暑い季節や体調不良時に起こりやすい脱水症状。その予防や改善に効果的なのが経口補水液です。市販の経口補水液が手元にない場合でも、自宅にある材料で簡単に作ることができます。本記事では、経口補水液の正しい作り方から飲み方のコツ、市販品との違いまで詳しく解説します。いざというときに備えて、ぜひ参考にしてください。

目次
- 経口補水液とは?スポーツドリンクとの違い
- 経口補水液の作り方|自宅で簡単にできるレシピとメリット
- 飲みやすくするアレンジと注意点
- 効果的な飲み方と適切なタイミング
- 市販品との比較と使い分け
- よくある質問
- まとめ
🩺 経口補水液とは?スポーツドリンクとの違い
経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)とは、水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)を効率よく体内に吸収させるために開発された飲料です。世界保健機関(WHO)が推奨する成分配合に基づいて作られており、脱水症状の予防や改善に高い効果を発揮します。
経口補水液の最大の特徴は、水分と塩分、糖分のバランスが体液に近い濃度で調整されていることです。このバランスにより、小腸での水分吸収が最大限に促進されます。通常の水を飲むよりも素早く体内に水分を補給できるため、脱水症状からの回復を早めることができます。
🥤 スポーツドリンクとの成分比較
経口補水液とスポーツドリンクは、どちらも水分補給に使用されますが、その成分と目的には大きな違いがあります。
- スポーツドリンク:運動時のエネルギー補給と水分補給が目的
- 経口補水液:脱水症状の改善が主目的
具体的な数値で比較すると、一般的なスポーツドリンクのナトリウム濃度は100mlあたり40〜50mg程度ですが、経口補水液は100mlあたり100〜120mg程度と約2倍以上含まれています。糖分については、スポーツドリンクが100mlあたり6〜8g程度なのに対し、経口補水液は2〜3g程度と半分以下に抑えられています。
🔬 経口補水液が効果的な理由
経口補水液が効率よく水分を吸収できる理由は、ナトリウムとブドウ糖の共輸送という仕組みにあります。小腸の粘膜には、ナトリウムとブドウ糖を同時に取り込む特殊なトランスポーター(輸送体)が存在します。このトランスポーターが働くと、ナトリウムとブドウ糖と一緒に水分も効率的に吸収されます。
💡 経口補水液の作り方|自宅で簡単にできるレシピとメリット
経口補水液は市販品を購入することもできますが、自宅で手作りすることにもさまざまなメリットがあります。WHO(世界保健機関)が推奨する基準に基づいた配合で、効果的な経口補水液を作ることができます。
🏠 自宅で作るメリット
手作り経口補水液の最大のメリットは、必要なときにすぐに準備できることです。脱水症状は急に起こることが多く、市販品が手元にないこともあります。しかし、水、塩、砂糖という基本的な材料は多くの家庭に常備されているため、夜間や休日でも買い物に行かずに準備することができます。
また、市販の経口補水液は1本あたり150〜200円程度しますが、手作りの場合は水道水と調味料だけで作れるため、コストを大幅に抑えることができます。
🧂 基本レシピと材料
経口補水液を作るために必要な材料は以下の通りです。すべて一般的なご家庭にある材料で作ることができます。
- 水:1リットル(沸騰させて冷ましたもの、またはミネラルウォーター)
- 食塩:3g(小さじ1/2程度)
- 砂糖:40g(大さじ4と1/2程度)
👩🍳 作り方の手順
経口補水液の作り方は非常にシンプルです。以下の手順に従って作成してください。
- 清潔な容器を用意
ペットボトルや麦茶ポットなど、1リットル以上入る容器を事前に熱湯消毒するか、よく洗って乾かしておきましょう - 水を用意
水道水を使用する場合は一度沸騰させてから人肌程度に冷ましたものを使用。ミネラルウォーターの場合は軟水を選ぶとよい - 食塩と砂糖を正確に計量
キッチンスケールを使用すると正確に計量可能。計量スプーンの場合は塩の種類によって密度が異なることに注意 - 材料を混合
容器に水を入れ、食塩と砂糖を加えてよく混ぜる。溶け残りがないよう完全に溶かすまで撹拌
🍋 飲みやすくするアレンジと注意点
基本の経口補水液は塩味が強く感じられるため、特にお子さんや味覚が敏感な方には飲みにくいことがあります。ここでは、経口補水液としての効果を損なわない範囲でのアレンジ方法を紹介します。
🍯 飲みやすくするアレンジ方法
最もポピュラーなアレンジ方法は、レモン果汁を加えることです。1リットルの経口補水液に対して、レモン果汁大さじ1〜2程度を目安に加えてください。
砂糖の代わりにはちみつを使用することで、まろやかな甘みの経口補水液を作ることもできます。ただし、⚠️ 重要な注意:1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけません。はちみつにはボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があります。
⚠️ 手作り経口補水液の重要な注意点
手作り経口補水液には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。
- 計量は正確に行う:塩分と糖分のバランスが崩れると、水分吸収の効率が低下したり、かえって脱水を悪化させる可能性があります
- 作り置きは避ける:手作り経口補水液には保存料が含まれていないため、24時間以内に消費してください
- 清潔な環境で作る:使用する容器や計量スプーンは清潔なものを使用し、手をよく洗ってから作業してください
⏰ 効果的な飲み方と適切なタイミング
経口補水液は、脱水症状が起きてから飲むだけでなく、予防的に飲むことも効果的です。正しい方法で飲むことで、その効果を最大限に発揮することができます。
💧 正しい飲み方
経口補水液を効果的に摂取するためのポイントは、少量ずつこまめに飲むことです。一度に大量に飲むと、胃に負担がかかり嘔吐を誘発することがあります。目安として、5〜10分おきに50〜100ml程度ずつ飲むのが理想的です。
👶 年齢別の適切な量
- 乳児(体重10kg未満):体重1kgあたり30〜50ml/日を目安
- 幼児(1〜6歳):1日300〜600ml程度
- 学童(6〜15歳):1日500〜1000ml程度
- 成人:1日500〜1000ml程度
🌡️ 飲むべきタイミング
以下のような状況では、経口補水液を積極的に摂取することをお勧めします。
- 発熱時:体温が1度上昇するごとに、約15%ほど水分の消費量が増えます
- 下痢・嘔吐時:体内の水分と電解質が急速に失われます
- 熱中症の予防・初期対応:のどが渇く前から定期的に水分を補給することが大切
- 激しい運動後:大量の汗をかいた場合は、水分だけでなく塩分も失われています
🛒 市販品との比較と使い分け
手作りの経口補水液には多くのメリットがありますが、市販品にも手作りにはないメリットがあります。状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
✅ 市販品のメリットと特徴
市販の経口補水液の最大のメリットは、成分が正確に調整されていることです。
- 専門的な設備と品質管理のもとで製造
- 塩分と糖分のバランスが最適化
- カリウムやマグネシウムなどのミネラルも配合
- 未開封なら長期保存が可能
⛔ 経口補水液を飲んではいけない場合
経口補水液は多くの場合に安全に使用できますが、一部の方には適さない場合があります。以下に該当する方は、経口補水液を使用する前に医師に相談してください。
- 腎臓病のある方:ナトリウムやカリウムが適切に排泄されない可能性
- 心臓病のある方:体内に水分が貯留しやすく、心臓への負担が増加する可能性
- 高血圧で塩分制限をしている方:1リットルの経口補水液には約3gの食塩が含まれています
- 糖尿病で血糖コントロール中の方:糖分による血糖値への影響を考慮する必要があります

❓ よくある質問
健康な状態での経口補水液の常飲は推奨されません。経口補水液には比較的多くの塩分が含まれており、健康な方が毎日飲むと塩分の過剰摂取につながる可能性があります。脱水リスクが高い状況(発熱、下痢、嘔吐、激しい運動後など)や、医師から指示された場合に限定して使用することをお勧めします。
手作り経口補水液には保存料が含まれていないため、作ったらできるだけ早く飲みきることが重要です。冷蔵庫で保存しても24時間以内に消費し、24時間経過したものは廃棄してください。常温での長時間放置は細菌繁殖のリスクが高まるため避けましょう。
経口補水液の塩味を嫌がるお子さんは多いです。レモン果汁を少量加えたり、冷やして飲ませたりすると飲みやすくなります。また、スプーンで少量ずつ与える、ストローを使う、好きなキャラクターのコップを使うなど、飲み方を工夫してみてください。それでも飲まない場合は、市販のゼリータイプの経口補水液を試すか、医師に相談することをお勧めします。
経口補水液を適切に摂取しても症状が改善しない場合は、重度の脱水や他の病気が隠れている可能性があります。特に、意識がもうろうとしている、6時間以上尿が出ない、皮膚をつまんでも元に戻らない、血圧低下や脈が速い・弱いなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。軽度の症状でも24時間以上改善しない場合は医師に相談することをお勧めします。
妊娠中や授乳中の方も、脱水症状がある場合は経口補水液を飲むことができます。むしろ、つわりによる嘔吐や授乳による水分不足の際には、効率的な水分・電解質補給として有効です。ただし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症がある場合は、塩分や糖分の摂取について医師に相談してから使用してください。
🏥 まとめ
経口補水液は、脱水症状の予防・改善に非常に効果的な飲料です。市販品が手元にない場合でも、水・塩・砂糖という身近な材料で簡単に作ることができます。
手作り経口補水液を作る際の重要なポイントは以下の通りです:
- 材料の計量は正確に行う(水1L、食塩3g、砂糖40g)
- 清潔な環境で作成し、24時間以内に消費する
- 少量ずつこまめに飲む
- 症状が改善しない場合は医療機関を受診する
経口補水液は、発熱時や下痢・嘔吐時、熱中症の予防など、さまざまな場面で活用できます。ただし、腎臓病や心臓病、高血圧などの持病がある方は、使用前に医師に相談することが大切です。
いざというときに慌てないよう、経口補水液の作り方を覚えておき、適切な水分補給で健康を守りましょう。体調に不安がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 熱中症予防のための情報・資料サイト
- 世界保健機関(WHO) – 経口補水療法に関するガイドライン
- 日本小児科学会 – 小児の脱水症に関する診療指針
- 日本救急医学会 – 熱中症診療ガイドライン
- 消費者庁 – 特別用途食品に関する情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
経口補水液を自作する際は、計量の正確性が何より重要です。特に乳幼児や高齢者に与える場合、塩分濃度の誤差が電解質バランスの乱れにつながる可能性があります。可能な限りキッチンスケールを使用し、グラム単位で正確に計量することを強くお勧めします。また、症状が改善しない場合は早めに医療機関を受診してください。