健康診断の結果を見て「白血球の数値が高い」と指摘され、不安を感じている方は少なくないでしょう。白血球は私たちの体を守る大切な免疫細胞ですが、数値が基準値を超えている場合、その原因を正しく理解し、適切に対処することが重要です。
この記事では、白血球が高くなる原因から、数値を正常化させるための具体的な生活習慣の改善方法、そして医療機関を受診すべきタイミングまで、わかりやすく解説します。白血球の数値が気になっている方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- 白血球とは?体を守る免疫細胞の基礎知識
- 白血球の基準値と検査結果の見方
- 白血球が高くなる原因
- 白血球を下げるための生活習慣改善
- 白血球と関連する検査項目(CRPなど)
- 医療機関を受診すべきタイミング
- 白血球増加に関するよくある質問
- まとめ
1. 白血球とは?体を守る免疫細胞の基礎知識
白血球の役割
白血球は、血液中に存在する細胞の一種で、私たちの体を細菌やウイルス、真菌などの病原体から守る「免疫システムの主役」ともいえる存在です。体内に異物が侵入すると、白血球はそれを攻撃・排除して感染症から体を守ります。
白血球は骨髄で作られ、血液中を流れながら全身をパトロールしています。傷口から細菌が入ったり、ウイルスに感染したりすると、白血球は素早く反応して増殖し、病原体と戦います。このため、感染症にかかっているときは白血球の数が増加するのです。
白血球の種類と働き
白血球は単一の細胞ではなく、異なる働きを持つ複数の種類の細胞の総称です。主に以下の5種類に分類されます。
好中球は白血球全体の約45~75%を占める最も多い種類です。細菌や真菌に対する防御機能を担い、病原体を貪食(どんしょく)して殺菌する働きがあります。細菌感染症のときに最も増加しやすい白血球です。
リンパ球は白血球全体の約20~50%を占め、ウイルス感染や腫瘍細胞の排除に関わります。免疫反応の司令塔としての役割も担っており、1000種類以上の外敵の情報を記憶しているといわれています。
単球は白血球全体の約3~8%を占める大型の白血球です。組織に移動するとマクロファージ(大食細胞)に変化し、病原体を食べて処理するほか、傷んだ細胞や老廃物の処理も行います。
好酸球は白血球全体の約0~10%を占め、主にアレルギー反応や寄生虫感染に関与します。喘息や蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある方では、この細胞の割合が高くなることがあります。
好塩基球は白血球の中で最も少なく、全体の1%未満です。アレルギー反応に関与していますが、その詳しい機能についてはまだ研究途上にあります。
白血球と免疫の関係
白血球は「自然免疫」と「獲得免疫」という2つの免疫システムの両方で重要な役割を果たしています。
自然免疫は生まれながらに備わっている防御システムで、好中球や単球(マクロファージ)が中心となって働きます。病原体が体内に侵入すると、これらの細胞が素早く反応して攻撃を開始します。
一方、獲得免疫はリンパ球が担当する後天的な免疫システムです。一度感染した病原体を記憶し、再び同じ病原体に遭遇したときに効率よく排除できるようになります。予防接種(ワクチン)は、この獲得免疫の仕組みを利用したものです。
2. 白血球の基準値と検査結果の見方
白血球の基準値
白血球数の基準値は、日本人間ドック学会では3,100~8,400/μL(マイクロリットル)と定められています。医療機関によって多少の違いはありますが、おおむね3,300~9,000/μL程度が正常範囲とされています。
この基準値を超えると「白血球増加症」、下回ると「白血球減少症」と判定されます。ただし、基準値を少し外れただけで必ずしも病気というわけではありません。
白血球数の特徴として、個人差が大きいことが挙げられます。例えば、普段から3,500~4,500/μL程度で安定している人もいれば、7,000~8,000/μL程度が通常という人もいます。そのため、自分自身の「ふだんの数値」を把握しておくことが重要です。数年分の健康診断結果を保管しておき、経年変化を確認できるようにしておくと、異常の早期発見に役立ちます。
白血球数の判定基準の目安
日本人間ドック学会の判定基準を参考にすると、おおむね以下のように分類されます。
基準範囲は3,100~8,400/μLです。この範囲内であれば、通常は問題ないと考えられます。
軽度異常は8,500~9,000/μL程度です。経過観察が推奨されることが多いですが、すぐに治療が必要な状態ではありません。
要経過観察は9,000~9,900/μL程度です。再検査や定期的なフォローアップが推奨されます。
要医療は3,000/μL以下または10,000/μL以上です。この範囲の数値が出た場合は、医療機関での精密検査が必要とされます。
検査結果を見るときのポイント
白血球数は日内変動があり、1日の中でも数値が変化します。また、運動後や食後、ストレスを感じているときなどは一時的に高くなることがあります。そのため、1回の検査結果だけで判断するのではなく、以下のポイントを意識して結果を見ることが大切です。
前回の数値との比較を行いましょう。急激な増加や減少がないかを確認します。基準値内であっても、自分にとって大きな変化があれば注意が必要です。
検査時の体調を思い出しましょう。風邪を引いていた、寝不足だった、激しい運動をした直後だったなど、検査時の状況によって数値が影響を受けることがあります。
他の検査項目との関連を見ましょう。白血球数だけでなく、CRP(炎症マーカー)や赤血球数、血小板数なども合わせて確認すると、体の状態をより正確に把握できます。
3. 白血球が高くなる原因
白血球が増加する原因は多岐にわたります。一時的なものから、治療が必要な病気まで様々ですので、原因を正しく理解することが大切です。
病気以外の原因(生理的変動)
白血球は、病気でなくても以下のような状況で一時的に増加することがあります。これを「生理的変動」と呼びます。
喫煙は、健康診断で白血球増加が見つかる最も多い原因のひとつです。タバコに含まれる有害物質によって体内で慢性的な炎症が起こり、白血球が増加します。禁煙すると1年後には約300/μL減少し、この傾向は禁煙後3~4年続くことがわかっています。喫煙者で白血球が高いと指摘された場合、まず禁煙を検討することが重要です。
肥満も白血球増加の原因となります。脂肪組織は単に脂肪を蓄えるだけでなく、炎症性物質を分泌することが知られています。このため、肥満の方は慢性的に軽度の炎症状態にあり、白血球が高めになる傾向があります。
ストレスによっても白血球は増加します。体がストレスに反応すると、コルチゾールなどのホルモンが分泌され、白血球数に影響を与えます。強いストレスが続いている方は、数値が高くなりやすい傾向があります。
激しい運動の後は一時的に白血球が増加します。これは運動によって体が受けるストレス反応の一種で、通常は数時間で正常に戻ります。
睡眠不足や疲労の蓄積も白血球数に影響します。十分な休養が取れていない状態では、免疫系のバランスが乱れ、白血球数が変動しやすくなります。
妊娠中や月経時にも白血球数が変動することがあります。これはホルモンバランスの変化によるもので、多くの場合は心配いりません。
食後にも軽度の白血球増加が見られることがあります。これは消化吸収の過程で生じる生理的な反応です。
感染症
細菌感染症は白血球、特に好中球が増加する代表的な原因です。肺炎、虫垂炎、胆のう炎、膀胱炎、扁桃炎などの急性感染症にかかると、体は病原体と戦うために白血球を大量に産生します。感染が治まれば白血球数も正常に戻ります。
一方、ウイルス感染症(風邪、インフルエンザなど)では、白血球数が増加することもあれば、逆に減少することもあります。ウイルスの種類や感染の時期によって反応が異なるためです。
炎症性疾患・自己免疫疾患
関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの慢性炎症性疾患では、持続的な炎症反応によって白血球が増加することがあります。
自己免疫疾患は、本来は体を守るはずの免疫系が、誤って自分自身の組織を攻撃してしまう病気です。このような状態でも白血球数が増加することがあります。
アレルギー
アレルギー反応が起きると、特に好酸球という種類の白血球が増加します。喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患をお持ちの方は、好酸球が高めになることがあります。
薬剤の影響
特定の薬剤によって白血球が増加することがあります。代表的なものとして、ステロイド薬(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)が挙げられます。ステロイド薬は炎症を抑える目的で使用されますが、副作用として好中球を増加させる働きがあります。薬を中止すれば通常は正常化します。
その他、エピネフリン(アドレナリン)製剤やリチウム製剤なども白血球増加の原因となることがあります。
血液疾患
白血球が数万単位で著しく増加している場合は、血液疾患の可能性も考慮する必要があります。
急性白血病は、骨髄で未成熟な白血球(芽球)が異常に増殖する病気です。発熱、疲労感、出血傾向、貧血などの症状が現れることがあります。
慢性骨髄性白血病は、成熟した白血球が過剰に増殖する病気です。初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断で偶然発見されることが多い疾患です。
真性赤血球増加症は、赤血球だけでなく白血球や血小板も増加することがある骨髄の病気です。
これらの血液疾患は専門的な検査と治療が必要となりますので、白血球が著しく高い場合は血液内科の受診が推奨されます。
その他の原因
心筋梗塞などの組織障害や、がんの存在によっても白血球が増加することがあります。また、脾臓を摘出した後にも白血球増加が見られることがあります。
4. 白血球を下げるための生活習慣改善
白血球が高い場合、その原因によって対処法は異なります。感染症などの病気が原因であれば、その治療が優先されます。しかし、喫煙・肥満・ストレスなどの生活習慣が原因で慢性的に白血球が高くなっている場合は、生活習慣の改善によって数値を正常化させることが期待できます。
禁煙の重要性
喫煙が白血球増加の原因となっている場合、禁煙は最も効果的な対策です。
タバコに含まれる有害物質は、気道や血管、全身の細胞に炎症を引き起こします。この慢性炎症に対応するため、体は白血球を増産し続けます。禁煙することでこの悪循環を断ち切ることができます。
禁煙後1年で白血球数は約300/μL減少し、この改善傾向は3~4年続くとされています。ただし、喫煙によって上昇した白血球数が完全に正常化するまでには数年かかることもあります。すぐに結果が出なくても、諦めずに禁煙を継続することが大切です。
また、白血球増加の状態が続くことは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることもわかっています。禁煙は白血球の正常化だけでなく、心血管疾患の予防にもつながる重要な取り組みです。
禁煙が難しい場合は、禁煙外来の利用も検討してみてください。ニコチンパッチやニコチンガム、禁煙補助薬などを使うことで、禁煙の成功率を高めることができます。
体重管理と適正体重の維持
肥満は白血球増加の原因となるだけでなく、生活習慣病のリスクも高めます。適正体重を維持することが、白血球の正常化と全身の健康維持の両方に役立ちます。
BMI(体格指数)は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できます。日本肥満学会では、BMI 25以上を肥満と定義しています。目標としては、BMI 18.5~25の範囲を維持することが望ましいとされています。
急激なダイエットは体に負担をかけるため、月に0.5~1kg程度の緩やかな減量を目指しましょう。食事内容の見直しと適度な運動を組み合わせることで、健康的に体重を管理できます。
バランスの良い食事
特定の食品で白血球数を直接下げることはできませんが、バランスの良い食事は全身の健康維持と免疫機能の正常化に重要です。
野菜と果物を積極的に摂取しましょう。ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富な野菜や果物は、体内の炎症を抑える働きがあります。1日350g以上の野菜摂取が推奨されています。
良質なタンパク質を適量摂りましょう。魚(特に青魚)、大豆製品、鶏肉などから良質なタンパク質を摂取することは、免疫機能の維持に欠かせません。青魚に含まれるDHAやEPAには、炎症を抑える作用もあります。
食物繊維を十分に摂りましょう。野菜、海藻、きのこ類、全粒穀物などに含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、免疫機能の正常化に寄与します。
塩分・糖分・脂肪分の過剰摂取を避けましょう。これらの過剰摂取は、肥満や生活習慣病のリスクを高め、結果的に体内の炎症を増加させる可能性があります。
お茶を飲む習慣も有効です。緑茶に含まれるカテキンには、活性酸素の生成を抑制し、白血球の流れを良くする働きがあるといわれています。
適度な運動
定期的な適度な運動は、免疫機能を正常化させ、ストレスを軽減する効果があります。
有酸素運動として、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどを週に150分以上(1日30分×5日など)行うことが推奨されています。
ただし、激しすぎる運動は一時的に白血球を増加させたり、免疫機能を低下させたりすることがあります。無理のない強度で継続することが大切です。
運動習慣がない方は、まずは1日10分のウォーキングから始めて、徐々に時間と強度を増やしていくとよいでしょう。
ストレス管理
慢性的なストレスは白血球増加の原因となるだけでなく、様々な心身の不調につながります。こまめにストレスを発散することを心がけましょう。
十分な睡眠を確保しましょう。睡眠不足は免疫機能を低下させ、ストレスホルモンの分泌を増加させます。成人では1日7~8時間の睡眠が推奨されています。
リラックスする時間を設けましょう。入浴、読書、音楽鑑賞、瞑想、深呼吸など、自分なりのリラックス方法を見つけて実践しましょう。
趣味や社会活動を楽しみましょう。好きなことに没頭する時間や、人との交流は、ストレス軽減に効果的です。
必要に応じて専門家に相談しましょう。ストレスが強く、自分では対処が難しいと感じる場合は、心療内科やカウンセラーへの相談も選択肢のひとつです。
十分な休養
疲労の蓄積は免疫系のバランスを乱し、白血球数に影響を与えることがあります。仕事や家事で忙しい毎日でも、意識的に休養を取ることが大切です。
質の良い睡眠を心がけましょう。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室の環境を整えることで、睡眠の質を向上させることができます。
休日はしっかり休みましょう。休日も予定を詰め込みすぎず、体を休める時間を確保しましょう。
5. 白血球と関連する検査項目(CRPなど)
白血球数だけでなく、他の検査項目と合わせて見ることで、体の状態をより正確に把握できます。
CRP(C反応性タンパク)
CRPは、体内で炎症が起きているかどうかを知るための代表的な検査項目です。炎症や組織の障害があると、肝臓でCRPが作られ、血液中の濃度が上昇します。
CRPの一般的な基準値は0.3mg/dL未満です。0.3~1.0mg/dL程度の軽度上昇は、風邪などの軽い炎症でも起こりえます。3.0mg/dL以上になると、細菌感染や比較的強い炎症が疑われます。
CRPと白血球の両方を測定することで、感染症の時期や種類を推定することができます。
感染初期は、白血球が増加しているがCRPはまだ正常という状態が見られます。これは白血球のほうがCRPより早く反応するためです。
感染の極期は、白血球もCRPも両方高値という状態です。
感染後期は、白血球は正常に戻りつつあるがCRPはまだ高いという状態が見られます。CRPは白血球より遅れて下降します。
また、CRPは細菌感染では上昇しますが、ウイルス感染ではあまり上昇しないという特徴があります。この違いは、感染症の原因が細菌かウイルスかを判断する手がかりになります。
白血球分画
白血球分画は、白血球の種類別の割合を調べる検査です。好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球がそれぞれ何%ずつ存在するかを確認します。
白血球の総数だけでなく、どの種類の白血球が増減しているかを知ることで、原因の推定に役立ちます。
好中球の増加は、細菌感染症、喫煙、ストレス、ステロイド使用などで見られます。
リンパ球の増加は、ウイルス感染症や慢性リンパ性白血病などで見られます。
好酸球の増加は、アレルギー疾患、寄生虫感染、特定の薬剤使用などで見られます。
好塩基球の増加は、まれですが、骨髄増殖性疾患などで見られることがあります。
単球の増加は、慢性炎症や感染症の回復期などで見られます。
赤血球・血小板
白血球と同様に骨髄で作られる赤血球と血小板も、白血球異常の原因を探る手がかりになります。
白血球、赤血球、血小板のすべてが増加している場合は、骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病など)の可能性があります。
白血球は増加しているが赤血球や血小板は減少している場合は、急性白血病やがんの骨髄転移などの可能性があります。
白血球、赤血球、血小板のすべてが減少している場合は、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、肝硬変などの可能性があります。
血沈(赤血球沈降速度)
血沈は、血液を試験管に入れて静置したときに、赤血球が沈む速度を測定する検査です。体内に炎症があると、血沈は速くなります。
CRPが急性炎症の指標として使われるのに対し、血沈は慢性炎症の評価に適しています。関節リウマチなどの膠原病では、CRPとともに血沈も高値を示すことが多いです。
6. 医療機関を受診すべきタイミング
白血球数の軽度な上昇は、多くの場合、経過観察で問題ありません。しかし、以下のような場合は医療機関を受診することをおすすめします。
すぐに受診すべき症状
発熱が続いている場合は、感染症の可能性がありますので、早めに受診しましょう。
倦怠感が強い場合は、白血病などの血液疾患の可能性も考慮する必要があります。
出血しやすい、アザができやすいという症状は、血小板減少や血液疾患のサインである可能性があります。
リンパ節の腫れがある場合は、感染症やリンパ腫などの可能性があります。
原因不明の体重減少がある場合は、悪性疾患の可能性も考慮する必要があります。
息切れ、頭痛、視力障害などの症状がある場合で、白血球数が極めて高い(50,000/μL以上など)場合は、白血球うっ滞症候群という緊急を要する状態の可能性があります。
検査数値による受診の目安
白血球数が10,000/μL以上の場合は、精密検査を受けることが推奨されます。
白血球数が15,000/μL以上で持続する場合は、強い炎症や血液疾患の可能性があるため、血液内科の受診が推奨されます。
白血球数が20,000~30,000/μL以上の場合は、白血病など重篤な疾患の可能性があり、早急な受診が必要です。
白血球数が数万~数十万と極端に高い場合は、緊急の治療を要する可能性があります。
再検査の重要性
健康診断で白血球増加を指摘された場合、まずは再検査を受けることが大切です。健康診断時に風邪を引いていた、検査直前に激しい運動をしたなどの理由で、一時的に数値が高くなっていた可能性があるためです。
再検査で正常範囲内に戻っていれば、問題ないことがほとんどです。しかし、再検査でも高値が続く場合は、原因の精査が必要になります。
受診時に持参すると良いもの
過去の健康診断結果があれば持参しましょう。白血球数の経年変化を確認することで、急激な増加なのか、もともと高めだったのかを判断する材料になります。
現在服用している薬やサプリメントのリストも持参しましょう。薬剤が白血球増加の原因となっている可能性を検討するためです。
症状がある場合は、いつからどのような症状があるかをメモしておくと、診察がスムーズに進みます。

7. 白血球増加に関するよくある質問
毎年の健康診断で繰り返し白血球増加を指摘される場合、最も多い原因は喫煙と肥満です。このような場合は、常に軽度の高値を示す傾向があります。
まずは喫煙習慣があれば禁煙を、肥満があれば体重管理を試みることをおすすめします。生活習慣の改善で数値が改善することも少なくありません。
ただし、数値が年々上昇している場合や、他の症状がある場合は、念のため医療機関で精査を受けることをおすすめします。
特定の食品で白血球数を直接下げることは医学的に証明されていません。しかし、バランスの良い食事は体内の炎症を抑え、免疫機能を正常化させる効果が期待できます。
野菜、果物、青魚、大豆製品、海藻、きのこ類などを積極的に取り入れ、塩分・糖分・脂肪分の過剰摂取を控えることが推奨されます。
Q3. 白血球が高いと運動してはいけないのでしょうか?
軽度の白血球増加で、他に症状がなければ、通常の運動は問題ありません。むしろ、適度な運動は免疫機能の正常化やストレス軽減に効果的です。
ただし、以下の場合は運動を控え、医師に相談してください。
発熱や強い倦怠感がある場合は運動を控えましょう。
白血球数が極めて高値(30,000/μL以上など)の場合は、激しい運動は避けて安静にすることが推奨されます。
白血病などの血液疾患がある場合は、主治医と相談の上で運動の可否を判断しましょう。
Q4. 白血球が高いと献血できませんか?
献血時の白血球数の基準は、施設によって若干異なりますが、一般的に12,000/μL以下が目安とされています。軽度の増加であれば献血可能なこともありますが、献血時の問診や検査で判断されます。
また、感染症や薬剤服用中など、白血球増加の原因によっては献血できない場合もあります。
Q5. 白血球が高い状態が続くとどのような問題がありますか?
一般的な白血球の軽度増加(肥満や喫煙による場合など)がすぐに深刻な問題を起こすわけではありません。しかし、白血球増加の状態が長期間続くことは、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患のリスクを高めることが研究で示されています。
また、白血球増加の原因として白血病などの重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、原因を放置せず、適切に対処することが重要です。
Q6. ストレスで白血球が上がることは本当ですか?
はい、本当です。体がストレスに反応すると、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、白血球(特に好中球)を増加させます。強いストレスが続いている方は、白血球が慢性的に高くなる可能性があります。
ストレスは自律神経の乱れにもつながり、様々な心身の不調を引き起こす原因となります。こまめにストレスを発散し、十分な休養を取ることが大切です。
Q7. 白血球が高いと言われましたが、自覚症状がありません。放置しても大丈夫ですか?
自覚症状がなくても、白血球増加の原因を確認することは重要です。喫煙や肥満など、自分で対処できる原因であれば生活習慣の改善を試みましょう。
原因がわからない場合や、数値が著しく高い場合、他の血球にも異常がある場合は、医療機関で精査を受けることをおすすめします。自覚症状がなくても、重篤な疾患が進行している可能性は否定できません。
8. まとめ
白血球が高いと指摘された場合、まず大切なのは「原因を正しく理解する」ことです。
白血球増加の原因は多岐にわたります。喫煙、肥満、ストレスなどの生活習慣が原因であることも多く、この場合は生活習慣の改善によって数値の正常化が期待できます。一方で、感染症や炎症性疾患、まれに白血病などの血液疾患が原因となっていることもあります。
生活習慣の改善として、禁煙、適正体重の維持、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理、十分な休養が重要です。特に喫煙は白血球増加の最も多い原因のひとつであり、禁煙による効果が期待できます。
医療機関を受診すべきタイミングを知っておくことも大切です。白血球数が10,000/μL以上で持続する場合、発熱や倦怠感などの症状がある場合、他の血球にも異常がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
健康診断の結果は、体からのサインです。白血球増加を指摘されたら、放置せずに原因を確認し、必要に応じて適切な対処を行いましょう。
参考文献
- MSDマニュアル家庭版 – 好中球増多症
- 国立がん研究センター中央病院 – 白血球が減ったときの食事
- 東京大学保健センター – 血液検査(血球検査)
- 日本人間ドック学会 – 検査表の見方
- HORIBA – CRP
- HORIBA – 白血球分類
- 大分大学医学部腫瘍・血液内科 – 血液の細胞のはなし
- 東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 – 白血球のはたらき
- 国立循環器病研究センター – 白血球数が高いと心房細動罹患リスクが高い
- 健診会東京メディカルクリニック – 白血球数
- 健診会東京メディカルクリニック – CRP
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務