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「何度治しても繰り返しできる」「生理前になると必ず悪化する」——顎ニキビに悩まされている方は少なくありません。顎ニキビは大人ニキビの代表格とも呼ばれ、思春期にできるニキビとは異なる特徴を持っています。顎は皮脂腺が多く存在する一方で、汗腺が少なく乾燥しやすいという特殊な部位です。さらに、ホルモンバランスの影響を受けやすく、マスクや手による外部刺激も加わりやすいことから、複数の要因が絡み合って発生することが多いのが特徴です。本記事では、顎ニキビが発生するメカニズムや主な原因について、医学的な観点から詳しく解説するとともに、日常生活で実践できる予防法や、医療機関での治療が必要となるケースについてもご紹介します。顎ニキビの原因を正しく理解し、適切なケアと治療で健やかな肌を取り戻しましょう。


目次

  1. 顎ニキビとは?その特徴と他部位のニキビとの違い
  2. ニキビが発生するメカニズム
  3. 顎ニキビの主な原因
  4. 顎ニキビと思春期ニキビの違い
  5. 顎ニキビの進行段階と症状
  6. 顎ニキビを予防・改善するための生活習慣
  7. 正しいスキンケア方法
  8. 顎ニキビに効果的な栄養素と食事
  9. 医療機関での治療が必要なケース
  10. 顎ニキビの治療方法
  11. よくある質問
  12. まとめ

顎ニキビとは?その特徴と他部位のニキビとの違い

顎ニキビとは、顎や顎下、フェイスラインにできるニキビのことを指し、いわゆる「Uゾーン」に発生するニキビの代表的な存在です。医学的にはニキビは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚疾患であり、日本では約90%以上の人が一生のうちに経験するとされています。

顎ニキビには、他の部位にできるニキビとは異なるいくつかの特徴があります。まず、顎は顔の中でも皮膚が薄く、汗腺が少ないため乾燥しやすい部位でありながら、皮脂腺は多く存在するという独特の構造を持っています。この特性により、肌が乾燥すると、身体は水分不足を補おうとして皮脂の分泌を促進させます。その結果、必要以上に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、ニキビの原因となるのです。

また、顎は髭が生える部位であることから、男性ホルモンの影響を非常に受けやすい場所でもあります。女性の場合でも、ホルモンバランスが乱れて男性ホルモンが優位になると、顎にニキビができやすくなります。生理前に顎ニキビが悪化するという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。これは、生理周期に伴うホルモンバランスの変化が大きく関係しています。

さらに、顎は無意識のうちに手で触れやすい部位であり、頬杖をついたり、マスクの摩擦を受けたり、髭剃りや産毛処理による刺激を受けたりと、外部からの刺激が集中しやすい場所でもあります。これらの要因が複合的に作用することで、顎ニキビは一度できると治りにくく、繰り返し発生しやすいという厄介な性質を持っているのです。

ニキビが発生するメカニズム

ニキビがどのようにして発生するのかを理解することは、効果的な予防と治療を行う上で非常に重要です。ニキビの発生には、主に「皮脂の過剰分泌」「毛穴の詰まり(角化異常)」「アクネ菌の増殖」「炎症の誘発」という4つの要因が深く関わっています。

皮脂の過剰分泌

毛穴の奥には皮脂を分泌する皮脂腺があり、正常な状態では皮脂は毛穴を通って肌の表面に排出され、肌を保護する役割を果たしています。しかし、ホルモンバランスの乱れや生活習慣の影響により、皮脂の分泌量が過剰になると、毛穴から排出しきれない皮脂が蓄積されるようになります。特に思春期には性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂腺を刺激して皮脂分泌が増加します。大人の場合でも、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れなどによってホルモンバランスが崩れると、皮脂分泌が促進されることがあります。

毛穴の詰まり(角化異常)

健康な肌では、古くなった角質は一定のサイクル(ターンオーバー)で自然に剥がれ落ち、新しい肌細胞と入れ替わります。しかし、様々な要因でターンオーバーが乱れると、本来剥がれ落ちるはずの古い角質が肌表面に残ってしまいます。この角質が毛穴の出口を塞いでしまう状態を「角化異常」と呼びます。毛穴が塞がれると、内部に皮脂や老廃物が蓄積され、「コメド(面皰)」と呼ばれるニキビの初期段階が形成されます。コメドには、毛穴の先端が閉じている「白ニキビ(閉鎖面皰)」と、毛穴が開いて内容物が酸化して黒く見える「黒ニキビ(開放面皰)」があります。

アクネ菌の増殖

アクネ菌(学名:Cutibacterium acnes、旧称:Propionibacterium acnes)は、誰の肌にも存在する皮膚常在菌の一種です。通常は皮膚を弱酸性に保ち、他の病原菌の増殖を抑えるなど、肌を守る働きをしています。しかし、毛穴が詰まって酸素が少なく、皮脂が豊富に蓄積された環境になると、アクネ菌にとって増殖しやすい環境が整います。アクネ菌は嫌気性(酸素を嫌う性質)を持つため、閉塞した毛穴内で急速に増殖し始めるのです。

炎症の誘発

アクネ菌が増殖すると、菌が産生するリパーゼという酵素によって皮脂が分解され、遊離脂肪酸が生成されます。この遊離脂肪酸は炎症を引き起こす物質として作用します。また、アクネ菌が毛穴内の細胞と接触すると、身体の免疫システムがこれを異物と認識し、炎症性サイトカイン(インターロイキン1αなど)を放出して炎症反応を起こします。これにより、赤く腫れた「赤ニキビ(丘疹)」や、膿を持った「黄ニキビ(膿疱)」へと進行していきます。炎症がさらに悪化すると、周囲の組織まで傷つけ、治癒後にニキビ跡(瘢痕)として残ってしまうこともあります。

顎ニキビの主な原因

顎ニキビは単一の原因で発生することは稀で、複数の要因が複雑に絡み合って生じることがほとんどです。ここでは、顎ニキビの主な原因について詳しく解説します。

ホルモンバランスの乱れ

顎ニキビの最も大きな原因の一つが、ホルモンバランスの乱れです。顎は髭が生える部位であることから、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を特に受けやすい場所とされています。男性ホルモンには、皮脂の分泌を促進する作用と、毛穴周囲の角質を厚くして毛穴を詰まりやすくする作用があり、どちらもニキビの発生に直結します。

女性の場合、体内では卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが、約28日周期で増減を繰り返しながら分泌されています。エストロゲンは「美肌ホルモン」とも呼ばれ、肌のバリア機能を高めたり、角質を柔らかく保ったり、コラーゲンの生成を促進するなど、肌にとって良い働きをします。一方、プロゲステロンは妊娠を維持・安定させるためのホルモンですが、男性ホルモンと似た働きも持っており、皮脂の分泌を活発にします。

生理前になると、エストロゲンが減少し、プロゲステロンが優位になるため、肌は乾燥しやすくなる一方で皮脂分泌は増加するという困った状況になります。これが生理前に顎ニキビが悪化しやすい理由です。また、月経前症候群(PMS)の症状が強い方は、ストレスも加わってさらにニキビができやすくなる傾向があります。

ストレスもホルモンバランスを乱す大きな要因です。強いストレスを感じると、身体はそれに対抗するためにコルチゾール(ストレスホルモン)や男性ホルモンの分泌を増加させます。その結果、皮脂の過剰分泌や角質の肥厚が起こり、ニキビができやすくなります。さらに、慢性的なストレスは自律神経のバランスも乱し、女性ホルモンの分泌リズムにも悪影響を及ぼします。

肌の乾燥

「ニキビ=オイリー肌の人だけの悩み」と思われがちですが、実は乾燥肌の方にも顎ニキビはできやすいのです。これは顎という部位の特性に深く関係しています。

顎は顔の中でも皮膚が薄く、汗腺が少ないため、もともと乾燥しやすい部位です。肌が乾燥すると、角質層から水分が失われ、肌のバリア機能が低下します。すると身体は、不足している潤いを補おうとして、皮脂を過剰に分泌するようになります。この皮脂が毛穴に詰まってニキビの原因となるのです。

また、乾燥した肌はターンオーバーの周期が長くなりがちで、古い角質が剥がれにくくなります。その結果、角質が厚くなって毛穴を塞ぎやすくなり、ニキビが発生しやすい環境が整ってしまいます。さらに、バリア機能が低下した肌は外部からの刺激に敏感になり、ちょっとした摩擦や雑菌でも炎症を起こしやすくなります。

外部刺激

顎は日常生活の中で様々な外部刺激を受けやすい部位です。これらの刺激が繰り返されることで、肌のバリア機能が低下し、ニキビができやすくなります。

まず挙げられるのが、手で触る習慣です。考え事をするときに無意識に顎を触ったり、頬杖をついたりする方は多いのではないでしょうか。手には目に見えない雑菌がたくさん付着しており、顎を触ることでその雑菌が毛穴に入り込み、ニキビの原因となることがあります。また、触ることによる物理的な刺激も、肌にダメージを与えます。

マスクの着用も顎ニキビの大きな原因の一つです。マスクと肌が擦れることによる摩擦刺激に加え、マスク内の温度や湿度の上昇、皮膚表面のpHの変化などが、皮膚の常在菌バランスを乱し、ニキビを引き起こすことが報告されています。サイズの合わないマスクや、肌に合わない素材のマスクを使用していると、その影響はさらに大きくなります。

男性の場合は、髭剃りも顎ニキビの原因となります。カミソリで肌を強く刺激すると、肌のバリア機能が低下し、ニキビができやすくなります。刃がなまったカミソリを使い続けたり、シェービングジェルを使わずに剃ったりすることで、肌へのダメージはさらに大きくなります。

その他にも、髪の毛が顎に触れる刺激、マフラーやタートルネックなど衣類との摩擦、枕や寝具の汚れなども、顎ニキビの原因となり得ます。

生活習慣の乱れ

不規則な生活習慣は、ホルモンバランスや肌のターンオーバーを乱し、顎ニキビの原因となります。

睡眠不足は肌にとって大敵です。私たちの肌は睡眠中に成長ホルモンの分泌が促進され、ダメージを受けた細胞の修復や新しい肌細胞の生成が行われます。睡眠時間が不足すると、この肌の再生プロセスが十分に行われず、ターンオーバーが乱れてニキビができやすくなります。また、睡眠不足はストレスホルモンの分泌増加にもつながり、皮脂の過剰分泌を引き起こします。

偏った食生活も顎ニキビの原因となります。糖質や脂質の過剰摂取は、皮脂の分泌を促進するだけでなく、これらの栄養素を代謝する際に肌の健康維持に必要なビタミンB群を大量に消費してしまいます。また、ファーストフードやスナック菓子、清涼飲料水などの高GI食品(血糖値を急激に上昇させる食品)の摂りすぎは、インスリンの分泌を促し、それが皮脂の過剰分泌につながることが指摘されています。

運動不足や喫煙も、血行不良を引き起こし、肌への栄養供給を妨げることで、ニキビの原因となります。特に喫煙は、肌のターンオーバーを乱すだけでなく、ビタミンCを破壊するなど、肌に多大な悪影響を与えます。

洗顔やスキンケアの問題

間違った洗顔やスキンケアも、顎ニキビの原因となることがあります。

洗顔料や汚れのすすぎ残しは、顎に起こりやすい問題です。顎は顔の中でも洗いにくい部位であり、洗顔料が十分に落としきれないまま残ってしまうことがあります。残った洗顔料は毛穴を詰まらせ、ニキビの原因となります。

また、ニキビを気にするあまり、一日に何度も洗顔したり、ゴシゴシと強くこすって洗ったりする方もいますが、これは逆効果です。過度な洗顔は肌に必要な皮脂まで奪い取ってしまい、かえって肌を乾燥させます。すると身体は皮脂の不足を補おうとして、より多くの皮脂を分泌するようになり、悪循環に陥ってしまいます。

保湿が不十分なスキンケアも問題です。前述の通り、顎は乾燥しやすい部位であり、適切な保湿が欠かせません。油分を避けたいあまり化粧水だけで済ませたり、保湿を怠ったりすると、肌の乾燥が進み、かえってニキビができやすくなります。

内臓機能の低下

東洋医学では、顔の各部位は特定の内臓と関連していると考えられており、顎は胃腸や婦人科系の臓器と関係が深いとされています。胃腸の機能が低下すると、食べたものの消化・吸収がうまくいかず、老廃物や毒素が体内に蓄積されやすくなります。これらの不要物は血液を通じて全身を巡り、最終的に皮脂腺が多い肌から排出しようとするため、ニキビとして現れることがあります。

便秘がちの方に顎ニキビができやすいのも、腸内環境の悪化が関係しています。便秘になると腸内で悪玉菌が増殖し、アンモニアなどの有害物質が生成されます。これらが血液に乗って全身を巡り、肌から排出される際にニキビを引き起こすと考えられています。

また、身体の冷えも顎ニキビに関係していると言われています。特に下半身が冷えると骨盤内の血流が滞り、子宮や卵巣の機能が低下しやすくなります。これによりホルモンバランスが乱れ、顎ニキビができやすくなるとされています。

顎ニキビと思春期ニキビの違い

顎ニキビは「大人ニキビ」の代表格とも呼ばれますが、思春期にできるニキビとはいくつかの点で異なる特徴を持っています。両者の違いを理解することで、より効果的なケアが可能になります。

発生部位の違い

思春期ニキビは、おでこや鼻周りなど皮脂の分泌が多い「Tゾーン」にできやすいのが特徴です。これは、思春期に急激に増加する性ホルモンの影響で皮脂分泌が活発になり、もともと皮脂腺が多いTゾーンに皮脂が過剰に分泌されるためです。

一方、大人ニキビ(顎ニキビ)は、顎やフェイスライン、口周りなどの「Uゾーン」にできやすいのが特徴です。Uゾーンは本来皮脂分泌が少ない部位ですが、乾燥やホルモンバランスの乱れ、外部刺激などの影響を受けやすく、大人になってからニキビが発生しやすい場所となります。

主な原因の違い

思春期ニキビの主な原因は、成長に伴う一時的なホルモンの変化による皮脂の過剰分泌です。思春期を過ぎてホルモンバランスが安定すると、多くの場合は自然に改善していきます。

大人ニキビ(顎ニキビ)の原因は、皮脂の過剰分泌だけでなく、肌の乾燥、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、ホルモンバランスの変化、不適切なスキンケア、外部刺激など、多岐にわたります。複数の要因が絡み合って発生するため、原因を特定しにくく、思春期ニキビよりも治りにくい傾向があります。

肌質の違い

思春期ニキビができやすい肌は、皮脂分泌が盛んなオイリー肌(脂性肌)であることが多いです。そのため、皮脂コントロールを中心としたケアが効果的です。

一方、大人ニキビ(顎ニキビ)は、乾燥肌や混合肌の方にもできやすいのが特徴です。顎は乾燥しやすい部位であるため、皮脂を取り除くケアだけでなく、適切な保湿も重要になります。

再発のしやすさ

思春期ニキビは、ホルモンバランスが安定すれば自然に減少することが多いですが、大人ニキビ(顎ニキビ)は原因が多岐にわたるため、同じ場所に繰り返しできやすい傾向があります。根本的な原因を取り除かない限り、何度も再発を繰り返すことが少なくありません。

顎ニキビの進行段階と症状

顎ニキビを適切にケアするためには、その進行段階と症状について理解しておくことが重要です。ニキビは発生から悪化まで、いくつかの段階を経て進行していきます。

微小面皰(びしょうめんぽう)

ニキビの最も初期の段階で、肉眼ではほとんど確認できません。毛穴の出口が狭くなり始め、皮脂が少しずつ溜まり始めている状態です。この段階で適切なケアを行えば、悪化を防ぐことができます。

白ニキビ(閉鎖面皰)

毛穴が皮脂や古い角質で完全に塞がれ、皮脂が内部に蓄積した状態です。毛穴の先端が閉じているため、白っぽい小さな膨らみとして見えます。触るとザラザラした感触があり、「コメド」とも呼ばれます。まだ炎症は起きていないため、この段階で適切なケアを行えば、炎症性ニキビへの進行を防ぐことができます。

黒ニキビ(開放面皰)

白ニキビの毛穴が開き、内容物が空気に触れて酸化した状態です。酸化により皮脂が黒く変色するため、黒い点のように見えます。白ニキビと同様、まだ炎症は起きていない段階です。

赤ニキビ(丘疹)

毛穴内でアクネ菌が増殖し、炎症が起きた状態です。赤く腫れて盛り上がり、痛みを伴うこともあります。指で押すと軽く痛みを感じます。この段階まで進行すると、セルフケアだけでの改善は難しくなることが多く、炎症が長引くとニキビ跡が残るリスクも高まります。

黄ニキビ(膿疱)

炎症がさらに進行し、毛穴内に膿が溜まった状態です。中央に黄色や白っぽい膿が透けて見え、強い痛みを伴うことがあります。炎症が周囲の組織にまで広がっており、自分で潰したり、不適切な処置をしたりすると、細菌感染のリスクが高まり、ニキビ跡が残りやすくなります。

しこりニキビ(嚢腫・結節)

顎ニキビを繰り返していると、炎症を起こした箇所の皮膚の修復が過剰になり、皮膚の一部が線維化してしこりのようになることがあります。しこりニキビは皮膚の深い部分で炎症が起きているため、治りにくく、セルフケアでの改善は非常に困難です。早めに医療機関を受診することをお勧めします。

顎ニキビを予防・改善するための生活習慣

顎ニキビを予防・改善するためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。ここでは、顎ニキビの原因となる生活習慣の問題点と、改善のためのポイントを解説します。

十分な睡眠を取る

睡眠は肌の再生にとって非常に重要です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、傷ついた細胞の修復や新しい肌細胞の生成が行われます。特に入眠後3〜4時間は成長ホルモンの分泌が最も活発になる「ゴールデンタイム」と呼ばれ、この時間にぐっすりと眠ることが肌の健康維持に欠かせません。

睡眠時間は個人差がありますが、一般的には6〜8時間程度が理想とされています。単に睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも大切です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室の環境を整える、就寝・起床時間を一定にするなどの工夫をしましょう。

ストレスを溜めない

ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌を引き起こす大きな要因です。完全にストレスを排除することは難しいですが、適度に発散する方法を見つけることが大切です。

自分がリラックスできる時間を意識的に設けましょう。趣味に没頭する、好きな音楽を聴く、ゆっくり入浴する、軽い運動をするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけてください。深呼吸やストレッチなど、短時間でできるリラクゼーション法を日常に取り入れるのも効果的です。

適度な運動を心がける

適度な運動は、血行を促進して肌の代謝を高めるだけでなく、ストレス解消にも効果的です。ウォーキングやヨガ、軽いジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。運動後は汗をそのまま放置せず、シャワーを浴びるなどして清潔を保ちましょう。

ただし、激しい運動は脂質代謝に関わるビタミンB2を大量に消費するため、頑張りすぎには注意が必要です。無理のない範囲で継続的に行うことが大切です。

顎を触る癖を直す

無意識のうちに顎を触ったり、頬杖をついたりする癖がある方は、意識的にそれを止めるようにしましょう。手には多くの雑菌が付着しており、顎を触ることでその雑菌が毛穴に入り込んでニキビの原因となります。また、物理的な刺激も肌にダメージを与えます。

癖を直すのは簡単ではありませんが、まずは自分がどのような場面で顎を触っているかを観察することから始めましょう。気づいたときにやめるよう心がけることで、徐々に改善していくことができます。

マスクの選び方と着用方法

マスクを着用する際は、自分の顔に合ったサイズを選び、肌への摩擦を最小限に抑えることが大切です。素材も重要で、肌に優しいコットンやシルクなどの天然素材を選ぶと良いでしょう。不織布マスクを使用する場合は、内側にガーゼを挟むなどの工夫も効果的です。

また、マスク内は蒸れやすく雑菌が繁殖しやすい環境になるため、可能な場面ではこまめにマスクを外して換気することも大切です。使い捨てマスクは毎日新しいものに交換し、布マスクは毎日洗濯して清潔を保ちましょう。

寝具を清潔に保つ

枕カバーやシーツには、汗や皮脂、古い角質、雑菌などが蓄積されます。これらが顔に触れることで、ニキビの原因となることがあります。特に枕は顔に直接触れる時間が長いため、枕カバーはこまめに交換することをお勧めします。理想的には毎日、少なくとも週に2〜3回は交換しましょう。

正しいスキンケア方法

顎ニキビの予防・改善には、正しいスキンケアが欠かせません。間違ったスキンケアはかえってニキビを悪化させることもあるため、基本を押さえた適切なケアを心がけましょう。

正しい洗顔の方法

洗顔はスキンケアの基本ですが、方法を間違えると逆効果になることもあります。まず、洗顔は朝と夜の1日2回を基本とし、それ以上の頻度で洗うことは避けましょう。過度な洗顔は必要な皮脂まで落としてしまい、肌を乾燥させます。

洗顔料はしっかりと泡立て、きめ細かい泡を作ります。泡立てネットを使うと、簡単にたっぷりの泡を作ることができます。泡を顔に乗せたら、ゴシゴシとこすらず、泡で汚れを包み込むように優しく洗います。特に顎周りは洗い残しやすすぎ残しが起きやすい部位なので、意識して丁寧に洗いましょう。

すすぎは32度程度のぬるま湯で行い、洗顔料が残らないようしっかりとすすぎます。熱すぎるお湯は必要な皮脂まで落としてしまい、冷たすぎる水は汚れが落ちにくくなります。すすぎの回数は最低でも20回以上を目安にし、特にフェイスラインや顎の下などのすすぎ残しが起きやすい部位には注意が必要です。

洗顔後は清潔なタオルで、こすらずに押さえるように水分を拭き取ります。タオルも雑菌が繁殖しやすいので、毎日清潔なものを使用しましょう。

保湿の重要性

顎は乾燥しやすい部位であるため、適切な保湿が非常に重要です。「ニキビができているから保湿は控えたほうがいい」と思われがちですが、乾燥は皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れを招き、かえってニキビを悪化させます。

洗顔後は速やかに保湿を行いましょう。まず化粧水で肌に水分を補給し、その後、乳液やクリームで水分が蒸発しないようにフタをします。ニキビができている時は、ノンコメドジェニックテスト済み(ニキビができにくいことが確認された)の製品を選ぶと安心です。

スキンケア製品を選ぶ際は、アルコールや香料など、肌への刺激となる成分が少ないものを選びましょう。また、油分が多すぎる製品は毛穴を詰まらせる可能性があるため、自分の肌質に合ったものを選ぶことが大切です。

ニキビを触らない・潰さない

ニキビができると、気になってつい触ったり、潰したくなったりするものですが、これは絶対に避けてください。手で触ることで雑菌が入り込み、炎症を悪化させる可能性があります。また、ニキビを潰すと、膿が周囲に広がって炎症が拡大したり、傷跡がニキビ跡として残ったりするリスクがあります。

どうしてもニキビの内容物を取り除きたい場合は、自己判断で行わず、皮膚科で適切な処置(面皰圧出)を受けることをお勧めします。

メイクの注意点

メイクによる毛穴の閉塞はニキビの悪化要因となることがあります。ニキビができている時は、できるだけメイクを控えめにし、毛穴を塞がないよう心がけましょう。厚塗りは避け、ポイントメイクで済ませるのも一つの方法です。

化粧品を選ぶ際は、ノンコメドジェニックテスト済みのものや、オイルフリーの製品を選ぶと良いでしょう。また、帰宅したらできるだけ早くメイクを落とし、肌を清潔に保つことが大切です。クレンジングの際は、こすりすぎに注意し、優しく丁寧に行いましょう。

顎ニキビに効果的な栄養素と食事

肌は毎日の食事から摂取する栄養素をもとに作られています。バランスの取れた食生活は、顎ニキビの予防・改善に欠かせません。ここでは、肌の健康維持に役立つ栄養素と、避けたほうが良い食品について解説します。

積極的に摂りたい栄養素

ビタミンB2は、脂質の代謝を助け、皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。また、皮膚や粘膜を健康に保つ効果もあり、ニキビの予防・改善に重要な栄養素です。ビタミンB2を多く含む食品には、レバー、うなぎ、納豆、卵、牛乳などがあります。

ビタミンB6は、タンパク質の代謝を助け、新しい肌細胞の生成を促進します。また、皮脂の分泌を抑制する働きもあり、ニキビケアに効果的です。ビタミンB6を多く含む食品には、レバー、マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ、にんにくなどがあります。

ビタミンCは、強い抗酸化作用を持ち、活性酸素によるダメージから肌を守ります。また、コラーゲンの生成を促進し、肌の弾力を保つ効果や、炎症を抑える効果もあります。ニキビ跡の色素沈着を防ぐ働きもあるため、ニキビができやすい方は積極的に摂取しましょう。ビタミンCを多く含む食品には、パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類などがあります。

ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ち、ターンオーバーを正常化する働きがあります。不足すると角質が硬くなって毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの原因となります。ビタミンAを多く含む食品には、レバー、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、うなぎなどがあります。ただし、脂溶性ビタミンは過剰摂取すると体内に蓄積されるため、適量を守ることが大切です。

ビタミンEは、強い抗酸化作用があり、肌の酸化ダメージを防ぎます。また、血行を促進してターンオーバーを助ける働きもあります。ビタミンCと一緒に摂取すると相乗効果が期待できます。ビタミンEを多く含む食品には、アーモンドなどのナッツ類、アボカド、かぼちゃ、緑黄色野菜などがあります。

亜鉛は、タンパク質の合成やホルモンバランスの調整に関わる重要なミネラルです。肌の新陳代謝を促進し、炎症を抑える効果もあります。亜鉛を多く含む食品には、牡蠣、牛肉、レバー、卵黄、大豆製品などがあります。

食物繊維は、腸内環境を整え、便秘を改善する効果があります。腸内環境が整うと、老廃物の排出がスムーズになり、肌荒れやニキビの予防につながります。食物繊維を多く含む食品には、キノコ類、海藻類、ごぼう、さつまいも、大豆製品などがあります。

タンパク質は、肌を構成する主要な成分であり、ターンオーバーを正常に保つために欠かせません。良質なタンパク質を適度に摂取することで、健康な肌細胞の生成を促進します。タンパク質を多く含む食品には、肉類、魚介類、卵、大豆製品などがあります。

オメガ3脂肪酸は、青魚に多く含まれるEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸で、皮脂の分泌を抑え、炎症を軽減する作用があるとされています。サバ、イワシ、サンマなどの青魚を積極的に摂取しましょう。

控えたほうが良い食品

糖質や脂質の過剰摂取は、皮脂の分泌を促進し、ニキビの原因となります。また、これらの栄養素を代謝する際にビタミンB群が大量に消費されるため、肌の健康維持に必要な栄養素が不足してしまいます。スナック菓子、揚げ物、菓子パン、チョコレートなどの摂りすぎには注意しましょう。

高GI食品(血糖値を急激に上昇させる食品)の過剰摂取も避けたほうが良いでしょう。白米、パン、うどん、清涼飲料水などの高GI食品を大量に摂取すると、血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。インスリンは皮脂の分泌を促進する作用があるため、ニキビができやすくなります。

カフェインの過剰摂取にも注意が必要です。カフェインには利尿作用があり、ビタミンB群やビタミンCなど、肌の健康に必要な水溶性ビタミンを体外に排出してしまいます。コーヒーやエナジードリンクなどの摂りすぎは控えましょう。

アルコールも肝機能を低下させ、その分解過程でビタミンB群を消費してしまいます。また、一部のアルコール飲料には糖質が多く含まれているものもあります。適度な量に抑えることが大切です。

香辛料などの刺激物も、過剰に摂取すると皮脂の分泌を促進することがあると言われています。辛いものが好きな方は、摂りすぎに注意しましょう。

医療機関での治療が必要なケース

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。ニキビは「尋常性ざ瘡」という皮膚疾患であり、医療機関での治療には健康保険が適用されます。

赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を伴うニキビが多数ある場合は、医療機関での治療が推奨されます。炎症が強いニキビを放置すると、周囲の組織まで傷つき、ニキビ跡(瘢痕)が残るリスクが高まります。

何度も同じ場所に繰り返しニキビができる場合も、医療機関への相談をお勧めします。繰り返し炎症を起こすと、その部分の皮膚が線維化してしこりニキビになることがあり、セルフケアでの改善は困難になります。

ニキビに痛みやかゆみがある場合は、炎症が強くなっているサインです。また、しこりのような硬いニキビができている場合は、皮膚の深い部分で炎症が起きている可能性があり、専門的な治療が必要です。

ニキビ跡が気になる場合も、皮膚科への相談が有効です。色素沈着や凹凸などのニキビ跡に対しては、保険適用外の治療も含めた様々な選択肢があります。

生理周期に関係なく慢性的にニキビができる場合や、ニキビ以外の症状(生理不順、多毛など)を伴う場合は、ホルモンバランスの異常が原因の可能性があります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患が隠れていることもあるため、婦人科と連携した診察が必要になることがあります。

顎ニキビの治療方法

医療機関で行われる顎ニキビの治療方法について解説します。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」に基づき、症状の段階や重症度に応じた適切な治療が行われます。

外用薬による治療

ニキビ治療の基本は外用薬(塗り薬)です。症状に応じて複数の外用薬が処方されることもあります。

毛穴の詰まりを改善する薬としては、アダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオ)があります。アダパレンは表皮角化細胞の分化を抑制し、毛穴の詰まりを改善する効果があります。過酸化ベンゾイルは抗菌作用と角層剥離作用を持ち、アクネ菌に対する耐性が報告されていないという特長があります。これらの配合薬(エピデュオ、デュアックなど)も使用されています。

炎症を抑える抗菌薬としては、クリンダマイシン(ダラシンTゲル)、ナジフロキサシン(アクアチム)、オゼノキサシン(ゼビアックス)などがあります。これらは急性炎症期に用いられますが、薬剤耐性菌の問題があるため、長期間の単独使用は推奨されていません。

外用薬の使用に際しては、ヒリヒリ感や赤み、乾燥などの副作用が現れることがあります。特に治療開始初期に起こりやすいですが、多くの場合は使用を続けるうちに軽減していきます。保湿剤の併用や、使用量・使用回数の調整によって症状が改善することも多いため、気になる症状がある場合は主治医に相談しましょう。

内服薬による治療

中等症以上の炎症性ニキビがある場合は、外用薬に加えて内服薬(飲み薬)が処方されることがあります。

抗菌薬の内服としては、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)やミノサイクリン(ミノマイシン)などのテトラサイクリン系抗菌薬が主に使用されます。これらの薬は抗菌作用に加え、抗炎症作用も持っています。ガイドラインでは、ドキシサイクリンの方が副作用が少ないため推奨度が高くなっています。

ビタミン剤の処方も行われることがあります。ビタミンB2やビタミンB6は皮脂の分泌を調整する効果があり、ニキビの改善に役立ちます。

漢方薬もニキビ治療に用いられます。清上防風湯、十味敗毒湯、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸などが体質や症状に応じて処方され、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。

その他の治療法

面皰圧出は、専用の器具を使ってニキビの内容物(角栓や膿)を取り出す処置です。自分で潰すと傷跡が残りやすくなりますが、医療機関で適切に行えば、炎症の早期改善が期待できます。

保険適用外の治療としては、ケミカルピーリングやイオン導入、レーザー治療、ホルモン療法(低用量ピル、スピロノラクトン)などがあります。これらは保険診療で十分な効果が得られない場合や、ニキビ跡の治療に用いられることがあります。

治療期間について

ニキビ治療は長期的な取り組みが必要です。外用薬の効果が現れるまでには通常2〜3ヶ月程度かかります。また、炎症性ニキビが改善しても、その周囲にはコメド(面皰)が残っていることが多く、短期間で治療を終了すると再発する可能性が高くなります。

そのため、少なくとも3ヶ月を目安に治療を継続し、炎症が改善した後も維持療法として外用薬を続けることが推奨されています。根気よく治療を続けることで、ニキビができにくい肌を目指すことができます。

よくある質問

顎ニキビが繰り返しできるのはなぜですか?

顎ニキビが繰り返しできる主な原因には、ホルモンバランスの乱れ、肌の乾燥、外部刺激(マスクの摩擦、手で触る癖など)、生活習慣の乱れ(睡眠不足、ストレス、食生活の偏り)などがあります。顎は男性ホルモンの影響を受けやすい部位であるため、ストレスや生理周期の影響でホルモンバランスが乱れると、皮脂分泌が過剰になりニキビができやすくなります。また、顎は乾燥しやすい部位でありながら皮脂腺が多いという特性があり、複数の原因が絡み合って繰り返しニキビが発生します。根本的な原因を特定し、対処することが再発防止につながります。

生理前に顎ニキビが悪化するのはなぜですか?

生理前に顎ニキビが悪化するのは、女性ホルモンのバランス変化が関係しています。生理前になると、美肌ホルモンと呼ばれる卵胞ホルモン(エストロゲン)が減少し、黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になります。黄体ホルモンには男性ホルモンと似た働きがあり、皮脂の分泌を促進するため、毛穴が詰まりやすくなります。同時に肌は乾燥しやすくなるため、皮脂過剰と乾燥という困った状況が重なり、ニキビができやすくなるのです。生理周期に合わせた保湿ケアやストレス管理を意識することで、症状を軽減できることがあります。

顎ニキビを早く治す方法はありますか?

顎ニキビを早く治すためには、適切なスキンケアと生活習慣の改善が基本となります。洗顔は1日2回を基本とし、優しく泡で洗い、すすぎ残しがないようにしましょう。洗顔後はしっかりと保湿を行い、肌の乾燥を防ぎます。ニキビを触ったり潰したりすることは絶対に避けてください。また、十分な睡眠を取り、ストレスを溜めないようにすることも大切です。バランスの良い食事を心がけ、糖質や脂質の過剰摂取を控えましょう。炎症を伴う赤ニキビや黄ニキビがある場合、セルフケアだけでの改善は難しいことが多いため、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。医療機関では、症状に合った外用薬や内服薬による効果的な治療を受けることができます。

顎ニキビに効く食べ物はありますか?

顎ニキビの予防・改善に効果的な栄養素を含む食品を積極的に摂取することをお勧めします。ビタミンB2(レバー、納豆、卵)やビタミンB6(マグロ、鶏肉、バナナ)は皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。ビタミンC(パプリカ、ブロッコリー、キウイ)やビタミンE(ナッツ類、アボカド)は抗酸化作用があり、肌の炎症を抑えます。また、亜鉛(牡蠣、牛肉)は肌の新陳代謝を促進し、食物繊維(キノコ類、海藻類)は腸内環境を整えて老廃物の排出を助けます。一方、糖質や脂質の多い食品、ファーストフード、スナック菓子などの過剰摂取は控えましょう。これらは皮脂分泌を促進し、ニキビの原因となります。

皮膚科でのニキビ治療はどのくらいの費用がかかりますか?

ニキビ(尋常性ざ瘡)は皮膚疾患として認められているため、皮膚科での治療には健康保険が適用されます。保険適用の治療を受けた場合、初診料や再診料、薬代などを含めて、一回の受診につき1,000円〜3,000円程度で収まることがほとんどです。外用薬や内服薬の処方が中心となり、症状に応じて適切な治療を受けることができます。ただし、ケミカルピーリングやレーザー治療、ホルモン療法などは保険適用外となり、全額自己負担になります。治療を始める前に、どのような治療法があり、費用がどの程度かかるのかを医師に確認しておくと安心です。

顎ニキビとしこりニキビの違いは何ですか?

通常の顎ニキビは、毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、アクネ菌が増殖して炎症を起こした状態です。白ニキビ、黒ニキビから赤ニキビ、黄ニキビへと進行していきます。しこりニキビ(嚢腫・結節)は、炎症を繰り返した結果、皮膚の深い部分で炎症が慢性化し、皮膚組織が線維化して硬くなった状態を指します。触ると硬いしこりのように感じられ、痛みを伴うこともあります。しこりニキビは通常のニキビよりも治りにくく、セルフケアでの改善は非常に困難です。ニキビ跡として残りやすいため、しこりニキビができてしまった場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。

マスクで顎ニキビが悪化するのを防ぐ方法はありますか?

マスクによる顎ニキビの悪化を防ぐためには、いくつかの対策が有効です。まず、自分の顔に合ったサイズのマスクを選び、肌との摩擦を最小限に抑えましょう。素材は、肌に優しいコットンやシルクなどの天然素材がおすすめです。不織布マスクを使用する場合は、内側にガーゼを挟むと肌への刺激を軽減できます。可能な場面ではこまめにマスクを外して換気し、マスク内の蒸れを防ぎましょう。使い捨てマスクは毎日新しいものに交換し、布マスクは毎日洗濯して清潔を保つことが大切です。また、マスク着用時は肌が蒸れて皮脂分泌が増えるため、朝のスキンケアではしっかり保湿を行い、肌のバリア機能を高めておくことも効果的です。

まとめ

顎ニキビは大人ニキビの代表的な症状であり、ホルモンバランスの乱れ、肌の乾燥、外部刺激、生活習慣の乱れなど、複数の原因が絡み合って発生します。思春期ニキビとは発生部位や原因が異なるため、適切な対処法も異なります。

顎ニキビを予防・改善するためには、十分な睡眠、ストレス管理、バランスの取れた食生活といった生活習慣の見直しが基本となります。また、正しい洗顔方法と保湿を中心としたスキンケアも重要です。顎を触る癖を直し、マスクの選び方にも気を配りましょう。

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、炎症を伴うニキビが多数ある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。ニキビは皮膚疾患であり、適切な治療を受けることで効果的に改善することができます。また、放置して炎症が長引くと、ニキビ跡(瘢痕)が残るリスクも高まります。

顎ニキビの原因を正しく理解し、日々の生活習慣とスキンケアを見直すことで、ニキビのできにくい健やかな肌を目指しましょう。気になる症状がある場合は、一人で悩まず、専門医に相談することが、美しい肌への第一歩となります。


参考文献

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師の診察に代わるものではありません。症状が気になる場合は、専門医にご相談ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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