「咳が長引いているけれど、ただの風邪だと思っていた」「熱は下がったのに、咳だけがなかなか治まらない」――このような経験はありませんか。実は、そうした症状の背景に「マイコプラズマ肺炎」が隠れていることがあります。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされる呼吸器感染症で、特に子どもや若い世代に多くみられます。2024年には約8年ぶりの流行が報告され、全国的に患者数が増加しています。
この記事では、マイコプラズマ肺炎の代表的な症状をはじめ、風邪との見分け方、年齢別の特徴、合併症のリスク、検査・治療法、そして予防のポイントまで、医学的な知見に基づいて詳しく解説いたします。ご自身やご家族の健康管理にお役立ていただければ幸いです。

目次
- マイコプラズマ肺炎とは
- マイコプラズマ肺炎の主な症状
- 症状の経過と特徴的なパターン
- 年齢別の症状の違い
- 風邪との見分け方
- 合併症のリスクと注意すべき症状
- マイコプラズマ肺炎の検査方法
- 治療法と使用される薬剤
- 自宅での療養とケアのポイント
- 感染経路と予防対策
- 登園・登校・出勤の目安
- 2024年の流行状況と今後の注意点
- よくある質問
- まとめ
🦠 マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」という細菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。この病原体は、一般的な細菌とウイルスの中間的な性質を持ち、生物学的には細菌に分類されています。
最大の特徴は「細胞壁を持たない」という点で、これにより通常の肺炎治療に使われるペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が効きにくいという特性があります。
マイコプラズマ肺炎は「非定型肺炎」や「異型肺炎」とも呼ばれています。これは、一般的な細菌性肺炎と比較して、症状の現れ方や経過が異なるためです。
具体的には、肺炎を起こしているにもかかわらず比較的元気で全身状態が良好なことが多く、聴診でも明らかな異常音が聞こえにくいという特徴があります。レントゲン撮影をして初めて肺炎と診断されるケースも少なくありません。
感染者の特徴:
- 約80%は14歳以下の小児
- 特に5歳から14歳の学童期に多い
- 成人にも発症することがある
- 1年を通じて発生するが、晩秋から冬に増加傾向
🔥 マイコプラズマ肺炎の主な症状
マイコプラズマ肺炎に感染すると、さまざまな症状が現れます。厚生労働省によると、代表的な症状は以下のとおりです。
🌡️ 発熱
マイコプラズマ肺炎では多くの場合、発熱がみられます。熱の程度は微熱程度のものから38度以上の高熱まで個人差があります。
特徴的なのは、熱が断続的に上がったり下がったりする「弛張熱」のパターンを示すことがある点です。
- 午前中は比較的熱が低い
- 午後から夕方にかけて上昇
- 無治療の場合、発熱は5日前後続く
- 数日で解熱する軽症例から1〜2週間以上続く重症例まで個人差が大きい
😷 咳(せき)
マイコプラズマ肺炎で最も特徴的な症状が「咳」です。この咳には他の呼吸器感染症とは異なるいくつかの特徴があります。
咳の特徴:
- 発熱から3〜5日遅れて咳が始まる
- 初期には痰を伴わない乾いた咳(乾性咳嗽)が中心
- 夜間から明け方にかけて特に激しくなる
- 解熱後も長期間続く(3〜4週間)
- 1か月以上続くケースも報告されている
😴 全身倦怠感(だるさ)
全身のだるさや疲労感も主要な症状のひとつです。発熱に伴って体力が消耗されるため、普段よりも疲れやすく、活動性が低下することがあります。
ただし、一般的な細菌性肺炎と比較すると、マイコプラズマ肺炎では全身状態が比較的良好に保たれることが多いのが特徴です。このため「歩く肺炎(walking pneumonia)」とも呼ばれ、軽い症状のまま日常生活を続けてしまい、知らないうちに周囲への感染を広げてしまうことがあります。
🤕 頭痛
頭痛はマイコプラズマ肺炎の初期症状として典型的にみられる症状です。発熱に伴って現れることが多く、風邪の初期症状と区別がつきにくい原因のひとつとなっています。頭痛は通常、発熱とともに数日で軽減していきますが、症状が続く場合は医療機関への相談をお勧めします。
🗣️ 咽頭痛(のどの痛み)
のどの痛みも初期症状としてよくみられます。ただし、痛みの程度は比較的軽いことが多いとされています。マイコプラズマは主に気管支や肺で増殖するため、咽頭(のど)での症状は軽度にとどまることが一般的です。
🌟 その他の症状
上記の主要症状のほか、以下のような症状がみられることもあります。
- 鼻水:比較的少ないか、まったく出ないことが多い(一般的な風邪との違いのひとつ)
- 消化器症状:下痢、嘔吐、腹痛、食欲不振
- 皮膚症状:発疹(多形紅斑など)が6〜17%程度
- 胸痛:約25%程度の患者で報告
📈 症状の経過と特徴的なパターン
マイコプラズマ肺炎の症状には、特徴的な時間経過のパターンがあります。この経過を理解しておくことで、早期発見や適切な対応につなげることができます。
⏱️ 潜伏期間
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は2〜3週間と比較的長いのが特徴です。インフルエンザ(1〜3日程度)や一般的な風邪と比べてかなり長いため、いつ誰から感染したのかを特定することが難しく、これが感染拡大の一因となっています。
🌱 初期症状(発症1〜3日目)
発症初期の症状:
- 発熱
- 全身倦怠感
- 頭痛
- のどの痛み
- 咳はまだ軽度かほとんど出ない
この段階では多くの患者さんが「ただの風邪だろう」と考え、市販薬で様子をみることが多いのが実情です。
💨 咳の出現(発症3〜5日目以降)
初期の風邪様症状が落ち着いてくる頃から、咳が出始めます。最初は痰の絡まない乾いた咳ですが、徐々に強くなっていきます。この段階で気管支炎や肺炎に進行している可能性があります。
🌙 咳のピーク(発症1〜2週目)
発症から1〜2週間の間に咳が最も激しくなることが多いです。
- 特に夜間から明け方にかけて咳込みがひどくなる
- 睡眠の妨げになることがある
- 痰が絡むようになることも
- 喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーという音)が約40%の患者さんでみられる
🌈 回復期(発症2週目以降)
適切な治療を受けた場合、発熱は数日で改善することが多いですが、咳は解熱後も続きます。完全に咳が治まるまでには3〜4週間、長い場合は1か月以上かかることもあります。これは「感染後咳嗽」と呼ばれる現象で、感染によって気道の粘膜が傷ついているために起こります。
👶 年齢別の症状の違い
マイコプラズマ肺炎の症状は、年齢によって現れ方や重症度が異なります。それぞれの年齢層における特徴を理解しておくことは、早期発見や適切な対応に役立ちます。
🍼 乳幼児(0〜3歳)
- マイコプラズマ肺炎を発症することは比較的少ない
- 感染しても軽症で済むことが多い
- 症状としては風邪程度で終わることが多い
- 肺炎まで進行するケースは少ない
- 近年は幼児でも肺炎になるケースが報告されており、油断は禁物
🎒 学童期・思春期(5〜14歳)
この年齢層がマイコプラズマ肺炎に最もかかりやすく、全患者の約80%を占めています。
- 免疫システムが発達しているため、免疫反応が強く働く
- 結果として咳などの症状が強く出やすい
- 肺炎に至るリスクも比較的高い
- しつこい咳に悩まされることが多い
- 学校などの集団生活の場で感染が広がりやすい
👨 成人(青年期〜中年期)
成人もマイコプラズマ肺炎に感染することがあります。症状は基本的に子どもと同様ですが、いくつかの違いがあります。
- 症状が長引きやすい傾向
- 弛張熱がみられることがある
- 乾いた咳が続いた後、湿った咳に変わりやすい
- 子どもに比べて重症化しやすい傾向
👴 高齢者(60歳以上)
高齢者では典型的な症状が現れにくいという特徴があります。
- 発熱や咳などの症状が軽度であったり、まったく現れないことも
- 発見が遅れ、重症化するリスクが高い
- 免疫機能の低下や基礎疾患の存在により合併症を起こしやすい
- 胸水貯留や呼吸不全を引き起こしやすい
- 心筋炎や脳炎などの重篤な合併症に特に注意が必要
🔍 風邪との見分け方
マイコプラズマ肺炎の初期症状は風邪とよく似ているため、見分けることが難しい場合があります。しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、早期発見につなげることができます。
⏰ 咳の持続期間
- 一般的な風邪:咳は通常1週間程度で治まる
- マイコプラズマ肺炎:3〜4週間、長いと1か月以上続く
- 咳が1週間以上続く場合はマイコプラズマ肺炎の可能性を疑う
🗣️ 咳の性質
- マイコプラズマ肺炎:「乾いた咳」が特徴的で、痰があまり絡まない
- 風邪:比較的早い段階から痰を伴うことが多い
- マイコプラズマ肺炎の咳は非常に頑固で、特に夜間に悪化
👃 鼻水の有無
- 風邪:鼻水や鼻づまりがよくみられる
- マイコプラズマ肺炎:鼻水が少ないかほとんど出ない
- 鼻症状が軽いにもかかわらず咳が強い場合は要注意
🌡️ 発熱のパターン
- 風邪:発熱は通常2〜3日で治まる
- マイコプラズマ肺炎:5日以上続くことがある
- 熱が上がったり下がったりを繰り返す弛張熱のパターンも特徴
📊 症状の経過
- 風邪:症状が同時に出現することが多い
- マイコプラズマ肺炎:発熱から数日遅れて咳が出始める
- 他の症状が改善した後も咳だけが続く
🌍 周囲の流行状況
家族や学校、職場など周囲にマイコプラズマ肺炎の患者がいる場合は、感染の可能性が高まります。潜伏期間が2〜3週間と長いため、感染源との接触から時間が経っていても注意が必要です。
以上のような特徴がみられる場合は、単なる風邪ではなくマイコプラズマ肺炎の可能性がありますので、医療機関への受診をお勧めします。
⚠️ 合併症のリスクと注意すべき症状
マイコプラズマ肺炎は多くの場合軽症で経過しますが、一部の患者さんでは合併症を起こすことがあります。厚生労働省の報告によると、感染者の5〜10%未満で合併症が発症するとされています。
🫁 呼吸器系の合併症
- 胸膜炎:胸痛や呼吸困難、胸水が貯留
- 閉塞性細気管支炎:細い気管支に炎症が起こり空気の通りが悪化
- 喘息発作:既存の喘息患者で発作を誘発
👂 耳鼻科系の合併症
- 中耳炎:比較的よくみられる(耳の痛みを訴える場合は要注意)
- 副鼻腔炎
🧠 神経系の合併症
- 無菌性髄膜炎・脳炎:脳や脊髄を覆う膜、脳自体に炎症(入院治療が必要)
- ギラン・バレー症候群:手足の麻痺を起こす自己免疫疾患
- 横断性脊髄炎:背中などの神経に障害
❤️ 循環器系の合併症
- 心筋炎:心臓の筋肉に炎症(動悸、胸痛、息切れ)
- 心外膜炎
🩺 その他の合併症
- 肝炎、膵炎:消化器系の合併症
- 溶血性貧血:赤血球が破壊される状態
- 関節炎
- スティーブンス・ジョンソン症候群:重症の皮膚粘膜症候群
🚨 すぐに受診すべき症状
以下のような症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診してください:
- 長期間にわたる高熱(1週間以上続く場合)
- 激しい咳が続いて眠れない場合
- 呼吸困難や息苦しさ
- 噴水のような嘔吐
- 発疹の出現
- ひどく落ち着かない様子や意識がぼんやりしている
- 胸の痛みが強い場合
これらの症状は合併症のサインである可能性があり、早急な対応が必要です。
🔬 マイコプラズマ肺炎の検査方法
マイコプラズマ肺炎の診断は、症状や経過、周囲の流行状況などを総合的に判断して行われます。確定診断のためにはいくつかの検査方法がありますが、それぞれに特徴と限界があります。
📸 画像検査(胸部X線・CT)
胸部X線(レントゲン)検査は、肺炎の有無を確認するために広く用いられます。
- マイコプラズマ肺炎では「すりガラス状陰影」と呼ばれる特徴的な所見
- 感染初期ではX線上に明確な異常が見られないことも
- 肺炎が進行すると、両側の肺に斑状陰影が現れ始める
- CT検査ではより詳細な画像が得られる
- 画像所見だけでは確定診断は難しく、他の検査結果と総合判断が必要
🩸 血液検査
血液検査では、炎症の程度を示すCRP(C反応性蛋白)や白血球数を測定します。
- マイコプラズマ肺炎では白血球数が正常かやや上昇する程度(一般的な細菌性肺炎と異なる)
- 血液中のマイコプラズマに対する抗体(IgMなど)を測定
- 抗体は感染初期には十分に上昇していないことがある
- 発症後1週間程度で上昇し始め、2〜6週間でピーク
- 急性期と回復期の「ペア血清」で抗体価の上昇を確認する方法もある
⚡ 迅速抗原検査
咽頭(のど)をぬぐい取った検体を用いて、マイコプラズマの抗原を検出する検査です。
- 15〜30分程度で結果が出る
- 検査が簡便で結果がすぐにわかる
- 感度は60〜90%程度とあまり高くない
- 偽陰性の可能性がある(感染していても陰性と出る)
- マイコプラズマは主に気管支や肺で増殖するため、咽頭からの検体中には菌体が少ないことがある
🧬 核酸増幅法(PCR検査・LAMP法など)
マイコプラズマの遺伝子(DNA)を直接検出する方法で、現時点で最も精度が高い検査法です。
- PCR検査やLAMP法、Qプローブ法などがある
- 感染初期から検出が可能
- 特異度も高い
- 結果が出るまでに2〜4日程度かかる
- すべての医療機関で実施できるわけではない
🩺 臨床診断の重要性
マイコプラズマ肺炎の診断は検査だけに頼るのではなく、以下を総合的に考慮して行われます:
- 年齢
- 症状の経過
- 周囲の流行状況
- レントゲン所見
検査で確定診断がつかない場合でも、臨床的にマイコプラズマ肺炎が強く疑われる場合は、治療を開始することがあります。
💊 治療法と使用される薬剤
マイコプラズマ肺炎の治療は、抗菌薬による薬物療法と症状を和らげる対症療法が中心となります。多くの場合は軽症で済みますが、重症化した場合には入院治療が必要になることもあります。
💉 マクロライド系抗菌薬(第一選択薬)
マイコプラズマ肺炎の治療において、マクロライド系抗菌薬が第一選択薬として使用されます。
代表的な薬剤:
- クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッドなど)
- アジスロマイシン(商品名:ジスロマックなど)
特徴:
- 比較的安全性が高い
- 子どもから大人まで広く使用可能
- 効果があれば、服用後2〜3日以内に解熱
- 通常、10〜14日間程度の服用が必要
- 医師の指示どおりに最後まで飲み切ることが重要
🦠 マクロライド耐性菌への対応
近年、マクロライド系抗菌薬が効きにくい「耐性菌」が増加していることが問題となっています。
- マクロライド系抗菌薬を2〜3日服用しても熱が下がらない場合は耐性菌の可能性
- ニューキノロン系抗菌薬:トスフロキサシンなど
- テトラサイクリン系抗菌薬:ミノサイクリン、ミノマイシンなど
👶 小児への投薬上の注意
- テトラサイクリン系抗菌薬は歯の着色(黄染)や骨の形成への影響があるため、8歳未満の小児には使用を避けるか慎重投与
- 小児でマクロライド耐性が疑われる場合は、ニューキノロン系抗菌薬(トスフロキサシン:オゼックスなど)を使用
🩹 対症療法
抗菌薬による治療と並行して、症状を和らげるための対症療法も行われます:
- 発熱に対して:解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)
- 咳に対して:咳止め薬や痰を切る薬
- 基本的なケア:十分な水分補給と安静
🏥 重症例の治療
- 抗菌薬で効果がみられず、発熱が7日以上続く重症肺炎にはステロイド全身投与を検討
- 過剰な免疫反応を抑制し、炎症を鎮める効果
- 重症例では入院治療が必要
- 点滴による抗菌薬投与や酸素投与
🌿 自然治癒について
マイコプラズマ感染症は基本的に自然治癒する疾患であり、必ずしも抗菌薬による治療が必要というわけではありません。軽症で肺炎に至っていない場合は、対症療法のみで経過観察することもあります。
ただし、咳が長引くと日常生活に支障をきたすことや、重症化のリスクもあるため、医師の判断に従って適切な治療を受けることが大切です。
🏠 自宅での療養とケアのポイント
マイコプラズマ肺炎と診断された場合、多くは入院せずに自宅で療養することが可能です。症状の回復を促し、家庭内での感染拡大を防ぐためのケアのポイントをご紹介します。
😴 十分な休養
- 体力を回復させるために、十分な休養を取る
- 発熱がある間は無理をせず、安静にして過ごす
- 解熱後も咳が続く間は激しい運動を避ける
- 体に負担をかけないことが重要
💧 水分補給
- 発熱時は汗をかいて体から水分が失われやすい
- こまめな水分補給が必要
- 経口補水液やスポーツドリンク、お茶、水などを常温で摂取
- 脱水症状を防ぐことは回復を早めるためにも重要
🍽️ 栄養バランスのとれた食事
- 食欲が落ちている場合は無理に食べる必要はない
- 消化の良いものを少量ずつ摂取
- 栄養バランスのとれた食事は免疫力の維持・向上に役立つ
💨 咳がつらいときの工夫
咳が激しくてつらいときには、いくつかの工夫が役立ちます:
- 部屋の湿度を適度に保つ:のどや気道の乾燥を防ぎ、咳を和らげる
- 加湿器を使用
- 濡れタオルを室内に干す
- 上半身を少し高くして寝る:咳が出にくくなる
- 温かい飲み物:はちみつ入りの飲み物など(※1歳未満の乳児にはちみつは与えない)
💊 薬の服用
- 処方された抗菌薬は症状が改善しても自己判断で中止せず、医師の指示どおりに最後まで飲み切る
- マクロライド系抗菌薬は苦味があることが多い
- 小児に飲ませる際の工夫:
- 水や牛乳、バニラアイスで飲ませると苦味が軽減
- ジュースやスポーツドリンク、ヨーグルトと混ぜると苦味が増すので注意
🏡 家庭内感染の予防
マイコプラズマ肺炎は飛沫感染や接触感染で広がるため、家庭内での感染予防も重要です:
- 患者と家族の両方がマスクを着用
- 看護をする人をできれば1人に決める
- 発熱が治まるまでは患者は別の部屋で過ごし食事も別にする
- 看護の前後に石けんと流水で手を洗いうがいをする
- タオルを共有しない
🛡️ 感染経路と予防対策
マイコプラズマ肺炎を予防するためには、感染経路を理解し、適切な対策を講じることが重要です。現時点で有効なワクチンは開発されていないため、日常的な感染予防対策が主な防御手段となります。
🔄 感染経路
マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」の2つです。
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみによって放出される唾液や気道分泌物(飛沫)を、周囲の人が吸い込むことで感染
- 接触感染:感染者の分泌物が付着した物(ドアノブ、タオル、おもちゃなど)に触れた後、その手で自分の口や鼻、目などに触れることで感染
マイコプラズマの感染力はインフルエンザほど強くはありませんが、感染が成立するためには「濃厚接触」が必要とされています。そのため、家族間での感染や、学校・職場など長時間一緒に過ごす場での感染が多くみられます。
🧼 予防対策
日常生活における基本的な感染対策が、マイコプラズマ肺炎の予防に効果的です:
- 手洗いの徹底:
- 外出後、食事前、トイレ後などに石けんと流水で丁寧に手を洗う
- 最も重要な予防法
- 咳エチケット:
- 咳やくしゃみをする際はティッシュやハンカチ、または肘の内側で口と鼻を覆う
- 使用したティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる
- マスクの着用:
- 流行期には人混みでのマスク着用が感染予防につながる
- 咳などの症状がある場合は必ずマスクを着用
- こまめな換気:
- 室内の空気を入れ替える
- 飛沫中のウイルスや細菌の濃度を下げる
- タオルやコップなどの共用を避ける:
- 特に家族に感染者がいる場合は注意
🔄 免疫について
マイコプラズマ肺炎にかかっても十分な免疫は得られないため、一度感染しても再び感染する可能性があります。
- 免疫は数年で弱まることが多い
- 生涯にわたって何度も感染することがある
- 過去に感染したことがあっても、予防対策は継続して行うことが重要
📚 登園・登校・出勤の目安
マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法において「第三種の感染症」に分類されており、「症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止」とされています。ただし、インフルエンザなどとは異なり、明確な出席停止期間は定められていません。
🏫 登園・登校の目安
一般的には、以下が登園・登校再開の目安とされています:
- 解熱後2日経過
- 咳で日常生活に支障がない程度に回復
- 学校や保育園によって対応が異なる場合があるので、事前に確認
- 医師の診断書(登校許可証)が必要な場合もある
💼 出勤の目安
成人の場合も、登校の目安と同様に考えるとよいでしょう:
- 発熱が治まり、激しい咳が落ち着いて、日常生活に支障がない状態
- 咳が完全に治まるまでには時間がかかることが多い
- 出勤後も引き続きマスクを着用し、周囲への感染を防ぐ配慮が必要
⚠️ 注意点
- マイコプラズマは潜伏期間が長く、症状が治まった後も一定期間は病原体が体内に残存している可能性
- 症状が軽快した後もしばらくの間はマスクを着用
- 回復後すぐに激しい運動をすると、咳が悪化したり体力が消耗する可能性
- 咳が完全に治まるまでは激しい運動を控える
📊 2024年の流行状況と今後の注意点
2024年は、マイコプラズマ肺炎が約8年ぶりに大きな流行をみせています。国立感染症研究所のデータによると、2024年の定点当たり累積報告数は、周期的な大流行の年となった2016年に次いで多くなっています。
📈 流行の背景
- 新型コロナウイルス感染症の流行期間中(2020〜2023年):
- マスクの着用や手指消毒などの感染防止対策が社会全体で徹底
- マイコプラズマ肺炎の報告数は大きく減少
- 2023年に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行:
- 感染対策が緩和
- 2024年にはマイコプラズマ肺炎の流行が再び拡大
- 免疫を持たない人の増加:
- 過去数年間に感染する機会が少なかった
- 特に子どもで免疫を持たない人が増加
🌍 世界的な動向
日本だけでなく、世界の多くの地域でマイコプラズマ肺炎の発生増加が報告されています:
- 中国や欧州では2023年の秋頃から大きな流行が報告
- グローバルな感染拡大傾向
⚠️ 今後の注意点
- 今後も流行が続く可能性があるため、引き続き注意が必要
- 特に学校や保育園などの集団生活の場では、感染が広がりやすい
- 基本的な感染対策(手洗い、咳エチケット、換気など)を継続することが重要
- 咳が長引く場合や、周囲にマイコプラズマ肺炎の患者がいる場合は、早めに医療機関を受診
- 厚生労働省や学会からも注意喚起や提言が出されている
- 最新の情報に注意を払いながら、適切な対応を心がける

❓ よくある質問
マイコプラズマ肺炎は人から人へうつる感染症です。主な感染経路は飛沫感染(感染者の咳やくしゃみで放出される飛沫を吸い込むこと)と接触感染(感染者の分泌物が付着した物に触れ、その手で口や鼻を触ること)です。ただし、インフルエンザほど感染力は強くなく、感染が成立するには濃厚接触(長時間一緒に過ごすこと)が必要とされています。そのため、家族間や学校・職場など長時間一緒に過ごす場での感染が多くみられます。
マイコプラズマ肺炎の咳は、他の呼吸器感染症と比べて非常に長く続くのが特徴です。熱が下がった後も3〜4週間程度続くことが一般的で、長い場合は1か月以上続くこともあります。これは感染によって気道の粘膜が傷ついているためで、「感染後咳嗽」と呼ばれます。咳が長引いてつらい場合は、咳止めなどの対症療法について医師に相談することをお勧めします。
はい、マイコプラズマ肺炎には何度もかかる可能性があります。一度感染しても十分な免疫が得られず、免疫は数年で弱まるため、生涯にわたって複数回感染することがあります。そのため、過去に感染したことがあっても、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は継続して行うことが重要です。
残念ながら、マイコプラズマ肺炎に直接効く市販薬はありません。マイコプラズマ
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
マイコプラズマ肺炎の咳は「頑固で長引く」のが最大の特徴です。患者さんから「熱は下がったのに、なぜこんなに咳が続くのか?」とよく質問されますが、これは感染によって気道の粘膜が傷ついているためです。咳止めなどの対症療法で症状を和らげることは可能ですが、完全に治まるまでには時間がかかることをご理解いただき、無理をせずに療養することが大切です。