わります。半熟卵や温泉卵が最も消化が良く、次いでゆで卵、茶碗蒸しなどが続きます。目玉焼きや卵焼きは油を使うため、やや消化に時間がかかります。

豆腐は大豆製品の中では消化が良い食品です。絹ごし豆腐は木綿豆腐よりも柔らかく、水分が多いため、より消化しやすいとされています。湯豆腐や冷奴など、シンプルな調理法が適しています。

はんぺんは白身魚のすり身から作られており、柔らかく消化の良い食品です。おでんの具材としても親しまれています。

避けた方が良いタンパク質源としては、脂身の多い肉(バラ肉、鶏皮など)、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉があります。これらは脂質が多いため、消化に時間がかかります。

野菜

食物繊維が比較的少なく、加熱すると柔らかくなる野菜は消化に良いとされています。

かぶは消化に良い野菜の代表です。柔らかく煮ると胃腸に優しく、体を温める効果も期待できます。

大根も消化に良い野菜です。大根には消化酵素のジアスターゼが含まれており、消化を助ける働きがあります。おろし大根として食べると、さらに消化を促進します。

人参は加熱すると柔らかくなり、消化しやすくなります。βカロテンが豊富で、免疫力を高める効果も期待できます。

キャベツは加熱すると柔らかくなり、消化しやすい野菜の一つです。キャベツに含まれるビタミンUは胃粘膜の保護に役立つとされています。

白菜も加熱すると柔らかくなる野菜です。水分が多く、あっさりとした味わいで、体調不良時にも食べやすいです。

かぼちゃはよく煮ると柔らかくなり、消化しやすくなります。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養素が豊富です。

ほうれん草は柔らかく茹でることで消化しやすくなります。鉄分やビタミン類が豊富で、体調回復時の栄養補給に適しています。

じゃがいもはよく加熱すると消化しやすくなります。マッシュポテトやポタージュスープなどにするとさらに消化が良くなります。

避けた方が良い野菜としては、食物繊維が多いごぼう、たけのこ、れんこん、ふき、セロリ、ニラなどがあります。また、きのこ類や海藻類も食物繊維が多いため、胃腸が弱っているときには控えた方が良いでしょう。さつまいもは食物繊維が多く、腸内で発酵しやすいため、お腹の調子が悪いときには避けることをおすすめします。

果物

りんごは消化に良い果物の代表です。りんごに含まれるペクチンには整腸作用があり、すりおろして食べるとさらに消化が良くなります。

バナナは柔らかく、消化に良い果物です。エネルギー源としても優れており、体調不良時のエネルギー補給に適しています。熟したバナナはより消化されやすくなります。

桃も柔らかく水分が多いため、消化に良い果物です。缶詰の桃も同様に消化しやすいです。

メロンは水分が多く、消化に良い果物の一つです。ただし、冷たいまま大量に食べると胃腸を冷やす可能性があるため、適量を心がけましょう。

避けた方が良い果物としては、食物繊維が多いキウイフルーツや、酸味が強い柑橘類(胃酸過多の場合)などがあります。また、ドライフルーツは食物繊維が濃縮されているため、胃腸が弱っているときには控えた方が良いでしょう。

乳製品

ヨーグルトは発酵食品であり、乳酸菌が含まれているため、牛乳よりも消化しやすいとされています。また、腸内環境を整える働きも期待できます。プレーンヨーグルトや低脂肪タイプがおすすめです。

低脂肪乳は通常の牛乳より脂肪分が少ないため、消化しやすくなっています。牛乳でお腹がゆるくなりやすい方にもおすすめです。

チーズは発酵食品であり、適量であれば消化に問題ありません。ただし、脂質が多いため、胃腸が弱っているときには少量にとどめましょう。

避けた方が良い乳製品としては、普通牛乳(乳糖不耐症の方や胃腸が弱っているとき)、生クリーム、アイスクリームなどがあります。特に冷たい乳製品は胃腸を冷やすため、体調不良時には避けた方が無難です。

その他

はちみつは消化に良い甘味料です。糖分が単糖類の形で含まれているため、消化の過程を経ずに吸収されます。エネルギー補給にも適しています。

豆乳は大豆から作られた飲料で、消化に良いタンパク質源です。牛乳でお腹の調子が悪くなる方の代替品としても利用されています。

ゼリーは柔らかく、消化に良いデザートです。水分補給にもなり、食欲がないときでも食べやすいです。フルーツゼリーなど、ビタミンを含むものもあります。

プリンも柔らかく消化に良いデザートです。卵と牛乳から作られており、タンパク質の補給にもなります。


5. 消化の悪い食べ物とその理由

消化の良い食べ物を知ると同時に、消化の悪い食べ物とその理由を理解しておくことも大切です。胃腸の調子が悪いときには、これらの食べ物を避けることで回復を早めることができます。

脂質の多い食べ物

脂質の多い食べ物は消化に最も時間がかかります。脂質は胃の蠕動運動を抑制する作用があるため、胃に長時間留まり、胃もたれの原因になります。

揚げ物(天ぷら、フライ、から揚げなど)は油を大量に使用しているため、消化に時間がかかります。特に衣に油がたっぷり吸収されているため、見た目以上に脂質を含んでいます。

脂身の多い肉(バラ肉、霜降り肉、鶏皮など)も消化に時間がかかります。赤身の部分と比較すると、脂身の部分は消化時間が大幅に長くなります。

青魚(サバ、イワシ、サンマなど)は脂質が多いため、白身魚と比較すると消化に時間がかかります。ただし、青魚に含まれるDHAやEPAは健康に良い脂質であるため、体調が良いときには積極的に摂取したい食材です。

バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類も消化に時間がかかります。料理に使用する際は控えめにすることで、全体の消化負担を軽減できます。

食物繊維の多い食べ物

食物繊維は人間の消化酵素で分解できないため、そのまま大腸まで到達します。通常は腸内環境を整える働きがありますが、胃腸が弱っているときには負担になることがあります。

ごぼう、たけのこ、れんこんなどの根菜類は不溶性食物繊維が多く、噛みごたえがある分、消化に時間がかかります。

きのこ類も食物繊維が多く、消化に時間がかかる食材です。しいたけ、えのき、しめじなど、どのきのこも同様です。

海藻類(わかめ、こんぶ、ひじきなど)も食物繊維が豊富です。整腸作用がありますが、胃腸が弱っているときには控えめにした方が良いでしょう。

玄米や雑穀米は白米に比べて食物繊維が多く、消化に時間がかかります。特に玄米は胃酸と同じくらいの酸性液に浸けても3時間後にほぼ原型を保っていたという報告もあるほど、消化されにくい食品です。

刺激の強い食べ物

刺激の強い食べ物は、胃粘膜を刺激して胃酸の分泌を促進するため、胃腸が弱っているときには避けた方が良いでしょう。

香辛料(唐辛子、コショウ、カレー粉など)は胃を刺激するため、胃腸の調子が悪いときには控えることをおすすめします。

酸味の強い食べ物(酢の物、柑橘類など)も胃を刺激することがあります。特に胃酸過多の症状がある場合は避けた方が良いでしょう。

カフェインを含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶など)も胃酸の分泌を促進するため、胃腸が弱っているときには控えめにしましょう。

アルコールは胃粘膜を直接刺激するため、胃腸の調子が悪いときには避けるべきです。

冷たい食べ物や飲み物

冷たい食べ物や飲み物は、胃腸を冷やして血流を悪くし、消化機能を低下させる可能性があります。

アイスクリームや冷たいジュースなどは、体調不良時には控えた方が良いでしょう。水分補給をする場合も、常温か温かい飲み物の方が胃腸に優しいとされています。


6. 消化を良くする調理法と食べ方

同じ食材でも、調理法や食べ方によって消化の良さは変わってきます。ここでは、消化を良くするためのポイントをご紹介します。

調理法のポイント

加熱調理をすることで食材は消化しやすくなります。生の状態よりも、煮る、蒸す、茹でるなどの調理を施した方が消化に良いです。特に野菜は加熱することで細胞壁が壊れ、消化酵素が働きやすくなります。

油を控えた調理法を選びましょう。同じ卵料理でも、半熟卵や茶碗蒸しは消化が良いですが、目玉焼きや卵焼きは油を使うため消化に時間がかかります。揚げ物よりも、煮物や蒸し物を選ぶことで消化の負担を軽減できます。

食材を細かく切ったり、すりつぶしたりすることも効果的です。大きな塊よりも細かく刻んだ方が、消化酵素が接触する表面積が増え、消化されやすくなります。大根おろしやすりりんごなどが消化に良いのはこのためです。

柔らかく調理することも大切です。野菜は硬いまま食べるよりも、柔らかく煮た方が消化しやすくなります。肉も長時間煮込んで柔らかくすることで、消化の負担を軽減できます。

食べ方のポイント

よく噛んで食べることが最も基本的で重要なポイントです。よく噛むことで食べ物が細かくなり、唾液とよく混ざります。唾液に含まれる消化酵素によって、口の中から消化が始まります。一口30回を目安によく噛むことをおすすめします。

ゆっくり時間をかけて食べましょう。早食いは大きな塊のまま飲み込むことになり、胃腸への負担が大きくなります。また、早食いは食べ過ぎにもつながりやすいです。

一回の食事量を控えめにすることも大切です。胃腸の調子が悪いときは、一度に大量に食べるよりも、少量を複数回に分けて食べる方が負担が少なくなります。

温かい状態で食べることをおすすめします。温かい食べ物は胃腸を温め、血流を良くして消化機能を高める効果があります。反対に、冷たい食べ物は胃腸を冷やし、消化機能を低下させる可能性があります。

食事中に水分を摂りすぎないようにしましょう。食事中に大量の水分を摂ると、胃液が薄まり消化効率が下がることがあります。水分補給は食事の前後に行う方が良いでしょう。

食事の時間帯

夕食は早めに済ませることをおすすめします。寝る前に食べると、消化が進まないまま就寝することになり、胃もたれや睡眠の質の低下につながります。就寝の2時間から3時間前までに食事を終えることが理想的です。

夜遅い時間に食事をする場合は、特に消化の良い食べ物を選びましょう。脂質の多い食べ物は避け、おかゆやうどん、温かいスープなどが適しています。


7. 場面別おすすめの食事

体調や状況によって、最適な食事は異なります。ここでは、よくある場面ごとにおすすめの食事をご紹介します。

風邪をひいたとき

風邪をひいたときは、体がウイルスと戦っているため、消化に多くのエネルギーを使いたくありません。消化の良い食べ物で効率よく栄養を摂取することが大切です。

おかゆは風邪のときの定番食です。水分補給にもなり、体を温める効果もあります。卵を加えた卵がゆにすると、タンパク質も一緒に摂取でき、栄養価が高まります。梅干しを添えると、クエン酸の効果で疲労回復にも役立ちます。

温かいうどんも風邪のときにおすすめです。消化が良く、エネルギー源になる炭水化物を効率よく摂取できます。卵や柔らかく煮た野菜を加えると、栄養バランスも良くなります。

野菜スープは、複数の野菜を柔らかく煮込むことで、ビタミンやミネラルを効率よく摂取できます。スープごと飲むことで、野菜から溶け出した栄養素も逃さず摂ることができます。

湯豆腐は消化が良く、タンパク質の補給に適しています。温かい状態で食べることで、体を温める効果もあります。

発熱時は水分とエネルギーの消耗が激しいため、経口補水液やスポーツドリンクで水分とミネラルを補給することも大切です。食欲がない場合は、ゼリーやヨーグルトなど、食べやすいものから始めましょう。

胃もたれのとき

胃もたれは、胃に食べ物が長時間留まっている状態です。胃の負担を軽減するため、特に消化の良い食べ物を選ぶ必要があります。

おかゆや軟らかく炊いたご飯が最適です。水分が多く、胃での消化時間が短いため、胃への負担が少なくなります。

白身魚の煮つけや蒸し魚は、脂質が少なく消化に良いタンパク質源です。醤油や塩で薄く味付けした、あっさりとした調理法がおすすめです。

温かい味噌汁は、胃を温めながら水分と塩分を補給できます。具材は消化の良い豆腐や柔らかく煮た野菜を選びましょう。

バナナやりんごのすりおろしは、消化が良く胃に優しい果物です。食欲がないときでも食べやすく、エネルギー補給になります。

避けるべき食べ物としては、揚げ物、脂っこい料理、香辛料の効いた料理、アルコール、カフェインを含む飲み物などがあります。

下痢のとき

下痢のときは水分と電解質が失われやすいため、これらの補給が最も重要です。また、胃腸に負担をかけない食事を心がけましょう。

経口補水液やスポーツドリンクで水分と電解質を補給することが最優先です。水だけを大量に飲むと、電解質のバランスが崩れる可能性があるため、塩分やミネラルも一緒に補給することが大切です。

おかゆは下痢のときにも適した食事です。水分補給にもなり、消化に負担がかかりません。症状がひどいときは、重湯(おかゆの上澄み液)から始めることをおすすめします。

白身魚や鶏ささみなど、脂質の少ないタンパク質源を選びましょう。茹でるか蒸すなど、油を使わない調理法が適しています。

りんごのすりおろしは下痢のときにおすすめです。りんごに含まれるペクチンには整腸作用があり、下痢の症状を和らげる効果が期待できます。

避けるべき食べ物としては、牛乳や生クリームなどの乳製品(乳糖が下痢を悪化させることがある)、食物繊維の多い野菜やきのこ、海藻、さつまいも(腸内で発酵しやすい)、揚げ物や脂っこい料理、香辛料の効いた料理、冷たい飲み物や食べ物などがあります。

病み上がりのとき

病み上がりのときは、まだ体力が完全に回復していない状態です。消化に良い食べ物を選びながらも、徐々に栄養バランスの取れた食事に戻していくことが大切です。

最初はおかゆやうどんなど、消化の良い主食から始めましょう。体調が回復してきたら、徐々に通常のご飯に戻していきます。

タンパク質は回復に重要な栄養素です。最初は消化の良い豆腐や半熟卵から始め、徐々に白身魚、鶏ささみなどに移行していきます。

野菜は柔らかく煮たものから始め、体調に応じて種類を増やしていきます。野菜スープやポタージュスープは、野菜の栄養を効率よく摂取できる調理法です。

果物はビタミン補給に役立ちます。バナナやりんごなど消化の良い果物から始め、体調が回復したら他の果物も取り入れていきましょう。

一度に大量に食べるのではなく、少量を複数回に分けて食べることで、胃腸への負担を軽減しながら必要な栄養を摂取できます。


8. 消化の良い食事を心がける際の注意点

消化の良い食事は胃腸に優しい反面、いくつかの注意点があります。

栄養バランスへの配慮

消化の良い食べ物を選ぶと、どうしても食物繊維や脂質が少なくなりがちです。体調が悪いときは短期間であればこれで問題ありませんが、長期間続けると栄養が偏る可能性があります。

体調が回復してきたら、徐々に通常の食事に戻していくことが大切です。食物繊維は腸内環境を整える重要な栄養素ですし、適度な脂質は必須脂肪酸の摂取やビタミンの吸収に必要です。

また、消化の良い食べ物だけに偏ると、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足することがあります。おかゆだけでなく、卵や豆腐などのタンパク質源、野菜なども組み合わせて、できるだけバランスの取れた食事を心がけましょう。

おかゆの栄養面での限界

おかゆは消化に良い代表的な食べ物ですが、栄養面では炭水化物が中心であり、それだけではタンパク質やビタミン、ミネラルが不足します。

卵や鶏ささみ、白身魚などを加えた卵がゆや雑炊にすることで、タンパク質を補うことができます。柔らかく煮た野菜を加えれば、ビタミンやミネラルも摂取できます。

梅干しを添えるのは味付けだけでなく、クエン酸によって疲労回復を促す効果も期待できます。

個人差への配慮

消化の良さには個人差があります。同じ食べ物でも、人によって消化のしやすさは異なります。

乳糖不耐症の方は、牛乳を飲むとお腹を壊しやすいです。このような方は、ヨーグルトや低脂肪乳、豆乳などの代替品を選びましょう。

食物アレルギーがある方は、該当する食品を避ける必要があります。卵や小麦、大豆などは消化に良いとされていますが、アレルギーがある場合は当然避けなければなりません。

自分の体質や体調に合った食べ物を把握しておくことが大切です。

医療機関への相談

消化器系の症状が長引く場合や、激しい腹痛、血便、嘔吐が続く場合などは、自己判断せず医療機関を受診してください。

特に以下のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

腹痛が強く、我慢できない場合。嘔吐が続き、水分も摂れない場合。血便や黒色便が出た場合。発熱を伴う腹痛がある場合。症状が1週間以上改善しない場合。


9. まとめ

消化の良い食べ物について、基本的な知識から具体的な食材、調理法まで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

消化の良い食べ物の特徴は、脂質が少ないこと、食物繊維が少ないこと、柔らかい食感であること、加熱調理されていることの4点です。おかゆ、うどん、白身魚、鶏ささみ、豆腐、卵、柔らかく煮た野菜などが代表的な消化の良い食べ物です。

反対に、揚げ物などの脂質の多い食べ物、ごぼうやきのこなど食物繊維の多い食べ物、香辛料など刺激の強い食べ物、冷たい食べ物は消化に時間がかかるため、胃腸が弱っているときには避けた方が良いでしょう。

調理法や食べ方も消化に大きく影響します。加熱調理、油を控えた調理法、食材を細かくすること、よく噛んでゆっくり食べること、温かい状態で食べることが消化を良くするポイントです。

体調や状況に応じて最適な食事は異なります。風邪のとき、胃もたれのとき、下痢のとき、病み上がりのときなど、それぞれの状況に合った食事選びを心がけましょう。

ただし、消化の良い食事だけを長期間続けると栄養が偏る可能性があります。体調が回復してきたら、徐々に通常の食事に戻していくことが大切です。

胃腸の調子を整えることは、全身の健康維持につながります。日頃から消化に良い食生活を意識しながら、バランスの取れた食事を心がけていきましょう。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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