「このほくろ、なんだか大きくなっている気がする」「形がいびつで気になる」と不安に感じたことはありませんか。ほくろは誰にでもある身近なものですが、まれに悪性腫瘍である可能性があります。特に悪性黒色腫(メラノーマ)は進行が早く、早期発見・早期治療が非常に重要です。この記事では、危ないほくろの見分け方として知られる「ABCDEルール」をはじめ、注意すべき特徴や受診の目安について、皮膚科専門の視点から詳しく解説します。ご自身やご家族のほくろが気になる方は、ぜひ参考にしてください。

目次
- ほくろとは|基本的な知識と種類
- 危ないほくろとは|悪性黒色腫(メラノーマ)について
- 危ないほくろの見分け方「ABCDEルール」
- 良性のほくろと悪性のほくろの違い
- 特に注意が必要なほくろの場所
- こんな症状があれば要注意|受診すべきタイミング
- ほくろの検査方法と診断の流れ
- 危ないほくろが見つかった場合の治療法
- ほくろのセルフチェック方法
- 悪性黒色腫の予防と日常生活での注意点
- よくある質問
- まとめ
🔬 ほくろとは|基本的な知識と種類
ほくろは医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞母斑」と呼ばれ、皮膚にメラニン色素を産生する細胞(メラノサイト)が集まってできた良性の腫瘍です。
生まれつきあるものから、成長とともに新しくできるものまでさまざまで、日本人の多くは体に数個から数十個のほくろを持っています。
🧬 ほくろができる仕組み
ほくろは、皮膚の表皮と真皮の境界部分や真皮内にメラノサイト(色素細胞)が集まることで形成されます。通常、メラノサイトは皮膚全体に散在していますが、何らかの原因で局所的に増殖すると、ほくろとして目に見えるようになります。
ほくろの発生要因として以下が考えられています:
- 紫外線への曝露
- 遺伝的要因
- ホルモンバランスの変化
📋 ほくろの種類
ほくろは、その存在する位置や特徴によっていくつかの種類に分類されます。
- 境界母斑:表皮と真皮の境界部に母斑細胞が存在するタイプで、平坦で色が濃いのが特徴
- 複合母斑:境界部から真皮にかけて母斑細胞が存在し、やや盛り上がりがある
- 真皮内母斑:真皮内のみに母斑細胞があり、肌色に近く隆起していることが多い
- 先天性色素性母斑:生まれつき存在し、サイズが大きくなることもあり、特に巨大なものは注意が必要
⚠️ 危ないほくろとは|悪性黒色腫(メラノーマ)について
危ないほくろとして最も警戒すべきなのが、悪性黒色腫(メラノーマ)です。悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、メラノサイトががん化することで発生します。皮膚がんの中では発生頻度は比較的低いものの、転移しやすく悪性度が高いため、早期発見・早期治療が極めて重要です。
🎯 悪性黒色腫の特徴
悪性黒色腫は、通常のほくろとは異なる特徴を持っています。
- 色むらがあり、形が不整形
- 境界がぼやけている
- 短期間で大きくなったり、色が変化する
- 日本人では足の裏や手のひら、爪の下など、欧米人とは異なる部位に発生しやすい
📊 悪性黒色腫の発生頻度
日本における悪性黒色腫の発生率は、人口10万人あたり年間1〜2人程度とされています。欧米の白人と比較すると発生率は低いものの、近年は増加傾向にあります。
発症に関する特徴:
- 発症年齢は50歳以降に多い
- 男女差はほとんどない
- 高齢化や紫外線曝露の増加、診断技術の向上などが要因
🔬 悪性黒色腫の病型分類
悪性黒色腫は臨床的・病理学的特徴から4つの主要な病型に分類されます。
- 末端黒子型:日本人に最も多いタイプで、足の裏や手のひら、爪に発生
- 表在拡大型:欧米人に多く、体幹や四肢に発生し、比較的ゆっくり進行
- 結節型:最初から隆起した病変として現れ、進行が早い
- 悪性黒子型:高齢者の顔面に多く、長年かけてゆっくり進行
📋 危ないほくろの見分け方「ABCDEルール」
危ないほくろを見分けるために、世界的に広く使われているのが「ABCDEルール」です。これは悪性黒色腫の特徴を5つのポイントでまとめたもので、一般の方でもセルフチェックに活用できます。
🅰️ A:Asymmetry(非対称性)
良性のほくろは左右対称、悪性黒色腫は左右非対称であることが多いです。
チェックポイント:
- ほくろの中心に線を引いて、両側の形が大きく異なる場合は注意
- 上下で比較しても非対称である場合も同様に要注意
🅱️ B:Border(境界不整)
良性のほくろは境界がはっきりしている一方、悪性黒色腫は境界が不明瞭であることが特徴です。
注意すべき特徴:
- 境界がギザギザしている
- ぼやけている
- インクがにじんだように周囲に色素が染み出している
🅲 C:Color(色の不均一)
良性のほくろは均一な茶色や黒色ですが、悪性黒色腫は複数の色が混在していることがあります。
要注意の色の組み合わせ:
- 濃い黒
- 薄い茶色
- 赤み
- 白っぽい部分
- 青みがかった部分
🅳 D:Diameter(直径)
一般的に、直径6mm以上のほくろは注意が必要とされています。6mmは鉛筆の消しゴム部分の直径とほぼ同じサイズです。
ただし、悪性黒色腫が必ずしも6mm以上とは限らず、初期段階では小さいこともあります。サイズだけでなく、他の特徴と合わせて判断することが重要です。
🅴 E:Evolution(変化)
最も重要な指標の一つが「変化」です。短期間(数週間から数ヶ月)でほくろに変化が見られる場合は、悪性の可能性を考える必要があります。
注意すべき変化:
- 大きさの変化
- 色の変化
- 形の変化
- 高さの変化
- 出血するようになった
⚖️ 良性のほくろと悪性のほくろの違い
ABCDEルールに加えて、良性のほくろと悪性のほくろにはいくつかの違いがあります。これらの特徴を知っておくことで、より正確なセルフチェックが可能になります。
✅ 良性のほくろの特徴
良性のほくろは以下のような特徴を持っています:
- 形が円形または楕円形で左右対称
- 境界は滑らかではっきりしている
- 色は均一な茶色や黒色
- 大きさは通常6mm未満
- 長期間にわたって変化がない
- 表面は滑らかか、やや隆起
- 触っても痛みがなく、出血しない
- 成長は非常にゆっくり
❌ 悪性のほくろ(悪性黒色腫)の特徴
悪性黒色腫の特徴:
- 形が不整形で非対称
- 境界はギザギザしていたり、不明瞭
- 色は不均一で、複数の色調が混在
- 大きさは6mm以上になることが多い
- 短期間で急速に大きくなる
- 表面がただれたり、潰瘍化することもある
- 出血や浸出液を伴うことがある
- かゆみや痛みを感じることもある
🔍 見た目だけでは判断できないケース
注意が必要なのは、すべての悪性黒色腫が典型的な特徴を示すわけではないということです。
特に以下のようなケースは判断が困難です:
- 初期段階では良性のほくろと区別がつきにくい
- 「無色素性悪性黒色腫」は肌色やピンク色をしている
- 少しでも気になる点があれば、自己判断せずに皮膚科専門医に相談することが重要
📍 特に注意が必要なほくろの場所
悪性黒色腫は体のどこにでも発生する可能性がありますが、日本人の場合は特定の部位に発生しやすい傾向があります。これらの部位にあるほくろは、より注意深く観察する必要があります。
🦶 足の裏
日本人の悪性黒色腫で最も多いのが足の裏です。末端黒子型と呼ばれるタイプが発生しやすく、全体の約30〜40%を占めます。
注意すべきポイント:
- 普段目にする機会が少ないため、発見が遅れがち
- 定期的にチェックする習慣をつけることが重要
- 特に踵や土踏まずに新しくできたほくろや変化があるほくろは要注意
✋ 手のひら
手のひらも日本人に多い発生部位の一つです。足の裏と同様に末端黒子型が発生しやすい場所です。
チェックポイント:
- 比較的目につきやすいため、変化に気づきやすい
- 線状に色素が広がっているような見た目は要注意
- 境界がはっきりしないほくろには注意
💅 爪の下(爪甲下)
爪の下に発生する悪性黒色腫も、日本人に比較的多く見られます。爪に縦の黒い線(爪甲色素線条)として現れることが多いです。
要注意のサイン:
- 爪に新しく黒い線が出現
- 既存の線が太くなったり色が濃くなった
- 爪全体が黒くなる
- 爪の周囲の皮膚にも色素が広がる
- 特に親指や足の親指の爪に発生することが多い
👤 顔面
顔面は紫外線を浴びやすい部位であり、悪性黒子型の悪性黒色腫が発生しやすい場所です。
注意すべき変化:
- 特に高齢者の頬や鼻に発生することが多い
- シミと間違えられやすい
- 長年あったシミが急に大きくなったり、色が濃くなったり、形が変わったりした場合は要注意
👄 粘膜
口腔内、鼻腔、外陰部などの粘膜にも悪性黒色腫が発生することがあります。
特徴と注意点:
- 自分では確認しにくく、発見が遅れることが多い
- 口の中に新しく黒い斑点ができた場合は要注意
- 既存の色素斑に変化が見られた場合は歯科や耳鼻咽喉科、皮膚科を受診
🚨 こんな症状があれば要注意|受診すべきタイミング
以下のような症状や変化が見られた場合は、できるだけ早く皮膚科を受診することをお勧めします。自己判断で様子を見ることは避け、専門医の診察を受けてください。
📈 急速に大きくなるほくろ
数週間から数ヶ月の間に目に見えて大きくなるほくろは、悪性の可能性があります。
確認方法:
- 写真を撮って定期的に比較する
- 以前よりも明らかにサイズが大きくなっていると感じたら受診を検討
🎨 色の変化
ほくろの色が変化した場合も注意が必要です。
要注意の色の変化:
- 濃くなった
- 薄くなった
- まだらになった
- 新しい色が出現した
- 特に、今まで均一だった色が不均一になった場合
🩸 出血やただれ
ほくろから出血したり、表面がただれたり、かさぶたができたりする場合は、早急に受診してください。
外傷を受けていないにもかかわらず、このような症状が見られる場合は、悪性腫瘍の可能性を考える必要があります。
🔥 かゆみや痛み
通常、ほくろはかゆみや痛みを伴いません。以前は何も感じなかったほくろにかゆみや痛みが出てきた場合は、何らかの変化が起きているサインかもしれません。
🆕 新しくできた大きなほくろ
成人になってから新しくできたほくろで、最初から6mm以上の大きさがある場合は注意が必要です。
通常、ほくろは小さい状態から始まり、徐々に成長します。最初から大きなほくろが出現した場合は、念のため皮膚科で確認してもらうことをお勧めします。
💫 周囲への色素の広がり
ほくろの周囲に色素が染み出すように広がっている場合は、悪性黒色腫の特徴的な所見の一つです。
特に重要なサイン:
- 爪の悪性黒色腫では、爪の周囲の皮膚に色素が広がる「ハッチンソン徴候」が見られることがある
- 重要な診断の手がかりとなる
🔬 ほくろの検査方法と診断の流れ
皮膚科では、さまざまな方法を用いてほくろが良性か悪性かを判断します。検査方法と診断の流れについて解説します。
👁️ 視診
最初に行われるのは、肉眼による観察です。
視診で確認するポイント:
- ABCDEルールに基づいた観察
- ほくろの形、境界、色、大きさ、変化の有無を確認
- 患者さんからの問診(いつ頃からあるほくろか、最近変化があったかなど)
🔍 ダーモスコピー検査
ダーモスコピーは、特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて皮膚の表面構造を詳しく観察する検査です。
ダーモスコピー検査の特徴:
- 肉眼では見えない微細な構造やパターンを確認
- 良性と悪性の鑑別に非常に有用
- 痛みがなく、数分で終わる
- 皮膚科専門医の多くが使用
- 診断の精度を高めるのに役立つ
🧪 皮膚生検
視診やダーモスコピーで悪性が疑われる場合は、組織を採取して病理学的に調べる皮膚生検が行われます。
悪性黒色腫が疑われる場合の生検:
- 病変全体を切除して検査する「全切除生検」が推奨
- 部分的な生検は診断の精度が下がる可能性があるため、一般的には避けられる
🔬 病理診断
切除された組織は病理医によって顕微鏡で詳しく調べられます。
病理診断で評価される項目:
- 細胞の形態や増殖パターン
- 浸潤の深さ
- 良性か悪性かの最終的な診断
- 悪性黒色腫と診断された場合は、病変の厚さ(ブレスロー厚)や潰瘍の有無も評価
🏥 追加検査
悪性黒色腫と診断された場合は、転移の有無を調べるための追加検査が行われることがあります。
追加検査の種類:
- センチネルリンパ節生検
- CT検査
- PET-CT検査
- MRI検査
- これらの検査結果に基づいて、治療方針が決定される
🏥 危ないほくろが見つかった場合の治療法
悪性黒色腫と診断された場合の治療法について解説します。治療方針は病期(ステージ)や患者さんの状態によって異なります。
✂️ 外科的切除
悪性黒色腫の治療の基本は外科的切除です。
切除手術の特徴:
- 腫瘍とその周囲の正常な皮膚を含めて十分なマージンをとって切除
- 切除範囲は腫瘍の厚さによって決まる
- 薄い腫瘍:1cm程度のマージン
- 厚い腫瘍:2cm程度のマージン
- 早期の悪性黒色腫であれば、外科的切除のみで治癒が期待できる
🎯 センチネルリンパ節生検
ある程度の厚さがある悪性黒色腫では、がん細胞が最初に転移する可能性があるリンパ節(センチネルリンパ節)を調べる検査が行われます。
センチネルリンパ節生検の意義:
- このリンパ節に転移がなければ、他のリンパ節への転移も少ないと判断
- 転移があった場合は、追加の治療が検討される
💊 薬物療法
進行した悪性黒色腫に対しては、薬物療法が行われます。
近年の薬物療法の進歩:
- 免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)
- 分子標的薬(BRAF阻害薬、MEK阻害薬など)
- 進行した悪性黒色腫の治療成績は大きく向上
- 手術後の再発予防目的で使用されることもある
🔗 放射線療法
放射線療法の適応:
- 手術が困難な部位の悪性黒色腫
- 手術後の補助療法
- 転移巣に対する緩和目的の治療
⚡ 早期発見の重要性
悪性黒色腫は早期に発見されれば、手術のみで高い確率で治癒が期待できます。
早期発見による治療成績:
- 腫瘍の厚さが1mm以下の段階で発見・治療:5年生存率は95%以上
- 進行して転移が生じると治療は困難
- 早期発見のためのセルフチェックと定期的な皮膚科受診が重要
🔍 ほくろのセルフチェック方法
危ないほくろを早期に発見するために、定期的なセルフチェックを習慣にしましょう。具体的な方法を紹介します。
📅 チェックの頻度
月に1回程度のセルフチェックが推奨されています。
効果的なチェックのタイミング:
- 入浴時など、全身を見る機会を利用
- 同じ条件(同じ照明、同じ時間帯など)でチェック
- 変化を見つけやすくなる
🛠️ 準備するもの
セルフチェックに必要な道具:
- 全身鏡
- 手鏡
- 明るい照明
- 背中や後頭部など自分では見えにくい部位は、家族やパートナーに確認を依頼
- スマートフォンで写真を撮っておくと、経時的な変化を確認しやすい
📋 チェックの手順
効果的なセルフチェックの順序:
- 顔から始めて、耳の後ろ、首をチェック
- 胸、腹部を確認
- 腕は内側も外側もチェック
- 手のひらや指の間も忘れずに
- 背中や臀部は鏡を使って確認
- 脚は太ももから足先まで
- 膝の裏や足の裏も丁寧にチェック
- 爪の色の変化にも注意
📸 写真記録の活用
気になるほくろは写真を撮って記録しておくことをお勧めします。
写真記録のコツ:
- スマートフォンのカメラで撮影
- 日付とともに保存
- 後から変化を比較できる
- 定規やコインなどを一緒に写すとサイズの変化も分かりやすい
🗺️ 体のマップを作る
体のどこにほくろがあるかをマップとして記録しておくと、新しいほくろができたときにすぐに気づけます。
マップ作成のメリット:
- 人体図のイラストにほくろの位置を書き込む
- 特にほくろの数が多い方には有効
- 新しいほくろの発生を早期発見できる
🛡️ 悪性黒色腫の予防と日常生活での注意点
悪性黒色腫のリスクを減らすために、日常生活で心がけたいことを紹介します。
☀️ 紫外線対策
紫外線は悪性黒色腫のリスク因子の一つです。
特に注意が必要な方:
- 日焼けで皮膚が赤くなりやすい方
- 子どもの頃にひどい日焼けを経験した方
効果的な紫外線対策:
- 日常的に日焼け止めを塗る
- 帽子や日傘を使う
- 長袖を着る
ただし、日本人の悪性黒色腫は紫外線の影響を受けにくい部位(足の裏など)に発生することも多いため、紫外線対策だけでは予防できない点は理解しておく必要があります。
⚠️ 刺激を避ける
足の裏や手のひらのほくろは、慢性的な刺激を受けやすい部位です。
刺激による影響:
- ほくろに繰り返し刺激が加わることが悪性化に関与するという説もある
- サイズが大きいほくろや、靴ずれを起こしやすい位置にあるほくろは、予防的に切除を検討することもある
- 気になる方は皮膚科医に相談
🏥 定期的な皮膚科受診
セルフチェックだけでなく、年に1回程度は皮膚科を受診して専門医にチェックしてもらうことをお勧めします。
特に受診が推奨される方:
- ほくろの数が多い方
- 家族に悪性黒色腫の既往がある方
- 過去に重度の日焼けを経験した方
🧠 早期発見のための意識づけ
最も大切なのは、危ないほくろの存在を意識し、早期発見に努めることです。
意識づけのポイント:
- ABCDEルールを覚えておく
- 気になるほくろがあれば迷わず皮膚科を受診
- 早期発見・早期治療によって、悪性黒色腫は高い確率で治癒が期待できる病気

❓ よくある質問
ほくろが大きくなったからといって、必ずしも悪性とは限りません。良性のほくろも年齢とともにゆっくり大きくなることがあります。ただし、短期間(数週間から数ヶ月)で急速に大きくなる場合は注意が必要です。ABCDEルールの他の特徴も合わせて確認し、気になる場合は皮膚科を受診してください。
子どもの悪性黒色腫は非常にまれですが、全くないわけではありません。特に生まれつきある大きなほくろ(巨大先天性色素性母斑)は、将来的に悪性化するリスクがあるため、定期的な経過観察が必要です。子どものほくろで気になる点があれば、小児皮膚科や皮膚科専門医に相談してください。
ほくろを自分で取ろうとすることは非常に危険です。感染症を起こすリスクがあるだけでなく、万が一悪性であった場合、不完全な除去により正確な診断ができなくなったり、悪化させたりする可能性があります。ほくろの除去は必ず医療機関で行ってください。
いいえ、ほくろから毛が生えていることは悪性のサインではありません。むしろ、毛が生えているほくろは良性である可能性が高いとされています。悪性黒色腫では、腫瘍細胞が毛包を破壊するため、毛が生えにくくなる傾向があります。ただし、これだけで良性・悪性を判断することはできませんので、他の特徴も合わせて評価する必要があります。
良性のほくろであれば、レーザー治療で取ることは可能です。ただし、悪性の可能性があるほくろにレーザー治療を行うと、正確な病理診断ができなくなります。そのため、レーザー治療を行う前に、皮膚科専門医がダーモスコピーなどで悪性の可能性を除外することが重要です。少しでも悪性が疑われる場合は、切除して病理検査を行う方法が選択されます。
一般的に、ほくろの数が多い方は悪性黒色腫のリスクが高いとされています。特に50個以上のほくろがある方や、異型母斑(形や色が通常とやや異なるほくろ)が多い方は注意が必要です。ただし、ほくろが多いからといって必ず悪性黒色腫になるわけではありません。定期的なセルフチェックと皮膚科受診で早期発見に努めることが大切です。
📝 まとめ
危ないほくろを見分けるためには、ABCDEルール(非対称性、境界不整、色の不均一、直径6mm以上、変化)を覚えておくことが重要です。
これらの特徴に当てはまるほくろや、出血、かゆみ、痛みなどの症状があるほくろは、早めに皮膚科を受診してください。
日本人の悪性黒色腫は足の裏や手のひら、爪などに発生しやすいため、これらの部位は特に注意深くチェックしましょう。
早期発見のための生活習慣:
- 月に1回程度のセルフチェック
- 年に1回程度の皮膚科受診を習慣にする
- 気になる変化があれば迷わず専門医に相談
悪性黒色腫は早期に発見・治療すれば高い確率で治癒が期待できる病気です。少しでも気になるほくろがあれば、アイシークリニック東京院にお気軽にご相談ください。
参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
悪性黒色腫は「皮膚がんの王様」と呼ばれるほど悪性度が高いがんです。しかし、早期発見できれば治癒率は非常に高く、厚さ1mm以下で発見された場合の5年生存率は95%以上です。日頃からセルフチェックを心がけ、少しでも気になる変化があれば迷わず皮膚科を受診していただきたいと思います。