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はじめに

皮膚の下にしこりができて気になっている方は少なくありません。特に顔や首、背中などにできる皮下腫瘤の中でも、粉瘤(ふんりゅう)は最も多く見られる良性腫瘍です。「アテローム」や「表皮嚢腫」とも呼ばれるこの症状は、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を起こして痛みや腫れを伴うこともあります。

東京には多くの医療機関がありますが、粉瘤の治療においては形成外科での専門的な処置が推奨されています。なぜ形成外科が選ばれるのか、どのような治療が行われるのか、そして東京で粉瘤治療を受ける際のポイントについて、詳しく解説していきます。

粉瘤とは何か―基本的な理解

粉瘤の定義と発生メカニズム

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が蓄積していく良性腫瘍です。医学的には表皮嚢腫または類表皮嚢腫と呼ばれ、皮膚科や形成外科で最もよく見られる皮膚腫瘍の一つとされています。

粉瘤が形成される主な原因は、何らかの理由で皮膚の表面が内側に入り込み、袋状の構造を作ってしまうことにあります。この袋の内壁は正常な皮膚の表皮と同じ構造をしているため、通常の皮膚と同様に角質を産生し続けます。しかし、袋の中に産生された角質には出口がないため、どんどん蓄積していき、時間とともに腫瘤が大きくなっていくのです。

粉瘤の特徴と症状

粉瘤には以下のような特徴的な症状があります。

皮膚の下に半球状の盛り上がりができ、触ると柔らかいしこりとして感じられます。多くの場合、痛みはありませんが、圧迫すると軽い不快感を伴うこともあります。粉瘤の表面をよく観察すると、中央部分に黒い点のような開口部(ヘソと呼ばれます)が見られることが特徴的です。この開口部から、時折、白い粥状の内容物が排出されることがあり、独特の臭いを伴います。

サイズは数ミリメートルから数センチメートルまで様々で、長期間放置すると徐々に大きくなる傾向があります。急速に大きくなることは稀ですが、数年かけて数センチメートル以上の大きさになることもあります。

粉瘤は体のどこにでもできる可能性がありますが、特に顔面、首、耳たぶの裏、背中、お尻などにできやすい傾向があります。これらの部位は皮脂腺が多く、また日常的に摩擦や圧迫を受けやすいため、粉瘤が発生しやすいと考えられています。

炎症性粉瘤と感染のリスク

粉瘤の最も重大な合併症は、細菌感染による炎症です。粉瘤が細菌に感染すると、急速に赤く腫れ上がり、強い痛みを伴うようになります。これを炎症性粉瘤または感染性粉瘤と呼びます。

炎症が起きると、患部が熱を持ち、触れるだけでも激しい痛みを感じるようになります。炎症が進行すると、膿が溜まって自然に破裂することもあり、大量の膿と悪臭のある内容物が排出されます。炎症性粉瘤は、発熱や全身倦怠感などの全身症状を引き起こすこともあります。

炎症を繰り返すと、周囲の組織にダメージを与え、瘢痕(傷跡)が残りやすくなります。また、炎症時には粉瘤の袋が周囲の組織と癒着してしまい、後の手術が複雑になることもあります。そのため、炎症を起こす前に適切な治療を受けることが推奨されます。

なぜ形成外科での治療が推奨されるのか

形成外科の専門性と役割

形成外科は、体表面の変形や欠損、外傷、腫瘍などを、機能的かつ美容的に治療する外科の専門分野です。日本形成外科学会によれば、形成外科は「生まれつきの異常や、病気や怪我などによって生じた身体表面が見目のよくない状態や変形、あるいは体の各部の働きに支障がある状態を、形態的にも機能的にも正常あるいはそれに近い状態に修復再建する外科系の専門診療科」と定義されています。

粉瘤治療において形成外科が選ばれる理由は、この専門性にあります。形成外科医は、皮膚や皮下組織の構造を熟知しており、腫瘍を完全に摘出しながらも、傷跡を最小限に抑える技術を持っています。特に顔や首など目立つ部位の粉瘤治療では、この美容的配慮が重要になります。

再発防止のための完全摘出

粉瘤の治療で最も重要なポイントは、嚢腫の袋を完全に摘出することです。粉瘤の内容物だけを排出しても、袋が残っている限り、再び内容物が蓄積して再発します。実際、単純な切開排膿だけで済ませた場合、高い確率で再発することが知られています。

形成外科では、粉瘤の袋を周囲組織から丁寧に剥離し、袋が破れないように完全に摘出する技術を持っています。袋が破れてしまうと、内容物が周囲に漏れ出して炎症を引き起こしたり、袋の一部が残って再発のリスクが高まったりします。形成外科医は、最小限の切開で最大限の視野を確保し、精密な操作で袋を完全に取り除くことができます。

美容的配慮と傷跡への対応

形成外科のもう一つの大きな強みは、傷跡を目立たなくする技術です。粉瘤の摘出には必ず切開が必要ですが、その切開の方法や縫合の技術によって、術後の傷跡の目立ち方は大きく変わります。

形成外科では、皮膚の緊張線(シワの方向)に沿って切開することで、傷跡が自然なシワに紛れるように工夫します。また、真皮縫合と呼ばれる技術を用いて、皮膚の深い層から丁寧に縫合することで、表面の傷跡を最小限に抑えます。

さらに、縫合糸も細い糸を使用し、抜糸のタイミングも部位や患者さんの皮膚の状態に応じて調整します。顔面など特に目立つ部位では、吸収糸を使った皮下縫合のみで終えることもあり、抜糸の必要がない場合もあります。

東京には多くの形成外科専門医が在籍するクリニックがあり、こうした高度な技術を提供しています。日本形成外科学会の専門医資格を持つ医師による治療を受けることで、機能的にも美容的にも満足度の高い結果が期待できます。

粉瘤の診断プロセス

視診と触診による初期評価

粉瘤の診断は、まず視診と触診から始まります。経験豊富な形成外科医であれば、多くの場合、外観と触診だけで粉瘤であることを判断できます。粉瘤に特徴的な開口部(黒い点)の有無、腫瘤の弾性や可動性、圧迫時の感触などから、他の皮膚腫瘍と鑑別します。

触診では、腫瘤の大きさ、硬さ、周囲組織との癒着の有無などを確認します。炎症を起こしている場合は、発赤、熱感、圧痛などの炎症所見を評価します。また、複数の粉瘤がある場合や、家族歴がある場合は、遺伝的な素因の可能性も考慮します。

超音波検査による詳細な評価

視診と触診で粉瘤が強く疑われる場合でも、確定診断や手術計画のために超音波検査(エコー検査)を行うことがあります。超音波検査は、非侵襲的で簡便な検査方法でありながら、粉瘤の大きさ、深さ、周囲組織との関係を詳しく観察できる有用な検査です。

超音波検査では、粉瘤は低エコーまたは無エコーの嚢胞性病変として描出されます。袋の壁や内容物の性状、血流の有無なども確認でき、炎症の程度や悪性腫瘍の可能性を評価するのに役立ちます。特に、深い場所にある粉瘤や、血管や神経の近くにある粉瘤の場合、超音波検査による術前評価は重要です。

他の皮膚腫瘍との鑑別

粉瘤と似た症状を呈する他の皮膚腫瘍との鑑別も重要です。主な鑑別疾患には、脂肪腫、石灰化上皮腫、毛母腫、ガングリオン、リンパ節腫大などがあります。

脂肪腫は、脂肪組織からなる良性腫瘍で、粉瘤よりも柔らかく、開口部はありません。石灰化上皮腫は、主に若年者の顔面や上肢にできる硬い腫瘤で、石灰化を伴います。毛母腫は、毛包由来の良性腫瘍で、境界明瞭な硬い腫瘤として触れます。

また、稀ではありますが、悪性腫瘍との鑑別も必要です。急速に大きくなる腫瘤、硬く不整な腫瘤、潰瘍を形成する腫瘤などは、悪性腫瘍の可能性も考慮して精査が必要です。最終的な確定診断は、摘出した組織の病理組織学的検査によって行われます。

形成外科における粉瘤の治療方法

小切開摘出術(くり抜き法)

粉瘤の治療において、近年広く行われているのが小切開摘出術、いわゆる「くり抜き法」です。この方法は、従来の切開法に比べて切開が小さく、傷跡が目立ちにくいという利点があります。

くり抜き法では、まず粉瘤の中央部(開口部がある場合はその部分)に円形の小さなパンチで穴を開けます。この穴から内容物を排出した後、袋を反転させるようにして摘出します。切開が小さいため、縫合が不要な場合も多く、治療時間も短縮されます。

ただし、くり抜き法は比較的小さな粉瘤(直径2センチメートル程度まで)に適した方法で、大きな粉瘤や炎症を起こしている粉瘤、癒着が強い粉瘤には適さない場合があります。また、袋を完全に摘出するためには、ある程度の技術と経験が必要です。

紡錘形切開による摘出術

大きな粉瘤や、深い場所にある粉瘤、炎症を繰り返している粉瘤などには、従来からの紡錘形切開による摘出術が選択されます。この方法では、粉瘤を中心に紡錘形(ラグビーボールのような形)に皮膚を切開し、粉瘤を袋ごと完全に摘出します。

紡錘形切開の利点は、確実に袋を完全摘出できることと、視野が広く取れるため、周囲組織への配慮がしやすいことです。特に顔面など重要な部位では、神経や血管を温存しながら安全に摘出するために、この方法が選択されることが多くあります。

切開後は、真皮縫合と表皮縫合を丁寧に行います。真皮縫合は、皮膚の深い層を縫合することで創の緊張を軽減し、傷跡を目立ちにくくする重要な手技です。表皮縫合では、できるだけ細い糸を使用し、縫合痕が残らないように配慮します。

炎症時の対応と二期的手術

粉瘤が炎症を起こしている場合、治療のアプローチは異なります。炎症が強い時期に無理に袋を摘出しようとすると、袋が周囲組織と強く癒着しており、完全摘出が困難なことがあります。また、炎症組織は出血しやすく、術後の合併症のリスクも高くなります。

そのため、炎症性粉瘤に対しては、まず切開排膿を行い、抗生物質の投与などで炎症を鎮静化させます。切開排膿では、溜まった膿を排出することで症状を軽減しますが、これだけでは袋が残っているため根治的な治療にはなりません。

炎症が完全に治まった後、通常は数週間から数ヶ月後に、改めて袋を摘出する根治手術を行います。これを二期的手術と呼びます。炎症が治まった後であれば、袋と周囲組織の境界が明瞭になり、完全摘出が容易になります。

局所麻酔下での日帰り手術

ほとんどの粉瘤手術は、局所麻酔下での日帰り手術で行われます。局所麻酔は、手術部位とその周囲にのみ麻酔薬を注射する方法で、意識は保たれたまま痛みを感じなくすることができます。

手術時間は、粉瘤の大きさや部位、炎症の有無などにより異なりますが、通常は30分から1時間程度です。小さな粉瘤であれば15分程度で終わることもあります。手術後は、創部を保護するためのガーゼやテープを貼付し、そのまま帰宅できます。

局所麻酔の利点は、全身麻酔に比べて体への負担が少なく、術後の回復も早いことです。また、入院の必要がないため、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられます。ただし、広範囲の手術や、患者さんの希望によっては、静脈麻酔や全身麻酔を併用することもあります。

東京で粉瘤治療を受ける際のポイント

専門医の選択と医療機関の評価

東京には多数の医療機関がありますが、粉瘤治療を受ける際には、形成外科専門医が在籍するクリニックや病院を選ぶことが重要です。日本形成外科学会の認定専門医は、厳しい研修と試験を経て認定された、形成外科の専門家です。

専門医を探す際には、日本形成外科学会のウェブサイトで専門医検索システムを利用することができます。また、クリニックのウェブサイトで、医師の経歴や専門性、治療実績などを確認することも有用です。

医療機関を選ぶ際には、アクセスの良さも考慮すべきポイントです。粉瘤の手術後は、通常、数日から1週間後に創部のチェックや抜糸のために再診が必要になります。そのため、通いやすい場所にあるクリニックを選ぶことで、治療全体がスムーズに進みます。

初診時の相談内容

初診では、医師に以下のような情報を伝えることが重要です。

粉瘤ができた時期と経過、大きさの変化、痛みや炎症の有無、過去の治療歴(もしあれば)、家族歴などを詳しく伝えましょう。また、現在服用している薬剤やアレルギー歴、既往歴なども重要な情報です。特に、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している場合は、手術時の出血リスクに関わるため、必ず申告してください。

治療に関する希望や不安も率直に伝えることが大切です。傷跡についての懸念、手術のタイミング、費用面での心配などがあれば、初診時に相談することで、最適な治療計画を立てることができます。

治療費用と保険適用

粉瘤の治療は、基本的に保険診療の対象となります。診察料、手術料、病理検査料などが保険適用となり、患者さんの自己負担は通常3割です。ただし、治療費は粉瘤の大きさ、部位、手術方法などによって異なります。

一般的に、小さな粉瘤の摘出術であれば、自己負担額は数千円から1万円程度です。大きな粉瘤や複雑な手術の場合は、それ以上になることもあります。初診時に、おおよその費用について医療機関に確認しておくと安心です。

なお、美容目的での治療や、医学的に必要性が低いと判断される場合は、自費診療となることもあります。保険適用の可否については、診察時に医師に確認しましょう。

術後のケアと経過観察

粉瘤の手術後は、適切なケアが重要です。創部は清潔に保ち、医師の指示に従って消毒やガーゼ交換を行います。多くの場合、手術翌日から軽いシャワー浴が可能ですが、入浴は抜糸後まで控えることが推奨されます。

抜糸は通常、顔面では5から7日後、体幹や四肢では7から14日後に行われます。抜糸後も、しばらくはテープで創部を保護することで、傷跡がより目立たなくなります。

術後の合併症として、創部の感染、血腫(血液の溜まり)、創離開などが起こることがあります。異常な痛み、腫れ、発赤、発熱などの症状があれば、速やかに医療機関に連絡することが重要です。

また、摘出した粉瘤は病理組織学的検査に提出され、良性腫瘍であることを確認します。稀ではありますが、粉瘤に類似した悪性腫瘍や、粉瘤の癌化などの可能性もあるため、この検査は重要です。検査結果は通常、1から2週間後に判明します。

アイシークリニック東京院における粉瘤治療

当院の特徴と診療体制

アイシークリニック東京院は、粉瘤をはじめとする皮膚・皮下腫瘍の治療に特化した形成外科クリニックです。東京の中心部に位置し、アクセスも良好で、多くの患者さんに利用いただいています。

当院では、形成外科専門医による診療を提供しており、粉瘤の診断から治療、術後のフォローアップまで、一貫した医療サービスを提供しています。豊富な治療経験を持つ医師が、それぞれの患者さんの状態に合わせた最適な治療法を提案します。

診療は予約制となっており、待ち時間を最小限に抑えた効率的な診療を心がけています。初診の方でも、お電話やウェブサイトから簡単に予約することができます。

日帰り手術の流れ

当院での粉瘤の日帰り手術は、以下のような流れで進みます。

まず、初診時に詳しい診察を行い、粉瘤の大きさ、部位、炎症の有無などを評価します。必要に応じて超音波検査を実施し、手術の適応と方法を決定します。手術日程は、患者さんのご都合に合わせて調整します。

手術当日は、予約時間にご来院いただき、準備が整い次第、手術を開始します。局所麻酔を行った後、粉瘤を摘出し、丁寧に縫合します。手術時間は通常30分から1時間程度です。

手術後は、創部の状態を確認し、術後の注意事項について説明します。痛み止めや抗生物質などの処方を受けて、そのまま帰宅できます。数日後に創部のチェックのために再診し、問題がなければ抜糸の時期に再度来院していただきます。

傷跡を目立たせない工夫

当院では、形成外科の技術を活かし、傷跡を最小限に抑える様々な工夫を行っています。

切開の方向は、可能な限り皮膚の緊張線(シワの方向)に沿って行います。これにより、傷跡が自然なシワに紛れて目立ちにくくなります。また、切開の長さも必要最小限に留め、くり抜き法を適用できる症例では積極的に採用しています。

縫合では、真皮縫合を重視し、創の緊張を皮膚深層で吸収することで、表面の傷跡を軽減します。縫合糸も、部位に応じて最適な太さのものを選択し、丁寧に縫合します。

術後は、傷跡を目立たなくするためのテープ固定や、必要に応じて傷跡治療の相談も承っています。長期的なフォローアップを通じて、患者さんが満足できる結果を目指しています。

粉瘤に関するよくある質問

粉瘤は自然に治ることはありますか?

粉瘤は自然に消失することはほとんどありません。粉瘤の袋は一度できると、自然に吸収されたり縮小したりすることはなく、放置すれば徐々に大きくなる傾向があります。
時折、炎症を起こした粉瘤が自然に破裂し、内容物が排出されて一時的に小さくなることがあります。しかし、これは治癒したわけではなく、袋が残っている限り、再び内容物が蓄積して元の大きさに戻るか、さらに大きくなります。また、炎症を繰り返すことで周囲組織にダメージを与え、治療が複雑になることもあります。
したがって、粉瘤が見つかった場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが推奨されます。小さいうちに治療すれば、より簡単な手術で済み、傷跡も小さく抑えられます。

粉瘤の内容物を自分で絞り出してもよいですか?

粉瘤の内容物を自分で絞り出すことは避けるべきです。開口部から内容物を絞り出せることもありますが、これには多くのリスクが伴います。
まず、不潔な手や器具で粉瘤を触ることで、細菌感染を引き起こすリスクがあります。感染すると、炎症が悪化し、痛みや腫れが増強し、場合によっては全身症状を引き起こすこともあります。
また、内容物を絞り出しても、袋は残っているため根本的な治療にはなりません。むしろ、無理に絞ることで袋が破れ、内容物が周囲組織に漏れ出すと、炎症反応を引き起こし、治療がより困難になることがあります。
さらに、自己処置による傷跡や色素沈着が残ることもあります。粉瘤を見つけたら、自己判断で処置せず、必ず医療機関を受診することが重要です。

粉瘤は悪性化することがありますか?

粉瘤はほとんどの場合、良性腫瘍であり、悪性化することは極めて稀です。しかし、長年放置された大きな粉瘤や、繰り返し炎症を起こしている粉瘤では、稀に悪性転化の報告があります。

また、粉瘤と思っていたものが、実は初めから悪性腫瘍であったという可能性もゼロではありません。特に、急速に大きくなる腫瘤、硬く不整な腫瘤、潰瘍を形成する腫瘤などは、悪性腫瘍の可能性も考慮する必要があります。

粉瘤の手術後には、必ず摘出した組織の病理組織学的検査を行います。この検査により、良性腫瘍であることを確認し、万が一悪性所見があった場合には、速やかに追加治療を検討します。

定期的な検診や、気になる腫瘤がある場合の早期受診が、早期発見・早期治療につながります。

粉瘤の予防方法はありますか?

粉瘤の明確な予防方法は確立されていませんが、リスクを減らすための一般的な対策はあります。

まず、皮膚を清潔に保つことが基本です。過度な皮脂の蓄積や毛穴の詰まりを防ぐために、適切な洗顔やシャワーを心がけましょう。ただし、過度な洗浄は皮膚のバリア機能を損なうため、適度な清潔さを保つことが重要です。

外傷や炎症が粉瘤の発生に関与することがあるため、皮膚への不要な刺激を避けることも大切です。ニキビを無理に潰したり、皮膚を強く擦ったりすることは避けましょう。

また、規則正しい生活習慣やバランスの取れた食事、適度な運動など、全身の健康を維持することも間接的に皮膚の健康につながります。

粉瘤は誰にでもできる可能性があり、完全に予防することは難しいですが、早期発見・早期治療が最も効果的な対策です。気になるしこりがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。

手術後、日常生活で気をつけることは?

粉瘤の手術後は、いくつかの注意点があります。

まず、創部を清潔に保つことが最も重要です。医師の指示に従って、消毒やガーゼ交換を行いましょう。手術翌日からシャワーは可能なことが多いですが、創部を直接お湯に浸ける入浴は、抜糸が終わるまで控えることが推奨されます。

激しい運動や重労働は、創部に負担がかかり、出血や創離開のリスクがあるため、少なくとも抜糸までは避けるべきです。デスクワークなど体を大きく動かさない仕事であれば、手術翌日から復帰できることもあります。

飲酒は血行を良くし、出血や腫れを助長する可能性があるため、少なくとも手術当日と翌日は控えることが推奨されます。また、喫煙は創傷治癒を遅らせるため、術後は禁煙が望ましいです。

処方された抗生物質や痛み止めは、指示通りに服用しましょう。特に抗生物質は、感染予防のために重要です。

創部に異常な痛み、腫れ、発赤、発熱などがあれば、速やかに医療機関に連絡してください。これらは感染や他の合併症のサインかもしれません。

粉瘤治療の最新動向

より低侵襲な治療法の開発

近年、粉瘤治療においても、より低侵襲な治療法の開発が進められています。従来の切開摘出術に加えて、内視鏡を用いた摘出術や、レーザーを用いた治療法などが研究されています。

これらの新しい治療法は、傷跡をさらに小さくし、術後の回復を早めることを目指しています。ただし、これらの方法はまだ研究段階のものも多く、標準的な治療法としては確立されていません。今後の技術の進歩により、より患者さんの負担が少ない治療が可能になることが期待されています。

再生医療との関連

形成外科の分野では、再生医療の研究も進んでいます。傷跡をより綺麗に治すための成長因子の利用や、組織工学的アプローチなど、様々な研究が行われています。

粉瘤治療においても、将来的にはこうした再生医療の技術が応用され、傷跡が全く残らない、あるいは極めて目立たない治療が可能になるかもしれません。現時点では研究段階ですが、形成外科と再生医療の融合は、今後の医療の発展において重要なテーマです。

遠隔医療と粉瘤診断

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、遠隔医療(オンライン診療)の普及が進んでいます。粉瘤の初期診断や術後のフォローアップにおいても、遠隔医療の活用が検討されています。

ビデオ通話や画像送信を通じて、医師が粉瘤の状態を評価し、治療の必要性や緊急性を判断することができます。ただし、最終的な診断や手術には対面での診察が必要です。遠隔医療は、対面診療を補完する役割として、今後さらに活用されることが期待されます。

まとめ

粉瘤は最も一般的な皮膚・皮下腫瘍の一つであり、多くの方が経験する可能性のある疾患です。良性腫瘍ではありますが、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を起こして痛みや腫れを伴ったりすることがあります。

粉瘤の根本的な治療には、袋を完全に摘出する手術が必要です。形成外科では、専門的な技術により、粉瘤を確実に摘出しながらも、傷跡を最小限に抑える治療を提供しています。特に東京には、多くの形成外科専門医が在籍する医療機関があり、高度な治療を受けることができます。

粉瘤を見つけたら、自己判断で放置したり、自己処置したりせず、早めに形成外科を受診することが推奨されます。小さいうちに治療すれば、より簡単な手術で済み、傷跡も小さく抑えられます。また、万が一の悪性腫瘍の可能性を除外するためにも、専門医による診察と病理検査が重要です。

アイシークリニック東京院では、形成外科専門医による粉瘤治療を提供しています。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を提案し、機能的にも美容的にも満足いただける結果を目指しています。粉瘤でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 日本形成外科学会「形成外科とは」https://jsprs.or.jp/
  2. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」https://www.dermatol.or.jp/qa/
  3. 厚生労働省「医療安全情報」https://www.mhlw.go.jp/
  4. 日本臨床皮膚科医会「皮膚疾患情報」https://www.jocd.org/
  5. 一般社団法人日本形成外科学会「皮膚・皮下腫瘍」診療ガイドライン

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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