健康診断で「コレステロール値が高め」と指摘され、食生活の見直しを考えている方は少なくないのではないでしょうか。コレステロールは私たちの体に必要不可欠な成分ですが、そのバランスが崩れると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な疾患のリスクが高まります。
本記事では、悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果が期待できる食品をランキング形式でご紹介するとともに、コレステロールの基礎知識から日常で実践できる食事改善のポイントまで、医学的なエビデンスに基づいて詳しく解説します。

目次
- コレステロールとは何か?善玉と悪玉の違い
- なぜコレステロールを下げる必要があるのか
- 脂質異常症の診断基準と目標値
- コレステロールを下げる食品ランキングTOP15
- コレステロールを下げる成分と作用メカニズム
- コレステロールを上げてしまう食品・習慣
- 効果的な食事療法のポイント8選
- コンビニ・外食でのコレステロール対策
- 運動と生活習慣の改善
- まとめ:継続が大切な食生活改善
1. コレステロールとは何か?善玉と悪玉の違い
コレステロールの基本的な役割
コレステロールと聞くと「体に悪いもの」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、コレステロールは私たちの体にとって必要不可欠な脂質の一種であり、以下のような重要な役割を担っています。
- 全身の細胞膜の構成成分として機能する
- 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの原料となる
- 脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の材料となる
- ビタミンDの合成に関与する
体内のコレステロールの約70〜80%は肝臓で合成され、残りの20〜30%は食事から摂取されます。つまり、コレステロール自体は私たちの生命維持に欠かせない物質なのです。
LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロール
コレステロールは脂質であるため、そのままでは血液に溶けることができません。そこで「リポタンパク」という粒子と結合して血液中を移動します。このリポタンパクの種類によって、コレステロールは大きく2種類に分類されます。
LDLコレステロール(低密度リポタンパク)は、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を持っています。しかし、血液中のLDLコレステロールが過剰になると、血管壁に蓄積して動脈硬化の原因となることから「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
一方、HDLコレステロール(高密度リポタンパク)は、全身の組織から余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあります。この働きが動脈硬化を抑制することから「善玉コレステロール」と呼ばれています。
つまり、健康を維持するためには、LDLコレステロールを適正値に保ちながら、HDLコレステロールを減らさないことが重要になります。
中性脂肪(トリグリセリド)との違い
コレステロールと混同されやすいのが中性脂肪(トリグリセリド)です。中性脂肪は食事から摂取した脂質に多く含まれ、体を動かすためのエネルギー源として使われます。余分な中性脂肪は体内に蓄積され、肥満の原因となります。
中性脂肪が高い状態が続くと、HDLコレステロールの減少やLDLコレステロールの増加を招き、動脈硬化のリスクを高めます。また、ご飯や麺類などの炭水化物、糖質の多いお菓子の過剰摂取も中性脂肪値を上昇させる主な原因となります。
2. なぜコレステロールを下げる必要があるのか
動脈硬化のメカニズム
LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管壁にコレステロールが沈着し始めます。沈着したコレステロールは活性酸素の影響で酸化され、「酸化LDL」に変化します。この酸化LDLは血管壁内でプラーク(粥腫)を形成し、血管の内腔を狭くしていきます。
この状態が動脈硬化であり、血管が硬くなって弾力性を失い、血液の流れが悪化します。さらに進行すると、プラークが破裂して血栓ができ、血管が完全に詰まってしまうこともあります。
動脈硬化が引き起こす疾患
動脈硬化は、発生する血管の部位によってさまざまな重篤な疾患を引き起こします。
心臓の冠動脈に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞の原因となります。狭心症は心臓周辺の血管が狭まり、血流が悪化することで心臓への酸素供給が不足し、胸痛や圧迫感が現れます。心筋梗塞は冠動脈が詰まることで心臓の一部が壊死する状態であり、激しい胸痛が特徴で命に関わる緊急事態です。
脳の血管に動脈硬化が起こると、脳梗塞のリスクが高まります。脳梗塞は脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、麻痺や言語障害などの後遺症が残ることも少なくありません。
また、下肢の動脈に動脈硬化が起こると、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)を引き起こし、歩行時の足の痛みや疲労感、重症化すると壊疽を起こすこともあります。
自覚症状がない「サイレントキラー」
脂質異常症の最も恐ろしい点は、自覚症状がほとんどないことです。コレステロール値が高くても痛みや不快感を感じることはなく、多くの方が病気に気づかないまま動脈硬化が進行してしまいます。そのため、脂質異常症は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。
定期的な健康診断で血液検査を受け、自分のコレステロール値を把握しておくことが極めて重要です。
3. 脂質異常症の診断基準と目標値
日本動脈硬化学会による診断基準
日本動脈硬化学会が作成した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、脂質異常症の診断基準は以下のように定められています。
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| 高LDLコレステロール血症 | 140mg/dL以上 |
| 境界域高LDLコレステロール血症 | 120〜139mg/dL |
| 高トリグリセライド血症 | 150mg/dL以上(空腹時) |
| 低HDLコレステロール血症 | 40mg/dL未満 |
| 高non-HDLコレステロール血症 | 170mg/dL以上 |
これらの基準値を一つでも超えた場合、脂質異常症と診断されます。ただし、この基準に該当したからといって、すぐに薬物療法が必要になるわけではありません。年齢や性別、他の危険因子の有無などを総合的に評価した上で、治療方針が決定されます。
コレステロール摂取量の目安
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、LDLコレステロールが高い方に対して、1日あたりのコレステロール摂取量を200mg以下に抑えることが推奨されています。また、飽和脂肪酸のエネルギー比率を4.5%以上7%未満に抑えることも重要です。
なお、「日本人の食事摂取基準2015年版」では食事からのコレステロール摂取の上限値が撤廃されましたが、これは「いくら食べても良い」という意味ではありません。食事から摂取するコレステロールが血中コレステロール値に与える影響には個人差が大きく、一律の上限値を設定することが難しかったためです。LDLコレステロール値が高い方は、引き続き食事でのコレステロール摂取制限が必要です。
4. コレステロールを下げる食品ランキングTOP15
以下に、悪玉コレステロールを下げる効果が期待できる食品をランキング形式でご紹介します。各食品の特徴と含まれる有効成分、期待できる効果について詳しく解説します。
第1位:青魚(サバ、イワシ、サンマ、アジなど)
青魚がコレステロール対策の王様と呼ばれる理由は、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるからです。
EPAとDHAは「n-3系多価不飽和脂肪酸」に分類され、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする効果があります。また、血栓の形成を抑制し、動脈硬化の予防にも役立ちます。
日本動脈硬化学会のガイドラインでも、「トリグリセライドの低下を目的に、n-3系多価不飽和脂肪酸のうち魚油摂取量を増やすことを推奨する」と明記されており、科学的にも強く支持されています。
1日1回、または週に3回程度は青魚を取り入れることが推奨されます。調理方法は焼く、煮る、お刺身のいずれでもEPAやDHAを摂取できますが、EPAやDHAは酸化しやすいため、新鮮なものをできるだけ早く調理しましょう。刺身で生食するのが最も効率的ですが、煮魚であれば煮汁にも溶け出した栄養を一緒に摂取できます。
代表的な青魚のEPA含有量(100gあたり)の目安は以下の通りです。
| 魚種 | EPA含有量 |
|---|---|
| マイワシ | 約1,400mg |
| サバ | 約1,200mg |
| サンマ | 約890mg |
| アジ | 約400mg |
第2位:大豆・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)
大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど良質なタンパク質を含み、コレステロール対策にも優れた食品です。
大豆タンパク質にはLDLコレステロールの体内への吸収を抑える働きがあります。研究では、動物性タンパク質を大豆タンパク質に置き換えることでLDLコレステロールが低下することが示されています。また、大豆イソフラボンには女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用があり、LDLコレステロールや中性脂肪を低下させる効果が期待できます。
特に更年期以降の女性は、女性ホルモンの減少に伴いLDLコレステロール値が上昇しやすくなります。大豆イソフラボンは減少したエストロゲンの働きを補い、コレステロールバランスの維持をサポートします。
豆腐、納豆、味噌、豆乳など、さまざまなバリエーションで毎日の食事に取り入れやすいのも大豆製品の魅力です。納豆に含まれるナットウキナーゼには血液をサラサラにする効果もあり、コレステロール対策との相乗効果が期待できます。
厚生労働省が推進する「健康日本21」では、豆類は1日100gの摂取が目標とされています。
第3位:オートミール(オーツ麦)
オートミールがコレステロール対策で注目を集めている最大の理由は、水溶性食物繊維の一種である「β-グルカン」を豊富に含んでいることです。
β-グルカンは腸内で水分を吸収してゲル状になり、コレステロールを含む胆汁酸と結合します。この結合によって胆汁酸の再吸収が抑えられ、体外への排出が促進されます。すると、肝臓は新たに胆汁酸を作るために血中のコレステロールを消費するため、結果としてLDLコレステロール値が低下するのです。
オートミール100gあたりには食物繊維が約9.4g含まれており、これは精白米の約6倍以上に相当します。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がほぼ1:2のバランスで含まれているのも特徴です。
1997年には米国食品医薬品局(FDA)により、オーツ麦の「心疾患のリスク低減」のヘルスクレーム(健康強調表示)が許可されており、欧州やカナダでも認められています。
日本人を対象とした研究では、オートミール60g(β-グルカン約2.1g含有)を12週間摂取することで、血中の総コレステロール値が低下したという結果が報告されています。
第4位:オリーブオイル
オリーブオイルの主成分である「オレイン酸」は、一価不飽和脂肪酸に分類されます。オレイン酸の最大の特徴は、LDLコレステロールを減らしながらもHDLコレステロールは減少させないという点です。
多くの植物油にも悪玉コレステロールを減らす働きがありますが、リノール酸を主成分とする油(紅花油など)は善玉コレステロールまで減らしてしまうことがあります。その点、オリーブオイルはコレステロールバランスの改善に優れています。
オリーブオイルに含まれる脂肪酸の約70〜80%がオレイン酸であり、さらにビタミンEやポリフェノール(オレウロペインなど)といった抗酸化成分も含まれています。これらの成分がLDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。
2004年には、アメリカ食品医薬品局(FDA)がオリーブオイルに対し、「飽和脂肪酸をオリーブオイルに置き換えると冠動脈性心疾患のリスクを低減する可能性がある」という限定的健康強調表示を許可しています。
ただし、オリーブオイルもカロリーは高いので、他の油脂をオリーブオイルに置き換える形で取り入れるのがおすすめです。1日大さじ1〜2杯程度を目安にしましょう。
第5位:ナッツ類(アーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツなど)
ナッツ類は脂質が多いことから敬遠されがちですが、含まれる脂質の大部分は不飽和脂肪酸であり、コレステロール対策に有効な食品です。
アーモンドやヘーゼルナッツにはオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)が豊富に含まれ、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを維持する効果があります。くるみには「α-リノレン酸」というオメガ3脂肪酸が豊富に含まれ、中性脂肪を減らしHDLコレステロールを増やす効果が期待されています。
また、ナッツ類にはビタミンEやポリフェノール、植物ステロール(フィトステロール)なども含まれており、これらの抗酸化成分がLDLコレステロールの酸化を抑制します。
複数の研究をまとめた解析では、ナッツ類を日常的に摂取している人はLDLコレステロール値が低く、心血管疾患のリスクが減少することが報告されています。
適量は1日25〜30g程度(手のひらに軽く乗る量)が目安です。無塩・無添加のものを選び、食べ過ぎには注意しましょう。油で揚げたものや塩分を加えたものは避けることをおすすめします。
第6位:緑茶
緑茶に含まれるカテキンは、コレステロールの吸収を抑制する効果があります。特に「ガレート型カテキン」と呼ばれる種類のカテキンがこの効果に大きく関与していることが研究で明らかになっています。
カテキンのコレステロール吸収抑制メカニズムは以下の通りです。コレステロールは脂質なので、そのままでは体内に吸収されません。胆嚢から分泌される胆汁酸によって「胆汁酸ミセル」という小さな脂質粒子に溶解した後、小腸で吸収されます。ガレート型カテキンはこのミセルへのコレステロールの溶解を阻害し、吸収を抑えるのです。
研究では、血中コレステロールが高めの人が約200mgのカテキンを含む飲料を1日2回、食事と一緒に2ヶ月間摂取したところ、LDLコレステロール値が低下したという結果が得られています。さらに、この場合もHDLコレステロールには影響しないという優れた特性が確認されています。
緑茶を飲む際は、食事と一緒に摂るのが効果的です。1日に数回に分けて飲むことをおすすめします。
第7位:野菜類(緑黄色野菜を中心に)
野菜はコレステロールが含まれていない植物性食品の代表格です。特に緑黄色野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は胃や腸内をゆっくり移動しながら、コレステロールや中性脂肪を包み込んで体外へ排出する働きがあります。また、野菜に含まれるカリウムには血圧を安定させる効果があり、ビタミンCやビタミンEには抗酸化作用があって動脈硬化の予防に役立ちます。
1日の野菜摂取目安は350g以上とされています。特にトマトに含まれるリコピン、ほうれん草やブロッコリーに含まれるビタミン類は抗酸化作用が高く、積極的に摂りたい栄養素です。
第8位:海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)
海藻類は低カロリーでありながら、水溶性食物繊維を豊富に含む食品です。
海藻に含まれる水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールを吸着して体外へ排出する効果があります。また、海藻類に含まれるフコイダンやアルギン酸には、コレステロールの吸収を抑制する作用が報告されています。
わかめは味噌汁やサラダに、ひじきは煮物に、昆布は出汁として使うなど、和食を中心とした食生活では取り入れやすい食材です。
第9位:きのこ類(しいたけ、まいたけ、えのきたけなど)
きのこ類は低カロリーで食物繊維が豊富な食品です。野菜類と同様に、カロリーを抑えながら食物繊維の摂取量を増やすのに役立ちます。
きのこに含まれるβ-グルカンは免疫機能の向上だけでなく、コレステロール低下作用も期待されています。また、エリタデニン(しいたけ特有の成分)にはコレステロール低下作用があることが知られています。
炒め物、鍋物、汁物など、さまざまな調理法で活用できるため、毎日の食事に取り入れやすい食材です。
第10位:玄米・全粒穀物
白米よりも玄米、白いパンよりも全粒粉パンを選ぶことで、食物繊維の摂取量を大幅に増やすことができます。
未精製の全粒穀物には、食物繊維だけでなく、ビタミンB群、ミネラル、ポリフェノールなども豊富に含まれています。特に穀物に含まれる食物繊維には、LDLコレステロールを下げる働きがあることが科学的にも証明されています。
主食を白米から玄米や雑穀米に切り替えるだけでも、コレステロール対策に効果が期待できます。
第11位:りんご・柑橘類
果物にはペクチンという水溶性食物繊維が含まれています。特にりんごや柑橘類(みかん、グレープフルーツなど)にはペクチンが豊富です。
ペクチンは腸内でゲル状になり、コレステロールの吸収を抑制して体外への排出を促進します。また、りんごに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、LDLコレステロールの酸化を防ぐ効果も期待できます。
ただし、果物には糖質も含まれているため、血糖値が気になる方は食べ過ぎに注意しましょう。1日1〜2個程度が目安です。
第12位:こんにゃく
こんにゃくに含まれるグルコマンナンは水溶性食物繊維の一種で、コレステロールの吸収を抑える効果があります。
こんにゃくは非常に低カロリーであるため、カロリー制限が必要な方にも最適な食材です。煮物やおでん、炒め物などさまざまな料理に活用できます。
第13位:にんにく
にんにくに含まれるアリシンには、コレステロールの合成を抑制する作用があるとされています。また、血液をサラサラにする効果も報告されており、動脈硬化の予防に役立ちます。
生のにんにくは刺激が強いため、加熱調理して料理に取り入れるのがおすすめです。
第14位:酢
酢に含まれる酢酸には、脂質の代謝を促進する効果があるとされています。特に黒酢には、アミノ酸やクエン酸も豊富に含まれており、健康維持に役立ちます。
酢の物やドレッシング、飲料として毎日の食生活に取り入れることで、コレステロール対策をサポートできます。
第15位:えごま油・亜麻仁油
えごま油や亜麻仁油には、α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)が非常に豊富に含まれています。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変換され、中性脂肪やLDLコレステロールを減らす効果が期待できます。
ただし、これらの油は酸化しやすいため、加熱調理には向きません。サラダのドレッシングとしてかけたり、冷奴やヨーグルトに垂らしたりして、生で摂取するのがおすすめです。開封後は冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。
5. コレステロールを下げる成分と作用メカニズム
コレステロールを下げる食品には、それぞれ有効な成分が含まれています。ここでは、主要な成分とその作用メカニズムについて詳しく解説します。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、コレステロール対策において最も重要な成分の一つです。代表的な種類には、β-グルカン(オーツ麦、大麦)、ペクチン(果物)、アルギン酸(海藻)、グルコマンナン(こんにゃく)などがあります。
作用メカニズムとしては、まず腸内で水分を吸収してゲル状になります。このゲルがコレステロールを含む胆汁酸を吸着し、体外への排出を促進します。すると、肝臓は新たに胆汁酸を合成するために血中のコレステロールを消費するため、結果としてLDLコレステロール値が低下します。
食物繊維の1日の摂取目標量は、成人女性で18g以上、成人男性で21g以上とされています。
不飽和脂肪酸
脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。飽和脂肪酸は常温で固体の脂(バター、ラードなど)に多く含まれ、LDLコレステロールを増加させる作用があります。一方、不飽和脂肪酸は常温で液体の油(植物油、魚油など)に多く含まれ、コレステロール改善効果が期待できます。
不飽和脂肪酸はさらに以下のように分類されます。
一価不飽和脂肪酸(オメガ9)の代表格はオレイン酸で、オリーブオイルやアーモンドに豊富です。LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールは維持する効果があります。
多価不飽和脂肪酸(オメガ3)にはEPA、DHA(青魚)やα-リノレン酸(えごま油、亜麻仁油、くるみ)が含まれます。中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす効果があります。
多価不飽和脂肪酸(オメガ6)の代表はリノール酸で、大豆油やコーン油に含まれます。LDLコレステロールを下げる効果がありますが、過剰摂取するとHDLコレステロールも下げてしまう可能性があります。
植物ステロール(フィトステロール)
植物ステロールは、植物に含まれるコレステロールに似た構造を持つ成分です。大豆、ナッツ類、穀物、野菜などに含まれています。
植物ステロールは腸管でコレステロールの吸収を競合的に阻害します。つまり、コレステロールが腸から吸収される際に「横取り」して、コレステロールの吸収を抑えるのです。この効果により、食事から摂取したコレステロールが血液中に取り込まれるのを防ぎます。
ポリフェノール
ポリフェノールは植物に含まれる抗酸化物質の総称で、5,000種類以上の種類があります。代表的なものには、カテキン(緑茶)、イソフラボン(大豆)、レスベラトロール(赤ワイン、ピーナッツ)などがあります。
ポリフェノールの主な作用は「抗酸化作用」です。LDLコレステロール自体は血管壁に沈着しただけでは大きな問題になりませんが、酸化されて「酸化LDL」になると動脈硬化の直接的な原因となります。ポリフェノールはこの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。
6. コレステロールを上げてしまう食品・習慣
コレステロールを下げる食品を積極的に摂ることも大切ですが、同時にコレステロールを上げてしまう食品や習慣を見直すことも重要です。
避けたい食品・成分
飽和脂肪酸を多く含む食品には注意が必要です。具体的には、肉の脂身(霜降り肉、バラ肉など)、ラード、バター、生クリーム、チーズなどの乳製品、ケーキやクッキーなどの洋菓子が該当します。飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増加させる最大の要因であり、摂取を控えることが重要です。
トランス脂肪酸も避けるべきです。マーガリン(特に古いタイプ)、ショートニング、工業的に作られた揚げ物、スナック菓子などに含まれています。トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増やすだけでなく、HDLコレステロールを減らす作用もあり、最も避けるべき脂質とされています。
コレステロールを多く含む食品としては、鶏卵(卵黄)、魚卵(いくら、たらこ、明太子)、レバーなどの内臓類、バターやクリームを使った料理があります。これらの食品自体が必ずしも悪いわけではありませんが、LDLコレステロール値が高い方は摂取量に注意が必要です。
糖質の過剰摂取も中性脂肪の増加を招き、間接的にHDLコレステロールの減少につながります。ご飯やパン、麺類の食べ過ぎ、甘いお菓子や清涼飲料水の摂取は控えめにしましょう。
避けたい習慣
過食と肥満は脂質異常症の主な原因です。BMI(体格指数)が25以上の肥満は、LDLコレステロール値を上昇させる主要な要因とされています。適切なカロリー管理で体重を適正範囲に保つことが大切です。
運動不足も問題です。運動不足はHDLコレステロールの低下を招きます。定期的な有酸素運動を心がけましょう。
喫煙はHDLコレステロールを低下させ、LDLコレステロールの酸化を促進します。禁煙は動脈硬化予防の観点からも強く推奨されます。
過度な飲酒は中性脂肪を増加させます。アルコールは控えめにするか、適量を心がけましょう。
7. 効果的な食事療法のポイント8選
日本動脈硬化学会のガイドラインに基づいた、効果的な食事療法のポイントをご紹介します。
ポイント1:食物繊維が豊富な野菜や海藻をたくさん食べる
野菜、きのこ類、海藻類、豆類、雑穀類などに多く含まれる食物繊維は、コレステロールを下げる効果が期待できます。1日の食物繊維摂取目安は20〜25g、野菜に換算すると350g以上です。
ポイント2:脂身の多い肉や油物を控え、魚や大豆食品を増やす
肉を食べる際は脂身を避け、赤身を選びましょう。週に2〜3回は肉の代わりに青魚や大豆製品をメインにした食事にすることをおすすめします。魚に含まれるEPAやDHAは血液をサラサラにし、動脈硬化の予防に役立ちます。
ポイント3:動物性脂肪を植物性油脂に置き換える
バターやラードの代わりにオリーブオイルや大豆油を使いましょう。ただし、油の使用量は1日大さじ1杯程度が目安です。ドレッシングやマヨネーズにも油が多く含まれているため、使いすぎに注意してください。
ポイント4:和食中心の食生活を心がける
和食は動物性脂肪が少なく、魚、大豆、野菜を効率よく摂取できる食事スタイルです。煮魚、焼き魚、味噌汁、漬物といった和食の定番メニューはコレステロール対策に適しています。1日1回は和食を取り入れることをおすすめします。
ポイント5:3食バランスよく、夕食は控えめに
朝食を抜くと空腹時間が長くなり、体が脂肪を蓄えやすくなります。3食規則正しく食べ、特に夕食の量は控えめにしましょう。就寝2時間前以降の食事も脂肪が蓄積されやすいため避けてください。
ポイント6:n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
EPA、DHA、α-リノレン酸などのn-3系多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取しましょう。青魚を週に2〜3回食べる、えごま油や亜麻仁油を毎日小さじ1杯程度摂取するなどの工夫が有効です。
ポイント7:コレステロール摂取量を1日200mg以下に
LDLコレステロール値が高い方は、1日のコレステロール摂取量を200mg以下に抑えることが推奨されています。卵1個には約210mgのコレステロールが含まれていますので、摂取頻度や量に注意しましょう。
ポイント8:食塩の摂取を控える
食塩の過剰摂取は高血圧のリスクを高めます。高血圧は動脈硬化を促進するため、コレステロール対策と併せて減塩も心がけましょう。目標は1日6g未満です。
8. コンビニ・外食でのコレステロール対策
忙しい現代人にとって、外食やコンビニ食は避けられない場面も多いでしょう。そんな時でもコレステロール対策を意識した選び方のポイントをご紹介します。
コンビニでの選び方
サラダや海藻類を組み合わせることを意識しましょう。お弁当を選ぶ際は、揚げ物が少ないものを選びます。おにぎりより雑穀米や玄米を使ったものを選ぶとよいでしょう。飲み物は緑茶や無糖のお茶を選びましょう。サバの味噌煮や焼き魚など、魚がメインの惣菜もおすすめです。納豆や豆腐、枝豆などの大豆製品も積極的に取り入れましょう。
外食での選び方
揚げ物よりも焼き物、蒸し物、煮物を選びましょう。ラーメンやカレーなど高カロリーなメニューは避け、定食スタイルで野菜の副菜がつくものを選ぶのがおすすめです。肉料理より魚料理を選び、洋食より和食を選ぶことを心がけましょう。パスタなら、クリーム系よりトマト系やオイル系を選びましょう。
9. 運動と生活習慣の改善
食事療法と並んで重要なのが、運動習慣の確立と生活習慣の改善です。
有酸素運動の効果
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動は、LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを増やす効果があります。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、中強度以上の有酸素運動を毎日30分以上、週3日以上行うことが推奨されています。
まずは1日の歩数を現状より1,000歩増やすことから始め、徐々に運動量を増やしていきましょう。大切なのは継続できる運動を選ぶことです。
禁煙の重要性
喫煙はHDLコレステロールを低下させ、LDLコレステロールの酸化を促進します。また、血管の内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を直接的に進行させます。禁煙は動脈硬化予防において最も重要な生活習慣改善の一つです。
適度なストレス解消
慢性的なストレスは交感神経を刺激し、血圧の上昇やコレステロール代謝の乱れを引き起こすことがあります。適度な休息、趣味の時間、十分な睡眠を心がけましょう。

10. まとめ:継続が大切な食生活改善
コレステロール対策は、一時的な取り組みではなく、日々の積み重ねが重要です。本記事でご紹介した内容のポイントをまとめます。
コレステロールを下げる食品として特に効果的なのは、青魚(EPA・DHA)、大豆製品(大豆タンパク・イソフラボン)、オートミール(β-グルカン)、オリーブオイル(オレイン酸)、ナッツ類(不飽和脂肪酸)、緑茶(カテキン)などです。
避けるべき食品・習慣としては、飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身やバター、トランス脂肪酸を含む加工食品、過食、運動不足、喫煙、過度な飲酒が挙げられます。
食事療法のポイントとして、野菜・海藻・食物繊維を積極的に摂取すること、肉より魚・大豆製品を選ぶこと、和食中心の食生活を心がけること、3食バランスよく規則正しく食べることが大切です。
また、食事療法と併せて、有酸素運動の習慣化、禁煙、ストレス管理を行うことで、より効果的なコレステロール対策が可能になります。
コレステロール値が気になる方は、まずは定期的な健康診断で自分の数値を把握し、必要に応じて医師に相談することをおすすめします。自覚症状がないからといって放置せず、将来の健康のために今日から食生活の改善に取り組んでいきましょう。
参考文献
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
- 日本心臓財団「動脈硬化性疾患予防ガイドライン・エッセンス」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
- 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会「脂質異常症」
- 伊藤園「茶カテキンの種類で変わる健康効果」
- 明治「水溶性食物繊維 穀物β-グルカン」
- サワイ健康推進課「注目のオートミールで手軽にスローダイエット」
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務