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健康診断や病院での診察で受ける機会の多い血液検査。検査結果の用紙を受け取っても、並んでいる数値や記号の意味がわからず、「異常なし」「要注意」といった判定だけを確認して終わり、という方も多いのではないでしょうか。しかし血液検査の結果には、あなたの体の状態を知るための重要な情報が詰まっています。この記事では、血液検査で調べる主な項目とその見方を、医学的な正確さを保ちながらもわかりやすく解説します。検査結果をより深く理解することで、自分の健康状態を把握し、必要なときに適切な対応ができるようになりましょう。


目次

  1. 血液検査とはどんな検査?
  2. 血液検査の結果票の基本的な見方
  3. 血球に関する検査項目(CBC:全血球計算)
  4. 肝機能に関する検査項目
  5. 腎機能に関する検査項目
  6. 血糖・糖尿病に関する検査項目
  7. 脂質(コレステロール・中性脂肪)に関する検査項目
  8. 痛風・尿酸に関する検査項目
  9. 甲状腺機能に関する検査項目
  10. 炎症・感染症に関する検査項目
  11. 貧血・鉄代謝に関する検査項目
  12. 電解質・ミネラルに関する検査項目
  13. 検査結果を受け取ったら次にすべきこと
  14. まとめ

🎯 1. 血液検査とはどんな検査?

血液検査とは、採血によって得られた血液を分析し、体内の様々な状態を数値として把握する検査です。血液は全身をめぐりながら、酸素や栄養素を運んだり、免疫機能を担ったり、老廃物を運搬したりする役割を持っています。そのため、血液の成分を調べることで、臓器の状態、栄養状態、感染や炎症の有無、ホルモンバランスなど、体全体の健康状態を幅広く把握することができます。

血液検査は大きく分けて、血液そのものの成分(赤血球・白血球・血小板など)を調べる「血球検査」と、血液中に含まれる様々な物質(酵素・タンパク質・糖・脂質など)を調べる「生化学検査」に分類されます。さらに、免疫反応を利用して特定の物質を検出する「免疫学的検査」や、細菌・ウイルスの感染を調べる「感染症検査」なども血液を使って行われます。

健康診断では一般的な項目のみが含まれますが、病院での検査では症状や疑われる疾患に応じて、より多くの項目が追加されることがあります。検査結果を正しく読み解くためには、各項目が何を意味しているのかを理解することが大切です。

📋 2. 血液検査の結果票の基本的な見方

血液検査の結果票には、項目名(略称で表示されることが多い)、測定値、単位、基準値(参考基準範囲)、判定が記載されています。まず基本的な見方を確認しておきましょう。

基準値とは、健康な人の多くがその範囲に収まると考えられる数値の範囲のことです。一般的には健康な成人集団の約95%が含まれる範囲として設定されているため、基準値を外れたからといって必ずしも病気であるとは限りません。ただし、基準値から大きく外れていたり、複数の項目で異常が見られる場合は、医師に相談することが重要です。

また、基準値は検査機関によって若干異なる場合があります。同じ検査でも、使用する試薬や検査機器、測定方法によって数値に差が出ることがあるためです。そのため、結果票に記載された基準値を参照して判断することが基本となります。

判定記号については、施設によって異なりますが、「A(異常なし)」「B(軽度異常)」「C(要経過観察)」「D(要精密検査)」「E(要治療)」のような区分が使われることが多いです。記号の意味がわからない場合は、結果票に記載された凡例を確認するか、発行した医療機関に問い合わせましょう。

数値の前後に「H(High:高値)」や「L(Low:低値)」が記載されている場合、その項目の数値が基準値の上限または下限を超えていることを示しています。矢印(↑や↓)で示す場合もあります。

💊 3. 血球に関する検査項目(CBC:全血球計算)

CBC(Complete Blood Count)は全血球計算とも呼ばれ、血液中の細胞成分である赤血球・白血球・血小板の数や状態を調べる検査です。最も基本的な血液検査の一つで、貧血・感染症・血液疾患などの診断に役立ちます。

🦠 赤血球数(RBC)

赤血球は体中に酸素を運ぶ役割を持つ血液細胞です。赤血球数(RBC)は血液1μL(マイクロリットル)中の赤血球の数を示します。成人男性の基準値はおよそ430万〜570万/μL、成人女性はおよそ380万〜500万/μLが一般的な目安です。赤血球数が減少すると貧血が疑われ、増加すると多血症(赤血球増多症)が疑われます。

👴 ヘモグロビン(Hb)

ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素と結合して全身に酸素を届ける役割を担います。ヘモグロビン量は貧血の診断において最も重要な指標の一つです。成人男性の基準値はおよそ13.5〜17.5g/dL、成人女性はおよそ11.5〜15.0g/dLが目安とされます。WHO(世界保健機関)では成人男性でHb 13g/dL未満、成人女性でHb 12g/dL未満を貧血と定義しています。ヘモグロビンが低下すると、疲れやすさ・息切れ・顔色の悪さなどの症状が現れます。

🔸 ヘマトクリット(Ht / Hct)

ヘマトクリットとは、血液全体の容積に対して赤血球が占める割合(%)を示す値です。成人男性の基準値はおよそ40〜52%、成人女性はおよそ34〜44%程度です。ヘモグロビンと同様に貧血の評価に使われるほか、脱水状態では赤血球の割合が相対的に増加するため、脱水の指標としても参照されます。

💧 平均赤血球容積(MCV)

MCV(Mean Corpuscular Volume)は赤血球1個の平均的な大きさを示す指標です。基準値はおよそ80〜100fL(フェムトリットル)です。MCVが低い(小球性)場合は鉄欠乏性貧血などが、高い(大球性)場合は葉酸欠乏やビタミンB12欠乏による貧血などが疑われます。貧血の種類を鑑別する際に重要な指標です。

✨ 白血球数(WBC)

白血球は免疫の中心を担う細胞で、細菌やウイルスなどから体を守る役割があります。基準値はおよそ3,500〜9,000/μLです。白血球数が増加している場合、細菌感染症・炎症・ステロイド薬の影響・白血病などが疑われます。逆に減少している場合は、ウイルス感染症・薬剤の副作用・自己免疫疾患・骨髄の異常などが考えられます。なお、白血球にはいくつかの種類(好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球)があり、各種類の割合(白血球分画)を調べることで、疾患の鑑別に役立ちます。

📌 血小板数(PLT)

血小板は出血した際に血液を固める(止血)役割を担っています。基準値はおよそ15万〜35万/μLです。血小板が減少すると出血が止まりにくくなり、増加すると血栓ができやすくなるリスクがあります。著しく減少している場合は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)・薬剤性・骨髄の異常などが疑われます。

🏥 4. 肝機能に関する検査項目

肝臓は体内最大の臓器であり、栄養素の代謝・解毒・タンパク質の合成・胆汁の産生など、非常に多くの機能を担っています。肝機能検査では、肝細胞に含まれる酵素や肝臓で産生される物質の血中濃度を調べることで、肝臓の状態を評価します。

▶️ AST(GOT)・ALT(GPT)

ASTとALTは、肝細胞に多く含まれる酵素です。肝細胞が傷害されると、これらの酵素が血液中に漏れ出して数値が上昇します。基準値はともにおよそ10〜40 IU/Lです。ASTは肝臓のほかに心筋・骨格筋にも含まれるため、ASTのみが高い場合は心筋梗塞や筋肉疾患の可能性も考慮されます。一方、ALTは肝臓に比較的特異的な酵素のため、ALTが高い場合は肝疾患が強く疑われます。アルコール性肝炎・脂肪肝・ウイルス性肝炎・薬剤性肝炎などで上昇します。

🔹 γ-GTP(γ-GT)

γ-GTPは肝臓・胆道・腎臓などに含まれる酵素で、アルコールの影響を受けやすいことで知られています。基準値は成人男性でおよそ80 IU/L以下、成人女性でおよそ30 IU/L以下が目安とされます(施設により異なります)。習慣的な飲酒・アルコール性肝炎・胆道疾患・脂肪肝などで上昇します。禁酒によって数値が改善することが多いため、飲酒習慣の影響をモニタリングする指標としてよく使われます。

📍 ALP(アルカリホスファターゼ)

ALPは肝臓・胆道・骨・腸などに含まれる酵素です。胆道が閉塞したときや骨の代謝が活発なときに上昇します。基準値は施設によって異なりますが、成人でおよそ38〜113 IU/L程度です。胆石・胆道炎・原発性硬化性胆管炎・骨疾患(パジェット病、骨転移など)・肝転移などで上昇します。成長期の子どもでは骨の成長により生理的に高値になることがあります。

💫 総ビリルビン(T-Bil)

ビリルビンは赤血球のヘモグロビンが分解されてできる色素で、肝臓で処理されて胆汁として排泄されます。基準値はおよそ0.3〜1.2mg/dLです。ビリルビンが上昇すると黄疸(皮膚や白目が黄色くなる状態)が現れます。溶血性貧血・肝炎・肝硬変・胆道閉塞などで上昇します。

🦠 総タンパク(TP)・アルブミン(Alb)

肝臓は多くの血清タンパク質を産生します。総タンパクはおよそ6.5〜8.3g/dL、アルブミンはおよそ3.8〜5.3g/dLが基準値の目安です。肝機能が低下すると、アルブミンを十分に合成できなくなるため、慢性肝疾患・肝硬変などでは低下します。また、栄養不良・ネフローゼ症候群(尿からのタンパク漏出)でも低下することがあります。

⚠️ 5. 腎機能に関する検査項目

腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器です。腎機能が低下すると老廃物が体内に蓄積し、様々な症状が現れます。腎機能の評価には以下の指標が使われます。

👴 クレアチニン(Cr)

クレアチニンは筋肉の代謝産物で、腎臓からほぼ一定の割合で排泄されます。腎機能が低下すると排泄が減り、血液中のクレアチニン値が上昇します。基準値は成人男性でおよそ0.65〜1.09mg/dL、成人女性でおよそ0.46〜0.82mg/dLです(施設・測定法により異なります)。筋肉量が多い人では高くなる傾向があります。

🔸 eGFR(推算糸球体ろ過量)

eGFR(estimated Glomerular Filtration Rate)は、腎臓がどれくらいの量の血液をろ過できているかを示す指標で、腎機能の評価において非常に重要な数値です。年齢・性別・クレアチニン値などから計算される推算値です。基準値はおよそ60mL/分/1.73m²以上です。60を下回ると慢性腎臓病(CKD)と診断される可能性があり、さらに低下するほど腎機能障害が進んでいると判断されます。

💧 BUN(血液尿素窒素)

BUN(Blood Urea Nitrogen)はタンパク質の代謝産物である尿素に含まれる窒素の量を示します。基準値はおよそ8〜22mg/dLです。腎機能が低下すると排泄が減り上昇しますが、タンパク質の摂取量・脱水・消化管出血などの影響も受けるため、クレアチニンやeGFRとあわせて評価されます。

✨ シスタチンC

シスタチンCは腎臓のろ過機能をより正確に反映するとされるマーカーで、クレアチニンより早期の腎機能低下を検出できるとされています。基準値はおよそ0.6〜1.0mg/Lです(施設により異なります)。特に高齢者や筋肉量が少ない方など、クレアチニンが腎機能を正確に反映しにくい場合に有用です。

🔍 6. 血糖・糖尿病に関する検査項目

糖尿病は血糖値が慢性的に高い状態が続く疾患で、放置すると網膜症・腎症・神経障害・動脈硬化など多くの合併症を引き起こします。血液検査では以下の指標で血糖状態を評価します。

📌 空腹時血糖(FBS / FPG)

食事の影響を受けないよう、少なくとも8〜10時間以上の絶食後に測定する血糖値です。基準値はおよそ70〜109mg/dLです。110〜125mg/dLは「空腹時血糖異常(IFG)」と呼ばれる境界域で、126mg/dL以上が2回確認された場合は糖尿病と診断されます。

▶️ HbA1c(ヘモグロビンA1c)

HbA1cは赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示す値で、過去1〜2か月間の平均的な血糖レベルを反映します。基準値(正常域)はおよそ5.6%未満、5.6〜6.4%は糖尿病予備群(境界域)、6.5%以上で糖尿病が疑われます(日本糖尿病学会の診断基準)。一時的な食事・運動・ストレスの影響を受けにくいため、血糖コントロールの評価に広く使われています。糖尿病の治療目標はHbA1c 7.0%未満とされています。

🔹 インスリン・Cペプチド

インスリンは血糖値を下げるホルモンで、膵臓のβ細胞から分泌されます。Cペプチドはインスリンの産生量を反映するマーカーで、インスリン分泌能の評価に使われます。これらは1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別や、糖尿病の病態評価に役立ちます。

📝 7. 脂質(コレステロール・中性脂肪)に関する検査項目

脂質異常症(高脂血症)は動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中のリスクを高める重要な生活習慣病です。血液検査では以下の脂質マーカーが確認されます。

📍 総コレステロール(TC)

血液中に含まれるコレステロールの総量です。コレステロールは細胞膜・ホルモン・胆汁酸の原料となる重要な物質ですが、多すぎると血管壁に沈着して動脈硬化を引き起こします。日本動脈硬化学会の基準では240mg/dL以上を高コレステロール血症と定義しています。

💫 LDLコレステロール(LDL-C)

LDL(低比重リポタンパク)コレステロールはコレステロールを肝臓から全身に運ぶ役割を担いますが、増えすぎると血管壁に沈着して動脈硬化を促進するため「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。基準値はおよそ140mg/dL未満が目安で、120mg/dL未満が望ましいとされています。心疾患のリスクによって目標値が異なります。

🦠 HDLコレステロール(HDL-C)

HDL(高比重リポタンパク)コレステロールは余分なコレステロールを血管壁から回収して肝臓に運ぶ役割を担い、「善玉コレステロール」とも呼ばれます。基準値はおよそ40mg/dL以上で、高いほど動脈硬化予防に有利とされています。40mg/dL未満は低HDLコレステロール血症と診断され、動脈硬化のリスクが高まります。運動によって増加しやすいことが知られています。

👴 中性脂肪(TG:トリグリセリド)

中性脂肪はエネルギー源として体内に蓄えられる脂質です。食事の影響を受けやすいため、空腹時(10〜12時間絶食後)に測定されます。基準値はおよそ150mg/dL未満で、150〜499mg/dLは高トリグリセリド血症とされます。過食・糖質・アルコールの過剰摂取、運動不足によって上昇します。著しい高値(500mg/dL以上)は急性膵炎のリスクとなります。

🔸 non-HDLコレステロール

non-HDLコレステロールは総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値で、LDLコレステロールに加えてVLDL(超低比重リポタンパク)などのコレステロールも含みます。LDLコレステロールより動脈硬化リスクをより包括的に反映するとされており、170mg/dL未満が基準の目安です。

💡 8. 痛風・尿酸に関する検査項目

尿酸はプリン体という物質の代謝産物で、血液中に溶け込んでいます。血液中の尿酸濃度が高くなる状態を高尿酸血症といい、関節に尿酸塩が結晶として沈着すると激しい関節痛を引き起こす痛風発作が起こります。

💧 尿酸(UA)

尿酸の基準値はおよそ3.6〜7.0mg/dL(男性・女性で若干異なります)で、7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症は痛風だけでなく、腎臓病・尿路結石・高血圧・心血管疾患のリスクとも関連することが示されています。食事内容(プリン体を多く含む食品:レバー・イクラ・干し椎茸など)・アルコール摂取・腎機能・体重・薬剤などが影響します。

✨ 9. 甲状腺機能に関する検査項目

甲状腺は首の前面に位置する臓器で、代謝を調節するホルモン(甲状腺ホルモン)を産生します。甲状腺機能の異常は全身の代謝に影響するため、様々な症状が現れます。

✨ TSH(甲状腺刺激ホルモン)

TSHは脳下垂体から分泌され、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの産生を促すホルモンです。甲状腺機能を評価する際の最も重要な指標とされています。基準値はおよそ0.5〜5.0μIU/mLです(測定法により異なります)。TSHが高い場合は甲状腺機能低下症が、低い場合は甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)が疑われます。

📌 FT4(遊離サイロキシン)・FT3(遊離トリヨードサイロニン)

甲状腺ホルモンの実際の量を反映する指標です。FT4の基準値はおよそ0.9〜1.7ng/dL、FT3はおよそ2.3〜4.0pg/mLです。甲状腺機能亢進症では両者が高値に、機能低下症では低値になります。動悸・体重減少・発汗過多・手の震えなどの症状がある場合や、逆に倦怠感・体重増加・冷え・むくみなどの症状がある場合に検査されることが多い項目です。

📌 10. 炎症・感染症に関する検査項目

体内で炎症が起きているかどうかを調べるためのマーカーです。感染症・自己免疫疾患・悪性腫瘍など、様々な疾患の評価に使われます。

▶️ CRP(C反応性タンパク)

CRPは炎症が起こると肝臓で産生されるタンパク質で、炎症の程度を反映する代表的なマーカーです。基準値はおよそ0.3mg/dL未満(高感度CRPでは0.1mg/dL未満)です。細菌感染症では著明に上昇し(数mg/dL〜10mg/dL超)、ウイルス感染症では比較的低い値にとどまることが多いとされています。膠原病・関節リウマチ・悪性腫瘍でも上昇します。

🔹 赤血球沈降速度(ESR)

赤血球沈降速度(赤沈)は血液を試験管に入れた際に赤血球が沈む速さを測定します。炎症時に増加するフィブリノゲンなどのタンパク質が赤血球の沈降を速めます。CRPと同様に炎症の指標ですが、より非特異的な指標です。成人男性でおよそ10mm/h以下、成人女性でおよそ15mm/h以下が目安とされます。

📍 フェリチン

フェリチンは鉄の貯蔵タンパク質ですが、炎症・感染症・悪性腫瘍でも上昇するため、鉄代謝の評価だけでなく炎症マーカーとしても参照されることがあります。特にマクロファージ活性化症候群(MAS)などの重症疾患では著明な高値を示します。

💫 感染症スクリーニング検査

B型肝炎ウイルス(HBs抗原・HBs抗体)、C型肝炎ウイルス(HCV抗体)、HIV抗体、梅毒(TPHA・RPR)などは、感染の有無を調べるための血液検査として行われます。これらは症状がない場合でも感染していることがあるため、定期的なスクリーニングが推奨されます。

🎯 11. 貧血・鉄代謝に関する検査項目

貧血にはいくつかの種類があり、原因によって治療法が異なります。CBCの指標に加え、鉄代謝に関連する検査が貧血の原因特定に役立ちます。

🦠 血清鉄(Fe)・TIBC・フェリチン

血清鉄は血液中の鉄濃度を示します。成人男性の基準値はおよそ60〜200μg/dL、女性はおよそ50〜170μg/dLです。TIBC(総鉄結合能)は鉄を運ぶタンパク質(トランスフェリン)が最大どれだけの鉄を結合できるかを示す指標で、基準値はおよそ250〜400μg/dLです。フェリチンは体内の鉄の貯蔵量を示し、成人男性でおよそ10〜300ng/mL、成人女性でおよそ10〜120ng/mLが目安です。鉄欠乏性貧血では、フェリチン低値→血清鉄低値→TIBC高値→最終的にヘモグロビン低値という順に変化します。フェリチンは鉄欠乏を最も早期に捉えることができる指標です。

👴 ビタミンB12・葉酸

ビタミンB12と葉酸は赤血球の正常な産生に必要な栄養素です。これらが欠乏すると、大きな赤血球が作られる大球性貧血(巨赤芽球性貧血)が起こります。ビタミンB12欠乏は高齢者・菜食主義者・胃切除後の方に多く、葉酸欠乏は栄養偏食・アルコール多飲・妊娠中に多く見られます。

🔸 網赤血球数(Reticulocyte)

網赤血球は赤血球の前段階にあたる若い細胞で、骨髄での赤血球産生状況を反映します。貧血がある際に網赤血球が増加していれば骨髄が活発に赤血球を産生していること(出血後・溶血後など)を、低下していれば骨髄での産生が低下していることを示します。

📋 12. 電解質・ミネラルに関する検査項目

電解質は体液の浸透圧調節・神経・筋肉の機能維持に不可欠な物質です。腎臓・内分泌疾患・脱水・薬剤の影響などで異常をきたすことがあります。

💧 ナトリウム(Na)

ナトリウムは体液のバランスや神経伝達に重要な電解質です。基準値はおよそ138〜146mEq/Lです。低ナトリウム血症では意識障害・痙攣が、高ナトリウム血症では口渇・尿量減少などが現れることがあります。

✨ カリウム(K)

カリウムは心臓・筋肉の正常な機能に欠かせない電解質です。基準値はおよそ3.6〜5.0mEq/Lです。低カリウム血症では筋肉の脱力・不整脈などが、高カリウム血症では心停止のリスクが生じるため、特に注意が必要な項目です。

📌 カルシウム(Ca)

カルシウムは骨・歯の成分となるほか、筋肉収縮・神経機能・血液凝固にも関わります。基準値はおよそ8.5〜10.2mg/dLです。副甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍の骨転移・サルコイドーシスなどで高カルシウム血症が、副甲状腺機能低下症・ビタミンD欠乏などで低カルシウム血症が起こります。

▶️ マグネシウム(Mg)

マグネシウムは約300種類以上の酵素反応に関与する重要なミネラルです。基準値はおよそ1.8〜2.6mg/dLです。低マグネシウム血症は下痢・利尿薬の使用・アルコール多飲などで起こりやすく、筋肉の痙攣・不整脈・低カリウム血症・低カルシウム血症などを引き起こすことがあります。

🔹 リン(P)

リンはカルシウムとともに骨の主成分となるほか、エネルギー代謝にも関与します。基準値はおよそ2.5〜4.5mg/dLです。腎機能低下によって高リン血症が起こりやすくなり、血管石灰化・骨代謝異常のリスクが高まります。

💊 13. 検査結果を受け取ったら次にすべきこと

血液検査の結果を受け取ったあと、どのように対処すればよいかについて確認しておきましょう。

まず、判定が「要精密検査」「要医療機関受診」となっている場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。自覚症状がなくても、検査数値によっては早期に治療を開始した方が良い場合があります。特に糖尿病・高血圧・脂質異常症・慢性腎臓病などは、自覚症状が少ないまま進行することが多い疾患です。

「要経過観察」の場合も、放置せずに次回の検査のスケジュールをしっかり守ることが重要です。経過観察とは「何もしなくていい」ということではなく、「定期的に変化を確認しながら注意していきましょう」という意味です。

また、前回の検査結果と比較することも大切です。数値が基準値内であっても、前回より大きく変動している場合は、体内で何らかの変化が起きているサインである可能性があります。長年にわたる検査結果の推移(トレンド)を把握することで、体の変化をより早期に察知できます。

「異常なし」の結果が出た場合でも、現在の生活習慣を続けることが正常値維持につながっているという認識を持ちましょう。食事・運動・睡眠・禁煙・節酒といった生活習慣の改善は、多くの検査値の改善に貢献します。

検査結果の解釈で疑問点がある場合は、遠慮なく主治医や担当医師に質問してください。「この数値は何を意味しているのか」「どの程度心配すべきか」「生活でどんな点に注意すればいいか」といった具体的な質問をすることで、より有益なアドバイスを得ることができます。アイシークリニック東京院でも、検査結果に関するご相談を承っております。気になる点があればお気軽にご相談ください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、健康診断の結果をお持ちになって「数値の意味がよくわからなくて不安だった」とおっしゃる患者さんが多くいらっしゃいます。血液検査の結果は、ただ「異常あり・なし」を確認するだけでなく、複数の項目を組み合わせて総合的に読み解くことが重要で、たとえば基準値内であっても経年的なトレンドに変化が見られる場合には、生活習慣の見直しや早期介入につながる大切なサインであることがあります。気になる数値や判定があれば一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりの状況に合わせて、わかりやすくご説明いたします。」

🏥 よくある質問

血液検査の基準値を外れたら必ず病気ですか?

必ずしも病気とは限りません。基準値は健康な成人の約95%が含まれる範囲として設定されているため、わずかに外れただけで即座に疾患を意味するわけではありません。ただし、基準値から大きく外れている場合や複数の項目で異常が見られる場合は、医師への相談が重要です。

HbA1cと空腹時血糖はどう違うのですか?

空腹時血糖はその時点の血糖値を示すのに対し、HbA1cは過去1〜2か月間の平均的な血糖レベルを反映します。HbA1cは一時的な食事・運動・ストレスの影響を受けにくいため、糖尿病の診断や血糖コントロールの評価により広く活用されています。

LDL(悪玉)とHDL(善玉)コレステロールの違いは何ですか?

LDLコレステロールはコレステロールを全身に運ぶ役割を持ちますが、増えすぎると血管壁に沈着して動脈硬化を促進するため「悪玉」と呼ばれます。一方、HDLコレステロールは余分なコレステロールを肝臓に回収する役割を担い、動脈硬化を予防するため「善玉」と呼ばれています。

「要経過観察」の判定が出たら何をすればいいですか?

「要経過観察」は「何もしなくてよい」という意味ではなく、「定期的に変化を確認しながら注意しましょう」というサインです。次回の検査スケジュールをしっかり守ることが重要です。また、食事・運動・睡眠・節酒といった生活習慣の改善も数値改善に役立ちます。不安な場合はアイシークリニックにご相談ください。

貧血の種類によって検査項目は異なりますか?

はい、異なります。貧血の原因によって見るべき項目が変わります。鉄欠乏性貧血ではフェリチン・血清鉄・TIBCが、葉酸やビタミンB12欠乏による大球性貧血ではMCV・ビタミンB12・葉酸値が重要です。MCVなどCBCの指標と組み合わせて総合的に評価することで、原因を特定し適切な治療につなげることができます。

⚠️ まとめ

血液検査は、私たちの体の中で起きていることを数値という形で可視化してくれる、非常に有用なツールです。この記事では、血球検査・肝機能・腎機能・血糖・脂質・尿酸・甲状腺・炎症・貧血・電解質という多岐にわたる検査項目について解説しました。

それぞれの項目は単独で見るだけでなく、複数の項目を組み合わせて総合的に評価することで、より正確な体の状態を把握することができます。また、基準値はあくまで目安であり、検査値が基準内であっても症状がある場合や、逆に基準から外れていても問題がない場合もあります。

検査の目的は異常を「見つける」だけでなく、異常がないことを「確認する」ことでもあります。定期的な血液検査を習慣にすることで、自分の体のベースラインを知り、小さな変化にも気づきやすくなります。健康診断や人間ドックの機会を活用し、検査結果をただ受け取るだけでなく、積極的に理解し、自分の健康管理に役立てていきましょう。

検査結果に不安な点がある場合や、受診のタイミングで迷われている場合は、ぜひ医療機関にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 血液検査の基準値・判定方法および生活習慣病(糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症など)に関する診断基準の参照
  • WHO(世界保健機関) – 貧血の定義(成人男性Hb 13g/dL未満、成人女性Hb 12g/dL未満)およびヘモグロビン基準値に関する国際基準の参照
  • PubMed – 血球検査(CBC)・肝機能・腎機能(eGFR・シスタチンC)・炎症マーカー(CRP・ESR)・甲状腺機能検査などの各項目に関する医学的エビデンスおよび臨床的意義の参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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