「二日酔いで気持ち悪いけど、吐いたら楽になるのでは?」と考えたことがある方は多いのではないでしょうか。実際に嘔吐した後にスッキリした経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、二日酔いで吐くことが本当に体に良いのか、無理に吐くことにリスクはないのかなど、正しい知識を持っている方は少ないのが現状です。本記事では、二日酔いで吐くと楽になる理由やそのメカニズム、嘔吐が体に与える影響、そして正しい対処法について詳しく解説します。二日酔いの辛さを少しでも軽減したい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- 二日酔いで吐くと楽になるのはなぜ?メカニズムを解説
- 二日酔いの嘔吐が体に与える影響
- 無理に吐くことのリスクと注意点
- 二日酔いで吐き気がある時の正しい対処法
- 嘔吐後に行うべきケアと回復方法
- 二日酔いの吐き気を予防する方法
- こんな症状がある場合は医療機関へ
- よくある質問
- まとめ
この記事のポイント
二日酔いで吐くと楽になるのは一時的な効果であり、無理な嘔吐は食道損傷や脱水などのリスクがある。正しい対処法は水分補給と安静が基本で、吐血や激しい腹痛など重篤な症状時は医療機関を受診すべきである。
🤢 二日酔いで吐くと楽になるのはなぜ?メカニズムを解説
二日酔いで嘔吐すると楽になったと感じる方は少なくありません。この現象には、体の防御反応としてのメカニズムが関係しています。まずは、なぜ吐くと楽になるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
🛡️ 嘔吐は体の防御反応
嘔吐は、体が有害な物質を体外に排出しようとする自然な防御反応です。アルコールを過剰に摂取すると、体はそれを毒性のある物質として認識し、嘔吐中枢が刺激されます。この嘔吐中枢は、脳の延髄に位置しており、血液中のアルコールやその代謝物であるアセトアルデヒドの濃度が高くなると活性化されます。
嘔吐によって胃の中に残っているアルコールや消化途中の食べ物が排出されると、それ以上のアルコール吸収が抑えられるため、結果として体への負担が軽減されます。これが「吐いたら楽になった」と感じる主な理由の一つです。
⚠️ アセトアルデヒドと吐き気の関係
二日酔いの症状の主な原因は、アルコールが肝臓で分解される際に生成されるアセトアルデヒドという物質です。アセトアルデヒドはアルコールよりも毒性が強く、体内に蓄積されると以下の症状を引き起こします:
- 吐き気
- 頭痛
- 動悸
- 顔面紅潮
日本人を含むアジア人の約40%は、アセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の活性が低いか、まったく持っていないとされています。このような体質の方は、少量のアルコールでも二日酔いの症状が強く出やすく、嘔吐しやすい傾向があります。
💨 胃の中のアルコール排出による効果
飲酒後、アルコールは主に小腸で吸収されますが、胃の中にもアルコールは留まっています。嘔吐によって胃の内容物が排出されると、まだ吸収されていないアルコールも一緒に体外に出されます。これにより、血中アルコール濃度のさらなる上昇を防ぐことができます。
ただし、飲酒から時間が経過している場合は、すでにほとんどのアルコールが吸収されているため、嘔吐による効果は限定的です。飲酒直後であれば効果が期待できますが、翌朝の二日酔いの段階では、胃の中のアルコールはほぼ吸収済みであることが多いです。
🧠 自律神経の変化と一時的な症状緩和
嘔吐の前後では、自律神経系に大きな変化が起こります:
- 嘔吐前:交感神経優位→冷や汗、動悸、唾液分泌増加
- 嘔吐後:副交感神経優位→リラックス状態
この自律神経の切り替わりによって、嘔吐後に「楽になった」「スッキリした」と感じることがあります。しかし、これは一時的な症状緩和であり、二日酔い自体が治ったわけではありません。体内に残っているアセトアルデヒドが完全に分解されるまで、症状は続く可能性があります。
Q. 二日酔いで吐くと楽になる理由は何ですか?
二日酔いで嘔吐すると楽になる理由は主に2つあります。1つ目は、胃に残っていたアルコールが排出され、それ以上の吸収が抑えられるためです。2つ目は、嘔吐後に自律神経が交感神経優位から副交感神経優位に切り替わり、一時的なリラックス状態が生まれるためです。ただしこれは一時的な緩和であり、血中のアセトアルデヒドが消えるわけではありません。
💔 二日酔いの嘔吐が体に与える影響
嘔吐は体の防御反応として一定の役割を果たしますが、繰り返し吐くことは体にさまざまな悪影響を及ぼします。嘔吐が体に与える影響を理解しておくことは、適切な対処法を選択する上で重要です。
💧 脱水症状のリスク
嘔吐によって体内の水分が大量に失われます。もともとアルコールには利尿作用があり、飲酒後は脱水状態になりやすくなっています。そこに嘔吐が加わると、脱水症状がさらに悪化します。
脱水症状による主な症状:
- 頭痛
- めまい
- 倦怠感
- 口の渇き
- 血圧低下(重度の場合)
- 意識障害(重度の場合)
⚡ 電解質バランスの乱れ
嘔吐によって、水分だけでなくナトリウムやカリウムなどの電解質も失われます。電解質は、体内の水分バランスの維持、神経や筋肉の正常な機能に不可欠な成分です。
電解質バランス異常による症状:
- 筋肉のけいれん
- 脱力感
- 不整脈
- 吐き気の悪化
🔥 胃酸による食道へのダメージ
嘔吐する際には、強酸性の胃酸が食道を逆流します。食道の粘膜は胃酸に対する防御機構が弱いため、繰り返し嘔吐することで食道の粘膜が傷つきます。
食道が胃酸によってダメージを受けると、逆流性食道炎を引き起こすことがあります。また、激しい嘔吐によって食道の粘膜が裂け、出血する「マロリー・ワイス症候群」という状態になることもあります。この場合、吐物に血液が混じることがあり、医療機関での治療が必要になります。
🦷 歯への影響
嘔吐の際に口腔内に逆流する胃酸は、歯のエナメル質を溶かす原因になります。頻繁に嘔吐を繰り返すと、歯の表面が徐々に溶けていき、虫歯になりやすくなったり、知覚過敏を引き起こしたりします。
嘔吐後にすぐ歯を磨くと、酸によって軟化したエナメル質を傷つけてしまう可能性があります。嘔吐後は水で口をすすぎ、30分程度時間を置いてから歯を磨くことが推奨されています。
🫁 誤嚥のリスク
酔った状態で嘔吐する場合、意識がぼんやりしていると吐物を気管に吸い込んでしまう誤嚥(ごえん)のリスクがあります。特に仰向けの状態で嘔吐すると、吐物が気道を塞ぎ、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があります。
泥酔状態の人が嘔吐しそうな場合の対処法:
- 必ず横向き(回復体位)に寝かせる
- 吐物が気道に入らないようにする
- 一人で寝かせておくことは避ける
- 誰かがそばで見守る
Q. 二日酔いで無理に吐くことの危険性は?
無理に嘔吐を誘発することは非常に危険です。強い腹圧がかかることで食道粘膜が裂ける「マロリー・ワイス症候群」や、命に関わる「食道破裂(ブールハーフェ症候群)」を引き起こすリスクがあります。また繰り返すことで低カリウム血症による不整脈や、摂食障害の習慣化にもつながります。翌朝の段階ではアルコールはほぼ吸収済みのため、無理に吐いても改善効果はほとんどありません。
⚠️ 無理に吐くことのリスクと注意点
「早く楽になりたい」という気持ちから、指を喉に入れるなどして無理に吐こうとする方がいらっしゃいますが、これは非常に危険な行為です。無理に吐くことのリスクについて詳しく説明します。
💥 食道や胃への物理的ダメージ
無理に嘔吐を誘発すると、通常の嘔吐よりも激しい腹圧がかかります。これにより、食道や胃に大きな負担がかかり、粘膜の損傷や出血を引き起こすリスクが高まります。
起こりうる深刻な合併症:
- マロリー・ワイス症候群:食道下部の粘膜が裂ける状態
- ブールハーフェ症候群:食道破裂(命に関わる緊急事態)
食道破裂は命に関わる緊急事態であり、直ちに外科的治療が必要になります。
🔄 習慣化による摂食障害のリスク
無理に吐く行為を繰り返していると、嘔吐が習慣化してしまう恐れがあります。「吐けばリセットできる」という誤った認識が定着すると、過食嘔吐などの摂食障害につながる可能性があります。
摂食障害は、身体的な健康被害だけでなく、精神的な問題も引き起こす深刻な疾患です。一度習慣化してしまうと、専門的な治療が必要になることも少なくありません。
⚡ 低カリウム血症の危険性
繰り返し嘔吐することで、体内のカリウムが大量に失われ、低カリウム血症を引き起こす可能性があります。カリウムは心臓の正常な機能に不可欠な電解質であり、重度の低カリウム血症は不整脈や心停止を引き起こす危険性があります。
低カリウム血症の症状:
- 筋力低下
- 筋肉のけいれん
- 便秘
- 疲労感
❌ 効果が限定的であること
前述の通り、二日酔いの症状は主に血液中に吸収されたアルコールとその代謝物であるアセトアルデヒドによって引き起こされます。翌朝の二日酔いの段階では、飲んだアルコールのほとんどはすでに吸収されているため、嘔吐しても症状の改善効果は限定的です。
むしろ、無理に吐くことで体に余計な負担をかけ、脱水や電解質異常を悪化させてしまう可能性があります。自然に吐き気が催した場合は我慢せずに吐くことは問題ありませんが、無理に吐こうとすることは避けるべきです。
🩺 二日酔いで吐き気がある時の正しい対処法
二日酔いで吐き気がある時は、無理に吐こうとせず、適切な対処法を実践することが大切です。ここでは、吐き気を和らげるための具体的な方法を紹介します。
💧 水分補給を最優先に
二日酔いの際に最も重要なのは、十分な水分補給です。アルコールの利尿作用と嘔吐によって失われた水分を補うため、こまめに水分を摂取しましょう。
効果的な水分補給のポイント:
- 少量ずつ、ゆっくりと飲む
- 常温の水やぬるま湯を選ぶ
- 一度に大量の水を飲まない
- 冷たい水は胃への刺激が強いため避ける
⚡ 経口補水液やスポーツドリンクの活用
水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクを活用することで、失われた電解質も同時に補給できます。経口補水液は、脱水症状の改善に効果的で、医療機関でも推奨されています。
選択の目安:
- 経口補水液:脱水症状に特化した最適な配合
- スポーツドリンク:入手しやすいが糖分が多いものもある
- 簡易経口補水液:水500ml + 砂糖小さじ4杯 + 塩小さじ半分
🛏️ 安静にして体を休める
二日酔いの症状がある時は、無理に動かず安静にすることが大切です。体を横にして休むことで、血流が安定し、肝臓でのアルコール分解も促進されます。
安静時の注意点:
- 横向きの姿勢(回復体位)を取る
- 仰向けで寝ると嘔吐時に誤嚥のリスク
- 静かな環境で休む
- 可能であれば睡眠を取る
🍚 消化に良い食べ物を少量ずつ
吐き気が少し落ち着いてきたら、消化に良い食べ物を少量ずつ食べましょう。空腹状態が続くと、胃酸が胃の粘膜を刺激して吐き気が悪化することがあります。
おすすめの食べ物:
- おかゆ
- うどん
- バナナ
- りんご
- トースト
避けるべき食べ物:
- 脂っこいもの
- 刺激の強いもの
- 大量の食事
👆 吐き気を和らげるツボ押し
吐き気を和らげる効果があるとされるツボを刺激することで、症状が軽減することがあります。代表的なツボとしては、「内関(ないかん)」があります。
内関の位置と押し方:
- 手首の内側、手首のしわから指3本分ひじ寄りの位置
- 親指で数分間、やや強めに押す
- 乗り物酔い用のリストバンドも同じ原理
💊 市販薬の活用
二日酔いの症状を緩和するために、市販薬を活用することも一つの選択肢です。吐き気止めの成分を含む胃腸薬や、二日酔い専用の薬なども販売されています。
市販薬使用時の注意点:
- 添付文書をよく読む
- 用法用量を守って使用
- 胃が荒れている状態では負担をかけることも
- 改善しない場合は医療機関受診を検討
Q. 二日酔いの吐き気がある時の正しい対処法は?
二日酔いの吐き気がある際は、水分補給を最優先に行うことが基本です。常温の水や経口補水液を少量ずつゆっくり飲み、失われた電解質も補給しましょう。体は横向き(回復体位)で安静にし、吐き気が落ち着いたらおかゆ・バナナ・トーストなど消化に良い食べ物を少量ずつ摂取します。脂っこい食べ物や冷たい水は胃への刺激が強いため避けてください。
🔄 嘔吐後に行うべきケアと回復方法
実際に嘔吐してしまった後は、適切なケアを行うことで体の回復を早めることができます。嘔吐後のケアについて詳しく解説します。
🦷 口腔内のケア
嘔吐後は、まず口の中をきれいにすることが大切です。胃酸が口腔内に残っていると、不快感が続くだけでなく、歯にもダメージを与えます。
口腔ケアの手順:
- 水やマウスウォッシュで口をすすぐ
- 30分程度時間を置く
- 歯磨きを行う(直後の歯磨きはエナメル質を傷つけるリスク)
💧 少量ずつ水分補給を再開
嘔吐後は、体が脱水状態になっています。しかし、嘔吐直後に大量の水を飲むと、再び嘔吐を誘発してしまうことがあります。
水分補給再開の手順:
- 嘔吐後15〜30分程度は水分摂取を控える
- 一口ずつ、5分おきに飲むペースで開始
- 吐き気が起こらなければ徐々に量を増やす
- 経口補水液やスポーツドリンクで電解質も補給
😴 安静を保つ
嘔吐後は体力を消耗しているため、十分な休息が必要です。静かな環境で、体を横にして休みましょう。可能であれば、そのまま睡眠を取ることで体の回復が促進されます。
安静時の準備:
- 横向きの姿勢で休む
- 枕元にタオルやビニール袋を用意
- 水を手の届く場所に置く
- 静かで暗い環境を整える
🍎 回復食の摂取
嘔吐後数時間経って、吐き気が落ち着いてきたら、少しずつ食事を摂りましょう。最初は流動食に近いもの、例えばスープやおかゆから始め、徐々に固形物に移行していきます。
BRAT食(国際的に推奨される回復食):
- Banana(バナナ)
- Rice(米・おかゆ)
- Apple(りんご)
- Toast(トースト)
これらの食品は消化に良く、胃への負担が少ないため、嘔吐後の食事として適しています。
🧬 アルコールの分解を促進する栄養素の摂取
体内でのアルコール分解を促進するために、特定の栄養素を含む食品を摂取することも効果的です。
アルコール代謝に関わる栄養素:
- ビタミンB群:肝臓でのアルコール代謝をサポート
- ビタミンC:抗酸化作用
- 亜鉛:酵素の働きをサポート
- オルニチン:しじみやあさりに含まれ、肝臓の働きをサポート
- 果糖:はちみつに含まれ、アルコール分解を促進
🛡️ 二日酔いの吐き気を予防する方法
最も良い対処法は、そもそも二日酔いにならないことです。ここでは、二日酔いによる吐き気を予防するための方法を紹介します。
🍺 飲酒量を適度に抑える
二日酔いを予防する最も確実な方法は、飲酒量を適度に抑えることです。厚生労働省が推進する「健康日本21」では、「節度ある適度な飲酒」として、1日あたり純アルコール量で約20g程度が目安とされています。
純アルコール20gの目安:
- ビール中瓶1本(500ml)
- 日本酒1合(180ml)
- ワイングラス2杯(200ml)
- 焼酎(25度)100ml程度
🍽️ 空腹での飲酒を避ける
空腹状態でアルコールを摂取すると、アルコールが急速に吸収され、血中アルコール濃度が急上昇します。これにより、酔いが早く回り、二日酔いの症状も強くなりやすくなります。
飲酒前の食事のポイント:
- 飲酒前に軽く食事を済ませる
- 脂質を含む食品はアルコール吸収を遅らせる
- 飲みながらつまみも食べる
- 空腹での一気飲みは絶対に避ける
💧 飲酒中の水分補給
飲酒中にも意識的に水分を補給することで、脱水を予防し、二日酔いの症状を軽減できます。お酒と同量の水(チェイサー)を飲むことが理想的です。
飲酒中の水分補給の効果:
- 脱水症状の予防
- 飲酒ペースの調整
- 総飲酒量の抑制
- 翌日の二日酔い症状の軽減
⏰ 飲酒のペースをコントロール
短時間で大量のアルコールを摂取すると、肝臓での分解が追いつかず、血中アルコール濃度が急激に上昇します。これは急性アルコール中毒のリスクを高めるだけでなく、翌日の二日酔いも重くなります。
適切な飲酒ペースの心がけ:
- ゆっくりと時間をかけて飲む
- 一気飲みは絶対に避ける
- 自分のペースを守る
- 周囲からの勧誘に無理に応じない
🌙 就寝前の水分補給
飲酒後、寝る前にコップ1〜2杯の水を飲んでおくことで、睡眠中の脱水を予防し、翌朝の二日酔いの症状を軽減できます。できれば、経口補水液やスポーツドリンクを飲んでおくとより効果的です。
就寝前の準備:
- コップ1〜2杯の水分補給
- 枕元に水を用意
- 夜中に目が覚めた際の水分補給
- 経口補水液の活用
🌿 ウコンやヘパリーゼなどの活用
ウコンに含まれるクルクミンには、肝機能をサポートする作用があるとされています。飲酒前にウコンを含む栄養ドリンクやサプリメントを摂取することで、二日酔いの予防効果が期待できます。
重要な注意点:
- あくまで補助的なもの
- 過信は禁物
- 適度な飲酒が前提
- 製品を摂取したからといって過度な飲酒は避ける
Q. 二日酔いで医療機関を受診すべき症状は?
二日酔いでも以下の症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。吐物に血が混じる(消化管出血の疑い)、左上腹部から背中にかけての激しい腹痛(急性膵炎の疑い)、意識がもうろうとしている・けいれんがある(急性アルコール中毒の疑い)、12時間以上嘔吐が続く、皮膚や白目が黄色い黄疸などです。これらは単純な二日酔いではなく、重篤な疾患のサインである可能性があります。
🚨 こんな症状がある場合は医療機関へ
二日酔いの症状は通常、時間の経過とともに自然に回復します。しかし、以下のような症状がある場合は、単なる二日酔いではなく、より深刻な状態である可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
🩸 吐物に血が混じっている
嘔吐物に鮮血や黒褐色の血液が混じっている場合は、消化管出血の可能性があります。マロリー・ワイス症候群による食道粘膜の損傷や、胃潰瘍からの出血などが考えられます。
対応:
- 少量の血液でも速やかに医療機関受診
- 大量の出血がある場合は救急車を呼ぶ
- 消化管出血は重症化する可能性あり
💥 激しい腹痛がある
二日酔いで胃のむかつきや軽い腹部の不快感がある程度は珍しくありませんが、激しい腹痛、特に左上腹部から背中にかけての痛みがある場合は、急性膵炎の可能性があります。
急性膵炎について:
- 大量飲酒が原因で発症することがある
- 適切な治療を行わないと重症化する恐れ
- 激しい腹痛がある場合は我慢せず受診
🧠 意識がもうろうとしている
二日酔いで多少ぼんやりすることはありますが、呼びかけに反応しない、意識がもうろうとしている、けいれんを起こしているなどの症状がある場合は、急性アルコール中毒や低血糖、電解質異常などの危険な状態である可能性があります。
緊急対応:
- 直ちに救急車を呼ぶ
- 意識がない人を一人にしない
- 横向き(回復体位)にする
- 気道確保に注意
🤮 12時間以上嘔吐が続く
通常、二日酔いの嘔吐は数時間から半日程度で落ち着きます。12時間以上嘔吐が続く場合や、水分を摂ってもすぐに吐いてしまう場合は、重度の脱水症状に陥っている可能性があります。
必要な治療:
- 点滴による水分・電解質の補給
- 医療機関での適切な治療
- 脱水症状の重症化予防
💧 尿が極端に少ない、または出ない
脱水が進行すると、尿量が極端に減少します。尿がほとんど出ない、または尿の色が非常に濃い場合は、重度の脱水状態を示している可能性があります。
このような状態では、経口での水分補給だけでは不十分なことがあり、医療機関での点滴治療が必要になることがあります。
💛 黄疸がある
皮膚や白目が黄色くなる黄疸は、肝臓に重大な問題が生じているサインです。大量飲酒によってアルコール性肝炎や急性肝不全を発症している可能性があります。
重要性:
- 肝臓の疾患は早期発見・早期治療が重要
- 黄疸が見られる場合は直ちに受診
- 重大な肝機能障害の可能性

❓ よくある質問
嘔吐によって胃の中に残っているアルコールが排出されると一時的に楽になることがあります。また、嘔吐後は自律神経の切り替わりによってリラックス状態になることもあります。ただし、飲酒から時間が経過している場合はすでにアルコールが吸収されているため、効果は限定的です。無理に吐くことはリスクがあるため避けてください。
無理に吐くことは非常に危険です。食道や胃の粘膜を傷つけるリスクがあり、マロリー・ワイス症候群(食道粘膜の裂傷)や、最悪の場合は食道破裂を引き起こす可能性があります。また、繰り返し無理に吐くことで習慣化し、摂食障害につながるリスクもあります。自然に吐き気が催した場合は我慢せず吐いても構いませんが、指を喉に入れるなどして無理に吐くことは避けてください。
二日酔いの吐き気を和らげるには、まず水分補給を優先してください。経口補水液やスポーツドリンクで電解質も同時に補給すると効果的です。少量ずつゆっくり飲むことがポイントです。また、安静にして体を休め、吐き気が落ち着いてきたらおかゆやバナナなど消化に良い食べ物を少量ずつ摂取しましょう。市販の胃腸薬や二日酔い用の薬を活用することも一つの選択肢です。
嘔吐直後に大量の水を飲むと、再び嘔吐を誘発することがあります。嘔吐後15〜30分程度は水分摂取を控え、その後少量ずつ水分補給を再開しましょう。最初は一口ずつ、5分おきに飲むくらいのペースで始め、吐き気が起こらなければ徐々に量を増やしていくことをおすすめします。
吐き気がある時は消化に良い食べ物を少量ずつ食べましょう。おすすめはおかゆ、うどん、バナナ、りんご、トーストなどです。これらは胃への負担が少なく、嘔吐後の回復食としても適しています。脂っこいものや刺激の強いもの、カフェインを含む飲料は避けてください。一度にたくさん食べず、少量ずつゆっくり食べることがポイントです。
吐物に血が混じっている、激しい腹痛がある、意識がもうろうとしている、12時間以上嘔吐が続く、尿がほとんど出ない、皮膚や白目が黄色い(黄疸)などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。これらは単なる二日酔いではなく、消化管出血や急性膵炎、重度の脱水、肝臓疾患などの可能性があります。
📝 まとめ
二日酔いで吐くと楽になるのは、体の防御反応として胃の中のアルコールが排出されることや、自律神経の変化による一時的なリラックス効果が理由です。しかし、翌朝の二日酔いの段階では、すでにアルコールの大部分が吸収されているため、嘔吐による効果は限定的です。
また、無理に吐くことには多くのリスクがあります:
- 食道や胃へのダメージ
- 脱水や電解質異常の悪化
- 習慣化による摂食障害のリスク
- 深刻な健康被害の可能性
自然に吐き気が催した場合は我慢する必要はありませんが、指を喉に入れるなどして無理に吐くことは避けてください。
二日酔いの吐き気がある時は、水分補給を最優先に行い、安静にして体を休めることが重要です。経口補水液やスポーツドリンクを活用し、消化に良い食べ物を少量ずつ摂取することで、回復を早めることができます。
そして何より、二日酔いを予防することが最も大切です:
- 適度な飲酒量を守る
- 空腹での飲酒を避ける
- 飲酒中も水分補給を心がける
- 飲酒ペースをコントロールする
- 就寝前の水分補給を忘れない
お酒は楽しく、適度に嗜むことで、翌日も快適に過ごすことができます。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコール」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位」
- 厚生労働省「健康日本21(アルコール)」
- 慶應義塾大学「日本人の飲酒行動と健康への影響」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
嘔吐による一時的な症状緩和は確かにありますが、これは根本的な解決にはなりません。アセトアルデヒドは主に血液中に存在するため、胃の内容物を排出しても二日酔いの症状は完全には改善されません。むしろ適切な水分補給と安静が回復への近道です。