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「背中の開いたドレスを着たいのに、ニキビが気になって着られない」「いつの間にか背中にブツブツができていて、ニキビ跡になっていた」――そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。実は背中は顔に次いでニキビができやすい部位であり、自分では見えにくいため気づいたときには悪化しているケースも多いのです。背中ニキビは年齢や性別を問わず発症し、放置すると色素沈着やクレーター状の瘢痕として跡が残ってしまうことがあります。本記事では、アイシークリニック東京院の医師監修のもと、背中ニキビの原因から種類、皮膚科での保険診療や美容皮膚科での自費治療、さらには日常生活でできる予防法やセルフケアまで、詳しく解説いたします。背中ニキビにお悩みの方が、自信を持って肌を見せられるようになるための道筋をお伝えします。


目次

  1. 背中ニキビとは?顔のニキビとの違い
  2. 背中ニキビができる原因
  3. 背中ニキビの種類と進行段階
  4. 背中ニキビと間違えやすい疾患
  5. 皮膚科での保険診療によるニキビ治療
  6. 美容皮膚科での自費治療
  7. 背中ニキビを予防するセルフケア
  8. 背中ニキビを悪化させないための生活習慣
  9. 背中ニキビ跡の種類と治療法
  10. 皮膚科を受診すべきタイミング
  11. よくある質問
  12. まとめ

背中ニキビとは?顔のニキビとの違い

背中ニキビとは、背中にできるニキビのことを指します。正式には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚疾患であり、顔にできるニキビと基本的なメカニズムは同じです。しかし、背中ニキビには顔のニキビとは異なるいくつかの特徴があります。

まず、背中は体の中でも皮脂腺が多く集まっている部位です。顔のTゾーンと同様に、背中には「脂腺性毛包」という種類の毛穴が多く存在し、皮脂の分泌量が多いという特徴があります。そのため、毛穴が詰まりやすく、ニキビができやすい環境が整っているのです。

また、背中は自分では見えにくく、手も届きにくい部位であるため、ケアが不十分になりがちです。さらに、衣類による摩擦や蒸れ、仰向けで寝るときの圧迫など、日常生活の中で刺激を受けやすい特徴もあります。こうした要因から、背中ニキビは気づいたときには悪化していることが多く、ニキビ跡として残りやすいという問題があります。

日本皮膚科学会が実施した調査によると、ニキビ跡がある部位として背中を挙げた人は約30%に上り、顔の頬(50%)に次いで高い割合を示しています。また、胸元も約20%と高く、顔以外の部位にもニキビができやすいことがわかります。

背中ニキビができる原因

背中ニキビができる原因は複数あり、それらが複雑に絡み合って発症します。原因を正しく理解することが、効果的な治療と予防につながります。

皮脂の過剰分泌

背中ニキビの最も基本的な原因は、皮脂の過剰分泌です。背中には皮脂を分泌する皮脂腺が多く集まっており、皮脂の分泌が盛んになると毛穴に皮脂が詰まりやすくなります。皮脂の分泌量は、思春期やホルモンバランスの変化、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響などによって増加します。男性ホルモンには皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増やす作用があるため、男性や思春期の方は特に注意が必要です。

角質肥厚による毛穴のつまり

本来、古い角質は自然と剥がれ落ちますが、何らかの原因で肌表面に残り、角質層が厚くなることを「角質肥厚」といいます。毛穴周囲の皮膚の角質が厚くなると、毛穴の出口が塞がれ、皮脂が排泄できなくなります。これがニキビの始まりである面皰(コメド)を形成する原因となります。角質肥厚の主な原因は紫外線や乾燥です。紫外線を浴びると肌内部を守るために角質が厚くなり、乾燥は肌のターンオーバー(新陳代謝)を乱して角質肥厚を引き起こします。

アクネ菌の増殖

毛穴に皮脂が詰まると、その中でアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス、現在はキューティバクテリウム・アクネスとも呼ばれる)が増殖します。アクネ菌は皮脂を栄養源として増殖し、酸素が少ない環境を好むため、毛穴が詰まった状態は格好の増殖場所となります。アクネ菌が増殖すると炎症が起き、赤ニキビや黄ニキビへと進行していきます。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは皮脂分泌を増加させ、毛穴を詰まらせる原因となります。特に思春期や月経前後、妊娠中、更年期などはホルモンバランスが変動しやすく、ニキビができやすい時期です。また、ストレスや睡眠不足もホルモンバランスを乱す要因となります。ストレスが溜まると、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌され、これが皮脂分泌を促進します。

汗や蒸れ

背中は汗をかきやすい部位であり、汗を放置すると皮膚環境が悪化します。汗と皮脂が混じり合うと皮膚はアルカリ性に傾き、ニキビの原因となるアクネ菌やマラセチア菌が繁殖しやすい環境が作られます。また、汗で皮膚が長時間湿った状態が続くと、表面の角質層がふやけてバリア機能が低下し、炎症が起きやすくなります。

衣類による摩擦と刺激

背中は常に衣類に覆われており、下着やインナー、リュックサックなどによる摩擦を受けています。こうした物理的な刺激はニキビを悪化させる要因となります。特に、合成繊維やポリエステルなど通気性の悪い素材の衣類は、汗や皮脂をためてしまい、蒸れの原因になります。また、締め付けの強い衣類も肌に刺激を与えるため注意が必要です。

シャンプーやボディソープのすすぎ残し

入浴時のシャンプーやコンディショナー、ボディソープのすすぎ残しは、背中ニキビの意外な原因として挙げられます。髪を洗った際にこれらの成分が背中に付着したまま残ると、毛穴を塞いで詰まりの原因となります。特にリンスやトリートメントは油分を多く含んでいるため、しっかりと洗い流さないと毛穴が詰まりやすい環境を作ってしまいます。

食生活の乱れ

食生活も背中ニキビの発症に関係しています。脂っこいものや糖質の多い食事、香辛料の強い食べ物、ナッツ類の過剰摂取などは皮脂分泌を活発にし、ニキビができやすい状態を作ります。また、栄養バランスの偏りはホルモンバランスを乱し、肌のターンオーバーにも影響を与えます。

背中ニキビの種類と進行段階

背中ニキビは顔のニキビと同様に、症状の進行具合によって複数の種類に分けられます。早期段階でケアすることが、ニキビ跡を残さないために重要です。

白ニキビ(閉鎖面皰)

ニキビの初期段階です。毛穴に皮脂や角質が詰まっている状態で、まだ炎症は起きていません。肌表面に白っぽいポツポツとした小さな突起として現れます。この段階で適切なケアを行えば、炎症を起こすことなく改善することが可能です。

黒ニキビ(開放面皰)

白ニキビが進行し、毛穴が開いた状態です。詰まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒っぽく見えるようになります。この段階でもまだ炎症は起きていないため、適切な処置で悪化を防ぐことができます。

赤ニキビ(炎症性丘疹)

毛穴に詰まった皮脂の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こした状態です。赤く腫れ、触ると痛みを感じることがあります。この段階になると自然治癒が難しくなり、放置するとニキビ跡が残るリスクが高まります。

黄ニキビ(膿疱)

赤ニキビがさらに悪化し、膿が溜まった状態です。黄色や白色の膿が透けて見え、痛みを伴います。無理に潰すと周囲の皮膚にダメージを与え、ニキビ跡として残る可能性が高くなります。この段階では皮膚科での治療が強く推奨されます。

背中ニキビと間違えやすい疾患

背中にできるブツブツがすべてニキビとは限りません。ニキビとよく似た別の皮膚疾患が存在し、原因が異なるため治療法も全く変わってきます。自己判断でニキビケアを続けても改善しない場合は、以下の疾患の可能性を考える必要があります。

マラセチア毛包炎

マラセチア毛包炎は、背中ニキビと最も間違えやすい疾患です。マラセチアという真菌(カビの一種)が毛穴の中で増殖し、炎症を起こしたものです。マラセチアは誰の皮膚にも存在する常在菌ですが、高温多湿の環境や汗をかきやすい夏場に増殖しやすくなります。

マラセチア毛包炎とニキビの見分け方にはいくつかのポイントがあります。マラセチア毛包炎は、均一な大きさ(直径2~3mm程度)の赤いポツポツが広範囲に多発するのが特徴です。一方、ニキビは大小さまざまなサイズが混在し、白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビなど異なる段階のものが同時に存在します。また、マラセチア毛包炎では面皰(コメド)がほとんど見られず、かゆみを伴うことが多いという特徴もあります。

最も重要な違いは治療法です。ニキビ治療に使われる抗菌薬(抗生物質)は細菌には効きますがカビには効果がないため、マラセチア毛包炎に対してニキビ薬を使っても改善しません。マラセチア毛包炎の治療には、ケトコナゾールなどの抗真菌薬を使用します。

毛嚢炎(毛包炎)

毛嚢炎は、黄色ブドウ球菌などの細菌が毛包に感染して起こる炎症です。ニキビとは原因菌が異なり、コメドを形成しないという特徴があります。毛穴に一致して赤いポツポツができ、膿を持つこともあります。ニキビ治療薬では効果がなく、抗菌薬による治療が必要です。

汗疹(あせも)

汗疹は、大量の汗をかいたときに汗腺が詰まって炎症を起こす疾患です。背中ニキビと似た赤いブツブツが現れますが、通常はかゆみを伴います。汗疹の治療にはステロイド外用薬を使用しますが、ニキビにステロイドを使用すると悪化するため、正確な診断が重要です。

粉瘤

粉瘤は、皮下にできた袋の中に皮脂や角質が溜まってできた良性の腫瘍です。最初は大きめのニキビ程度の大きさですが、放置すると次第に大きくなります。背中にニキビより大きなしこりがあり、押すと臭いのある内容物が出る場合は粉瘤の可能性があります。粉瘤は手術による摘出が根本的な治療となります。

皮膚科での保険診療によるニキビ治療

ニキビは「尋常性痤瘡」という皮膚疾患であり、皮膚科での保険診療の対象となります。日本皮膚科学会は「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」を策定し、エビデンスに基づいた治療指針を示しています。保険診療では、外用薬と内服薬を組み合わせた治療が基本となります。

外用薬(塗り薬)

2008年にアダパレン(商品名:ディフェリンゲル)が保険適用となったことで、日本のニキビ治療は大きく進歩しました。現在では以下のような外用薬が保険適用で使用できます。

アダパレン(ディフェリンゲル)は、ビタミンA誘導体であり、毛穴周囲の角化異常を抑制して毛穴のつまりを改善します。白ニキビや黒ニキビなどの面皰を減少させる効果があり、予防効果も期待できます。

過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)は、2015年に保険適用となった薬剤です。殺菌作用と角層剥離作用(ピーリング作用)を持ち、アクネ菌やブドウ球菌を殺菌します。特筆すべき点として、他の抗菌薬と異なり耐性菌を生じにくいという特性があり、長期使用に適しています。

アダパレン・過酸化ベンゾイル配合剤(エピデュオゲル)は、両成分を配合した薬剤であり、毛穴のつまりを改善しながら殺菌効果も発揮します。

クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル配合剤(デュアック配合ゲル)は、抗菌薬のクリンダマイシンと過酸化ベンゾイルを配合しており、炎症性のニキビに対して高い効果を発揮します。

抗菌薬外用剤として、ダラシンゲル、アクアチムローション、ゼビアックスローションなどがあります。これらはアクネ菌の増殖を抑制し、炎症を鎮める効果があります。ただし、ガイドラインでは抗菌薬のみの単独使用は推奨されておらず、アダパレンや過酸化ベンゾイルとの併用が推奨されています。

内服薬(飲み薬)

炎症が強い中等症から重症のニキビには、内服薬も処方されます。

抗菌薬内服として、ミノサイクリン(ミノマイシン)やドキシサイクリン(ビブラマイシン)などのテトラサイクリン系抗菌薬が使用されます。これらは抗菌作用に加え、抗炎症作用も持っています。ただし、耐性菌の問題があるため、投与期間は原則として3ヶ月以内とされています。

ビタミン剤として、ビタミンB群やビタミンCが処方されることがあります。ビタミンB群は皮脂分泌のコントロールに関与し、ビタミンCは抗酸化作用があります。

漢方薬として、十味敗毒湯、清上防風湯、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁などが体質や症状に応じて処方されます。漢方薬は体質改善を目的としており、長期的な効果が期待できます。

面皰圧出

面皰圧出は、専用の器具を用いて毛穴に詰まった皮脂や角質を押し出す処置です。保険適用の治療であり、白ニキビや黒ニキビに対して行われます。自分でニキビを潰すと細菌感染や色素沈着のリスクがありますが、医療機関で清潔な環境のもと専門家が行うことで、安全に毛穴の詰まりを解消できます。

治療の流れ

ニキビ治療は「急性炎症期」と「維持期」の2段階に分けて考えます。急性炎症期では、炎症性の赤ニキビや黄ニキビを速やかに鎮静化させることが目標です。症状の重症度に応じて、外用薬と内服薬を組み合わせて治療します。炎症が落ち着いた後は維持期に移行し、抗菌薬の使用を中止してアダパレンや過酸化ベンゾイルによる維持療法を継続します。これにより、新たなニキビの発生を予防し、耐性菌の出現を防ぎます。

美容皮膚科での自費治療

保険診療でのニキビ治療は今あるニキビを鎮静化させることが主な目的ですが、ニキビ跡の治療や肌質改善、より早い治療効果を求める場合は、美容皮膚科での自費治療が選択肢となります。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、グリコール酸やサリチル酸マクロゴールなどの薬剤を肌に塗布し、古い角質を除去する治療法です。毛穴の詰まりを解消し、肌のターンオーバーを促進することで、ニキビの改善と予防に効果があります。サリチル酸マクロゴールは肌への刺激が少なく、背中などの広範囲の治療にも適しています。継続的に受けることで、より効果を実感できます。

イオン導入・エレクトロポレーション

イオン導入は、微弱な電流を用いてビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分を肌の深部に浸透させる治療法です。ケミカルピーリングと組み合わせることで、より高い効果が期待できます。エレクトロポレーションはさらに進化した技術で、成長因子やヒアルロン酸などの分子量が大きい成分も導入できます。

光線治療・フォトフェイシャル

光線治療は、特殊な光を照射してアクネ菌を殺菌し、炎症を抑える治療法です。青色の光にはアクネ菌に対する殺菌作用があり、赤色の光には抗炎症作用があります。肌への負担が少なく、ダウンタイムもほとんどないため、継続しやすい治療です。

レーザー治療

レーザー治療には複数の種類があり、症状に応じて使い分けます。レーザートーニングは弱いエネルギーを広範囲に照射し、ニキビ跡の色素沈着や肌のトーンアップに効果があります。フラクショナルレーザーは、微細なレーザーを点状に照射して真皮層にアプローチし、コラーゲン生成を促進してニキビ跡の凹凸を改善します。ピコレーザーは従来のレーザーより照射時間が短く、肌へのダメージを抑えながら高い効果を発揮します。

ダーマペン

ダーマペンは、極細の針を高速で振動させて肌に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を活性化させる治療です。コラーゲンやエラスチンの産生を促進し、ニキビ跡の凹みや色素沈着の改善に効果があります。成長因子などの導入薬剤と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

イソトレチノイン内服

イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の内服薬で、重症の難治性ニキビに対して使用されます。皮脂分泌を強力に抑制し、毛穴の角化異常を改善する効果があります。海外では重症ニキビの第一選択薬として広く使用されていますが、日本では保険適用外であり、妊娠中は使用できないなどの注意点があります。使用を検討する場合は、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。

背中ニキビを予防するセルフケア

背中ニキビは、日々のスキンケアと生活習慣の見直しによって予防することができます。以下のポイントを意識してケアを行いましょう。

正しい入浴方法

入浴時は、髪を洗ってから体を洗う順番を心がけましょう。シャンプーやコンディショナーが背中に残ると毛穴詰まりの原因になるため、髪を洗い終わってから最後に背中を洗うことで、すすぎ残しを防げます。また、髪を洗う際は髪を前に垂らし、背中に洗浄成分がかからないようにするとより効果的です。

背中を洗う際は、ナイロンタオルなどでゴシゴシとこすらないようにしましょう。強い摩擦は肌のバリア機能を壊し、かえってニキビを悪化させます。石けんやボディソープをよく泡立て、手や柔らかいタオルで優しく洗うことが大切です。殺菌作用のある石けんを使用するのも効果的です。

シャワーだけでなく湯船に浸かることもおすすめです。お湯に浸かることで毛穴が開き、詰まった皮脂や汚れが落としやすくなります。また、血行が促進されて肌の新陳代謝も活発になります。

保湿ケア

背中も顔と同様に保湿が重要です。乾燥すると肌のバリア機能が低下し、ターンオーバーが乱れてニキビができやすくなります。入浴後は、低刺激で油分が少ない保湿剤を使用して肌の水分バランスを保ちましょう。背中は手が届きにくいため、スプレータイプの保湿剤を使うのも便利です。ただし、油分の多いボディクリームやオイルは毛穴を詰まらせる可能性があるため、「オイルフリー」や「ノンコメドジェニック」と表示された製品を選ぶと安心です。

汗対策

汗をかいた後は、できるだけ早くシャワーを浴びるか、清潔なタオルで優しく拭き取りましょう。汗を放置すると、菌が繁殖しやすい環境が作られます。運動後やたくさん汗をかいた後は特に注意が必要です。すぐにシャワーを浴びられない場合は、汗拭きシートを使用したり、着替えたりすることで対策できます。

衣類の選び方

肌に直接触れる下着やインナーは、吸湿性・通気性に優れた綿素材や吸汗速乾機能のあるものを選びましょう。化学繊維やポリエステルは通気性が悪く、汗や皮脂が溜まりやすいため避けた方が無難です。また、締め付けの強い衣類は摩擦の原因になるため、ゆったりとしたデザインのものがおすすめです。寝具も同様に、綿素材のパジャマやシーツを使用し、こまめに洗濯して清潔を保ちましょう。

背中ニキビを悪化させないための生活習慣

背中ニキビの予防と改善には、日々の生活習慣の見直しも欠かせません。以下のポイントを意識して、体の内側からもケアしていきましょう。

バランスの取れた食事

ニキビの予防には、バランスの取れた食事が基本です。脂っこいものや糖質の多い食事、甘いものの過剰摂取は皮脂分泌を活発にするため控えめにしましょう。代わりに、以下の栄養素を積極的に摂取することをおすすめします。

ビタミンB群は「美肌ビタミン」とも呼ばれ、脂質や糖質の代謝を促進し、皮脂分泌をコントロールする働きがあります。豚肉、レバー、卵、納豆、マグロなどに多く含まれています。

ビタミンCは抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑制してニキビ跡の色素沈着予防にも役立ちます。柑橘類、キウイ、いちご、ピーマン、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持し、肌のターンオーバーを正常化する働きがあります。にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

ビタミンEは抗酸化作用があり、血行を促進して肌の新陳代謝を活発にします。アーモンド、アボカド、オリーブオイルなどに含まれています。

亜鉛は皮膚の新陳代謝に関わるミネラルで、不足すると傷の治りが遅くなります。牡蠣、牛肉、豚肉、卵などに多く含まれています。

質の良い睡眠

睡眠不足は肌の大敵です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌の修復と再生が行われます。睡眠不足になると免疫力が低下し、肌のターンオーバーも乱れてニキビができやすくなります。一般的に、成長ホルモンの分泌が最も活発になるのは入眠後3~4時間と言われています。質の良い睡眠を十分にとることを心がけ、規則正しい就寝時間を維持しましょう。

ストレスマネジメント

ストレスは体にさまざまな悪影響を及ぼしますが、その一つがニキビの悪化です。ストレスを感じると副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌され、これが皮脂分泌を促進します。また、ストレスは免疫力を低下させるため、ニキビが炎症を起こしやすくなります。自分なりのストレス解消法を見つけ、適度にリラックスする時間を持つことが大切です。適度な運動、趣味の時間、入浴、マッサージなど、自分に合った方法でストレスを発散しましょう。

適度な運動

適度な運動は血行を促進し、肌の新陳代謝を活発にします。また、ストレス解消や質の良い睡眠にもつながり、総合的に肌の健康をサポートします。ただし、運動後は汗をかいた状態を放置せず、すぐにシャワーを浴びるか汗を拭き取ることが重要です。

紫外線対策

紫外線は活性酸素を増やして炎症を起こすため、ニキビを悪化させる要因となります。また、紫外線を浴びると肌は防御反応として角質を厚くするため、毛穴詰まりの原因にもなります。首の後ろから背中の上方は紫外線に当たりやすい部位であるため、日焼け止めを塗る、UVカット効果のある衣類を着用するなどの対策が必要です。

背中ニキビ跡の種類と治療法

ニキビが悪化して炎症を繰り返すと、さまざまな形でニキビ跡として残ることがあります。ニキビ跡の種類によって適した治療法が異なります。

赤みが残るタイプ(炎症後紅斑)

炎症後に毛細血管が拡張して残る赤みです。時間の経過とともに自然に薄くなることもありますが、長期間消えない場合は治療が必要になることがあります。ビタミンC導入やレーザー治療(Vビームなど)が効果的です。

色素沈着が残るタイプ(炎症後色素沈着)

炎症によってメラニンが過剰に生成され、茶色いシミのように残った状態です。肌のターンオーバーによって徐々に薄くなりますが、濃い色素沈着は時間がかかります。美白成分(ビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノンなど)を含む外用薬やイオン導入、ケミカルピーリング、レーザートーニングなどが有効です。

凹み(クレーター)が残るタイプ(萎縮性瘢痕)

炎症が真皮層まで達し、皮膚組織が破壊されて陥没した状態です。セルフケアでの改善は非常に難しく、美容皮膚科での治療が必要です。フラクショナルレーザー、ダーマペン、TCAクロス、サブシジョンなどの治療が行われます。完全に元通りにすることは難しいですが、治療を繰り返すことで目立たなくすることは可能です。

盛り上がりが残るタイプ(肥厚性瘢痕・ケロイド)

皮膚を作る線維細胞が過剰に生成され、傷跡が赤く盛り上がった状態です。肥厚性瘢痕は経過とともに薄くなることがありますが、ケロイドは体質や遺伝的要因が関与し、広範囲に広がることがあります。内服薬(トラニラスト)、ステロイド軟膏やテープ、ステロイド局所注射、圧迫療法、レーザー治療などが行われます。ケロイド体質と診断された場合、一部の治療は保険適用となります。

皮膚科を受診すべきタイミング

軽度の背中ニキビであれば、セルフケアで改善することもあります。しかし、以下のような場合は皮膚科を受診することをおすすめします。

セルフケアを1ヶ月以上続けても改善が見られない場合は、原因に応じた正しい治療ができていない可能性があります。また、ニキビではなくマラセチア毛包炎など別の疾患である可能性もあるため、専門医の診断を受けることが重要です。

炎症が強い赤ニキビや黄ニキビが多数できている場合は、放置するとニキビ跡として残るリスクが高いため、早めに治療を開始することが大切です。

ニキビが繰り返しできて治らない場合も、医療機関での治療が必要です。生活習慣の見直しだけでは改善しない場合、医師の指導のもとで適切な治療を受けることで、根本的な解決につながります。

痛みやかゆみが強い場合、またはニキビが大きくなっている場合は、悪化のサインです。自分で潰したりせず、早めに受診しましょう。

すでにニキビ跡ができてしまっている場合も、早期に治療を開始することで改善が期待できます。特にクレーターやケロイドはセルフケアでの改善が難しいため、専門医に相談することをおすすめします。

よくある質問

背中ニキビは何科を受診すればよいですか?

背中ニキビの治療は皮膚科で行えます。ニキビは「尋常性痤瘡」という皮膚疾患であり、保険診療の対象となります。今あるニキビの治療であれば一般の皮膚科で対応可能ですが、ニキビ跡の治療や肌質改善を希望する場合は美容皮膚科での自費診療を検討するとよいでしょう。まずは皮膚科を受診し、症状に応じた治療方針を医師と相談することをおすすめします。

背中ニキビの治療費用はどのくらいかかりますか?

保険診療の場合、3割負担で1回あたり1,000円〜3,000円程度(初診料・再診料・薬代含む)です。美容皮膚科での自費治療の場合は、施術内容によって費用が異なります。ケミカルピーリングは1回5,000円〜15,000円程度、レーザー治療は1回10,000円〜50,000円程度が目安となります。複数回の施術が必要な場合は、コース料金が設定されていることも多いため、事前にカウンセリングで確認することをおすすめします。

背中ニキビはどのくらいで治りますか?

背中ニキビの治療期間は、症状の程度や治療方法によって異なります。保険診療の外用薬を使用した場合、効果を実感するまでに通常8〜12週間程度かかります。炎症が強い場合は抗菌薬の内服を併用することで、より早く改善することもあります。ただし、急性炎症期の治療後も維持療法を継続することが重要で、再発予防のためには数ヶ月〜1年以上の治療継続が推奨されます。背中は顔よりも皮膚のターンオーバーが遅いため、ニキビ跡の改善には時間がかかることもご理解ください。

背中ニキビに市販薬は効きますか?

軽度の背中ニキビであれば、市販のニキビ薬で改善することもあります。殺菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)や抗炎症成分を配合した製品が販売されています。ただし、市販薬は医療機関で処方される薬と比べて効果が弱い傾向があり、重症のニキビや繰り返すニキビには効果が不十分な場合があります。また、背中のブツブツがマラセチア毛包炎だった場合は、一般的なニキビ薬では効果がありません。1〜2週間使用しても改善が見られない場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

背中ニキビを自分で潰しても大丈夫ですか?

背中ニキビを自分で潰すことは絶対に避けてください。無理に潰すと、爪や手についた細菌が傷口から侵入して感染を起こしたり、周囲の皮膚組織にダメージを与えて炎症が広がったりする恐れがあります。その結果、治りが遅くなるだけでなく、色素沈着やクレーター状の瘢痕として跡が残るリスクが高まります。毛穴の詰まりを取り除きたい場合は、皮膚科で「面皰圧出」という処置を受けることができます。清潔な環境で専門家が行うことで、安全に治療できます。

背中ニキビとマラセチア毛包炎の見分け方は?

見た目だけで正確に見分けることは難しいですが、いくつかの特徴があります。マラセチア毛包炎は均一な大きさ(2〜3mm程度)の赤いポツポツが広範囲に多発するのが特徴です。一方、ニキビは大小さまざまなサイズが混在し、白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビなど異なる段階のものが同時に存在します。また、マラセチア毛包炎はかゆみを伴うことが多く、夏場に悪化しやすいという特徴もあります。ニキビ治療を続けても改善しない場合はマラセチア毛包炎の可能性がありますので、皮膚科で正確な診断を受けることをおすすめします。

まとめ

背中ニキビは、顔に次いでニキビができやすい部位であり、自分では見えにくいため気づいたときには悪化していることも多い厄介な肌トラブルです。しかし、正しい知識と適切な治療・ケアによって、改善することは十分に可能です。

背中ニキビの主な原因は、皮脂の過剰分泌、角質肥厚による毛穴のつまり、アクネ菌の増殖、ホルモンバランスの乱れ、汗や蒸れ、衣類の摩擦、シャンプーのすすぎ残し、食生活の乱れなど多岐にわたります。これらの原因が複合的に絡み合って発症するため、総合的なアプローチが必要です。

治療においては、まず皮膚科を受診して正確な診断を受けることが重要です。背中のブツブツがニキビなのか、マラセチア毛包炎なのか、その他の疾患なのかによって治療法が全く異なるためです。保険診療では、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬、抗菌薬の内服薬、漢方薬などを用いた治療が行われます。また、ニキビ跡の改善や肌質の向上を目指す場合は、美容皮膚科でのケミカルピーリング、レーザー治療、ダーマペンなどの自費治療も選択肢となります。

日常生活では、正しい入浴方法、適切な保湿ケア、汗対策、通気性の良い衣類の選択などのセルフケアを心がけましょう。また、バランスの取れた食事、質の良い睡眠、ストレスマネジメント、適度な運動、紫外線対策といった生活習慣の見直しも、ニキビの予防と改善に大きく貢献します。

背中ニキビは放置すると色素沈着やクレーターなどの跡として残り、改善が困難になることがあります。気になる症状がある場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。アイシークリニック東京院では、一人ひとりの症状や肌質に合わせた最適な治療法をご提案いたしますので、背中ニキビでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。


参考文献

※本記事は医学的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療の代わりとなるものではありません。症状がある場合は、必ず医師の診察を受けてください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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