「白玉のような透き通った肌になりたい」——そんな願いを持つ方の間で、近年注目を集めているのが「白玉点滴」です。韓国をはじめとするアジア圏で人気が高まり、日本でも美容クリニックを中心に広く提供されるようになりました。白玉点滴は、主成分であるグルタチオンの持つ強力な抗酸化作用と美白効果により、シミやくすみの改善、肌全体のトーンアップが期待できる美容点滴療法です。
しかし、「本当に効果があるの?」「副作用は大丈夫?」「どのくらいの頻度で通えばいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、白玉点滴の主成分であるグルタチオンの働きから、期待できる効果、推奨される施術頻度、副作用やリスク、そして他の美容施術との併用まで、医学的な観点から詳しく解説します。白玉点滴を検討されている方はもちろん、美白や肌質改善にご興味のある方にとって、有益な情報をお届けできれば幸いです。

目次
- 白玉点滴とは
- 主成分「グルタチオン」の基礎知識
- グルタチオンの美白メカニズム
- 白玉点滴に期待できる5つの効果
- 白玉点滴の施術の流れと所要時間
- 効果を実感するための推奨頻度と回数
- 白玉点滴の副作用とリスク
- 白玉点滴を受けられない方・注意が必要な方
- 高濃度ビタミンC点滴との併用効果
- 白玉点滴と他の美白治療との比較
- 白玉点滴に関するよくある質問
- まとめ
- 参考文献
1. 白玉点滴とは
白玉点滴とは、グルタチオンを主成分とする美容点滴療法のことです。「グルタチオン点滴」「美白点滴」「シンデレラ点滴」「ビヨンセ点滴」などとも呼ばれ、その名称の由来は「白玉のような透き通った肌」を目指す点滴であることに由来します。
グルタチオンは、もともと私たちの体内に存在する物質であり、肝臓や筋肉、皮膚、目の水晶体などに広く分布しています。医療の現場では40年以上前から、薬物中毒やアセトン血性嘔吐症(自家中毒)、金属中毒、妊娠悪阻(つわり)、妊娠高血圧症候群、慢性肝炎などの治療に使用されてきた歴史のある成分です。
近年の研究により、グルタチオンにはメラニン生成を抑制する作用や、紫外線ダメージの軽減、老化予防効果があることが確認され、美容目的での利用が急速に広がりました。特に韓国や東南アジアで人気が高まり、日本でも美容皮膚科や美容クリニックにおいて定番の美容点滴メニューとして定着しています。
白玉点滴が美容分野で注目される理由として、体の内側から全身に作用することが挙げられます。レーザー治療やピーリングなどの外用治療は施術部位に限定されますが、点滴は血流に乗って全身に成分が届くため、顔だけでなく首、デコルテ、腕、背中など、全身の美白効果が期待できるのです。
2. 主成分「グルタチオン」の基礎知識
グルタチオンとは
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸が結合してできたトリペプチド(アミノ酸の化合物)です。私たちの体内のほぼすべての細胞に存在しており、特に肝臓で多く合成されています。生命を維持するために欠かせない成分であり、「マスター抗酸化物質」とも称されるほど、体内の抗酸化システムにおいて中心的な役割を果たしています。
グルタチオンには「還元型」と「酸化型」の2種類が存在しますが、抗酸化作用や解毒作用を発揮するのは還元型グルタチオン(GSH)です。白玉点滴に使用されるのも、この還元型グルタチオンです。
グルタチオンの主な働き
グルタチオンには、大きく分けて以下の3つの重要な働きがあります。
第一に、強力な抗酸化作用です。私たちの体内では、呼吸やエネルギー産生の過程で活性酸素が発生します。活性酸素は適量であれば細菌やウイルスを攻撃する有用な働きをしますが、過剰に発生すると正常な細胞まで攻撃してしまい、老化やさまざまな疾患の原因となります。グルタチオンは、この活性酸素を中和・消去し、細胞を酸化ストレスから守る働きをします。
第二に、解毒作用です。グルタチオンは肝臓における解毒機能の中心的な役割を担っており、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドや、薬物、重金属、環境汚染物質などの有害物質と結合して、体外への排出を促進します。
第三に、他の抗酸化物質の再生です。グルタチオンは、酸化されて機能が低下したビタミンC(酸化型ビタミンC)を還元型に戻す働きがあります。これにより、ビタミンCの抗酸化作用を再び発揮させることができます。グルタチオン、ビタミンC、ビタミンE、α-リポ酸は「抗酸化ネットワーク」と呼ばれ、互いに協力して体内の抗酸化システムを支えています。
加齢によるグルタチオンの減少
体内のグルタチオン量は20代をピークに、加齢とともに減少していくことがわかっています。また、紫外線への曝露、ストレス、飲酒、喫煙、睡眠不足、食品添加物の摂取などの生活習慣によっても、グルタチオンは消費されて減少します。
グルタチオンが減少すると、活性酸素によるダメージを十分に防ぐことができなくなり、肌の老化やくすみ、疲れやすさ、免疫力の低下などにつながります。そのため、特に20代以降は意識的にグルタチオンを補給することが推奨されています。
点滴での摂取が推奨される理由
グルタチオンは食品にも含まれており、レバー、肉類、ブロッコリー、アボカド、ほうれん草などに多く含まれています。しかし、経口摂取した場合、消化管で分解されてしまうため、体内への吸収率が低いという課題があります。
また、サプリメントとして経口摂取する方法もありますが、グルタチオンは水溶性が高く不安定な性質を持つため、口から摂取した分がすべてグルタチオンとして吸収されるわけではありません。
一方、点滴や注射による投与は、有効成分を直接血管内に送り込むため、消化管を経由せず、高濃度のグルタチオンを効率的に体内に取り入れることができます。このため、美容目的でグルタチオンの効果を最大限に得たい場合は、点滴による投与が推奨されています。
3. グルタチオンの美白メカニズム
メラニン生成の仕組み
美白のメカニズムを理解するためには、まずシミやくすみの原因となるメラニンがどのように作られるかを知る必要があります。
私たちの皮膚の表皮には、メラノサイト(色素細胞)という細胞が存在します。メラノサイトは、紫外線などの刺激を受けると、肌を守るためにメラニン色素を産生します。このメラニン生成は、メラノサイト内にあるメラノソームという細胞小器官で行われます。
メラニン生成の出発点は、アミノ酸の一種である「チロシン」です。チロシンに「チロシナーゼ」という酸化酵素が働きかけることで、チロシンは「ドーパ」に変換され、さらにドーパは「ドーパキノン」へと変換されます。このドーパキノンが最終的にメラニン色素へと合成されていきます。
メラニンには「ユーメラニン」と「フェオメラニン」の2種類があります。ユーメラニンは褐色から黒色のメラニンで、私たちの肌や髪の黒さの原因となります。一方、フェオメラニンは黄色から赤色のメラニンで、金髪や赤毛、そばかすなどに関係しています。
グルタチオンによるメラニン抑制作用
グルタチオンの美白効果は、複数のメカニズムによってもたらされます。
まず、グルタチオンはチロシナーゼの活性を阻害する作用があります。チロシナーゼはメラニン生成のキー酵素であり、この酵素の働きを抑えることで、チロシンからメラニンへの合成経路をブロックし、新たなメラニンの産生を抑制します。
次に、グルタチオンはユーメラニン(黒色系メラニン)の生成を抑制し、フェオメラニン(黄色から赤色系メラニン)の合成を促進する作用があるとされています。これにより、全体として肌の色が明るく見える方向に作用します。
さらに、グルタチオンの強力な抗酸化作用により、紫外線によって発生した活性酸素を消去することで、メラノサイトへの刺激を軽減し、メラニン生成の引き金となる反応を抑えます。
また、すでに生成されてしまった酸化型メラニン(有色)を還元型メラニン(無色)に変える作用も報告されており、既存のシミやくすみの改善効果も期待されています。
臨床試験による美白効果のエビデンス
グルタチオンの美白効果については、複数の臨床試験で報告されています。
フィリピンで行われた試験では、22人の女性を対象に、週1回グルタチオン600mgの静脈注射を10週間継続したところ、平均メラニン指数が約4%減少したと報告されています。
また、パキスタンで実施された二重盲検試験では、グルタチオン1200mgを週2回、6週間投与した群において、37.5%の被験者が「肌が明るくなった」と実感しました。プラセボ群の18.5%と比較すると、約20%の上乗せ効果が確認されています。
日本国内での臨床試験においても、グルタチオン製剤の肝斑に対する有効性が59.6%(146例中87例)と報告されており、治りにくいとされる肝斑に対しても一定の効果が示されています。
ただし、グルタチオンによる美白効果は投与を継続している間に得られるものであり、投与を中止すると徐々に元の状態に戻る傾向があります。ある研究では、治療終了から6か月後には肌の色調が元に戻ったと報告されており、効果を維持するためには継続的な投与が必要とされています。
4. 白玉点滴に期待できる5つの効果
白玉点滴には、美白効果以外にもさまざまな効果が期待されています。主成分であるグルタチオンの多様な作用により、美容と健康の両面でメリットを得ることができます。
効果1:美白・美肌効果
白玉点滴で最も期待される効果が、美白・美肌効果です。グルタチオンのメラニン抑制作用により、新たなシミやそばかすの発生を予防するとともに、既存のくすみやシミを薄くする効果が期待できます。
また、白玉点滴は全身に作用するため、顔だけでなく、首、デコルテ、腕、背中など、体全体の肌トーンアップが可能です。日焼けによる肌のくすみや、もともと肌の色が濃い方にも効果があるとされています。
肝斑(左右対称にできる薄茶色のシミ)は通常の美白治療では改善が難しいとされていますが、グルタチオンは肝斑に対しても効果を示すことが臨床試験で確認されています。
効果2:アンチエイジング効果
グルタチオンの強力な抗酸化作用は、老化の主要な原因である酸化ストレスから細胞を守ります。活性酸素は、皮膚のコラーゲンやエラスチンを傷つけ、シワやたるみの原因となりますが、グルタチオンがこれを中和することで、肌の老化進行を遅らせる効果が期待できます。
また、活性酸素は細胞膜を構成する脂質を酸化させ、過酸化脂質を生成します。過酸化脂質はタンパク質と結合して褐色の色素を作り、老人性のシミの原因となります。グルタチオンは、これらの物質と反応して消去する働きがあります。
さらに、近年の研究では、グルタチオンが細胞の寿命に関わるテロメラーゼという酵素の活性を制御することで、細胞の寿命延長に関与している可能性も示唆されています。
効果3:デトックス効果・肝機能改善
グルタチオンは肝臓における解毒作用の中心的な役割を担っています。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、アルコールや薬物、環境汚染物質、食品添加物などの有害物質を分解・排出する重要な器官です。
グルタチオンの補給により、肝臓の解毒機能がサポートされ、体内に蓄積した有害物質の排出が促進されます。このデトックス効果により、疲労感の軽減やストレスの改善、二日酔いの緩和といった効果も期待できます。
実際に、グルタチオンはもともと慢性肝炎や薬物中毒の治療薬として医療現場で使用されてきた成分であり、肝機能保護作用については確立されたエビデンスがあります。
効果4:疲労回復効果
グルタチオンの抗酸化作用と解毒作用は、疲労回復にも寄与します。老廃物や有害物質の蓄積は、慢性的な疲労感の原因となりますが、グルタチオンによってこれらの物質の排出が促進されることで、疲労感の軽減が期待できます。
また、グルタチオンは細胞内のエネルギー産生を担うミトコンドリアを酸化ストレスから保護する作用があります。ミトコンドリアの機能が維持されることで、効率的なエネルギー産生が可能となり、活力の向上につながります。
白玉点滴を受けた方の中には、美白効果よりも先に疲労回復効果を実感されるケースも多く報告されています。
効果5:免疫力向上・抗アレルギー効果
グルタチオンには免疫機能を調整する作用があり、免疫力の向上が期待できます。2023年の日本抗加齢学会では、新型コロナウイルス感染者と非感染者の体内グルタチオン値を比較した研究が発表され、いずれの年代においても非感染者のグルタチオン値が有意に高かったことが報告されています。これは、グルタチオンを一定レベルに維持することが、ウイルス感染の予防や免疫力の維持に関係している可能性を示唆しています。
また、グルタチオンには抗アレルギー作用もあり、湿疹やじんましん、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の軽減に効果があるとされています。肌荒れやニキビ跡の改善にも役立つことがあります。
5. 白玉点滴の施術の流れと所要時間
施術の流れ
白玉点滴の施術は、一般的に以下のような流れで行われます。
まず、カウンセリングを行います。医師または看護師が、お肌の悩みや体調、アレルギーの有無、持病や服用中の薬などについてヒアリングします。初めて白玉点滴を受ける方には、グルタチオンの効果や副作用、推奨される施術頻度などについて詳しく説明があります。
次に、施術を行います。ベッドやリクライニングチェアに横になった状態で、腕の静脈に点滴針を挿入し、グルタチオンを含む薬剤をゆっくりと投与します。点滴中は、読書やスマートフォンの使用など、リラックスして過ごすことができます。
施術後は、特別な安静の必要はなく、すぐに日常生活に戻ることができます。ダウンタイムはほとんどなく、メイクやシャワーも当日から可能です。
所要時間
白玉点滴の施術時間は、グルタチオンの投与量やクリニックによって異なりますが、一般的に15分から30分程度です。高濃度の製剤を使用する場合でも、30分程度で完了することがほとんどです。
なお、初回の施術時は、副作用の出現を慎重に観察するため、通常よりも少し時間がかかる場合があります。
白玉点滴と似た施術に「白玉注射」がありますが、これは点滴ではなく注射器で直接静脈に薬剤を注入する方法です。白玉注射の場合、施術時間は5分程度と短いですが、一度に投与できる量は点滴よりも少なくなります。忙しい方や短時間で済ませたい方には注射、より多くの有効成分を摂取したい方には点滴が適しています。
施術時の痛み
白玉点滴で痛みを感じるのは、主に点滴針を腕に挿入する瞬間です。通常の採血や点滴と同様のチクッとした痛みがありますが、多くの方が許容できる程度のものです。
点滴中に血管痛を感じる場合がありますが、その場合は看護師が点滴の速度を調整することで痛みを軽減できます。気になる場合は遠慮なく伝えましょう。
6. 効果を実感するための推奨頻度と回数
推奨される施術頻度
白玉点滴の効果を実感し、持続させるためには、定期的な継続が重要です。一般的に推奨される施術頻度は、週1回から2週間に1回のペースです。
グルタチオンは体内で消費されて減少していくため、一度の施術で永続的な効果を得ることはできません。また、肌のターンオーバー(新陳代謝)のサイクルを考慮すると、継続的に投与することで、より安定した美白効果を得ることができます。
施術開始初期は、週1回のペースで通院し、効果が安定してきたら2週間に1回、あるいは月1回程度に頻度を減らしていくという方法が一般的です。
効果を実感するまでの期間
個人差がありますが、美白効果を実感できるようになるまでには、1週間から2週間に1回の頻度で、5回から10回程度の施術を継続することが目安とされています。
疲労回復や二日酔いの改善といった効果は比較的早く現れる傾向があり、1回の施術でも実感される方がいます。一方、美白効果や肌質改善については、肌のターンオーバーの期間(約28日から45日)を考慮すると、効果が目に見えて現れるまでには2か月から3か月程度の継続が必要です。
最初は効果が感じられにくくても、継続することで徐々に肌のトーンが明るくなり、くすみが軽減されていきます。効果の持続時間も、継続するほど長くなっていく傾向があります。
グルタチオンの投与量
白玉点滴で使用されるグルタチオンの量は、クリニックによって異なりますが、一般的に600mgから1200mg程度が使用されます。一部のクリニックでは、より高濃度の2000mg以上を投与するメニューもあります。
初めて白玉点滴を受ける方は、まず低用量から開始し、副作用がないことを確認した上で、徐々に増量していくことが推奨されます。適切な投与量は、お肌の状態や目的、体質によって異なるため、医師と相談して決定しましょう。
7. 白玉点滴の副作用とリスク
安全性について
白玉点滴の主成分であるグルタチオンは、もともと私たちの体内に存在する物質であり、基本的に安全性が高いとされています。日本において、グルタチオンは厚生労働省により医薬品として認可されており、40年以上にわたって医療現場で使用されてきた実績があります。
グルタチオン製剤の添付文書によると、総症例数6,522例のうち、副作用が報告されたのは24例(0.4%)と、副作用発生率は非常に低いものです。報告された副作用の主なものは、食欲不振、悪心・嘔吐、発疹などで、いずれも軽度で一過性のものでした。
妊娠悪阻(つわり)の治療にも使用される薬剤であることからもわかるように、グルタチオンは妊娠中でも比較的安全に投与できる成分です。
起こりうる副作用
白玉点滴で起こりうる副作用としては、以下のようなものがあります。
まず、点滴全般に共通するリスクとして、針を刺す部位の痛みや内出血、赤みがあります。これらは1週間程度で自然に改善することがほとんどです。
次に、薬剤を急速に投与した場合、一時的な吐き気や血管の痛み、頭痛、めまいを感じることがあります。これらの症状は、点滴速度を遅くすることで軽減できます。
また、まれに発疹などのアレルギー反応が出ることがあります。過去に点滴や注射でアレルギー反応を起こしたことがある方は、事前に医師に伝えておきましょう。
極めてまれなケースとして、アナフィラキシーショック(重度のアレルギー反応)が起こる可能性があります。顔面蒼白、血圧低下、脈拍の異常、呼吸困難などの症状が現れた場合は、直ちに医療スタッフに伝え、適切な処置を受ける必要があります。
白玉点滴に関する誤解
インターネット上では、「白玉点滴は危険」「白玉点滴で太る」「白玉点滴で白髪が増える」といった情報を目にすることがありますが、これらについて科学的な根拠を確認しておきましょう。
「白玉点滴は危険」という説については、前述のとおり、グルタチオンは体内に存在する物質であり、医薬品としての安全性も確立されています。適切な医療機関で正しい方法で施術を受ければ、危険性は極めて低いと考えられます。ただし、医療行為である以上、リスクがゼロではないことは理解しておく必要があります。
「白玉点滴で太る」という説については、グルタチオンに体重増加を促す作用があるという医学的なエビデンスは存在しません。施術後に一時的に食欲不振を感じることがあるため、「白玉点滴をやめると食欲が戻り、太る」という誤解が生まれた可能性がありますが、これは点滴と直接関係のある現象ではありません。
「白玉点滴で白髪が増える」という説についても、そのような医学的エビデンスや事例は報告されていません。グルタチオンはメラニン色素の生成を抑制する作用がありますが、髪の毛の色と肌の色では、メラニン生成のメカニズムや部位が異なるため、白玉点滴によって白髪が増えるという心配は不要です。
8. 白玉点滴を受けられない方・注意が必要な方
白玉点滴は安全性の高い施術ですが、以下に該当する方は施術を受けられない場合や、事前に医師への相談が必要な場合があります。
まず、グルタチオンや製剤に含まれる成分にアレルギーがある方は、施術を受けることができません。過去に点滴や注射でアレルギー反応を起こしたことがある方は、必ず事前に医師に伝えてください。
次に、妊娠中・授乳中の方については、グルタチオン自体は妊娠悪阻の治療にも使用される比較的安全な成分ですが、美容目的での使用に関しては十分なデータがないため、慎重な判断が必要です。妊娠中・授乳中の方は、施術を受ける前に必ず医師に相談してください。
また、持病がある方、特に腎機能障害や肝機能障害がある方は、事前に主治医に相談し、白玉点滴を受けてよいか確認することをお勧めします。
さらに、何らかの薬剤を服用中の方も、医師に服用中の薬について伝えた上で施術を検討してください。グルタチオンは他の薬剤との相互作用は報告されていませんが、念のため確認しておくことが望ましいでしょう。
体調が優れない方、発熱している方なども、体調が回復してから施術を受けることをお勧めします。
9. 高濃度ビタミンC点滴との併用効果
併用のメリット
白玉点滴と高濃度ビタミンC点滴は、併用することで相乗効果が期待できる組み合わせです。
ビタミンC(アスコルビン酸)は、美白成分として古くから知られており、メラニン生成を抑制する作用や、生成されたメラニンを還元して淡色化する作用があります。また、コラーゲンの生成を促進する作用もあり、肌のハリや弾力の維持にも貢献します。
グルタチオンとビタミンCを同時に投与すると、グルタチオンが酸化されて機能が低下したビタミンC(酸化型ビタミンC)を還元型に戻し、再び抗酸化作用を発揮できる状態にします。これにより、ビタミンCの効果をより長く、より効率的に引き出すことができます。
また、両者はそれぞれ異なるメカニズムでメラニン生成を抑制するため、併用することで美白効果がさらに高まることが期待されます。
併用の安全性
グルタチオンもビタミンCも、品質が保証された医薬品であれば、併用しても体への悪影響はないとされています。両者を同日に投与することも可能で、実際に多くのクリニックでは、白玉点滴と高濃度ビタミンC点滴をセットメニューとして提供しています。
ただし、高濃度ビタミンC点滴には、G6PD欠損症(遺伝性の酵素欠損症)の方は受けられないなど、独自の注意事項があります。併用を検討される方は、医師に相談して適切なプランを立てましょう。
10. 白玉点滴と他の美白治療との比較
美白を目的とした治療法には、白玉点滴以外にもさまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を比較し、ご自身に合った方法を選ぶ参考にしてください。
レーザートーニングとの比較
レーザートーニングは、低出力のレーザーを肌に照射し、メラニン色素を少しずつ破壊していく治療法です。肝斑やシミの改善に効果があり、即効性が期待できます。
白玉点滴との違いは、レーザートーニングは施術部位に限定された効果であるのに対し、白玉点滴は全身に作用する点です。また、レーザートーニングはメラニンを「破壊する」治療であるのに対し、白玉点滴はメラニンの「生成を抑制する」治療という違いもあります。
両者は併用することも可能であり、レーザーで既存のシミを治療しながら、白玉点滴で新たなシミの発生を予防するという使い方ができます。
内服薬との比較
美白目的の内服薬としては、トラネキサム酸やビタミンC、L-システインなどがあります。これらは毎日服用することで、継続的にメラニン生成を抑制する効果が期待できます。
内服薬のメリットは、自宅で手軽に継続できる点です。一方、デメリットは、消化管を経由するため有効成分の吸収効率が点滴に比べて低い点です。白玉点滴と内服薬を併用することで、より効果的な美白ケアが可能になります。
外用薬・化粧品との比較
ハイドロキノンやビタミンC誘導体、アルブチン、コウジ酸などを配合した美白化粧品や外用薬は、肌に直接塗布することでメラニン生成を抑制します。
外用療法のメリットは、気になる部位にピンポイントでアプローチできる点です。一方、デメリットは、成分が肌の奥深くまで浸透しにくい場合があること、また塗布できる部位が限られる点です。
白玉点滴は体の内側から全身に作用するため、外用療法と組み合わせることで、内側と外側の両方からのアプローチが可能になります。

11. 白玉点滴に関するよくある質問
白玉点滴は1回の施術でも一定の効果はありますが、美白効果を目に見えて実感するためには、継続して施術を受けることが推奨されます。疲労回復や二日酔いの改善といった効果は比較的早く現れることがありますが、肌のトーンアップやシミ・くすみの改善には、5回から10回程度の継続が目安とされています。
初めて白玉点滴を受けた場合、効果の持続時間は数日程度と短いですが、継続して施術を受けることで、持続時間は徐々に長くなっていきます。ただし、投与を完全に中止すると、数週間から数か月で徐々に元の状態に戻る傾向があります。効果を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
Q3:白玉点滴は地黒の肌にも効果がありますか?
グルタチオンにはメラニン生成を抑制し、肌のトーンを明るくする作用があるため、もともと肌の色が濃い方にも効果が期待できます。ただし、生まれ持った肌の色を大幅に変えることは難しく、あくまでも「その人本来の肌の明るさを取り戻す」「くすみを改善する」という効果と理解しておくことが適切です。
Q4:白玉点滴とサプリメントの違いは何ですか?
グルタチオンのサプリメントは経口摂取するため、消化管を通過する際に分解されてしまい、体内への吸収率が低くなります。一方、白玉点滴は直接血管内にグルタチオンを投与するため、高濃度の成分を効率的に体内に取り入れることができます。より高い効果を求める場合は、点滴による投与が推奨されます。
Q5:白玉点滴を受けた後、日焼けしても大丈夫ですか?
白玉点滴を受けた後も、紫外線対策は引き続き必要です。グルタチオンには紫外線ダメージを軽減する作用がありますが、完全に防ぐことはできません。白玉点滴の効果を最大限に発揮させるためにも、日焼け止めの使用や帽子・日傘の活用など、日常的な紫外線対策を心がけましょう。
Q6:白玉点滴と白玉注射の違いは何ですか?
白玉点滴と白玉注射は、どちらもグルタチオンを静脈内に投与する施術ですが、投与方法と時間が異なります。白玉注射は注射器で直接薬剤を注入する方法で、施術時間は約5分と短いですが、一度に投与できる量は限られます。白玉点滴は点滴バッグから薬剤をゆっくり投与する方法で、施術時間は15分から30分程度かかりますが、より多くの有効成分を摂取できます。
Q7:白玉点滴は保険適用されますか?
美容目的での白玉点滴は、保険適用外の自由診療となります。薬物中毒や妊娠悪阻などの治療目的であれば保険適用となる場合がありますが、美白やアンチエイジングを目的とした施術は全額自己負担となります。料金はクリニックによって異なりますが、1回あたり5,000円から15,000円程度が一般的です。
12. まとめ
白玉点滴は、グルタチオンを主成分とする美容点滴療法であり、美白・美肌効果、アンチエイジング効果、デトックス効果、疲労回復効果、免疫力向上効果など、多面的な効果が期待できます。
グルタチオンは、もともと私たちの体内に存在する物質であり、40年以上の医療使用実績を持つ安全性の高い成分です。副作用の発生率は0.4%と低く、多くの方が安心して施術を受けることができます。
効果を実感するためには、週1回から2週間に1回のペースで、5回から10回程度の継続が目安となります。また、高濃度ビタミンC点滴との併用や、レーザー治療・内服薬との組み合わせにより、より効果的な美白ケアが可能です。
透明感のある美しい肌を目指す方、肌のくすみやシミにお悩みの方、また疲労感や肝機能が気になる方は、白玉点滴を検討してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 日経メディカル処方薬事典 – タチオン錠100mg
- 点滴療法研究会 – グルタチオン点滴療法
- 点滴療法研究会 – グルタチオン点滴(白玉点滴)の効果
- オーソモレキュラー栄養医学研究所 – グルタチオン
- 日本化粧品技術者会 – 化粧品用語集「美白剤」
- 日本香粧品学会誌 – 美白製品とその作用
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)- タチオン添付文書
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務